JPH0967387A - 金属内包フラーレン化合物及びその製造方法 - Google Patents

金属内包フラーレン化合物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH0967387A
JPH0967387A JP7223930A JP22393095A JPH0967387A JP H0967387 A JPH0967387 A JP H0967387A JP 7223930 A JP7223930 A JP 7223930A JP 22393095 A JP22393095 A JP 22393095A JP H0967387 A JPH0967387 A JP H0967387A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
fullerene
encapsulated
compound
fullerene compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7223930A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunori Yamamoto
和典 山本
Hideyuki Funasaka
英之 船坂
Takeshi Takahashi
武士 高橋
Takeshi Akasaka
健 赤阪
Tatsuhisa Katou
立久 加藤
Shigeru Nagase
茂 永瀬
Iku Kobayashi
郁 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Power Reactor and Nuclear Fuel Development Corp
Original Assignee
Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Power Reactor and Nuclear Fuel Development Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan, Power Reactor and Nuclear Fuel Development Corp filed Critical Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Priority to JP7223930A priority Critical patent/JPH0967387A/ja
Priority to US08/606,941 priority patent/US5869626A/en
Publication of JPH0967387A publication Critical patent/JPH0967387A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic System
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/08Compounds having one or more C—Si linkages
    • C07F7/0803Compounds with Si-C or Si-Si linkages
    • C07F7/0805Compounds with Si-C or Si-Si linkages comprising only Si, C or H atoms
    • C07F7/0807Compounds with Si-C or Si-Si linkages comprising only Si, C or H atoms comprising Si as a ring atom
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic System
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/08Compounds having one or more C—Si linkages
    • C07F7/0803Compounds with Si-C or Si-Si linkages
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S977/00Nanotechnology
    • Y10S977/70Nanostructure
    • Y10S977/734Fullerenes, i.e. graphene-based structures, such as nanohorns, nanococoons, nanoscrolls or fullerene-like structures, e.g. WS2 or MoS2 chalcogenide nanotubes, planar C3N4, etc.

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属内包フラーレンに側鎖を導入した新規な
金属内包フラーレン化合物を提供する。 【解決手段】 金属内包フラーレンに下記構造式(2)
のジシリラン誘導体又はジゲルミラン誘導体を反応させ
ることにより、金属内包フラーレンに官能基を付加して
下記構造式(1)に示される金属内包フラーレン化合物
を製造する。 【化1】 ここで、Mは内包された金属、mは1から3までの整
数、nは28から200までの偶数、Rはt−ブチル
基、もしくは2,6位にアルキル置換基を持つ芳香族置
換基であるメシチル基、2,6−ジエチルフェニル基、
又は2,6−ジメチルフェニル基等である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能材料又は超伝
導材料又はエレクトロニクス材料又は医薬品材料として
有用な金属内包フラーレン化合物及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】フラーレンは、バックミンスターフラー
レン(C60)に代表される新しい炭素同素体として知ら
れ、その球形で中空という特殊かつ新規な分子構造のた
めに、近年注目を集めている。1990年になってその
大量合成法が発明されたことにより、フラーレン自身の
様々な物性が明らかになり、またそれを利用して各種の
誘導体も合成されるようになったため、電気伝導材料、
半導体材料、医薬品等への応用も活発に行われている。
このようにC60に代表される純炭素フラーレンや、その
誘導体の利用は活発に報告されている(現代化学.No.2
53 1992 年4月号p12-19、および、化学.Vol.50 1995
年6月号p12-16の参考文献参照)。特に、純炭素フラー
レン誘導体の生理活性の発見(J.Am.Chem.Soc.,1993,11
5,6506 )以来、様々な応用の可能性が期待され、研究
が進められている。
【0003】一方、フラーレンに関係が深い新物質とし
て、金属内包フラーレンと呼ばれるものがある。この物
質は、炭素のみからなる通常のフラーレンの殻構造の内
部に、炭素とは異なる金属元素を導入したものである。
この金属内包フラーレンは、内包物の種類を変えること
でその物理・化学的性質を任意に制御できる可能性を持
ち、有用な応用展開が期待されるため、ランタン内包フ
ラーレンLam @Cnの大量合成法の発明(R. Smalley
et al., J.Phys.Chem. 1991,95,7564)以降、その研究
が活発に行われるようになった。この Smalleyらによる
報告では、ランタン原子1個を内包したLa@Cn 型フ
ラーレンについてn=36−122、2個を内包したL
2 @Cn 型フラーレンについてn=110まで、さら
に3個を内包したLa3 @Cn 型フラーレンについてn
=98まで生成が確認されている。内包されている金属
または金属イオンの大きさと数によって、Mm @Cn
フラーレンのnがとることができる最小値が存在する
が、最大値は特にないと考えられている。この内、La
@C82については、純粋な試料を得る方法とその物性が
報告されている(K. Kikuchi et al., Chem.Phys.Lett.
