JPH0970587A - 廃水中の重金属除去用処理剤およびそれを用いた廃水処理方法 - Google Patents

廃水中の重金属除去用処理剤およびそれを用いた廃水処理方法

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JPH0970587A
JPH0970587A JP22783095A JP22783095A JPH0970587A JP H0970587 A JPH0970587 A JP H0970587A JP 22783095 A JP22783095 A JP 22783095A JP 22783095 A JP22783095 A JP 22783095A JP H0970587 A JPH0970587 A JP H0970587A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】効率良く廃水中の重金属を取り込み廃水から分
離除去することのできる廃水中の重金属除去用処理剤
と、それを用いて、特別な設備を要することなく、低コ
ストで処理可能な廃水処理方法を提供する。 【解決手段】ノボラック樹脂とアルカリ性物質を含有す
る廃水中の重金属除去用処理剤を、重金属含有廃水に添
加して均一に混合し、ノボラック樹脂と重金属の金属錯
体を形成し、上記混合液に酸性物質を添加して上記金属
錯体を不溶化させ重金属を含有した沈殿物質を生成さ
せ、上記混合液から沈殿物質を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属表面処理工
程、電子部品等の製造工程等において生ずる、重金属を
含有した廃水から重金属を効果的に分離・除去処理する
ことのできる廃水中の重金属除去用処理剤およびそれを
用いた廃水処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、種々の重金属物質が、電気・
電子部品の製造、有機合成、染色加工、皮革加工、メッ
キ等の各種分野で汎用されており、上記分野において重
金属を使用した施設からの廃水中には、重金属イオンが
含有されている。このような重金属イオンを含有する廃
水は、河川を汚染し、しかも人体をはじめ生物に多大な
悪影響を与えることから、様々な廃水処理が施されてい
る。例えば、このような廃水処理方法の一例として、キ
レート処理があげられる。このキレート処理は、上記重
金属含有廃水に、配位子となる官能基を有するキレート
剤を投入して金属錯体を生成させ、必要に応じpHコン
トロールを行うことによって重金属を除去する処理方法
である。また、上記キレート処理以外に、イオン交換樹
脂を用いた重金属含有廃水処理があげられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の重金属含有廃水処理方法は、処理コストが高く、特
殊な設備を要するために設備投資費がかさみ、また処理
手順、すなわち処理操作が難しい等の問題を有してい
る。このように、従来の重金属含有廃水処理方法は上記
問題を有していることから、処理が容易で、かつ特殊な
設備等を必要としない廃水処理方法が望まれている。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、効率良く廃水中の重金属を取り込み廃水から分
離除去することのできる廃水中の重金属除去用処理剤、
およびそれを用いて、特別な設備を要することなく、低
コストで処理可能な廃水処理方法の提供をその目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、廃水中の重金属と金属錯体をつくるノボ
ラック樹脂と、上記ノボラック樹脂を廃水に溶解させる
ためのアルカリ性物質を含有する廃水中の重金属除去用
処理剤を第1の要旨とし、上記重金属除去用処理剤を、
重金属含有廃水に添加して均一に混合し、ノボラック樹
脂と重金属の金属錯体を形成する工程と、上記混合液に
酸性物質を添加し、上記金属錯体を不溶化させて重金属
を含有した沈殿物質を生成させる工程と、上記混合液か
ら沈殿物質を分離する工程とを備えた廃水処理方法を第
