JPH0960274A - 断熱遮音床工法、および断熱遮音床構造 - Google Patents

断熱遮音床工法、および断熱遮音床構造

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JPH0960274A
JPH0960274A JP21600295A JP21600295A JPH0960274A JP H0960274 A JPH0960274 A JP H0960274A JP 21600295 A JP21600295 A JP 21600295A JP 21600295 A JP21600295 A JP 21600295A JP H0960274 A JPH0960274 A JP H0960274A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 床下の配管や配線などの住設機構の配設に殆
んど制限を加えることがなくて、重量衝撃音から軽量衝
撃音までの広い帯域に亙り効率的に吸音して静粛な環境
を保障できる高性能の断熱遮音床を安価に提供するこ
と。また、そのような高性能の断熱遮音床を簡単かつ能
率的に施工できる方法を提供すること。 【解決手段】 スラブ上に柔らかい低密度綿層と相対的
に高密度の綿層とをフロアポストが支える床下に充満状
態に敷設するという手段を採用した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱遮音床に関す
る技術の改良、さらに詳しくは、フロアポストで支持さ
れる床ボード材とスラブとの空間を硬度の異なる複数種
類の繊維集合体を巧みに積層して満すことにより床鳴り
音を広い周波数帯域に亘って吸音できて、断熱特性も良
く、そのうえ、要望に応じて様々の機能を帯有させるこ
とも可能な高機能の断熱遮音床を実現することができる
新規な床技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人口が密集して喧騒化の一途を辿る現代
社会では、狭い集合住宅空間の中にも世塵を離れた静か
で安らぎのある快適な環境条件の整備が求められる。そ
して、長時間に亙っての集中力を要する精神労働が行わ
れる職場においても、作業能率上の要請から静粛で快適
な環境が求められている。
【0003】しかして、生活空間や職場空間内に静粛な
環境を作るには、騒音から当該空間を遮断することが必
要であり、また、快適な生活空間、活動空間を得るには
暑さ寒さから当該空間を遮断して適切かつ効率的な温調
を行うことが肝要である。
【0004】本件出願人は、静粛で快適な室内環境の理
想を求めて長年に亙って研究開発を継続して、室内を構
成する天井や壁面の断熱遮音技術に関する開発技術につ
いて多数の実績を積み重ねてきている(例えば、特公昭
62−4493号公報、特公昭62−9700号公報、実公平5-282
64号公報、実公平5-28265号公報など参照)。
【0005】ところで、人口過密化の昨今、都市に住む
人々の“静けさ”に対する願望は、過敏なまでに高まっ
て、人が歩行する足音や物が床に落ちる音までも騒音と
して厭われるようになり、床ボード材を支持するフロア
ポストの下端部に防振ゴムを噛ませた位の対策では到底
応じ切れない程の床に対するシビアーな防音防振対策が
求められるようになってきたのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シビアー化
する最近の床遮音性能アップの要請に鑑みて為されたも
のであり、その目的とするところは、床面で発生される
重量衝撃音から軽量衝撃音までを広い帯域に亙って吸音
して静粛な環境を保つことができ、しかも断熱性にも富
んだ断熱遮音床、並びにその合理的な施工方法を提供す
るにある。
【0007】また、本発明の他の目的は、複雑な作業を
必要とせずに簡単かつ能率的に敷設することができ、し
かも従来の防振・防音床に比較して格段に遮音性能が良
好な高性能の断熱遮音床を安価に得られる新技術を提供
するにある。
【0008】さらに、本発明の他の目的は、床ボード材
の下側の遮音部材が配管・配線などの住設機構の配設に
殆んど制限を与えることのない画期的な断熱遮音床と、