1993,216,67およびJ.Am.Chem.Soc.1994,116,9367; T.
Suzuki et al., J.Am.Chem.Soc. 1993,115,11006; K.
Yamamoto et al., J.Phys.Chem. 1994,98,2008およびJ.
Phys.Chem. 1994,98,12831)。またランタン原子を2個
内包したフラーレンに関しては、La2@C80の物性が
報告されている(T.Suzuki et al., Angew.Chem.Int.E
d.Engl. 1995,34,1094)。
【0004】スカンジウム内包フラーレンScm @Cn
(m=1-3 )の合成は、H. ShinoharaらによってNature 1
992,357,52に報告されている。またその分離法は、Sc
2 @Cn (n=74,82,84 )についてJ.Phys.Chem.1993,97,
4259に、またSc3 @C82についてJ.Phys.Chem.1994,9
8,8597に記載されている。
【0005】イットリウム内包フラーレンYm @Cn
最初の合成は、J.Weaverらによって報告されている(Ch
em.Phys.Lett.,1992,190,460)。そのうちY@C82の物
性が、K.Kikuchi らによってJ.Am.Chem.Soc.1994,116,9
367 に報告されている。
【0006】そのほかのランタニド内包フラーレンMm
@Cn ( M=Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er)の生成と抽出は、R.L.Whetten らによ
ってJ.Phys.Chem.,1992,96,6869 に報告されている。ま
たR.S.Ruoff らによってその他のランタニド内包フラー
レンMm @Cn (M=Pr、Eu、Yb、Lu)の生成
がJ.Phys.Chem.,1993,97,6801 に記載されている。この
うちGd@C82は、単離と物性がH.Funasakaらによって
Chem.Phys.Lett.,1995,232,273 とJ.Phys.Chem.,1995,
99,1826 に報告されている。
【0007】アクチナイド金属を内包させた例として
は、ウラン内包フラーレンUm @Cn(m=1−2、n
=28−80)の合成が、R. Smalleyらによって Scien
ce 1992,257,1661 に報告されている。
【0008】アルカリ金属元素を内包したフラーレンに
ついては、カリウム、セシウムに関する報告がある。カ
リウム内包フラーレンK@Cn の生成は、R.Smalley ら
によってJ.Am.Chem.Soc.,1988,110,4464に報告されてい
る。さらにセシウム内包フラーレンCs@Cn の生成
も、R.Smalley らによって報告された(J.Am.Chem.So
c.,1988,110,4464)。
【0009】アルカリ土類金属元素を内包したフラーレ
ンについては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム
に関する報告がある。カルシウム内包フラーレンCa@
60の合成と抽出はR. Smalleyらによってはじめてなさ
れ(Chem.Phys.Lett.,1993,207,354. Z.Phys.,1993,D26,
297)、その後 K.J.Fisher らによってそのほかのCa@
n 型フラーレンの生成が確認された(Chem.Soc.,Che
m.Commun.,1993,941)。ストロンチウム内包フラーレン
Srm @Cn とバリウム内包フラーレンBam @Cn
生成は、K.J.Fisherらによって報告された(Chem. So
c.,Chem.Commun.,1993,1361)。
【0010】遷移金属内包フラーレンの例としては、鉄
内包フラーレンFe@C60の合成が、C.N.R.Rao らによ
って報告されている(J.Am.Chem.Soc.,1992,114,2272.