2の要旨とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、廃水中の重金属と金属
錯体をつくるノボラック樹脂と、このノボラック樹脂を
廃水に溶解させるためのアルカリ性物質を含有する重金
属除去用処理剤を用い、この重金属除去用処理剤を重金
属含有廃水に添加して均一に混合し、ノボラック樹脂と
重金属の金属錯体を形成する。そして、この混合液に酸
性物質を添加し、上記金属錯体を不溶化させて重金属を
含有した沈殿物質を生成させることにより、廃水を上澄
み液と沈殿物質とに分離し、上記沈殿物質を分離除去す
る廃水処理方法である。すなわち、上記重金属除去用処
理剤を用いるため、廃水中の重金属が高効率でノボラッ
ク樹脂に取り込まれ沈殿物質を生成することから、残る
上澄み液中の重金属濃度は非常に低いものとなる。この
ように、本発明の処理は、特殊な設備を必要とせず、上
記重金属除去用処理剤を添加することにより重金属の金
属錯体を形成させ、続いて、酸性物質を添加して、系全
体を酸性領域に調整することにより不溶化させて沈殿物
質を形成させるものである。したがって、操作手順が簡
単であり、安価で処理することができる。そして、本発
明の廃水処理方法を経由した重金属含有廃水は、重金属
含有濃度の非常に低い上澄み液と沈殿物質とに分離され
るため、上記沈殿物質を分離除去し、残る上澄み液の処
理も容易となる。
【0007】特に、上記ノボラック樹脂としては、前記
一般式(1)で表されるものが好適に用いられる。
【0008】つぎに、本発明を詳しく説明する。
【0009】本発明の廃水処理方法において、その処理
対象となる重金属含有廃水とは、一般に重金属と呼称さ
れる比重の大きい金属、例えば、カドミウム、水銀、ニ
ッケル、鉄、マンガン、クロム、銅、鉛、砒素等の重金
属イオンを含有した廃水をいう。
【0010】本発明の廃水処理に用いられる重金属除去
用処理剤としては、ノボラック樹脂と、アルカリ性物質
とを用いて得られる。より具体的には、上記ノボラック
樹脂を溶解し含有したアルカリ性水性液が用いられる。
なお、上記アルカリ性水性液とは、ノボラック樹脂が完
全に溶解した水溶液状態はもちろん、乳化液状態をも含
む趣旨である。
【0011】上記ノボラック樹脂は、廃水中の重金属と
金属錯体をつくる作用を有し、特に限定するものではな
く従来公知のものが用いられる。また、その形態として
は、粒状、粉末状、フレーク状のものはもちろん、粉末
状のものを打錠成形等によりペレット状に成形したもの
をも含む趣旨である。そして、上記ノボラック樹脂とし
ては、下記の一般式(1)で表されるものを用いること
が好ましい。特に、式(1)において、繰り返し数nは
5〜7の正数が好適である。上記繰り返し数nが5〜7
の正数のものを用いることにより、廃水中の重金属イオ
ンとそれ以外の分離が一層効果的となる。
【0012】
【化2】
【0013】上記ノボラック樹脂とともに用いられるア
ルカリ性物質は、ノボラック樹脂を廃水に溶解させる目
的で用いられるものであって、例えば、アルカリ性水性
液があげられる。このアルカリ性水性液はノボラック樹
脂としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属
水酸化物、アンモニア、アミン等の水性液があげられ
る。なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水
性液を用いることが好ましい。このアルカリ性水性液の
濃度は、例えば、上記ノボラック樹脂を溶解させるのに
必要な量に設定されるが、廃水に添加した際に廃水のp
Hが8以上、特に好ましくは9以上となるように配合す
ることが好適である。
【0014】本発明の重金属を含有した廃水処理方法
は、例えばつぎのようにして行われる。すなわち、ま
ず、アルカリ性水性液にノボラック樹脂を溶解させてノ
ボラック樹脂含有アルカリ性水性液(重金属除去用処理
剤)を調製する。そして、このノボラック樹脂含有アル
カリ性水性液を、重金属含有廃水に添加して均一に混合
し、ノボラック樹脂と重金属の金属錯体を形成する。つ
いで、この混合液に酸性物質を添加し、上記金属錯体を
不溶化させて重金属を含有した凝集物を生成させること
により、重金属含有廃水処理が行われる。
