JP2019178277A - 硬化性樹脂組成物、及びその製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】市販品のシランカップリング剤から合成されるポリシロキサン単独で水溶化が可能であって、貯蔵安定性に優れ長時間の保存が可能で、かつ、透明性の高い塗膜を与えることができる、硬化性樹脂組成物、及び、その製造方法の提供。【解決手段】グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を含む硬化性樹脂組成物であって、グリシジル基の含有率及び残存するシラノール基が特定の範囲を満たし、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対して水が30重量%以上、かつ、アルコールが10重量%以下含まれる硬化性樹脂組成物。また、前記硬化性樹脂組成物は、酸性触媒を用いてシラン化合物を加水分解及び脱水縮合反応させることで、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を得る工程を含むことを特徴とする製造方法を用いて合成される。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、及びその製造方法に関する。
塗膜の長寿命化、とりわけ高耐候性や高硬度を目的とするポリシロキサン塗料の検討は古くからなされてきている。これはポリシロキサンを形成しているシロキサン結合がエネルギー的に強固であることから熱や紫外線によって分解しにくいことや、架橋点間分子量の小さな緻密な架橋膜を形成しやすいことに起因する。これらのポリシロキサンはシランカップリング剤と呼ばれるアルコキシリル基を有するシランモノマーの加水分解及び縮合反応によって合成することが一般的であり、更にコストの観点から市販品で流通しているシランカップリング剤を用いることが一般的であった。
環境や健康面を考慮した際、ポリシロキサンの水系化に対する需要は高まるが、市販品のシランカップリング剤から合成されるポリシロキサン単独では構造的に水系化が難しく、水溶性樹脂や乳化剤を用いた共乳化による水系化が一般的であった。例えば、特許文献1及び2には、水溶性樹脂や乳化剤を用いた共乳化による水系化の方法が書かれている。
特開平11−172200 特開2010−196034
しかし上記の手法では、添加剤由来による耐水性、耐候性の低下や成膜不良などによって透明な塗膜が得られないという課題があった。特許文献1では、アミノ基を酸で中和した塩にすることで、水溶性樹脂や乳化剤を用いず、ポリシロキサン単独での水溶化を行っている。この手法で作製した樹脂を用いた塗膜は、水性基を多量に内包するため耐水性が低くなるという課題があった。また、特許文献2では複合樹脂組成物中のポリシロキサン由来の構造の質量割合が65%以上となると、著しく粘度が上昇し、ゲル化を引き起こすため、ポリシロキサン単独での水溶化は困難であるという課題があった。
本発明は、以上に鑑み、貯蔵安定性に優れ長時間の保存が可能で、かつ、耐水性、耐候性及び透明性の高い塗膜を与えることができる、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を含む硬化性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を含む硬化性樹脂組成物であって、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、下記構成単位(I)〜(V)の少なくとも1以上を含み、前記構成単位(I)〜(V)の構成比は(d+e)/(a+b+c+d+e)≧0.7を満たし、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対するグリシジル基の含有率が12重量%以上であり、前記硬化性樹脂組成物中において、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対して水が30重量%以上、かつ、アルコールが10重量%以下含まれる、硬化性樹脂組成物に関する。
Figure 2019178277
式中、a〜eは0以上の整数を示し、d+eは1以上である。
は、水素原子 、メチル基、エチル基、又はプロピル基を示す。
は、置換又は非置換の、ビニル基、フェニル基又は炭素数1〜8の環状又は非環状アルキル基を示し、少なくとも1以上はグリシジル基を有する。Rは同一又は異なっていても良い。
前記硬化性樹脂組成物は、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対するケイ素の含有率が15重量%以上であることが好ましい。
前記硬化性樹脂組成物は、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン単独縮合、あるいは3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランと、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、又は3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシランの4種から選ばれる1以上のシラン化合物との共縮合によって合成されることが好ましい。
前記硬化性樹脂組成物は、前記構成単位(I)〜(V)においてメチル基であるRを含有し、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂全量に含まれる前記メチル基の含有率が2重量%以上12重量%以下となることが好ましい。
また、本発明は、酸性触媒を用いてシラン化合物を加水分解及び脱水縮合反応させることで前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を得る工程を含み、前記硬化性樹脂組成物は、前記硬化性樹脂組成物の全量100重量%に対して、水の含有率を30重量%以上とする工程及び、前記硬化性樹脂組成物の全量100重量%に対して、アルコールの含有率を10重量%以下とする工程を含み、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は固形分全量に対してグリシジル基を12重量%以上含有することを特徴とする製造方法に関する。
本発明によれば、貯蔵安定性に優れ長時間の保存が可能で、かつ、耐水性、耐候性、透明性の高い塗膜を与えることができる、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を含む硬化性樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
(硬化性樹脂組成物)
本発明の硬化性樹脂組成物は、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を必須成分として含有する。前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、極性基であるグリシジル基を含有し、オリゴマーであるため、水溶性を示す。また、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、部分縮合体であるD1、T1、T2構造(D1、T1、T2については後述する)を多く含み、極性基であるシラノール基を多く保有するため、水溶性を示す。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化時に縮合が進行することで高分子量化し、シラノール基も減量するため水溶性が低下し、耐水性の高い硬化塗膜が得られる。さらに、硬化時に前記硬化性樹脂組成物に含まれるグリシジル基を反応させることで、前記硬化性樹脂組成物を高分子量化することで耐水性を高めることが可能である。
