JPH0960139A - 外装施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、建築、構築物の外装施工方法に関
するものであり、さらに詳しくは、断熱構造と気密構造
を有する外装（高断熱・高気密の構造）を一挙に形成で
きる外装施工方法に係るものである。 【構成】 躯体１の表側に断熱ボード２を形成し、断熱
ボード２上に固定部材３を複数本固定し、固定部材３と
断熱ボード２の境界に気密材４を貼着し、固定部材３の
屋外側の面に剥離シート５を貼着し、固定部材３と断熱
ボード２により囲まれた空間８に現場発泡型の合成樹脂
発泡体６を吹き付けると共に固定部材３間に空間８がで
きるように充填した後に剥離シート５を剥がし、固定部
材３上に外装材７を形成し、躯体１の屋内側の面には内
装材１０を施工して形成する外装施工方法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築、構築物の外装施
工方法に関するものであり、さらに詳しくは、断熱構造
と気密構造を有する外装（高断熱・高気密の構造）を一
挙に形成できる外装施工方法に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の断熱壁には、躯体間にグラスウ
ール等の断熱材を形成したもの、躯体表面に断熱ボー
ドを形成したもの、結露防止のために躯体と外装材間
に空間を形成したもの、等があり、気密壁には、躯体
表面にポリエチレンシート等の気密シートを形成したも
の、断熱・気密壁には、躯体表面に断熱ボードとポリ
エチレンシート等の気密シートを併用して形成したも
の、等がある。

【０００３】しかしながら、は結露によりグラスウー
ルが濡れ雑巾化し、この濡れ雑巾化したグラスウールで
は初期の断熱性能は全く期待できないものであった。ま
た、の断熱ボードだけを施工した構造では気密性に問
題が有り、さらに、は空間の形成により躯体と外装材
間に結露水が貯留することはないが、断熱性を充分に活
かすことができなかった。また、は断熱ボードとポ
リエチレンシート等のシートの２部材を施工しなければ
ならず、施工性に問題があった。そこで、これらの欠点
を解決するために、図１２（ａ）、（ｂ）に示すような
構造も提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図１２
（ａ）の構造では、当て木ｃが低いために当て木ｃの表
面に現場発泡型樹脂ａが付着してしまうため、不陸（固
定下地の凹凸）を無くす作業が必要であり、外装材ｄの
施工前に取り除く作業が必要であった。

【０００５】また、図１２（ａ）、（ｂ）では断熱ボー
ドｂあるいは躯体ｅと当て木ｃ間に現場発泡型樹脂ａが
浸入し、その発泡圧により外装材ｄが表側に変形し、非
常に外観を損ねるものであった。さらに、躯体ｅの屋内
側の面に現場発泡型樹脂ａが付着してしまうため、付着
した現場発泡型樹脂ａを取り除き不陸（固定下地の凹
凸）を無くす作業が必要であった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような欠点
を除去するために、躯体の表側に断熱ボードを形成し、
断熱ボード上に固定部材を複数本固定し、固定部材と断
熱ボードの境界に気密材を貼着し、固定部材の屋外側の
面に剥離シートを貼着し、固定部材と断熱ボードにより
囲まれた空間に現場発泡型の合成樹脂発泡体を吹き付け
ると共に固定部材間に空間ができるように充填した後に
剥離シートを剥がし、固定部材上に外装材を形成し、躯
体の屋内側の面には内装材を施工して形成することによ
り、断熱性、耐震性、気密性、施工性、防水性を向上
し、結露防止を図った外装施工方法を提供するものであ
る。

【０００７】

【実施例】以下に、図面を用いて本発明に係る外装施工
方法について詳細に説明する。図１（ａ）、（ｂ）、図
２、図３、図４、および図５は本発明に係る外装施工方
法により形成した壁の一例を示す断面図と斜視図、およ
び部材を示す説明図であり、１は躯体、２は断熱ボー
ド、３は固定部材、４は気密材、５は剥離シート、６は
現場発泡型の合成樹脂発泡体、７は外装材、８は空間、
９は空間、１０は内装材、１１は防水シートである。

