JPH0959477A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0959477A
JPH0959477A JP19250495A JP19250495A JPH0959477A JP H0959477 A JPH0959477 A JP H0959477A JP 19250495 A JP19250495 A JP 19250495A JP 19250495 A JP19250495 A JP 19250495A JP H0959477 A JPH0959477 A JP H0959477A
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polyester resin
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copolymer
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JP19250495A
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Inventor
Kazunari Ishiura
一成 石浦
Atsushi Ito
厚志 伊藤
Yukiatsu Furumiya
行淳 古宮
Katsunori Takamoto
克則 高本
Masao Ishida
正夫 石田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明は、ポリエステル系樹脂組成物
(1) および多層構造重合体粒子(2) を、重量比10/9
0〜75/25の範囲内で含有する熱可塑性樹脂組成物
である。ポリエステル系樹脂組成物(1) は、ポリエステ
ル系樹脂の重縮合反応が完了するまでの時期に、末端に
水酸基を有する変性ブロック共重合体を反応系に添加し
て得られたものである。多層構造重合体粒子(2) は、乳
化重合法により、アクリル酸アルキルエステルまたはジ
エン化合物を主体とする単量体系を重合後、メタクリル
酸エステル等のラジカル重合性単量体を重合させること
によって形成された硬質の外層を有するものである。 【効果】 機械的特性、柔軟性および耐加水分解性に優
れる軟質樹脂である。そのため、自動車用部品、電気・
電子部品などの素材として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のポリエステ
ル系樹脂組成物および特定の多層構造重合体粒子からな
る新規な熱可塑性樹脂組成物に関するものである。該熱
可塑性樹脂組成物は、機械的特性、耐加水分解性および
柔軟性に優れた軟質樹脂であるため、自動車用部品、電
気・電子部品などの素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂系の軟質材料として
は、ポリエーテル系あるいはポリエステル系のポリエス
テルエラストマー、およびポリブチレンテレフタレート
(PBT )とブタジエン−スチレン−アクリロニトリル共
重合体(ABS )もしくはポリ塩化ビニル(PVc )とのブ
レンド物が、開発あるいは上市されている。一方、PBT
のようなポリエステル系樹脂に対して、耐衝撃性などの
物性を向上させる目的で、ポリエステル系樹脂に多層構
造重合体粒子を配合した樹脂組成物が提案されている
が、該樹脂組成物はポリエステル系樹脂を主成分とする
ものであり、その具体例においては、多層構造重合体粒
子の配合量は20重量%程度以下の少量の範囲に止まって
いる(米国特許第4,096,202 号明細書、特開昭57-94038
号公報、特開昭59-138257 号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ポリエステルエラストマーは、目的に応じては柔軟性が
まだ不十分な場合がある。さらに、ポリエーテル系のポ
リエステルエラストマーでは耐光性が著しく劣り、また
ポリエステル系のポリエステルエラストマーでは耐加水
分解性に劣るという欠点もある。また、上記のPBT とAB
S のブレンド物では、柔軟性がまだ不十分な場合があ
り、相容性にも劣る。上記のPBT とPVc のブレンド物で
は、柔軟性がまだ不十分な場合があり、成形時の熱安定
性が著しく不足しており、なおかつ、PVc を含有するた
め環境問題に鑑み使用上、大きな制約を受けることが予
想される。なお、上記のごとく、単に、ポリエステル系
樹脂に少量の多層構造重合体粒子を配合した樹脂組成物
では、耐衝撃性などの物性の向上はあっても、柔軟性は
不十分である。本発明の目的は、ポリエステル系樹脂が
有する強伸度等の優れた機械的特性が活かされ、しかも
耐加水分解性および柔軟性に優れた新規な熱可塑性樹脂
組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリエステル系
樹脂組成物および特定の多層構造重合体粒子を特定の割
合で含有する熱可塑性樹脂組成物が、耐加水分解性およ
び柔軟性に優れ、しかも機械的特性も良好であることを
見いだし、本発明に到達した。
【0005】すなわち、本発明は、(1) ポリエステル系
樹脂を製造するに際し、ビニル芳香族化合物重合体ブ
ロック(A-1) および1, 2−結合が30%未満のポリブタ
ジエンが水素添加された形の水添ポリブタジエンブロッ
ク(A-2) からなる群から選ばれる少なくとも1種のブロ
ック(A) と、水添ポリイソプレンブロック(B-1) 、12
−結合が30〜80%のポリブタジエンが水素添加された形
の水添ポリブタジエンブロック(B-2) および水添イソプ
レン/ブタジエン共重合体ブロック(B-3) からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種のブロック(B) とからなり、
