JPH0963048A - Hdd用アルミニウム基盤研磨における前処理方法 - Google Patents

Hdd用アルミニウム基盤研磨における前処理方法

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JPH0963048A
JPH0963048A JP20962595A JP20962595A JPH0963048A JP H0963048 A JPH0963048 A JP H0963048A JP 20962595 A JP20962595 A JP 20962595A JP 20962595 A JP20962595 A JP 20962595A JP H0963048 A JPH0963048 A JP H0963048A
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JP
Japan
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polishing
phosphoric acid
substrate
aluminum
blank
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JP20962595A
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Yuichi Hayashi
雄一 林
Hideo Fujimoto
日出男 藤本
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のHDD用アルミニウム基盤の研磨の前
処理方法が有する問題点を解消し、ブランクのサブスト
レート加工(研磨)速度の促進を可能とし得てサブスト
レートの生産性の向上をはかることができ、更に、サブ
ストレートへのNi-Pメッキ後のNi-Pメッキ膜の研磨代の
低減を可能とするHDD用アルミニウム基盤研磨におけ
る前処理方法を提供する。 【解決手段】 HDD用アルミニウム基盤を、研磨前
に、温度30〜80℃で、リン酸濃度:3〜30wt%のリン酸
浴、リン酸濃度:2〜30wt%、硝酸濃度:2〜30wt%の
混酸浴(合計酸濃度:5〜40wt%)、又は、リン酸濃
度:2〜30wt%、硫酸濃度:2〜30wt%の混酸浴(合計
酸濃度:5〜40wt%)に10〜180 秒間浸漬することを特
徴とするHDD用アルミニウム基盤研磨における前処理
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、HDD用アルミニ
ウム基盤研磨における前処理方法に関し、詳細にはHD
D(即ち、ハード・ディスク・ドライブ)用アルミニウ
ム基盤の研磨(サブストレート加工)の前処理方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンピュータ等の記録媒体とし
て使用される磁気ディスク等の基盤材としては、軽量
である、非磁性である、剛性を有する、精密加工
や研磨により良好な表面精度が簡単に得られる、安価
である、等の理由により、アルミニウム合金が使用され
てきた。特に5086合金等の5000系アルミニウム合金は、
上記特性が良好であるため、塗布型メディア・薄膜メデ
ィアを通じてHDD用アルミニウム基盤材として使用さ
れてきた。
【0003】かかるアルミニウム基盤、そしてアルミニ
ウムディスクは、次のようにして製作される。即ち、ア
ルミニウム(Al合金)鋳塊を造塊した後、均熱・熱間圧
延工程を施し、その後、冷間圧延等により所定の板厚と
することにより、アルミニウム板を製作する。次に、該
アルミニウム板からディスク形状に打ち抜きを行い、所
謂ブランクを得る。次に、該ブランクのサブストレート
加工を行う。この加工により得られるサブストレートが
アルミニウム基盤である。
【0004】ここで、サブストレート加工は、ブランク
を#3000番程度の砥石で研磨する工程であり、下記の目
的がある。即ち、第1目的は、所定の寸法に仕上げるこ
とにあり、第2目的は、後工程のメッキと、メッキ膜の
