JPH0964181A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

Info

Publication number
JPH0964181A
JPH0964181A JP21785595A JP21785595A JPH0964181A JP H0964181 A JPH0964181 A JP H0964181A JP 21785595 A JP21785595 A JP 21785595A JP 21785595 A JP21785595 A JP 21785595A JP H0964181 A JPH0964181 A JP H0964181A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
sio
network structure
insulating film
semiconductor device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP21785595A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3373705B2 (ja
Inventor
Yasushi Nakasaki
靖 中崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP21785595A priority Critical patent/JP3373705B2/ja
Publication of JPH0964181A publication Critical patent/JPH0964181A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3373705B2 publication Critical patent/JP3373705B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】低吸湿性、低比誘電率のF添加SiO2 膜を提
供すること。 【解決手段】SiO2 の網目構造を有するF添加SiO
2 膜8において、網目構造の架橋に関与しない未結合手
を有するOによる欠陥を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配線間等の導電層
間を電気的に分離する絶縁膜を有する半導体装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、素子の配線間を電気的に分離
するための絶縁膜(層間絶縁膜)としては、熱酸化Si
2 膜、またはシランやテトラエトキシシラン(TEO
S)などのガスを原料ガスとして用いた減圧または常圧
でのCVD法により形成されたSiO2 膜が主に使用さ
れている。
【0003】特にアルミニウム(Al)配線間の絶縁に
は、原料ガスとしてTEOSとO2とO3 との混合ガス
を用いたプラズマCVD法によるSiO2 膜が400℃
程度の低温で形成できることから使用されている。
【0004】ところで、近年、半導体素子の高集積化、
高速化に伴い信号伝達の遅延の問題が顕著化している。
その原因は、素子の微細化に伴い配線間隔が狭くなり配
線間容量(C)が増大すること、および配線断面積の縮
小による配線抵抗(R)の増大の相乗により信号伝達の
時定数が増大する(RC遅延)ことによる。
【0005】RC遅延は、半導体装置の高速動作を妨
げ、特にロジックデバイスや高速SRAMの性能向上を
妨げる主要因となる。その対策としては、Alより比抵
抗の低いCu、Agを配線材料として用いて配線抵抗を
低減すること、および配線間に介在する絶縁膜の比誘電
率を低下させ配線間容量を低減することの2点が重要で
ある。
【0006】従来のプラズマCVD法により形成される
SiO2 膜の比誘電率は4.0〜5.0であり、熱酸化
SiO2 膜のそれ(3.9)に対しても大きな値を示す
ことが分かっている。そこで、比誘電率の低減化につい
て、SiO2 膜中にFを導入することが検討されてお
り、また、Fの導入により実際に比誘電率が低減される
ことが報告されている。
【0007】Fの導入法としては、Fイオン注入法や、
SiF(OC2 5 3 とH2 Oとを用いたCVD法
や、H2 SiF6 の過飽和水溶液に硼酸水溶液を添加し
液相でSiO2 を析出させる方法や、FEOSとO2
Fとを含有するガス(CF4 、NF3 等)を用いたプラ
ズマCVD法等が知られている。
【0008】SiO2 膜中のFの状態については、赤外
吸収スペクトル測定によりSi−F結合の形成が確認さ
れている。また、F2 分子またはFOx 分子(x=2,
3)として取り込まれているものも存在するといわれて
いる。
【0009】また、Fの導入に伴ってSiO2 膜の密度
が減少することも見出され、この密度の減少と、Si−
F結合の生成による電子分極率およびイオン分極率の減
少との相乗効果により、SiO2 膜の比誘電率は低減さ
れる。
【0010】しかし、この種のFが添加されたSiO2
膜(F添加SiO2 膜)は大気放置等によって吸湿し、
この吸湿により、新たなSi−OHの生成とFの脱離と
が起こり、これにより、比誘電率が再上昇し、高速動作
が達成されないという問題があった。しかも、F添加S
iO2 膜の吸湿性はF濃度増加に伴って高くなる。
【0011】また、脱離したFはF添加SiO2 膜の上
層および下層に配置された配線にまで拡散し、これによ
り、配線の腐食や密着性劣化が発生し、信頼性が低下す
るという問題があった。
【0012】ところで、F添加SiO2 膜中のF濃度お
よびFの結合状態と吸湿性との関係については、Si原
子に結合するF原子数が増加すると吸湿性が急激に増大
すると報告されている。このため、SiO2 膜中のFの
結合状態やF原子が結合したSi原子を中心とした周辺
のSiO2 網目構造の局所的な構造を制御することが検
討されている。
【0013】しかしながら、SiO2 膜、特にF添加S
iO2 膜において、耐吸湿性を劣化させる欠陥や、Si
2 網目構造を明確化し、これを制御するという報告は
いまだなされていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、低比誘電
率の絶縁膜として、F添加SiO2 膜が提案されていた
が、F添加SiO2 膜の吸湿性が原因でFの脱離が起こ
り、これにより、比誘電率化が再上昇したり、配線が腐
食するなどの問題があった。
【0015】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