かつ末端に水酸基を有する変性ブロック共重合体(I) 、
および/またはビニル芳香族化合物重合体ブロック
(C) とポリイソブチレンブロック(D) とからなり、かつ
末端に水酸基を有する変性ブロック共重合体(II)を、ポ
リエステル系樹脂の理論生成重量と、変性ブロック共重
合体(I) および(II)の添加重量の合計との比が98/2
〜40/60となる割合で、ポリエステル系樹脂の重縮
合反応が完了するまでの時期に反応系に添加して得られ
たポリエステル系樹脂組成物、ならびに(2) 乳化重合法
により、主としてアクリル酸アルキルエステルおよび/
または下記の一般式
【0006】
【化2】CH2 =C(−R)−CH=CH2
【0007】(式中、Rは水素原子またはメチル基を表
す。)
【0008】で示されるジエン化合物からなる単量体系
を重合させ、次いで、形成される外層部分のガラス転移
点が50℃以上になるような組み合わせで選択されたラ
ジカル重合性単量体を重合させることによって得られ
た、硬質の外層を75〜5重量%の割合で有する多層構
造重合体粒子を含有し、かつ、上記ポリエステル系樹脂
組成物(1) /上記多層構造重合体粒子(2) の重量比が1
0/90〜75/25の範囲内であることを特徴とする
熱可塑性樹脂組成物である。
【0009】本発明において用いられる、ポリエステル
系樹脂組成物(1) は、ポリエステル系樹脂の重縮合反応
が完了するまでの時期に特定の変性ブロック共重合体を
反応系に添加して得られるものであり、該ポリエステル
系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート(PBT )、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1, 4−シクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレート、p−ヒドロキシ安
息香酸ポリエステル、ポリアリレート等が例示される。
【0010】これらのポリエステル系樹脂のなかでも、
特に成形性および柔軟性に優れることから、PBT 系樹脂
が好ましい。PBT 系樹脂は、一般に、主としてテレフタ
ル酸またはそのエステル形成性誘導体(メチルエステ
ル、エチルエステル等の低級アルキルエステルなど)か
らなる酸成分と、主として1, 4−ブタンジオールから
なるジオール成分とを反応させて得られる。PBT 系樹脂
を製造するための酸成分は、テレフタル酸またはそのエ
ステル形成性誘導体のみからなっていてもよいが、必要
に応じて、少量(通常20モル%以下)の他の酸成分を含
んでいてもよい。そのような併用し得る酸成分の例とし
ては、イソフタル酸、フタル酸、2, 6−ナフタレンジ
カルボン酸、1, 5−ナフタレンジカルボン酸、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン
酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1, 3−シクロヘ
キサンジカルボン酸、1, 4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸などの脂環式ジカルボン酸;これらのジカルボン酸
のエステル形成性誘導体(メチルエステル、エチルエス
テル等の低級アルキルエステルなど)などが挙げられ
る。これらの併用し得る酸成分は1種のみでもよく、2
種以上でもよい。また、PBT 系樹脂を製造するためのジ
オール成分は、1, 4−ブタンジオールのみからなって
いてもよいが、必要に応じて、少量(通常20モル%以
下)の他のジオール成分を含んでいてもよい。そのよう
な併用し得るジオール成分の例としては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、2−メチル−1, 3−プロパンジオール、シクロヘ
キサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの炭
素数が2〜10の脂肪族ジオール;ポリエチレングリコ
ール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコールなどの分子量6000以下のポリアルキレング
リコールなどを挙げることができる。これらの併用し得
るジオール成分は1種のみでもよく、2種以上でもよ
い。更に、PBT 系樹脂はその特性に大きな悪影響を受け
ない限り、例えばグリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリ
ット酸などの三官能以上のモノマー成分を少量含んでい
てもよい。
【0011】本発明において使用する変性ブロック共重
合体は、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(A-1) お
よび1, 2−結合が30%未満のポリブタジエンが水素添
加された形の水添ポリブタジエンブロック(A-2) からな
る群から選ばれる少なくとも1種のブロック(A) と、水
添ポリイソプレンブロック(B-1) 、1, 2−結合が30〜
80%のポリブタジエンが水素添加された形の水添ポリブ
タジエンブロック(B-2)および水添イソプレン/ブタジ
エン共重合体ブロック(B-3) からなる群から選ばれる少
なくとも1種のブロック(B) とからなり、かつ末端に水
酸基を有する変性ブロック共重合体(I) 、および/また
はビニル芳香族化合物重合体ブロック(C) とポリイソ
ブチレンブロック(D) とからなり、かつ末端に水酸基を
有する変性ブロック共重合体(II)である。
【0012】変性ブロック共重合体(I) としては、たと
えば、次の各式で示されるものが挙げられる。
【0013】(X−Y)k −OH (Y−X)l −OH X−(Y−Z)m −OH Y' −(X−Y)n −OH
