JPH0967620A - 脆性亀裂伝播停止特性に優れた調質型高張力鋼板の製造方法 - Google Patents
脆性亀裂伝播停止特性に優れた調質型高張力鋼板の製造方法Info
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Abstract
試験の遷移温度( vTs )が−80℃以下、ESSO
試験における破壊靱性値が−30℃にて200MPa・
m0.5 以上、溶接割れ停止予熱温度100℃以下、
溶接熱影響部の vTs が−60℃以下、を備えた厚肉高
張力鋼板の製造方法の提供。 【解決手段】C、Mn、Ni、Cr、Mo、Nb、V、
Bを特定した鋼を熱間圧延した後、850〜1050℃
に再加熱して焼入れし、その後さらに第一回目の焼入れ
温度以下に加熱して第二回目の焼入れを行い、続いて7
00℃以下で焼戻しして水冷する。
Description
求される揚水型発電所の水圧鉄管や氷海域の海洋構造物
等への使用に好適な、引張強さが880MPa以上のき
わめて優れた靱性をもつ厚肉の高張力鋼板の製造方法に
関する。
著になり、これらに使用される厚鋼板も、高強度化およ
び厚肉化している。例えば、揚水型水力発電所の水圧鉄
管に150mmを超える板厚の780MPa級高張力鋼
板が適用されたり、海洋構造物ではジャッキアップ型の
掘削リグのラック材等に板厚100mm以上の780M
Pa級高張力鋼板が使用されるに至っている。
引張強さを有する超高強度の厚肉鋼板の供給が望まれる
ようになっている。しかし、このような超高強度の厚肉
鋼板に高い靱性と優れた溶接性を同時に付与する技術、
およびこれを安定多量に供給できる技術は未だ確立され
ていない。
0.2〜0.35%のCを含むMn−Ni−Cr−Mo
鋼のMn/Cr比を重量比で1.5以下にすることによ
って低温靱性の向上を図った板厚40mm以上の引張強
さ90kgf/mm2 (880MPa)を超える調質型
高張力鋼板の製造方法が提案されている。しかし、この
方法では板厚100mmを超える厚肉鋼板の靱性および
溶接性を向上させるには不十分である。
100kgf/mm2 (980MPa)級高張力鋼板の
高靱化法としてNbを添加したNi−Cr−Mo−B鋼
の二回焼入れ処理を特徴とする方法を提案した(特公平
6−70250号公報参照)。この方法の目的は、二回
焼入れ処理により、細粒のオ−ステナイトを経て、微細
なマルテンサイト組織を厚肉鋼板の表層部から中心部ま
で安定して得ることにある。この結果、板厚150mm
の鋼板でも高強度とシャルピ−衝撃試験の遷移温度−6
0℃以下という高靱性が得られる。しかし単なる二回焼
入れのみによる微細化では靱性向上に限界があり、とく
に本発明が目的とする厚肉鋼板の脆性破壊亀裂伝播特性
が不足する。また、溶接熱影響部の靱性にも改善の余地
がある。
が880MPa以上、板厚の全ての部分でシャルピ−
遷移温度( vTs )が−80℃以下、板厚100mm
以上となっても脆性亀裂伝播停止試験における破壊靱性
値が−30℃にて200MPa・m0.5 以上、溶接割
れ停止予熱温度75℃以下および溶接熱影響部の vT
s が−60℃以下という性能を全て備えた厚肉の高張力
鋼の製造方法を提供することを目的とする。
mm以上の引張強さ880MPa級鋼板の溶接性および
靱性、とくに脆性亀裂伝播停止特性の向上について検討
した結果、以下の知見を得るに至った。
ために従来製造法のようなオ−ステナイト粒の微細化お
よびマルテンサイトとベイナイトの比率の最適化のみで
は不十分である。低温で安定な微細な残留オ−ステナイ
トを分散させる必要がある。引張強さ880MPa級の
板厚100mm以上の鋼板に上記した脆性亀裂伝播停止
特性を与える場合、この残留オ−ステナイトを10%以
下、好ましくは1〜5%に制御する必要がある。
および熱処理の条件を表す図面である。(a)は、圧延
後、再加熱し二回焼入れ焼戻しをする方法を、また、
(b)は二回焼入れのうち第一回目の焼入れを圧延後直
接焼入れにより代替する方法を表す。同図に示す方法を
4.5〜6.0%のNiを含有するCu−Ni−Cr−
Mo−Nb−B鋼に対して用いることにより、低温でも
安定な残留オ−ステナイトを微細分散させることができ
る。
+Si(%)+1.5solAl(%)なる指標を0.
