JPH0967426A - エポキシ樹脂組成物およびそれから得られる注型絶縁物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物およびそれから得られる注型絶縁物

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JPH0967426A
JPH0967426A JP22209995A JP22209995A JPH0967426A JP H0967426 A JPH0967426 A JP H0967426A JP 22209995 A JP22209995 A JP 22209995A JP 22209995 A JP22209995 A JP 22209995A JP H0967426 A JPH0967426 A JP H0967426A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形後に短時間で離型が可能であり、耐熱
性、耐クラック性および充てん材の均一分散性等の特性
に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物および該組
成物から得られる注型絶縁物の提供。 【解決手段】 酸環エポキサイド型エポキシ樹脂、ビフ
ェニル型エポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂と反応して
架橋構造を取り得る鎖状ポリマーの3種類の成分を混合
して得られる混合物(A)と、硬化剤(B)および充て
ん材(C)とを含有する、エポキシ樹脂組成物および該
組成物を注型硬化させて得られる注型絶縁物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐熱性エポキシ
樹脂組成物および該組成物を注型硬化させて得られる注
型絶縁物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、注型絶縁物の電気的性質、機械的
性質および物理的性質等を改善する目的で、注型用樹脂
組成物として、低分子量の脂環式エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、多塩基性酸無水物および各
種充てん材を含むエポキシ樹脂組成物が用いられてい
る。近年になって、電気機器の小型化および通電容量の
増大化等に伴い、そのような電気機器に使用される注型
絶縁物に対しても、より一層の高耐熱化または高強度化
等の特性向上の要請がなされている。そのため、耐熱性
に富む環エポキサイド型エポキシ樹脂が注型用樹脂組成
物中に大量に配合されるようになってきた。また、注型
絶縁物に高強度を付与するために、充てん材として充填
性に優れるアルミナ粉末または石英粉末のどちらか一方
を用途に応じて組成物に配合することが一般的となって
いる。
【0003】上記の如き組成を有する注型用樹脂組成物
としては、低分子量の環エポキサイド型エポキシ樹脂と
フェノキシ樹脂とを加熱混合させて得られる混合物、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、多塩基性カルボン酸無
水物およびアルミナ粉末からなるエポキシ樹脂組成物を
例示することができる(特開昭58−213018号公
報参照)。そして、そのようなエポキシ樹脂組成物を減
圧容器内に設置した金型へ注入した後、所定の温度およ
び時間で硬化させ、次いで金型から取り出した製品をさ
らに後硬化させてから冷却することにより、注型絶縁物
を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き組成を有する従来のエポキシ樹脂組成物において
は、低分子量の環エポキサイド型エポキシ樹脂を大量に
配合して高耐熱性硬化物を得ようとすると、高分子のビ
スフェノールA型エポキシ樹脂の配合効果が薄れてしま
い、硬化収縮および/または冷却過程における収縮の増
大、即ち硬化製品内部の残留応力の増加を招くという欠
点があった。従来、このような残留応力を低下させるた
めに、所定の加熱硬化完了後の冷却法として炉内徐冷方
法が提案されているが、この方法では離型までに要する
時間、即ち製品が炉内に留まる時間が長くなり、生産性
が低下してしまうという問題があった。
【0005】さらに、従来のエポキシ樹脂組成物におい
て、低分子量の環エポキサイド型エポキシ樹脂を大量に
配合した場合には、この樹脂自体が低粘度である上に硬
化に要する酸無水物の配合量が増大するため、最終的に
はエポキシ樹脂組成物が全体として低粘度化される。そ
して、そのような樹脂組成物にアルミナ粉末または石英
粉末などの比重の大きな充てん材を配合して該樹脂の高
強度化を図ると、充てん材と樹脂成分との比重差が大き
く異なるために、加熱硬化過程において充てん材が低粘