で、その目的とするところは、吸湿性を抑制しえるSi
2 網目構造を有する絶縁膜を備えた半導体装置を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
[概要]上記目的を達成するために、本発明に係る半導
体装置(請求項1)は、導電層間を電気的に分離し、少
なくともSi、Oを含み、SiO2 の網目構造を有する
絶縁膜を備えた半導体装置であって、前記網目構造の架
橋に関与しない未結合手を有するOによる欠陥、または
この未結合手を有するOが電子もしくは正孔を捕獲する
ことによる欠陥を低減したことを特徴とする。
【0017】また、本発明に係る他の半導体装置(請求
項2)は、導電層間を電気的に分離し、少なくともS
i、Oを含み、SiO2 の網目構造を有する絶縁膜を備
えた半導体装置であって、前記網目構造の架橋に関与し
ない未結合手を有し、かつ電気陰性度がSiよりも大き
い原子による欠陥、またはこの未結合手を有する原子が
電子もしくは正孔を捕獲することによる欠陥を低減した
ことを特徴とする。
【0018】また、本発明に係る他の半導体装置(請求
項3)は、導電層間を電気的に分離し、少なくともS
i、Oを含み、SiO2 の網目構造を有する絶縁膜を備
えた半導体装置であって、前記網目構造の架橋に関与し
ない未結合手を有し、かつ電子供与体となりうる原子に
よる欠陥、前記網目構造の架橋に関与しない未結合手を
有し、かつ孤立電子対を有する原子による欠陥、または
これら未結合手を有する原子が電子もしくは正孔を捕獲
することによる欠陥を低減したことを特徴とする。
【0019】また、本発明に係る他の半導体装置(請求
項4)は、上記半導体装置(請求項1〜請求項3)にお
いて、前記絶縁膜が、F、FおよびN、またはFおよび
Bを含むことを特徴とする。
【0020】上記欠陥の低減量は特に限定しないが、そ
の絶縁膜を用いる系毎に適宜決定する。
【0021】また、上記絶縁膜の成膜法としては、例え
ば、プラズマCVD法を用いると良い。このとき、基板
温度は、上記絶縁膜中に取り込まれた構造水の脱水縮合
が顕著となる350〜550℃の範囲内に設定すると良
い。
【0022】また、原料ガスとしては、有機シランガ
ス、酸化剤ガスおよびFを構成元素の一つとする化合物
ガスや、無機シランガス、酸化剤ガスおよびFを構成元
素の一つとする化合物ガスや、酸化剤ガスおよびFを構
成元素の一つとする有機シランガスや、酸化剤ガスおよ
びFを構成元素の一つとする無機シランガスや、Fおよ
びOを構成元素として含む有機シランガスを含有するも
のが用いられる。
【0023】ここで、Fを構成元素の一つとする化合物
ガスとしては、具体的には、NF3、CF4 、C
2 6 、ClF3 、SiF4 などが挙げられる。
【0024】また、Fを構成元素の一つとする有機シラ
ンガスとしては、具体的には、SiF(OC
2 5 3 、SiF2 (OC2 5 2 、SiF3 (O
2 5 )などが挙げられる。これらのガスは、Fおよ
びOを構成元素として含む有機シランガスとして、酸化
剤ガスなしで用いることもできる。
【0025】また、Fを構成元素の一つとする無機シラ
ンガスとしては、具体的には、SiH3 F、SiH3
2 、SiHF3 などが挙げられる。
【0026】また、有機シランガスとしては、具体的に
は、TEOS、HSi(OC2 53 、H2 Si(O
4 9 2 などが挙げられる。
【0027】また、無機シランガスとしては、具体的に
は、SiH4 、Si2 6 などが挙げられる。
【0028】また、酸化剤ガスとしては、具体的には、
2 、H2 Oなどが挙げられる。
【0029】[作用]本発明者は、SiO2 膜の耐吸湿
性の研究において、特定の欠陥、つまり、請求項1〜請
求項3に記載した欠陥を低減することにより、従来のS
iO2 膜よりも吸湿性を低くできることが分かった。
【0030】したがって、本発明によれば、吸湿による
比誘電率の増大を防止できるようになる。特に、Fを含
む絶縁膜の場合には、Fによる比誘電率の低減は維持さ
れたまま吸湿性を小さくできる。これにより、配線間容
量の低下や信号遅延の増大を防止でき、高速動作の素子
を実現できるようになる。
【0031】上記欠陥を低減することにより、吸湿性を
低くできる理由は、上記特定の欠陥を有しない場合に
は、H2 Oの吸着エネルギーの増大に起因するH2 Oの
吸着が効果的に抑制されるからである。
【0032】また、本発明者の研究によれば、Fを含む
絶縁膜の場合、F原子が結合したSi原子を中心とした
半径0.39nm以内に上記欠陥を有しない場合には、
2Oの吸着の促進に伴う新たなFとH2 Oとの反応が
効果的に抑制されることが分かった。この欠陥を有しな
い領域の大きさは、吸湿過程における遷移状態形成およ
び複数のH2 Oの吸着に要する自由体積(空隙)から決
定される。
【0033】
【発明の実施の形態】
(実験・考察)先ず、本発明の創作のもとになった実験
およびその考察等について説明する。図1、図2に、S
iO2 網目構造の架橋に関与しない未結合手を有するO
原子(非架橋酸素)が、電子を捕獲することによる欠陥
の有無によるH2 Oの吸着・加水分解過程を、クラスタ
ーモデルを用いた非経験的分子軌道法によって解析した
結果を示す。
【0034】吸着・加水分解過程を考察するモデルとし
て、FSi(OH)3 クラスターをH2 Oが攻撃するモ
デルおよびFSi(OH)2 - クラスターをH2 Oが
攻撃するモデルを採用した。
【0035】前者のモデルは上記欠陥がないF添加Si
2 を模擬しており、Fの結合したSiを含むFSiO
3 四面体ユニットをバルクF添加SiO2 から切り出
し、その際に生ずる3つのOダングリングボンドを仮想
的なHにより終端したものである。
【0036】後者のモデルは前者のモデルにおいて1個
の架橋O原子の隣接SiO4 四面体ユニットへの架橋が
切断され(モデル上では1個のOHのHが除去され)電
子を捕獲した状態となった欠陥があるF添加SiO2
模擬している。
【0037】このような欠陥サイトは、F原子2個の結
合したSiがOH- と反応した際に容易に形成されるこ
とが本発明者の非経験的分子軌道法による解析から明ら
かになっている。また、非架橋酸素は電子を捕獲するこ
とにより安定化することが報告されているように、成膜
中に生成した非架橋酸素が電気捕獲し形成されることも
ある。
【0038】図1は、単独のH2 Oの吸湿過程、FSi
(OH)3 +H2 O、FSi(OH)2 - +H2 Oの
全エネルギー変化を示している。
【0039】ここでは、FSi(OH)3 とH2 O、あ
るいはFSi(OH)2 - とH2Oとの解離極限に対
応する始原系の全エネルギーをそれぞれエネルギーの基