Indian J.Chem.,1992,31,F17) 。また、コバルト内包フ
ラーレンCo@C60のはじめての合成が D.S.Bethuneら
によってNature 1993,363,605 に記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上の報告例に示され
たように、これまでに多くの金属元素がフラーレンに内
包されることが報告されているが、その多くは生成法と
分離法のほか、単体の物性に関する報告である。一方、
純炭素フラーレンに生理活性があることがその誘導体を
使って発見されてから、金属内包フラーレンにも生理活
性など様々な応用の可能性があると期待されている。そ
のほか、たとえば放射性元素を用いた癌のミサイル療法
で、炭素以外の様々な放射性元素を利用するためには、
金属内包フラーレンが放射性元素のカプセルとして重要
な役割を果たすことが期待されている。ある物質の生理
活性を調べたり、それを癌の治療に利用しようとする場
合、水への溶解性を増大させて生体親和性を上げる必要
がある。そのためには純炭素フラーレンの場合と同様
に、親水基を持った金属内包フラーレン誘導体を合成す
る必要がある。しかしこれまでは、どんな金属内包フラ
ーレン誘導体であれ実際に試験管レベルの量で合成に成
功した例はなく、その合成法も不明であった。そのた
め、金属内包フラーレン化合物の生理活性に関する報告
は、まだなされていない。同様の理由から、これらの金
属内包フラーレン又は金属内包フラーレン化合物を利用
して、機能材料又は超伝導材料又はエレクトロニクス材
料又は医薬品等を開発し製造することは、現時点では行
われていない。
【0012】本発明は以上のような課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、機能材料、超伝導材料、エレ
クトロニクス材料もしくは医薬品原料として有用な新規
な金属内包フラーレン化合物を提供することであり、ま
た、この新規な金属内包フラーレン化合物の製造方法を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】以上のような目的の下、
本発明者らが鋭意研究を行った結果、金属内包フラーレ
ンの有機ケイ素誘導体および有機ゲルマニウム誘導体の
合成に成功し、本発明を完成するに至った。
【0014】本発明は、以下の構造を有する金属内包フ
ラーレン化合物である。
【0015】
【化3】 ここで、Aはケイ素またはゲルマニウム原子、Mは内包
された金属、mは1から3までの整数、nは28から2
00までの偶数、Rは、2個の上記A原子とメチレン基
とからなる三員環を保護して安定化する有機置換基であ
る。
【0016】また、本発明においては、上記式(1)記
載の金属内包フラーレン化合物において、前記内包され
た金属Mは、ランタノイド元素、アクチノイド元素、遷
移元素、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素か
らなる群から選ばれることを特徴とする。
【0017】更に、本発明においては、上記式(1)記
載の金属内包フラーレン化合物において、前記内包され
た金属Mは、放射性金属元素であることを特徴とする。
【0018】また更に、本発明においては、上記式
(1)記載の金属内包フラーレン化合物において、有機
置換基Rは、t−ブチル基もしくは、2,6位に置換基
を持つ芳香族置換基であることを特徴とする。
【0019】一方、本発明は、金属内包フラーレンに官
能基を付加して金属内包フラーレン化合物を製造する方
法であって、金属内包フラーレンに下記構造のジシリラ
ン誘導体またはジゲルミラン誘導体を反応させることを
特徴とする。
【0020】
【化4】 ここで、Aはケイ素またはゲルマニウム原子であり、R
は2個の該A原子とメチレン基とからなる三員環を保護
して安定化する有機置換基である。
【0021】なお、付加させる三員環化合物(2)に示
されるRは、原料としての三員環化合物中のA−A結合
を保護して安定させる官能基である必要があるため、立
体的に嵩高い置換基である必要がある。しかるに、本発
明に係る金属内包フラーレン化合物の製造方法において
は、上記の製造方法において、前記Rは、立体的に嵩高
いアルキル置換基またはアリール置換基であることを特
徴とする。このようなRとしては、t−ブチル基や、
2,6位にアルキル置換基を有するメシチル基、2,6
−ジエチルフェニル基、または2,6−ジメチルフェニ
ル基であることが好適である。
【0022】金属内包フラーレンMm @Cn とジシリラ
ンまたはジゲルミランを反応させるには、一般的に石英
製の反応管を用い金属内包フラーレンとジシリランを溶
媒に溶かし、凍結脱気法により脱気した後、光照射によ
って反応させることができる。光照射としては、ハロゲ
ンランプによる400nm以上の光照射が特に有効であ
る(400nm以下の光を照射すると分解が起こる)。
しかしながらこの反応は、光照射と同じように凍結脱気
法により脱気した反応管中で加熱することによっても進
行させることができる。
【0023】光照射による反応では、金属内包フラーレ
ン1モル部に対してジシリランまたはジゲルミランを1
〜10モル部が用いられる。この反応に用いられる溶媒
としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン
等の芳香族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロル
ベンゼン、トリクロルベンゼン、クロルナフタリン等の
ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒等が用いられる。
【0024】以上のような本発明は、金属内包フラーレ