その施工方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するために採用した手段】本発明者が上記
課題を解決するために採用した手段を添附図面を参照し
て説明すれば、次のとおりである。
【0010】即ち、本発明の断熱遮音床工法は、スラブ
Sの上に、比較的低密度の繊維集合体を面状に拡展して
成る柔らかい低密度綿層11と、この低密度綿層よりも相
対的に高い密度の繊維集合体を面状に拡展して成る高密
度綿層12とを敷設し、これらの綿層11・12上に密接状態
に床ボード材2・2・・・・をフロアポスト3で支持して敷
き詰める,という疎密綿層敷設工事とフロアポスト床ボ
ード設置工事とを組み合わせた点に特徴がある。
【0011】また、本発明の断熱遮音床構造は、スラブ
Sの上に敷かれた比較的低密度の繊維集合体を面状に拡
展して成る低密度綿層11、および同低密度綿層11と積合
状態の相対的に高密度の繊維集合体を面状に拡展して成
る高密度綿層12から成る複合綿層材1と;この複合綿層
材に開設した貫通孔H・H・・・・に挿通状態に立設された
緩衝性アジャストボルト3・3・・・・によって床ボード材
2・2・・・・とを含んでいる点に特徴がある。
【0012】しかして、本発明が対象とするスラブ(sla
b)Sは、一般的には鉛直方向への面荷重を受けるコンク
リート床版であるが、建造物としての床に求められる荷
重に耐え得る強度があれば必ずしもコンクリート構造で
なくてもよく、鉄骨・鉄板、あるいは木造構造体であっ
てもよい。
【0013】つぎに、スラブSの上には複合綿層材1が
敷設されるが、この複合綿層材1は比較的低密度の繊維
集合体を面状に拡展した柔らかな低密度綿層11と、この
低密度綿層11よりも相対的に密度の高い高密度綿層12と
を含む。本発明における複合綿層材1は、低密度綿層11
と高密度綿層12とが少なくとも一層ずつ重なったものが
採択される。
【0014】上記各綿層11・12を組成する繊維として
は、合成繊維でも天然繊維でも、また合成繊維と天然繊
維とを混合させたものでもよいのであるが、中空ポリエ
ステル繊維(例えば、デュポン社の商品名:「クォロフィ
ル」や「マイクロフィルズ」)が吸音性と断熱性に富み、
また、高架橋アクリレート中空繊維(例えば、東洋紡の
品番:ハイテク繊維 「N−38」)等が吸音性、断熱性に加
えて、呼吸性、消臭性、難燃性(LOI:24%)、抗菌
性、防黴性があるので、最も理想的である。
【0015】また、低密度綿層11を構成する繊維集合体
の密度は10〜15kg/m3 であり、剛体に当接したとき素直
に減込むのが望ましい。高密度綿層12を構成する繊維集
合体の密度は18kg/m3 程度以上あればよく、ある程度の
剛りと前記低密度綿層11よりも低周波音の吸音性能が高
いことが要求される。低密度綿層11および高密度綿層12
を構成する繊維集合体としては、何れも無数の組成繊維
が絡み合せた堆積物が使用されるが、接着剤によって組
成繊維相互を散点状に接合せしめたマット状の不織布を
採用することも可能である。
【0016】低密度綿層11と高密度綿層12の層厚の割合
は、一般的には、前者が1に対して後者が2というのを
基準にするが、当該箇所で予想される騒音の周波数レベ
ルや床ボード材とスラブとの間隔、スラブの材質等の諸
条件を考慮して適宜加減するものとする。
【0017】なお、本発明においては、原則として上記
低密度綿層11と高密度綿層12を構成する面状繊維集合体
は、各々、後述の床ボード材と同サイズに裁断して準備
しておくけれども、予め床ボード材の裏面に接着して張
り合せておくことも施工上、有利であり、この場合には
組成繊維相互を接着剤によって散点状に接合せしめたマ
ット状の不織布が採用される。何れにしても、床ボード
材をスラブS上に支持するフロアポストが配設されるべ
き箇所の低密度綿層11および高密度綿層12にはフロアポ
ストを挿通すべき貫通孔H・H・・・・を開設しておくのが
好都合である。
【0018】次に、床ボード材2としては、天然木材や
集成木材、合成木材など従来周知のボード材料を自由に
選択することができるが、なるべくなら遮音性の優れた
素材を使用するのがよく、その意味においてパーチクル
ボードの如き合成木材が適当である。この床ボード材2
には、フロアポストで支持する箇所に嵌め孔21が開設さ