研磨のために、ブランク表面部の酸化膜層を除去し、そ
して、メッキ前のアルミニウム基盤の表面粗度を低減さ
せることにある。このサブストレート加工により、アル
ミニウム基盤の表面粗度は30nm程度となる。サブストレ
ート加工後のものは、サブストレートといわれる。
【0005】上記サブストレート加工後、サブストレー
トに、Ni-Pメッキ(メッキ厚み:通常20μm 以下)を施
す。このメッキ後のものがアルミニウムNi-P基盤であ
る。ここで、Ni-Pメッキの目的は、ディスクに強度及び
硬度を付与し、ディスクが傷ついてデータエラーが発生
することを防止することにある。
【0006】更に、上記Ni-Pメッキ膜には所謂メッキ欠
陥が生じているので、これを除去するために、又、Ni-P
メッキ膜が平滑になるようにする(表面を平坦化する)
ために、Ni-Pメッキ膜の研磨を行う。この工程により、
磁気ヘッドの低浮上化(浮上が低く、基盤表面との隙間
が狭くできる)が可能であり、高密度記録が得られるア
ルミニウムディスクとなる(このようにして得られたア
ルミニウムディスクをHDDに用いることにより、磁気
ヘッドの低浮上化が可能であり、高密度記録が得られ
る)。
【0007】ところで、近年では、コンピュータの低価
格化の要求に伴って、アルミニウム基盤の低コスト化と
共にNi-Pメッキ膜の成膜及び研磨工程でのコストダウン
が要求されている。
【0008】この中、Ni-Pメッキ膜の研磨工程について
は、非常に高コストである他、アルミニウム加工時のグ
ラインド(研磨)に比較して非常に加工速度が遅く、生
産性をも阻害するものであり、そのため、従来からNi-P
メッキ膜の研磨量を低減させる努力がなされてきた。そ
の結果、特開平5-248863号公報には、温度:10〜40℃、
濃度:10〜30wt%の硝酸にブランクを浸漬した後、温
度:40〜80℃、濃度:1〜10wt%の苛性ソーダ又は苛性
カリにより苛性洗浄することにより、ブランク表面の酸
化膜の除去を行う技術が提案されている。この技術は、
ブランクのサブストレート加工時の研磨性低下原因であ
った酸化膜層を除去することにより、研磨時間の増大
(サブストレートの生産性の低下)を招くことなく、#
6000番以上の砥石の使用を可能とし、それにより15nm以
下の表面粗度を得ることができ、その結果としてNi-Pメ
ッキ後のNi-Pメッキ膜の研磨代(必要な研磨量)を低減
させるものである。又、サブストレート加工後のスクラ
ッチ(研磨疵)、Ni-Pメッキ後のメッキ欠陥である10μ
m 以上の粗大ノジュールの原因が酸化膜層にあることを
究明し、かかる酸化膜層をNi-Pメッキ前に予め除去して
おくことにより、メッキ欠陥の大きさ(深さ)を低減
し、その結果としてもNi-Pメッキ膜の研磨代を低減させ
るものである。
【0009】一方、アルミニウム基盤の低コスト化の要
求に伴って(と共に)、ブランクのサブストレート加工
でのコストダウンが要求されている。このコストダウン
の一手段としてサブストレート加工での生産性の向上、
即ち、サブストレートの生産性の向上が挙げられる。か
かる生産性の向上をはかる方法として、砥石番手を上げ
て研磨レート(速度)を促進させることが考えられる。
しかし、砥石番手を上げることにより、得られるサブス
トレート粗度が増加し、これは後工程のNi-Pメッキの成
膜量、該膜の研磨量の増加を招くので、上記方法は採用
できない。
【0010】前記特開平5-248863号公報に記載の方法に
よれば、酸化膜層を除去により、サブストレート加工時
の研磨性が向上するので、サブストレートの生産性の向
上がはかれる可能性があると考えられる。しかし、本法
によれば、前記の如く処理工程を2回必要とするので生
産性の面で不利となる。又、苛性洗浄より、表面が過エ
ッチングを受けてピット等を形成するためにブランクの
サブストレート加工時の研磨量を必要以上に要するとい
う欠点がある。即ち、通常の場合、ブランク表面には10
μm 程度の疵が存在するため、片面15μm (両面で30μ
m )以上の研磨代を必要とするが、苛性洗浄をした場合
