JPH0971654A - オルガノポリシロキサン樹脂及びその製造方法並びにそれを用いた硬化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物 - Google Patents
オルガノポリシロキサン樹脂及びその製造方法並びにそれを用いた硬化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物Info
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Abstract
リシロキサン樹脂に比べて低温硬化が可能であり、か
つ、高硬度で可撓性に優れた被膜を与えることのできる
新規なオルガノポリシロキサン樹脂を提供する。 【解決手段】数平均分子量が500以上であり、シラノ
ール基を5重量%以上含有するオルガノポリシロキサン
樹脂であって、R1 SiO3/2 単位(R1 は水素原子、
または、炭素数1〜18の置換又は非置換の1価炭化水
素基)を30〜100モル%含有すると共に、R1 Si
O3/2 単位の30〜80モル%が、R1 Si(OH)O
2/2 で表されるシラノール基を1個有する単位であるこ
とを特徴とするオルガノポリシロキサン樹脂。
Description
シロキサン樹脂及びその製造方法、並びにそれを用い
た、コーティングや成型用に有用な硬化性オルガノポリ
シロキサン樹脂組成物に関する。
料、コーティング剤、成型物のバインダー等に使用され
ている。オルガノポリシロキサン樹脂は、分子量によ
り、(a)比較的低分子量で、シラノール基を多量に含
有するもの、(b)比較的高分子量で、シラノール基を
少量しか含有しないものに大別される。
は、クロルシランやアルコキシシランを、極性の高いア
ルコール系溶媒中、比較的穏和な条件下で加水分解・縮
合させることにより得られるものであり、重合度が1〜
10程度の低分子量のものである。このようなオルガノ
ポリシロキサン樹脂は、シリカゾルと併用することによ
って、プラスチック材料の表面を保護するために用いら
れる、低温で高硬度の被膜を形成するハードコート剤の
原料として応用されている。
安定であって、経時により、安定なシロキサン結合を形
成する傾向にあり、室温で除々に縮合反応が進行するの
で、このようなオルガノポリシロキサン樹脂を用いたハ
ードコート剤は、皮膜の硬度が経時によって低下するの
みならず、オルガノポリシロキサン樹脂が3次元的に架
橋・高分子量化して不溶物を生成すると共に、被膜の柔
軟性及び可撓性が乏しく、耐衝撃性が十分でないという
欠点があった。
ン樹脂は、クロルシランやアルコキシシランをトルエン
等の非極性溶媒中で加水分解・縮合させることにより得
られ、経時変化を防止するために、平均10量体以上に
縮合を進めて高分子量化したものであって、一般に、シ
リコーン・レジンと呼ばれものである。この縮合過程に
おいて架橋点である活性なシラノール基が失われるの
で、シラノール基の含有率は3〜4重量%(対レジン純
分)まで低下する。従って、このオルガノポリシロキサ
ン樹脂は、シラノールの安定性が良い一方、水分散性が
悪い上硬化性が劣るので、これをシリカゾルと共に用い
て形成させた硬化膜の硬度は、比較的低くなり易いとい
う欠点があった。
ルガノポリシロキサンを製造する方法として、ジクロロ
シランを加水分解・縮合させることによって、重合度が
3〜10の環状体のオルガノポリシロキサンを合成する
方法が知られている。しかしながら、このように、無溶
剤で加水分解してオルガノポリシロキサンを製造する方
法は、加水分解性基を2個有するシラン(D単位)を対
象とする場合に限られるという欠点があった。従って、
保存安定性に優れる上被膜とした場合の硬度が高い、多
量のシラノール基を含有する、比較的高分子量のオルガ
ノポリシロキサン樹脂は未だ知られていない。
の目的は、保存安定性に優れると共に、従来のオルガノ
ポリシロキサン樹脂に比べて低温硬化が可能であり、か
つ、高硬度で可撓性に優れた被膜を与えることのできる
新規なオルガノポリシロキサン樹脂を提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、保存安定性に優れると共
に、従来のオルガノポリシロキサン樹脂に比べて低温硬
化が可能であり、かつ、高硬度で可撓性に優れた被膜を
与えることのできる、新規なオルガノポリシロキサン樹
脂を製造するに適した方法を提供することにある。更に
本発明の第3の目的は、保存安定性に優れ、特にコーテ
ィング用又は成型用として有用な、硬化性オルガノポリ
シロキサン樹脂組成物を提供することにある。
は、数平均分子量が500以上であり、シラノール基を
5重量%以上含有するオルガノポリシロキサン樹脂であ
って、R1 SiO3/2 単位(R1 は水素原子、または、
炭素数1〜18の置換又は非置換の1価炭化水素基)を
30〜100モル%含有すると共に、R1 SiO3/2 単
位の30〜80モル%が、R1 Si(OH)O2/2 で表
