JPH0959590A - 感熱性粘着剤および感熱性粘着シート - Google Patents

感熱性粘着剤および感熱性粘着シート

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JPH0959590A
JPH0959590A JP21885595A JP21885595A JPH0959590A JP H0959590 A JPH0959590 A JP H0959590A JP 21885595 A JP21885595 A JP 21885595A JP 21885595 A JP21885595 A JP 21885595A JP H0959590 A JPH0959590 A JP H0959590A
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JP
Japan
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sensitive adhesive
heat
adhesive
cps
weight
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JP21885595A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Ohashi
弘幸 大橋
Yoko Ishikawa
陽子 石川
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間にわたって保存しても特定の粘着剤成分
が沈降、凝集し難いために、感熱性粘着シートを安定し
て生産することを可能とする感熱性粘着剤を提供する。 【解決手段】熱可塑性樹脂と固体可塑剤を主成分とする
感熱性粘着剤中に、アクリル系増粘剤を含有せしめたこ
とを特徴とする感熱性粘着剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温では非粘着性
であるが、加熱することにより粘着性が現れる感熱性粘
着剤及び該感熱性粘着剤を基材に塗布し乾燥して得た感
熱性粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、清涼飲料水、酒類、薬品瓶等のガ
ラス瓶などへのラベル貼着は、基材の裏面にカゼインや
デンプン等の水溶性接着剤を設けたラベルを自動ラベラ
ー等により貼着する方法、或いは上紙、粘着剤層、剥離
シートを順次積層した構成の一般的な粘着シートのラベ
ルを自動ラベラー等を使用して貼着する方法が採られて
いる。しかし、水溶性接着剤を設けたラベルは、基材の
裏面に水溶性接着剤を塗布するとラベルがカールを生
じ、ガラス瓶へ貼着後ラベルに皺や浮きが発生しラベル
不良となり美観を損なうという問題があった。
【0003】一方、一般的な構成の粘着シートのラベル
は通常剥離シートを剥離して使用しているが、剥離され
た剥離シートは回収されて再利用され難く、ほとんどの
場合廃棄処分にされている。近年では省資源や環境問題
等が注目され始めており、剥離シートを必要としない感
熱性粘着シートが注目されてきた。
【0004】一般的に感熱性粘着シートは、基材の片面
に感熱性粘着剤を塗布した構成であり、通常、基材の他
面に印刷などを行いラベルとして使用している。感熱性
粘着剤は、常温では非粘着性であるが、加熱装置の設け
られたラベラーやオーブン等で加熱すると活性化され粘
着性が発現する。通常、活性化温度は50℃〜150℃
であり、この温度領域で感熱性粘着剤中の固体可塑剤が
溶融し始め熱可塑性樹脂に粘着性を与えるのである。そ
して溶融した固体可塑剤はゆっくりと結晶化するため粘
着性は長時間持続されるので粘着性を有している間にガ
ラス瓶等に貼着して使用されている。
【0005】感熱性粘着シートは、加熱装置の設けられ
たラベラー等で連続してガラス瓶に貼着しても、前記の
ラベル裏面に水溶性接着剤を塗布してガラス瓶に貼着す
る方法のようなラベル不良という問題はない。また、前
記の一般的な粘着シートのように剥離シートを使用しな
いためコスト的にも安く生産できるという利点があり、
省資源、環境問題の観点からも有利である。
