JPH0968447A - 感熱式フローセンサ - Google Patents

感熱式フローセンサ

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JPH0968447A
JPH0968447A JP7258375A JP25837595A JPH0968447A JP H0968447 A JPH0968447 A JP H0968447A JP 7258375 A JP7258375 A JP 7258375A JP 25837595 A JP25837595 A JP 25837595A JP H0968447 A JPH0968447 A JP H0968447A
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JP
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heating element
bridge
temperature measuring
voltage
temperature
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JP7258375A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Horiguchi
浩幸 堀口
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Ricoh Seiki Co Ltd
Ricoh Elemex Corp
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Seiki Co Ltd
Ricoh Elemex Corp
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オフセットを除去して検出精度を向上させる
と共に、経時的安定性に優れ高感度で正確な流量測定が
可能な感熱式フローセンサを提供すること。 【解決手段】 交流電圧V1 により発熱体Rhを駆動す
ると共に、熱的応答性の関係からその交流電圧V1 と略
同期がとられた交流電圧V2 により測温体Rs,Rfを
一部に含む交流ブリッジ回路10を駆動させ、このブリ
ッジ出力値Vbの大きさに比例した発熱体Rhの駆動制
御電圧Vcを作って交流電圧V1 を制御し発熱体Rhを
発熱させ、その発熱体Rhの発熱体出力値Vaをその交
流周波数fに同期した狭帯域増幅回路14に導くことに
より、ドリフトの影響が除去されたセンサ出力Eoを得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ガスやLPガ
スの流量、エアコン等の送風量の測定に用いられる感熱
式フローセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】まず、従来の感熱式フローセンサの構造
を図9に基づいて説明する。基板1(Siチップ)に
は、堀2が形成されており、この堀2の上方には橋3が
架橋されている。この橋3上には、温度設定用の発熱体
Rhと、この発熱体Rhに近接配置されその温度を測定
する発熱体温度測温体Rsとが配線されている。また、
堀2の周囲には、測温体Rf,Rmが配線されている。
【0003】つぎに、上述のような感熱式フローセンサ
の駆動回路の構成を図10に基づいて説明する。発熱体
Rhと、発熱体温度測温体Rsと、測温体Rf,Rm
と、基準抵抗R1 ,R2 とによりブリッジ回路4が構成
されている。ブリッジ回路4は、アンプ5を介して、コ
レクタに所定の電圧Vが印加されたTr6(トランジス
タ)のベース6aに接続されている。そのTr6のエミ
ッタ6bには、発熱体Rhが接続されている。
【0004】今、基板1の上流から下流に向かって流体
7(例えばLPガス)が流れると、橋3上の発熱体温度
測温体Rsが冷却され、これによりブリッジ回路4のバ
ランスが崩れて橋3上の温度と堀2の周囲の温度との差
に相当する出力値がアンプ5に現われ、その温度差に相
当する出力値がTr6のベース6aに印加される。これ
により、Tr6が導通してエミッタ6b側の発熱体Rh
に電流が流れて発熱し、出力電圧Eoが発生する。この
出力電圧Eoの大きさは、基板1が流体7に奪われる熱
量に比例するため、出力電圧Eoから流量の測定を行う
ことができる。
【0005】その他の感熱式フローセンサの従来例とし
て、特開昭64−28522号公報、実公平5−352
89号公報、特開平3−53127号公報、特開平3−
53128号公報等に開示されているものがある。ま
ず、特開昭64−28522号公報の例では、発熱体を
一定の交流周波数foにより駆動し、この発熱体の温度
を測温手段(温度センサ)により交流の出力信号として
検出し、この検出された交流の出力信号をプリアンプを
介してバンドパスフィルタに送り抽出することによって
流量の測定を行う。
【0006】また、実公平5−35289号公報、特開
平3−53127号公報、特開平3−53128号公報
に開示された例では、センサ出力の基準値をそれぞれ独
自の方式により求めている。すなわち、実公平5−35
289号公報の例では、発熱体へ電力を供給するヒータ
回路を周期的(間欠的)に停止させ発熱体が発熱してい
ない状態を作り、その発熱体が発熱していない状態にお
けるセンサ出力を基準値とし、この基準値を実測定状態
における測定信号に対する誤差信号として差し引くこと
によって流量の測定を行う。
【0007】また、特開平3−53127号公報の例で
は、流量が0でかつヒータオフ時(発熱体のヒータ回路
を停止した状態)のオフ基準電圧と、流量0でかつヒー
タオン時(発熱体のヒータ回路を駆動した状態)のオン
基準電圧とを作り出す。そして、オン基準電圧により補
正されたヒータオン時の流量の平均測定電圧からヒータ
オフ時のオフ基準電圧を差し引くことによって流量の測