にはブランク表面の疵が深くなるため、より多くの研磨
代を必要とすることになり、従って、前記酸化膜層の除
去による研磨性の向上はあるものの、総合的にはサブス
トレートの生産性の充分な向上がはかれないという欠点
がある。
【0011】前記特開平5-248863号公報に記載された技
術の如きブランクのサブストレート加工(研磨)前の処
理、即ち、ブランク(HDD用アルミニウム基盤)の研
磨の前処理方法に関し、前記公報に記載の技術の他に、
りん酸−硝酸法という技術がある。この技術は、リン
酸:40〜80wt%、硝酸:2〜60wt%、水:残部からなる
混酸浴に、80〜100 ℃で6〜120 秒間浸漬する技術、即
ち、温度80〜100 ℃で、リン酸濃度:40〜80wt%、硝酸
濃度:2〜60wt%の混酸浴に6〜120 秒間浸漬浸漬する
技術であり、ブランク表面の酸化膜を除去し、その結果
としてNi-Pメッキ後のNi-Pメッキ膜の研磨代を低減させ
ようとするものである。しかし、この技術によれば、リ
ン酸濃度が高く、更に高温で処理されるため、ブランク
表面の酸化膜を除去するにとどまらず、酸化膜下のブラ
ンクも過エッチングを受けるため、その後のサブストレ
ート加工(研磨)の際の仕上げ研磨での研磨代が大きく
なり、研磨効率の低下を招き、従って、前記酸化膜層の
除去による研磨性の向上はあるが、総合的にはサブスト
レートの生産性の充分な向上がはかれないという欠点が
ある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
着目してなされたものであって、その目的は前記従来の
HDD用アルミニウム基盤(ブランク)の研磨の前処理
方法が有する問題点を解消し、ブランクのサブストレー
ト加工(研磨)速度の促進を可能とし得てサブストレー
トの生産性の向上をはかることができ、更に、Ni-Pメッ
キ後のNi-Pメッキ膜の研磨代の低減を可能とするHDD
用アルミニウム基盤研磨における前処理方法を提供しよ
うとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るHDD用アルミニウム基盤研磨におけ
る前処理方法は、請求項1〜3記載の前処理方法として
おり、それは次のような構成としたものである。
【0014】即ち、請求項1記載の前処理方法は、HD
D用アルミニウム基盤を、研磨前に、温度30〜80℃で、
リン酸濃度:3〜30wt%のリン酸浴に10〜180 秒間浸漬
することを特徴とするHDD用アルミニウム基盤研磨に
おける前処理方法である(第1発明)。
【0015】請求項2記載の前処理方法は、HDD用ア
ルミニウム基盤を、研磨前に、温度30〜80℃で、リン酸
濃度:2〜30wt%、硝酸濃度:2〜30wt%、且つリン酸
と硝酸の合計濃度:5〜40wt%の混酸浴に10〜180 秒間
浸漬することを特徴とするHDD用アルミニウム基盤研
磨における前処理方法である(第2発明)。
【0016】請求項3記載の前処理方法は、HDD用ア
ルミニウム基盤を、研磨前に、温度30〜80℃で、リン酸
濃度:2〜30wt%、硫酸濃度:2〜30wt%、且つリン酸
と硫酸の合計濃度:5〜40wt%の混酸浴に10〜180 秒間
浸漬することを特徴とするHDD用アルミニウム基盤研
磨における前処理方法である(第3発明)。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、前記の如き組成のリン
酸浴又は混酸浴(リン酸と硝酸又は硫酸を含む混酸)を
30〜80℃、例えば50℃に加熱し、この浴にHDD用アル
ミニウム基盤を10〜180 秒間、例えば100 秒間浸漬する
ようにして、実施する。
【0018】本発明によれば、上記本発明の実施の形態
からもわかる如く処理(浸漬)工程が1回である。そし
て、本発明によれば、以下の説明からわかる如く、表面
の過エッチングを生じることなく、HDD用アルミニウ
ム基盤(ブランク)の酸化膜層を除去し得、それによ
り、HDD用アルミニウム基盤(ブランク)のサブスト
レート加工(研磨)速度の促進を可能とし得、そのため
サブストレートの生産性の向上をはかることができ、更
