JPH07317169A - 外装構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、新築、あるいは改修の外壁構造に
関するものである。さらに詳しくは、断熱構造と気密構
造を有する外装構造（高断熱・高気密の構造）を一挙に
形成できる外装構造に係るものである。 【構成】 躯体α上に断熱ボード２を形成した下地１、
あるいは既存壁よりなる下地１上に胴縁３を複数本固定
し、胴縁３間に現場発泡型の合成樹脂発泡体４を細密充
填し、胴縁３上に外装材５を施工した外装構造である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、新築、あるいは改修の
外装構造に関するものである。さらに詳しくは、断熱構
造と気密構造を有する外装構造（高断熱・高気密の構
造）を一挙に形成できる外装構造に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の断熱壁には、躯体間にグラスウ
ール等の断熱材を形成したもの、躯体表面に断熱ボー
ドを形成したもの、壁形成後に躯体間に現場発泡型の
合成樹脂発泡体を充填したもの、躯体内部から躯体と
外装材裏面に現場発泡型の合成樹脂発泡体を形成したも
の、結露防止のために躯体と外装材間に空間を形成し
たもの、等があり、気密壁には、躯体表面にポリエチ
レンシート等の気密シートを形成したもの、断熱・気密
壁には躯体表面に断熱ボードとポリエチレンシート等
の気密シートを併用して形成したもの、等がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、は結
露によりグラスウールが濡れ雑巾化し、この濡れ雑巾化
したグラスウールでは初期の断熱性能は全く期待できな
いものであった。また、の断熱ボードだけを施工した
構造では気密性に問題が有り、は合成樹脂発泡体反
応時の発泡圧力により躯体と外装材間に空間ができてし
まい、外装材の固定力が低下したり、外装材表面が変形
して外装材自体が使いものにならなくなってしまう大き
な欠点があった。さらに、は空間の形成により躯体と
外装材間に結露水が貯留することはないが、断熱性を充
分に活かすことができなかった。また、は断熱ボー
ドとポリエチレンシート等のシートの２部材を施工しな
ければならない等の施工性に問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような欠点
を除去するために、躯体上に断熱ボードを形成した下
地、あるいは既存壁よりなる下地上に胴縁を複数本固定
し、胴縁上に剥離シートを形成し、胴縁と断熱ボード間
の空間に現場発泡型の合成樹脂発泡体を細密充填し、次
に、剥離シートを剥すことにより胴縁の表面を露出さ
せ、胴縁上に外装材を施工することにより、断熱性、施
工性、防水性を向上し、結露防止を図った外装構造を提
供するものである。

【０００５】

【実施例】以下に、図面を用いて本発明に係る外装構造
の一実施例を詳細に説明する。図１（ａ）、（ｂ）は本
発明に係る外装構造により形成した壁の一例を示す断面
図と斜視図であり、αは躯体、１は下地、２は断熱ボー
ド、３は胴縁、４は現場発泡により形成した合成樹脂発
泡体、５は外装材、６は内装材、７は防水シートであ
る。

【０００６】下地１は新築の躯体αに断熱ボード２を形
成したもの、あるいは既存建築物あるいは既存構築物の
既存壁、既存屋根等よりなるものである。

【０００７】断熱ボード２は図２に示すようなものであ
り、例えばスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、
ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、
塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチ
レンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体より
なる断熱ボード、あるいはこれら合成樹脂発泡体をシー
ト材でサンドイッチした複合板、もしくは石膏ボード、
セメント板、炭酸カルシウム板、珪酸カルシウム板、セ
ラミック板、木片セメント板、炭酸マグネシウム板、シ
ージングボード、シージングインシュレーションボー
ド、合板等よりなるもの、またはこれらの複合板よりな
るものである。これら断熱ボード２は断熱性、耐火性、
防音性、遮音性、防水性、等の性能を有するものであ
る。勿論、汎用品のスチレンボード、ウレタンボードが
施工性、断熱性、値段等の面において最適材であり、断
熱性能的に最弱点部となる下地１部分の熱橋（熱伝導）
をこのスチレンボード、ウレタンボードにより防止し、
外装構造の断熱性を強化するものである。