定を行う。また、特開平3−53128号公報の例で
は、実測定前に強制的にヒータオフとして基準値を作り
出し、この基準値をヒータオン時の測定中の実測値から
差し引くことによって流量の測定を行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した図9
及び図10に示した従来例のような発熱体温度測温体R
fの出力値から発熱体Rhの発熱量を測定する方式にお
いては、ブリッジ回路4から得られるブリッジ出力値が
極めて小さいため、出力電圧Eoに対するドリフトの影
響が極めて大きな問題となる。このドリフトの原因とし
ては、ブリッジ回路4やアンプ5の電源電圧の変動や、
基板1に設けられる発熱体Rh、発熱体温度測温体R
s、測温体Rf,Rmの温度変化・環境変化により生じ
る抵抗変化・素子特性変化や、ブリッジ回路4やアンプ
5の機器の経年的変化等がある。このようなドリフトの
影響によって、駆動回路の出力電圧Eoにオフセットが
現われてしまい、流量を正確に測定することができな
い。
【0009】また、特開昭64−28522号公報の場
合、測温手段から得られる交流の出力信号には、交流周
波数foの信号成分の他に、測温手段自体の熱雑音等に
よるドリフトが含まれているが、バンドパスフィルタを
通過することによって、そのようなドリフトの影響がほ
とんど除去された交流周波数foの信号成分を検出して
いる。しかし、このような検出方式では、交流周波数f
oで駆動される発熱体は、流体の流量が増大するほど流
体によって奪われる熱量が大きく、このため測温手段の
出力信号の振幅は流体の流量が大きくなるほど逆に小さ
くなってしまう。しかも、その交流周波数foが測温手
段の応答周波数以下に限られているため信号成分に対す
るノイズ成分の除去が難しくなり、検出感度(S/N)
が極めて低い。さらに、流体の温度変動が加わるような
場合には、流量を正確に測定することが難しくなる。
【0010】また、実公平5−35289号公報、特開
平3−53127号公報、特開平3−53128号公報
の場合、いずれも、ヒータオン時の実測定状態における
センサ出力から、ヒータオフ時の基準となるセンサ出力
を差し引くことによって、発熱体や測温体の抵抗変化、
経年変化等によるドリフトの影響を除去し、流量の信号
成分を取り出している。しかし、ヒータオフ時の基準と
なるセンサ出力は、環境変化や経時的変化によっては、
ヒータオン時の実測定状態における流量0でのセンサ出
力とは必ずしも一致するものではない。このため、実測
定状態でのセンサ出力は、環境変化や経時的変化等によ
るドリフトの影響を受けてしまい、流量の測定精度が悪
くなる。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、発熱体を発熱させる交流電力を出力する交流電源
と、発熱体温度測温体と媒体温度測温体とを一部に含む
交流ブリッジ回路と、この交流ブリッジ回路のブリッジ
出力値の大きさに比例して発熱体への電力供給を制御す
る発熱体駆動制御回路と、発熱体に印加される交流電圧
の交流周波数に同期した周波数を有し発熱体の発熱体出
力値を増幅する狭帯域増幅回路とを設けた。従って、発
熱体が交流電源から供給される交流電圧により発熱する
と、同一の橋上に設けられた発熱体温度測温体も熱的応
答性の関係から交流電圧の交流振幅に従って駆動され、
その交流振幅は交流ブリッジ回路の時間的な位相と略同
期した形となっている。このような状態で流体が流れる
と橋上の発熱体温度測温体が冷却され、交流ブリッジ回
路のバランスが崩れて所定のブリッジ出力値が現われ、
発熱体駆動制御回路によりそのブリッジ出力値の大きさ
に比例した駆動制御電圧が作成され、この駆動制御電圧
により発熱体が駆動制御されながら交流電源の交流電圧
により発熱体が発熱される。この発熱は交流の発熱体出
力値として現われ、この発熱体出力値が狭帯域増幅回路
に検出されることによって、流量の信号成分が求められ
る。この場合、発熱体温度測温体と媒体温度測温体とを
一部に含むブリッジ回路は交流回路とされ、狭帯域増幅
回路を介して信号成分を検出していることから、直流駆
動時に問題となる熱雑音や経時的ドリフトの影響をなく
すことができる。また、交流ブリッジ回路を構成する発
熱体温度測温体は、発熱体と同様な交流により駆動され
ているため、時間的な位相の同期を図ることができ、発
熱体に印加される交流電圧を流量に比例した値とするこ
とができる。さらに、発熱体に印加される交流電圧は流
速に比例しているため、橋上の温度を流速によらず一定
に保つことができる。
【0012】請求項2記載の発明では、発熱体を発熱さ
せる交流電力を出力する交流電源と、上流測温体及び下
流測温体を一部に含む交流ブリッジ回路と、この交流ブ
リッジ回路のブリッジ出力値の交流周波数に同期した周
波数を有しそのブリッジ出力値を増幅する狭帯域増幅回
路とを設けた。従って、発熱体が交流電源から供給され
る交流電圧により発熱すると、同一の橋上に設けられた
上流測温体及び下流測温体も熱的応答性の関係から交流
電圧の交流振幅に従って駆動され、その交流振幅は交流
ブリッジ回路の時間的な位相と略同期した形となってい
る。このような状態で流体が流れると橋上の上流測温体
側が冷却され、交流ブリッジ回路のバランスが崩れて所
定のブリッジ出力値が現われ、そのブリッジ出力値が狭
帯域増幅回路に検出されることによって、流量の信号成
分が求められる。この場合、請求項1記載の発明の作用
に加えて、発熱体と同一橋上の上流測温体及び下流測温
体の出力差からブリッジ出力値を求めるいわゆる温度差
出力方式とし、交流ブリッジ回路の時間的な位相に同期
した狭帯域増幅回路を介して流量を求めているため、極
めて小さなブリッジ出力値を検出することができると共
に、極めて小さなオフセットも除去することができる。
【0013】請求項3記載の発明では、請求項2記載の
発明において、発熱体により加熱されない基板の面上に
媒体温度測温体を設け、この媒体温度測温体と発熱体又