せておくものとする。この嵌め孔21は、上記複合綿層材
1(低密度綿層11と高密度綿層12)の貫通孔Hの開設箇
所と一致する。
【0019】また、フロアポスト3としては、本発明で
は合成樹脂(例えば、ナイロン6)製のアジャストボル
ト機構のもの、すなわち、床ボード材1に装着可能な合
成樹脂ナット31と;このナット31にレベル調節可能に螺
合され、かつ、下端には合成ゴム32を嵌着した合成樹脂
ボルト33とで構成した緩衝性アジャストフロアポストが
最適である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を添附図面に基いて、更に詳しく説明してゆきたい。
なお、図1は本発明の第1の実施形態を示した一部破断
斜視説明図、図2は同第1の実施形態におけるフロアポ
スト部分の構造を拡大して示した部分拡大斜視断面図、
図3は本発明において使用されるフロアポストの分解斜
視図、図4は本発明の第2の実施形態を示す部分拡大斜
視断面図、図5は本発明の第3の実施形態を示した部分
拡大斜視説明図、図6は床ボード材に複合綿層材を接着
して構成した張合せ床ボード材の斜視説明図、図7は本
発明の第1の実施形態を実施例品として遮音性能を「財
団法人:日本建築総合試験所」において床衝撃音レベル
試験した結果を表わすグラフ、図8は前記実施例品と比
較のために高密度綿層だけを床ボード材の下側に充満さ
せたものの衝撃音に対する遮音性能を試験した結果を表
わしたグラフ、図9は前記実施例品と比較のため床ボー
ド材の下側を空間にして床衝撃音に対する遮音性能を試
験した結果を表わすグラフである。
【0021】〔第1の実施形態〕本発明の第1の実施形
態は図1および図2に示される。これらの図中、符号1
で指示されるものは中空ポリエステル繊維(デュポン社
の商品名:「マイクロフィルズ」)から成る複合綿層材(厚
さ:60mm) であり、スラブSに接して下側にあるのが低
密度綿層11(厚さ:20mm)で、床ボード材2の下面に接し
て上側に位置しているのが高密度綿層12(厚さ:40mm)で
ある。これら低密度綿層11および高密度綿層12の縦横の
サイズは、床ボード材2と同サイズに裁断されてある。
しかして、床ボード材2としては、長辺が1000mm、短辺
が 710mm、厚さが20mmのパーチクルボードが用いられて
あり、四隅と中央部とに嵌め孔21が五つ開設され、これ
らの嵌め孔21と前記複合綿層材1の貫通孔H・H・・・・と
が合致した箇所へフロアポスト3が挿嵌されて当該床ボ
ード材2をスラブS上に支持している。
【0022】フロアポスト3としては、図3に示すごと
きナイロン製の鍔付きナット31に、下端にスチレン・ブ
タジエンゴム製のゴム座32を嵌着したナイロン製のボル
ト33を螺合させた緩衝性アジャストフロアポストが用い
られており、前記ナット31の鍔部31aが床ボード材2の
嵌め孔21下面の周縁を支え、同ナット31の筒部31bが同
嵌め孔21に嵌合することによって安定に起立姿勢を保
つ。また、床面のレベル調整は、床ボード材の嵌め孔21
の上部から専用レンチ(図示せず)を挿入して、ボルト
33の正逆方向に回転操作することにより自由に行える。
【0023】なお、図1において、符号22は床ボード材
2の上面に張った捨張合板であり、符号23は捨張合板22
の上に仕上げ材として敷設したフローリング材である。
【0024】しかして、上記の第1の実施形態に係る断
熱遮音床を施工するにあたっては、施工すべき室内のス
ラブS上に壁際のコーナー部分から低密度綿層11を置い
て、その上に高密度綿層12を重ね合せて複合綿層材1を
構成し、ついで、床ボード材2の各嵌め孔21にフロアポ
スト3を嵌着し、嵌着した各フロアポスト3が複合綿層
材1の貫通孔Hに挿通するように床ボード材2を配置す
るといった作業を室隅から室内全体に亙って施してゆけ
ばよい。こうして、室内全体に床ボード材2が敷き詰め
られたならば、高低差があってレベル調節を必要とする
床ボード材2のフロアポストのボルト33を当該床ボード
材2の嵌め孔21の上部から専用レンチで回してアジャス
トさせることにより、面一の床面が得られる。そこで、
これらの床ボード材2・2・・・・によって形成された基礎
床面の上に捨張合板22を張り詰めた後、フローリング材
23を敷設すると本実施形態の断熱遮音床が完成される。