に、サブストレートへのNi-Pメッキ後のNi-Pメッキ膜の
研磨代の低減を可能とし得る。これは、種々研究を重ね
た結果、得られた知見に基づくものである。
【0019】この詳細を以下説明する。先ず、HDD用
アルミニウム基盤(ブランク)のサブストレート加工
(研磨)速度の向上及びサブストレート加工でのスクラ
ッチ発生の防止が可能となるサブストレート加工(研
磨)条件について検討した。その結果、スクラッチ発生
の原因は、アルミニウムを被っている表面の酸化物層
(酸化皮膜)が原因であることを究明した。即ち、アル
ミニウム表面を厚さ:30〜100 Åで酸化物が被ってお
り、この酸化物は非晶質であるために、研磨加工時に粉
々に破断して、研磨砥石の気孔に入り込み、この酸化物
の破片はアルミニウムに比較して非常に硬く、又、鋭利
な形状となているため、アルミニウム表面を引っかき、
スクラッチ発生の原因となることを究明した。従って、
この酸化物層を研磨前に取り除くことにより、スクラッ
チ発生の防止が可能となることがわかった。
【0020】又、この酸化物はスクラッチ発生の原因と
なるのみならず、研磨速度を非常に低減させることが判
明した。これは、アルミニウム表面を被っている硬い酸
化皮膜(酸化物層)を削り落とすのに時間がかかるため
のみならず、上記の如く酸化皮膜の研磨粉(破片)が砥
石の気孔に入り込み、砥石中に突き刺さり、砥石から簡
単には落ちないことが原因であることを究明した。即
ち、酸化膜層の除去を行わない従来の方法においては、
研磨工程の中の殆どの時間は、砥石中に突き刺さり、砥
石の目詰まりを起こしている状態で行われており、例え
ば10分間で研磨を行う場合には1分程度の時間しか充分
な研磨状態とはなっていないことを究明した。
【0021】以上より、酸化皮膜の除去が重要であると
いえるので、次に、酸化皮膜の除去法について検討し
た。この酸化皮膜の除去法としては、酸化皮膜を機械的
に削り取る方法と化学的に溶解してしまう方法とが考え
られる。そこで、先ず、機械的な切削加工による酸化皮
膜の除去を検討した。ここで、高精度の加工を行うため
には、ダイヤモンドバイトを使用する所謂D.T.加工
が必須となるので、この加工によりアルミニウムの切削
加工を行った。しかる後、研磨を行ったところ、研磨速
度の向上及びスクラッチ発生の防止が可能となった。
【0022】しかし、アルミニウム基盤は近年非常に薄
肉化しており、板厚:0.8mm 等の所謂薄肉材が主流にな
りつつあり、かかる薄肉材には上記D.T.加工は適用
できないことが判明した。これは、薄肉材は強度が急激
に低下し、かかる機械的な加工法では歪みが極端に悪化
してしまうためである。特に、最近ではディスクの高密
度化により、歪みはできるだけ低いことが要求されてお
り、通常でも6μm 以下であることが要求されている
が、上記の如き機械的な加工法では約20μm 程度の歪み
となってしまい、適用が非常に困難である。
【0023】そこで、化学的に表面の酸化物層を除去す
ることを検討した。通常、アルミニウムの酸化皮膜の除
去方法として、苛性ソーダ洗浄が一般的に行われてい
る。かかる苛性ソーダ洗浄法を適用したところ、スクラ
ッチの低減は可能であることが判明した。しかし、前記
の機械的な酸化皮膜除去方法ほどの効果は得られなかっ
た。この原因について鋭意検討した結果、アルカリ性水
溶液で5000系アルミニウム合金を処理すると、アルミニ
ウムの酸化皮膜中に含まれるMg-Oとアルカリ性水溶液中
のOH- が反応し、水和物を形成し、この水和物が前記ア
ルミニウム表面を被っている酸化皮膜と同様の働きをし
たために、スクラッチの発生を完全には防止できなかっ
たことを究明した。
【0024】従って、かかる水和物を形成することな
く、酸化物層を除去することが重要であるので、次に、
その方法を検討した。その結果、アルミニウム基盤をリ
ン酸浴中に浸漬すれば、アルミニウムの酸化皮膜中のMg
-Oがリン酸浴中で溶解するため、前記の如き不都合な水
和物を形成することなく、アルミニウム最表面層(<5
μm )をエッチングして酸化物層を除去することがで