は発熱体温度測温体とを一部に有する発熱体温度制御用
交流ブリッジ回路を設け、この発熱体温度制御用交流ブ
リッジ回路に交流電源の交流電圧を制御する発熱体温度
制御回路を接続した。従って、交流電源の交流電圧によ
り発熱体を発熱させた状態で、流体の流れにより発熱体
温度制御用交流ブリッジ回路を構成する発熱体又は発熱
体温度測温体が冷却されると、ブリッジバランスが崩れ
て所定のブリッジ出力値が現われ、そのブリッジ出力値
に基づいて発熱体温度制御回路では交流電源の交流電圧
を制御して発熱体の発熱量を制御する。これにより、発
熱体の温度を流速に関係なく一定に保つことが可能とな
る。
【0014】請求項4記載の発明では、請求項1,2又
は3記載の発明において、直流電力源と、直流電圧又は
電流を交流に変換する交流化手段とにより交流電源を構
成した。従って、直流電力源と交流化手段とを交流電源
として用いることによって、電池の使用が可能となる。
【0015】請求項5記載の発明では、請求項1,2,
3又は4記載の発明において、交流電源の交流電圧を変
調する変調手段を設けた。従って、変調手段により交流
電源の交流電圧を変調することによって、発熱体への印
加動作を間欠的に行うことができる。
【0016】請求項6記載の発明では、請求項1,2,
3,4又は5記載の発明において、発熱体が設けられる
橋の面積を、0.05mm2 以上で0.5mm2 以下の
値に設定した。従って、橋の面積を所定の小さな値にす
ることによって、橋の熱容量を小さし、その橋の熱応答
性を速くすることが可能となる。
【0017】請求項7記載の発明では、請求項1,2,
3,4又は5記載の発明において、発熱体及び交流ブリ
ッジ回路を構成する各測温体の熱伝導率を、300Kに
おいて200Wm~1K~1以上の値に設定した。発熱体及
び交流ブリッジ回路を構成する各測温体の熱伝導率を所
定の大きな値にすることによって、流体により熱が奪わ
れるときの橋上での熱伝達効率を大きくすることがで
き、これにより橋の熱応答性を速くすることが可能とな
る。
【0018】請求項8記載の発明では、請求項1,2,
3,4又は5記載の発明において、発熱体の上部に絶縁
体を介して測温体を設けた。発熱体の上部に絶縁体を介
して測温体を設けたことによって、流体により熱が奪わ
れるときの橋上での熱伝達効率を大きくすることがで
き、これにより橋の熱応答性を速くすることが可能とな
る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の第一の形態を図1
に基づいて説明する(請求項1記載の発明に対応す
る)。なお、従来例(図9,図10参照)と同一部分に
ついては同一符号を用いる。
【0020】図1は、感熱式フローセンサの交流駆動回
路の構成を示す。発熱体Rhを加熱するために、交流電
圧V1 を印加する交流電源8が設けられている。ここで
は、V1 =V0 cos(ωt+φ)とする。この交流電源8
は、Tr9(トランジスタ)のコレクタ9aに接続さ
れ、そのエミッタ9bに発熱体Rhが接続されている。
また、発熱体Rhの温度を測定する発熱体温度測温体R
sと、媒体温度測温体Rfと、基準抵抗R1 ,R2 と、
抵抗Rm,rとにより構成された交流ブリッジ回路10
が設けられている。この交流ブリッジ回路10は、交流
電圧V2 =V0 cos(2ωt+φ)により駆動される。こ
の場合、R1 ,R2 は、交流ブリッジ回路10に流れる
電流を決定するための基本抵抗である。Rmは、発熱体
Rhの駆動温度T=To+ΔTを決定するための抵抗で
ある。Toは、流量を0とし、Rmをショートして交流
ブリッジのバランスをとるときの温度である。このTr
としては通常室温が用いられており、ΔTはその室温か
らの発熱体Rhの温度上昇分である。
【0021】交流ブリッジ回路10は、測温体Rs,R
f間の出力差を求める差動増幅器11を備えている。こ
の差動増幅器11は、中心周波数2fを有する狭帯域増
幅回路12に接続されている。この狭帯域増幅回路12
はTr9のベース9cに接続されている。この場合、狭
帯域増幅回路12と、Tr9とは、発熱体駆動制御回路
13を構成している。また、発熱体Rhが接続されたT
r9のエミッタ9bには、中心周波数fを有する狭帯域
増幅回路14に接続されている。この狭帯域増幅回路1
4からセンサ出力Eoが得られる。なお、狭帯域増幅回
路12の中心周波数2fとは、交流ブリッジ回路10の
ブリッジ出力値Vbの周波数に同期した周波数のことで
あり、また、狭帯域増幅回路14の中心周波数fとは、
発熱体Rhに印加される交流電圧V1 の周波数に同期し
た周波数のことである。
【0022】なお、感熱式フローセンサの基板構造は、
前述した図9とほぼ同様な構造とする。すなわち、基板
1のマイクロブリッジ3(橋)上に発熱体Rhと、発熱
体温度測温体Rsとが配線されている。マイクロブリッ
ジ3から離れた基板1の上流側に媒体温度測温体Rfが
配線されている。基板1はSi基板をエッチングして形
成される。マイクロブリッジ3は絶縁膜からなってい
る。Rh,Rs,Rfは白金薄膜抵抗体からなってお
り、これらはいずれも白金をスパッタリング法により基
板1上に成膜され、フォトリソグラフィー技術により成
形されている。
【0023】このような構成において、交流駆動回路の
動作について述べる。今、感熱式フローセンサが配置さ
れている空間内で流体7が流れると、マイクロブリッジ
3が冷却されて発熱体温度測温体Rsの抵抗値が小さく
なり、交流ブリッジ回路10のバランスが崩れてブリッ
ジ出力値Vbが現われ、この出力値は差動増幅器11に
より増幅される。この増幅されたブリッジ出力値Vb
は、中心周波数2fの狭帯域増幅回路12で直流の駆動
制御電圧Vcに変換される。駆動制御電圧Vcは、ブリ
ッジ出力値Vbの大きさに応じて変化する。このような
駆動制御電圧Vcは、Tr9のベース9cに印加され、
Tr9の導通状態の調整を行う。これにより、交流電源
8からの交流電圧V1 の発熱体Rhへの印加調整がなさ