本発明におけるグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、ケイ素原子に直結したプロピル基の末端がグリシジル基に置換された構造を有する樹脂であり、上記構成単位(I)〜(V)の少なくとも1以上を含む。
上記構成単位は5種類あるが、各構成単位はそれぞれ含まれていてもよいし、含まれていなくともよい。よって、これら各構成単位の繰り返し数a、b、c、d及びeはそれぞれ0以上の整数を示す。しかし、これら各構成単位をいずれも含まない場合は除外され、いずれか1つは必ず前記ポリシロキサン樹脂中に含まれるので、a、b、c、d及びeの合計は1以上である。a、b、c、d及びeの合計の上限値は特に限定されないが、100以下が好ましく、80以下がより好ましく、60以下がさらに好ましく、40以下が特に好ましい。
また、構成単位(IV)と構成単位(V)の少なくとも一方は、前記ポリシロキサン構造に含まれることが好ましい。よって、dとeの合計は1以上の整数が好ましく、2以上の整数がより好ましく、3以上の整数がさらに好ましい。
以上で説明した構成単位から構成される前記ポリシロキサン構造において、a〜eは(d+e)/(a+b+c+d+e)≧0.7を満たすことが好ましい。この式はポリシロキサンを構成するD1、D2、T1、T2、T3構造のうち、T1、T2構造が占める割合が0.7以上であることを示している。ここで、D1構造及びD2構造とは、それぞれ、オルガノジアルコキシシランに含まれるケイ素原子に結合した2個のアルコキシ基のうち、1個又は2個のアルコキシ基がシロキサン結合を形成してなるシロキサン単位(構成単位)を指し、T1、T2、及びT3構造とは、それぞれ、オルガノトリアルコキシシランに含まれるケイ素原子に結合した3個のアルコキシ基のうち、1個、2個又は3個のアルコキシ基がシロキサン結合を形成してなるシロキサン単位(構成単位)を指す。T1、T2構造が多いことは水存在下においてシラノール基を多く保有していることを意味し、ポリシロキサンの水溶性が高くなる。各構成成分であるD1、D2、T1、T2、T3構造の存在比率は29Si−NMRを用いてD1、D2、T1、T2、及びT3構造由来のピーク面積比より算出できる。
更に、下記手法を用いることで水溶性に大きく影響しているシラノール基含有量を算出することができる。まず、H−NMRを用いて、テトラエトキシシランを内部標準として、メチルトリメトキシシランからメトキシシリル基量の検量線を作成し、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂中における前記メトキシシリル基含有量を定量する。次いで、上記D1、D2、T1、T2、及びT3構造のモル比と、後述するケイ素含有量の測定結果から前記メトキシシリル基量を差し引くことでシラノール基含有量を算出することができる。シラノール基含有量としては3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましく、10重量%以上が特に好ましい。シラノール基が3重量%未満である場合には水溶性が足りず水に溶解しない場合がある。
前記ポリシロキサン樹脂中における5種類の構成単位の連結順序は限定されない。また、構成単位(II)、(III)及び(IV)のb、c及びdが各々2以上の整数を表す場合、複数個存在する同じ構成単位は、互いと連続していてもよいし、また、間に別の構成単位が挟まれていてもよい。すなわち、共重合の形式は、ブロック共重合、ランダム共重合のいずれでもよい。
各構成単位では、ケイ素原子に結合した酸素原子が、さらに結合している構造の記載を省略している箇所があるが、この箇所は、前記酸素原子に別のシロキサン単位(構成単位)が結合していることを意味している。また、構成単位(I)〜(V)で表される一分子内に含まれる2箇所の前記箇所間で結合が生じ、分子内に環化ポリシロキサン構造を形成していてもよい。また、構成単位(I)または構成単位(V)が0の場合も同様に、ポリシロキサン構造の末端に、別の構成単位が結合していることを意味し、前記末端で、構成単位(I)〜(V)で表される構造の2単位が結合していてもよいし、分子内に環化構造を形成してもよい。
以下に構成単位(I)〜(V)に含まれる置換基R及びRの詳細を説明するが、それぞれの置換基が複数個存在する場合、各置換基は同一であってもよいし、以下の定義を満足する範囲内で複数の種類が併存してもよい。
は、水素原子、メチル基、エチル基又はプロピル基を表す。
は、置換又は非置換の、ビニル基、フェニル基又は炭素数1〜8の環状又は非環状アルキル基を示す。前記ポリシロキサン樹脂中にRが1以上含まれる場合は、前記Rのうち少なくとも1以上はグリシジル基を有する。
塗膜の透明性、耐溶剤性及び耐水性の観点から、Rは炭素数6以下の基であることが好ましく、炭素数3以下が更に好ましい。アルキル基の末端がグリシジルオキシプロピル基、エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基又はスチリル基のいずれかの有機官能基で置換されている場合は、有機官能基の反応性からRは炭素数3が好ましく、有機官能基で置換されていない場合は、炭素数1であるメチル基が硬化塗膜を形成する際の架橋反応を疎外しないという観点で特に好ましい。
が3−グリシジルオキシプロピル基を表す場合、前記グリシジル基の含有率は、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂全量に対して12重量%以上であることが好ましい。前記グリシジル基の含有率は、より好ましくは20重量%以上であり、特に好ましくは25重量%以上である。上記範囲では、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の親水性を高めることができると共に、硬化反応も充分に進行し、硬度や耐水性、耐候性に優れた硬化膜を形成することができる。
グリシジル基の含有率とは、本発明においてはエポキシ基の含有率を指し、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対する、Rである3−グリシジルオキシプロピル基に含まれるエポキシ環の重量割合を意味し、以下の方法により決定される。まず、汎用自動滴定装置GT−200(三菱ケミカルアナリテック)を用いて、樹脂組成物全量に対するエポキシ当量を計測する。例えばエポキシ当量の測定結果が430だった場合、エポキシ基の分子量が43であることからエポキシ基を43/430×100=10重量%含有していることを示す。
がメチル基を表す場合、前記メチル基の含有率は、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂全量に対して2重量%以上12重量%以下であることが好ましい。前記メチル基の含有率は、より好ましくは4重量%以上10重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以上7重量%以下である。上記範囲では、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂中のケイ素含有率を高めることができると共に、Rによる立体障害が小さくなるため、硬化反応も充分に進行し、耐候性や耐水性、耐溶剤性に優れた硬化塗膜を形成することができる。