されるシラノール基を1個有することを特徴とするオル
ガノポリシロキサン樹脂、及び、その製造方法、並び
に、該オルガノポリシロキサン樹脂を含有する硬化性オ
ルガノポリシロキサン樹脂組成物によって達成された。
オルガノポリシロキサン樹脂のR1 SiO3/2 単位にお
けるR1 の具体例としては、水素原子、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基、
オクタデシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等
のアルケニル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル
基、フェニル基;トリル基等のアリール基;これらの基
の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲ
ン原子で置換したトリフロロプロピル基、パーフロロブ
チルエチル基、パーフロロオクチルエチル基、γ−クロ
ロプロピル基、β−クロロメチルフェニルエチル基;又
はエポキシ官能基で置換されたγ−グリシジロキシプロ
ピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ル基、5,6エポキシヘキシル基、9,10−エポキシ
デシル基;
基、N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、N−
フェニルアミノプロピル基、ジブチルアミノプロピル
基;(メタ)アクリル官能基で置換されたγ−メタクリ
ロキシプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基;含硫
黄官能基で置換されたγ−メルカプトプロピル基、β
(4−メルカプトメチルフェニル)エチル基;アルキル
エーテル基で置換されたポリオキシエチレンオキシプロ
ピル基、カルボキシル基で置換されたγ−ヒドロキシカ
ルボニルプロピル基;4級アンモニウム塩で置換された
γ−トリブチルアンモニウムプロピル基等が挙げられ
る。
合にはアルキル基が好ましく、耐擦傷性や可とう性が要
求される場合、及び、被膜を染色する場合にはエポキシ
官能性基が好ましい。本発明のオルガノポリシロキサン
樹脂は、R1 SiO3/2 単位を30〜100モル%、好
ましくは40〜100モル%含有する必要がある。この
含有量が30モル%未満では、樹脂の硬化性が悪く、架
橋度も少ないため形成される被膜が抵硬度となりやす
い。
記化1〜化3で表されるものを挙げることができる。
外に、SiO4/2 単位、R1 R2 SiO2/2 単位(R2
は炭素数1〜6のアルキル基)を含んでもよい。硬化被
膜の硬度を更に高める場合には、SiO4/2 単位を導入
することが好ましく、柔軟性を更に付与する場合には、
R1 R2 SiO2/2 単位を導入することが好ましい。ま
たR3 SiO1/2 単位を少量含んでもよい。
いては、更に、R1 SiO3/2 単位のうち、30〜80
モル%、好ましくは35〜70モル%の単位は、R1 S
i(OH)O2/2 で表されるシラノール基を1個有する
単位であることが必要である。この単位の含有量が30
モル%未満では硬化被膜の硬度が不十分となり、80モ
ル%を超えると保存安定性が低下し、可とう性が不十分
となる。また分子中に含まれるシラノール基は、5重量
%未満であると高硬度の被膜が形成できないので5重量
%以上である必要があり、7重量%以上であることが好
ましい。
脂は、数平均分子量が500以上であるが、600以
上、特に1,000〜10,000であることが好まし
い。数平均分子量が500未満であると、オルガノポリ
シロキサン樹脂の構造が不安定となるので保存安定性が
劣る上、硬化被膜の可とう性も不十分となる。尚、数平
均分子量は、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィ
ー(GPC)により測定することができる。
(1)R1 SiX(R1 は前記R1と同じであり、Xは
加水分解性基である。)で表される有機けい素化合物
を、pHが1〜7の水溶液中で加水分解する工程、
(2)加水分解した有機けい素化合物を、水を主成分と
する層中で縮合させる工程、及び(3)生成したオルガ
ノポリシロキサン樹脂を反応系から分離する工程によ
り、製造することができる。
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソプロペノキ
シ基等のアルコキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ
基、アミノ基等の加水分解性基であり、本発明において
は、特に、アルコキシ基が好ましい。Xの具体例として
は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブ
トキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メ
チルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメ
トキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピル
トリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラ
ン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシ
シラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、5−ヘキ
セニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロル
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシトリエトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン等が挙げられる。
造するに際しては、まず、これらの有機けい素化合物の
少なくとも1種を、pHが1〜7好ましくは2〜6、特
に好ましくはpHが2〜5の水溶液中で加水分解させ
る。この場合、有機溶媒を10重量%未満含有してもよ
いが、含有しない方が好ましい。有機溶媒を含有する
程、得られるオルガノポリシロキサン樹脂の数平均分子
量が小さくなり易くなる。
ン樹脂のR1 SiO3/2 単位の比率が30〜100モル
%となる限り、R1 2SiO2/2 単位やSiO4/2 単位を
含んでもよい。従って、加水分解性基を2個有するR1
2 SiX2 で表される有機けい素化合物、加水分解性基
を4個有するSiX4 で表される有機けい素化合物、R
1 3SiXで表されるような加水分解性基を1個有する有
機けい素化合物を共加水分解させてもよい。
けい素化合物10重量部に対して水10〜500重量部
とすることが好ましく、特に10〜200重量部とする
ことが好ましい。10重量部より少ないとR1 Si(O
H)O2/2 で表される単位が30モル%より少くなるこ
とがあり、500重量部より多いと縮合反応の反応速度
が遅くなる。加水分解は水中で行えばよいが、加水分解
を促進するために、フッ化水素、塩酸、硝酸、酢酸、マ
レイン酸、メタンスルホン酸、表面にカルボン酸基やス
ルホン酸基を有するイオン交換樹脂等の加水分解触媒を
含有させることが好ましい。
た加水分解性基1モルに対して0.001〜10モル%
であることが好ましい。また、水溶液のpHは1〜7で
あることが必要であり、pHが1より小さくても、7よ
り大きくてもシラノール基が非常に不安定となる。加水
分解は若干の発熱を伴うことがあるので、水冷あるいは
氷冷しながら行うことが好ましい。
分解させた有機けい素化合物を縮合させる。縮合工程
は、加水分解工程と連続的におこなえばよく、通常、室
温又は80℃以下の加熱下で行われる。室温であれば3
〜4時間以上、80℃近辺であれば1〜2時間以上縮合
させることにより、縮合物の分子量を500以上とする
ことができる。80℃より高温にするとゲル化すること
がある。また、アルコキシシランを原料とした場合に
は、80℃以下、20〜100mmHgの減圧下で、加
水分解により生成したアルコールあるいはアルコールと
水を留去することにより、縮合反応を促進することがで
きる。
の加水分解縮合物は、けい素原子に結合した有機置換基
R1 の種類によりその性質が異なる。例えば、R1 がγ
−グリシジロキシプロピル基などの親水性置換基である
場合、置換基と水との親和性が高いため溶液中に溶解し
ており、本発明のオルガノポリシロキサン樹脂を含有し
た、均一で透明な溶液が得られる。
である場合には、縮合に伴い水への溶解性は低下してい
くため、除々に微濁または白濁していき、白濁液を静置
しておけば2層に分離する。上層はシリコーン分の少な
い(通常5%以下)水とアルコールの層であり、下層
は、水あるいはアルコールを少量含む、粘稠な本発明の
オルガノポリシロキサン樹脂である。
などによりわずかに縮合を進行させて高分子量化し、オ
ルガノポリシロキサン樹脂を沈降させてもよい。2層と
なった溶液から本発明のオルガノポリシロキサン樹脂を
分離する方法としては、沈澱物であるオルガノポリシロ
キサン樹脂を分離した後有機溶媒に再溶解させる方法、
及び、水に難溶性の有機溶剤で抽出・分離する方法等が
ある。
キサンが空気中で除々に硬化・増粘していくおそれがあ
るが、有機溶剤に溶解させる後者の場合にはこのような
おそれがないので好ましい。前記粘稠物質を再溶解させ
る有機溶剤としては、オルガノポリシロキサンをよく溶
かす極性有機溶剤を主溶剤とすることが好ましい。
は、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケ
トン類、ジエチルエーテル、ブチルセルソルブ、THF
などのエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、ブタノール等のアルコール類等が挙げられるが、こ
れらの中でも、特に、メチルイソブチルケトン、及び/
又は、t−ブチルアルコールを使用することが好まし
い。
に水に難溶である有機溶剤としては、極性有機溶剤の中
の、特に水に難溶である溶剤を使用することが好まし
い。このような有機溶剤の具体例としては、メチルイソ
ブチルケトン(MIBK)、ジプロピルエーテル、ジブチル
エーテル、及び1−ペンタノール等を挙げることができ
る。また、トルエンなどの非極性溶剤を、水層との分離
を良くするために併用することもできる。
イソブチルケトン、1−ペンタノール等のアルコール、
トルエンとブタノール、トルエンとペンタノールの混合
溶剤等を使用することが好ましい。このようにして得ら
れたオルガノポリシロキサン樹脂は、保存安定性に優
れ、低温硬化が可能であると共に、その硬化物は耐屈曲
性及び耐クラック性に優れ、柔軟性を有する。従って、
コーティング被膜は高硬度の被膜を形成し得るので、硬
化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物として、特に、
コーティング剤や成型用組成物として有用である。
脂組成物は、本発明のオルガノポリシロキサン樹脂を、
水及び/又は有機溶剤で希釈又は溶解させたものであ
る。有機溶媒としては、例えばメチルエチルケトン(M
EK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチ
ルアセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノ
ール、t−ブタノール、t−アミルアルコール、ブチル
セロソルブ、3−メチル−3−メトキシブタノール、ダ
イアセトンアルコール(DAA)などのアルコール類、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエー
テルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソブチルな
どのエステル類などが好ましい。
型用組成物として用いる場合には20〜75重量%であ
ることが好ましく、コーティング用として用いる場合に
は、10〜50重量%とすることが好ましい。また、硬
化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物には、硬化触媒
を添加することが好ましい。硬化触媒としては、例え
ば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、ぎ酸ナト
リウム、n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン、ジア
ザビシクロウンデセンの如き塩基性化合物類;
チルチタネート、アルミニウムトリイソブトキシド、ア
ルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチ
ルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、コバルトオク
チレート、コバルトアセチルアセトナート、亜鉛オクチ
レート、亜鉛アセチルアセトナート、鉄アセチルアセト
ナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズラウ
リレートの如き含金属化合物類;p−トルエンスルホン
酸、トリクロル酢酸の如き酸性化合物類等の縮合触媒が
好ましい。
樹脂100重量部に対し0.01〜10重量部であるこ
とが好ましい。コーティング用組成物とする場合には、
硬化被膜の硬度、耐擦傷性の向上、高屈折率化などの光
学機能性を付与するために、さらに、金属酸化物の微粒
子を添加することが好ましい。
付与したりするのに使用される金属酸化物については、
その粒子形、粒子の平均粒径は問わないが、コーティン
グ剤に用いる場合には、膜の透明性を高めるために粒子
の平均粒径は小さい方が好ましい。また、複数の金属酸
化物よりなる微粒子についても、その結合形態は問わな
い。例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン(Ti
O2 )、酸化セリウム(CeO2 )、酸化スズ(SnO
2 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸化アンチモン
(Sb2 O5 )、酸化鉄(Fe2 O3 )、酸化鉄或いは
酸化ジルコニウムをドープした酸化チタン、希土類酸化
物、或いはこれらの混合物、複合酸化物等が挙げられる
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なっているものを使用してもよいし、粉末状のものをオ
ルガノシロキサン樹脂溶液に分散させてもよい。耐擦傷
性を目的としたコーティング剤の場合には、特にシリカ
を使用することが好ましい。これらの充填剤の添加量