れる。交流電源8の交流電圧V1 が印加されると、発熱
体Rhが発熱される。この発熱によりTr9のエミッタ
9bには交流の発熱体出力値Vaが得られる。この発熱
体出力値Vaが、中心周波数fの狭帯域増幅回路14を
通過することによって、センサ出力Eoが検出される。
このセンサ出力Eoの値が流体7の信号成分を示すこと
から、流量を求めることができる。
【0024】ここで、マイクロブリッジ3の熱的応答性
について考える。今、発熱体Rhに印加する交流電圧を
1 =V0 cos(ωt+φ)とすると、マイクロブリッジ
3にかかる電力Pは、 P=(Acos(ωt+φ))2/Rh =A2(cos2(ωt+φ)+1)/2Rh …(1) となる。ここで、Aは定数とし、Rh=Ro+ΔRhと
する。Roは、To(発熱体Rhの流量0のブリッジバ
ランスをとる時の温度)の時の発熱体Rhの抵抗値であ
る。ΔRhは、温度変化ΔTによって発熱体Rhの温度
が上昇して得られる抵抗値変化分である。この場合、発
熱体Rhとして白金薄膜抵抗体を用いているため、抵抗
値の温度係数は3000ppm程度であり、温度変化Δ
Tが数十℃程度の場合は、白金薄膜抵抗体の抵抗値は時
間によらず一定とみなされる。これにより、(1)式か
ら、マイクロブリッジ3の温度の時間変化T(t)は、 T(t)≒Tc+Ta cos2ωt …(2) として表わされる。Tc/Taはマイクロブリッジ3の
熱的応答性により決定される定数である。この場合、マ
イクロブリッジ3の熱的応答性が発熱体Rhを駆動する
交流電源8の交流周波数fに比べて十分速ければ、マイ
クロブリッジ3の温度変化ΔTは、 ΔT≒Ta cos2ωt …(3) となる。この(3)式の関係から、マイクロブリッジ3
上の発熱体温度測温体Rsにおける抵抗値の時間変化は
交流周波数2fで変化することになる。
【0025】このような変化は、マイクロブリッジ3上
の発熱体Rhを交流周波数fの交流電圧V1 で発熱させ
ると、発熱体温度測温体Rsの抵抗値が交流周波数2f
で変化することを意味するものである。しかし、一般
に、マイクロブリッジ3上の発熱体Rhを交流で駆動し
た場合、そのマイクロブリッジ3の温度は必ずしも交流
になるとは限らない。それはマイクロブリッジ3の熱的
応答性や周囲環境の影響を受けるからである。そこで、
交流ブリッジ回路10に印加する電圧の周波数を交流周
波数2fとすることによって、交流周波数2fのマイク
ロブリッジ3の温度の時間変化、すなわち、交流周波数
2fの発熱体温度測温体Rsの抵抗変化を確実なものと
して発熱体Rhの発熱変化と同期をとることができる。
【0026】このように時間的な変動と同期をとること
によって、交流ブリッジ回路10のブリッジ出力値V
b、すなわち、流量変化の大きさに比例して発熱体Rh
が発熱されるようになる。この発熱体Rhの発熱変化量
は交流周波数fの発熱体出力値Vaとして得られるた
め、この発熱体出力値Vaが中心周波数fの狭帯域増幅
回路14を通過することによって、直流駆動時に問題と
なっていた熱雑音やアンプ等によるドリフトや、経時的
ドリフトの影響をほとんど除去することが可能となる。
これにより、オフセットを完全に除去して信号成分のみ
を取り出すことができる。また、発熱体Rhに印加され
る交流電圧V1 は流量に比例した値となるため、検出感
度を高めることができる。さらに、発熱体Rhに印加さ
れる交流電圧V1 は流速に比例しているため、マイクロ
ブリッジ3上の温度を流速に関係なく一定に保つことが
でき、周囲環境の温度変化の影響を受けにくくすること
ができる。
【0027】次に、本発明の実施の第二の形態を図2及
び図3に基づいて説明する(請求項2記載の発明に対応
する)。なお、前述した実施の第一の形態と同一部分に
ついての説明は省略し、その同一部分については同一符
号を用いる。
【0028】図2は、感熱式フローセンサの交流駆動回
路の構成を示す。本回路は、発熱体Rhを駆動する交流
電圧V1 (交流周波数f)の交流電源8と、交流ブリッ
ジ回路10aと、差動増幅器11と、中心周波数2fの
狭帯域増幅回路15とにより構成される。この場合、交
流ブリッジ回路10aは、発熱体Rhの温度を測定する
ための上流測温体Ru及び下流測温体Rdと、基準抵抗
1 ,R2 と、抵抗rとからなり、交流電圧V2 (交流
周波数2f)により駆動される。
【0029】なお、ここでの感熱式フローセンサの基板
構造は、前記図9と同様な基板1を用い、この基板1の
マイクロブリッジ3上に、発熱体Rhと、発熱体Rhの
上流側に位置する発熱体温度測温体Ruと、発熱体Rh
の下流側に位置する発熱体温度測温体Rdとが配線され
ることによって構成される。このような上流・下流の測
温体Ru,Rdの出力差からブリッジ出力値Vbを求め
る方式を一般に温度差出力方式という。
【0030】このような構成において、交流駆動回路の
動作について述べる。今、マイクロブリッジ3上の発熱
体Rhに交流電源8から交流周波数fの交流電圧V1
印加されると、前記(3)式の関係から、マイクロブリ
ッジ3上の上下の測温体Ru,Rdにおける抵抗値の時
間変化は交流周波数2fで変化する。このとき、交流ブ
リッジ回路10aは交流周波数2fで駆動されているた
め、その抵抗値の変化と同期がとられた状態となってい
る。そして、感熱式フローセンサ上に流体7の流れが生
じると、マイクロブリッジ3上の上流測温体Ruが冷却
されて、交流ブリッジ回路10aのバランスが崩れ、上
下の測温体Ru,Rdの出力Vd,Vu間に出力差Vdu
=Vd−Vuが現われる。この交流周波数2fの振幅を
有する出力差Vduは差動増幅器11により増幅されブリ
ッジ出力値Vbとなり、中心周波数2fの狭帯域増幅回
路15に入力され、これにより流量の信号成分のみから
なるセンサ出力Eoを得ることができる。
【0031】図3は、感熱式フローセンサにおけるセン
サ出力と流量との関係を、従来例と比較して示したもの
である。波形Bは、従来の感熱式フローセンサ(図9参