【0014】(各式中、XおよびZはそれぞれブロック
(A) を表し、YおよびY' はそれぞれブロック(B) を表
し、k、l、mおよびnはそれぞれ1以上の整数を表
し、OHは水酸基を表す。)
【0015】変性ブロック共重合体(I) におけるブロッ
ク(A) とブロック(B) との反復数k、l、mおよびn
は、通常、それぞれ1〜5の範囲内であることが好まし
い。
【0016】変性ブロック共重合体(II)としては、たと
えば、次の各式で示されるものが挙げられる。
【0017】HO−U−(V−W)p −OH HO−V' −(U−V)q −OH
【0018】(各式中、UおよびWはそれぞれブロック
(C) を表し、VおよびV' はそれぞれブロック(D) を表
し、pおよびqはそれぞれ1以上の整数を表し、OHお
よびHOはそれぞれ水酸基を表す。)
【0019】変性ブロック共重合体(II)におけるブロッ
ク(C) とブロック(D) との反復数pおよびqは、通常、
それぞれ1〜5の範囲内であることが好ましい。
【0020】変性ブロック共重合体は、上記各式からも
明らかなように、分子中に、ブロック(A) およびブロッ
ク(B) をそれぞれ少なくとも1個含有するか、またはブ
ロック(C) およびブロック(D) をそれぞれ少なくとも1
個含有するが、ブロック(A)またはブロック(C) を2個
以上含有していることが好ましい。変性ブロック共重合
体(I) および(II)のうち特に好ましいのは、式X−Y−
Z−OH(式中、X、Y、ZおよびOHは前記定義のと
おりである)で示される変性トリブロック共重合体であ
る。この変性トリブロック共重合体を使用した場合に
は、本発明の熱可塑性樹脂組成物は特に優れた柔軟性を
発揮する。
【0021】ビニル芳香族化合物重合体ブロック(A-1)
および(C) は、ビニル芳香族化合物を主体とするモノマ
ー単位からなる重合体ブロックである。ブロック(A-1)
および(C) 中のビニル芳香族化合物単位を与えるビニル
芳香族化合物としては、スチレン;α−メチルスチレ
ン;o−、m−またはp−メチルスチレン;2, 4−ジ
メチルスチレン;ビニルナフタレン;ビニルアントラセ
ンなどを挙げることができ、その中でもスチレンおよび
/またはα−メチルスチレンが好ましい。ブロック(A-
1) および(C) は、1種類のビニル芳香族化合物単位の
みから構成されていても、2種類以上のビニル芳香族化
合物単位から構成されていてもよい。ブロック(A-2)
は、1, 2−結合量が30%未満(好ましくは25%以下)
のポリブタジエンが水素添加された形の水添ポリブタジ
エンブロックである。該水素添加前のポリブタジエン部
分はブタジエン単位を主体とするモノマー単位からな
り、該ポリブタジエン単位の70モル%以上(好ましくは
75〜100 モル%)が2−ブテン−1, 4−ジイル基(−
CH2 −CH=CH−CH2 −;1, 4−結合のブタジ
エン単位)であり、30モル%未満(好ましくは25〜0 モ
ル%)がビニルエチレン基[−CH(CH=CH2 )−
CH2 −;1, 2−結合のブタジエン単位]である。ブ
ロック(B-1) は、イソプレン単位を主体とするモノマー
単位からなるポリイソプレンが水素添加された形の水添
ポリイソプレンブロックである。該イソプレン単位は、
2−メチル−2−ブテン−1, 4−ジイル基[−CH2
−C(CH3)=CH−CH2 −;1, 4−結合のイソ
プレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH[C
(CH3 )=CH2 ]−CH2 −;3, 4−結合のイソ
プレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基
[−C(CH3 )(CH=CH2 )−CH2 −;1, 2
−結合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少な
くとも1種の基である。ブロック(B-2) は、1, 2−結
合量が30〜80%(好ましくは35〜60%)のポリブタジエ
ンが水素添加された形の水添ポリブタジエンブロックで
ある。該水素添加前のポリブタジエン部分はブタジエン
単位を主体とするモノマー単位からなり、該ポリブタジ
エン単位の70〜20モル%(好ましくは65〜40モル%)が
2−ブテン−1, 4−ジイル基(−CH2 −CH=CH
−CH2 −;1, 4−結合のブタジエン単位)であり、
30〜80モル%(好ましくは35〜60モル%)がビニルエチ
レン基[−CH(CH=CH2 )−CH2 −;1, 2−
結合のブタジエン単位]である。ブロック(B-3) は、イ
ソプレン単位およびブタジエン単位を主体とするモノマ
ー単位からなるイソプレン/ブタジエン共重合体が水素
添加された形の水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブ
ロックである。該イソプレン単位は、2−メチル−2−
ブテン−1, 4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基
および1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の基であり、また該ブタジエ
ン単位は2−ブテン−1, 4−ジイル基および/または
ビニルエチレン基である。ブタジエン単位とイソプレン
単位の配置はランダム状、ブロック状、テーパーブロッ
ク状のいずれの形態になっていてもよい。
【0022】ブロック(A-2) 、(B-1) 、(B-2) および(B
-3) における水素添加の状態は部分水添であっても、ま
た完全水添であってもよい。ただし、変性ブロック共重
合体(I) において、ブタジエン単位および/またはイソ
プレン単位における炭素−炭素二重結合の50%以上、と
りわけ80%以上が水添されていること(すなわち、不飽