メチル基の含有率とは、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対する、Rであるメチル基の重量割合を意味し、以下の方法により決定される。まず、H−NMRを用いて、テトラエトキシシランを内部標準として、メチルトリメトキシシランから前記メチル基量の検量線を作成し、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂中における前記メチル基含有量を定量する。メチルトリメトキシシランの分子量が136.2であることから、メチルトリメトキシシランは前記メチル基を15/136.2=11.0重量%含有しており、この値とテトラエトキシシランを内部標準とした検量線からグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対する前記メチル基の含有率を算出できる。但し、メチル基の含有率は、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂が溶剤を含む場合、溶剤を含まない不揮発分に対する割合を意味する。
以上で説明したシロキサン単位(構成単位)から構成されるポリシロキサン構造において、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対してケイ素含有率は15重量%以上40重量%以下であることが好ましい。前記ケイ素含有率は、好ましくは16重量%以上30重量%以下であり、より好ましくは19重量%以上25重量%以下である。このようにケイ素含有率が高いグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を用いることによって、硬化膜を形成する際の反応点が増大するため硬化膜中の架橋密度が高まり、形成される硬化膜の硬度、耐水性を高めることができる。また、ケイ素含有率が高いということは硬化膜中に熱及び/又は光によって解裂、劣化しにくい部位が多いということを意味し、すなわち耐候性が高い硬化膜となりやすい。
ケイ素含有率とは、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対するケイ素原子の重量割合を意味し、以下の方法により決定される。まず、29Si−NMRを用いてグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂に含まれるD1、D2、T1、T2、及びT3構造のモル比を定量する。
グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂にT3構造が含まれる場合には、予め29Si−NMRを用いて、テトラエチルシランを内部標準として、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]−ヘプタイソブチルシルセスキオキサンを用いて作成しておいたT3構造由来のケイ素含有量の検量線に基づいて、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対するT3構造由来のケイ素含有率を算出する。この値と各構造のモル比から、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対するケイ素含有率(D1、D2、T1、T2及びT3構造由来のケイ素含有率の合計)を求めることができる。
29Si−NMRによりT3構造のピークが確認されず、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂にT3構造が含まれないと判断される場合は、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシプロパンジシロキサンを用いて作成したD1構造用の検量線、オクタメチルシクロテトラシロキサンを用いて作成したD2構造用の検量線、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルプロパンジシロキサンを用いて作成したT1構造用の検量線、及び、メチル(ビストリメチルシリルオキシ)モノメトキシシランを用いた作成したT2構造用の検量線に基づいて各構造のケイ素含有率を算出することができるので、それと各構造のモル比から、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対するケイ素含有率を求めることができる。但し、ケイ素含有率は、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂が溶剤を含む場合、溶剤を含まない固形分に対する割合を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対して、含水量が30重量%以上、且つアルコール含有量が10重量%以下に設定される。前記硬化性樹脂組成物は、含水量が多く、且つ溶剤が少ないことで、蒸気圧が低下し、それによって引火点が上昇又は消失することで、危険物指定から外れた水性塗料とすることが出来る。溶剤含有率は低いほど好ましく、具体的には8重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が特に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物を水性塗料として用いる場合は、基材への濡れ性という観点から少量の溶剤を含んでいる方が好ましく、10重量%以下の範囲で適切な量を含んでいてもよい。
本願において、組成物の含水量の測定方法は特に限定されず、公知の水分計を用いて測定することができる。溶剤の含有率の測定方法は特に限定されず、例えばガスクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
(オルガノアルコキシシラン)
前記硬化性樹脂組成物に含まれる前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂に用いられるオルガノアルコキシシランとしては、一般式(VI)で表されるオルガノトリアルコキシシラン及び一般式(VII)で表されるオルガノジアルコキシシランの少なくとも一方を使用することが好ましい。少なくとも一般式(VI)で表されるオルガノトリアルコキシシランを使用し、必要に応じて一般式(VII)で表されるオルガノジアルコキシシランを併用して使用することがより好ましい。
Figure 2019178277
式(VI)及び(VII)中、置換基R、及びRの定義および具体例は、構成単位(I)〜(V)について上述したものと同じである。
オルガノトリアルコキシシランの具体例としては、特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。これらのうち1種を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
オルガノジアルコキシシランの具体例としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらのうち1種を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
オルガノアルコキシシランにおいてケイ素原子に結合したアルコキシ基(式(VI)及び(VII)におけるOR)は、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、加水分解および脱水縮合反応が進行し易いという観点から、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、メトキシ基が最も好ましい。
前記オルガノアルコキシシランにおいてケイ素原子に結合した有機基(式(VI)及び(VII)におけるR)は、ビニル基、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基又はグリシジルオキシ基で置換された有機基が好ましい。前記硬化性樹脂組成物の水溶性を高める観点からは、グリシジルオキシ基で置換された有機基がより好ましい。立体障害が小さく、本発明の硬化性樹脂組成物が硬化性に優れ、また、水溶性を損なわないという観点からは、非置換のメチル基、エチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
