JPH0960961A - 空気調和装置の風向変更装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】室内機の吹出し方向を多様に変更でき、暖房運
転時は勿論のこと冷房運転時における快適性向上に寄与
できる空気調和装置の風向変更装置を提供する。 【解決手段】室内機１の吹出し口５に鉛直線とほぼ直交
する軸心線を中心に回動自在に設けられて吹出し口５か
ら吹出されようとする空気の流れ方向を変更する主風向
変更板２３と、この主風向変更板２３の空気案内方向に
おける両端部を延伸させる形態に、かつ上記両端部に軸
心線を位置させてそれぞれ回動自在に設けられた第１お
よび第２の補助風向変更板２６，２７と、主風向変更板
２３および第１，第２の補助風向変更板２６，２７の回
動角をそれぞれ独立に可変する回動角可変手段と、室内
機１の運転形態に対応させて回動角可変手段を介して主
風向変更板２３および第１，第２の補助風向変更板２
６，２７の回動角を制御する回動角制御手段とを備えて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和装置の風
向変更装置に係り、特に室内機の吹出し口から吹出され
る風向を変更するための風向変更装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、空気調和装置の室内機
は、室内空気の吸込み・吹出し構造から種々のタイプに
分類される。これらのタイプの中に、前面あるいは前面
と上面とから吸込んだ室内空気を熱交換器に接触させた
後に、横流ファン、ディフューザを介して斜め下方前方
に向けて吹出すようにした室内機がある。このタイプの
室内機は、壁掛方式で用いるのに適している。

【０００３】ところで、このような空気調和装置の室内
機にあって、室内の快適性を向上させるには、冷房運転
時の吹出し方向と暖房運転時における吹出し方向とを微
妙に変える必要がある。特に、暖房運転時には、運転開
始時点から安定運転に至るまでの間に吹出し方向を数通
りに亙って変更することが望まれている。

【０００４】このようなことから、従来の室内機にあっ
ては、吹出し口に風向変更板を回動自在に設け、この風
向変更板の回動角を変えることによって吹出し方向を変
更するようにしている。

【０００５】しかしながら、従来の風向変更装置にあっ
ては、風向の変更に伴って流路が狭くなったり、急激な
流れの変更に伴なう流れの剥離が発生して騒音が発生し
たり、流動抵抗の増加を招いて風量の減少を招いたりす
るなどの問題があった。また、暖房運転時は勿論のこと
冷房運転時においても室内の快適性を向上させるには、
吹出し方向をより多様に変更できることが望まれるが、
このような要望を満たすことができない問題もあった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来の風
向変更装置にあっては、吹出し方向をより多様に変更で
きないばかりか、騒音の増加や風量の減少を招くなどの
問題があった。そこで本発明は、上述した不具合を解消
でき、吹出し方向を多様に変更でき、もって暖房運転時
は勿論のこと冷房運転時における快適性の向上に寄与で
きる空気調和装置の風向変更装置を提供することを目的
としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、吸込み口を介して吸込んだ室内空気を熱
交換器に接触させた後に上記吸込み口より下方に設けら
れた吹出し口を介して斜め下方前方へ向けて吹出すよう
にした室内機の上記吹出し口から吹出される風向を変更
するための風向変更装置において、前記吹出し口に鉛直
線とほぼ直交する軸心線を中心に回動自在に設けられて
上記吹出し口から吹出されようとする空気の流れ方向を
変更する主風向変更板と、この主風向変更板の空気案内
方向における両端部を延伸させる形態に、かつ上記両端
部に軸心線を位置させてそれぞれ回動自在に設けられた
第１および第２の補助風向変更板と、前記主風向変更板
および前記第１，第２の補助風向変更板の回動角をそれ
ぞれ独立に可変する回動角可変手段と、前記室内機の運
転形態に対応させて前記回動角可変手段を介して前記主
風向変更板および前記第１，第２の補助風向変更板の回
動角を制御する回動角制御手段とを備えている。

【０００８】なお、前記主風向変更板および前記第１，
第２の補助風向変更板は、これら３要素が平板状に展開
されるとともに上記主風向変更板の回動角が所定に設定
されたとき、前記室内機の前記吹出し口を閉塞する大き
さに形成されていることが好ましい。

【０００９】また、前記主風向変更板および前記第１，
第２の補助風向変更板は、これら３要素を平板状に展開
したとき、空気案内方向の中心部から両端部に近付くに
したがって先細となる断面形状に形成されていることが
より好ましい。

【００１０】上記構成の風向変更装置では、実際に風向
を変更する部分が、主風向変更板と、この主風向変更板
の空気案内方向における両端部にそれぞれ回動自在に設
けられた第１および第２の補助風向変更板との３つの要
素から構成されている。そして、これら３つの要素は回
動角をそれぞれ独立に設定できるようになっている。