照)の発熱体出力方式により得られた出力−流量曲線を
示す。この場合、流量Q1 よりも大きな流量域において
は直線性が良いが、流量Q1 よりも小さな低流量域では
直線性が悪い。これは、ブリッジ回路で小さな出力差を
検出できず、これによりオフセットを除去することがで
きないためである。
【0032】これに対し、波形Aは、本実施の形態の感
熱式フローセンサの温度差出力方式により得られた出力
−流量曲線を示す。この場合、交流ブリッジ回路10a
は温度差出力方式とされ、ブリッジ出力値Vbの位相に
時間的に同期した狭帯域増幅回路15からセンサ出力E
oを得ているため、極めて小さな出力も検出することが
可能となる。これにより、極めて小さなオフセットを除
去することができ、低流域での直線性を改善することが
できる。
【0033】次に、本発明の実施の第三の形態を図4及
び図5に基づいて説明する(請求項3記載の発明に対応
する)。なお、上述した実施の第二の形態と同一部分に
ついての説明は省略し、その同一部分については同一符
号を用いる。
【0034】まず、感熱式フローセンサにおける温度差
出力方式の交流駆動回路の構成を図4に基づいて述べ
る。交流電圧V1 (交流周波数f)の交流電源8は、T
r16(トランジスタ)のコレクタ16aに接続され、
そのエミッタ16bには直熱型の発熱体温度制御用交流
ブリッジ回路17が接続されている。この発熱体温度制
御用交流ブリッジ回路17は、発熱体Rhと、媒体温度
測温体Rfと、基準抵抗R3 ,R4 と、抵抗Rm,rと
により構成されている。この発熱体温度制御用交流ブリ
ッジ回路17には、中心周波数fの狭帯域増幅回路18
が接続されている。この狭帯域増幅回路18は、差動増
幅器19を介して、Tr16のベース16cと接続され
ている。この場合、狭帯域増幅回路18と、差動増幅器
19と、Tr16とは、発熱体温度制御回路20を構成
している。
【0035】なお、温度差出力方式の感熱式フローセン
サの基板構造、及び、交流ブリッジ回路10aと差動増
幅器11と狭帯域増幅回路15との回路構成は、前述し
た実施の第二の形態(図2参照)と同様とする。ただ
し、基板1上のマイクロブリッジ3から離れた上流側に
は、発熱体温度制御用交流ブリッジ回路17を構成する
媒体温度測温体Rfが配線されている。
【0036】ここで、発熱体温度制御用交流ブリッジ回
路17及び発熱体温度制御回路20の動作について述べ
る。今、発熱体Rhに流す電流をI=I0sin(ωt+
φ)とすると、マイクロブリッジ3の温度上昇による温
度変化ΔTは前記(3)式のようになるため、発熱体R
hの抵抗変調分ΔRhは、 ΔRh≒cos2ωt …(4) として表わされる。これにより、発熱体Rhの電圧変調
分ΔVは、 ΔV=I・ΔRh =sinωt・cos2ωt =(sin3ωt−sinωt)/2 …(5) の値に比例する。この(5)式の電圧変調分ΔVは、発
熱体温度制御用交流ブリッジ回路17のブリッジ出力の
変動分として現われ、このブリッジ出力を狭帯域増幅回
路18にて周波数fに関して検出し、直流のVoに変換
した後、差動増幅器19にて増幅してTr16のベース
16cに印加する。これによりTr16の導通状態を制
御することができるため、発熱体温度制御用交流ブリッ
ジ回路17への印加電圧を制御することができ、発熱体
Rhに流れる電流Iを制御することができる。従って、
発熱体Rhの温度を流体7の温度によらず常に一定に保
つことができるため、測定精度を向上させることができ
る。また、発熱体Rhの抵抗変化を直接検出するため、
熱的応答性を速めることができる。
【0037】次に、発熱体温度制御用交流ブリッジ回路
17及び発熱体温度制御回路20の変形例を図5に基づ
いて述べる。ここでは、発熱体Rhの代わりに発熱体温
度測温体Rsを用いて、傍熱型の発熱体温度制御用交流
ブリッジ回路17を構成する。この発熱体温度制御用交
流ブリッジ回路17は、交流電圧V3(交流周波数2f)
にて駆動される。また、発熱体温度制御回路20は、差
動増幅器19と、中心周波数2fの狭帯域増幅回路21
と、Tr16とにより構成されている。
【0038】この場合、発熱体温度測温体Rsの電圧変
調分ΔVが発熱体温度制御用交流ブリッジ回路17のブ
リッジ出力の変動分として現われるため、このブリッジ
出力を狭帯域増幅回路21にて中心周波数2fに関して
検出し、Tr16を制御することによって、発熱体Rh
の温度制御を行うことができる。このような発熱体温度
測温体Rsを用いた傍熱型の発熱体温度制御回路20を
用いても、前記図4の場合と同様に、周囲環境の温度変
化の影響を受けることなく発熱体Rhの温度を一定に保
つことが可能である。
【0039】次に、本発明の実施の第四の形態を図6に
基づいて説明する(請求項4,5記載の発明に対応す
る)。なお、前述した各実施の形態と同一部分について
の説明は省略し、その同一部分については同一符号を用
いる。
【0040】本実施の形態では、発熱体Rhの発熱を変
調する変調手段及び交流電源8の変形例について述べ
る。まず、図6に示すように、発熱体Rhと交流電源8
との間には、変調手段としてのTr22(トランジス
タ)が接続されている。このTr22のベース22aに
外部信号(変調信号)Vgを加えることにより、Tr2
2のオン,オフを制御することができる。これにより、
交流電源8の交流電圧V1を発熱体Rhに間欠的に印加
することが可能となる。例えば、本センサをガスメータ
に応用した場合、変調信号として、センサ出力Eoを演
算処理するために用いるCPUからの発熱体駆動信号を
用いることができる。
【0041】また、交流電源8として、直流電力源を用
い、この直流電力源からの直流電圧(又は電流)を交流
電圧V1 (又は交流電流)に変換する交流化手段を備え
るようにしてもよい。例えば、直流電力源としてLi電
池を用い、交流化手段として半導体スイッチ素子を用
い、変調信号Vgにより発熱体Rhへの印加を間欠的に
行うことによって、消費電力が一番大きい発熱体Rhに