【0006】しかしながら、感熱性粘着シートは、巻き
取り状態や、シートを何枚か重ねた状態で保管されるこ
とが多く、この場合、常温より温度が高い条件下になっ
てしまうとブロッキングを生じるという問題がある。通
常、固体可塑剤は感熱性粘着剤塗布面に露出した状態で
存在しており、巻き取りやシートを何枚も重ねた状態で
保管する場合には、感熱性粘着剤塗布面と印刷面である
基材表面が密着することを防止する効果がある。たとえ
ば、感熱性粘着剤の固体可塑剤の平均粒子径を大きくす
ることでブロッキングを防止する方法(特開昭62−1
64777号公報)等が提案されている。
【0007】しかし、固体可塑剤の平均粒子径を大きく
すると、感熱性粘着シートを安定した品質で生産するこ
とが困難となるという新たな問題が生じた。これは、感
熱性粘着剤を長期間にわたって保存すると、特定の粘着
剤成分が沈降し、凝集を開始する。このような特定の粘
着剤成分が沈降や凝集を生じた粘着剤を基材に塗布する
と、粘着剤の組成比が変化したり、粘着剤塗布層中で特
定の粘着剤成分が偏在してしまう。また、粘着剤成分が
沈降や凝集を生じていない場合でも、粘着剤を基材に塗
布する間に同様の現象が起こることがある。その結果、
感熱性粘着剤層が均一な層とならず、接着機能の低下を
まねくため、目的とする品質が得られなくなる。このよ
うな問題は、固体可塑剤として平均粒子径が2μm以上
のものを採用したことによるためと思われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、耐ブロ
ッキング性に優れ、且つ、長期間にわたって保存しても
特定の粘着剤成分が沈降、凝集し難いために、感熱性粘
着シートを安定して生産することを可能とする感熱性粘
着剤、及び、感熱性粘着剤を基材の片面に塗布し乾燥し
て得た感熱性粘着シートを提供するために、研究を行っ
た結果、感熱性粘着剤の粘度を特定の範囲に調節するこ
とで、長期間にわたる保存の際や感熱性粘着剤を基材に
塗布する際に、特定の粘着剤成分が沈降、凝集、或いは
偏在化することを防ぐことができることを見いだし、先
に出願した(特願平7−174581号)。
【0009】しかし、粘度を調節するために使用する増
粘剤によっては、増粘効果が不十分である場合があり、
増粘剤の量を増やして十分な粘度を得ようとすると、極
端に接着力が低下したり、或いは感熱性粘着剤塗布面の
表面強度が弱くなったりするなどの問題が生じることが
わかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、感熱性粘
着剤に添加する増粘剤について、鋭意研究の結果、アク
リル系増粘剤を用いた場合、添加量を増やしても極端な
接着力の低下をきたすことなく、また粘度の調節も容易
であることがわかった。更に、増粘剤を含有する感熱性
粘着剤を基材に塗布・乾燥した場合、粘着剤によっては
感熱性粘着剤塗布面の表面強度が弱くなるが、アクリル
系増粘剤を使用すると、予想に反して、感熱性粘着剤塗
布面の表面強度が強くなることもわかった。
【0011】.本発明は、熱可塑性樹脂と固体可塑剤
を主成分とする感熱性粘着剤中に、アクリル系増粘剤を
含有せしめたことを特徴とする感熱性粘着剤である。
【0012】また、感熱性粘着剤の25℃におけるブル
ックフィールド粘度を2000cps〜30000cp
s(6rpm)に調製することにより、長期間にわたる保存
の際や感熱性粘着剤を基材に塗布する際に、特定の粘着
剤成分が沈降、凝集、或いは偏在化することを防ぎ、し
かも、容易に感熱性粘着剤を基材に塗布することが可能
となる。
【0013】.即ち、本発明は、感熱性粘着剤の25
℃におけるブルックフィールド粘度が2000cps〜
100000cps(6rpm)であるに記載の感熱性粘
着剤である。
【0014】更に、かかるアクリル系増粘剤を有する感
熱性粘着剤に、モンモリロナイト粘土鉱物を添加する
と、粘着剤がチキソトロピー性を有し、塗布する際の流
動性が向上することを見いだした。
【0015】.即ち、本発明は、増粘剤として、更に
モンモリロナイト粘土鉱物を併用する又はに記載の
感熱性粘着剤である。
【0016】
【発明の実施の形態】アクリル系増粘剤としては、(メ