【０００８】躯体１は主柱、間柱、垂木等よりなる木造
下地、あるいはＨ型鋼、リップ溝型鋼等よりなる鉄骨下
地等からなる壁下地、もしくは屋根下地、等よりなるも
のである。

【０００９】断熱ボード２は図２に示すようなものであ
り、例えばスチレンフォーム（スチレンボード）、ポリ
ウレタンフォーム（ウレタンボード）、ポリイソシアヌ
レートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォ
ーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、
ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体よりなるもの、ある
いはこれら合成樹脂発泡体をシート材でサンドイッチし
た複合板、もしくは石膏ボード、セメント板、炭酸カル
シウム板、珪酸カルシウム板、セラミック板、木片セメ
ント板、炭酸マグネシウム板、シージングボード、シー
ジングインシュレーションボード、合板等よりなるも
の、またはこれらの複合板よりなるものである。これら
断熱ボード２は主に断熱性を向上させるためのものであ
り、副次的に防火性、耐火性、防音性、遮音性、防水
性、等の性能を有するものである。勿論、汎用品のスチ
レンボード、ウレタンボードが施工性、断熱性、値段等
の面において最適材であり、断熱性能的に最弱点部とな
る躯体１部分の熱橋（熱伝導）をこのスチレンボード、
ウレタンボードにより防止し、外装施工方法の断熱性を
強化するものである。

【００１０】固定部材３は図３に示すようなものであ
り、図１（ａ）、（ｂ）に示すように断熱ボード２上に
躯体１のピッチで複数本、縦または図示しないが横に形
成するものである。また、固定部材３は後記する外装材
７の固定下地として機能するものである。

【００１１】また、固定部材３の材質としては通常は木
材であるが、必要により人工木材、鋼材（中空パイプ
等）、プラスチック材（中空パイプ等）、等よりなるも
のである。

【００１２】気密材４は合成樹脂製シート、布製シー
ト、紙製シート、金属製シート、等に接着剤が形成され
たもの（片面粘着テープ）、あるいは形成時に接着剤を
介して貼着するもの等、あるいはコーキング材、塗料、
樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、等である。勿論、空間８
の全面に形成することもできる。

【００１３】気密材４は断熱ボード２と固定部材３間の
境界部分を被覆し、断熱ボード２と固定部材３間に現場
発泡型の合成樹脂発泡体６が浸入し、その発泡圧により
躯体１から固定部材３、外装材７が剥がれないようにす
るものである。

【００１４】剥離シート５は図４に示すようなものであ
り、ガムテープ、布テープ、合成樹脂製テープ、等より
なる片面粘着テープ等である。勿論、後から剥がせるよ
うなものであれば、何でも良い。また、剥離シート５と
して表面側（現場発泡型の合成樹脂発泡体６が付着する
面）に離型剤が形成されたものでも良い。この場合に
は、剥離シート５は剥がさず、剥離シート５の表面から
現場発泡型の合成樹脂発泡体６を剥がすものである。さ
らに、剥離シート５として塗料等よりなる離型剤を形成
することもできる。

【００１５】現場発泡型の合成樹脂発泡体６は、原液を
現場で吹き付けるように形成した合成樹脂発泡体を用い
て形成するものである。その素材としては硬質のウレタ
ンフォームが主流であるが、難燃２級、難燃３級（ＪＩ
Ｓ−Ａ−１３２１）合格品のフェノールポリオール＋イ
ソシアネート＋難燃材（以下、単にフェノールウレタン
という）等もある。勿論、ノンフロン（フロンを全く使
用しないもの）の合成樹脂、フェノール樹脂を使用して
難燃化を図ったもの、等も有る。