準に採る。
【0040】FSi(OH)3 ではH2 Oの接近に伴い
系の全エネルギーは緩やかに減少し、H2 Oの吸着状態
が形成される。吸着エネルギーは約11kcal/mo
lである。この値は水素結合の形成エネルギーにほぼ等
しい。また、この吸着状態におけるH2 Oの3つの固有
振動モードは、孤立H2 Oの場合と比較して、ν1
(減少)、ν2 ↑(増加)、ν3 ↓(減少)とシフトし
ている。このシフトはH2 O多量体形成時のシフトと等
しい。したがって、水素結合形成による吸着状態である
ことが判る。
【0041】次いで、吸着H2 OのO上の局在した孤立
電子対が新たなSi−O結合を形成するような立体配座
でSiに配位し、同時に、H2 Oの一方のHがFに引き
寄せられてF−Hの結合が強まり、H2 O挿入→HF脱
離への遷移状態[HFSi(OH)4 を形成す
る。
【0042】この過程には約41kcal/molもの
活性化障壁が存在し、室温近傍では容易には越えられな
いと考えられる。H−OHの結合が急激に弱まることは
力定数の減少の結果により確認した。
【0043】次いで、Si−F結合が急激に伸長し、F
−Hの結合が強まった反応中間体[HFSi(O
H)4 が形成される。この準安定な反応中間体は
上記の始原系とH2 O吸着状態との間のエネルギーレベ
ルまで安定化する。
【0044】この状態は、歪んだSi(OH)4 にHF
が吸着した状態と見なせる。これは、HFの固有振動モ
ードが、孤立HFと比較して低波数側へシフトすること
により確認した。
【0045】この後、FがHFとして脱離し、Si(O
H)4 が残る生成系が形成される。この過程はHFの吸
着エネルギーに相当する約12kcal/molの吸熱
反応である。しかしながら、上記の遷移状態を越え得た
場合にはその大きな放出エネルギーの散逸が比較的遅け
れば容易に越えられる。
【0046】ここで、Si原子あたりのF結合数の違い
による加水分解過程の変化を、反応のポテンシャルエネ
ルギー変化、特に、吸着エネルギー・活性化エネルギー
の変化に注目して示しておく。
【0047】モデル系、SiFn (OH)4-n +H2
(n=0〜3)の全エネルギー変化の比較を非経験的分
子軌道法によって調べた。吸着エネルギーはいずれも約
11kcal/molで、F結合数に依存しない。
【0048】各吸着構造を調べた結果、H2 Oとクラス
ターとの水素結合がF…H−OHよりもO…H−OHの
形で形成されていることに対応していることが判った。
【0049】H2 O挿入反応の活性化エネルギーは、F
0個→F1個で約37kcal/molから約4kca
l/mol増加した後、F結合数増加と共に約3〜4k
cal/molずつ低下してゆく。
【0050】すなわち、SiにF1個が結合した構造
は、非不純物添加のSiO2 あるいはシラノール基を含
んだSiO2 よりもH2 O挿入反応が抑制されるが、更
にF結合数が増加すると逆に促進されてゆく。
【0051】室温近傍でアレニウス型の反応速度定数を
仮定すると、約3桁ずつの促進効果となる。HF脱離へ
の反応中間体は、F0個の場合を除いて、いずれもHF
吸着状態と見なせ、FHのFとOSiのOとの水素結合
による吸着状態である。
【0052】したがって、脱離エネルギーは10〜11
kcal/molで、F結合数に依存しない。
【0053】一方、FSi(OH)2 - ではH2 Oの
接近に伴い系の全エネルギーはFSi(OH)3 を含め
n Si(OH)4-n (n=0〜3)の場合より遙かに
大きく減少し、H2 Oの吸着状態が形成される。吸着エ
ネルギーは約19kcal/molと約2倍に達する。
【0054】次いで、吸着H2 Oの一方のHがO- に引
き寄せられて−O- …Hの結合が強まり、H引抜への遷
移状態[FSi(OH)2 OHOH]−≠を形成する。
この過程には約7kcal/molの活性化障壁しか存
在せず、吸着エネルギーの放出により室温近傍でも容易
に越えられる。
【0055】次いで、H−OH結合が伸長し、−O-
Hの結合が強まった反応中間体[FSi(OH)2 OH
OH]- が形成される。この準安定な反応中間体はH引
抜への遷移状態から僅かに安定化している。
【0056】さらに、H−OH結合が伸長し、三角双錐
型の反応中間体[FSi(OH)4- が形成され、上
記の始原系とH2 O吸着状態の間のエネルギーレベルま
で安定化する。
【0057】この後、F- あるいはOH- が脱離する生
成系が形成されるには40〜70kcal/mol以上
の吸熱反応となり、オーバーオールの反応系でも吸熱反
応となる。したがって、反応はいずれかの反応中間体の
段階で終了すると考えられる。
【0058】図2に、2個のH2 Oの吸湿過程、FSi
(OH)3 +2H2 O、FSi(OH)2 - +2H2
Oの全エネルギー変化を示す。
【0059】FSi(OH)3 とH2 O2個、あるいは
FSi(OH)2 - とH2 O2個との解離極限に対応
する始原系の全エネルギーをそれぞれエネルギーの基準
に採る。
【0060】FSi(OH)3 では2個のH2 Oが個別
に、つまり、H2 O間の相互作用がない状態で吸着する
2 Oの吸着状態(吸着エネルギーは約17kcal/
mol)に加えて、H2 O間の相互作用が強く二量体に
近い状態で吸着する吸着状態(吸着エネルギーは約25
kcal/mol)が可能となる。
【0061】次いで、H2 O挿入→HF脱離への遷移状
態[HFSi(OH)4 (HOH)]を形成する。
遷移状態では、H2 O間の相互作用は弱まっていること
から、二量体吸着から個別吸着状態を経由して遷移状態
に至ると考えられる。個別吸着状態からの活性化障壁は
約28kcal/molとなる。
【0062】図1と比較すると、活性化障壁は単独H2
O挿入での約41kcal/molから約28kcal
/molまで約70%に低下する。活性化障壁は依然高
いが増大した吸着エネルギーの散逸が比較的遅ければ室
温近傍でも越えうると考えられる。
【0063】次いで、Si−F結合が急激に伸長し、F
−Hの結合が強まった反応中間体[HFSi(OH)4
(HOH)]が形成される。この準安定な反応中間体は
2O個別吸着状態にほぼ等しいエネルギーレベルまで
安定化する。この状態は、歪んだSi(OH)4 にH2
Oがやや強くHFが弱く吸着した状態と見なされる。F
がHFとして脱離し、Si(OH)4 にH2 Oが吸着し
た第1の中間体が形成され、次いでH2 Oが脱離する生
成系が形成される。この過程はそれぞれ約12、約11
kcal/molの吸熱反応である。
【0064】しかしながら、上記遷移状態を越えた場合
には、その大きな放出エネルギーの散逸が比較的遅けれ