【0015】上記生成した重金属含有沈殿物質を系全体
から分離する方法としては、沈降分離、加圧浮上、遠心
分離、フィルタープレス法等があげられる。
【0016】上記ノボラック樹脂を含有するアルカリ性
水性液の添加量は、廃水中に含まれる重金属イオンの種
類、濃度等によって適宜に設定されるが、例えば、廃水
中のクロムを基準にした場合、クロム100重量部(以
下「部」と略す)に対してアルカリ性水性液中に含まれ
るノボラック樹脂を1000〜50000部となるよう
に設定することが好ましい。すなわち、ノボラック樹脂
の添加量が少ないと重金属を充分に除去することが難し
く、逆に添加量が多いと、コストアップになるととも
に、スラッジの発生量が多くなる傾向がみられるからで
ある。
【0017】上記処理工程において、ノボラック樹脂含
有アルカリ性水性液を添加した後に廃水に添加する酸性
物質としては、塩酸、硫酸、蓚酸等があげられる。上記
酸性物質の添加量としては、廃水中に溶解したノボラッ
ク樹脂と重金属の金属錯体を不溶化させることができる
量であればよく、例えば、系全体のpHを8以下に、好
ましくはpH3〜7.5の酸性領域に降下させることが
可能な量に設定される。
【0018】本発明の廃水処理方法において、上記ノボ
ラック樹脂含有アルカリ性水性液(重金属除去用処理
剤)および酸性物質以外に、必要に応じて、無機系凝集
剤や高分子凝集剤を上記ノボラック樹脂含有アルカリ性
水溶液の添加と同時に適宜に添加してもよい。上記高分
子凝集剤としては、ポリアクリルアマイド系凝集剤、ポ
リカルボン酸系凝集剤等があげられる。
【0019】このように、本発明の廃水処理方法では、
ノボラック樹脂含有アルカリ性水性液(重金属除去用処
理剤)を廃水に添加し混合して、まず、廃水中の重金属
イオンをノボラック樹脂が取り込み、金属錯体を形成
し、ついで、酸性物質を添加することにより、これを不
溶化させ沈殿させる。これにより、廃水を、上澄み液と
重金属含有沈殿物質とに分離することが可能となり、上
記沈殿物質を除去することにより、重金属含有廃水を処
理することができる。このように処理して廃水から生成
した上記上澄み液は、透明でかつ乾燥固形分を殆ど含有
していない。
【0020】つぎに、本発明を実施例に基づいて詳しく
説明する。
【0021】〔擬似廃水の作製〕クロムの含有量が
4.6ppm、六価クロムの含有量が3.9ppmと、
カゼイン130ppm、アクリル系水溶性樹脂1000
0ppm、NaOH1500ppmの擬似廃水を作製
した。
【0022】
【実施例1】まず、前記一般式(1)で表されるノボラ
ック樹脂(繰り返し数n=6)の粉末状物40部と、水
酸化ナトリウム水溶液5部と、水55部とを混合して重
金属除去用処理剤を調製した。
【0023】つぎに、上記擬似廃水1リットルに、上
記重金属除去用処理剤および下記の表1に示す添加剤を
同表に示す割合で添加し攪拌して均一に混合した。この
時点での擬似廃水のpHは13.4であった。つい
で、攪拌しながら表1に示す割合で30%塩酸を3cc
添加してpHを6.5に設定した。そして、さらに攪拌
を続けた後、放置して擬似廃水である系を沈殿物質と
上澄み液とに分離した。
【0024】
【表1】
【0025】〔擬似廃水の作製〕銅の含有量が24p
pmと、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン10000pp
mの擬似廃水を作製した。
【0026】
【実施例2】まず、前記一般式(1)で表されるノボラ
ック樹脂(繰り返し数n=5)の粉末状物40部と、水
酸化ナトリウム水溶液5部と、水55部とを混合して重
金属除去用処理剤を調製した。
【0027】つぎに、上記擬似廃水1リットルに、上
記重金属除去用処理剤および下記の表2に示す添加剤を
同表に示す割合で添加し攪拌して均一に混合した。この
時点での擬似廃水のpHは7.3であった。ついで、
攪拌しながら表2に示す割合で30%塩酸を0.3cc
添加してpHを5.5に設定した。そして、さらに攪拌
を続けた後、放置して擬似廃水である系を沈殿物質と
上澄み液とに分離した。
【0028】
【表2】
【0029】上記各処理により擬似廃水,から生じ
た各沈殿物質と上澄み液から、各上澄み液を採取して、