入手し易さやコストの観点から、前記オルガノアルコキシシランは、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランが最も好ましい。
また、前記オルガノアルコキシシランにおいてケイ素原子に結合した有機基は、特に限定されないが、官能基を有するものであってもよい。官能基を有することにより、加水分解性シリル基の加水分解および脱水縮合反応に基づいた硬化形式に加えて、前記官能基による硬化形式を本発明の硬化性樹脂組成物に持たせることが可能となる。このような官能基による硬化形式を取り入れることで、加水分解性シリル基の加水分解および脱水縮合反応による塗膜の収縮を抑制できる場合がある。このような官能基としては特に限定されないが、例えば、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、アニリノ基、メルカプト基及びスチリル基が挙げられる。これら官能基の1種のみを有するものであってもよいし、複数種を有するものであってもよい。
このような官能基を有するオルガノアルコキシシランとしては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、8−グリシジルオキシオクチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメジルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記記載のうち、前記硬化性樹脂組成物に含まれる前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランのみ(単独縮合)、あるいは3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランと、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、又は3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシランの4種から選ばれる1以上のシラン化合物との共縮合によって合成されることがより好ましい。
(硬化性樹脂組成物の製造)
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法は特に限定されないが、以下に一例を説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物はグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を含み、前記硬化性樹脂組成物を製造する際には、グリシジル基を有するシランカップリング剤を含むオルガノアルコキシシランを、水を含む反応液中で、加水分解および脱水縮合反応させることにより、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を形成する工程を含む。前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は前記構成単位(I)〜(V)の少なくとも1以上を含む。また、前記硬化性樹脂組成物は、減圧蒸留などを用いて前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対して、含水量が30重量%以上、アルコール含有量が10重量%以下となるように調整して使用する。また、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は固形分全量に対してグリシジル基を12重量%以上含有することが好ましい。
(製造条件)
本発明の製造方法は、オルガノアルコキシシランを、水を含む反応液中で、加水分解および脱水縮合反応させる工程を含み、構成単位(I)〜(V)中におけるa〜eが(d+e)/(a+b+c+d+e)≧0.7を満たす状況下で、発生したアルコールの除去工程と水での希釈工程を実施し、組成物全量に対して水を30重量%以上、アルコールを10重量%以下にする工程を含む。アルコールの除去工程と水での希釈工程は、どちらを先に行っても良い。アルコールの除去工程を先に実施した場合は、常に濃度が高く製造できるため必要な反応容器が小さくて済む。水での希釈工程を先に実施した場合は、樹脂濃度が高まりゲル化する可能性を低減出来る。
一般的にシラン化合物の加水分解および脱水縮合反応は反応途中で止めることは難しい。例えば、溶剤を用いた希釈である場合は、緩慢でも脱水縮合反応は進行し、いずれ(d+e)/(a+b+c+d+e)<0.7へと至る。一方で水を用いた希釈である場合は、例えば、加水分解及び脱水縮合反応の平衡が水の存在により加水分解側に平衡移動するため、脱水縮合反応の進行は抑制される。
また、例えばオルガノアルコキシシラン中でメチルトリメトキシシランの含有量が多い等、オルガノアルコキシシランの組成によっては、縮合反応が進行、すなわち硬化反応が進行し、水溶性を示さない場合がある。この観点から、得られるポリシロキサンの水溶性を高める為に、オルガノアルコキシシランの構成成分全量に対する3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの含有量は40重量%以上が好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、85重量%が特に好ましい。前記3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの含有量が20重量%未満では水での希釈ができず、20重量%以上40重量%未満では水での希釈はできるものの、貯蔵安定性が不十分であり、経時で沈殿を生じたりゲル化したりする懸念がある。
本発明の加水分解及び脱水縮合工程における水の使用量は、オルガノアルコキシシランに含まれるケイ素原子に結合したアルコキシ基の合計モル数100%に対して、40モル%以上200モル%以下であることが好ましく、50モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、60モル%以上80モル%以下であることが特に好ましい。水の使用量が少なすぎるとオルガノアルコキシシランの反応が充分に進行せず、透明性の良好な塗膜が得られない場合や、未反応のオルガノアルコキシシランがアルコールを除去する際に一緒に揮発する場合がある。逆に、水の使用量が多すぎると、一般式(d+e)/(a+b+c+d+e)<0.7を満たす状況下で、発生したアルコールの除去工程と水での希釈工程を実施できなくなる懸念がある。
本発明の加水分解および脱水縮合工程では、触媒を必ずしも使用する必要はないが、(d+e)/(a+b+c+d+e)<0.7を満たしやすくすることを目的として酸性触媒を添加することが好ましい。酸性触媒はシラン化合物の加水分解および脱水縮合反応において特に加水分解を促進させる効果がある。一方で、塩基性触媒や金属触媒は脱水縮合反応を促進させる効果が大きく、D2構造やT3構造へと至りやすく(d+e)/(a+b+c+d+e)<0.7の条件下で、発生したアルコールの除去工程と水での希釈工程を実施することが困難である。