ば、室温近傍でも越えうると考えられる。特に、HFが
脱離し、Si(OH)4 にH2 Oが吸着した第1の中間
体が形成される段階まででは、トータルの反応系でも僅
かながら発熱反応となっている。したがって、第2のH
2 Oが触媒的に過水分解過程を促進させうると考えて良
い。
【0065】一方、FSi(OH)2 - では2つの場
合を考察する。
【0066】第1の場合は、図1の説明で述べたよう
に、1個目のH2 OがFSi(OH)2 - と相互作用
した後に、2個目のH2 Oが相互作用する場合である。
第2の場合は、2個のH2 Oが同時にFSi(OH)2
- と相互作用する場合、すなわち、FSi(OH)2
- 周囲の自由体積(空隙)が大きい場合である。
【0067】まず、第1の場合では、1個目のH2 Oが
FSi(OH)2 - と相互作用し遷移状態経過の後に
2種類の反応中間体、つまり、[FSi(OH)2 OH
OH)]- 、三角双錐型反応中間体[FSi(O
H)4 - が形成される。
【0068】この場合には、2種類の反応中間体それぞ
れとH2 Oとの解離極限を始原系とした全エネルギーを
エネルギーの基準に採るように変更する。この2種類の
反応中間体へのH2 Oの接近に伴い系の全エネルギーは
大きく減少し、2個目のH2Oの吸着状態が形成され
る。吸着エネルギーはそれぞれ約25、約21kcal
/molとなり、FSi(OH)3 への二量体に近いH
2 Oの吸着状態にほぼ等しい。
【0069】次に第2の場合について説明する。この場
合にはFSi(OH)2 - とH2O2個との解離極限
を始原系とした全エネルギーをエネルギーの基準に採
る。
【0070】2個のH2 O間の相互作用が強く二量体に
近い状態でFSi(OH)2 - に吸着する吸着状態
(吸着エネルギーは約36kcal/mol)が可能と
なる。これはFSi(OH)3 への二量体に近いH2
の吸着状態での吸着エネルギーの約1.5倍にも達す
る。
【0071】以上の結果を吸着エネルギーと活性化エネ
ルギーに注目して下記の表にまとめて示す。
【0072】
【表1】
【0073】以上をまとめると、SiO2 網目構造の架
橋に関与しない未結合手を有するO原子(非架橋酸素)
あるいは該O原子が電子を捕獲した状態で示される欠陥
が存在する場合には、まず、H2 Oの吸着エネルギーが
増大しH2 O吸着が促進される。さらに、吸着後のH2
O解離・付加反応への活性化障壁は減少し、室温近傍で
も容易に越えられる障壁高さとなりうる。したがって、
上記欠陥を含まないSiO2 網目構造の達成が吸湿抑制
に有効である。同様に、該O原子が正孔を捕獲した状態
で示される欠陥を含まないSiO2 網目構造も吸湿抑制
に有効である。この結果より、上記O原子による欠陥
が、Si原子より大きな電気陰性度を有する原子がSi
2 網目構造の架橋に関与しない未結合手を有する状
態、該原子が電子または正孔を捕獲した状態、電気供与
体となりうる原子または孤立電子対を有する原子がSi
2 網目構造の架橋に関与しない未結合手を有する状
態、該状態の該原子が電子または正孔を捕獲した状態、
のいずれかで示される欠陥と見なせることを考慮する
と、このような欠陥を含まないSiO2 網目構造の達成
が吸湿抑制に有効である。
【0074】この欠陥を有しない領域の最小の大きさ
は、吸湿過程における遷移状態形成および複数のH2
吸着に要する自由体積(空隙)から決定される。特に、
F原子が結合したSi原子を中心とした半径0.39n
m以内に上記欠陥を有しない局所的構造を有するSiO
2 網目構造の場合には、上記H2 O吸着促進に伴う新た
なF原子とH2 Oとの反応が抑制される。なお、半径
0.39nmはSi−F結合長0.32nmにF- イオ
ン半径0.07nmを加えた値として設定した。
【0075】(第1の実施形態)図3は、本発明の第1
の実施形態に係る層間絶縁膜の形成に用いるプラズマC
VD装置の概略構成を示す模式図である。本実施形態で
は、原料ガスとしてSiF(OC2 5 3 とO2 とS
iH4 とTEOSとの混合ガスを用いる。この原料ガス
の特徴はSiH4 が含まれていることにある。
【0076】次に上記プラズマCVD装置を用いた多層
配線の形成方法について説明する。まず、素子を形成し
た半導体基板1を基板支持台2上にセットする。次に基
板支持台2内に設けられた抵抗加熱ヒータ3により半導
体基板1を所定温度まで加熱し、所定の基板温度(加熱
温度)に設定する。基板支持台2内には冷却剤を循環さ
せるための冷却パイプ4が設けられ、これにより、基板
温度が所定温度を越える高温になるを防止できるように
なっている。
【0077】基板温度(加熱温度)は、予め行なった熱
脱離スペクトル(TDS:ThermalDesorption Spectros
copy)測定において、SiO2 に取り込まれた構造水
(Si−OH、HOH)の脱水縮合が顕著になる350
〜550℃の範囲内に設定すると良い。ここでは、基板
温度を470℃に設定する。
【0078】これにより、SiO2 ネットワークの緻密
化の達成、および構造水残留によるSiO2 ネットワー
クの弛緩とSi−Fの伸長とに要する自由体積(空隙)
の形成の抑制を実現できる。
【0079】次に成膜チャンバ(反応容器)6内に原料
ガスとしてTEOSを50cm3 /min、O2 を50
0cm3 /min、SiF(OC2 5 3 を0〜50
0cm3 /min、SiH4 を50cm3 /minの流
量で同時に導入し、また、排気装置10により成膜チャ
ンバ6内の圧力を133Paに保持する。流量の調整は
ゲートバルブ11により行なう。
【0080】次に半導体基板1に対向させた電極7に高
周波電源12により13.56MHzのRF電力を1k
W印加して放電を開始し、同時に、基板支持台2に設け
られた高周波電源5により基板支持台2に350kHz
のRFバイアスを500W印加することにより、層間絶
縁膜であるFが添加されたSiO2 膜(F添加SiO2
膜)の成膜を行なう。
【0081】このとき、層間絶縁膜に取り込まれ得るS
i−OH、H−OHのO−H結合の切断に要するエネル
ギーである約12〜25eV以上のエネルギーを成膜中
の層間絶縁膜の表面に与え得るエネルギーを持つ電子あ
るいはイオン(典型的にはF± 、O± 、O2 ±
オン)を成膜中の層間絶縁膜の表面に照射することによ
り、膜表面でのSi−OHの分解を促進しSiO2 ネッ
トワークを緻密化する。
【0082】また、成膜中に生成しうる非架橋酸素(欠
陥)は、酸素イオン照射によるネットワーク緻密化とS
iH4 の分解生成物SiHn (n=1〜3)による終端
とにより除去される。
【0083】このようにして、図4(a)に示すよう
に、半導体素子が形成された半導体基板1上に、層間絶