【0025】このように構築された断熱遮音床にあって
は、低密度綿層を組成する柔らかい繊維集合体と高密度
綿層を組成する比較的硬い繊維集合体とが互いに補完相
乗的に協働し合って広い周波数帯域の床鳴り音を吸収し
て、軽量衝撃音から重量衝撃音を消去させることができ
るうえに、断熱性能も従来の断熱床に比較して格段に良
好である。
【0026】また、第1実施形態のように施工する場合
ににあっては、最下層の低密度綿層11が柔軟で減込み易
いので、スラブS上に配管Pがあったり、スラブS自体
にコンクリートの偏在による凹凸や不陸があっても、素
直に順応してピッタリと密着すると共に、床ボード材2
を浮き上がらせたりする虞れがないので、スラブ工事に
おける表面精度も比較的ラフにすることが可能で工費の
逓減化に役立つ。
【0027】〔第2の実施形態〕本発明の第2の実施形
態は図4に示される。これらの図中、符号1で指示され
るものは高架橋アクリレート中空繊維(例えば、東洋紡
社の品番:ハイテク繊維「N−38」)から成る複合綿層材
(厚さ:60mm) であり、スラブSに接して下側にあるの
が高密度綿層12(厚さ:40mm)であり、床ボード材2の下
面に接して上側に位置しているのが低密度綿層11(厚
さ:20mm)である。これら低密度綿層11および高密度綿層
12のサイズは床ボード材2と同サイズに裁断したものを
用いている。しかして、床ボード材2としては、長辺が
1000mm、短辺が 710mm、厚さが20mmのパーチクルボード
が用いられてあり、四隅と中央部に嵌め孔21が五つ開設
され、これらの嵌め孔21は前記複合綿層材1と合致し
て、其処にフロアポスト3が当該床ボード材2をスラブ
S上に支持する如く嵌着されている。この第2実施形態
と上記第1実施形態とは、複合綿層材1を組成する繊維
集合体の材質と低密度綿層11と高密度綿層12との積層順
序が相違する点だけが異なって、得られる作用効果は同
等であり、かつ、施工方法についても実質的な差異はな
いものと云える。
【0028】しかしながら、この第2の実施形態に使用
されている床ボード材2には、随所に配線取出口24・24
・・・・が開設してあり、また低密度綿層11が床ボード材2
の下面に接して配設してあるので、この低密度綿層11の
上にコンピューターのネットワーク配線や通信回線、配
電回線等を敷設するならば、丁度、クッション材の上に
配線を施したのと同様に安定した配線状態が得られ、か
つ、前記配線取出口24・24・・・・を利用して何処からでも
必要な回線を取り出せるので、フリーアクセス床として
頗る有効である。
【0029】〔第3の実施形態〕本発明の第2の実施形
態は図5に示される。これらの図中、符号1で指示され
るものは高架橋アクリレート中空繊維(例えば、東洋紡
社の品番:ハイテク繊維「N−38」)から成る複合綿層材
(厚さ:60mm) であり、スラブSに接して下側にあるの
が高密度綿層12(厚さ:30mm)であり、床ボード材2の下
面に接して上側に位置しているのが低密度綿層11(厚
さ:30mm)である。これら低密度綿層11および高密度綿層
12のサイズは床ボード材2と同サイズに裁断したものを
用いている。しかして、床ボード材2としては、長辺が
1000mm、短辺が 710mm、厚さが20mmのパーチクルボード
が用いられてあり、四隅と中央部に嵌め孔21が五つ開設
され、これらの嵌め孔21は前記複合綿層材1と合致し
て、其処にフロアポスト3が当該床ボード材2をスラブ
S上に支持する如く嵌着されている。そして、この床ボ
ード材2の下面には、さらに熱媒液が通流する床暖房配
管HPが配設してあり、寒い冬季には図示しない熱交換機
から熱媒液が供給循環されて床暖房を行えるように構成
してある。ちなみに、この第3実施形態と上記第2実施
形態とは、第3実施形態が床暖房配管HPが配設してある
のに対して、第2実施形態ではコンピュータネットワー
ク配線や通信回線、配電回線等が敷設され、床ボード材
2に開設した配線取出口24・24・・・・から前記配線を取出
し可能してある点で相違している。
【0030】しかして、上記の第3の実施形態に係る断
熱遮音床を施工するにあたっては、施工すべき室内のス
ラブS上に壁際のコーナー部分から高密度綿層12を置い
て、その上に低密度綿層11を重ね合せて複合綿層材1を