酸性触媒としては、オルガノアルコキシシランや有機溶剤との相溶性から、有機酸が好ましく、リン酸エステルやカルボン酸がより好ましい。有機酸の具体例としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ギ酸、酢酸、酪酸、イソ酪酸等が挙げられる。触媒の添加量は適宜調節できるが、例えば、オルガノアルコキシシランに対して50ppm以上3重量%以下程度であってよい。触媒は、多く添加すると反応時間を短縮することができるものの、塗膜中に残存した触媒はその耐水性を低下させることがある。また、反応終了後に本発明の樹脂組成物が触媒の作用によりゲル化する場合もある。そのため、触媒による反応時間短縮の効果が達成される範囲内で、触媒の使用量は少ないほど好適である。
本発明の加水分解および脱水縮合工程を実施する際の反応液の温度は当業者が適宜設定することができるが、例えば反応液を50℃以上150℃以下の範囲に加熱することが好ましい。反応時間に関しても当業者が適宜設定することができるが、例えば10分間以上48時間以下程度であってよい。
本発明のアルコールの除去工程は、加水分解および脱水縮合工程後の反応液を減圧蒸留に付してアルコールを留去することで実施することができる。減圧蒸留の条件は当業者が適宜設定することが可能である。
(他の成分)
本発明の硬化性樹脂組成物は、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂以外の成分として他の樹脂、金属酸化物粒子、溶剤などを配合してもよい。
硬化性、硬度、や耐候性を損なわずに配合できるものとしては、シリカ粒子が好ましい。前記シリカ粒子は粒子表面にシラノール基を有していることが好ましい。前記シラノール基は、本発明におけるグリシジルオキシプロピル変性ポシロキサン樹脂が有するシラノール基やアルコキシシリル基等、構成単位(I)におけるOR基と反応することが出来る。硬化塗膜内に共有結合を介して取り込まれるため、硬度や耐候性を損なわず、配合量によってはシリカ粒子が有する硬度によって硬化塗膜の硬度を向上させる。配合量としては樹脂組成物中における溶剤や水などの揮発成分を除いた樹脂分に対して1重量%以上30重量%以下が好ましく、5重量%以上25重量%以下がより好ましく、10重量%以上20重量%以下が特に好ましい。30重量%より多い場合は硬化反応に使われなかったシラノール基が硬化塗膜内に多く残存し、耐水性を低下させる場合がある。更に60重量%より多い場合は成膜成分にたいする割合が高すぎて十分な成膜性が得られず外観不良を起こす場合がある。一方で1重量%未満では塗膜性能に悪影響を与えないものの、シリカ粒子から得られる硬度や耐候性などに対する好影響も得られない場合がある。
また、本発明でグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を合成する際に縮合触媒を使用した場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、通常、前記縮合触媒も含有する。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂に加えて、その製法に起因しない樹脂成分を含有してもよい。そのような樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、塩ビ、及びエポキシ樹脂それぞれの水溶性、水分散型、及びエマルション型樹脂が好ましい。更にポリシロキサンが用いられる場合に耐候性が求められることが多いため、上記樹脂郡の中でも(メタ)アクリル樹脂が好ましく、さらに加水分解性シリル基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が更に好ましい。また、樹脂成分ではないが、オルガノアルコキシシランそのものが含まれる場合もある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、以上で説明したもの以外の公知の樹脂を適宜含有するものであってもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記硬化性樹脂組成物に対して10重量%以下に限り水以外の溶剤を含有してもよい。そのような溶剤としては、特に制限は無く、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を溶解または分散させるのに適した溶剤が好ましく、また、塗装時における人的影響を考えると、水よりも揮発性の低い溶剤であることが更に好ましい。このような溶剤としてはジエンチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
(塗液)
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗料用の硬化性樹脂組成物、すなわち塗液とすることができる。塗液とするにあたっては、顔料、可塑剤、分散剤、沈降防止剤、防カビ剤、防腐剤、皮張り防止剤、乾燥剤、たれ防止剤、つや消し剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤など、公知の塗料用添加物を適宜配合することができる。本発明の硬化性樹脂組成物は、硬度、耐候性に優れ、透明性が高いものであることから、顔料を含まない、クリア塗膜用塗液として用いることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物または塗液は、硬化剤の存在下で塗膜の硬化反応が促進され、塗膜形成時の作業時間を短縮することができるので、硬化剤を含有するか、または、硬化剤を別のパッケージで含む2液の形態の組成物または塗液であることが好ましい。
前記硬化剤としては、アルコキシシリル基の加水分解反応および脱水縮合反応を利用した硬化性組成物に対して用いる硬化剤として公知の硬化剤を適宜使用することができる。具体的には、硬化剤として、上述した縮合触媒を使用することができ、また、有機錫化合物、チタンキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、有機アミン化合物、リン酸エステル化合物などを使用することができる。
上記有機錫化合物の具体例としては、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジオクチル錫オキサイドまたはジブチル錫オキサイドとシリケートとの縮合物、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(エチルマレート)、ジブチル錫ビス(ブチルマレート)、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジブチル錫ビス(オレイルマレート)、スタナスオクトエート、ステアリン酸錫、ジ−n−ブチル錫ラウレートオキサイドが挙げられる。また、分子内にS原子を有する有機錫化合物の具体例としては、ジブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、オクチルブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート、ジオクチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート、オクチルブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート等が挙げられる。
チタンキレート化合物の具体例としては、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の具体例としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリメチルアミン、テトラメチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N’−ジエチル−2−メチルピペラジン、ラウリルアミン、ジメチルラウリルアミン等が挙げられる。
