JPH0963400A - キィーボードスイッチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キィートップをパンタグラフ機構によって支
持した構造のキィーボードスイッチにおいて、パンタグ
ラフ機構を構成するリンク部材にグリース等を塗付しな
くても、パンタグラフ機構が円滑に動作するキィーボー
ドスイッチを提供する。 【解決手段】 キィートップ８をパンタグラフ機構によ
って支持した構造のキィーボードスイッチにおいて、パ
ンタグラフ機構を構成するリンク部材を摩擦係数の小さ
い樹脂材によって形成し、潤滑油なしにパンタグラフ機
構を円滑に動作させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は例えばパーソナル
コンピュータ或はワードプロセッサ等の各種の装置に利
用することができるキィーボードスイッチに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にキィーボードスイッチの支持機構
は例えば筒体同士の係合によって構成される垂直摺動機
構が採られている。垂直摺動機構によればキィートップ
の端に押下操作力を与えた場合、垂直摺動機構に片寄っ
た操作力が与えられるため、摺動がしぶり円滑な摺動が
阻害され、操作感が悪くなる欠点がある。

【０００３】この欠点を解消するために、例えば「米国
特許第４，４３３，２２５号明細書」に記載されている
ようにパンタグラフ機構によってキィートップを支持す
る構成が提案されている。パンタグラフ機構によってキ
ィートップを支持する構造にすることにより、キィート
ップの端を押下操作しても、キィートップは水平な姿勢
を維持して押下され、感触のよい操作感が得られる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】パンタグラフ機構は例
えば図１に示すように一対のリンク部材６及び７によっ
て構成される。一対のリンク部材６及び７は中間部分で
互に回動自在に連結されてＸ字状に組合され、下端側は
ハウジングと呼ばれる部材３に係合し、上側がキィート
ップ８の裏面に係合する。ハウジング３及びキィートッ
プ８に対する係合は回転係合と共に面に沿って移動する
摺動係合の双方が存在する。

【０００５】この結果、従来はリンク部材６及び７とハ
ウジング３との係合部分及びリンク部材６及び７とキィ
ートップ８との係合部分のそれぞれにおいてグリースを
塗付し、耐摩耗性を向上させると共に、係合部分の摺動
を円滑化し、キィートップの操作性を向上させている。
このように、リンク部材の係合部分にグリースを塗付す
るには手間が掛り、コストが高くなる欠点がある。ま
た、グリースが長期にわたって変質することなく、所定
の部分に付着した状態に維持されていればよいが、経時
変化もあり、それには限界がある。

【０００６】この発明の目的はパンタグラフ機構を採る
キィーボードスイッチにおいて、グリースの塗付作業を
必要とすることなく、従って省力化によってコストダウ
ンが期待でき、然も長期にわたって円滑に動作させるこ
とができるパンタグラフ機構を採るキィーボードスイッ
チを提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明ではパンタグラ
フ機構を採るキィーボードスイッチにおいて、リンク部
材を摩擦係数が小さい樹脂材によって形成した構成を特
徴とするものである。この発明の構成によれば、リンク
部材を摩擦係数の小さい樹脂材で形成したことにより、
リンク部材とハウジングとの係合部分及びリンク部材と
キィートップとの係合部分にグリースのように潤滑材を
塗付しなくても円滑に動作する。従って組立に要する手
間を省くことができる。然も樹脂材の摩擦係数は半永久
的に変化しないから長期にわたって円滑な動作を維持す
ることができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１にこの発明によるキィーボー
ドスイッチの一実施例を示す。図中１はキィーボードを
構成する基板を示す。基板１の上面にメンブレンシート
２が積層される。メンブレンシート２は図２に示すよう
に、２枚の絶縁シート２Ａ，２Ｂがスペーサ２Ｃにより
所定の間隔を保持して積層合体され、その対向面に導電
パターン２Ｄ，２Ｅが形成される。この導電パターン２
Ｄ，２Ｅによって接点を構成し、上部から上側の絶縁シ
ート２Ａを押圧することにより導電パターン２Ｄと２Ｅ
を接触させ接点信号を発信させる。

【０００９】３はメンブレンシート２の上面に積層した
ハウジングを示す。ハウジング３にはメンブレンシート
２の接点形成部分と対向して孔４（図２参照）が形成さ
れ、この孔４の部分に例えばゴムのような弾性材で形成
したドーム状体５を配置する。ドーム状体５は図２に断
面で示すように、上下方向に屈曲することができるスカ
ート部分５Ａと、このスカート部分５Ａの上部に付した
押釦部５Ｂとによって構成される。尚、５Ｃは空気抜き
用の切欠を示す。