構成し、ついで、前記低密度綿層11をクッション断熱材
として、その上に床暖房配管HPを適宜に配設したうえ
で、床ボード材2の各嵌め孔21にフロアポスト3を嵌着
し、嵌着した各フロアポスト3が複合綿層材1の貫通孔
Hに挿通するように床ボード材2を配置して前記床暖房
配管HPが当該床ボード材2に接するように、室隅から室
内全体に亙って敷設してゆけばよい。この場合におい
て、床ボード材2の裏面には伝熱性を高めるためにアル
ミ箔(図示せず)が貼着されている。そして、こうして
敷設された床ボード材2・2・・・・の上には薄目の捨張合
板22を張り、伝熱性の良好なフローリング材23を敷設し
て前記暖房配管HPを図示しない熱交換機に接続させれ
ば、床暖房可能な断熱遮音床が完成されることになる。
【0031】
【実施例】上記第1の実施形態に係る断熱遮音床(実施
例品)について、JIS A 1419 に基く衝撃音レベルの測
定試験を「財団法人:日本建築総合試験所」で行ったと
ころ、図7に示すごとく、軽量衝撃音についてはL45を
記録し、また重量衝撃音についてもL60に該当し顕著な
遮音効果が確認された。他方、高密度綿層だけを使用し
て構成した断熱遮音床(比較例品1)のレベル測定結
果、および綿層を配設しない比較例品2のレベル測定結
果は図8および図9に示すとおりであり、実施例が奏す
る遮音効果との差異は極めて顕著であることが分かる。
なお、本実施例の熱伝導率は、0.044であり、断熱性にお
いても満足できる結果が得られた。
【0032】本明細書に開示する具体例は概ね上記のと
おりであるが、本発明は前述の実施形態例に限定される
ものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種
々の設計変更が可能であって、例えば、前述した各実施
形態においては複合綿層材1は低密度綿層11と高密度綿
層12とが各一層ずつの2層構造であったが、密度を異に
する綿層を3つ以上積層させてもよく、また低密度綿層
11から高密度綿層12に至る繊維集合密度が逓次的に変移
する累進積層構造に構成することもでき、このような設
計変更は、本発明の技術的範囲に属することは当然であ
る。
【0033】また、前述した複合綿層材1の中にマイク
ロカプセル化した殺虫剤(例えば、合成ピレトニン)
や、マイクロカプセル化した鼠忌避剤を分散させて置く
などといった構成上の付加も、本発明の技術的範囲に属
することは云うまでもない。
【0034】
【発明の効果】以上実施形態例を挙げて説明したとお
り、本発明はフロアポストで支持される床ボード材とス
ラブとの空間を硬度の異なる複数種類の繊維集合体を巧
みに積層して満すことにより、床鳴り音等床衝撃音を広
い周波数帯域に亘って吸音できるので、非常に閑静にし
て快適な室内空間を形成することが可能となり、私的生
活を営む住居の床構造として利用しても、プライバシー
の保障を尊ぶホテルや旅館の床構造として利用しても、
また病院の床構造として利用しても、さらには精神労働
を営む事務所の床構造として利用した場合にも、従来こ
の種の断熱遮音床には期待することのできない大きな効
用が得られる。
【0035】しかも本発明は、断熱特性も良くて空調設
備の熱効率を向上させることができるうえに、フリーア
クセス床機能や床暖房機能、あるいは防虫・防鼠機能な
どといった如く施主の要望に応じて様々の機能を帯有さ
せる自由度も高く、その実用上の価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示した一部破断斜視
説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるフロアポスト
部分の構造を拡大して示した部分拡大斜視断面図であ
る。
【図3】本発明において使用されるフロアポストの分解
斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す部分拡大斜視断
面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示した部分拡大斜視
断面図である。
【図6】床ボード材に複合綿層材を接着して構成した張
