JPH0959819A - ポリビニルアルコール系繊維の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系繊維の製造方法

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JPH0959819A
JPH0959819A JP21165795A JP21165795A JPH0959819A JP H0959819 A JPH0959819 A JP H0959819A JP 21165795 A JP21165795 A JP 21165795A JP 21165795 A JP21165795 A JP 21165795A JP H0959819 A JPH0959819 A JP H0959819A
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pva
solvent
wet
polymer
bath
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JP21165795A
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Satoru Kobayashi
悟 小林
Shunpei Naramura
俊平 楢村
Tomoyuki Sano
友之 佐野
Toshimi Yoshimochi
駛視 吉持
Akio Omori
昭夫 大森
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 強度の優れたポリビニルアルコール系繊維を
安価で大量かつ安定に製造する。 【構成】 ポリビニルアルコール系ポリマーの有機溶媒
溶液を、該ポリマーに対して固化能を有する有機溶媒を
含有する固化浴中に湿式紡糸して得られる固化糸篠を湿
式延伸して得られる紡糸原糸を乾熱延伸してポリビニル
アルコール系繊維を製造するにあたり、回収溶媒量
(A)をA≦(B/290)+6を満足するようにし、
かつ固化浴温度を10℃以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強度の優れたポリ
ビニルアルコール(以下PVAと略す)系繊維を安価で
大量かつ安定に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来PVA系繊維は、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリアクリロニトリル系の繊維と比べて、強
度および弾性率が高く、その主用途である産業資材用繊
維としてはもちろん、最近では土壌、プラスチックス、
セメント、ゴム等の補強材として利用されつつある。と
くにアスベスト代替のセメント補強材としては海外での
需要が盛んになりつつあるが、阪神大震災を機に国内に
おいてもアスベスト代替として見直されつつあり、今後
ますます需要が増大し、特に優れた強度を有するPVA
系繊維に対するニーズは増大してくることが予想され
る。
【0003】近年、超高分子量ポリエチレンの希薄溶液
をゲル紡糸し超延伸することにより高強力繊維が得られ
るという考え方を応用し、有機溶媒にPVA系ポリマー
を溶解し、固化能を有する有機溶媒系の固化浴に湿式或
いは乾湿式紡糸することにより、高強力PVA系繊維を
得ることが特開昭59−130314号公報、特開昭5
9−100710号公報、特開昭61−108711号
公報、特開昭63−99315号公報などで提案されて
いる。
【0004】さらに有機溶媒を紡糸原液溶媒に用いたP
VA系繊維の乾式紡糸方法を開示したものとして、特開
平6−25909号公報や特開平6−235117号公
報などがある。
【0005】しかしながら、これらの発明で採用されて
いる方法は、短繊維を商業的に生産する方法としては適
したものではなく、湿式紡糸方法では溶媒使用量が極め
て多くなり、巨大な回収設備が必要となる点で不都合が
あり、乾湿式或いは乾式では、隣り合う吐出ポリマー流
が空気中にて接合することを防ぐためには、吐出孔間隔
を大きくとる必要があり、大量生産に必須の多ホール化
が困難となる点で不都合となる。特に乾式紡糸方法の場
合であっても有機溶媒を使用する場合には生産量に応じ
た回収設備を設けることも必須であり、従来の方法では
安価に大量のPVA系短繊維を得ることはできなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決すること、すなわち原液溶媒と固化
浴のいずれもが有機溶媒系を使用するPVA系繊維の紡
糸方法において、如何にしたら強度の優れたPVA系繊
維を安価でかつ大量に安定に製造し得るかということを
解決したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、PV
A系ポリマーの有機溶媒溶液を、該PVA系ポリマーに
対して固化能を有する有機溶媒を含有する固化浴中に湿
式紡糸し、得られる固化糸篠を湿延伸して得られる紡糸
原糸を乾熱延伸してPVA系繊維を製造するにあたり、
回収溶媒量(A)がA≦(B/290)+6を満足し、
かつ固化浴温度が10℃以上であることを特徴とするも
のであり、さらに好ましくは、この方法において、湿延
伸後で乾熱延伸前の紡糸原糸の分子配向度αを0.50
以上0.75以下とする上記製造方法である。なお、上
記Aは第一浴からの回収溶媒量(kg/PVA−k
g)、BはPVA系ポリマーの粘度平均重合度を意味す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いるPVA系ポリマー
は30℃の水溶液で粘度法により求めた平均重合度が1
000以上のものである。1000未満の場合には高強
力PVA系繊維が得られない。粘度平均重合度が150
0以上であると高強度PVA系繊維が得られ易く好まし
い。重合度が高いほど、欠陥になり易い分子末端がさら
に少なくなり、さらに好ましい。
【0009】用いるPVA系ポリマーのケン化度に関し
ては特別な限定はないが、88モル%以上が好ましく、
さらに98モル%以上であると特に配向結晶性が優れる
こととなるので一層好ましい。また用いるPVA系ポリ
マーは、他のビニル基を有するモノマー、例えばエチレ
ン、イタコン酸、ビニルピロリドンなどのモノマーを1
0モル%以下、好ましくは2モル%以下の比率で共重合
したPVA系ポリマーであってもよい。
【0010】本発明において、紡糸原液を構成する溶媒
としては、PVA系ポリマーを溶解する有機溶媒である
ならば特に限定はなく、例えばジメチルスルホキサイド
(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダ
ゾリジンなどの極性溶媒類やグリセリン、エチレングリ
コールなどの多価アルコール類などが挙げられる。また
これら溶媒の混合物やこれら溶媒と水との混合物なども
使用し得る。これら数多い溶媒の中でも、特にDMSO
は80℃以下の低温でPVA系ポリマーを溶解すること
ができかつPVA系ポリマーの重合度低下を少なくでき
ることより好ましい溶媒である。
【0011】紡糸原液には、目的に応じて種々の添加
剤、例えば顔料、染料などの着色剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、界面活性剤、酸などのpH調節剤、硼酸など
のゲル化促進剤などを所定量添加してもよい。さらにD
MSOのように比較的高い凍結温度を有する溶媒に対し
ては、メタノールなどの固化作用を有するものであって
も、これらをPVA系ポリマーが固化しない範囲内で添
加すると、固化浴を溶媒の凍結温度以下としても紡糸原
液が凍結しないので好ましい場合がある。紡糸原液中の
PVA系ポリマー濃度としては5〜30重量%が好まし
く、また紡糸する際の紡糸原液の温度としては70〜1
50℃が好ましい。
【0012】固化溶媒としては、PVA系ポリマーに対
して固化能を有する有機溶媒を用いる。具体的な溶媒と
してはPVA系ポリマーに対して固化能を有するものな
らば特に限定されず、例えばメタノール、エタノールな
どのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなど
のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂肪酸エス
テル類などが挙げられる。特にメタノールを主成分とす
るものは、固化性能が優れ、特に高強力な繊維が得られ
易く、かつコストの点においても優れていることより、
本発明には好適に用いられる。本発明においては、固化
浴の温度を10℃以上にする必要があり、10℃未満の
場合には、回収溶媒量との関係で、固化繊維中の微結晶
密度が高くなり過ぎて、十分な延伸ができず、したがっ
て高強力な繊維を製造することができなくなる。より好
ましい固化浴温度は15〜40℃である。
【0013】本発明において、紡糸方法としては、湿式
紡糸方法が用いられる。前述したように本発明の目的
は、安価で大量かつ安定に高強力PVA繊維を製造する
ことにあり、そのためには多ホール化が可能である湿式
紡糸方法に限られる。すなわち乾湿式紡糸方法や乾式紡
糸方法の場合には、ノズルから吐出された原液が気体中
を走行する際に繊維同志が引っ付き、繊維間膠着を有す
る糸篠となりやすく、それを防ぐためには、隣り合うノ
ズルの間隔を大きくとる必要があり、したがって多ホー
ル化が不可能となる。一方、湿式紡糸方法の場合には、
ノズルより吐出された紡糸原液の表面は直ちに固化液に
より囲まれかつ表面は直ちに固化されるため繊維間膠着
を生じることがなく、したがってノズル間隔を大きくと
る必要がなく、多ホール化が可能となる。
【0014】バスドラフフト(原液がノズルを通過する
際の吐出線速度に対する第1ゴデットローラー速度の
比)としては、0.1〜1.0が好ましい。ノズルの孔
径は、バスドラフフトがこの範囲内となるように選択す
る。より好ましいバスドラフフトは0.2〜0.9であ
る。
【0015】固化浴中あるいは固化浴上の第1ゴデット
ローラーに引き取られた固化糸篠は、以下の工程に従っ
て繊維化される。すなわち、固化能を有する有機溶媒な
どよりなる抽出浴により、固化糸篠中の原液溶媒などを
抽出洗浄除去し乾燥する。第1ゴデットローラー直後か
ら乾燥前に至るいずれかの工程において1段以上、より
好ましくは多段で湿延伸する。湿延伸することにより、
乾燥時の繊維間膠着をより一層防止することができる。
好ましい湿延伸倍率は2.5〜5.5倍である。乾燥温
度は40〜170℃が乾燥効率及び繊維性能の点で好ま
しい。さらに乾燥を、温度が後段に行くに従って高温と
なるような多段の乾燥方法で行うのが好ましい。
【0016】本発明において、第1浴(ノズルから吐出
された原液が最初に入る固化浴)からの回収溶媒量をで
きるだけ少なくして、溶媒回収設備のコンパクト化と回
収に要するスチーム使用量の少量化による低コスト化を
達成したうえで、強度の高いPVA系繊維を得ることが
本発明の主目的のひとつである。ここで言う第1浴から
の回収溶媒量(Akg/PVA−kg)とは、PVA系
ポリマー濃度C1重量%、溶媒濃度(100−C1)重量
%、第1固化浴中の原液溶媒濃度C2重量%とすると、
紡糸時に原液からの溶媒持ち込みに対して、第1固化浴
中の溶媒濃度が一定となるように固化溶媒を連続供給し
たとき、最終固化浴からの持ち出し溶媒をほぼ0と仮定
すると(工業的生産においてはほぼ0となっている)、
PVA系繊維1kg生産あたりA={(100−C1
/C1}×{100/C2}と表すことができる。
【0017】我々は、前述のC1、C2をできる限り大き
くすることによりAを小さくすると、低コストな固化条
件を達成することを見いだした。本来、溶媒と固化溶媒
に有機溶媒を用いて高強力なPVA系繊維を製造する従
来の方法では、よく知られているように、超高分子量ポ
リエチレンの希薄溶液のゲル紡糸−超延伸の考えを応用
したものであり、低コストな本発明の固化条件はこれに
反するものである。このように本発明の方法は、従来の
常識からは反するものであるにもかかわらず、従来の高
強力繊維と同等の強度の繊維が得られることは驚くべき
ことである。
【0018】我々はまず前述のC1を従来条件より大き
くし、安定紡糸可能なC2を見いだすという手法で固化
条件の最適化を行った。このときC2が小さすぎると湿
式紡糸では、ノズル部分での紡糸原液の急速な固化のた
めノズル調子が悪く安定紡糸できなかった。反対にC2
が大きすぎると紡糸原液に対する固化能が小さすぎて安
定紡糸ができなかった。C1を従来条件より大きくした
場合、安定紡糸が可能なC2は従来条件より大きくな
り、これは従来条件よりC1,C2を共に大きくすること
のできる回収溶媒量削減の低コストな固化条件であっ
た。しかしながら、これらの紡糸原液に熱延伸を施した
ところ、従来条件よりも,全延伸倍率、ヤーン強度、延
伸工程通過性が極端に低下することが判明した。
【0019】この原因を追求したところ、熱延伸性とヤ
ーン強度は、固化浴(第1浴)の温度と関連があること
を見いだした。すなわち固化浴の温度を前記したように
10℃以上にすることが重要であることを見いだした。
さらに本発明において、湿延伸した後で乾熱延伸する前
の、紡糸原糸の分子配向度を0.50〜0.75の範囲
内とすることが同様の理由で好ましいことを見いだし
た。0.75を越える場合には、熱延伸倍率が低下し、
強度が低下することとなる。0.5より小さいと熱延伸
倍率は大きくなるものの分子鎖同志が素抜けた状態とな
り、高い強度のものが得られにくい。より好ましくは紡
糸原糸の分子配向度を0.60〜0.70の範囲内とす
る場合である。
【0020】紡糸原糸の分子配向度を左右するファクタ
ーとして、紡糸原液のPVA濃度、湿延伸倍率、第1浴
での溶媒濃度、固化浴浸漬時間(すなわち吐出されてか
ら第1ゴデットローラーに到達するまでの時間)等が挙
げられ、例えば紡糸原糸の分子配向度を高めるために
は、PVA濃度を高める、第1浴の溶媒濃度を高める、
湿延伸倍率を高める、固化浴浸漬時間を短くする等の条
件を組み合わせることにより紡糸原糸の分子配向度を上
記範囲内とすることができる。
【0021】紡糸原糸の分子配向度が乾熱延伸性に影響
を与える理由については必ずしも明確ではないが、紡糸
原糸の分子配向度も紡糸原糸の微結晶密度に関係してお
り、その後の延伸性に影響を及ぼすためと考えられる。
紡糸原糸の微結晶密度が高すぎると熱延伸のときに微結
晶が十分な延伸を阻害してしまう。反対に低すぎると微
結晶は適当なジャンクションポイントとしての作用を失
い、分子鎖が滑り、実効のない見かけだけの乾熱延伸と
なってしまう。すなわち、適当な範囲に微結晶密度をコ
ントロールすることが高強力繊維を得るために重要であ
り、この結晶密度を最も大きく左右するファクターが、
第1浴の温度である。
【0022】本発明において、紡糸原糸の分子配向度
は、次の条件で乾燥原糸を測定することにより得られ
る。 測定機器:株式会社オリエンテック製パルス式直読粘弾
性測定器DDV−5−B2型 周波数:10Hz(バイモルフ型電歪素子に電圧を印加
し発生) 試料:20cm、30cm、40cm、50cmで各々
の伝達時間を測定し、最小自乗法により試料中のパルス
伝播速度C(km/sec)を求める。分子配向度αは
α=1−(Cu/C)2から求める。(但し、Cuは完
全配向PVAのパルス伝播速度でCu=2.20km/
sec)
【0023】以上のように低コストな固化条件で高強力
なPVA系繊維を得る方法を述べて来たが、PVAの重
合度により原液PVA濃度、第1固化浴溶媒濃度の適性
条件が変わることは言うまでもない。我々は種々の検討
を行った結果、重合度に対する回収溶媒量の補正を考慮
し、低コスト固化の範囲を回収溶媒量(A)をA≦(B
/290)+6を満足するようにしなければならないこ
とを見いだした(但し、BはPVA系ポリマーの粘度平
均重合度)。この条件を外れる場合には低コスト固化を
満足できない。また安定に紡糸を行うためには回収溶媒
量(A)を3.2以上にするのが好ましい。
【0024】低コストな固化条件で得られた紡糸原糸を
高温高倍率で熱延伸し、PVA系ポリマー分子を配向結
晶化させて高強力なPVA系繊維とする。熱延伸は、好
ましくは210℃以上、さらに好ましくは220〜25
5℃の範囲内で全延伸倍率(すなわち湿延伸倍率と熱延
伸倍率の積)が13倍以上、好ましくは15倍以上とな
るように実施する。熱延伸は、乾熱条件でもシリコンな
どの熱媒浴中でも、高温蒸気中などの湿熱中であっても
よい。また温度を多段に制御し後段にいくほど高温とな
るような多段条件下で行ってもよい。さらに必要に応じ
て、熱処理や熱収縮処理を施してもよい。
【0025】以上のように、回収溶媒量を少なくして低
コストな固化条件を採用しても、第1ゴデットローラー
までの相分離構造を促進してやり、固化糸の微結晶密度
を適度に小さくしてやること、すなわち固化浴温度を1
0℃以上としてやること、さらにこのような固化糸を全
延伸倍率が13倍以上と言った熱延伸を行うことによっ
て、強度の高いPVA系繊維を安定に製造することに成
功したものである。
【0026】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】実施例1 粘度平均重合度が1740、ケン化度が99.9モル%
のPVAを22.5重量%となるようにDMSOに添加
し、110℃にて窒素雰囲気下7時間溶解した。得られ
た紡糸原液を130℃とし、孔径0.10mm、孔数3
000のノズルより、25℃のメタノール/DMSO=
45/55の重量比よりなる固化浴中に湿式紡糸し、第
1ゴデットローラーまでの固化浴浸漬時間を12秒と
し、第1ゴデットローラーに引き取った。この際のバス
ドラフトは0.30であった。
【0028】得られた固化糸篠をメタノール浴に浸漬
し、DMSOを抽出するとともに、3.5倍の湿延浸を
施し、100℃熱風で乾燥し、紡糸原糸を得た。この時
の回収溶媒量は6.3kg/PVA−kgであり、これ
は[(1740/290)+6=12]より小さかっ
た。また紡糸原糸の分子配向度は0.66であった。次
いでこの紡糸原糸を180℃−200℃−235℃の温
度勾配を有する熱風炉中で全延浸倍率が18倍となるよ
う熱延伸した。得られたヤーンの強度は16.2g/d
で優れた強度の繊維が得られた。以上のPVA繊維の製
造方法を3日間にわたり連続して行ったところ、断糸は
起こらず、安定に上記性能のPVA繊維を継続して得る
ことができた。
【0029】実施例2 粘度平均重合度が4310、ケン化度が99.9モル%
のPVAを17重量%、メタノール3重量%、DMSO
80重量%の組成で110℃にて窒素雰囲気下8時間溶
解した。得られた紡糸原液を140℃とし、孔径0.1
2mm、孔数3000のノズルより20℃のメタノール
/DMSO=35/65の重量比よりなる固化浴中に湿
式紡糸し、第1ゴデットローラーまでの固化浴浸漬時間
を15秒として第1ゴデットローラーに引き取った。こ
の際のバスドラフトは0.28であった。
【0030】得られた固化糸篠をメタノール浴に浸漬
し、DMSOを抽出するとともに、3.5倍の湿延伸を
施し、100℃熱風で乾燥し紡糸原糸を得た。このとき
の回収溶媒量は7.5kg/PVA−kgであり、これ
は[(4310/290)+6=20.9]より小さか
った。また紡糸原糸の分子配向度は0.68であった。
次いでこの紡糸原糸を180℃−210℃−245℃の
温度勾配を有する熱風炉中で全延浸倍率が17倍となる
よう熱延伸した。得られたヤーンの強度は18.7g/
dで非常に優れた強度の繊維が得られた。以上のPVA
繊維の製造方法を3日間にわたり連続して行ったとこ
ろ、断糸は起こらず、毛羽はほとんど見られず、安定に
上記性能のPVA繊維を継続して得ることができた。
【0031】比較例1 実施例1のPVAを15重量%となるようにDMSOに
添加し、実施例1と同様に溶解し、紡糸原液を得た。こ
れを70℃とし、孔径0.11mm、孔数3000のノ
ズルより2℃のメタノール/DMSO=75/25の重
量比よりなる固化浴中に湿式紡糸し、第1ゴデットロー
ラーまでの固化浴浸漬時間を6秒として第1ゴデットロ
ーラーに引き取った。得られた固化糸篠を実施例1と同
様にして、紡糸原糸、熱延伸糸を得た。得られたヤーン
の強度は13.8g/dであった。また回収溶媒量は2
2.7kg/PVA−kgであり、溶媒回収費が大きく
なりすぎて商業的生産には問題となる。なおこの比較例
において紡糸原糸の分子配向度は0.77であった。
【0032】比較例2 実施例1と同じ紡糸原液を用いて、固化浴温度を5℃と
する以外は実施例1と同様の湿式紡糸を行い、得られた
固化糸篠を実施例1と同様に湿延伸、熱延伸を施したと
ころ、全延伸倍率15倍しかできず、得られたヤーンの
強度は11.8g/dと実施例1に比べて非常に低く、
紡糸原糸の分子配向度は0.78で、固化糸の微結晶密
度が高すぎることを示唆している。
【0033】比較例3 比較例2の紡糸原糸の熱延伸倍率が実施例1と比べて低
かったので、熱延伸条件を変更してみた。熱延伸温度を
高くすると熱延伸倍率が若干高くなるもののヤーン強度
は11.5g/dと比較例2の場合と殆ど変わりがなか
った。他に色々と熱延伸条件を変更検討してみたが、得
られる繊維のヤーン強度は殆ど変わらなかった。
【0034】
【発明の効果】本発明の高強度PVA系繊維の製造方法
では、従来の湿式紡糸方法より回収溶媒量を大幅に低減
した低コストな固化条件で、かつ固化浴温度を10℃以
上にすることにより、さらに紡糸原糸の分子配向度を相
分離進行により低く設定することにより、従来の湿式紡
糸はもちろん、乾式や乾湿式紡糸方法よりも安価に安定
に大量の高強度PVA系繊維を提供することを可能にし
たものである。したがって、本発明により得られた高強
度PVA系繊維は、従来法のPVA系繊維や他の繊維素
材と比べてコストパフォーマンスに優れており、ゴム資
材分野やセメント成型品分野やFRPの分野などの補強
材の分野などに広く用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉持 駛視 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 大森 昭夫 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール系ポリマーの有機
    溶媒溶液を、該ポリマーに対して固化能を有する有機溶
    媒を含有する固化浴中に湿式紡糸し、得られる固化糸篠
    を湿延伸し、さらに得られる紡糸原糸を乾熱延伸してポ
    リビニルアルコール系繊維を製造するにあたり、回収溶
    媒量(A)がA≦(B/290)+6を満足し、かつ固
    化浴温度が10℃以上であることを特徴とするポリビニ
    ルアルコール系繊維の製造方法。但し、Aは第一浴から
    の回収溶媒量(kg/ポリビニルアルコール系ポリマー
    −kg)、Bはポリビニルアルコール系ポリマーの粘度
    平均重合度を意味する。
  2. 【請求項2】 湿延伸後で乾熱延伸前の紡糸原糸の分子
    配向度αが0.50以上0.75以下である請求項1に
    記載の製造方法。
JP21165795A 1995-08-21 1995-08-21 ポリビニルアルコール系繊維の製造方法 Pending JPH0959819A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103031611A (zh) * 2011-09-30 2013-04-10 中国石油化工集团公司 一种聚乙烯醇纤维及其制备方法和应用

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CN103031611A (zh) * 2011-09-30 2013-04-10 中国石油化工集团公司 一种聚乙烯醇纤维及其制备方法和应用

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