【００１６】現場発泡型の合成樹脂発泡体６は上述のよ
うに現場で吹き付けて発泡させるものを使用するため
に、図１に示すように断熱ボード２と固定部材３間に空
間８を有して隙間なく充填でき、断熱性、気密性を一挙
に具備させることができるために高断熱・高気密の構造
を簡単かつ短期間に形成でき、さらに、結露防止の機能
も有するものである。また、この空間８は家屋内の結露
防止用の通気路、エアサイクル用の通気路として利用で
きるものである。

【００１７】外装材７は図５に示すような、金属製の表
面材７ａと裏面材７ｂ間に芯材７ｃを形成した金属系サ
イディング材、あるいは図示しないが窯業系サイディン
グ材、ＡＬＣ板、ＰＣ板等よりなるもの、もしくは屋根
材として金属製屋根材、かわら、新生瓦等よりなるもの
である。これら外装材７は耐候性、耐食性、断熱性、防
水性、耐火性、防音性、遮音性、耐薬品性、耐久性、等
の性能を有するものである。

【００１８】空間９は図示するように、エアサイクルの
通気路として使用しても良いが、断熱材を充填し、断熱
性を向上しても良いものである。

【００１９】ここで、本発明に係る外装施工方法の施工
例について簡単に説明すると、まず、図６（ａ）に示す
ように断熱ボード２を躯体１上に施工する。

【００２０】次に、図６（ｂ）に示すように固定部材３
を固定具αにより躯体１に固定する。

【００２１】次に、図６（ｃ）に示すように固定部材３
の屋外面に、剥離シート５を貼着する。勿論、付着防止
が必要な部分には必要に従って、貼着するものである。

【００２２】次に、図６（ｃ）に示すようにコーキング
材よりなる気密材４を断熱ボード２と固定部材３間の境
界に充填する。

【００２３】次に、図７（ａ）に示すようにフェノール
ウレタンよりなる現場発泡型の合成樹脂発泡体６を断熱
ボード２と固定部材３間の空間８に吹き付ける。

【００２４】現場発泡型の合成樹脂発泡体６の吹き付け
が完了したら、図７（ｂ）に示すように剥離シート５を
除去して不必要な部分を除去し、固定部材３の屋外面に
不陸が無いようにするものである。

【００２５】剥離シート５の除去、所謂現場発泡型の合
成樹脂発泡体６の除去が完了したら、図７（ｃ）に示す
ように防水シート１１を介して図５に示すような横張り
用の外装材７を固定部材３上に土台から軒に向かって順
次施工して施工を完了するものである。勿論、外装材
７、内装材１０の施工順序は特に限定するものではな
い。

【００２６】

【その他の実施例】以上説明したのは、本発明に係る外
装施工方法の一実施例にすぎず、図８（ａ）〜（ｃ）〜
図１１（ａ）、（ｂ）に示すように形成することができ
る。すなわち、図８（ａ）、（ｂ）は躯体１と断熱ボー
ド２間、あるいは断熱ボード２と固定部材３と現場発泡
型の合成樹脂発泡体６間に防水シート１１を形成したも
のであり、例えばアスファルトフェルト、アスファルト
ルーフィング、防風透湿シート（風を通さず湿気を通す
シート）、あるいはポリエチレンシート等よりなるプラ
スチックシート、等よりなるものである。これは主に、
防水性、気密性を向上させるためのものであり、副次的
に現場発泡型の合成樹脂発泡体６、あるいは合成樹脂発
泡体よりなる断熱ボード２等への水分（湿気）の浸入防
止のために形成したものである。

【００２７】図８（ｃ）、および図９（ａ）、（ｂ）は
断熱ボード２間の連結部分の裏面に両面テープ１２を形
成したものであり、躯体１と断熱ボード２間の連結部分
を完全に密着することにより、連結部からの風、水分の
浸入を防止して気密性を向上するためのものである。