【０００８】胴縁３は図３に示すようなものであり、図
１に示すように断熱ボード２上に一定ピッチで複数本、
縦または図示しないが横に形成したものである。また、
胴縁３は後記する外装材５の固定下地として機能するも
のである。

【０００９】また、胴縁３の材質としては木材、人工木
材、鋼材（中空パイプ等）、プラスチック材（中空パイ
プ）等よりなるものである。

【００１０】現場発泡型の合成樹脂発泡体４は、原液を
現場で吹き付けるように形成した合成樹脂発泡体を用い
て形成するものである。その素材としては硬質のウレタ
ンフォームが主流であるが、難燃２級、難燃３級（ＪＩ
Ｓ−Ａ−１３２１）合格品のフェノールポリオール＋イ
ソシアネート＋難燃材（以下、単にフェノールウレタン
という）等もある。勿論、ノンフロン（フロンを全く使
用しないもの）の合成樹脂、フェノール樹脂を使用して
難燃化を図ったもの、等も有る。

【００１１】現場発泡型の合成樹脂発泡体４は上述のよ
うに現場で吹き付けて発泡させるものを使用するため
に、図１に示すように断熱ボード２と胴縁３間に細密充
填でき、断熱性、気密性を一挙に具備させることができ
るために高断熱・高気密の構造を簡単かつ短期間に形成
でき、さらに、結露防止の機能も有するものである。

【００１２】外装材５は図４、図５（ａ）〜（ｊ）、図
６（ａ）〜（ｆ）、および図７（ａ）〜（ｆ）に示すよ
うに金属系サイディング材、金属製屋根材、あるいは図
示しないが窯業系サイディング材、セラミック材、ＡＬ
Ｃ板、ＰＣ板等よりなるものである。これら外装材５は
断熱性、耐火性、防音性、遮音性、防水性、耐久性、等
の性能を有するものである。

【００１３】防水シート７は防風透湿シート（風を通さ
ず湿気を通すシート）、アスファルトフェルト、アスフ
ァルトルーフィング、あるいはポリエチレンシート等よ
りなるものであり、主に防水性を向上させるためのもの
である。また、外装材５の固定下地等として防水シート
７の代わりに合板等の硬質板材を使用しても良い。

【００１４】ここで、本発明に係る外装構造の施工例に
ついて簡単に説明すると、まず、図８に示すように躯体
α上にスチレンフォームよりなる断熱ボード２を全面に
形成する。

【００１５】次に、図９に示すように木製の胴縁３を躯
体αのピッチで複数本釘等の固定具βで固定する。

【００１６】その後、図１０に示すように剥離シート３
ａを胴縁３の上面に貼着し、図１１に示すようにフェノ
ールウレタンよりなる現場発泡型の合成樹脂発泡体４を
胴縁３と断熱ボード２間に囲まれた空間に吹き付けて細
密充填する。

【００１７】全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体４を形
成したら、図１２に示すように剥離シート３ａを剥すこ
とにより、胴縁３上の現場発泡型の合成樹脂発泡体４を
取り去る。

【００１８】その後、図１３に示すように胴縁３上に防
風透湿シートよりなる防水シート７を敷設する。

【００１９】次に、図１３に示すように図４に示すよう
なな外装材５を図１に示すように土台から軒に向かって
順次施工し、施工を完了するものである。勿論、施工順
序は進行状況により変化するものである。

【００２０】勿論、既存の壁あるいは既存の屋根上に形
成する場合には現場発泡型の合成樹脂発泡体４の吹き付
け下地が存在するために、断熱ボード２は必要に応じて
形成しても形成しなくても良い。

【００２１】また、下地１としては躯体α上に防水シー
ト７を形成し断熱ボード２を削除したもの、躯体α間に
グラスウール等の断熱材を形成したもの、あるいは躯体
α表面に断熱ボード２を形成した後に屋内から躯体α間
に現場発泡型の合成樹脂発泡体４を形成したもの等、任
意である。