度の組成物中を著しく沈降してしまい、硬化物中で充て
ん材が著しく偏在することとなる。こうして充てん材が
偏在することにより、従来のエポキシ樹脂組成物から得
られた硬化物においては、製品内で誘電率が不均一とな
り、局所的な電位分担バランスが不均衡となるという欠
点があった。このような硬化物を絶縁物として用いる
と、電気機器のAC耐電圧特性を低下させる等の電気的
問題を生じさせるのみならず、充てん材濃度の不均一性
が原因して耐クラック性を始めとする種々の機械的性質
を低下させるという問題をも生じさせる。
【0006】従来、このような充てん材の沈降を防止す
るために、充てん材の配合量を増加させたり、または充
てん材の粒子サイズを小さくするなどの方法によりエポ
キシ樹脂組成物を全体として増粘させることが試みられ
ている。しかし、これらの方法では、エポキシ樹脂と充
てん材との混合の際に混合物が著しく高粘度化してしま
い、この混合物を調製する過程で混合釜が磨耗して釜の
金属成分が混合物中に混入することとなって、得られる
製品の絶縁物としての電気特性が低下したり、あるいは
高充填化等によりエポキシ樹脂組成物自体の可とう性が
失われ硬化物の機械的特性が低下してしまう等の問題が
あった。
【0007】さらに、従来の組成物から得られる注型絶
縁物は、例えば特開昭58−213018号公報に記載
の如く、140〜150℃程度までの熱変形温度(HD
T)を有するものが多く、耐熱性の点おいて産業上の要
請に十分に答えているとはいえず、従来よりも高耐熱性
の注型絶縁物、特に高電圧機器に用いるに適した注型絶
縁物を与え得るエポキシ樹脂組成物が望まれていた。
【0008】本発明は、上記した種々の問題に鑑みてな
されたものであり、成形後に短時間で離型が可能であ
り、完全に硬化したときに耐熱性、耐クラック性および
充てん材の均一分散性等の特性に優れ、注型絶縁物に好
適な硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物および該組成物
を注型硬化させて得られる高耐熱性注型絶縁物を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエポキシ樹
脂組成物は、環エポキサイド型エポキシ樹脂、ビフェニ
ル型エポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂と反応して架橋
構造を取り得る鎖状ポリマーの3種類の成分を混合して
得られる混合物(A)、硬化剤(B)および充てん材
(C)を含有するエポキシ樹脂組成物である。また、本
発明に係る注型絶縁物は、本発明のエポキシ樹脂組成物
を注型硬化して得られる注型絶縁物である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のエポキシ樹脂組成物中、
混合物(A)に使用し得る環エポキサイド型エポキシ樹
脂は、25℃における粘度が1000センチポアズ(c
ps)以下、例えば300〜750cpsのものが適当
である。エポキシジシクロペンテニルフェニルグリシジ
ルエーテルまたはジシクロアリファティックジエーテル
エポキシ等の25℃における粘度が1000cpsを越
える環エポキサイド型エポキシ樹脂は、それ自体の粘度
が高いために混合物(A)全体の粘度を高くしてしま
い、作業性を低下させたり、著しいときには使用困難に
するので好ましくない。また、分子量が極めて小さいも
のでは硬化に要する硬化剤が多くなる等の理由でやはり
好ましくない。
【0011】しかしながら、市販品も含めた公知の環エ
ポキサイド型エポキシ樹脂のほとんどのものは本発明に
使用することができ、本発明に好適に使用し得る環エポ
キサイド型エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシ
クロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)−シクロヘキサ
ンカルボキシレートおよびビス(3,4−エポキシ−6
−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等を挙げる
ことができる。そのような環エポキサイド型エポキシ樹
脂は、同時に配合するビフェニル型エポキシ樹脂との相
溶性が良好であり、ビフェニル型エポキシ樹脂および鎖
状ポリマーの配合効果を損なわずに短時間での離型を可
能とする弾性率を付与し、さらには硬化物の耐熱性およ
び耐クラック性などの諸特性を向上させるなどの点にお
いて優れている。
【0012】環エポキサイド型エポキシ樹脂の配合量
は、選択した樹脂の分子量および所望の製品特性等に応
じて適宜決定することができる。例えば、前記3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)−シ