【００２８】図９（ｃ）は固定部材３を台形状に形成
し、断熱ボード２と固定部材３間の境界部分に確実に現
場発泡型の合成樹脂発泡体６が形成されるようにしたも
のである。また、図１０は屋根部分の外装施工方法を示
すものであり、躯体１は垂木、固定部材３は軒から棟方
向に形成した桟木、屋内側の空間９は小屋裏である。勿
論、外装材７は屋根材である。

【００２９】図１１（ａ）、（ｂ）において、（ａ）図
は躯体１と断熱ボード２の境界部分にのみ気密材４を形
成したもの、（ｂ）図は全面に気密材４を形成したもの
である。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る外装
施工方法によれば、高断熱・高気密の外装施工方法が
簡単に、かつ、短時間で形成できる。内部に難燃性の
高い（難燃２級、難燃３級）の現場発泡型の合成樹脂発
泡体を形成した場合には、屋内から火災が発生したとし
ても躯体内空間を伝って火災が延焼する心配がない。
現場発泡型の合成樹脂発泡体形成前に、不必要な部分へ
の付着を防止する剥離シートを形成したために除去作業
が簡単である。躯体、固定部材部分に水分（結露）が
発生することが無く、長期に亘って性能を維持できる。
躯体と断熱ボード間の空間をエアサイクルの流通路と
して使用でき、外装材と固定部材間の空間を屋内からの
湿気を外部に放出する排気路として使用することができ
るために、エアサイクルする空気の湿度を低く維持でき
る。このために、健康で快適な居住空間を形成すること
ができる。断熱ボードと現場発泡型の合成樹脂発泡体
間に水分が貯留することがない。気密材の形成によ
り、固定部材と断熱ボード間に現場発泡型の合成樹脂発
泡体が浸入せず、躯体から断熱ボード、固定部材、外装
材が剥がれることがない。等の特徴、効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る外装施工方法の施工状態を示す断
面図と斜視図である。

【図２】本発明に係る外装施工方法に使用する断熱ボー
ドを示す斜視図である。

【図３】本発明に係る外装施工方法に使用する固定部材
を示す斜視図である。

【図４】本発明に係る外装施工方法に使用する剥離シー
トの貼着前の状態を示す斜視図である。

【図５】本発明に係る外装施工方法に使用する外装材を
示す断面図である。

【図６】本発明に係る外装施工方法の施工順序を説明す
る断面図である。

【図７】本発明に係る外装施工方法の施工順序を説明す
る断面図である。

【図８】本発明に係る外装施工方法のその他の実施例を
示す断面図である。

【図９】本発明に係る外装施工方法のその他の実施例を
示す断面図である。

【図１０】本発明に係る外装施工方法のその他の実施例
を示す断面図である。

【図１１】本発明に係る外装施工方法のその他の実施例
を示す断面図である。

【図１２】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

α 固定具 ａ 現場発泡型樹脂 ｂ 断熱ボード ｃ 当て木 ｄ 外装材 ｅ 躯体 １ 躯体 ２ 断熱ボード ３ 固定部材 ４ 気密材 ５ 剥離シート ６ 現場発泡型の合成樹脂発泡体 ７ 外装材 ７ａ 表面材 ７ｂ 裏面材 ７ｃ 芯材 ８ 空間 ９ 空間 １０ 内装材 １１ 防水シート １２ 両面テープ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 躯体の表側に断熱ボードを形成し、該断
   熱ボード上に固定部材を複数本固定し、該固定部材と断
   熱ボードの境界に気密材を貼着し、固定部材の屋外側の
   面に剥離シートを貼着し、固定部材と断熱ボードにより
   囲まれた空間に現場発泡型の合成樹脂発泡体を吹き付け
   ると共に固定部材間に空間ができるように充填した後に
   剥離シートを剥がし、固定部材上に外装材を形成し、躯
   体の屋内側の面には内装材を施工して形成することを特
   徴とする外装施工方法。