ンに側鎖を導入した初めての試みである。即ち、過去に
おいては金属を内包しないフラーレンに対して側鎖を導
入したものと、側鎖を有しない金属内包フラーレンが存
在するが、側鎖を有する金属内包フラーレンについては
作られていない。これは、金属を内包しないフラーレン
に側鎖を導入する際に使用する水銀灯の光では400n
m以下の光が強く、同じ方法で金属内包フラーレンに側
鎖を導入しようとすると、それ自体が分解してしまうた
めである。しかしながら、本発明のように所定の三員環
構造の化合物を400nm以上の光照射下で付加させる
ことにより、側鎖を導入することができる。この付加化
合物は、フラーレンの六員環どうしに付加したもの、あ
るいは五員環と六員環にまたがって付加したもののいず
れも得ることができるということが予想されている。
【0025】なお、金属内包フラーレン自体について
は、前述したように既に多くのものが知られている。本
願発明に係る金属内包フラーレン化合物は、あらゆる金
属を導入したものに対して実施できることは明らかであ
る。本願発明は、フラーレンの二重結合部分に付加反応
をさせて、対応する付加化合物を合成したものであるの
で、下記実施例に記載された金属に限られることなく、
文献で指摘されているあらゆる金属を内包させたものに
対して実施することが可能なことは明らかである。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0027】[実施例1:ランタン内包フラーレンの有
機ケイ素誘導体化合物であるLa@C82( Mes2
i)2 CH2 (ただし、Mesはメシチル基)の製造]
La@C82(5mg )とジシリラン( Mes2 Si)2
2 (10 mg )の1,2,4 −トリクロロベンゼン溶液(20
ml)を石英ガラス管に入れ、凍結脱気法により脱気をし
た後、室温でハロゲンランプにて1時間照射を行った。
光照射は、フィルターで400nm 以下の波長の光を除いて
実施した。
【0028】反応溶液の色は、La@C82の黄褐色から
変化しなかったが、反応後の混合物を1,2,4-トリクロロ
ベンゼンを展開溶媒とする高速液体クロマトグラフィー
にて分離精製した結果、未反応のLa@C82と生成物が
分離でき、ジシリランとLa@C82の1:1付加物であ
る下記化合物(3)が得られているであろうことが明ら
かになった。
【0029】生成物のマススペクトル(図1)におい
て、分子イオンピークが1669から1672に、分解による基
準ピークが1123から1125にみられ、これにより化合物
(3)の生成が確認された。化合物(3)の電子スピン
共鳴スペクトル(図2−a)は、La@C82のスペクト
ル(図2−c)と同様ランタン原子核による分裂のため
等間隔の8本組信号を示すが、その間隔は異なってい
る。また複数出力の8本組信号を示していることから、
ジシリランの付加位置が異なる構造異性体が複数種生成
していると考えられる。
【0030】
【化5】 [実施例2:ガドリニウム内包フラーレンの有機ケイ素
誘導体化合物であるGd@C82( Mes2 Si)2 CH
2 (ただし、Mesはメシチル基)の製造]Gd@C82
(1 mg)とジシリラン( Mes2 Si)2 CH2 (2 m
g)の1,2,4-トリクロロベンゼン溶液(2 ml)を石英ガ
ラス管に入れ、凍結脱気法により脱気をした後、80℃
で10時間加熱を行った。その結果、ジシリランとGd
@C82の1:1付加物である化合物(4)が得られた。
【0031】生成物のマススペクトル(図3)において
は、分子イオンピークが1685から1693に、分解による基
準ピークが1139から1146にみられ、化合物(4)の生成
が確認された。
【0032】
【化6】 [実施例3:ランタン内包フラーレンの有機ケイ素誘導
体化合物であるLa2 @C80( Mes2 Si)2 CH2
(ただし、Mesはメシチル基)の製造]La2 @C80
(1 mg)とジシリラン( Mes2 Si)2 CH2 (2 m
g)の1,2,4-トリクロロベンゼン溶液(2 ml)を石英ガ
ラス管に入れ、凍結脱気法により脱気をした後、室温で
ハロゲンランプにて光照射を行った。その結果、ジシリ
ランとLa2 @C80の1:1付加物である化合物(5)
が得られた。
【0033】生成物のマススペクトル(図4)において
は、分子イオンピークが1784から1788に、分解による基
準ピークが1238から1240にみられ、化合物(5)の生成
が確認された。
【0034】
【化7】 [実施例4:スカンジウム内包フラーレンの有機ケイ素
誘導体化合物であるSc2 @C84( Mes2 Si)2
2 (ただし、Mesはメシチル基)の製造]Sc2
84(1 mg)とジシリラン( Mes2 Si)2 CH
2 (2 mg)の1,2,4-トリクロロベンゼン溶液(2 ml)を
石英ガラス管に入れ、凍結脱気法により脱気をした後、
室温でハロゲンランプにて光照射を行った。その結果、
ジシリランとSc2 @C84の1:1付加物である化合物
(6)が得られた。
【0035】生成物のマススペクトル(図5)において
は、分子イオンピークが1644から1647に、分解による基
準ピークが1098から1100にみられ、化合物(6)の生成
が確認された。
【0036】
【化8】 [実施例5:ランタン内包フラーレンの有機ゲルマニウ
ム誘導体化合物であるLa@C82( Dep2 Ge)2
2 (ただし、Depは2,6-ジエチルフェニル基)の製
造]La@C82(1 mg)とジゲルミラン( Dep2
e)2 CH2 (2 mg)の1,2,4 −トリクロロベンゼン溶
液(4 ml)を石英ガラス管に入れ、凍結脱気法により脱
気をした後、50℃で30分間加熱を行った。
【0037】生成物のマススペクトル(図6)におい