クロヘキサンカルボキシレートの場合、その配合量は、
エポキシ樹脂組成物全量に対して通常は4.0〜11.0
重量%、好ましくは6.0〜9.0重量%の範囲である。
ただし、配合量が4.0重量%未満であると得られる硬
化物における耐熱性の向上が望めないので好ましくな
い。また、配合量が11.0重量%を越えると混合物
(A)の粘度が低くなりすぎるのみならず、エポキシ樹
脂組成物全体としての粘度も低くなりすぎるので、好ま
しくない。
【0013】本発明の混合物(A)に使用し得るビフェ
ニル型エポキシ樹脂としては特に限定されず、同時に配
合される他の樹脂、製品用途等を考慮して市販品等の公
知のビフェニル型エポキシ樹脂の中から適宜選択して使
用することができる。本発明に好適に使用し得るビフェ
ニル型エポキシ樹脂としては、下式(I):
【0014】
【化4】
【0015】(式中、nは平均して1.4〜1.6の数を
示す。)で表される 3,3',5,5'テトラメチルビフェ
ノールジグリシジルエーテル縮合物を挙げることができ
る。また、下式(II):
【0016】
【化5】
【0017】(式中、nは平均して1.4〜1.6の数を
示す。)で表されるビフェノールグリシジルエーテル縮
合物等も使用可能である。このとき、前記化学式(I)
および(II)中のnが1.4未満であると、ビフェニ
ル構造による可とう性付与効果が十分に発揮されず、得
られる硬化物における耐クラック性の向上が望めないの
で好ましくない。また、nが1.6を越えると、混合物
(A)の粘度が高くなりすぎ、その結果エポキシ樹脂組
成物全体としての粘度も高くなりすぎ、必要量を分取す
るときなどの作業性が低下してしまうのでやはり好まし
くない。
【0018】ビフェニル型エポキシ樹脂の配合量は、選
択した樹脂の分子量および所望の製品特性等に応じて適
宜決定することができる。例えば、前記式(I)で表さ
れるビフェニル型エポキシ樹脂の場合、その配合量はエ
ポキシ樹脂組成物全量に対して通常は4.0〜12.0重
量%、好ましくは5.0〜10.0重量%であることが適
当である。配合量が4.0重量%未満であるとビフェニ
ル構造による可とう性付与効果が十分に発揮されず、得
られる硬化物における耐クラック性の向上が望めないの
で望ましくない。また、配合量が12.0重量%を越え
ると混合物(A)の粘度が高くなりすぎてしまい、その
結果エポキシ樹脂組成物全体としても増粘することにな
り、必要量を分取するときなどの作業性が低下してしま
うので望ましくない。
【0019】本発明の混合物(A)に使用し得るエポキ
シ樹脂と反応して架橋構造を取り得る鎖状ポリマーは、
特に限定されるものではなく、本発明の組成物に適当な
粘度、即ち充てん材の分散均一性を保つことができ、か
つ作業性を低下させない粘度を付与し、エポキシ樹脂と
反応して架橋構造を形成して製品用途に見合った諸特性
を与え得る鎖状ポリマーであればいかなるものであって
もよい。そのような鎖状ポリマーとしては、下記式(I
II):
【0020】
【化6】
【0021】(式中、mは平均して約100の数を示
す。)で表される平均分子量約30,000のフェノキ
シ樹脂を挙げることができる。フェノキシ樹脂は、硬化
物の耐熱性、強靱性、耐磨耗性、耐薬品性および/また
は可とう性等を向上させる点で優れている。鎖状ポリマ
ーの配合量は、選択したポリマーの分子量および所望の
製品特性等に応じて適宜決定することができる。例え
ば、前記式(III)で表されるフェノキシ樹脂と同程
度の分子量を有している場合、その配合量は通常エポキ
シ樹脂組成物全量の1.0〜5.0重量%、好ましくは
1.5〜2.5重量%である。配合量が1.0重量%未満
であるとエポキシ樹脂組成物全体の粘度が低下してしま
い、充てん材の沈降を防止することができずに硬化物の
電気特性および機械特性の低下を生じるので望ましくな
い。また、配合量が5.0重量%を越えると混合物
(A)の粘度が高くなりすぎてその計量作業に支障をき
たすのみならず、エポキシ樹脂組成物全体の粘度も高く
なりすぎて複雑な形状および/または大型の注型品の製
造が困難となるので望ましくない。さらに、組成物を調
製する過程で混合作業中に発生する摩擦熱が増加するた
めに混合過程で組成物の硬化が生じたり、あるいは得ら
れる硬化物中にボイドが残存し易くなるなど、製品の生
産性ならびに硬化物の電気特性および機械特性の低下を
も招き易くなることから、5.0重量%を越える配合量
は避けることが望ましい。
【0022】本発明において環エポキサイド型エポキシ
樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂および鎖状ポリマーを
混合して得られる混合物(A)のエポキシ樹脂組成物に
おける配合量は、樹脂およびポリマーの種類により変化
し得るが、一般的にはエポキシ樹脂組成物全量の15.