上記各上澄み液中の重金属(クロム、六価クロム、銅)
の含有割合を、水質測定システム(共立理化学研究所社
製、UV1200)により測定した。その結果を下記の
表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】上記表3の結果から、各実施例において処
理された上澄み液中の各重金属含有割合は非常に低いも
のであって、初期の擬似廃水中の重金属が効率良くノボ
ラック樹脂に取り込まれ沈殿物質として生成したことが
わかる。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明の重金属を含有し
た廃水処理方法は、ノボラック樹脂とアルカリ性物質を
含有する重金属除去用処理剤を、重金属含有廃水に添加
して均一に混合し、重金属とノボラック樹脂との金属錯
体を形成させた後、上記混合液に酸性物質を添加して上
記金属錯体を不溶化して重金属を含有した沈殿物質を生
成させる。そして、上記重金属含有廃水を上澄み液と沈
殿物質とに分離し、上記沈殿物質を分離除去する処理方
法である。このように、上記重金属除去用処理剤を用い
るため、廃水中の重金属が高効率でノボラック樹脂に取
り込まれて沈殿物質を生成することから、残る上澄み液
中の重金属濃度は非常に低いものとなり、分離した上澄
み液は系外へ放出可能となる。すなわち、本発明の廃水
処理方法は、特殊な設備を必要とせず、上記重金属廃水
処理剤を添加することにより重金属の金属錯体を形成さ
せ、続いて、酸性物質を添加して、系全体を酸性領域に
調整することにより不溶化させて沈殿物質を形成させる
ものである。したがって、操作手順が簡単であり、安価
で処理することができる。そして、本発明の廃水処理方
法を経由した重金属含有廃水は、重金属濃度の低い上澄
み液と沈殿物質とに分離されるため、上記沈殿物質を分
離除去し、残る上澄み液の処理も容易となる。
【0033】このような重金属廃水処理方法に用いられ
る廃水処理剤中の上記ノボラック樹脂としては、前記一
般式(1)で表されるものが特に好適に用いられる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃水中の重金属と金属錯体をつくるノボ
    ラック樹脂と、上記ノボラック樹脂を廃水に溶解させる
    ためのアルカリ性物質を含有することを特徴とする廃水
    中の重金属除去用処理剤。
  2. 【請求項2】 ノボラック樹脂が、下記の一般式(1)
    で表されるものである請求項1記載の廃水中の重金属除
    去用処理剤。 【化1】
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の廃水中の重金属
    除去用処理剤を、重金属含有廃水に添加して均一に混合
    し、ノボラック樹脂と重金属の金属錯体を形成する工程
    と、上記混合液に酸性物質を添加し、上記金属錯体を不
    溶化させて重金属を含有した沈殿物質を生成させる工程
    と、上記混合液から沈殿物質を分離する工程とを備えた
    ことを特徴とする廃水処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103263891A (zh) * 2013-05-31 2013-08-28 上海大学 一种有效处理重金属废水的改性粉煤灰的制备方法
CN103641226A (zh) * 2013-12-26 2014-03-19 张�成 一种重金属污水处理剂及其制备方法
CN103964536A (zh) * 2014-04-18 2014-08-06 湖南师范大学 一种处理水中重金属镉污染的方法
CN104628099A (zh) * 2014-12-26 2015-05-20 安徽省中日农业环保科技有限公司 一种稻壳基蓝藻处理剂及其制备方法

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CN104628099B (zh) * 2014-12-26 2016-08-17 安徽省中日农业环保科技有限公司 一种稻壳基蓝藻处理剂及其制备方法

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