リン酸エステル化合物としては、酸性リン酸エステル化合物が好ましく、具体例としては、エチルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、ジブチルフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェート、2−エチルヘキシルアシッドフォスフェート、エチレングリコールアシッドフォスフェート、ジブチルフォスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)フォスフェート等が挙げられる。
本発明は3−グリシジルオキシプロピル基を含有するため、上記硬化物のうち、エポキシ基を硬化せしめるものが更に好ましい。この観点からチタンキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、有機アミン化合物が特に好ましい。
硬化剤の使用量は、硬化温度と硬化時間とに応じて適宜調整することができるが、例えば、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂100重量部に対して1重量部以上10重量部以下程度が好ましく、2重量部以上5重量部以下程度がより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、基材に塗布し、硬化させることで塗膜を形成することができる。塗布や硬化の条件は特に限定されないが、硬化させる際には、熱源を用いて溶剤の蒸発を促進させることが好ましい。
形成される塗膜の厚みは特に限定されないが、本発明では乾燥後の厚みとして5μm以上100μm以下が好ましい。厚みが5μmより薄くなると、塗膜の耐水性や耐湿性が不十分になる場合がある。厚みが100μmを超えると、塗膜の形成時における硬化収縮によってクラックを生じる場合がある。より好ましくは10μm以上60μm以下、さらに好ましくは20μm以上40μm以下である。
また、本発明によって形成される塗膜は、透明性が極めて高いものであり、ヘイズ値が0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布できる基材としては特に限定されず、例えば、ガラス、ポリカーボネート(PC)、アクリル、アクリルシリコン、アクリルウレタン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ABS/PC、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の各種基材を使用できる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた物質は、以下のとおりである。
オルガノアルコキシシラン
メチルトリメトキシシラン(A−1630:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、分子量136.2)
メチルトリエトキシシラン(XIAMETER OFS−6370:東レ・ダウコーニング株式会社、分子量178.3)
ビニルトリメトキシシラン(A−171:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、分子量148.2)
フェニルトリメキシシラン(Z−6124:東レ・ダウコーニング株式会社、分子量198.3)
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(A−187:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、分子量236.3)。
縮合触媒
ジブチルホスフェート(城北化学工業株式会社製、分子量210.2)。
トリエチルアミン(ナカライテスク株式会社、分子量101.2)
ジブチル錫ラウレート(日東化成株式会社 分子量631.6)
硬化触媒
ポリエチレンイミン(和光純薬工業株式会社、平均分子量約1800)
ジブチルホスフェート(城北化学工業株式会社製、分子量210.2)。
以下に硬化性樹脂組成物の合成について、実施例、比較例及び参考例を示す。なお、混合比率等については表1及び表2に示した。
(実施例1:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、DBP0.015重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を13.7重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(実施例2:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 16.0重量部、DBP0.016重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(実施例3:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 36.1重量部、DBP0.018重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(実施例4:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 61.9重量部、DBP0.021重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(実施例5:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 144.3重量部、DBP0.029重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(実施例6:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、XIAMETER OFS−6370 13.1重量部、DBP0.016重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(実施例7:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−171 14.5重量部、DBP0.016重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(実施例8:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、Z−6124 11.9重量部、DBP0.016重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(比較例1:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 16.0重量部、DBP0.016重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、36時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した。
(比較例2:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 16.0重量部、トリエチルアミン0.0081重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した。
(比較例3:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 16.0重量部、ジブチル錫ラウレート0.0081重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した。