【００１１】したがって、運転条件に合わせて３つの要
素の回動角をそれぞれ独立に設定することにより、流路
抵抗を増加させない条件で、風向を運転条件に適合した
多数通りに細かく設定できるので、快適性の向上に寄与
できることになる。また、暖房運転時や冷房運転時に吹
出し空気の一部を吸込み口に直接的に還流させるショー
トサーキットの形成などの特殊な吹出し形態も簡単に実
現することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら発明の
実施形態を説明する。図１には本発明の一実施形態に係
る風向変更装置を組込んだ空気調和装置の室内機１の概
略構成が示されている。

【００１３】この室内機１は、縦断面がたとえば長方形
で、紙面と直交する方向に細長く形成された筐体２を備
えている。筐体２の前面壁で下部を除いた部分および上
面壁には室内空気を吸込むための吸込み口３，４が形成
されており、これら吸込み口３，４には塵埃をトラップ
するためのフィルタが装着されている。

【００１４】筐体２の前面壁と下面壁とに跨がる部分に
は、斜め下方前方に向けて空気を吹出すための吹出し口
５が形成されている。筐体２内の中央部には軸心線を紙
面と直交する方向に向けた横流ファン６が設けられてい
る。そして、吸込み口３，４と横流ファン６との間に
は、横流ファン６の背面ケーシング７とファンノーズ８
とで囲まれた部分を除くほぼ半周部分を囲むようにたと
えば屈曲構造に形成された熱交換器９が配置されてい
る。なお、冷房運転時に熱交換器９の表面に凝縮したド
レン水は、ドレンパン１０，１１に集められた後に排出
される。

【００１５】吹出し口５には、風向変更板２１が設けら
れている。この風向変更板２１は、図２および図３にも
示すように、鉛直線とほぼ直交する軸心線２２を中心に
回動自在に設けられて吹出し口５から吹出されようとす
る空気の流れ方向を変更する主風向変更板２３と、この
主風向変更板２３の空気案内方向における両端部を延伸
させる形態に、かつ上記両端部に軸心線２４，２５を位
置させてそれぞれ回動自在に設けられた２枚の補助風向
変更板２６，２７とで構成されている。

【００１６】主風向変更板２３および補助風向変更板２
６，２７は、これらを図２および図３に示すように平板
状に展開したとき、空気案内方向の中心部から両端部に
近付くにしたがって先細となる断面形状に形成されてい
る主風向変更板２３の空気案内方向と平行する両側面に
は、図３にも示すように支持アーム２８がそれぞれ突設
されており、これら支持アーム２８は軸心線２２上に回
動自在に配置された軸２９にそれぞれ連結されている。
これらの軸２９の一方は回動角可変器３０内に専用に設
けられた図示しないステッピングモータに連結されてい
る。

【００１７】一方、補助風向変更板２６，２７は、主風
向変更板２３の空気案内方向の両端部に形成された曲面
部３１，３２と自己の基端部に形成された曲面部とを嵌
合させて軸受とし、この軸受の軸心線２４，２５を中心
に主風向変更板２３に対して回動自在に設けられてい
る。

【００１８】補助風向変更板２６の空気案内方向と平行
する側面で軸心線２４上には、図３に示すように欠歯歯
車３３が突設されており、この欠歯歯車３３はスライダ
付きのラック３４と噛合している。ラック３４にはロッ
ド３５の一端側が連結されており、このロッド３５は主
風向変更板２３の空気案内方向と平行する側面に固定さ
れたガイド３６によって移動自在に支持されている。そ
して、ロッド３５の他端側はピン３７、ロッド３８、ピ
ン３９、アーム４０を介して軸４１に連結されている。
軸４１は回動角可変器３０内に専用に設けられた図示し
ないステッピングモータに連結されている。

【００１９】同様に、補助風向変更板２７の空気案内方
向と平行する側面で軸心線２５上には、図３に示すよう
に欠歯歯車４２が突設されており、この欠歯歯車４２は
スライダ付きのラック４３と噛合している。ラック４３
にはロッド４４の一端側が連結されており、このロッド
４４は主風向変更板２３の空気案内方向と平行する側面
に固定されたガイド４５によって移動自在に支持されて
いる。そして、ロッド４４の他端側はピン４６、ロッド
４７、ピン４８、アーム４９を介して軸５０に連結され
ている。軸５０は回動角可変器３０内に専用に設けられ
た図示しないステッピングモータに連結されている。