縁膜としての厚さ500nmのF添加SiO2 膜8が形
成される。
【0084】次に同図(a)に示すように、DCマグネ
トロンスパッタリングにより、F添加SiO2 膜8上に
Al膜を成膜した後、このAl膜をパターニングして配
線幅500nm、配線厚400nmの1層目のAl配線
9を形成する。
【0085】次に図4(b)に示すように、F添加Si
2 膜8と同じ成膜方法で厚さ800nmのF添加Si
2 膜14を形成した後、Al配線9の場合と同様に厚
さ400nmのAl膜を成膜し、このAl膜をパターニ
ングして2層目のAl配線15を形成する。
【0086】最後に、同図(b)に示すように、F添加
SiO2 膜8と同じ成膜方法で厚さ800nmのF添加
SiO2 膜16を形成する。
【0087】Fが添加されSi−F結合を形成している
ことは、赤外吸収スペクトル測定により確認した。この
赤外吸収スペクトルには、約1080cm-1、約800
cm-1、約450cm-1にSiO2 固有の基準振動モー
ドに帰属される吸収ピークの他、約935cm-1にSi
−F結合に帰属される吸収ピークが観測された。また、
このF添加SiO2 膜中のF原子濃度は約10at%
で、屈折率は1.43、比誘電率は3.3であった。
【0088】また、本実施形態では、プラズマCVD装
置として、成膜チェンバ内での放電を半導体基板に対向
させた電極に高周波を印加することにより行なうCVD
装置を用いたが、他のCVD装置を用いても良い。
【0089】例えば、従来用いられている平行平板型プ
ラズマCVD装置や、マイクロ波放電やマグネトロン放
電など1×1011イオン/cm3 以上の高密度プラズマ
を形成できるCVD装置、例えば、サイクロトロン共鳴
を利用したプラズマCVD装置、誘電電流を用いたプラ
ズマCVD装置、ヘリコン波を用いたプラズマCVD装
置、ダイポールリングマグネトロンプラズマCVD装置
またはマグネトロン平行平板CVD装置などを用いて
も、絶縁膜形成時の条件を制御することにより、本実施
形態と同様のF添加SiO2 膜を形成できる。
【0090】図5(a)、図5(b)は、それぞれ、実
施形態の方法で成膜されたF添加SiO2 膜の吸湿性を
調べるために、堆積直後、1週間大気放置後での赤外吸
収スペクトル変化を測定した結果である。
【0091】図中、横軸は添加したFの濃度(Si−F
/Si−O比)に対応し、約935cm-1のSi−F伸
縮ピーク積分強度を約1080cm-1のSiO2 逆対称
伸縮ピーク積分強度で規格化した値である。また、縦軸
はSiO2 に取り込まれた構造水濃度である吸収量
((Si−OH,H−OH)/SiO比)に対応し、約
3750〜3000cm-1のSi−OH、H−OHピー
ク積分強度を約1080cm-1のSiO2 逆対称伸縮ピ
ーク積分強度で規格化した値である。
【0092】図9から、堆積直後に構造水が減少し、大
気放置後の吸湿量が減少することが分かる。なお、F濃
度が低い(2%より小さい)場合に、吸湿量が増えてい
るのは、膜中にOH基がかなり多く存在しているからで
あると思われる。さらに、FT−IRにより、膜中のS
i−F結合に起因するピークの対称性が大きくくずれて
いないことより、1個のSiにFが2個以上ついた構造
の形成が抑制されていることが分かる。成膜温度を変化
させて成膜したところ、成膜温度が400℃以下におい
ては、上記効果は得られなかった。この結果より、成膜
時の温度は400℃以上であることが望ましい。
【0093】また、400℃以上で成膜した膜を400
℃未満で成膜した膜のSi−FスペクトルをFT−IR
にて比較して調べた結果、Fが2個以上結合したSi原
子の割合は、Fが1個以上結合したSi原子に対し、多
くとも1/3以下であることが望ましいことが分かっ
た。
【0094】(第2の実施形態)図6は、本発明の第2
の実施形態に係る多層配線の形成方法を示す工程断面図
である。これは吸湿性を改善するために、層間絶縁膜と
して、F添加されたSiO2 膜(F添加SiO2 膜)と
F添加されていないSiO2 膜(純SiO2 膜)との積
層絶縁膜を用いた例である。
【0095】まず、図6(a)に示すように、素子を形
成した半導体基板21上に厚さ800nmのボロンリン
ガラス膜(BPSG膜)22を形成する。次いで400
nmのAl膜をスパッタリング法で成膜した後、このA
l膜をパターニングして1層目のAl配線23を形成す
る。
【0096】次に図6(b)に示すように、原料ガスと
してTEOSとO2 との混合ガスを用いたプラズマCV
D法により、厚さ100nmの純SiO2 膜24を形成
した後、第1の実施形態と同様に、原料ガスとしてTE
OSとO2 とSiH4 とSiF(OC2 5 3 との混
合ガスを用いたプラズマCVD法により、厚さ500n
mのF添加iO2 膜25を形成する。次いで原料ガスと
してTEOSとO2 との混合ガスを用いたプラズマCV
D法により、厚さ100nmの純SiO2 膜26を形成
する。
【0097】次に図6(c)に示すように、全面にレジ
スト(不図示)を塗布して露光・現像してレジストパタ
ーンを形成した後、このレジストパターンをマスクとし
て用いたドライエッチングにより、Al配線23上の絶
縁膜24,25,26にヴィアホール27を開孔する。
【0098】次に図6(d)に示すように、原料ガスと
してWF6 とSiH4 との混合ガスを用いた選択CVD
法あるいは非選択CVD法と、ケミカルメカニカルポリ
ッシングあるいはレジストエッチバックとを組み合わせ
て、ヴィアホール27内にタングステン膜28を埋め込
む。
【0099】次に同図(d)に示すように、厚さ400
nmのAl膜をスパッタリング法で成膜し、このAl膜
をパターニングして2層目のAl配線29を形成した
後、厚さ100nmの純SiO2 膜30、厚さ500n
mのF添加SiO2 膜31、厚さ100nmの純SiO
2 膜32を順次形成する。
【0100】純SiO2 膜は、F添加SiO2 膜に比べ
て吸湿性が小さい。したがって、本実施形態によれば、
層間絶縁膜の吸湿を第1の実施形態に比較して更に抑制
でき、誘電率の増加や配線の腐食に代表される信頼性の
低下を効果的に防止できる。なお、前記純SiO2 膜の
代わりに、膜中F濃度が低く、吸湿性を示さないSiO
2 を用いても同様の効果が得られた。
【0101】(第3の実施形態)図7は、本発明の第3
の実施形態に係る層間絶縁膜の形成に用いるプラズマC
VD装置の概略構成を示す模式図である。本実施形態で
は、原料ガスとしてSiF(OC2 5 3 とO2 とS
iH4 とNF3 とTEOSとの混合ガスを用いている。
【0102】図中、40は絶縁材料からなる成膜チャン