き、ひいては、アルミニウム基盤(ブランク)のサブス
トレート加工(研磨)速度の向上及びスクラッチ発生の
防止が可能となることを究明した。又、リン酸浴にはア
ルミニウム表面を平滑化する効果もあり、ブランク表面
の疵をも低減させる効果もあることがわかった。更に、
ブランクの酸化物層を除去しないで研磨して得られるサ
ブストレートで発生するノジュールは10μm 以上の粗大
ノジュールであるが、上記リン酸浴への浸漬の後に研磨
して得られるサブストレートはスクラッチ発生が防止さ
れるために、発生するノジュール径が最大7μm 程度と
なり、そのため、サブストレートへのNi-Pメッキ後のNi
-Pメッキ膜の研磨代が低減することがわかった。そし
て、上記リン酸浴としてはリン酸濃度:3〜30wt%、温
度30〜80℃とし、このリン酸浴へのアルミニウム基盤の
浸漬時間は10〜180 秒間にするとよいこと、即ち、表面
の過エッチングを生じることなく、上記の如き作用効果
を確実に奏することができることがわかった。
【0025】又、上記リン酸浴に代えて、リン酸濃度:
2〜30wt%、硝酸濃度:2〜30wt%で、且つリン酸と硝
酸の合計濃度:5〜40wt%である混酸浴、或いは、リン
酸濃度:2〜30wt%、硫酸濃度:2〜30wt%で、且つリ
ン酸と硫酸の合計濃度:5〜40wt%の混酸浴を用いる
と、いずれの場合も基本的に上記リン酸浴使用の場合と
同様もしくはそれ以上の作用効果を奏する。これら混酸
浴において、リン酸は上記リン酸浴でのリン酸と同質の
作用がある。前者の混酸浴での硝酸は、アルミニウムに
対してエッチング効果が少ないが、Mg-Oの溶解に効果的
であり、従って、前者の混酸浴の場合は上記リン酸浴の
場合よりもMg-Oが溶解し易く、前記の如き不都合な水和
物の形成をより確実に防止できる利点がある。後者の混
酸浴での硫酸は、アルミニウムを均一にエッチングする
作用効果があり、又、リン酸よりも安価であり、高価な
リン酸の使用量を低減できる利点があり、更に、リン酸
との混酸浴としてMg-Oの溶解除去効果を高める作用効果
がある。
【0026】本発明(第1〜3発明)は、以上のような
知見に基づきなされたHDD用アルミニウム基盤研磨に
おける前処理方法であり、その構成は前述の如き構成を
有するものである。従って、処理工程が1回で、表面の
過エッチングを生じることなく、HDD用アルミニウム
基盤(ブランク)の酸化膜層を除去し得、それにより、
HDD用アルミニウム基盤(ブランク)のサブストレー
ト加工(研磨)速度の促進を可能とし得、そのためサブ
ストレートの生産性の向上をはかることができ、更に、
サブストレートへのNi-Pメッキ後のNi-Pメッキ膜の研磨
代の低減を可能とし得るものである。
【0027】ここで、本発明(第1〜3発明)における
数値限定理由を、以下説明する。第1発明において、リ
ン酸はアルミニウム最表面層(<5μm )をエッチング
して酸化物層を除去するが、リン酸濃度:3wt%未満あ
るいは処理(浸漬)温度:30℃未満にすると、酸化物層
の除去が困難となり、又、均一なエッチングが困難とな
って平滑性が悪くなり、一方、リン酸濃度:30wt%超あ
るいは処理温度:80℃超にすると、設備が非常に高価に
なる他、リン酸浴の濃度及び温度の管理が非常に困難と
なり、又、過度なエッチングがなされてアルミニウム表
面にディンプルが形成され、表面粗度が悪化するので、
リン酸濃度:3〜30wt%、処理温度:30〜80℃とする必
要がある。処理(浸漬)時間については、10秒未満では
エッチングが不充分であって酸化物層の除去及び表面平
滑化が不充分となり、一方、180 秒超にするとブランク
表面の酸化膜を除去するにとどまらず、酸化膜下のアル
ミニウム基盤自体も過エッチングを受けて表面粗度が悪
化し、その後のサブストレート加工(研磨)の際の仕上
げ研磨での研磨代が大きくなり、結局はサブストレート
の生産性の充分な向上がはかれなくなるので、浸漬時
間:10〜180 秒とする必要がある。
【0028】第2発明においてはリン酸と硝酸を含む混
酸浴を使用するが、リン酸と硝酸の合計濃度を5wt%未