よる消費電力の軽減を図ることができ、これによりLi
電池の寿命を著しく伸ばすことが可能となる。なお、本
実施の形態では、感熱式フローセンサとして、図1の発
熱体出力方式の交流駆動回路を用いて説明したが、これ
に限るものではなく例えば、図2の温度差出力方式の交
流駆動回路を用いて駆動させるようにしてもよい。
【0042】次に、本発明の実施の第五の形態を図7及
び図8に基づいて説明する(請求項6,7,8記載の発
明に対応する)。なお、前述した各実施の形態と同一部
分についての説明は省略し、その同一部分については同
一符号を用いる。
【0043】本実施の形態では、感熱式フローセンサの
交流駆動回路(発熱体出力方式や温度差出力方式の交流
駆動回路)におけるマイクロブリッジ3の熱的応答性を
高めるために、そのマイクロブリッジ3の面積、熱伝導
度、構造を最適化したものである。すなわち、マイクロ
ブリッジ3の面積は0.05mm2 以上で0.5mm2
以下の値に設定され、マイクロブリッジ3の熱伝導率は
300Kにおいて200Wm~1K~1以上の値に設定さ
れ、マイクロブリッジ3の構造は発熱体Rhの直上に絶
縁体を介して測温体(Rs)が形成された構造となって
いる。
【0044】以下、マイクロブリッジ3を上記各条件
(面積、熱伝導度、構造)に設定した理由について述べ
る。発熱体Rhを交流で駆動する場合、マイクロブリッ
ジ3の温度の時間変化T(t)は前記(2)式のように
表わされ、交流ブリッジ回路10の検出精度を上げるた
めには、その(2)式のTc/Taの値を小さくする必
要がある。Tc/Taはマイクロブリッジ3の熱的応答
性により決定されるため、Tc/Taの値を小さくする
には熱的応答性を速くする必要がある。また、駆動周波
数は高ければ高いほどセンサ出力EoのS/Nが高くな
ることから、このような点からもマイクロブリッジ3の
熱的応答性を速くする必要がある。この場合、マイクロ
ブリッジ3の熱的応答性は、主に、マイクロブリッジ3
の熱容量と、マイクロブリッジ3を構成する部材の熱伝
導度と、マイクロブリッジ3上に設けられる発熱体Rh
及び測温体との関係により決定される可能性が高い。
【0045】図7は、マイクロブリッジ3の面積に対す
る熱的応答性D及びセンサ検出感度Sの実験結果を示
す。マイクロブリッジ3の熱的応答性を高めるために
は、マイクロブリッジ3の熱容量を小さくする、すなわ
ち、マイクロブリッジ3の面積を小さくする必要があ
る。しかし、面積を小さくすると、センサ検出感度Sが
低下してしまう。この場合、1cm/s程度の低流速域
まで正確に測定するためには、マイクロブリッジ3の面
積は0.05mm2 以上である必要がある。
【0046】一方、面積が大きくなるにつれて熱的応答
性Dは悪くなる傾向にある。今、センサの間欠駆動の周
期を0.1Hzとし、発熱体Rhの加熱時間を200m
sとした場合、ある程度のセンサ出力EoのS/Nを確
保するためには、発熱体Rhに印加する交流電圧の周波
数を少なくとも25Hz以上の値にすることが望まし
く、このときマイクロブリッジ3に必要な応答時間は最
長で20msとなる。これにより、マイクロブリッジ3
の最大面積は0.5mm2 以下の値となる。このような
ことから、マイクロブリッジ3の面積を、0.05mm
2 以上で0.5mm2 以下の値に設定するようにした。
【0047】また、マイクロブリッジ3の熱伝導度を大
きくすると、流体7により熱が奪われてマイクロブリッ
ジ3の温度が低下した場合、測温体(例えば発熱体温度
測温体Rs)の温度も速やかに低下し、熱的応答性が良
くなる。そこで、マイクロブリッジ3の熱伝導度を大き
くするためには、発熱体Rhや測温体を、例えばi−C
arbon又は絶縁膜を介して金属層で覆うとよい。特
にi−Carbonは電気的に絶縁体であり、かつ、熱
伝導率が300Kにおいて1000Wm~1K~1程度であ
るため、このような材料を用いることにより、薄膜抵抗
体を絶縁膜で覆うプロセスを省略できる利点もある。
【0048】また、絶縁膜を介して金属層で覆う場合、
絶縁膜として例えばTa25のような酸化物を使用する
場合、その熱伝導率は10Wm~1K~1程度であり、これ
を金属層で覆う物質としては少なくともその10倍の熱
伝導率をもつものでなければならない。金属層としては
例えばAl、Au等を用いることができる。このような
ことから、マイクロブリッジ3の熱伝導率を、300K
において200Wm~1K~1以上の値に設定するようにし
た。
【0049】また、図8は、マイクロブリッジ3の断面
構造を示す。Ta25からなるマイクロブリッジ3上に
は、Ptの発熱体Rhが配線されている。この発熱体R
h上には、Ta25からなる絶縁膜23(絶縁体)を介
して、Ptの発熱体温度測温体Rsが配線されている。
この場合、マイクロブリッジ3の幅は、発熱体Rhの配
線部とほぼ同じ幅に設定されている。
【0050】このように発熱体Rhの上部に発熱体温度
測温体Rsを設けることによって、それらの間隔すなわ
ち絶縁膜23の膜厚を数千Åの僅かな厚さにすることが
でき、発熱体Rhの温度変動を応答良く検出することが
できる。しかも、これにより発熱体Rhの配線幅をマイ
クロブリッジ3の幅と同程度にすることができるため、
センサの応答速度を速くすることも可能となる。このよ
うなことから、マイクロブリッジ3を、発熱体Rhの直
上に絶縁膜23を介して発熱体温度測温体Rsを設ける
構造とした。上述したように、マイクロブリッジ3の面
積、熱伝導度、構造をそれぞれ適切な値に設定すること
によって、マイクロブリッジ3の熱的応答性を格段に向
上させることが可能となり、交流駆動の場合において特
に有効である。
【0051】なお、上述のような感熱式フローセンサ
(発熱体出力方式や温度差出力方式の交流駆動回路)を
利用して流量測定装置を形成することも可能である。こ
の流量測定装置としては、例えば、ガスメータやLPG
用ガスメータ、エアコンの送風量調整器等がある。ここ
では、LPG用ガスメータを例に挙げて述べる。