合せ床ボード材の斜視断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態を実施例品として遮音
性能を「財団法人:日本建築総合試験所」において床衝
撃音レベル試験した結果を表わすグラフである。
【図8】前記実施例品と比較のために高密度綿層だけを
床ボード材の下側に充満させた比較例品1の衝撃音に対
する遮音性能を試験した結果を表わしたグラフである。
【図9】前記実施例品と比較のため床ボード材の下側を
空間にした比較例品2の床衝撃音に対する遮音性能を試
験した結果を表わすグラフである。
【符号の説明】
1 複合綿層材 11 低密度綿層 12 高密度綿層 2 床ボード材 21 嵌め孔 22 捨張合板 23 フローリング材 24 配線取出口 3 フロアポスト 31 合成樹脂ナット 31a (ナットの)鍔部 31b (ナットの)筒部 32 合成ゴム 33 合成樹脂ボルト H (複合綿層材の)貫通孔 P 配管 S スラブ W 配線 HP 床暖房配管

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラブSの上に、比較的低密度の繊維集
    合体を面状に拡展して成る柔らかい低密度綿層11と、こ
    の低密度綿層よりも相対的に高い密度の繊維集合体を面
    状に拡展して成る高密度綿層12とを敷設し、これらの綿
    層11・12上に密接状態に床ボード材2・2・・・・をフロア
    ポスト3で支持して敷き詰めることを特徴とした断熱遮
    音床工法。
  2. 【請求項2】 低密度綿層11が最下層に配置し、この低
    密度綿層11が減込むことによってスラブS上に配設され
    る配管P、配線W、あるいはスラブS自体の凸凹・不陸
    などを吸収して施工する請求項1記載の、断熱遮音床工
    法。
  3. 【請求項3】 床ボード材2・2・・・・がフロアポスト3
    によってスラブS上に支持される置き床形式であって、
    各床ボード2を支持するフロアポスト3が、床ボード材
    1に装着された合成樹脂ナット31と;このナット31にレ
    ベル調節可能に螺合され、かつ、下端には合成ゴム32を
    嵌着した合成樹脂ボルト33とで構成された緩衝性アジャ
    ストフロアポストである請求項1または2記載の、断熱
    遮音床工法。
  4. 【請求項4】 低密度綿層11と高密度綿層12とが床ボー
    ド材2の下面に接着された張合せ床ボード材を用いる請
    求項1〜3の何れか一つに記載の、断熱遮音床工法。
  5. 【請求項5】 低密度綿層11および高密度綿層12におけ
    るフロアポスト3の設置位置に貫通孔H・H・・・・が開設
    されている請求項1〜4の何れか一つに記載の、断熱遮
    音床工法。
  6. 【請求項6】 スラブSの上に敷かれた比較的低密度の
    繊維集合体を面状に拡展して成る低密度綿層11、および
    同低密度綿層11と積合状態の相対的に高密度の繊維集合
    体を面状に拡展して成る高密度綿層12から成る複合綿層
    材1と;この複合綿層材に開設した貫通孔H・H・・・・に
    挿通状態に立設された緩衝性アジャストボルト3・3・・
    ・・によって床ボード材2・2・・・・とを包含することを特
    徴とする断熱遮音床構造。
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JP2000303673A (ja) * 1999-04-23 2000-10-31 Matsushita Electric Works Ltd 防音床材
JP2007031933A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Asahi Kasei Homes Kk 束及び床下地パネル
JP2011064040A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Toyota Home Kk 床支持具及び床支持構造
JP2012526216A (ja) * 2009-05-05 2012-10-25 アロイス・ヴォベン 塔の建設方法および塔

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