は、オルガノポリシロキサン樹脂100重量部に対し
て、50〜300重量部であることが好ましい。
く、ゾルの安定性や入手のし易さから、水、或いは低級
アルコールであるメタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、若し
くはメチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチル
ケトン(MIBK)、ジメチルホルムアミド(DMF)
等が好ましい。
させるために、pH調整剤を添加してpHを3〜6に調
整しても良い。pH調整剤としては、pHを調整するた
めの緩衝剤となる、酸・塩基性化合物の組み合わせ、例
えば酢酸と酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムと
クエン酸などを組み合わせて添加してもよい。その他、
優れた被膜性能を付与する目的で、有機樹脂、顔料、染
料、レベリング剤、紫外線吸収剤、保存安定剤などを更
に添加することもできる。
化被膜を形成させる場合には、本発明のオルガノポリシ
ロキサン樹脂に、希釈剤、硬化触媒、その他の添加剤を
添加し、混合してコーティング液を調整し、得られたコ
ーティング液を基材に塗布した後、風乾、または加熱硬
化させる。硬化被膜の膜厚は、0.05〜70μmであ
ることが好ましい。
成形体、木材系製品、セラミックス、ガラス、金属、或
いはそれらの複合物等が挙げられ、特に限定されること
はない。基材への塗布には、スプレーコーティング法、
ロールコーティング法、ディップコーティング法、スピ
ンコーティング法等のいずれを用いてもよく、また、そ
れ以外の方法を用いてもよい。被膜の硬化は、空気中に
放置して風乾させることによって行っても良いし、加熱
して行っても良い。加熱温度、加熱時間なども限定され
るものではないが、通常、室温〜250℃で、10分〜
2時間加熱することにより硬化被膜が形成される。
は、従来から公知の、無機質及び有機質材料、各種の充
填剤、並びに補強剤等を添加することができ、これを加
熱成形することによって、高硬度であると共に耐熱性に
優れた複合材料を形成することができる。無機質材料の
例としては、シリカ、マイカ、ガラス繊維等、有機合成
材料としてはポリイミド、ポリアミド、フェノール樹
脂、炭化ケイ素樹脂などが挙げられる他、さらに、低温
硬化が可能であることから、セルロース誘導体などの天
然パルプ繊維も使用することができる。また、充填剤の
例としては、珪藻土、カシューダスト、炭酸カルシウ
ム、ラバーダスト等を使用することができる。
は、数平均分子量が500以上であり、シラノール基を
5重量%以上含有するオルガノポリシロキサン樹脂であ
って、R1 SiO3/2 単位を30〜100モル%含有す
ると共に、R1 SiO3/2 単位の30〜80モル%が、
R1 Si(OH)O2/2 で表されるシラノール基を1個
有する単位であるので、コーティングや成型用の硬化性
オルガノポリシロキサンとして有用である。
量のシラノール基を有するにもかかわらず、そのシラノ
ール基中の適量がR1 Si(OH)O2/2 で表されるシ
ラノール基であるので、保存安定性に優れると共に、低
温硬化が可能であり、かつ高硬度で可撓性に優れた被膜
を与えることが可能である。
が、本発明はこれによって限定されるものではない。 実施例1.2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン
408g(3.0モル)を仕込み、そこに10℃以下で
水800gを加え、よく混合させた。次いで、氷冷下、
0.05Nの塩酸水溶液216g(12.0モル)を4
0分間で滴下し、加水分解を行った。滴下終了後、10
℃以下で20分、室温で6時間それぞれ攪拌し、加水分
解を完結させた。
ルを、70℃、60mmHgで1時間減圧留去して11
36gの溶液を得た。溶液は白濁しており、一晩静置し
ておくと2層に分離した。下層は、水に不溶となって沈
降したシロキサン樹脂である。これにメチルイソブチル
ケトン(MIBK)469gを加え、室温で1時間攪拌
し、沈降したシロキサン樹脂を完全にMIBKに溶解さ
せた。
後、コック付きフラスコにて下層の水層を取り除き、固
形分が30.2%(105℃/3hr)で無色透明のシ
ロキサン樹脂Aの溶液を668g得た。GPCの測定か
ら、得られたポリオルガノシロキサン樹脂Aの数平均分
子量は1.8x103 、分子量分布Mw/Mnは3.0
であった。
構造を29Si MMRによって測定したところ、図1に
示す3本のブロードなシグナルが観測された。これらの
化学シフトは、(1)δ=−46〜−48ppm、
(2)δ=−54〜−58ppm、(3)δ=−62〜
−68ppmであり、それぞれ下記化4、化5及び化6
で表される構造単位のケイ素原子に帰属される。
基であり、式6は、すべてのOX基がシロキシ基に変換
されたケイ素原子を表す。
各構造のモル比は、化4:化5:化6=1.9:41.