和度が50%以下、とりわけ20%以下となっていること)
が、耐熱水性および耐候性が良好となり、ひいては本発
明の熱可塑性樹脂組成物およびそれから得られる成形体
における粘着性の発現を防止することができる点で好ま
しい。変性ブロック共重合体(I) においては、ブロック
(B) の中でもブロック(B-1)および(B-3) からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種のブロックが、柔軟性の付与
効果が特に大きくなる点で好ましい。この効果の観点に
おいて、イソプレン単位/ブタジエン単位のモル比が1
/9〜9/1の範囲内、とりわけ3/7〜7/3の範囲
内となっているブロックが特に好ましい。
【0023】ブロック(D) は、イソブチレン単位[−C
(CH3 2 −CH2 −]を主たるモノマー単位とする
ポリイソブチレンブロックである。
【0024】変性ブロック共重合体(I) におけるブロッ
ク(A) の合計重量/ブロック(B) の合計重量の比、およ
び変性ブロック共重合体(II)のブロック(C) の合計重量
/ブロック(D) の合計重量の比について、特に制限はな
いが、それぞれ1/9〜9/1の範囲内にあるのが好ま
しい。変性ブロック共重合体(I) におけるブロック(A)
/ブロック(B) の重量比、または変性ブロック共重合体
(II)におけるブロック(C) /ブロック(D) の重量比が9
/1またはそれ以下である場合には、本発明の熱可塑性
樹脂組成物の耐熱性が特に良好となる。
【0025】変性ブロック共重合体(I) および(II)の水
酸基は、ブロック(A) 、ブロック(B) 、ブロック(C) お
よびブロック(D) のいずれのブロックの末端に位置して
いてもよいが、ハードブロックであるブロック(A) また
は(C) の末端に位置していることが好ましい。変性ブロ
ック共重合体の末端水酸基の含有量は、平均して、1分
子あたり0.5個以上であることが好ましく、0.7〜
2個の範囲内であることがより好ましい。末端水酸基を
全く含有していないブロック共重合体を用いると、得ら
れるポリエステル系樹脂組成物においてポリエステル系
樹脂中に分散する該ブロック共重合体の粒子径が大きく
なり、多層構造重合体粒子(2) との組成物において柔軟
性が不十分となる。
【0026】変性ブロック共重合体(I) におけるブロッ
ク(A) または変性ブロック共重合体(II)におけるブロッ
ク(C) の数平均分子量は、4000〜50000 の範囲内にある
のが好ましい。変性ブロック共重合体(I) におけるブロ
ック(B) または変性ブロック共重合体(II)におけるブロ
ック(D) の数平均分子量は、10000 〜100000の範囲内に
あるのが好ましい。さらに、変性ブロック共重合体(I)
および(II)の数平均分子量は、15000 〜150000の範囲内
にあるのが好ましい。なお、使用する変性ブロック共重
合体は1種類のみであってもよく、2種類以上あっても
よい。
【0027】本発明においてポリエステル系樹脂の合成
反応系に添加する変性ブロック共重合体の量は、該変性
ブロック共重合体を添加しない場合における該ポリエス
テル系樹脂の理論生成量との相対値で特定され、該ポリ
エステル系樹脂の理論生成量/該変性ブロック共重合体
(I) および(II)の添加量(合計量)の重量比において9
8/2〜40/60の範囲内である。変性ブロック共重
合体の添加量が多すぎると、ポリエステル系樹脂が本来
有する耐熱性、強伸度等の諸性能を発現することができ
なくなり、逆に少なすぎると柔軟性の改善効果が不十分
となる。多層構造重合体粒子(2) との樹脂組成物におい
て、強伸度および柔軟性の両方が特に良好となる点か
ら、ポリエステル系樹脂の理論生成量/変性ブロック共
重合体(I)および(II)の添加量(合計量)の重量比が9
7/3〜60/40の範囲内となる条件を採用すること
が好ましい。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる
ポリエステル系樹脂組成物(1) の製造方法は、変性ブロ
ック共重合体を添加する以外は、通常のポリエステル系
樹脂の合成におけると同様の任意の方法を採用すること
ができる。その代表例として、使用するジカルボン酸成
分がテレフタル酸のようなジカルボン酸の場合は1,4
−ブタンジオールのようなグリコールとのエステル化反
応を行い、また使用するジカルボン酸成分がテレフタル
酸ジメチルのようなジカルボン酸エステルの場合はグリ
コールとのエステル交換反応を行い、これらのエステル
化反応またはエステル交換反応により得られた生成物を
次に高温、減圧下で重縮合反応に供する方法が挙げられ
る。ここで、変性ブロック共重合体は、ポリエステル系
樹脂を製造するための重縮合反応が完了するまでの時期
に添加される。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる
ポリエステル系樹脂組成物(1) は、主としてポリエステ
ル系樹脂よりなるマトリックス中に、主として変性ブロ
ック共重合体(I) および/または(II)を含有する粒子が
分散した形態をとることができる。該粒子の平均粒子径
は、0.01〜0.7 μmの範囲内であることが好ましい。な
お、該ポリエステル系樹脂組成物(1) は、添加した変性
ブロック共重合体の一部がポリエステル系樹脂の合成反
応系中において反応した結果生成したと推定される、変
性ブロック共重合体とポリエステル系樹脂との共重合体
を含んでいる。
【0030】本発明における多層構造重合体粒子(2)
は、主としてアクリル酸アルキルエステルおよび/また
は下記の一般式
【0031】
【化3】CH2 =C(−R)−CH=CH2
【0032】(式中、Rは前記定義のとおりである。)
【0033】で示されるジエン化合物からなる単量体系
を重合させて得られた弾性体を基本的に内核とし、該弾