バ(反応容器)を示しており、この成膜チャンバ40の
内部には半導体基板41を載置するための基板支持台4
2、原料ガスを成膜チャンバ40内に導入するためのノ
ズル46が設けられている。また、成膜チャンバ40の
下部には排気装置45が設けられており、これにより、
成膜チャンバ40内を真空排気できるようになってい
る。
【0103】基板支持台42には、内部ヒータである抵
抗加熱ヒータ43および冷却剤を循環させるための冷却
パイプ44が設けられている。また、基板支持台42に
は高周波電源49が接続されている。成膜チャンバ40
の側壁には高周波コイル47が巻き付けられ、この高周
波コイル43には高周波電源48が接続されている。次
に上記プラズマCVD装置を用いた多層配線の形成方法
について説明する。まず、素子を形成した半導体基板4
1を基板支持台42上にセットし、抵抗加熱ヒータ44
により、基板を470℃まで加熱する。加熱温度は、予
め行なった熱脱離スペクトル(TDS:Thermal Desorp
tion Spectroscopy)測定において、SiO2 に取り込ま
れた構造水(Si−OH、HOH)の脱水縮合が顕著に
なる350〜550℃の範囲内に設定する。
【0104】これにより、SiO2 ネットワークの緻密
化の達成、および構造水残留によるSiO2 ネットワー
クの弛緩とSi−Fの伸長に要する自由体積(空隙)の
形成の抑制を実現できる。
【0105】次に成膜チャンバ40内に原料ガスとし
て、TEOSを50cm3 /min、O2 を500cm
3 /min、SiH4 を50cm3 /min、NF3
500cm3 /min、SiF(OC2 5 3 を0〜
500cm3 /minの流量で同時に導入し、成膜チャ
ンバ40内の圧力を133Paに保たれるようにしてお
く。
【0106】次に成膜チャンバ40の側壁の高周波コイ
ル47に13.56MHzのRF電力を印加して放電を
開始し、同時に、基板支持台42に350kHzのRF
バイアスを高周波電源49により500W印加して、層
間絶縁膜の成膜を行なう。
【0107】このとき、層間絶縁膜に取り込まれ得るS
i−OH、H−OHのO−H結合の切断に要するエネル
ギーである約12〜25eV以上のエネルギーを成膜中
の膜表面に与え得るエネルギーを持つ電子あるいはイオ
ン(典型的にはF± 、O± 、O2 ±イオン)を成膜中
の層間絶縁膜の表面に照射することにより、膜表面での
Si−OHの分解を促進しSiO2 ネットワークを緻密
化する。
【0108】また、成膜中に生成しうる非架橋酸素(欠
陥)は、酸素イオン照射によるネットワーク緻密化とS
iH4 分解生成物SiHn (n=1〜3)による終端と
により除去される。
【0109】こうして図8(a)に示すように、半導体
基板41上に厚さ500nmのFとNが添加されたSi
2 膜(F,N添加SiO2 膜)50が形成される。
【0110】次に図8(b)に示すように、DCマグネ
トロンスパッタリングによりAl膜を成膜した後、この
Al膜をパターニングして、配線幅500nm、配線厚
400nmの1層目のAl配線51を形成する。
【0111】次に図8(c)に示すように、F,N添加
SiO2 膜50と同じ成膜方法で、厚さ800nmの
F,N添加SiO2 膜52を形成する。次いでAl配線
51の場合と同様に、厚さ400nmのAl膜を成膜
し、このAl膜をパターニングして、2層目のAl配線
53を形成する。最後に、F,N添加SiO2 膜50と
同じ成膜方法で、厚さ800nmのF,N添加SiO2
膜54を形成する。
【0112】なお、本実施形態では、プラズマCVD装
置として、成膜チェンバ内での放電を成膜チャンバの側
壁に設けた電極に高周波電力を印加することにより行な
うCVD装置を用いたが、他のCVD装置を用いても良
い。
【0113】例えば、従来用いられている平行平板型プ
ラズマCVD装置や、マイクロ波放電やマグネトロン放
電など1×1011イオン/cm3 以上の高密度プラズマ
を形成できるCVD装置、例えば、サイクロトロン共鳴
を利用したプラズマCVD装置、誘電電流を用いたプラ
ズマCVD装置、ヘリコン波を用いたプラズマCVD装
置、ダイポールリングマグネトロンプラズマCVD装置
またはマグネトロン平行平板CVD装置などを用いて
も、絶縁膜形成時の条件を制御することにより、本実施
形態と同様のF,N添加SiO2 膜を形成できる。
【0114】(第4の実施形態)図9は、本発明の第4
の実施形態に係る多層配線の形成方法を示す工程断面図
である。本実施形態では、原料ガスとしてSiF(OC
2 5 3 とO2 とSiH4 とBF3 とTEOSとの混
合ガスを用いる。また、層間絶縁膜の成膜装置としては
第3の実施形態と同じプラズマCVD装置を用いる。
【0115】まず、第3の実施形態と同様に、素子を形
成した半導体基板41を基板支持台42上にセットし、
抵抗加熱ヒータにより470℃まで加熱する。加熱温度
は、予め行った熱脱離スペクトル(TDS:Thermal De
sorption Spectroscopy)測定において、SiO2 に取り
込まれた構造水(Si−OH、HOH)の脱水縮合が顕
著になる350〜550℃の範囲内に設定する。
【0116】これにより、SiO2 ネットワークの緻密
化の達成、および構造水残留によるSiO2 ネットワー
クの弛緩とSi−Fの伸長に要する自由体積(空隙)の
形成の抑制を実現できる。
【0117】次に成膜チャンバ40内に原料ガスとし
て、TEOSを50cm3 /min、O2 を500cm
3 /min、SiH4 を50cm3 /min、BF3
500cm3 /min、SiF(OC2 5 3 を0〜
500cm3 /minの流量で同時に導入し、成膜チャ
ンバ40内圧力を133Paに保たれるようにしてお
く。
【0118】次に成膜チャンバ40の側壁の高周波コイ
ル47に13.56MHzのRF電力を高周波電源49
により印加して放電を開始し、同時に、基板支持台42
に350kHzのRFバイアスを高周波電源49により
500W印加し、層間絶縁膜の成膜を行う。
【0119】このとき、層間絶縁膜に取り込まれ得るS
i−OH、H−OHのO−H結合の切断に要するエネル
ギーである約12〜25eV以上のエネルギーを成膜中
の層間絶縁膜の表面に与え得るエネルギーを持つ電子あ
るいはイオン(典型的にはF± 、O± 、O2 ±
オン)を成膜中の層間絶縁の表面に照射することによ
り、膜表面でのSi−OHの分解を促進してSiO2
ットワークを緻密化する。
【0120】また、成膜中に生成しうる非架橋酸素(欠
陥)は、酸素イオン照射によるネットワーク緻密化とS
iH4 の分解生成物SiHn (n=1〜3)による終端
とにより除去される。