タ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル
を主成分とする共重合体からなる増粘剤である。(メ
タ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル
としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−
ヒドロキシメチルアクリレート等のアルキル基炭素数が
1〜5個のアクリル酸エステル、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシメチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等
のアルキル基炭素数が1〜5個のメタクリル酸エステ
ル、或いは次の一般式: CH2 =C(R)COO(CH2 CH2 O))n−R’ (式中:Rは水素又はメチル基、nは少なくとも1個以
上、R’は炭素原子が5〜30個の疎水基)によって示
されるアルキルポリエチレングリコールモノエーテルの
(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、これらの1
種類又は2種類以上を重合させて得た共重合体からな
る。このアクリル系増粘剤は、単独で使用してもよい
し、併用してもよい。
【0017】アクリル系増粘剤は、感熱性粘着剤に添加
をした場合、接着力の低下をきたすことなく、容易に粘
度の調節でき、しかも基材に塗布・乾燥した場合、表面
強度が強い感熱性粘着剤塗布面が得られるものである。
【0018】アクリル系増粘剤の感熱性粘着剤に対する
添加量は、粘着剤の種類、増粘剤の種類などによって異
なるので一概にいえないが、感熱性粘着剤の25℃にお
けるブルックフィールド粘度が2000cps〜100
000cps(6rpm)の範囲となるように添加すると、
長期保存性に優れるのでよい。因みに、2000cps
未満となると、固体可塑剤が沈降し、また凝集を開始
し、安定した粘着剤組成比の粘着剤組成物とならず、基
材に塗布して得られた感熱性粘着シートは接着力が不十
分といった品質の悪いものとなる。一方、100000
cpsを越えるような高粘度にすると感熱性粘着剤組成
物の流動性が失われ、その調製や取扱いが困難になる。
また、経済性にも乏しい。本発明は、感熱性粘着剤を保
存するにあたり、上記のような粘度領域に調製しておく
ことにより、均質な感熱性粘着シートが得られるもので
ある。
【0019】本発明は、増粘剤にアクリル系増粘剤を使
用するものであるが、増粘形態の異なる他の増粘剤成分
を本発明の作用効果を損なわない範囲で併用してもよ
い。併用してもよい増粘剤としては、例えば炭酸マグネ
シウム,シリカ,マイカ,アルミナ,モンモリロナイト
粘土鉱物等の無機顔料、カルボキシメチルセルロール,
メチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒド
ロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体、カゼイン,
カゼイン酸ソーダ,カゼイン酸アンモニウム等のタンパ
ク質、ポリウレタン系ポリマー,アルギン酸系ポリマ
ー,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,ポ
リビニルエーテルマレイン酸,ポリビニルベンジルエー
テル共重合体等のポリビニル系ポリマー、プルロニック
ポリエーテル,ポリエーテルポリカルボン酸,ポリエー
テルジアルキルエステル,ポリエーテルジアルキルエー
テル,ポリエーテルウレタン変性物,ポリエーテルエポ
キシ変性物等のポリエーテル系ポリマーなどがある。
【0020】因みに、これらの増粘剤を単独使用する
と、無機顔料系の場合、増粘効果が不十分となりやす
く、また十分に粘度を得るために増粘剤の量を増やす
と、基材に塗布したときに感熱性粘着剤塗布面の表面強
度が弱くなったり、熱活性化したときの粘着性が低下し
たりする等の問題を生じやすい。繊維素誘導体系、ポリ
ウレタン系、ポリビニルピロリドンを除くポリビニル
系、ポリエーテル系等の場合は、無機顔料系程ではない
が増粘効果が不十分になり、増粘剤の量を増やすと熱活