(比較例4:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 336.8重量部、DBP0.049重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(比較例5:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−187 100.0重量部、A−1630 1299.1重量部、DBP0.147重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(比較例6:ポリシロキサン樹脂の合成)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた300mL容積の4口フラスコにA−1630 100.0重量部、DBP0.010重量部を仕込み、室温下で10分間撹拌し、次いで純水を17.5重量部加え、90℃に昇温したオイルバスで昇温しつつ撹拌し続け、4時間反応し縮合物を得た。得られた縮合物はエバポレータを用いて減圧蒸留し、反応によって生じたメタノールを除去して濃縮した後、水を添加し希釈して45%濃度のポリシロキサン樹脂含有水溶液を得た。
(反応時間)
各実施例及び比較例において、室温下でオルガノアルコキシシラン、縮合触媒、及び、水を混合した後、前記混合物を、80℃に昇温したオイルバスで加熱した時間を、反応時間とした。
Figure 2019178277
(参考例1:(メタ)アクリル樹脂の合成)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた300mL容積の4口フラスコに、表2に記載の処方に従い、iPA35.8重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ90℃に昇温した後、A−174 2.0重量部、BA40.0重量部、MMA48.3重量部、AA10.0重量部、及び、V59 7.22重量部の混合物を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。次に、V59 0.36重量部、及び、iPA10.0重量部の混合溶液を1時間かけて等速滴下した。その後、引き続き、90℃で3時間攪拌して、トリメトキシシリル基、及びカルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂を合成した。得られた樹脂の重量平均分子量は7300だった。
Figure 2019178277
以下に、各種評価手法を示す。また、各評価の結果についても表1又は表3に示す。
(各種成分含有率の算出)
実施例1〜8及び比較例1〜6において、蒸留によって除去したメタノールは計算値で90%であった。また、得られたポリシロキサン樹脂におけるT1、T2構造の比率((d+e)/(a+b+c+d+e))、グリシジル基、ケイ素の含有率は表1中に記載した。各算出法については、以下に示す。
(シロキサン単位存在比の算出)
硬化性樹脂組成物中の、シロキサン単位の存在比については、29Si−NMRを用いて、D1、D2、T1、T2、T3構造由来のピーク面積比より算出した。D1、D2、T1、T2、T3構造由来のピークはそれぞれ異なる位置(化学シフト)にピークを示し、具体的には、例えば、前記構成単位(I)〜(V)の少なくとも1以上を有する場合、D1、D2、T1、T2、T3構造由来のピークはそれぞれ−10ppm〜−18ppm、−20ppm〜−25ppm、−45ppm〜−52ppm、−54ppm〜−62ppm、―64〜−70ppm近傍で確認できる。前記の手法により、合成した硬化性樹脂組成物中のシロキサン単位の存在比を確認した。
(グリシジル基含有率の算出)
汎用自動滴定装置GT−200(三菱ケミカルアナリテック)を用いて、樹脂組成物全量に対するエポキシ当量を計測した。例えばエポキシ当量の測定結果が430だった場合、エポキシ基の分子量が43であることからエポキシ基を43/430×100=10重量%含有していることを示す。
(シロキサン単位中のケイ素含有率の算出)
まず、29Si−NMRを用いてテトラエチルシランを内部標準としてグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂に含まれるD1、D2、T1、T2、及びT3構造のモル比を定量する。次いでグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂に含まれるT3構造由来のケイ素含有量を上記T3構造のモル比と、検量線から算出する。検量線は、予め29Si−NMRを用いて、テトラエチルシランを内部標準として、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]−ヘプタイソブチルシルセスキオキサンを用いて作成しておいた。求めたT3構造由来のケイ素含有量と、最初に求めたD1、D2、T1、T2、及びT3構造のモル比から樹脂組成物に含まれるケイ素総量を算出した。例えば、29Si−NMRを用いて求めたT1、T2、及びT3構造のモル比が1:2:3であり、T3構造由来のケイ素含有量が検量線より3重量%と算出された場合、この樹脂組成物に含まれるケイ素送量は6重量%と算出することができる。
(ケイ素に直結したメチル基含有率の算出)
H−NMRを用いて、テトラエトキシシランを内部標準として、メチルトリメトキシシランから前記メチル基量の検量線を作成し、グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂中における前記メチル基含有量を定量する。メチルトリメトキシシランの分子量が136.2であることから、メチルトリメトキシシランは前記メチル基を15/136.2=11.0重量%含有しており、この値とテトラエトキシシランを内部標準とした検量線からグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対する前記メチル基の含有率を算出した。
(水溶性)
1気圧下において、25℃の純水に対して、前記硬化性樹脂組成物が40重量%分溶解した場合は、前記硬化性樹脂組成物を水溶性とし、それ以外の場合を非水溶性として、表中に記載した。
(貯蔵安定性1(ゲル化))
不揮発分45%に調整したグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂含有水溶液をガラス瓶内に密閉した状態で、25℃に昇温した熱風乾燥機内に静置し、前記ガラス瓶を45度傾けた際に内溶液に流動性が確認できなくなった時点をゲル化点として、その時間を表中に記載した。
(貯蔵安定性2(沈殿))
不揮発分45%に調整したグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂含有水溶液をガラス瓶内に密閉した状態で、25℃に昇温した熱風乾燥機内に静置し、容器の底部に白色の沈殿が1mm以上堆積した時点を沈殿点として、その時間を表中に記載した。
(塗工液の作製)
得られた前記硬化性樹脂組成物について、硬化触媒、及び、希釈用水を加え均一になるまで撹拌し塗工液を得た。各成分の配合比は、実施例、比較例及び参考例([表1]及び[表2])に記載のとおりである。各表に記載した配合量は有効成分の重量基準であり、実際には、各実施例、比較例及び参考例で得た樹脂分45%の樹脂水溶液を配合している。よって、前記塗工液の配合量は、各表に記載した樹脂の配合量は45%で除した値となる。
(評価膜の作製)
上記塗工液を70×150×2mmのガラス板上に6milアプリケータを用いて、乾燥膜厚が約60μmとなるように塗布して塗膜を形成した。前記塗膜を23℃、50%RHの条件下で1週間養生した後に、塗膜の透明性、硬度、耐候性、及び耐水性の評価を、上述した基準に基づいて行った。