6:56.5であった。このポリオルガノシロキサン樹
脂中に残存する、未加水分解アルコキシ基の有無を調べ
るために、NaCl板にこの液を塗布し、30分間風乾
することにより作製した薄膜の赤外吸収スペクトル(図
2)を測定したところ、シラノール基に由来する、幅の
広い吸収が3,200cm-1付近に大きく観測された。
伸縮振動に由来する吸収は2,840cm-1付近に観測
されるはずであったが、この樹脂には吸収は観測されな
かった。一方、樹脂を強アルカリ条件下で加熱クラッキ
ングし、留去したと思われるメタノールをガスクロマト
グラフィーで定量したところ、メタノールは検出され
ず、またIRスペクトルにおけるメトキシ基由来のピー
クも観測されなかったことから、この樹脂中の残存メト
キシ基は検出限界以下であり、Xは、ほぼ100%、水
素原子に変換されたことが確認された。
4)が1.9モル%、T−2単位(化5)が41.6モ
ル%、T−3単位(化6)が56.5モル%であったの
で、シラノール基の含有量は10.8重量%と算出され
た。このシロキサン樹脂溶液にトルエンを加え、共沸脱
水により完全に脱水した。得られた溶液についてグリニ
ャール法でシラノール含有量を定量したところ11.1
重量%であり、29SiNMRの測定結果から算出した値
とよく一致した。この結果から、樹脂Aの平均組成は (CH3 )1.0 Si(OH)0.45O1.28 と表すことができる。
トキシシラン306g(2.25モル)、及びジメチル
ジメトキシシラン90g(0.75モル)を仕込み、そ
こに10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。
次いで水冷下、0.05Nの塩酸水溶液198g(1
1.0モル)を20分で滴下し、加水分解を行った。滴
下終了後、実施例1と同様の操作を行い、最終的にMI
BKで希釈することにより、固形分29.7重量%の無
色透明なシロキサン樹脂Bの溶液694.4gを得た。
Mnは1.5×103 であり、全T単位に対するT−1
単位が2.2モル%、T−2単位が39モル%、T−3
単位が58.8モル%であり、ジメトキシシラン由来の
D単位は、D−1単位(化7)が1.0モル%、D−2
単位(化8)が98.9モル%であった。これらの結果
から、シラノール基の含有量は7.8重量%と算出され
た。尚、残存メトキシ基量は測定限界以下であった。こ
れらの結果から、シロキサン樹脂Bの平均組成は、(C
H3 )1.25Si(OH)0.33O1.21と表すことができ
る。
の塩酸水溶液221.4g(12.3モル)を入れた、
10℃以下に冷却した2Lのフラスコに、n−プロピル
トリメトキシシラン459g(2.8モル)、及びテト
ラメトキシシラン30.4g(0.2モル)の混合液を
30分間で滴下した。10℃以下で40分間、室温で5
時間攪拌し、加水分解物溶液を得た。その後、実施例1
と同様の操作を行い、最終的にMIBKで希釈すること
により、固形分が32.1重量%の無色透明なシロキサ
ン樹脂Cの溶液865gを得た。
Mnは2.1×103 であり、全T単位に対するT−1
単位が0.9モル%、T−2単位が42モル%、T−3
単位が57.1モル%であり、テトラメトキシシラン由
来のQ単位は、Q−2単位(化9)が35モル%、Q−
3単位(化10)が65モル%であった。また、残存メ
トキシ基の量は測定限界以下であった。
キシプロピルトリメトキシシラン708g(3.0モ
ル)を仕込み、10℃以下に冷却し水746gを加えた
後、よく混合させた。そこに0.05Nの塩酸水溶液2
16g(12.0モル)を30分間で滴下した。10℃
以下で40分間、室温で6時間攪拌して反応を完結させ
ることにより、固形分が30.1重量%の無色透明なシ
ロキサン樹脂Dの水溶液1664gを得た。
Mnは1.1×103 であり、全T単位に対するT−1
単位が4モル%、T−2単位が54モル%であった。残
存するメトキシ基量は、IR(赤外吸収)スペクトルか
ら1.4重量%と求められた。これらの結果から、樹脂
Dの平均組成はRSi(OMe)0.08(OH)0.54O
1.19と表すことができる。但し、Rはγ−グリシドキシ
プロピル基である。
トキシシラン408g(3.0モル)、及びメタノール
200gを仕込み、10℃以下に冷した。そこに0.0
5Nの希塩酸水溶液216g(12.0モル)を30分
間で滴下した。10以下で40分間、室温で6時間攪拌
して反応を完結させた後、系内のメタノールを45〜5
0℃、30mmHgで1時間減圧留去することにより、固
形分が30.8重量%(105℃/3hr)の無色透明
なシロキサン樹脂Eの溶液652gを得た。
Mnは4.2×102 であり、全T単位に対するT−1
単位が6モル%、T−2単位が32モル%であった。残
存トメキシ基量は、IRスペクトルから2.6重量%と
求められた。これらの結果から、樹脂Eの平均組成式は (CH3)1.0Si(OMe)0.06(OH)0.38 O1.28 と表すことができる。
トキシシラン408.8g(3.0モル)、及びトルエ
ン450gを仕込んだ後、98%のメタンスルホン酸1
1.1gを触媒とし、内温を30℃以下に保ちながら水
97.2g(5.4モル)を滴下し、上記アルコキシシ
ランを加水分解した。滴下終了後、室温で2時間攪拌し
て反応を完結させた。その後酸性成分を中和し、生成し
たメタノールを減圧留去し、固形分が31.1%となる
まで濃縮し、トルエン溶液646gとした。
Mnは9.4×102 であり、全T単位に対するT−2
単位の存在比は18モル%、T−3単位は82モル%で
あった。残存トメキシ基量は、IRスペクトルから2.