0〜25.0重量%、好ましくは16.0〜20.0重量
%である。その配合量が15.0重量%未満であると、
エポキシ樹脂組成物の粘度が低くなりすぎてアルミナ粉
末または石英粉末などの比重の大きな充てん材の沈降を
防止することができず、得られる硬化物の電気特性およ
び/または機械特性などの物性が低下することがあるた
め望ましくない。また、配合量が25重量%を越えると
エポキシ樹脂組成物における充てん材の配合量が少量に
なるために、得られる硬化物の機械特性および耐クラッ
ク性の低下を招き易くなり、やはり望ましくない。
【0023】本発明のエポキシ樹脂組成物に使用し得る
硬化剤(B)としては、特に制限されるものではなく、
通常エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものであれ
ば使用し得るが、高い酸抵抗性を示す多塩基性カルボン
酸無水物が好ましい。本発明の硬化剤として好適な多塩
基性カルボン酸無水物は、特に限定されるものではな
く、通常のエポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂の硬化条
件下に硬化剤として働き得るものであればよく、そのよ
うな多塩基性カルボン酸無水物としては、例えばヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル
酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無
水フタル酸、メチルヒドロ無水フタル酸および無水メチ
ルハイミック酸等を例示することができる。これらの硬
化剤は、単独または2種類以上を組み合わせて使用する
ことができる。硬化剤の配合量は、通常エポキシ樹脂組
成物全重量に対して0.6〜1.0モルの範囲、好ましく
は0.6〜0.8モルの範囲である。
【0024】本発明のエポキシ樹脂組成物に使用し得る
充てん材(C)としては、特に制限されるものではな
く、注型絶縁物の製造に使用し得る充てん材の中から適
宜選択し得るが、それらの中でも無機質粉末が好まし
く、アルミナ粉末あるいは溶融石英粉末が特に好まし
い。アルミナ粉末は、熱伝導性、高充填性および耐薬品
性に優れ、かつ六フッ化硫黄を消弧媒体および/または
絶縁媒体として使用する電気機器、特に重電機器におい
て優れた耐久性を示すので、本発明のエポキシ樹脂組成
物に配合するに適している。溶融石英粉末は、耐熱性お
よび耐クラック性の点で特に優れているので、本発明の
エポキシ樹脂組成物に配合するに適している。充てん材
のサイズは、通常平均粒度7〜14μm程度であるが、
これに制限されず、所望の製品特性等に応じて適宜変化
し得る。充てん材の配合量は通常エポキシ組成物全量の
約60〜80重量%であることが好ましい。
【0025】上記の如く、本発明のエポキシ樹脂組成物
は、耐熱性に富む環エポキサイド型エポキシ樹脂、可と
う性に富むビフェニル型エポキシ樹脂、およびエポキシ
樹脂と反応して架橋構造を取り得る鎖状ポリマーの3種
類の成分を混合して得られる混合物(A)と、硬化剤
(B)および充てん材(C)とを必須成分として含有す
るが、これらの成分に加えて、本発明組成物の効果を阻
害しない限り、所望によりさらに可とう性付与剤、硬化
促進剤、着色剤、変成剤、劣化防止剤、内部離型剤およ
び/または希釈剤等の副資材を適当量含んでいてもよ
い。以下に、本発明のエポキシ樹脂組成物を実施例およ
び比較例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は
これらの実施例により些かも制限されるものではない。
【0026】
【実施例】下記実施例および比較例すべてにおいて、所
定の時間130℃で減圧下に配合成分を混合することに
よりエポキシ樹脂組成物を調製した後、得られたエポキ
シ樹脂組成物を130℃の温度条件下に一次硬化させ、
次いで150℃の温度条件下に二次硬化させて完全硬化
物を得た。このとき、特に断りのない限り、充てん材濃
度が約74%、硬化剤濃度がエポキシ樹脂に対して約
0.7モルとなるように各組成物を調製した。各組成物
およびそれらから得られた硬化物について、次に示す測
定および評価を行った。
【0027】誘電率、誘電正接、体積低効率および絶縁
破壊強さ:硬化物を用いて、JIS K6911に従い
測定した。初期粘度: エポキシ樹脂に硬化剤を添加してから15分
間経過した時点の粘度(cps)を測定し、その粘度を
初期粘度とした。弾性率: 一次硬化完了後、一次硬化物を離型時と同一の
条件に設定した曲げ試験に供して弾性率(kgf/mm2)を
測定した。曲げ強さおよび引張強さ: JIS K6911に従い硬
化物の曲げ強さ(kgf/mm2)および引張強さ(kgf/mm2
を測定した。クラック指数: 国際電気基準会議IEC推奨法(public
ation 455-2)に準拠してエポキシ樹脂組成物から耐ク
ラック試験片を作製してクラック指数を評価した。
【0028】HDT(熱変形温度):アメリカ材料試験
協会規格(ASTM-D648)に準拠して耐熱試験片を作製
し、HDT(℃)を測定・評価した。沈降量: 硬化処理の際に外径20mm、高さ200mm の
硬化物を調製してその上部約5mm 中の充てん材濃度を
測定し、この値とエポキシ樹脂組成物における充てん材
の配合量から算出した平均濃度との差を求め、得られた
濃度差を充てん材の沈降量(%)とした。 尚、下記実施例および比較例における「部」は全て「重