30%以下に制限する必要がある。これにより、母材お
よび溶接熱影響部での硬質なマルテンサイト相の生成が
抑制され、靱性、とくに脆性亀裂伝播停止特性が向上す
る。
とによって、靱性、とくに脆性亀裂伝播停止特性を著し
く向上させることができる。
イトを微細分散させ同時に硬質のマルテンサイトの生成
を避けるための、以下に示す特定の組成の鋼に対する圧
延および熱処理方法をその要旨とする。(図1参照) (1)重量%で、C:0.08〜0.15%、Mn:
0.4〜1.2%、Si:0.20%以下、N:0.0
05%以下、Cu:1.5%以下、Ni:4.5〜6.
0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜0.8
%、Nb:0.005〜0.03%、V:0.005〜
0.10%、solAl:0.05%以下およびB:
0.0003〜0.0020%を含み、残部Feおよび
不可避的不純物からなり、かつC(%)+Si(%)+
1.5solAl(%)なる値が0.30%以下である
鋼を950〜1250℃の温度域に加熱して熱間圧延イ
を行った後、850〜1050℃の温度域に再加熱して
第一回目の焼入れロを行い、その後さらに750〜95
0℃の温度域であってかつ第一回目の焼入れ温度以下の
温度に加熱して第二回目の焼入れハを行い、続いて70
0℃以下の温度で焼戻しニを行い水冷することを特徴と
する脆性亀裂伝播停止特性と溶接性に優れた調質型厚肉
高張力鋼板の製造方法。
50〜1250℃の温度域に加熱して熱間圧延イを行っ
た後、650℃以上の温度域から直接焼入れホを行い、
次いで750〜950℃の温度域に再加熱して焼入れハ
を行い、続いて700℃以下の温度で焼戻しニを行い水
冷することを特徴とする脆性亀裂伝播停止特性と溶接性
に優れた調質型厚肉高張力鋼板の製造方法。
熱処理方法に分けて説明する。
未満では焼入性が不足して、880MPaの引張強さを
確保することが難しく、また靱性も不足する。
よび脆性亀裂伝播停止特性が低下するだけでなく溶接熱
影響部の硬さが上昇して溶接割れ感受性が高くなるので
0.08〜0.15%とする。通常、溶接施工に際して
溶接割れを防止するために、100〜200℃に鋼材お
よび溶接材料を予熱する。揚水発電所の建設現場、例え
ば岩盤内の狭い隧道内で水圧鉄管を溶接する際、予熱温
度が150℃を超えると作業環境が悪くなり、溶接施工
者の交代頻度を高めねばならず、溶接施工費が増大す
る。この溶接割れ防止予熱温度を75℃以下とするため
には、C量を0.13%以下とすることが望ましい。
加する元素であるが、0.4%未満では強度確保が困難
である。また、1.2%を超えると、母材および溶接部
ともに靱性低下をきたすので、0.4〜1.2%とす
る。
果、鋼に留まる程度の量は含んでもよい。しかし、0.