性体に対して、さらに、ラジカル重合性単量体を重合さ
せて形成された、50℃以上のガラス転移点を示す硬質
の外層を有する。
【0034】上記弾性体を形成させる重合で用いられる
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、
アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ア
クリル酸オクチル等が挙げられる。上記一般式で示され
るジエン化合物はブタジエンまたはイソプレンであり、
これらは単独で用いても、両者を併せて用いてもよい。
中でも、アクリル酸ブチルが好ましい。
【0035】アクリル酸アルキルエステルおよび/また
はジエン化合物からなる単量体系の重合において、これ
らの主成分以外の単官能の重合性単量体を、必要に応じ
て共重合させることができる。共重合させ得る他の単官
能の単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オ
クチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル等
のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロ
ヘキシル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸
脂環式アルキルエステル;メタクリル酸フェニル、メタ
クリル酸ナフチル等のメタクリル酸アリールエステル;
スチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル等
が挙げられる。これらの他の単官能の重合性単量体は、
弾性体を形成する重合性単量体系の10重量%以下が好ま
しい。
【0036】本発明で用いられる多層構造重合体粒子
(2) の内核を形成する弾性体相は、弾性体として機能さ
せるために架橋した分子鎖構造を有していることが好ま
しく、また、内核中の分子鎖と外層中の分子鎖が化学結
合によりグラフトされていることが好ましい。そのため
には、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはジエ
ン化合物からなる単量体系の重合において、少量の多官
能の重合性単量体を併用することが好ましい場合があ
る。多官能の重合性単量体は、分子内に炭素間二重結合
を2個以上有する単量体であり、例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、桂皮酸、フタル酸、テレフタル酸および
イソフタル酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の
酸成分と、アリルアルコール、メタリルアルコール等の
不飽和アルコールまたはエチレングリコール、ブタンジ
オール等のグリコールとのエステルが包含され、具体的
には、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メタク
リル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、
桂皮酸メタリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジア
リル、イソフタル酸ジアリル、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等
が例示される。これらは、単独でも、組み合わせても用
いられる。中でも、メタクリル酸アリルが好適に用いら
れる。ただし、多官能の重合性単量体の量が多すぎる
と、ゴムとしての性能を低下させ、ひいては熱可塑性樹
脂組成物の柔軟性を低下させるので、多官能の重合性単
量体の使用量は、弾性体を形成する重合性単量体系の1
0重量%以下に止めることが好ましい。なお、ジエン化
合物を主成分とする単量体系を用いる場合には、それ自
体が架橋あるいはグラフト点として機能するため、必ず
しも多官能の重合性単量体を併用しなくてもよい。
【0037】本発明で使用する多層構造重合体粒子(2)
における硬質の外層は、乳化重合法により、上記のよう
にして得られた弾性体として機能する重合体の存在下
に、形成される外層部分のガラス転移点が50℃以上に
なるような組み合わせで選択されたラジカル重合性単量
体を重合させることによって得られる。外層を形成させ
るために使用されるラジカル重合性単量体としては、例
えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメ
タクリル酸アルキル;メタクリル酸シクロヘキシル、メ
タクリル酸イソボルニル等の脂環骨格を有するメタクリ
ル酸エステル;メタクリル酸フェニル等の芳香環を有す
るメタクリル酸エステル;スチレンなどの芳香族ビニル
化合物;アクリロニトリル等が挙げられ、これらのラジ
カル重合性単量体の1種または2種以上が、形成される
外層部分を構成する重合体部分に由来するガラス転移点
が50℃以上となる組み合わせで使用される。好ましい
ラジカル重合性単量体系としては、メタクリル酸メチル
またはスチレンの単独もしくはそれを主成分とする2種
以上のラジカル重合性単量体の組み合わせが挙げられ
る。
【0038】多層構造重合体粒子(2) における内核と外
層の重量比は、1/2〜10/1の範囲内であることが
好ましい。内核を形成する重合体部分の量が少なすぎる
と柔軟性が不足し、外層を形成する重合体部分の量が少
なすぎると多層構造重合体粒子のハンドリング性が低下
する。
【0039】本発明における多層構造重合体粒子(2) を
製造するための重合方法については、特に制限がなく、
通常の乳化重合法に準じることにより、球状の多層構造
重合体粒子を容易に得ることができる。乳化重合法にお
いては、公知の手法に従い、オクチルメルカプタン、ラ
ウリルメルカプタン等の連鎖移動剤を必要に応じて用い
ることができる。なお、乳化重合法後、ポリマーラテッ
クスからの多層構造重合体粒子(2) の分離取得は、公知
の方法に従って凝固乾燥することによって行うことがで
きる。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のポ
リエステル系樹脂組成物(1) と多層構造重合体粒子(2)
とを、重量比が10/90〜75/25の範囲内となる
割合で含有する。ポリエステル系樹脂組成物(1) /多層
構造重合体粒子(2) の重量比が10/90より小さい
と、ポリエステル系樹脂が本来有する耐熱性および機械
的特性を損なうため好ましくない。逆に、ポリエステル
系樹脂組成物(1) /多層構造重合体粒子(2) の重量比が
75/25より大きいと、柔軟性が不足するので好まし
くない。柔軟性が高度に要求される場合、ポリエステル
系樹脂組成物(1)/多層構造重合体粒子(2) の重量比
は、65/35を超えないことが好ましく、50/50
を超えないことがより好ましい。多層構造重合体粒子
(2) は、ポリエステル系樹脂組成物(1) との樹脂組成物
中において0.03〜0.5 μmの範囲内の平均粒子径が分散
していることが、柔軟性がとくに良好となる点で好まし
い。なお、樹脂組成物中の多層構造重合体粒子(2)の一
部は、相互に凝集して存在していても差し支えない。本
発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわ
ない範囲内において、ポリエステル系樹脂組成物(1) お
よび多層構造重合体粒子(2) に加えて、他の成分を必要
に応じて含有していてもよい。配合可能な他の成分とし
ては、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の光あるいは熱に対
する安定剤;エポキシ樹脂、脂肪酸エステル系ワックス
等の公知の改質剤;離型剤;流動性改良剤;臭素化エポ
キシ等の添加剤を加えることができる。
【0041】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のポ
リエステル系樹脂組成物(1) 、多層構造重合体粒子(2)
および所望により他の成分を混合することにより得るこ
とができる。これらを混合する方法としては、全体とし
て実質的に均一に混合できる方法であれば特に制限され
ることなく、樹脂同士の混合のために通常用いられてい
る公知の方法を適用することができる。たとえば、溶融
混合法を採用する場合、ポリエステル系樹脂組成物(1)
と多層構造重合体粒子(2) とを、所望により安定剤、染
料、顔料、可塑剤、滑剤、充填剤等を適宜加えた後、ス
クリュー型押出機等を用いて200 〜300 ℃で溶融混練す
ればよい。なお、熱可塑性樹脂組成物の製造のために使
用できる多層構造重合体粒子(2) は、ポリエステル系樹
脂組成物(1) との混合において粒子状で十分に分散でき
る形態のものであればよく、例えば、相互に外層部分で
融着した状態のペレット状物であってもよい。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
多層構造重合体粒子(2) は完全には溶融しないこともあ
るが、組成物全体としては溶融流動性に優れており、射
出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダ
ー成形、流延成形等の任意の成形法によって、所望の成
形体に成形することができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。
【0044】下記の実施例および比較例の樹脂組成物な
らびに参考例の樹脂の評価は、下記の測定法を用いて行
った。
【0045】(強伸度および80%伸長時の応力)厚さ
1mmのダンベル状の試験片を用い、引張試験機(島津
製作所社製AG5000)を用いて測定した(歪速度:50
cm/min)。
【0046】(硬度)JIS A硬度計を用いて測定し
た。
【0047】(耐加水分解性)試験片を100 ℃の熱水に
浸漬し、その温度で1週間保持した後、試験片の外観を
観察した。
【0048】(ガラス転移点)DSC(メトラー社製
TA−4000) を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定し
た。
【0049】(合成例1:ポリエステル系樹脂組成物の
製造−1)テレフタル酸ジメチル74.8重量部、1, 4−
ブタンジオール41.7重量部、およびテトライソプロピル
チタネート0.03重量部を反応槽に仕込み(PBT の理論生
成量:85重量部)、常圧下に170 ℃から230 ℃まで徐々
に昇温しながら加熱してエステル交換反応を行い、メタ
ノールが23.8重量部留出した時点でエステル交換反応を
停止した。その後、SEEPS-OH[一方のポリスチレンブロ
ック末端に水酸基を有する、ポリスチレンブロック(数
平均分子量:6000)/1, 3−ブタジエンとイソプレン
との共重合体の水添物のブロック(数平均分子量:2800
0 )/ポリスチレンブロック(数平均分子量:6000)の
トリブロック体(水酸基含量:0.8 個/分子;水添前の
ブロック共重合体基準でのスチレン単位含量:30重量
%;イソプレン単位/1, 3−ブタジエン単位のモル
比:1/1;水添前の1, 3−ブタジエンとイソプレン
との共重合体ブロック中の1, 3−ブタジエンにおける
1,4−結合量:95%、3, 4−結合量:5 %;1, 3
−ブタジエンとイソプレンとの共重合体の水添物ブロッ
ク基準の不飽和度:5 %;数平均分子量:40000 ]の15
重量部を添加し、次いで、系を減圧にして重縮合反応系
に移行させた。すなわち、約30分間を要して、反応温度
を230 ℃から250 ℃に昇温させ、かつ圧力を常圧から0.