7重量%と求められた。これらの結果からシロキサン樹
脂Fの平均組成式は (CH3)1.0Si(OMe)0.06(OH)0.12 O1.41 と表すことができる。
ウムセチルアセトナートを、シロキサン樹脂に対して
0.05重量%添加し、コーティング組成物を調製し
た。これらのコーティング組成物をみがき鋼板上に塗布
し、150℃で1時間硬化させた被膜について、以下の
物性を評価した。表1に、樹脂の平均組成データ、T−
2単位含有量、分子量及び硬化被膜の物性を示した。
尚、硬化被膜の膜厚はすべて10〜15μm程度であっ
た。
をみがき鋼板に塗布、硬化させて得た被膜を用いた。硬
化条件は150℃で1時間とした。鉛筆を、被膜上に4
5度の角度でしっかり押しつけ、一定の力で前方に押し
動かし、被膜に溝がついたときの鉛筆の硬度(9H〜6
B)で評価した。
イフを用いて、1mm間隔で縦、横11本ずつカットし
て碁盤目を作成し、セロテープ(ニチバン社製)を付着
させた後剥離テストを行い、剥離しなかっだ枡目の数を
調べた。
試験鋼板を装着し、折り曲げたときの割れ抵抗性を調べ
た。心棒として、直径が2mm及び8mmのものを使用
し、屈曲部の割れ及びはがれを目視によって評価した。
割れやはがれが全くないものを○、割れ又ははがれのあ
るものを×とした。
式衝撃変形試験器を用い、試験鋼板上の塗膜に30cm
上からおもりを落下させ、塗膜を基材ごと丸く変形させ
た時の割れ及びはがれを目視によって評価した。割れや
はがれが全くないものを○、割れ又ははがれのあるもの
を×とした。
膜を、40℃で1ヶ月保存し、それらの外観の変化を調
べた。著しい変化の認められたものを不良とした。
1及び比較例2で得た樹脂溶液をみがき鋼板に塗布し、
異なる硬化温度で硬化させた時の被膜の物性(外観、鉛
筆硬度、密着性、耐屈曲性、耐溶剤性)を比較し、表2
に示した。硬化温度は105℃及び200℃とした。硬
化被膜の膜厚はすべて10〜15μm程度とし、硬化触
媒は無添加とした。硬化被膜の耐溶剤性は、硬化被膜の
表面を、キシレンを含浸させた脱脂綿でラビングするこ
とにより、硬化の程度を観察して評価した。尚、表2中
の数値は、被膜が溶け出したときのラビング回数であ
る。
Si NMRスペクトルである。
Rスペクトルである。
Claims (3)
- 【請求項1】 数平均分子量が500以上であり、シラ
ノール基を5重量%以上含有するオルガノポリシロキサ
ン樹脂であって、R1 SiO3/2 単位(R1は水素原
子、または、炭素数1〜18の置換又は非置換の1価炭
化水素基)を30〜100モル%含有すると共に、R1
SiO3/2 単位の30〜80モル%が、R1 Si(O
H)O2/2 で表されるシラノール基を1個有する単位で
あることを特徴とするオルガノポリシロキサン樹脂。 - 【請求項2】 (1)R1 SiX3 (R1 は水素原子、
または、炭素数1〜18の置換又は非置換の1価炭化水
素基、Xは加水分解性基)で表される有機けい素化合物
を、pHが1〜7の水溶液中で加水分解する工程、及
び、(2)加水分解した有機けい素化合物を縮合させる
工程からなることを特徴とする請求項1に記載されたオ
ルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載されたオルガノポリシロ
キサン樹脂と水及び/又は有機溶媒からなることを特徴
とする、硬化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物。
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