【0121】こうして図9(a)に示すように、半導体
基板41上にFとBが添加された厚さ500nmのSi
2 膜(F,B添加SiO2 膜)60が形成される。
【0122】次に図9(b)に示すように、DCマグネ
トロンスパッタリングによりAl膜を成膜した後、この
Al膜をパターニングして、配線幅500nm、配線厚
400nmの1層目のAl配線61を形成する。
【0123】次に図9(c)に示すように、F,B添加
SiO2 膜60と同じ成膜方法で、厚さ800nmの
F,B添加SiO2 膜52を形成する、次にAl配線6
1と同様に厚さ400nmのAl膜を成膜した後、この
Al膜をパターニングして2層目のAl配線63を形成
する。最後に、F,B添加SiO2 膜60と同じ成膜方
法で、厚さ800nmのF,B添加SiO2 膜64を形
成する。
【0124】なお、本実施形態では、プラズマCVD装
置として、成膜チェンバ内での放電を半導体基板に対向
させた電極に高周波を印加することにより行なうCVD
装置を用いたが、他のCVD装置を用いても良い。
【0125】例えば、従来用いられている平行平板型プ
ラズマCVD装置や、マイクロ波放電やマグネトロン放
電など1×1011イオン/cm3 以上の高密度プラズマ
を形成できるCVD装置、例えば、サイクロトロン共鳴
を利用したプラズマCVD装置、誘電電流を用いたプラ
ズマCVD装置、ヘリコン波を用いたプラズマCVD装
置、ダイポールリングマグネトロンプラズマCVD装置
またはマグネトロン平行平板CVD装置などを用いて
も、絶縁膜形成時の条件を制御することにより、本実施
形態と同様のF,B添加SiO2 膜を形成できる。
【0126】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。例えば、上記実施例では、原料ガスと
してTEOS、O2 、SiH4 およびSiF(OC2
5 3 を用いたが、これに限定されるものではない。
【0127】例えば、Fを構成元素の一つとする化合物
ガスとしては、NF3 、BF3 、CF4 、C2 6 、C
lF3 、SiF4 などを用いても良い。
【0128】また、Fを構成元素の一つとする有機シラ
ンガスとしては、SiF(OC2 5 3 、SiF
3 (OC2 5 2 、SiF3 (OC2 5 )などを用
いても良い。これらのガスは、FおよびOを構成元素と
して含む有機シランガスとして、酸化剤ガスなしで用い
ることもできる。
【0129】また、Fを構成元素の一つとする無機シラ
ンガスとしては、SiH3 F、SiH2 2 、SiHF
3 などを用いても良い。有機シランガスとしてはTEO
S、HSi(OC2 5 3 、H2 Si(OC4 9
2 などを用いても良い。
【0130】また、無機シランガスとしては、Si
4 、Si2 6 などを用いても良い。また、酸化剤ガ
スとしては、O2 、N2 Oなどを用いても良い。
【0131】また、N、Bを構成元素の一つとする化合
物ガスとしては、NO、NH3 、N2 4 、BH3 、B
2 6 などを用いても良い。
【0132】また、上記実施形態においては、配線材料
として純Alを用いたが、他の配線材料、例えば、Al
を主成分とする合金でも良い。その他、銅(Cu)、銀
(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、パラジウム
(Pd)あるいは白金(Pt)のうちいずれか、あるい
はこれらのうち1つまたは複数の元素を主配線材料とす
る合金でも良い。
【0133】
【発明の効果】以上詳説したように本発明によれば、S
iO2 網目構造を有する絶縁膜において、特定の欠陥を
低減することにより、吸湿性を改善できるので、吸湿に
よる比誘電率の増大を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加水分解過程におけるFSi(OH)3 +H2
O系、FSi(OH)2 - +H2 O系の全エネルギー
変化を示す特性図
【図2】加水分解過程におけるFSi(OH)3 +2H
2 O系、FSi(OH)2 -+2H2 O系の全エネル
ギー変化を示す特性図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る層間絶縁膜の形
成に用いるプラズマCVD装置の概略構成を示す模式図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る層間絶縁膜の形
成方法を示し工程断面図
【図5】本発明に係るF,N添加SiO2 膜の吸湿性を
示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る多層配線の形成
方法を示す工程断面図
【図7】本発明の第3の実施形態に係る層間絶縁膜の形
成に用いるプラズマCVD装置の概略構成を示す模式図
【図8】本発明の第3の実施形態に係る層間絶縁膜の形
成方法を示す工程断面図
【図9】本発明の第4の実施形態に係る多層配線の形成
方法を示す工程断面図
【符号の説明】
1…半導体基板 2…基板支持台 3…抵抗加熱ヒータ 4…冷却パイプ 5…高周波電源 6…成膜チャンバ 7…電極 8…F添加SiO2 膜 9…Al配線 10…排気装置 11…ゲートバルブ 12…高周波電源 14…F添加SiO2 膜 15…Al配線 16…F添加SiO2 膜 21…半導体基板 22…BPSG膜 23…Al配線 24…純SiO2 膜 25…F添加SiO2 膜 26…純SiO2 膜 27…ヴィアホール 28…タングステン膜 29…Al配線 30…純SiO2 膜 31…F添加SiO2 膜 32…純SiO2 膜 41…半導体基板 42…基板支持台 43…抵抗加熱ヒータ 44…冷却パイプ 45…排気装置 46…ノズル 47…高周波コイル 48…高周波電源 49…高周波電源 50…F,N添加SiO2 膜 51…Al配線 52…F,N添加SiO2 膜 53…Al配線 54…F,N添加SiO2 膜 60…F,B添加SiO2 膜 61…Al配線 62…F,B添加SiO2 膜63…Al配線 64…F,B添加SiO2

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電層間を電気的に分離し、少なくともS
    i、Oを含み、SiO2 の網目構造を有する絶縁膜を備
    えた半導体装置であって、前記網目構造の架橋に関与し
    ない未結合手を有するOによる欠陥、またはこの未結合
    手を有するOが電子もしくは正孔を捕獲することによる
    欠陥を低減したことを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】導電層間を電気的に分離し、少なくともS