量部」である。
【0029】<実施例1>環エポキサイド型エポキシ樹
脂としてチバガイギー社製CY−179、ビフェニル型
エポキシ樹脂として油化シェル社製YL6446(試作
品番号)、および鎖状ポリマーとしてUCC社製フェノ
キシ樹脂PKHHを用い、これら3成分を混合して得ら
れた混合物(A)に対し、硬化剤としてメチルテトラヒ
ドロ無水フタル酸(Me−THPA)および充てん材と
してアルミナ粉末を用いて下記配合物: を調製し、これらを130℃の温度条件下に減圧攪拌混
合してエポキシ樹脂組成物を得た。得られた組成物の配
合割合(重量%)を表1に、組成物の物性および硬化物
の特性を表2に示す。
【0030】<実施例2>実施例1と同様にして次の組
成を有するエポキシ樹脂組成物を得た。 得られた組成物の配合割合(重量%)を表1に、組成物
の物性および硬化物の特性を表2に示す。
【0031】<実施例3>実施例1と同様にして次の組
成を有するエポキシ樹脂組成物を得た。 得られた組成物の配合割合(重量%)を表1に、組成物
の物性および硬化物の特性を表2に示す。
【0032】<実施例4>実施例1と同様にして次の組
成を有するエポキシ樹脂組成物を得た。 得られた組成物の配合割合(重量%)を表1に、組成物
の物性および硬化物の特性を表2に示す。
【0033】<実施例5>実施例1と同様にして次の組
成を有するエポキシ樹脂組成物を得た。 得られた組成物の配合割合(重量%)を表1に、組成物
の物性および硬化物の特性を表2に示す。
【0034】<実施例6>実施例1と同様にして次の組
成を有するエポキシ樹脂組成物を得た。 得られた組成物の配合割合(重量%)を表1に、組成物
の物性および硬化物の特性を表2に示す。
【0035】<実施例7>実施例1と同様にして次の組
成を有するエポキシ樹脂組成物を得た。 得られた組成物の配合割合(重量%)を表1に、組成物
の物性および硬化物の特性を表2に示す。
【0036】<実施例8>実施例1と同様にして次の組
成を有するエポキシ樹脂組成物を得た。 得られた組成物の配合割合(重量%)を表1に、組成物
の物性および硬化物の特性を表2に示す。
【0037】<比較例1>実施例1で用いた環エポキサ
イド型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂および
鎖状ポリマーからなる混合物(A)において、ビフェニ
ル型エポキシ樹脂および鎖状ポリマーを配合する代わり
に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(チバガイギー社
製CT−200)を配合し、硬化剤(B)および充てん
材(C)の種類は実施例1と同様として、下記配合物: を調製し、これらを130℃の温度条件下に減圧攪拌混
合してエポキシ樹脂組成物を得た。得られた組成物の物
性および硬化物の特性を表2に示す。
【0038】<比較例2>比較例1の如き組成を有する
エポキシ樹脂組成物において、充てん材(C)の配合量
を増加させて充てん材の沈降量の減少を図った下記配合
物: を調製し、これらを130℃の温度条件下に減圧攪拌混
合してエポキシ樹脂組成物を得た。得られた組成物の物
性および硬化物の特性を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】上記表1および表2より、本発明に従い
調製されたエポキシ樹脂組成から得られる硬化物は全
て、従来のエポキシ樹脂組成物よりも高い熱変形温度
(160℃以上)を有していることがわかる。また、本
発明の組成物において、組成物全量に対して、ビフェニ
ル型エポキシ樹脂の配合量が4.0〜12.0重量%、鎖
状ポリマーの配合量が1.0〜5.0重量%、そして混合
物(A)の配合量が15〜25重量%であると、組成物
およびそれから得られる硬化物の種々の特性がより一層
向上することもわかる。さらに、そのような種々の特性
の向上が、全体的にバランスよくなされていることもわ
かるが、これは本発明のエポキシ樹脂組成物の優れた利
点である。
【0042】以上述べた如く、本発明のエポキシ樹脂組
成物は、耐熱性に富む環エポキサイド型エポキシ樹脂、
可とう性に富むビフェニル型エポキシ樹脂、およびエポ
キシ樹脂と反応して架橋構造を取り得る鎖状ポリマーの
3種類の成分を混合して得られる混合物(A)、硬化剤
(B)および充てん材(C)を含有するエポキシ樹脂組
成物であり、このエポキシ樹脂組成物から得られる硬化
物は高い熱変形温度を有しているにもかかわらず、優れ
た耐クラック性を示し、充てん材の均一分散性に優れて
いるために機械特性および/または電気特性にも優れて
おり、さらには短時間離型が可能であるために生産性を
向上させ得る等、種々の特性に優れていることから、注
型絶縁物のためのエポキシ樹脂組成物として好適に使用
されることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 27/32 H01F 27/32 A 41/12 41/12 B (72)発明者 高橋 久光 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環エポキサイド型エポキシ樹脂、ビフェ
    ニル型エポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂と反応して架
    橋構造を取り得る鎖状ポリマーの3種類の成分を混合し