【００２０】上記構成から判るように、回動角可変器３
０内に設けられた主風向変更板２３専用のステッピング
モータを回転させると、軸心線２２を中心にして主風向
変更板２３を図３中実線矢印Ａで示す方向に回動させる
ことができる。同様に、回動角可変器３０内に設けられ
た補助風向変更板２６専用のステッピングモータを回転
させると、軸心線２４を中心にして補助風向変更板２６
を図３中実線矢印Ｂで示す方向に回動させることがで
き、さらに回動角可変器３０内に設けられた補助風向変
更板２７専用のステッピングモータを回転させると、軸
心線２５を中心にして補助風向変更板２７を図３中実線
矢印Ｃで示す方向に回動させることができるようになっ
ている。すなわち、これらで主風向変更板２３および補
助風向変更板２６，２７の回動角を独立に可変できる回
動角可変機構５１が構成されている。

【００２１】なお、主風向変更板２３および補助風向変
更板２６，２７は、これら３要素が図３に示すように平
板状に展開されるとともに図４の左側に示す図面のよう
に主風向変更板２３の回動角が設定されたとき、吹出し
口５を閉塞する大きさに形成されている。

【００２２】そして、風向変更板２１を構成している主
風向変更板２３および補助風向変更板２６，２７は、図
示しない回動角制御装置によって運転形態に対応した回
動角に制御される。すなわち、回動角制御装置は運転形
態に対応した回動角信号で回動角可変器３０内の各ステ
ッピングモータを制御する。

【００２３】次に、上記のように構成された室内機１、
特に風向変更板２１の動作について説明する。横流ファ
ン６を回転させると、この回転に伴って室内空気が吸込
み口３，４から筐体２内に吸込まれる。吸込まれた室内
空気は、熱交換器９に接触した後に横流ファン６を経由
し、背面ケーシング７とファンノーズ８とによって形成
されたディフューザ１３で静圧化された後に吹出し口５
から吹出される。

【００２４】このとき、主風向変更板２３および補助風
向変更板２６，２７は、回動角制御装置によって運転形
態に対応した回動角に設定される。以下に、その幾つか
の例を説明する。

【００２５】たとえば、暖房運転を開始する場合を例に
とると、暖房運転開始前の時点では図４の左側の図に示
すように、吹出し口５が風向変更板２１によって閉じら
れた状態にある。暖房運転を開始するときには、図４の
真ん中の図に示すように、主風向変更板２３を鉛直線に
沿うように回動させる。このとき、回動の邪魔にならな
いように上流側に位置する補助風向変更板２７を時計方
向に所定角度回動させておく。そして、冷房強風運転に
切換えるときには、図４の右側の図に示すように、主風
向変更板２３および補助風向変更板２６，２７を平板状
に展開させ、かつ展開方向がディフューザ１３の方向と
一致するように回動角を設定する。

【００２６】また、暖房運転開始時に、暖気を主として
真下に吹出すとともに立上がり時間を短縮する場合に
は、図５に示すように、流路を絞らない程度に主風向変
更板２３を鉛直方向に傾けた上で、上流側に位置する補
助風向変更板２７を時計方向に所定角度回動させる。こ
の設定によって、吹出し空気の一部Ｄを吸込み口３へ直
接的に還流させて熱交換器９で再加熱するショートサー
キットが形成される。このとき、下流側に位置する補助
風向変更板２６をもう一つの流れＥである下方向への流
れを妨げない程度に反時計方向に所定角度回動させる。
これによって、再循環吹出しと下方向吹出しとの２つの
流れを無理なく作り出すことができ、暖房運転開始時の
立上がり時間を短縮することができる。

【００２７】また、暖房運転安定時において、床面での
暖房感を向上させるために、真下吹出しを重視した運転
を行う場合には、図６に示すように、流路を絞らない程
度に主風向変更板２３を鉛直方向に傾けた上で、流路上
部からの漏れ出しを防止するために、上流側に位置する
補助風向変更板２７を反時計方向に所定角度回動させ、
同時に流れＦが真下方向に向かうように下流側に位置す
る補助風向変更板２７を反時計方向に所定角度回動させ
る。この制御によって吹出される暖気のほとんどを無理
なく真下方向に向かわせることができる。

【００２８】また、冷房運転開始時や除湿運転開始時
に、立上がり時間を短縮する場合には、図７に示すよう
に、流路を絞らない程度に主風向変更板２３を水平方向
に傾けた上で、下流側に位置する補助風向変更板２７を
時計方向に所定角度回動させる。この設定によって、吹
出し空気の一部Ｇを吸込み口３へ直接的に還流させて熱
交換器９で再冷却するショートサーキットが形成され
る。このとき、上流側に位置する補助風向変更板２６を
背面ケーシング７と平行になるように反時計方向に所定
角度回動させる。これによって、再循環吹出しと水平方
向吹出しとの２つの流れを無理なく作り出すことができ
る。