    i、Oを含み、SiO2 の網目構造を有する絶縁膜を備
    えた半導体装置であって、前記網目構造の架橋に関与し
    ない未結合手を有し、かつ電気陰性度がSiよりも大き
    い原子による欠陥、またはこの未結合手を有する原子が
    電子もしくは正孔を捕獲することによる欠陥を低減した
    ことを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】導電層間を電気的に分離し、少なくともS
    i、Oを含み、SiO2 の網目構造を有する絶縁膜を備
    えた半導体装置であって、前記網目構造の架橋に関与し
    ない未結合手を有し、かつ電子供与体となりうる原子に
    よる欠陥、前記網目構造の架橋に関与しない未結合手を
    有し、かつ孤立電子対を有する原子による欠陥、または
    これら未結合手を有する原子が電子もしくは正孔を捕獲
    することによる欠陥を低減したことを特徴とする半導体
    装置。
  4. 【請求項4】前記絶縁膜は、F、FおよびN、またはF
    およびBを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の
    いずれかに記載の半導体装置。
JP21785595A 1995-08-25 1995-08-25 半導体装置 Expired - Fee Related JP3373705B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21785595A JP3373705B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21785595A JP3373705B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0964181A true JPH0964181A (ja) 1997-03-07
JP3373705B2 JP3373705B2 (ja) 2003-02-04

Family

ID=16710828

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21785595A Expired - Fee Related JP3373705B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3373705B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101019901B1 (ko) * 2007-03-16 2011-03-04 도쿄엘렉트론가부시키가이샤 기판 처리 장치

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101019901B1 (ko) * 2007-03-16 2011-03-04 도쿄엘렉트론가부시키가이샤 기판 처리 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP3373705B2 (ja) 2003-02-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6197704B1 (en) Method of fabricating semiconductor device
US6303518B1 (en) Methods to improve chemical vapor deposited fluorosilicate glass (FSG) film adhesion to metal barrier or etch stop/diffusion barrier layers
KR100887225B1 (ko) 반도체 디바이스의 제조 방법
JPH0774245A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JPH0969562A (ja) 半導体装置の製造方法および半導体装置
JP2001223269A (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP3666106B2 (ja) 半導体装置の製造方法
KR100382387B1 (ko) 플라즈마 처리 방법
JPH1187340A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP3373705B2 (ja) 半導体装置
JP2003158138A (ja) 薄膜トランジスタ用の多層を形成する方法およびこれによって形成されたデバイス
JPH06163521A (ja) 半導体装置の製造方法
JPH0817174B2 (ja) 絶縁膜の改質方法
JP3234121B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP4250209B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP3333401B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2001077192A (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP2009071331A (ja) 半導体装置の製造方法
JPH11111712A (ja) 低誘電率絶縁膜とその形成方法及びこの膜を用いた半導体装置
JPWO2004105123A1 (ja) 半導体装置
JP3283344B2 (ja) 半導体素子の製造方法
JP2779996B2 (ja) 半導体装置の製造方法
CN104299958B (zh) 互连结构及互连结构的形成方法
JPH0846045A (ja) 半導体装置
JPH0945769A (ja) 半導体装置及び半導体装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071122

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081122

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091122

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101122

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees