JPH0959928A - 橋梁の連続化工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有ヒンジラーメン構造の既存橋梁にあって
は、施工当時における想定クリープや使用交通の相違に
より、各種の問題が顕在化している。 【解決手段】 既存橋梁の一体化工事に当っては、ま
ず、両箱桁１４内の左右に前記遊間部ｄを挟んで対称位
置にそれぞれ一対の定着ブロック２２、２４が設置され
る。次に、各隔壁１８，２６の下床部を削孔し、ＰＣ鋼
材挿通用の孔３４を形成する。ＰＣ鋼材２８の配線、及
び締結作業の以前の段階で、遊間部ｄは超早強コンクリ
ートＣによって間詰めされ、ヒンジ支承２０を埋め殺
し、または撤去した状態で、両箱桁１４は一体化され。
次いで、ＰＣ鋼材２８を各隔壁１８，２６の下床部を平
行に貫通された挿通用の孔３４を通じて互いに相手側箱
桁１４の各定着ブロック２２，２４間に掛渡し、各定着
ブロック２２，２４の背面側突出端をナット３６により
締結することで、両箱桁１４間は所定のテンションでプ
レストレスが導入され、一体に接続されることになる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、有ヒンジラーメン
構造をした既存の橋梁を連続して一体化させるための橋
梁の連続化工法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の多径間橋梁形式では、経済性や構
造設計の単純化などの条件により有ヒンジラーメン形式
としている施工例が多い。この種の既存橋梁の構造は、
図７に示すごとく、橋脚１の上部左右に橋桁２を張出し
たものを一つのユニットとして、その径間中央にて反対
側から張出された他のユニットの橋桁２とをヒンジ支承
部３によって連結している。

【０００３】しかしながら、この種の構造の既存橋梁に
あっては、施工当時における想定クリープや使用交通状
況の相違により、次に述べる問題が顕在化している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】

（１）橋桁同士は交通車両の交通荷重が近年大きくなっ
てきたことによって相対的に振動し、この運動によって
中央のヒンジ支承部や伸縮装置が磨耗するため、これら
の定期的な維持管理に人手間を有し、維持コストも高価
である。 （２）施工当時考慮したクリープによる変形が実際には
大きかったので、中央ヒンジ支承部の垂下がりなどの変
形が問題となっている。 （３）このような垂下がった状態で交通に供用すると、
交通車両の繰返し荷重などの影響によって部材にひび割
れが生じ、破壊の原因となるおそれがある。 （４）また垂下がりによる不陸現象は、交通車両の走行
性にも悪影響を与える。

【０００５】本発明は、既存の橋梁における個々に分離
している橋桁を一体に連続化し、部材強度の増加を図
り、橋桁同士接合部間における振動を防止した橋梁の連
続化工法を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項１記載の発明にあっては、有ヒ
ンジラーメン構造をした既存橋梁における橋桁同士の遊
間部を挟んでその両側に定着ブロックを固定し、該定着
ブロック間にＰＣ鋼材を配置し、緊張定着させることに
よって、橋桁同士を連結し、前記ＰＣ鋼材のプレストレ
スによって部材強度の増強を図る。

【０００７】また、本発明のうち請求項２記載の発明で
は、前記遊間部を間詰めすることによって、ヒンジ支承
や伸縮装置を埋め殺し、または撤去後、ヒンジ支承部の
機能そのものを停止した状態で両橋桁間隙間を埋め、両
者の一体化を図る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を既存の箱桁方式の
橋梁に適用した場合について、その好ましい実施の形態
を添付図面を参照して説明する。図１，２は本発明に係
る箱桁方式の橋梁の側断面図及び平断面図である。

【０００９】図における既存の橋梁１０は、橋脚１２の
上部両側に延びる内部中空の箱桁１４と、箱桁１４の上
部において幅方向左右に一体化された張出し１６とを備
え、その上面全体を路面に供用するものであり、箱桁１
４は橋脚１２との接合部で高さが最大で、対向する箱桁
１４との接続部で高さが最小となるアーチ状となってい
る。

【００１０】両箱桁１４の接合部は、図３，４に拡大し
て示すように、遊間部ｄが生じており、またこの接合部
近傍にはそれぞれ中央開口した隔壁１８によって仕切ら
れ、両隔壁１８で囲われた左右に互いに係合するヒンジ
支承２０を設け、このヒンジ支承２０によって相対的な
動きが可能に連結されている。

【００１１】この種の既存橋梁の一体化工事に当って
は、まず、両箱桁１４内の左右に前記遊間部ｄを挟んで
対称位置にそれぞれ一対の定着ブロック２２、２４が設
置される。一方の定着ブロック２２の対は橋脚１２に近
い位置に設置され、他方の定着ブロック２４は各箱桁１
４の中央よりであって、この部分に設けられた隔壁２６
に接して配置される。