て、分子イオンピークが1809から1821に、分解による基
準ピークが1123から1125にみられ、これによりジゲルミ
ランとLa@C82の1:1付加物である化合物(7)の
生成が確認された。化合物(7)の電子スピン共鳴スペ
クトル(図7−b)は、La@C82のスペクトル(図7
−a)と同様ランタン原子核による分裂のため等間隔の
8本組信号を示すが、その間隔は異なっている。また複
数出力の8本組信号の重ね合わせで説明できることから
(図7−c)、ジゲルミランの付加位置が異なる構造異
性体が複数種生成していると考えられる。
【0038】
【化9】
【0039】
【発明の実施の態様】本発明に係る金属内包フラーレン
化合物は、その側鎖に種々の官能基を付加することがで
きる。例えば、側鎖に生体親和性の高いカルボキシル基
や水酸基、アルコキシル基を結合させた場合、この金属
内包フラーレン化合物自身が生理活性を持つようになる
ことが予想される。内包される金属をガドリニウムとす
ると、ほかのガドリニウムキレート試薬と同様に、MR
I用の磁気共鳴緩和試薬としてこの化合物を利用するこ
とができる。ガドリニウムイオン自身が毒性を持つの
で、金属イオンが遊離しやすいキレート試薬ではその毒
性が問題になっているが、金属内包フラーレンでは金属
の遊離がなく、問題は起こらない。
【0040】
【発明の効果】以上のような本発明によれば、金属内包
フラーレンに側鎖を導入した新規な金属内包フラーレン
化合物を提供することができる。この新規金属内包フラ
ーレン化合物は、機能材料、超伝導材料、エレクトロニ
クス材料もしくは医薬品として有用であることが期待さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 化合物(3)のマススペクトルを示す図であ
る。ここで、図1(B)は図1(A)の質量数1615
〜1740付近の拡大図である。図中、横軸は質量数
を、縦軸は相対イオン強度を表す。
【図2】 化合物(3)の電子スピン共鳴スペクトルを
示す図である。図中、横軸は磁場強度を、縦軸は吸収強
度を微分したものを表す。
【図3】 化合物(4)のマススペクトルを示す図であ
る。図中、横軸は質量数を、縦軸は相対イオン強度を表
す。
【図4】 化合物(5)のマススペクトルを示す図であ
る。図中、横軸は質量数を、縦軸は相対イオン強度を表
す。
【図5】 化合物(6)のマススペクトルを示す図であ
る。図中、横軸は質量数を、縦軸は相対イオン強度を表
す。
【図6】 化合物(7)のマススペクトルを示す図であ
る。図中、横軸は質量数を、縦軸は相対イオン強度を表
す。
【図7】 化合物(7)の電子スピン共鳴スペクトルを
示す図である。図中、横軸は磁場強度を、縦軸は吸収強
度を微分したものを表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤阪 健 茨城県つくば市天王台1−1−1 筑波大 学化学系内 (72)発明者 加藤 立久 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38 分子科 学研究所内 (72)発明者 永瀬 茂 東京都八王子市南大沢1−1 東京都立大 学理学部化学科内 (72)発明者 小林 郁 東京都八王子市南大沢1−1 東京都立大 学理学部化学科内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の構造を有する金属内包フラーレン
    化合物。 【化1】 ここで、 Aはケイ素またはゲルマニウム原子、 Mは内包された金属、 mは1から3までの整数、 nは28から200までの偶数、 Rは、2個の上記A原子とメチレン基とからなる三員環
    を保護して安定化する有機置換基である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の金属内包フラーレン化合
    物において、前記内包された金属Mは、ランタノイド元
    素、アクチノイド元素、遷移元素、アルカリ金属元素及
    びアルカリ土類金属元素からなる群から選ばれることを
    特徴とする金属内包フラーレン化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の金属内包フラーレン化合
    物において、有機置換基Rは、t−ブチル基もしくは、
    2,6位に置換基を持つ芳香族置換基であることを特徴
    とする金属内包フラーレン化合物。
  4. 【請求項4】 金属内包フラーレンに官能基を付加して
    金属内包フラーレン化合物を製造する方法であって、 金属内包フラーレンに下記構造のジシリラン誘導体また
    はジゲルミラン誘導体を反応させることを特徴とする金
    属内包フラーレン化合物の製造方法。 【化2】 ここで、Aはケイ素またはゲルマニウム原子であり、R
    は2個のA原子とメチレン基とからなる三員環を保護し
    て安定化する有機置換基である。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の製造方法において、前記
    Rは、t−ブチル基もしくは、2,6位に置換基を持つ
    芳香族置換基であることを特徴とする製造方法。
JP7223930A 1995-08-31 1995-08-31 金属内包フラーレン化合物及びその製造方法 Pending JPH0967387A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7223930A JPH0967387A (ja) 1995-08-31 1995-08-31 金属内包フラーレン化合物及びその製造方法