【００１０】６及び７は一対のリンク部材を示す。リン
ク部材６及び７は図３に示すようにリンク部材６は中央
部分にドーム状体５を押圧する押圧部６Ａを有し、外側
の面に他方のリンク部材７に形成したピン７Ａと係合す
る孔６Ｂとを具備して構成される。リンク部材７のピン
７Ａがリンク部材６に形成した孔６Ｂに係合し、Ｘ字状
に組合わされる。

【００１１】リンク部材６にはその両端部に外向に軸６
Ｃと６Ｄが突設される。リンク部材７には一端側に軸７
Ｂが差し渡されて形成され、他端側に軸７Ｃが外向に突
設される。軸７Ｂはキィートップ８の裏面に設けられた
回転軸受８Ａに係合し、軸６Ｄはハウジング３に形成し
た回転軸受３Ａに係合し、これら軸７Ｂと６Ｄは回転自
在に支持される。これに対し、軸６Ｃはキィートップ８
の裏側に形成した摺動溝８Ｂに係合し、軸７Ｃはハウジ
ング３に形成した摺動溝３Ｂに係合される。この状態で
リンク部材６に形成した押圧部６Ａがドーム状体５の押
釦部５Ｂの頂面と係合し、ドーム状体５の弾性によって
リンク部材６と７は立ち上がった状態、つまり、キィー
トップ８が上死点位置に保持される。

【００１２】キィートップ８を押下操作すると、リンク
部材６と７はハウジング３の面に近ずく方向に変位す
る。このときリンク部材６に形成した押圧部６Ａがドー
ム状体５を押しつぶし、押釦部５Ｂでメンブレンシート
２の接点部を押圧し接点信号を発信させる。ここで、こ
の発明ではリンク部材６及び７を摩擦係数が小さい樹脂
材で形成する。摩擦係数が小さい樹脂としては、ＰＯＭ
樹脂とも呼ばれるポリアセタール樹脂にシリコンオイル
を添加して成形したもの或はポリアセタール樹脂にフッ
ソ又はフィラーを添加して成形したもの等の材料を用い
ることができる。また他の方法として、ポリアセタール
樹脂で形成したリンク部材６と７を例えばシリコンオイ
ルのような潤滑材に浸して滑性化したものも用いること
ができる。

【００１３】尚、ハウジング３及びキィートップ８は従
来と同様に安価に得られる例えばＡＢＳ樹脂等を用いる
ことができる。その他として、リンク部材６と７に形成
する軸６Ｃ，６Ｄ及び７Ｃの部分には樹脂成形時に用い
る金型に合わせ面が存在しないように、軸６Ｃ，６Ｄ及
び７Ｃの部分は金型から引き抜く構造とし、バリの発生
を抑えるようにする。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
リンク部材６と７を摩擦係数が小さい樹脂で成形したか
ら、リンク部材６及び７と、ハウジング３との係合部分
及びリンク部材６及び７とキィートップ８との係合部分
にグリースのような潤滑材を塗付しなくても、リンク部
材６と７を円滑に動作させることができる。従ってグリ
ースを塗付する作業を行なわなくて済むため、組立の手
間を省くことができコストダウンが期待できる。

【００１５】また、樹脂材の摩擦係数は半永久的に不変
であるから、長期にわたってリンク部材の円滑動作を維
持することができる利点が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す断面図。

【図２】図１に示した実施例に用いたメンブレンシート
と、ドーム状体の具体的な構造を説明するための拡大断
面図。

【図３】この発明の要部となるリンク部材の形状の一例
を説明するための斜視図。

【符号の説明】

１ 基板 ２ メンブレンシート ３ ハウジング ４ 孔 ５ ドーム状体 ６，７ リンク部材 ８ キィートップ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メンブレンシート上に搭載され、このメ
   ンブレンシートに形成された接点部を露出させるための
   孔と、この孔の周縁にキィートップを支持するためのリ
   ンク部材と係合する係合部とを具備し、絶縁樹脂材で形
   成されたハウジングと、 上記孔の部分に露出されたメンブレンシートに取付けら
   れ、キィートップの押下操作によって上記メンブレンシ
   ートに形成された接点をオン，オフ操作する弾性材で形
   成されたドーム状体と、 上記ハウジングに形成された係合部に各一端が係合し、
   中間部分で互に回動自在に連結され、他端がキィートッ
   プの裏面に係合してキィートップが上記ハウジングの面
   とほぼ平行移動するようにパンタグラフ機構で支持する
   一対のリンク部材とを具備して構成されるキィーボード
   スイッチにおいて、 上記一対のリンク部材を摩擦係数が小さい樹脂材で形成
   したことを特徴とするキィーボードスイッチ。