20%を超えると母材および溶接熱影響部の靱性を劣化
させるので0.20%以下とする。
0.005%を超える場合には母材および溶接熱影響部
の靱性低下が著しいので0.005%以下にしなければ
ならない。
0.15〜1.5%とする。Cuは焼入性を向上し、さ
らに0.8%を超えて含有する場合には焼戻し時の析出
硬化作用によって、母材の強靱化に効果がある。0.1
5%未満では焼入性向上が明らかに認められないが、
1.5%を超えると、母材および溶接部の靱性を損なう
だけでなく、熱間延性も大きく低下させるので0.15
〜1.5%とする。
伝播停止特性および溶接性の改善に不可欠の元素であ
る。4.5%以上含まれると、二回焼入れおよび焼戻し
処理により、微細マルテンサイトとベイナイトの混合組
織に数パ−セントの安定な残留オ−ステナイトが混合し
た組織になる。この結果、低温靱性、とくに脆性亀裂伝
播停止特性が飛躍的に向上する。一方、6.0%を超え
るとコスト上昇に比較して向上分が小さくなるだけでな
く、二回焼入れ焼戻し処理によって生成する残留オ−ス
テナイトの量も増加して降伏強さが低下する。そこでN
i量は4.5〜6.0%とする。また、Niは、硬さを
上昇させることなく変態温度を低下させ、低温域で変態
にともなう膨張により溶接部近傍に圧縮応力をもたら
す。このため、Ni量を4.5%以上とすることにより
溶接割れ防止予熱温度を低くすることができる。
形成することにより、オ−ステナイト粒を微細化する。
マルテンサイト組織はこのオ−ステナイト粒界に分断さ
れるので、その分、微細化される。この微細なマルテン
サイト組織が厚肉鋼板の表層部から中心部にわたって形
成されるので、超高強度の厚肉鋼板の靱性を大幅に向上
させる。この効果を得るには0.005%以上は必要で
あるが、0.03%を超えると溶接熱影響部の靱性が著
しく劣化するので0.005〜0.03%とする。
の強度および靱性を向上する。0.1%未満では明確な
効果が得られず、また1.0%を超えると、安定な残留
オ−ステナイトが得られなくなり、脆性亀裂伝播停止特
性が劣化するので0.1〜1.0%とする。
きい。0.1%未満では、必要な強度および靱性が得ら
れないが、0.8%を超えると強度が高くなりすぎ、脆
性亀裂伝播停止特性が劣化するので、0.1〜0.8%
とする。
温にすることを可能とすることにより、強度および靱性
の向上に寄与する。0.005%未満ではその効果は小
さく、また0.10%を超えると靱性が劣化するので
0.005〜0.10%とする。
織をマルテンサイトまたはマルテンサイトとベイナイト
の混合組織とする。0.0003%未満ではその効果は
小さく、また0.0020%を超えると母材靱性および
溶接熱影響部の靱性を大幅に劣化するので0.0003
〜0.0020%とする。
る。鋼の脱酸を目的として添加されて、その結果、鋼に
留まる程度の量は含んでもよい。しかし、880MPa
級の超高強度鋼においては、0.05%を超えると、溶
接熱影響部の靱性が劣化し、また熱処理によって組織を
微細化しても靱性、とくに脆性亀裂伝播停止特性が悪影
響を受けるのでsolAl0.05%以下とする。望ま
しい範囲は0.005〜0.025%である。0.00
5%未満では組織の微細化に効果が明確に現れないから
であり、0.025%を超えないのが望ましいのはより
高い脆性亀裂伝播特性を確保するためである。
(%):0.3%以下 上記した各元素の限定に加えて、母材および溶接熱影響
部の靱性向上、とくに脆性亀裂伝播停止を向上させるた
めに、C(%)+Si(%)+1.5solAl(%)
なる指標による限定が必要である。本指標による限定
は、残留オ−ステナイトを利用するためにNi含有量を
高くした場合、および高い焼入性を持たせた場合に必要
となる。即ち、本指標による限定は、従来の引張強さ5