US08/606,941 US5869626A (en) 1995-08-31 1996-02-26 Metal-encapsulated fullerene compound and a method of synthesizing such compound

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7223930A JPH0967387A (ja) 1995-08-31 1995-08-31 金属内包フラーレン化合物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0967387A true JPH0967387A (ja) 1997-03-11

Family

ID=16805946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7223930A Pending JPH0967387A (ja) 1995-08-31 1995-08-31 金属内包フラーレン化合物及びその製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US5869626A (ja)
JP (1) JPH0967387A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005053748A (ja) * 2003-08-05 2005-03-03 Institute Of Tsukuba Liaison Co Ltd 窒素内包フラーレン類の分離精製法
JP2015117218A (ja) * 2013-12-19 2015-06-25 国立研究開発法人物質・材料研究機構 Mri造影剤

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6002035A (en) * 1998-05-04 1999-12-14 Chinese Petroleum Corporation Fullerene-containing metallocene
US6303760B1 (en) 1999-08-12 2001-10-16 Virginia Tech Intellectual Properties, Inc. Endohedral metallofullerenes and method for making the same
US6479028B1 (en) 2000-04-03 2002-11-12 The Regents Of The University Of California Rapid synthesis of carbon nanotubes and carbon encapsulated metal nanoparticles by a displacement reaction
US6471942B1 (en) 2000-04-20 2002-10-29 Luna Innovations, Inc. Imaging and treatment method for body
US6444984B1 (en) 2000-08-11 2002-09-03 Drs Sensors & Targeting Systems, Inc. Solid cryogenic optical filter
WO2003029137A2 (en) 2001-10-01 2003-04-10 Tda Research, Inc. Derivatization and solubilization of insoluble classes of fullerenes
US7812190B2 (en) * 2001-10-01 2010-10-12 Tda Research, Inc. Derivatization and solubilization of fullerenes for use in therapeutic and diagnostic applications
US7253014B2 (en) * 2002-11-19 2007-08-07 William Marsh Rice University Fabrication of light emitting film coated fullerenes and their application for in-vivo light emission
US6958475B1 (en) 2003-01-09 2005-10-25 Colby Steven M Electron source
US20050118102A1 (en) * 2003-04-28 2005-06-02 Intematix Corporation Spin resonance heating and/or imaging in medical applications
US7348592B2 (en) 2004-11-29 2008-03-25 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Carbon nanotube apparatus and method of carbon nanotube modification
US7794682B1 (en) 2005-02-28 2010-09-14 Tda Research, Inc. Methods for fullerene recovery
WO2006116021A2 (en) * 2005-04-22 2006-11-02 Intematix Corporation Mri technique based on electron spin resonance and endohedral contrast agent
US20070025918A1 (en) * 2005-07-28 2007-02-01 General Electric Company Magnetic resonance imaging (MRI) agents: water soluble carbon-13 enriched fullerene and carbon nanotubes for use with dynamic nuclear polarization
KR100700624B1 (ko) * 2005-09-08 2007-03-27 금호석유화학 주식회사 니오디뮴-탄소나노튜브 합성과, 이를 이용한 고 1,4-시스폴리부타디엔 제조방법

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5386048A (en) * 1993-02-26 1995-01-31 Wisconsin Alumni Research Foundation Hydrosilylation of fullerenes

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005053748A (ja) * 2003-08-05 2005-03-03 Institute Of Tsukuba Liaison Co Ltd 窒素内包フラーレン類の分離精製法
JP4528906B2 (ja) * 2003-08-05 2010-08-25 国立大学法人 筑波大学 窒素内包フラーレン類の分離精製法
JP2015117218A (ja) * 2013-12-19 2015-06-25 国立研究開発法人物質・材料研究機構 Mri造影剤

Also Published As

Publication number Publication date
US5869626A (en) 1999-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0967387A (ja) 金属内包フラーレン化合物及びその製造方法
JP2968710B2 (ja) 金属内包フラーレン誘導体及びその製造方法
US7671230B2 (en) Derivatization and solubilization of insoluble classes of fullerenes
Murata et al. Surgery of fullerenes
Liu et al. Recent progress in the studies of endohedral metallofullerenes
Fuertes-Espinosa et al. Supramolecular purification and regioselective functionalization of fullerenes and endohedral metallofullerenes
JP3926331B2 (ja) 金属内包フラーレン類及びその他のフラーレン類の化学的精製方法
Dykes et al. Supramolecular solubilisation of hydrophilic dyes by using individual dendritic branches
Pikramenou et al. Luminescent supramolecular architectures: a cyclodextrin modified with a europium (III) crown swing
Shahraki et al. The flowering of mechanically interlocked molecules: Novel approaches to the synthesis of rotaxanes and catenanes
CZ146197A3 (en) Meso-monoido substituted tetramacrocyclic compounds, processes of their preparation and their use
DE69911314T2 (de) Markierungsreagenzien und deren Verwendung
US5711927A (en) Method for the purification and separation of fullerenes
US20060045846A1 (en) Reagents and methods for labeling terminal olefins
WO2005097808A2 (en) Polyhydroxy hydrogensulfated trimetallic nitride endohedral metallofullerenes
JP2005289755A (ja) 原子または分子を内包する内包フラーレンの製造方法およびそれにより得られる内包フラーレン
EP0662449A1 (en) A process for the purification of fullerenes
JPH04106101A (ja) シクロデキストリンポリマーおよびその製造方法
JP3584166B2 (ja) 内部空間を有する金属錯体からなる内包剤
Hopf Incarcerated Atoms and Reactive Molecules
CN110563632B (zh) 亲电硒氰化试剂及其制备方法与应用
CN110872312B (zh) 苯并二吡咯酮氟硼荧光染料及其制备方法
JPH08193052A (ja) 1,4−ビス〔ビス(4−t−ブトキシカルボニルメチロキシフェニル)メチル〕ベンゼン及びその誘導体
CN117486880A (zh) 一种将吡咯和吡啶嵌入苝的稠环芳烃的制备方法及应用
CN115925778A (zh) 一种甘草次酸-十二烷-胆固醇化合物及其合成方法和应用