2 mmHgの圧力まで減じた。この反応温度および圧力
の下で、約60分間を要して重縮合反応を行った。次に、
反応槽に窒素ガスを供給して系を常圧に戻すことにより
重縮合反応を停止させ、ポリエステル系樹脂組成物[A-
1 ]を得た。
【0050】(合成例2:ポリエステル系樹脂組成物の
製造−2)SEEPS-OHの代わりにEPS-OH[ポリスチレンブ
ロック末端に水酸基を有する、水添ポリイソプレンブロ
ック(数平均分子量:20000 )/ポリスチレンブロック
(数平均分子量:10000 )のジブロック体(水酸基含
量:0.8 個/分子;水添前のブロック共重合体基準での
スチレン単位含量:33重量%;水添前のイソプレンブロ
ックにおける1, 4−結合量:92%、3, 4−結合量:
8 %;水添ポリイソプレンブロック基準の不飽和度:5
%;数平均分子量:30000 ]を、PBT の理論生成量/EP
S-OHの添加量の重量比が70/30となる割合で添加した以
外は合成例1と同様にして、ポリエステル系樹脂組成物
[A-2 ]を得た。
【0051】(合成例3:多層構造重合体粒子の製造−
1)窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管および滴下ロートを
装着した重合器に、蒸留水600 重量部、乳化剤としての
ラウリルザルコシン酸ナトリウム0.168 重量部およびス
テアリン酸ナトリウム2.1 重量部を加え、70℃に加熱し
て均一に溶解させた。次いで、同温度において、アクリ
ル酸ブチル150 重量部および多官能の重合性単量体とし
てのメタクリル酸アリル0.15重量部を加え、30分攪拌し
た後、ペルオキソ二硫酸カリウム0.15重量部を加えて重
合を開始した。4時間後、ガスクロマトグラフィーで各
単量体がすべて消費されたことを確認した。次いで、得
られた共重合体にペルオキソ二硫酸カリウム0.3 重量部
を加えた後、メタクリル酸メチル48重量部およびアクリ
ル酸エチル2.0 重量部の混合物を滴下ロートより2時間
かけて滴下した。滴下終了後、70℃で、さらに30分間反
応を続け、各単量体が消費されたことを確認して重合を
終了した。得られたラテックスの粒子径は0.23μmであ
った。これを−20℃に24時間冷却して凝集させた後、凝
集物を取り出し、80℃の熱水で3回洗浄した。さらに、
80℃で2日間減圧乾燥して、多層構造重合体粒子[B-1
]を得た。得られた多層構造重合体粒子における外層
部分のガラス転移点(Tg)は105 ℃であった。
【0052】(合成例4:多層構造重合体粒子の製造−
2)オートクレーブに蒸留水200 重量部、乳化剤として
のオレイン酸ナトリウム4.0 重量部、ロンガリット(ホ
ルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート)0.267 重
量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.13重量部
および硫酸第一鉄7水和物0.008 重量部を仕込み、攪拌
下、窒素置換しながら50℃に昇温した。30分後、ブタジ
エン80重量部を加え、さらに30分間この温度を保持し
た。次いで、同温度で、クメンハイドロパーオキシド0.
1 重量部を加えて重合を開始した。4時間後、ガスクロ
マトグラフィーで各単量体がすべて消費されたことを確
認した。次に、得られた共重合体ラテックス204 重量部
(共重合体量:57.2重量部)を、窒素雰囲気下に、攪拌
翼、冷却管および滴下ロートを装着した重合器に移し、
蒸留水86重量部を追加して、70℃に昇温した。さらに、
ペルオキソ二硫酸カリウム0.1 重量部を加えた後、メタ
クリル酸メチル26.5重量部およびアクリル酸エチル0.5
重量部の混合物を滴下ロートより2時間かけて滴下し
た。滴下終了後、70℃で、さらに30分間反応を続け、各
単量体が消費されたことを確認して重合を終了した。得
られたラテックスの粒子径は0.15μmであった。これを
−20℃に24時間冷却して凝集させた後、凝集物を取り出
し、80℃の熱水で3回洗浄した。さらに、80℃で2日間
減圧乾燥して、多層構造重合体粒子[B-2 ]を得た。得
られた多層構造重合体粒子における外層部分のガラス転
移点(Tg)は105 ℃であった。
【0053】(合成例5:多層構造重合体粒子の製造−
3)窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管および滴下ロートを
装着した重合器に、蒸留水600 重量部、乳化剤としての
ラウリルザルコシン酸ナトリウム0.168 重量部およびス
テアリン酸ナトリウム2.1 重量部を加え、70℃に加熱し
て均一に溶解させた。次いで、同温度において、アクリ
ル酸ブチル150 重量部および多官能の重合性単量体とし
てのメタクリル酸アリル0.15重量部を加え、30分攪拌し
た後、ペルオキソ二硫酸カリウム0.15重量部を加えて重
合を開始した。4時間後、ガスクロマトグラフィーで各
単量体がすべて消費されたことを確認した。次いで、得
られた共重合体にペルオキソ二硫酸カリウム0.3 重量部
を加えた後、メタクリル酸メチル72重量部、アクリル酸
ブチル3.0 重量部および連鎖移動剤としてのn−オクチ
ルメルカプタン0.1 重量部の混合物を滴下ロートより2