80MPa級や780MPa級の鋼では、問題となるこ
との無かった靱性劣化要因を排除するためのものであ
る。具体的な限定理由は以下のとおりである。
件の最適化により母材組織を微細マルテンサイトと微量
の安定な微細オ−ステナイトの混合組織とすることによ
って、靱性、特に脆性亀裂伝播停止特性を向上させてい
る。微細オ−ステナイトは最終熱処理時に焼戻しマルテ
ンサイト中に生成し、冷却によって常温までもたらされ
る。しかし、この際、全てのオ−ステナイトがそのまま
常温まで変態せずに残留するわけでなく、一部のオ−ス
テナイトは冷却中に分解する。ここで、上記した指標が
0.3%を超えると、オ−ステナイトは炭素を過飽和に
固溶したまま脆い硬質マルテンサイトに変態し、母材の
靱性、特に脆性亀裂伝播停止特性を著しく低下させる。
上記の指標を0.3%以下にすることによって、オ−ス
テナイトの硬質マルテンサイト化を抑制すると同時に残
留オ−ステナイトの安定性を高め、母材の靱性を向上さ
せることができる。
は、焼入性がきわめて高く、溶接熱影響部では大部分が
マルテンサイト組織となる。この際、上記の指標が0.
3%を超えると冷却中に炭化物(主にセメンタイト)が
ほとんど析出せず、硬くて脆いマルテンサイトとなって
しまう。これに対し、上記の指標が0.3%以下では冷
却中の炭化物析出が容易になり、靱性の高いマルテンサ
イトが生成し易くなるため、溶接熱影響部の靱性が飛躍
的に改善される。
する。
う場合 (1)加熱温度:加熱温度が950℃未満では、鋳片が凝
固する際に生成した各種析出物が充分に固溶しない。そ
の結果、焼入性や焼入れ前のオ−ステナイト粒の微細化
が不十分となる。また、1250℃を超える加熱温度で
はオ−ステナイト粒が粗大化して鋼板の母材靱性が著し
く低下し、同時に加熱のための燃料原価が上昇し、炉の
補修頻度も多くなる。そこでスラブの加熱温度は950
〜1250℃とする。なお、本発明の対象とする厚鋼板
の圧延前のスラブは、インゴットを鋳込んだ後に分塊圧
延により製造してもよいし、また、連続鋳造法によりス
ラブを直接鋳込んでもよい。通常、板厚100mm程度
までは連続鋳造法によるスラブが、それ以上の板厚には
インゴットから分塊圧延されたスラブが使用される。
れ(図1のロ)の目的は主につぎの2点にある。前組
織を焼入れ組織とすることによって第二回目の焼入れ時
のオ−ステナイト粒径を細粒化して、最終の組織を微細
化する。厚肉鋼板の場合、厚鋼板に圧延後、脱水素の
ために徐冷するので徐冷中にB、AlもしくはNbの粗
大な炭窒化物がオ−ステナイト粒界等に析出する。これ
らの析出物を固溶させないとBの焼入性向上効果および
NbやAl等のオ−ステナイト粒細粒化効果を得られな
い。そこで、これら二つの目的を達成するために、85
0〜1050℃の範囲に加熱する。850℃未満では前
記した炭窒化物等が固溶しない。また1050℃を超え
るとAlNが固溶して固溶Nが増え、Bが焼入れ途中オ
−ステナイト粒界にBNとして析出してしまいBの焼入
性向上効果が得られない。1050℃を超えた場合、A
lNが固溶するので組織も粗大化する。焼入れはロ−ラ
−クエンチなどの装置を用いて行うが、比較的焼入性が
高い組成の場合は水槽中に焼入れたり、あるいは強制冷
却装置などを用いて焼入れしてもよい。
れ(図1のハ)は、Bの焼入性を完全に確保すること
および細粒オ−ステナイトからの焼入れにより、これ
らオ−ステナイト粒界により微細に分断されたマルテン
サイト組織を得ること、を目的としている。焼入性およ
び微細化効果の確保には、第二回目の焼入れ温度は95
0℃以下とする必要がある。しかし、750℃未満では
オ−ステナイト化が不十分で、充分な強度を得ることが
出来ない。この焼入れも第一回目の焼入れと同じく、ロ