満にすると、酸化物層の除去が困難となり、又、均一な
エッチングが困難となって平滑性が悪くなり、一方、40
wt%超にすると、前記第1発明に係る数値限定理由とし
て記載のリン酸濃度:30wt%超の場合と同様の支障があ
るので、リン酸と硝酸の合計濃度:5〜40wt%とする必
要がある。この酸混浴中のリン酸濃度については、2wt
%未満では酸化物層の除去が困難となり、又、均一なエ
ッチングが困難となって平滑性が悪くなり、一方、30wt
%超では前記第1発明に係る数値限定理由として記載の
リン酸濃度:30wt%超の場合と同様の支障があるので、
リン酸濃度:2〜30wt%とする必要がある。硝酸濃度に
ついては、2wt%未満ではMg-Oの溶解が不充分となり、
不都合な水和物の形成を防止できなくなり、30wt%超で
は前記第1発明に係る数値限定理由として記載のリン酸
濃度:30wt%超の場合と同様の支障がある他、硝酸濃度
に対してリン酸濃度が低くなり、酸化物層の除去が不充
分となるので、硝酸濃度:2〜30wt%とする必要があ
る。処理温度及び浸漬時間については、前記第1発明の
場合と同様の理由により、処理温度:30〜80℃、浸漬時
間:10〜180 秒とする必要がある。
【0029】第3発明においてはリン酸と硫酸を含む酸
混浴を使用するが、リン酸と硫酸の合計濃度:5wt%未
満、40wt%超にすると、前記第2発明に係る数値限定理
由として記載のリン酸と硝酸の合計濃度:5wt%未満、
40wt%超の場合と同様の支障があるので、リン酸と硫酸
の合計濃度:5〜40wt%とする必要がある。この混酸浴
中のリン酸濃度については、前記第2発明の場合と同様
の理由により、2〜30wt%とする必要がある。硫酸濃度
については、2wt%未満ではMg-Oの溶解が不充分とな
り、不都合な水和物の形成を防止できなくなり、30wt%
超では前記第1発明に係る数値限定理由として記載のリ
ン酸濃度:30wt%超の場合と同様の支障がある他、硫酸
濃度に対してリン酸濃度が低くなり、酸化物層の除去が
不充分となるので、硫酸濃度:2〜30wt%とする必要が
ある。処理温度及び浸漬時間については、前記第1発明
の場合と同様の理由により、処理温度:30〜80℃、浸漬
時間:10〜180 秒とする必要がある。
【0030】HDD用アルミニウム基盤の構成材料であ
るアルミニウムとしては、特に限定されるものではな
く、各種Al合金を使用でき、例えば5086合金等の5000系
アルミニウム合金を用いることができる。
【0031】
【実施例】
(実施例1)表1に示す化学成分を有するAl合金の鋳塊
(厚さ:400mm)を造塊した後、510℃で均熱処理をし、
その後、熱間圧延、冷間圧延をして 1.3mm厚さの板とし
た。次に、外径95mm、内径25mmのディスク形状に打ち抜
き加工を行い、所謂ブランクディスクを作製した。
【0032】上記ブランクディスクを表2に示す浴組成
及び温度の浴に表2に示す時間浸漬する前処理を行い、
しかる後、表3に示す条件で研磨(サブストレート加
工)を行い、研磨速度(研磨完了までの所要時間)、ス
クラッチの有無、表面粗度等を調査した。その調査結果
を表4に示す。ここで、研磨速度は、前処理無し(前処
理を行わずに研磨)のものを100%とし、これに対する百
分率で表示した。スクラッチの有無は目視による確認結
果である。評価については、表面粗度(Ra : 中心線平
均粗さ)30nm以下、研磨速度130%以上、スクラッチ無し
のものを良好状態とし、それを○で示し、それ以外のも
のは不良状態とし、それを×で示した。表4からわかる
如く、前処理無しのもの(No.1)及び比較例に係る前処
理を適用したもの(No.2〜3, No.9 〜14)は、表面粗
度、研磨速度、スクラッチの一つ以上の点において上記
良好状態を充たさず、評価:×(不良状態)である。こ
れに対し、本発明の実施例に係る前処理を適用したもの
(No.4〜7)は、上記良好状態を充たし、評価:○(良好
状態)であり、この前処理により、スクラッチを防止で
き、更には30nm以下の粗度を維持したまま、優れた研磨
性が得られ、従って、この前処理はサブストレートの製