【0052】LPG用ガスメータは、屋外に配置された
ボンベに取り付けられる圧力調節弁と、室内のガス器具
(ガスコンロ等)との間の配管(流路)中に設けられ
る。この配管内には、LPG用ガスメータに備えられた
前記感熱式フローセンサが設置されている。この感熱式
フローセンサと接続されたLPG用ガスメータは、圧力
測定手段と、流量判断手段と、センサ出力測定手段と、
記憶手段と、演算手段とを備えている。
【0053】この場合、圧力測定手段は配管内の圧力を
測定し、流量判断手段は圧力測定手段の出力結果をもと
に配管内の流量が0であることを判断し、センサ出力測
定手段は流量0の状態で感熱式フローセンサのセンサ出
力値を測定し、記憶手段は流量0の状態におけるセンサ
出力値を基準出力値として記憶し、演算手段は記憶され
た基準出力値と流体の流れがあるときの感熱式フローセ
ンサのセンサ出力値とから流量を測定する。
【0054】このような構成において、LPG用ガスメ
ータのガス圧力は、ボンベに取り付けられた圧力調節弁
により約300mmH2O に調節されている。今、ガス
使用のためガス器具(ガスコンロ等)のコックを開ける
と、瞬間的に配管内の圧力が低下するため、圧力調節弁
を押す力が弱まり高圧ガスが一瞬ボンベから流れる。こ
れにより、圧力調節弁からガス器具までの配管内は一瞬
高圧となるが、その後は圧力調節弁が働き出すため圧力
は設定値に戻る。一方、ガス器具のコックを閉じると、
配管内の流れが徐々に低下するため、圧力調節弁が開い
て配管内の圧力が高くなるが、その後コックが完全に閉
じられた時点で流れが完全に停止するため圧力は再び設
定値に戻る。
【0055】このように配管内の急激な圧力変化を圧力
測定手段によりモニタし、ガス器具が開いているか閉じ
ているかを判断する。そして、流量判断手段によりガス
器具が完全に閉じていると判断できたときは、配管内の
流量は0であるため、そのときの感熱式フローセンサの
センサ出力値を測定する。これにより、センサ駆動回路
内の経時的ドリフト等を取り除いて流量0の状態におけ
る基準出力値を作り出すことができ、センサ出力値を校
正することができる。
【0056】そして、その基準出力値を装置内の記憶手
段に一旦記憶しておき、実際に配管内に流体が流れてい
るときの感熱式フローセンサのセンサ出力値を測定する
際に、演算手段により実測値からその記憶された基準出
力値を差し引くことによって、配管内の真の流量を測定
することが可能となる。また、このような配管内の流量
が0の状態におけるセンサ出力を校正することにより、
感熱式フローセンサの駆動方式が交流駆動によらず基準
状態を長期間に渡って維持することが可能となり、信頼
性の高い装置を得ることができる。なお、このような装
置を用いることによって、感熱式フローセンサが直流駆
動方式の場合においても同様な効果を得ることが可能と
なる。
【0057】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、発熱体を交流電
源の交流電圧により駆動させると共に、発熱体温度測温
体と媒体温度測温体とを一部に含む回路をその交流電圧
と略同期がとれた交流ブリッジ回路として駆動させ、こ
の交流ブリッジ回路から得られるブリッジ出力値の大き
さに比例した発熱体の駆動制御電圧を作り、この駆動制
御電圧により発熱体に印加する交流電圧を制御して発熱
させ、この発熱により得られた発熱体の発熱体出力値を
その交流周波数に同期した狭帯域増幅回路に導くことに
より流量の測定を行うようにしたので、直流駆動時に問
題となる熱雑音や経時的ドリフト等の影響をなくすこと
ができ、これによりオフセットを完全に除去して測定精
度を向上させることができる。また、交流ブリッジ回路
の発熱体温度測温体は、発熱体と同様な交流により駆動
され時間的な位相の同期が図られているため、発熱体に
印加される交流電圧を流量に比例した値とすることがで
き、これにより検出感度を高めることができる。さら
に、発熱体に印加される交流電圧は流速に比例した値と
なっているため、橋上の温度を流速によらず一定に保つ
ことができ、これにより周囲の温度変化の影響を受ける
ことなく正確な流量測定を行うことができる。
【0058】請求項2記載の発明は、発熱体を交流電源
の交流電圧により駆動させると共に、上流及び下流の測
温体を一部に含む回路をその交流電圧と同期がとれた交
流ブリッジ回路として駆動させ、この交流ブリッジ回路
のブリッジ出力値をその交流周波数に同期した狭帯域増
幅回路に直接導いて流量の測定を行うようにしたので、
請求項1記載の発明の効果に加えて、ブリッジ出力値が
極めて小さな場合においても確実に信号検出を行うこと
ができ、これにより、極めて小さなオフセットも除去で
きるようになり、低流量域での出力と流量との線形性を
良くすることができる。このようなことから、広い流量
域に渡って一段と正確な流量測定を行うことができると
共に、環境変化や経時変化に対して一段と強いセンサを
得ることができる。
【0059】請求項3記載の発明は、発熱体温度制御用
交流ブリッジ回路により検出されたブリッジ出力値を発
熱体温度制御回路に送り、交流電源の交流電圧を制御し
発熱体の発熱量を調整するようにしたので、周囲環境の
温度変化の影響を受けにくくして検出感度を一定に保つ
ことができ、これにより測定精度を一段と向上させるこ
とができる。また、発熱体温度制御用交流ブリッジ回路
により発熱体の抵抗値の変化を直接検出するため、熱的
応答性を速めることが可能となる。
【0060】請求項4記載の発明は、交流電源として、
直流電力源と交流化手段とを用いたので、電池の使用が
可能となり、これによりセンサの使用範囲を野外や、商
用電源が取りにくい箇所にまでに拡大することができ
る。
【0061】請求項5記載の発明は、発熱体を加熱する
交流電源の交流電圧を変調するようにしたので、発熱体
への印加動作を間欠的に行うことができ、これにより発
熱体による消費電力の低減を大幅に図ることが可能とな