−ラ−クエンチ装置等を用いて行う。
し(図1のニ)の効果は、一般の焼戻しと同様の効果に
とどまらない。すなわち、焼入れによって生じた歪を取
り除き、微細な炭化物を析出させることによって強度と
靱性のバランスを改善する効果だけではない。
以下、好ましくは550〜650℃の温度域に保持する
ことによって、10%以下、好ましくは1〜5%の微細
かつ安定な残留オ−ステナイトをマルテンサイト組織中
に分散させ、靱性、とくに脆性亀裂伝播停止特性を飛躍
的に向上させる。焼戻しの均熱時間は、板厚25mmあ
たり10〜60分間とするのが望ましい。均熱時間を1
0分間以上とらないと、鋼板全体が均一な機械的性質と
ならないからであり、また60分間以内とするのは焼戻
しにより強度低下をきたすからである。例えば板厚15
0mmの場合、均熱時間は60分間以上360分間以内
とするのがよい。ここに、均熱時間とは、鋼板の表面温
度が所定の焼戻し温度に到達してからの保持時間であ
る。700℃を超えるとオ−ステナイト量が増えるが、
それらに濃化するNi量は相対的に減少するので、低い
衝撃試験温度で残留オ−ステナイトが不安定となり、上
記した靱性向上効果は得られない。
焼戻し脆性が生じる温度域を急冷して焼戻し脆性を抑制
し、かつ残留オ−ステナイトをより安定化する目的で行
う。
して焼入れおよび焼戻しを行う場合この場合の圧延加熱
温度、第二回目焼入れ条件および焼戻し条件は前記した
条件と同じである。直接焼入れは前記した製造方法
(a)の場合にはないものであり、その条件を以下に説
明する。
ホ)は二回焼入れ処理の第一回目の焼入れを代替するも
ので、仕上げ圧延を650℃以上で行いその温度域から
水冷する。このとき、焼入れ開始温度が650℃を下回
ると焼入れ組織中に、粗大なベイナイトが混入し、強度
および靱性に悪影響を及ぼすため焼入れ開始温度を65
0℃以上とした。
持つ鋼7種および範囲外の鋼6種の化学組成を示す一覧
表である。また、表2〜表4はこれら組成を持つ鋼片に
対して行った圧延および熱処理条件を表す一覧表であ
る。なお、焼戻しの均熱時間は、板厚25mmあたり2
0分間とした。表2は、本発明の組成範囲にある鋼A、
B、CおよびDに対して本発明に係る圧延および熱処理
を施したものと本発明の範囲外の条件を施すものの両方
を併せて示す。表3は、本発明の組成をもつ鋼E、Fお
よびGに、本発明に係る圧延および熱処理を施すもので
ある。表4は、組成が本発明の組成範囲から外れた鋼
H、I、J、K、LおよびMへの圧延および熱処理条件
を示す。これら鋼板に対して強度、靱性および溶接性の
評価を行った。靱性はシャルピ−衝撃試験における vT
s により、また、脆性亀裂伝播停止特性はESSO試験
における破壊靱性値にて評価した。
よび亀裂の概要を示した図面である。本試験では、温度
勾配をつけた大型の試験片に一様応力を負荷し、試験片
端部で強制的に発生させた亀裂を試験片内部に突入さ
せ、停止した地点の温度および亀裂長さを求める。これ
らより、破壊靱性値Kcaを求めることができる。温度
勾配型ESSO試験ではKcaの温度依存性を利用して
少数の試験で広い温度範囲のKcaを求めることができ
る。
れ試験により、割れの発生の有無により評価した。温度
30℃、湿度80%の雰囲気下で、溶接棒を1時間放置
し、吸湿させた後、同条件の雰囲気下で溶接を実施し
た。
にX型の開先加工を施し、入熱約3万J/cmでサブマ
−ジア−ク溶接にて多層溶接(25〜35層、60〜7
0パス、予熱・パス間温度125℃)を行った。ボンド
および熱影響部中央の位置にシャルピ−試験片のノッチ
位置を合わせて試験片を加工して試験に供した。
より製造された極厚鋼板は、板厚の表層、1/4tおよ
び1/2tの全てにおいて引張強さ880MPa以上、
かつvTs −80℃以下となる。また、ESSO試験で