    て得られる混合物(A)、硬化剤(B)および充てん材
    (C)を含有する、高耐熱性エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記環エポキサイド型エポキシ樹脂が、
    25℃における粘度が1000センチポアズ(cps)
    以下のものである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記環エポキサイド型エポキシ樹脂が、
    3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキ
    シ)−シクロヘキサンカルボキシレートまたはビス(3,
    4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジ
    ペードである、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 前記ビフェニル型エポキシ樹脂が下式
    (I): 【化1】 (式中、nは平均して1.4〜1.6の数を示す。)で表
    される3,3',5,5' テトラメチルビフェノールジグリ
    シジルエーテル縮合物、または下式(II): 【化2】 (式中、nは平均して1.4〜1.6の数を示す。)で表
    されるビフェノールジグリシジルエーテル縮合物であ
    る、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記鎖状ポリマーが、下式(III): 【化3】 (式中、mは平均して約100の数を示す。)で表され
    るフェノキシ樹脂である、請求項1に記載のエポキシ樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記環エポキサイド型エポキシ樹脂の配
    合量が、組成物全量に対して3.0〜15.0重量%であ
    る、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】 前記ビフェニル型エポキシ樹脂の配合量
    が、組成物全量に対して4.0〜12.0重量%である、
    請求項1または4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記鎖状ポリマーの配合量が、組成物全
    量に対して1.0〜5.0重量%である、請求項1または
    5に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記混合物(A)の配合量が、組成物全
    量に対して15〜25重量%である、請求項1〜8のい
    ずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記硬化剤(B)が多塩基性カルボン
    酸無水物である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  11. 【請求項11】 前記多塩基性カルボン酸無水物が、ヘ
    キサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタ
    ル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ
    無水フタル酸、メチルヒドロ無水フタル酸および無水メ
    チルハイミック酸からなる群より選ばれる1種類以上の
    多塩基性カルボン酸無水物である、請求項10に記載の
    エポキシ樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 前記充てん材(C)が無機質粉末であ
    る、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 前記無機質粉末がアルミナ粉末または
    溶融石英粉末である、請求項12に記載のエポキシ樹脂
    組成物。
  14. 【請求項14】 前記硬化剤(B)の配合量が、エポキ
    シ樹脂に対して0.6〜0.8モルの範囲である、請求項
    1、10または11のいずれか1項に記載のエポキシ樹
    脂組成物。
  15. 【請求項15】 前記充てん材(C)の配合量が、組成
    物全量に対して60〜80重量%である、請求項1、1
    2または13のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  16. 【請求項16】 前記エポキシ樹脂組成物を硬化させて
    得られる硬化物の熱変形温度が160℃以上である、請
    求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれか1項に記載
    のエポキシ樹脂組成物を注型硬化させて得られる注型絶
    縁物。
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JP2008081722A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Polytronics Technology Corp 熱伝導性誘電ポリマー材料およびそれを含有する熱放散基板
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