【００２２】

【その他の実施例】以上説明したのは、本発明に係る外
装構造の一実施例にすぎず、図１４〜図２２に示すよう
に形成することができる。すなわち、図１４、図１５は
下地１および現場発泡型の合成樹脂発泡体４と断熱ボー
ド２間、あるいは断熱ボード２と胴縁３間に防水シート
７を形成したものである。これは主に、防水性、気密性
を向上させるためのものであり、副次的に現場発泡型の
合成樹脂発泡体４、あるいは合成樹脂発泡体よりなる断
熱ボード２等への水分（湿気）の浸入防止のために形成
したものである。

【００２３】図１６〜図１８は断熱ボード２間の連結部
分の裏面に防水テープ８を形成したものであり、下地１
と断熱ボード２間の連結部分を完全に密着することによ
り、連結部からの風、水分の浸入を防止して気密性を向
上するためのものである。

【００２４】図１９は胴縁３を台形状に形成したもので
あり、現場発泡型の合成樹脂発泡体４を吹き付けた際
に、胴縁３と断熱ボード２の接触部分に空間が形成され
るのを防止し、断熱性能の低下を防止するためのもので
ある。また、図２０は屋根部分の外装構造を示すもので
あり、下地１は垂木、胴縁３は軒から棟方向に形成した
桟木、外装材５は屋根材である。また、図２１は下地１
間に断熱材９を形成した外装構造であり、断熱材９とし
てはポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォ
ーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリ
エチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォ
ーム等の合成樹脂発泡体よりなるボード、あるいはこれ
ら合成樹脂発泡体をシート材でサンドイッチした複合
板、もしくはグラスウール等よりなるものである。さら
に、図２２は既存外装材１ａ上に本発明に係る外装構造
を形成したものである。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る外装
構造によれば、高断熱・高気密の外装構造が簡単に、
かつ、短時間で形成できる。内部に難燃性の高い（難
燃２級、難燃３級）現場発泡型の合成樹脂発泡体を形成
した場合には、屋内から火災が発生したとしても躯体内
空間を伝って火災が延焼する心配がない。現場発泡型
の合成樹脂発泡体施工時の発泡圧による、外装材の変
形、外装材の脱落がない。躯体、胴縁部分に水分（結
露）が発生することが無く、長期に亘って性能を維持で
きる。断熱ボードと現場発泡型の合成樹脂発泡体間に
水分が貯留することがない。等の特徴、効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る外装構造の施工状態を示す断面図
と斜視図である。

【図２】本発明に係る外装構造に使用する断熱ボードを
示す斜視図である。

【図３】本発明に係る外装構造に使用する胴縁を示す斜
視図である。

【図４】本発明に係る外装構造に使用する外装材を示す
断面図である。

【図５】本発明に係る外装構造に使用する外装材を示す
斜視図である。

【図６】本発明に係る外装構造に使用する外装材を示す
斜視図である。

【図７】本発明に係る外装構造に使用する外装材を示す
斜視図である。

【図８】本発明に係る外装構造の施工順序を説明する断
面図である。

【図９】本発明に係る外装構造の施工順序を説明する断
面図である。

【図１０】本発明に係る外装構造の施工順序を説明する
断面図である。

【図１１】本発明に係る外装構造の施工順序を説明する
断面図である。

【図１２】本発明に係る外装構造の施工順序を説明する
断面図である。

【図１３】本発明に係る外装構造の施工順序を説明する
断面図である。

【図１４】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【図１５】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【図１６】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【図１７】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【図１８】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【図１９】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【図２０】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【図２１】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【図２２】本発明に係る外装構造のその他の実施例を示
す断面図である。

【符号の説明】

α 躯体 β 固定具 １ 下地 １ａ 既存外装材 ２ 断熱ボード ３ 胴縁 ３ａ 剥離シート ４ 現場発泡型の合成樹脂発泡体 ５ 外装材 ６ 内装材 ７ 防水シート ８ 防水テープ ９ 断熱材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 躯体上に断熱ボードを形成した下地、あ
   るいは既存壁よりなる下地上に胴縁を複数本固定し、該
   胴縁間に現場発泡型の合成樹脂発泡体を細密充填し、該
   胴縁上に外装材を施工したことを特徴とする外装構造。