の−30℃における破壊靱性値は本発明方法によるもの
は200MPa・m0.5 を余裕をもって満たしている。
これらの結果はいずれも本発明方法が、極厚の超高強度
鋼板の強度および靱性、とくに脆性亀裂伝播停止特性を
向上させるのにきわめて有効な方法であることを示すも
のである。
の圧延および熱処理を適用する本発明方法によれば、組
織の微細化に加えて、安定な残留オ−ステナイトの微細
分散と硬質のマルテンサイトの生成防止が実現できる。
その結果、板厚100mm以上の鋼板の全ての板厚位置
において引張強さ880MPa以上ならびに vTs −8
0℃以下、およびESSO試験での−30℃における破
壊靱性値200MPa・m0.5 以上の性能が得られる。
また、本鋼板は溶接施工の際の予熱温度を75℃以下に
できるので狭隘な場所での施工環境を過酷なものとせず
にすみ、かつ溶接継手部の靱性も vTs −60℃以下と
きわめて良好である。本発明方法によって製造された鋼
板は、高度の安全性が要求される揚水型発電の水圧鉄管
あるいは氷海域での海洋構造物に適用され、不測の原因
により脆性亀裂が発生しても、脆性亀裂伝播を停止し
て、その影響の及ぶ範囲を一定範囲に抑制することがで
きる。
物を製作し、また利用する産業の発展に資するところが
大きい。
を表す図面である。(a)は、圧延後、再加熱し二回焼
入れ焼戻しをする方法を、また、(b)は二回焼入れの
うち第一回目の焼入れを圧延後直接焼入れにより代替す
る方法を表す。
亀裂の概要を示した図面である。
れ、ニ…焼戻し ホ…直接焼入れ
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.08〜0.15%、M
n:0.4〜1.2%、Si:0.20%以下、N:
0.005%以下、Cu:1.5%以下、Ni:4.5
〜6.0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜
0.8%、Nb:0.005〜0.03%、V:0.0
05〜0.10%、solAl:0.05%以下および
B:0.0003〜0.0020%を含み、残部Feお
よび不可避的不純物からなり、かつC(%)+Si
(%)+1.5solAl(%)なる値が0.30%以
下である鋼を950〜1250℃の温度域に加熱して熱
間圧延を行った後、850〜1050℃の温度域に再加
熱して第一回目の焼入れを行い、その後さらに750〜
950℃の温度域であってかつ第一回目の焼入れ温度以
下の温度に加熱して第二回目の焼入れを行い、続いて7
00℃以下の温度で焼戻しを行い水冷することを特徴と
する脆性亀裂伝播停止特性と溶接性に優れた調質型厚肉
高張力鋼板の製造方法。 - 【請求項2】請求項1に記載する組成の鋼を950〜1
250℃の温度域に加熱して熱間圧延を行った後、65
0℃以上の温度域から直接焼入れを行い、次いで750
〜950℃の温度域に再加熱して焼入れを行い、続いて
700℃以下の温度で焼戻しを行い水冷することを特徴
とする脆性亀裂伝播停止特性と溶接性に優れた調質型厚
肉高張力鋼板の製造方法。
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JP22345395A JP3327065B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた調質型高張力鋼板の製造方法 |
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JPH0967620A true JPH0967620A (ja) | 1997-03-11 |
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