性化したときの粘着性が低下することがあるためアクリ
ル系増粘剤を用いた場合に比べ劣る。また、タンパク質
系、ポリビニル系のポリビニルピロリドン等は感熱性粘
着剤との相溶性や安定性が悪くなるために使用できな
い。本発明で使用するアクリル系増粘剤は、その使用量
を増やしても接着力の低下をきたすことなく、感熱性粘
着剤塗布面の表面強度が強くなるので、粘度調節が容易
に行うことができる。
【0021】更に、アクリル系増粘剤に無機顔料系の増
粘剤であるモンモリロナイト粘土鉱物を併用すると、粘
着剤がチキソトロピー性を有し、塗布する際の流動性が
向上するので、特に好ましい。上記のモンモリロナイト
粘土鉱物とは、バイデライト、ヘクトライト、モンモリ
ロナイトそのもの、ノントロナイト、サポナイト及びベ
ントナイト等の粘土及びこれらのモンモリロナイト粘土
鉱物と他の粘土鉱物との混合物からなる粘土鉱物を指
す。アクリル系増粘剤とモンモリロナイト粘土鉱物の配
合の割合は特に限定されないが、アクリル共重合体10
0固体重量部に対して10〜500固体重量部程度であ
る。両者は、それぞれを感熱性粘着剤に添加してもよい
が、予め混ぜ合わせた状態で添加することもできる。
【0022】本発明の感熱性粘着剤に使用される熱可塑
性樹脂の種類としては、酢酸ビニル−エチレン−スチレ
ン共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニ
ル−エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−アク
リル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−アク
リル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合
体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−
イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられ
る。これらの熱可塑性樹脂は単独又は複数併用して用い
られる。
【0023】また、熱可塑性樹脂のガラス転移温度につ
いては−35℃〜80℃の範囲であり、より好ましくは
−10℃〜70℃である。熱可塑性樹脂のガラス転移温
度が−35℃未満であると常温でも粘着性を有してしま
い耐ブロッキング性に劣るという問題がある。また80
℃を越えると感熱性粘着剤として基材に塗布したとき、
感熱性粘着剤塗布面の表面強度が弱くなりラベルとして
使用するときに印刷適性が劣るという問題がある。
【0024】本発明の感熱性粘着剤に使用される固体可
塑剤の種類としては、フタル酸ジヘキシル(融点65
℃)、フタル酸ジシクロヘキシル(融点63〜65
℃)、フタル酸ジヒドロアビエチル(融点65℃)、イ
ソフタル酸ジメチル(融点66〜67℃)、N−シクロ
ヘキシル−p−トルエンスルホンアミド(融点86
℃)、安息香酸スクロース(融点98℃)、二安息香酸
エチレングリコール(融点70℃)、三安息香酸トリメ
チロールエタン(融点73℃)、四安息香酸ペンタエリ
トリット(融点95℃)、八酢酸スクロース(融点89
℃)、クエン酸トリシクロヘキシル(融点57℃)等融
点が50〜100℃のものを使用することが好ましい融
点が50℃未満であると耐ブロッキング性に劣り、10
0℃を越えると加熱活性化されにくいという問題があ
る。固体可塑剤は、加熱活性化時に融点以上で融解し熱
可塑性樹脂を可塑化するため、感熱性粘着剤として粘着
性を与えるが、粘着性の持続時間は固体可塑剤によって
異なる。粘着性を有している時間を長くする場合にはフ
タル酸ジシクロヘキシルを使用することが好ましい。ま
た、固体可塑剤は単独で使用しても良いし、併用しても
良い。
【0025】また、固体可塑剤の平均粒子径は2〜10
μmが好ましい。因みに平均粒子径が2μm未満である
と耐ブロッキング性が劣りやすく、10μmを越えると
加熱活性化してラベルとして使用するとき固体可塑剤が
溶融するのに時間がかかり感熱性粘着剤として粘着性が
現れにくいからである。
【0026】固体可塑剤を上記した平均粒子径にする方
法としては、上記した固体可塑剤と分散剤と水を混合し
てボールミル、サンドミル等により適宜粉砕処理され
る。分散剤としては、例えば、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アク
リル酸誘導体、スルホン酸誘導体、無水マレイン酸誘導
体、ゼラチン等の各種水溶性高分子やアニオン性界面活
性剤、ノニオン性界面活性剤等の各種界面活性剤が単独
又は併用で使用できる。固体可塑剤と分散剤との混合比
は固体可塑剤100固体重量部に対して分散剤0.5〜
10固体重量部が好ましい。より好ましくは1〜5固体
重量部である。分散剤が0.5固体重量部未満の場合は
水に対する固体可塑剤の分散が不十分であり微細化され
た一次粒子が再凝集を起こしてしまう。また、10固体
重量部を越えると接着性能を低下させるという問題があ
る。
【0027】感熱性粘着剤として、熱可塑性樹脂、固体
可塑剤の他に、更にロジン系粘着付与剤、フェノール樹
脂系粘着付与剤、テルペン樹脂系粘着付与剤、キシレン
系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤等の粘着付与剤を
含有せしめて接着機能を調整してもよい。
【0028】感熱性粘着剤における熱可塑性樹脂及び固
体可塑剤の配合比は、熱可塑性樹脂100固体重量部に
対して固体可塑剤の合計が50〜300固体重量部であ
る。因みに、固体可塑剤の合計が50固体重量部未満で
あると、感熱性粘着剤としての粘着性が現れにくく接着
機能が劣るという問題がある。固体可塑剤の合計が30
0固体重量部を越えての使用は感熱性粘着剤として粘着
性の持続時間が短くなるという問題がある。
【0029】本発明に使用されるアクリル系増粘剤の配
合比は感熱性粘着剤の25℃におけるブルックフィール
ド粘度が2000cps〜100000cps(6rpm)
の範囲となるように添加するとよく、熱可塑性樹脂10
0固体重量部に対してアクリル系増粘剤0.1〜20固
体重量部程度が目安である。アクリル系増粘剤が0.1
固体重量部未満であると本発明の所望とする効果が得ら
れにくいし、20固体重量部以上になると粘度が必要以
上に高くなるため経済性に乏しい。また、粘着付与剤を
含有せしめる場合は熱可塑性樹脂100固体重量部に対
して、粘着付与剤を10〜150固体重量部配合するこ
とが好ましい。粘着付与剤が10固体重量部未満の場合
は接着機能を高める効果に乏しく、150固体重量部を
越えると耐ブロッキング性に劣るという問題がある。
【0030】このようにして得られた増粘剤を含む感熱
性粘着剤は、25℃におけるブルックフィールド粘度が
2000cps〜100000cps(6rpm)の範囲で
あると長期保存性に優れるのでよいが、基材に塗工する
場合は、25℃におけるブルックフィールド粘度を20
00cps〜30000cps、好ましくは3000c
ps〜15000cps(6rpm)に調節してから行うこ
とが好ましい。因みに、2000cps未満となると、
接着力が不十分といった品質の悪い感熱性粘着シートに
なってしまう。また、3000cps未満でも、固体可
塑剤が沈降する傾向があるので、2000cps以上、
好ましくは3000cps以上の粘度に感熱性粘着剤を
調製すると良い。
【0031】一方、30000cpsを越えるような粘
度の場合、安定した粘着剤組成比ではあるが、高粘度の
ため基材への塗布が困難となり、得られた感熱性粘着シ
ートは均質なものが得られず品質の悪いものとなる。な
お、15000cpsを越えると、塗布が困難になる傾
向があるので、30000cps以下、好ましくは15
000cps以下の粘度に感熱性粘着剤を調製すると良
い。なお,30000cpsを越えるような粘度の場
合、例えば、感熱性粘着剤の濃度を下げる、或いは固体
可塑剤の融点以下の範囲、好ましくは50℃以下の範囲
で加熱するなどの方法により粘度を調節することができ
る。
【0032】感熱性粘着剤の塗布量については、乾燥重
量で5〜50g/m2 が好ましい。より好ましくは10
〜30g/m2 である。因みに塗布量が5g/m2 未満
であると、ラベルとして使用する際十分な接着機能が得
られずラベルとして使用できないという問題がある。一
方、50g/m2 を越えることは感熱性粘着剤を加熱活
性化させるのに時間がかかり、また、接着機能が飽和し
経済性に乏しい。
【0033】感熱性粘着剤を基材上に塗布する方法とし
ては、ハケ塗り、スプレー塗布、スクリーン印刷、グラ
ビア印刷、オフセット印刷、活版印刷、メイヤーバーコ
ーター、キスロールコーター、リップコーター、ダイレ
クトロールコーター、オフセットロールコーター、グラ
ビアロールコーター、リバースロールコーター、ロッド
コーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター等
の各種公知の塗布装置によって行われる。
【0034】尚、塗布時の感熱性粘着剤の温度は使用す
る固体可塑剤の融点より低い温度でなければならない。
固体可塑剤の融点より高い温度にすると、固体可塑剤が
溶融し感熱性粘着剤層が粘着性を有するようになるから
である。一般的には粘着剤の温度は、50℃以下である
ことが好ましい。
【0035】なお、乾燥は塗布を行う上記の装置に組み
合わせた従来の方法で行うことができる。乾燥の際は、
使用する固体可塑剤の融点より低い温度で行わなければ
ならない。固体可塑剤の融点より高い温度で乾燥する
と、乾燥中に固体可塑剤が溶融し感熱性粘着剤層が粘着
性を有するようになるからである。以上の理由から一般
的に乾燥温度は、50℃以下であることが好ましい。
【0036】本発明の感熱性粘着剤を塗布する基材の材
質としては、紙類、合成紙、フィルム類、金属フォイル
類、不織布、織布等、さらにこれらを適宜積層したシー
トが挙げられる。勿論これらの基材の表面に、感熱記録
層、感圧記録層、熱転写受像層、インクジェット記録
層、顔料塗被層等の各種層が設けられていても構わな
い。一方、感熱性粘着剤が塗布される面には、強度を補
強したり、感熱性粘着剤が基材の中へ浸透し粘着機能が
低下するのを防ぐためのバリアー層を設けてもよい。ラ
ベルとして使用する場合は、印刷適性等が必要とされ
る。特に、清涼飲料水、酒類、薬品瓶等のような液体の
入ったガラス瓶に貼着するラベルとして使用する場合
は、耐水性に優れた基材を使用する事が好ましい。ま
た、感熱性粘着剤層にインキ等を添加して感熱性粘着剤
に着色したり、熱膨張性微球体を含有させて接着機能を
調整してもよい。
【0037】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をより具体的に
説明するが、もちろんこれらに限定するものではない。
なお、実施例における「重量部」は特に指定しない限り
「固体重量部」のことを示す。
【0038】〔固体可塑剤の調製〕 固体可塑剤(1) フタル酸ジシクロヘキシル(融点64.7℃,大阪有機
化学工業株式会社製)100重量部、分散剤としてノニ
オン性界面活性剤(商品名:ノイゲンEA−120,第
一工業製薬株式会社製)5重量部と水を均一に混合して
濃度を62%としボールミルを用いて平均粒子径5.5
μmになるまで粉砕した。
【0039】固体可塑剤(2) N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド(融
点86℃,Lancaster社製)100重量部、分
散剤としてノニオン性界面活性剤(商品名:ノイゲンE
A−120,第一工業製薬株式会社製)5重量部と水を
均一に混合して濃度を62%としボールミルを用いて平
均粒子径1.5μmになるまで粉砕した。
【0040】〔感熱性粘着剤の調製〕 実施例1 熱可塑性樹脂としてガラス転移温度が20℃のエチレン
−塩化ビニル共重合体(商品名;「スミエリート 12
10」,住友化学工業株式会社製)100重量部に対し
固体可塑剤(1)250重量部とアクリル系増粘剤A
(商品名;「プライマルASE−60」,ローム・アン
ド・ハース社製)1.5重量部よりなる固形分濃度50
%の感熱性粘着剤を調製した。この感熱性粘着剤の25
℃における6rpmでのブルックフィールド粘度は48
00cpsであった。 〔感熱性粘着シートの作成〕米坪84.9g/m2 の両
面アート紙(商品名;「S金両<73>」,新王子製紙
株式会社製)の片面にリバースロールコーターを用い
て、上記で得られた感熱性粘着剤を乾燥重量で28g/
2 塗布、乾燥し感熱性粘着シートを得た。
【0041】実施例2 実施例1において、アクリル系増粘剤Aを3.5重量部
添加した以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シー
トを得た。なお、感熱性粘着剤の25℃における6rp
mでのブルックフィールド粘度は18000cpsであ
った。
【0042】比較例1 実施例1において、アクリル系増粘剤Aを0.5重量部
添加した以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シー
トを得た。なお、感熱性粘着剤の25℃における6rp
mでのブルックフィールド粘度は1500cpsであっ
た。
【0043】比較例2 実施例1において、アクリル系増粘剤Aを添加しなかっ
た以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを得
た。なお、感熱性粘着剤の25℃における6rpmでの
ブルックフィールド粘度は60cpsであった。
【0044】実施例3 実施例1において、アクリル系増粘剤Aの代わりにアク
リル系増粘剤B(商品名;「ステロコールSL」,BA
SF社製)を1.5重量部添加した以外は、実施例1と
同様にして感熱性粘着シートを得た。なお、感熱性粘着
剤の25℃における6rpmでのブルックフィールド粘
度は3600cpsであった。
【0045】実施例4 実施例1において、アクリル系増粘剤Aの代わりにアク
リル系増粘剤B2.5重量部とベントナイト粘土分散液
6重量部の混合物を使用した以外は、実施例1と同様に
して感熱性粘着シートを得た。なお、感熱性粘着剤の2
5℃における6rpmでのブルックフィールド粘度は8
100cpsであった。
【0046】比較例3 実施例1において、アクリル系増粘剤Aの代わりにベン
トナイト粘土分散液6重量部を使用した以外は、実施例
1と同様にして感熱性粘着シートを得た。なお、感熱性
粘着剤の25℃における6rpmでのブルックフィール
ド粘度は3100cpsであった。
【0047】実施例5 実施例4で調製した感熱性粘着剤に、更にロジン系粘着
付与剤(商品名;「スーパーエステルE−710」,荒
川化学工業株式会社製)50重量部を添加して固形分濃
度45%の感熱性粘着剤を得た以外は、実施例1と同様
にして感熱性粘着シートを得た。なお、感熱性粘着剤の
25℃における6rpmでのブルックフィールド粘度は
6300cpsであった。
【0048】比較例4 実施例5において、アクリル系増粘剤Bの代わりにポリ
ビニルエーテルマレイン酸系増粘剤(商品名;「ビスマ
ルYK−1」,東邦化学工業株式会社製)3.5重量部
を添加した以外は、実施例5と同様にして感熱性粘着シ
ートを得た。なお、感熱性粘着剤の25℃における6r
pmでのブルックフィールド粘度は11000cpsで
あった。
【0049】実施例6 〔感熱性粘着剤の調製〕実施例5において、アクリル系
増粘剤Bの代わりにアクリル系増粘剤C(商品名;「プ
ライマルASE−1000」,ローム・アンド・ハース
社製)を4.5重量部添加した以外は、実施例5と同様
にして感熱性粘着剤を調製した。この感熱性粘着剤の2
5℃における6rpmでのブルックフィールド粘度は3
3000cpsであった。 〔感熱性粘着シートの作成〕上記感熱性粘着剤を固形分
濃度40%に希釈して用いた以外は、実施例1と同様に
して感熱性粘着シートを得た。なお、このときの感熱性
粘着剤の25℃における6rpmでのブルックフィール
ド粘度は4900cpsであった。
【0050】実施例7 実施例1において、アクリル系増粘剤Aの代わりにアク
リル系増粘剤D(商品名;「プライマルASE−100
0」,ローム・アンド・ハース社製)を1重量部添加し
た以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを得
た。なお、感熱性粘着剤の25℃における6rpmでの
ブルックフィールド粘度は2400cpsであった。
【0051】実施例8 〔感熱性粘着剤の調製〕熱可塑性樹脂としてガラス転移
温度が9℃のSBR(商品名;「P4626」,住友ダ
ウ株式会社製)100重量部に対し固体可塑剤(2)1
50重量部とアクリル系増粘剤C(商品名;「プライマ
ルTT−935」,ローム・アンド・ハース社製)2.
5重量部よりなる固形分濃度55%の感熱性粘着剤を調
製した。この感熱性粘着剤の25℃における6rpmで
のブルックフィールド粘度は12000cpsであっ
た。 〔感熱性粘着シートの作成〕上記感熱性粘着剤を用いた
以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを得
た。
【0052】「評価」得られた感熱性粘着剤について静
置安定性、感熱性粘着シートの生産適性、及び、感熱性
粘着シートについて接着機能、表面強度を評価し、その
結果を表1に示した。尚、得られた感熱性粘着シートは
いずれも耐ブロッキング性が優れたものであった。
【0053】〔静置安定性〕感熱性粘着剤を高さが50
cmの透明な容器に入れ、25℃で24時間静置し、粘着
剤成分の沈降状況を目視評価した。 ◎:粘着剤成分の沈降がほとんど見られない。 ○:粘着剤成分の沈降が見られるが、実用上問題がな
い。 △:粘着剤成分が沈降し、実用上問題がある。 ×:粘着剤成分の沈降がひどく、使用できない。
【0054】〔生産適性〕前記した方法で感熱性粘着剤
を両面アート紙に塗布する際に、塗布量の制御しやすさ
と塗布面の均一性を評価した。 ◎:塗布量を制御しやすく、均一な塗布面が簡単に得ら
れる。 ○:塗布量を制御しにくいか、又は、均一な塗布面が得
難い。 ×:塗布量の制御が困難で、均一な塗布面を得ることが
できない。
【0055】〔接着機能〕感熱性粘着シートを120℃
に加熱したオーブンで15秒間加熱活性化し、加熱活性
化3分後、ガラス板に貼着した。2時間後、180℃の
角度で0.3m/minのスピードで接着力を測定し、
下記の基準で判断した。 ◎:接着力が800g/25mm以上であり、接着力に
優れる。 ○:接着力が400g/25mm以上であり、実用上問
題がない。 ×:接着力が400g/25mm未満であり、実用上問
題がある。
【0056】〔表面強度〕RI−1型印刷試験機(明製
作所製)でシートオフセット用インキ(大日本インキ化
学工業製,Graf−G墨)0.6ccを用いて感熱性
粘着シートの感熱性粘着剤塗布面を2回印刷し、感熱性
粘着剤塗布面の状態を以下の基準に準じて観察、判定を
行った。 ◎:表面強度に優れ、感熱性粘着剤塗布面の剥けがまっ
たくない。 ○:感熱性粘着剤塗布面の剥けがわずかに見られるが、
実用上問題ない。 ×:感熱性粘着剤塗布面の剥けが著しい。
【0057】〔総合評価〕感熱性粘着剤について静置安
定性、感熱性粘着シートの生産適性、及び、感熱性粘着
シートについて接着機能、表面強度を評価した結果よ
り、品質の優れるものを◎、実用上問題のないものを
○、実用上やや問題のあるものを△、実用上問題のある
ものを×として総合評価を行った。これらの結果を表1
に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1の結果から明らかなように、アクリル
系増粘剤を用いた各実施例の感熱性粘着剤は静置安定性
及び生産適性に優れたものであり、また感熱性粘着シー
トは、接着機能、表面強度ともに優れたものである。実
施例1と実施例2を比較すると、アクリル系増粘剤の使
用量を増やすと粘着剤層の表面強度が増すことがわか
る。実施例4は、アクリル系増粘剤とベントナイト粘土
(モンモリロナイト粘土鉱物)を併用した実施例であ
る。実施例3と比較すると表1より接着機能が少し低下
していることがわかるが、感熱性粘着剤の状態が他の実
施例に比べ、チキソトロピー性を有しているので、取り
扱い性に優れるものであった。実施例5は、実施例4の
感熱性粘着剤にロジン系粘着付与剤を加えた例であり、
接着機能が向上するので特に好ましい例である。比較例
4は、アクリル系増粘剤の代わりにポリビニルエーテル
マレイン酸系増粘剤を用いたものであるが、実施例5と
比較して接着機能が極端に低下することがわかる。
【0060】
【発明の効果】このように、本発明は、接着機能や耐ブ
ロッキング性、表面強度に優れた感熱性粘着性シートで
あり、また、静置安定性に優れ、このような優れた感熱
性粘着性シートを安定して生産することができる感熱性
粘着剤であった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂と固体可塑剤を主成分とする
    感熱性粘着剤中に、アクリル系増粘剤を含有せしめたこ
    とを特徴とする感熱性粘着剤。
  2. 【請求項2】感熱性粘着剤の25℃におけるブルックフ
    ィールド粘度が2000cps〜100000cps
    (6rpm)である請求項1記載の感熱性粘着剤。
  3. 【請求項3】増粘剤として、更にモンモリロナイト粘土
    鉱物を併用する請求項1又は請求項2に記載の感熱性粘
    着剤。
  4. 【請求項4】表面基材に、請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の感熱性粘着剤を有する層を設けた感熱性粘着シ
    ート。
JP21885595A 1995-08-28 1995-08-28 感熱性粘着剤および感熱性粘着シート Pending JPH0959590A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002140009A (ja) * 2000-10-30 2002-05-17 Toppan Forms Co Ltd 温水・温風剥離性ラベルおよびその製造方法
JP2006070095A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法

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