【００１２】各定着ブロック２２，２４には、図５，６
に拡大して示すように、ＰＣ鋼材２８を挿通する穴３
０，３２が縦３列に開けられている。また、定着ブロッ
ク２４の下部には前記定着ブロック２２側から供給され
るＰＣ鋼材２８を挿通するための穴３２ａが横３列開け
られている。

【００１３】次に、各隔壁１８，２６の下床部を削孔
し、ＰＣ鋼材挿通用の孔３４を形成する。隔壁１８の下
床部は、図４に示すように、片側合計で６カ所の孔３４
が平行に開口されることになる。

【００１４】ＰＣ鋼材２８の配線、及び締結作業の以前
の段階で、遊間部ｄは図３に示すように、超早強コンク
リートＣ等の間詰め材によって間詰めされ、必要に応じ
てヒンジ支承２０を埋め殺し、または撤去した状態で、
両箱桁１４は一体化される。

【００１５】勿論、この間詰め施工は、同時に路面や張
出し部１６などに実施され、施工後は早期に路面を交通
に供用できる。

【００１６】なお、間詰め時にＰＣ鋼材２８を挿通する
ためのシース管を配置しておけば、ＰＣ鋼材２８の挿通
作業の障害とはならない。この超早強コンクリートの間
詰めによって、雨水が箱桁１４の内部に侵入することが
無く、ＰＣ鋼材２８の防錆対策の上からも好ましいもの
となる。

【００１７】次いで、ＰＣ鋼材２８を各隔壁１８，２６
の下床部を平行に貫通された挿通用の孔３４を通じて互
いに相手側箱桁１４の各定着ブロック２２，２４間に掛
渡し、図５，６に示すように、各定着ブロック２２，２
４の背面側突出端をナット３６により締結することで、
両箱桁１４間は所定のテンションでプレストレスが導入
される。

【００１８】以上のように、両箱桁１４内に一対の定着
ブロック２２、２４を設置し、隔壁１８，２６の下床部
にＰＣ鋼材挿通用の孔３４を削孔し、遊間部ｄを間詰め
材によって間詰めした後、ＰＣ鋼材２８を定着ブロック
２２，２４間に配置し、定着ブロックで反力を受けなが
らＰＣ鋼材２８にプレストレスを導入することにより、
橋桁同士が一体に連結されるとともに、プレストレス
が、両箱桁１４同士の径間中央部における正の曲げモー
メントに対する抵抗力となる。

【００１９】なお、以上の実施形態では、本発明を箱桁
の内部に実施したが、これは、箱桁の内部空間を利用す
ることによって外部支保工を設けること無く改良工事が
行えることと、前述の防錆対策の必要からである。従っ
て、箱桁の外側部に沿ってＰＣ鋼材を配置して本発明を
実施することも可能であり、さらには箱桁方式の橋梁の
みならず、Ｔ桁橋やＩ桁橋にも適用可能であることは勿
論である。

【００２０】

【発明の効果】以上実施の形態により詳細に説明したよ
うに、本発明のうち請求項１記載の発明にあっては、Ｐ
Ｃ鋼材によって橋桁同士を連結することで、ＰＣ鋼材の
プレストレスによって部材強度の増強を図った状態に一
体化でき、既存の有ヒンジラーメン構造の橋梁の強度を
向上でき、ヒンジ支承部の垂下がりが無く、また、これ
によって車両の走行性も改善できる。また、コンクリー
トの増し打ちなどの肉厚増加施工を伴わないため、施工
性が良好である。

【００２１】さらに、本発明のうち、請求項２記載の発
明にあっては、中央のヒンジ支承部を埋め殺した状態で
橋桁同士を一体化するため、改良工事にあたり、ヒンジ
支承部の撤去作業が不要となり、施工性が良好となるほ
か、特に箱桁方式の橋梁あっては、中空内部に雨水など
が侵入せず、ＰＣ鋼材の防錆の上からも好ましいものと
なるなどの利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の全体的構成を示す側断面
図である。

【図２】同平断面図である。

【図３】図１のＡ部拡大図である。

【図４】図３のＢ−Ｂ線断面図である。

【図５】図１のＣ部拡大図である。

【図６】図１のＤ部拡大図である。

【図７】従来の有ヒンジラーメン構造の橋梁の一般的構
成を示す説明図である。

【符号の説明】

１０ 既存橋梁 １２ 橋脚 １４ 箱桁 ２２，２４ 定着ブロック ２８ ＰＣ鋼材 Ｃ 間詰めコンクリート

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有ヒンジラーメン構造をした既存橋梁に
   おける橋桁同士の遊間部を挟んでその両側に定着ブロッ
   クを固定し、該定着ブロック間にＰＣ鋼材を配置し、緊
   張定着させることを特徴とする橋梁の連続化工法。
2. 【請求項２】 前記遊間部を間詰めすることを特徴とす
   る請求項１記載の橋梁の連続化工法。