る。
【0062】請求項6記載の発明は、橋の面積を最適化
するようにしたので、橋の熱応答性を速くすることがで
き、これにより交流駆動される交流ブリッジ回路の検出
感度を向上させることができる。
【0063】請求項7記載の発明は、発熱体及び交流ブ
リッジ回路を構成する各測温体の熱伝導率を最適化する
ようにしたので、橋の熱時定数が短くなり熱応答性を速
くすることができ、これにより高い周波数で発熱体を駆
動させることができるため、S/Nを向上させセンサ出
力の検出感度を一段と高めることができる。
【0064】請求項8記載の発明は、発熱体の上部に絶
縁体を介して測温体を設けたので、橋の熱時定数が短く
なり熱応答性を速くすることができ、これにより交流駆
動される交流ブリッジ回路の検出感度を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第一の形態である感熱式フロー
センサにおける発熱体出力方式の交流駆動回路を示す回
路図である。
【図2】本発明の実施の第二の形態である感熱式フロー
センサにおける温度差出力方式の交流駆動回路を示す回
路図である。
【図3】流量−出力曲線を示す特性図である。
【図4】本発明の実施の第三の形態である直熱型の発熱
体温度制御用の回路を備えた交流駆動回路を示す回路図
である。
【図5】発熱体温度制御用の回路の変形例を示す回路図
である。
【図6】本発明の実施の第四の形態である発熱体への印
加制御を行う手段を備えた交流駆動回路を示す回路図で
ある。
【図7】本発明の実施の第五の形態である橋の面積に対
する熱的応答性及び検出感度の関係を示す特性図であ
る。
【図8】発熱体上に測温体が設けられた橋の断面構造を
示す断面図である。
【図9】従来の感熱式フローセンサの構造を示す平面図
である。
【図10】感熱式フローセンサの直流により駆動される
駆動回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 基板 3 橋 7 流体 8 交流電源 10,10a 交流ブリッジ回路 13 発熱体駆動制御回路 14,15 狭帯域増幅回路 17 発熱体温度制御用交流ブリッジ回路 20 発熱体温度制御回路 22 変調手段 23 絶縁体 Rh 発熱体 Rs 発熱体温度測温体 Rf 媒体温度測温体 Va 発熱体出力値 Vb ブリッジ出力値 Ru 上流測温体 Rd 下流測温体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の橋上に設けられた発熱体と、前記
    橋上の前記発熱体に近接して設けられ前記発熱体の温度
    を測定する発熱体温度測温体と、前記発熱体により加熱
    されない前記基板の面上に設けられた媒体温度測温体と
    を備え、前記発熱体印加電圧から流体の流量を測定する
    感熱式フローセンサにおいて、前記発熱体を発熱させる
    交流電力を出力する交流電源と、前記発熱体温度測温体
    と前記媒体温度測温体とを一部に含む交流ブリッジ回路
    と、この交流ブリッジ回路のブリッジ出力値の大きさに
    比例して前記発熱体への電力供給を制御する発熱体駆動
    制御回路と、前記発熱体に印加される交流電圧の交流周
    波数に同期した周波数を有し前記発熱体の発熱体出力値
    を増幅する狭帯域増幅回路とを設けたことを特徴とする
    感熱式フローセンサ。
  2. 【請求項2】 基板の橋上に設けられた発熱体と、前記
    橋上の前記発熱体の上流に位置する上流測温体と下流に
    位置する下流測温体とを備え、前記上流測温体と下流測
    温体との間の温度差を検出することにより流体の流量を
    測定する感熱式フローセンサにおいて、前記発熱体を発
    熱させる交流電力を出力する交流電源と、前記上流測温
    体及び前記下流測温体を一部に含む交流ブリッジ回路
    と、この交流ブリッジ回路のブリッジ出力値の交流周波
    数に同期した周波数を有しそのブリッジ出力値を増幅す
    る狭帯域増幅回路とを設けたことを特徴とする感熱式フ
    ローセンサ。
  3. 【請求項3】 発熱体により加熱されない基板の面上に
    媒体温度測温体を設け、この媒体温度測温体と発熱体又
    は発熱体温度測温体とを一部に有する発熱体温度制御用
    交流ブリッジ回路を設け、この発熱体温度制御用交流ブ
    リッジ回路に交流電源の交流電圧を制御する発熱体温度
    制御回路を接続したことを特徴とする請求項2記載の感
    熱式フローセンサ。
  4. 【請求項4】 交流電源は、直流電力源と、直流電圧又
    は電流を交流に変換する交流化手段とよりなることを特
    徴とする請求項1,2又は3記載の感熱式フローセン
    サ。
  5. 【請求項5】 交流電源の交流電圧を変調する変調手段
    を設けたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載
    の感熱式フローセンサ。
  6. 【請求項6】 発熱体が設けられる橋の面積を、0.0
    5mm2 以上で0.5mm2 以下の値に設定したことを
    特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の感熱式フ
    ローセンサ。
  7. 【請求項7】 発熱体及び交流ブリッジ回路を構成する
    各測温体の熱伝導率を、300Kにおいて200Wm~1
    K~1以上の値に設定したことを特徴とする請求項1,
    2,3,4又は5記載の感熱式フローセンサ。
  8. 【請求項8】 発熱体の上部に絶縁体を介して測温体を
    設けたことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記
    載の感熱式フローセンサ。
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