造〔サブストレート加工(研磨)〕の前処理として極め
て優れているといえる。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】(実施例2)実施例1の場合と同様のブラ
ンクディスクについて、表5に示す前処理条件で前処理
(浸漬処理)を行った後、表5に示す研磨量(研磨代)
でサブストレート加工(研磨)を行った。次に、このサ
ブストレートに対し、表6に示す条件(メッキ浴、メッ
キ厚)でNi-Pメッキを行った。しかる後、Ni-Pメッキ膜
の研磨を表6に示すメッキ膜研磨量(0.5μm)で行い、メ
ッキピットの数を調査した。その調査結果を表7に示
す。ここで、ピット数は倍率500 倍の顕微鏡視野下でカ
ウントし、これを30視野について行った後、この測定値
(ピット数)を1mm2 当たりのピット数に換算し、表示
した。評価については、メッキピットが全く認められな
かったものを良好とし、○で表示し、それ以外のものは
不良とし、×で表示した。表7からわかる如く、前処理
無しのもの(No.4)及び比較例に係る前処理を適用した
もの(No.5)は、メッキピットが認められ、評価:×
(不良)である。これに対し、本発明の実施例に係る前
処理を適用したもの(No.1〜3 )は、メッキピットが全
く認められず、評価:○(良好)であり、この前処理に
より、その後工程のNi-Pメッキ膜の研磨に際して膜研磨
量が小さくても(0.5μm であっても)メッキピットを完
全に除去でき、換言すれば、Ni-Pメッキ膜の研磨代を低
減することができるといえる。
【0041】
【発明の効果】本発明に係るHDD用アルミニウム基盤
研磨における前処理方法は、前処理工程が1回で、表面
の過エッチングを生じることなく、HDD用アルミニウ
ム基盤の酸化膜層を除去し得、それにより、HDD用ア
ルミニウム基盤のサブストレート加工(研磨)速度の促
進を可能とし得、そのためサブストレートの生産性の向
上をはかることができ、更に、サブストレートへのNi-P
メッキ後のNi-Pメッキ膜の研磨代の低減を可能とし得、
ひいてはアルミニウムNi-P基盤の生産性の向上及びコス
トダウンがはかれるようになるという顕著な効果を奏す
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 HDD用アルミニウム基盤を、研磨前
    に、温度30〜80℃で、リン酸濃度:3〜30wt%のリン酸
    浴に10〜180 秒間浸漬することを特徴とするHDD用ア
    ルミニウム基盤研磨における前処理方法。
  2. 【請求項2】 HDD用アルミニウム基盤を、研磨前
    に、温度30〜80℃で、リン酸濃度:2〜30wt%、硝酸濃
    度:2〜30wt%、且つリン酸と硝酸の合計濃度:5〜40
    wt%の混酸浴に10〜180 秒間浸漬することを特徴とする
    HDD用アルミニウム基盤研磨における前処理方法。
  3. 【請求項3】 HDD用アルミニウム基盤を、研磨前
    に、温度30〜80℃で、リン酸濃度:2〜30wt%、硫酸濃
    度:2〜30wt%、且つリン酸と硫酸の合計濃度:5〜40
    wt%の混酸浴に10〜180 秒間浸漬することを特徴とする
    HDD用アルミニウム基盤研磨における前処理方法。
JP20962595A 1995-08-17 1995-08-17 Hdd用アルミニウム基盤研磨における前処理方法 Withdrawn JPH0963048A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013004132A (ja) * 2011-06-14 2013-01-07 Kobe Steel Ltd 磁気記録媒体用アルミニウム基板の製造方法
JP2013020670A (ja) * 2011-07-08 2013-01-31 Kobe Steel Ltd 磁気記録媒体用アルミニウム基板の製造方法

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