(塗膜の透明性)
前記評価膜作製条件で形成した塗膜の透明性をヘイズ値で判定した。ヘイズ値の測定には、色彩及び濁度同時測定器 COH400(日本電色工業株式会社製)を用いて、前記測定値から、基材であるガラス板のヘイズ値を引いて得た値を各表に記載した。
(硬度)
前記評価膜作製条件で形成した塗膜の硬さをペルゾー振子硬度計 model299/300(Erichsen社製)で測定した。
(耐候性)
ダイプラ・ウィンテス株式会社製メタルウェザーを用いて促進耐候性試験を実施した。試験条件は、試験板を63℃、50%RHで6時間照射した後、30℃98%RHで2時間暗黒結露させることを1サイクルとし、連続25サイクル実施することとした。また評価は、形成直後の塗膜表面の光沢値と25サイクル終了後の塗膜表面の光沢値の差から算出される光沢保持率によって行った。尚、光沢値の測定にはGM268(ミノルタ(株)製)を用いて測定した。また、前記試験板はガラス板上に乾燥膜厚が10マイクロミリメートルから15マイクロミリメートルとなる量の前記塗工液をスプレーにより塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生することで作製した。塗膜とガラス基板界面(試験板側面)に水が浸入して剥離やクラックを生じることを防ぐため、試験板側面はアルミテープでシールした。
(耐水性)
前記評価膜作製条件で形成した塗膜を、80℃に昇温した温水中に浸漬して2時間保持した後、塗膜の変化を目視で確認して、次の基準によって評価した。尚、塗膜とガラス基板界面(試験板側面)に水が浸入して剥離やクラックを生じることを防ぐため、試験板側面はアルミテープでシールした。
A:目視で観察した際、塗膜に白濁やクラックは生じていなかった。B:目視で観察した際、塗膜に白濁やクラックは生じていなかったが、明らかな艶引け(光沢を一部、 またはすべて失ってしまう現象)がみられた。C:目視で観察した際、塗膜が白濁していた、及び/又は、塗膜にクラックが生じていた。
Figure 2019178277
(結果と考察)
実施例1〜8のグリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、いずれも水溶性であり、かつ貯蔵安定性も良好であった。一方、比較例1〜3は水溶性が不十分で水希釈できなかった。比較例4〜6は水溶性であったものの、貯蔵安定性が悪かった。以上のことから、樹脂合成の際に酸触媒を用いて比較的短時間で合成した際は、シラノールの残存比率が高くなり水溶性が見られると考えられる。一方、塩基触媒や錫触媒を用いた場合はシラノールの縮合が進行し、残存するシラノールが減ったため水溶化しなくなったと考えられる。また、酸触媒を用いた場合であっても反応時間が長くなると、シラノールの縮合が進行し、残存するシラノールが減ることで、水溶化しなくなったと考えられる。
実施例1〜8について膜物性を確認した結果を実施例9〜16に示す。また、参考例2にアクリルシリコンとポリシロキサン樹脂を併用した一般的な膜物性を示す。実施例9〜16について、すべて参考例2の膜物性と同等以上の性能を示した。硬度、耐候性、耐水性について、実施例10及び11は良好であり、実施例12及び13は更に良好であった。このことから、ケイ素含有量が多いほど、硬度、耐候性、耐水性は良好となり、アルコキシシランについては反応性の高いメトキシシランが反応性の低いエトキシシランよりも良好と考えられる。また、構成単位(I)〜(V)中のRはメチル基が最も硬度、耐候性、耐水性が良好であった。これは、立体障害が少ないため、アルコキシシランの架橋反応を阻害しないためだと考えられる。

Claims (6)

  1. グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を含む硬化性樹脂組成物であって、
    前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、下記構成単位(I)〜(V)の少なくとも1以上を含み、
    前記構成単位(I)〜(V)の構成比は(d+e)/(a+b+c+d+e)≧0.7を満たし、
    前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対するグリシジル基の含有率が12重量%以上であり、
    前記硬化性樹脂組成物中において、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対して水が30重量%以上、かつ、アルコールが10重量%以下含まれる、
    硬化性樹脂組成物。
    Figure 2019178277
    式中、a〜eは0以上の整数を示し、d+eは1以上である。
    は、水素原子 、メチル基、エチル基、又はプロピル基を示す。
    は、置換又は非置換の、ビニル基、フェニル基又は炭素数1〜8の環状又は非環状アルキル基を示し、少なくとも1以上はグリシジル基を有する。Rは同一又は異なっていても良い。
  2. 前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂の固形分全量に対するケイ素の含有率が15重量%以上である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン単独縮合、あるいは3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランと、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、又は3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシランの4種から選ばれる1以上のシラン化合物との共縮合によって合成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、前記構成単位(I)〜(V)においてメチル基であるRを含有し、前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂全量に含まれる前記メチル基の含有率が2重量%以上12重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を含むクリア塗膜用塗液。
  6. グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を含む硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は前記構成単位(I)〜(V)の少なくとも1以上を含み、
    前記構成単位(I)〜(V)の構成比は(d+e)/(a+b+c+d+e)≧0.7を満たし、
    前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は、酸性触媒を用いてシラン化合物を加水分解及び脱水縮合反応させることで前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂を得る工程を含み、
    前記硬化性樹脂組成物は、前記硬化性樹脂組成物の全量100重量%に対して、水の含有率を30重量%以上とする工程
    及び、
    前記硬化性樹脂組成物の全量100重量%に対して、アルコールの含有率を10重量%以下とする工程
    を含み、
    前記グリシジル基含有変性ポリシロキサン樹脂は固形分全量に対してグリシジル基を12重量%以上含有する
    ことを特徴とする製造方法。
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