【００２９】また、冷房運転安定時に、部屋全体を効率
良く冷却するために水平方向吹出しを重視した運転を行
う場合には、図８に示すように、流路を絞らない程度に
主風向変更板２３を水平方向に傾けた上で、上流側に位
置する補助風向変更板２６が背面ケーシング７と平行に
なるように反時計方向に所定角度回動させ、同時に流れ
がＩ，Ｊが水平方向に向かうように下流側に位置してい
る補助風向変更板２７を時計方向に所定角度回動させ
る。この制御によって吹出される冷気のほとんどを無理
なく水平方向に向かわせることができる。

【００３０】また、冷房運転時に、最大風量吹出し状態
を形成する場合には、図９に示すように、主風向変更板
２３の断面積が流れに対して最小となるように主風向変
更板２３の回動角を設定した上で、上流側および下流側
に位置する補助風向変更板２６，２７についても流動抵
抗が最小となるように、主風向変更板２３と一直線とな
る回動角に設定する。この制御によって最大の風量を得
ることができる。

【００３１】以上は、幾つかの制御例について説明した
が、風向変更板２１を主風向変更板２３と、この主風向
変更板２３の空気案内方向における両端部にそれぞれ回
動自在に設けられた補助風向変更板２６，２７との３つ
の要素で構成し、しかも３つの要素の回動角をそれぞれ
独立に設定できるようにしているので、上述した以外の
各種吹出し形態を容易に実現することができる。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
運転形態に適合した各種の吹出し形態を効率良く実現で
き、快適性の向上に大きく寄与できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る風向変更装置を組込
んだ室内機の模式的断面図

【図２】同風向変更装置における風向変更板を局部的に
示す斜視図

【図３】同風向変更板の回動角可変機構の構成図

【図４】同風向変更装置による風向変更制御例を説明す
るための図

【図５】同風向変更装置による風向変更制御例を説明す
るための図

【図６】同風向変更装置による風向変更制御例を説明す
るための図

【図７】同風向変更装置による風向変更制御例を説明す
るための図

【図８】同風向変更装置による風向変更制御例を説明す
るための図

【図９】同風向変更装置による風向変更制御例を説明す
るための図

【符号の説明】

１…室内機 ２…筐体 ３，４…吸込み口 ５…吹出し口 ６…横流ファン ７…背面ケーシング ８…ファンノーズ ９…熱交換器 １０，１１…ドレンパン １３…ディフューザ ２１…風向変更板 ２２，２４，２５…軸心線 ２３…主風向変更板 ２６，２７…補助風向変更板 ５１…回動角可変機構

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 空井 愛 神奈川県横浜市磯子区新杉田町８番地 株 式会社東芝住空間システム技術研究所内 (72)発明者 高橋 幸伸 神奈川県横浜市磯子区新杉田町８番地 株 式会社東芝住空間システム技術研究所内 (72)発明者 山崎 健治 神奈川県横浜市磯子区新杉田町８番地 株 式会社東芝住空間システム技術研究所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吸込み口を介して吸込んだ室内空気を熱交
   換器に接触させた後に上記吸込み口より下方に設けられ
   た吹出し口を介して斜め下方前方へ向けて吹出すように
   した室内機の上記吹出し口から吹出される風向を変更す
   るための風向変更装置において、 前記吹出し口に鉛直線とほぼ直交する軸心線を中心に回
   動自在に設けられて上記吹出し口から吹出されようとす
   る空気の流れ方向を変更する主風向変更板と、この主風
   向変更板の空気案内方向における両端部を延伸させる形
   態に、かつ上記両端部に軸心線を位置させてそれぞれ回
   動自在に設けられた第１および第２の補助風向変更板
   と、 前記主風向変更板および前記第１，第２の補助風向変更
   板の回動角をそれぞれ独立に可変する回動角可変手段
   と、 前記室内機の運転形態に対応させて前記回動角可変手段
   を介して前記主風向変更板および前記第１，第２の補助
   風向変更板の回動角を制御する回動角制御手段とを具備
   してなることを特徴とする空気調和装置の風向変更装
   置。
2. 【請求項２】前記主風向変更板および前記第１，第２の
   補助風向変更板は、これら３要素が平板状に展開される
   とともに上記主風向変更板の回動角が所定に設定された
   とき、前記室内機の前記吹出し口を閉塞する大きさに形
   成されていることを特徴とする請求項１に記載の空気調
   和装置の風向変更装置。
3. 【請求項３】前記主風向変更板および前記第１，第２の
   補助風向変更板は、これら３要素を平板状に展開したと
   き、空気案内方向の中心部から両端部に近付くにしたが
   って先細となる断面形状に形成されていることを特徴と
   する請求項１に記載の空気調和装置の風向変更装置。