時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で、さらに30分
間反応を続け、各単量体が消費されたことを確認して重
合を終了した。得られたラテックスの粒子径は0.20μm
であった。これを−20℃に24時間冷却して凝集させた
後、凝集物を取り出し、80℃の熱水で3回洗浄した。さ
らに、80℃で2日間減圧乾燥して、多層構造重合体粒子
[B-3 ]を得た。得られた多層構造重合体粒子における
外層部分のガラス転移点(Tg)は103 ℃であった。
【0054】(実施例1:熱可塑性樹脂組成物の製造)
上記のようにして得られたポリエステル系樹脂組成物
[A-1 ]および多層構造重合体粒子[B-1 ]を、30/70
(重量比)の割合で予備混合し、30mmφのベント付押
出機(日本製鋼所社製 BT−30)により250 ℃の温度
で溶融混練し、ペレット化した。得られた熱可塑性樹脂
組成物のペレットを真空乾燥後、射出成形機(東芝社製
IS80)により射出成形し、各種試験片を得、各種評
価に供した。評価結果を表1に示す。
【0055】(実施例2〜6;比較例1、2:熱可塑性
樹脂組成物の製造)ポリエステル系樹脂組成物および多
層構造重合体粒子の種類および配合量を表1に示したよ
うに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、熱
可塑性樹脂組成物を製造し、各種評価を行った。評価結
果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】上記表1中、「多層構造重合体粒子
(B)」の欄において、実施例6の「B-1/B-3 」は、
多層構造重合体粒子[B-1 ]と多層構造重合体粒子[B-
3 ]とを重量比1対1で使用したことを意味する。ま
た、「耐加水分解性」の欄における「○」は試験後、試
験片表面に外観上の変化が認められなかったことを意味
し、「×」は試験後、試験片表面に表面荒れ等の外観上
の変化が認められたことを意味する。
【0058】(参考例:ポリエステルエステルエラスト
マーの評価)JIS A硬度が98のポリエステルエス
テルエラストマー(東洋紡績社製ペルプレンS3001)を
上記の耐加水分解性試験に供した結果、試験片表面に表
面荒れが発生した。また、80%伸長時の応力は、300
Kg f/ cm2 であった。
【0059】上記の実施例、比較例および参考例によれ
ば、本発明に従う実施例1〜6の熱可塑性樹脂組成物で
は、強度が100 Kg f/ cm2 以上であり、伸度が150
%以上であり、JIS A硬度が97以下、80%伸長
時の応力が200 Kg f/ cm2 以下であり、耐加水分解
試験結果で異常なしであったことから明らかなように、
柔軟性および耐加水分解性に優れ、さらに機械的特性も
良好であることがわかる。一方、ポリエステル系樹脂組
成物/多層構造重合体粒子の重量比が75/25より大きい
点で本発明とは相違する比較例1の熱可塑性樹脂組成物
では、JISA硬度が高く(99より大)、また80%
伸長時の応力が高かった(350 Kg f/ cm2 )ことか
ら明らかなように、柔軟性が不十分であることがわか
る。さらに、ポリエステル系樹脂組成物/多層構造重合
体粒子の重量比が10/90より小さい点で本発明とは相違
する比較例2の熱可塑性樹脂組成物では、強度が著しく
低かった(50Kg f/ cm2 )ことから明らかなよう
に、機械的特性が不十分であることがわかる。また、参
考例のポリエステルエステルエラストマーでは、耐加水
分解性試験で表面荒れが発生し、かつ80%伸長時の応
力が高かった(300 Kg f/ cm2 )ことから明らかな
ように、耐加水分解性および柔軟性が不十分であること
がわかる。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、機械的特性、柔軟性お
よび耐加水分解性に優れる新規な熱可塑性樹脂組成物が
提供される。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これらの
優れた性質を合わせ持った軟質樹脂であるため、自動車
用部品、電気・電子部品などの素材として有用である。
フロントページの続き (72)発明者 高本 克則 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内 (72)発明者 石田 正夫 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) ポリエステル系樹脂を製造するに際
    し、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(A-1) および
    1, 2−結合が30%未満のポリブタジエンが水素添加さ
    れた形の水添ポリブタジエンブロック(A-2) からなる群
    から選ばれる少なくとも1種のブロック(A) と、水添ポ
    リイソプレンブロック(B-1) 、1, 2−結合が30〜80%
    のポリブタジエンが水素添加された形の水添ポリブタジ
    エンブロック(B-2) および水添イソプレン/ブタジエン
    共重合体ブロック(B-3) からなる群から選ばれる少なく
    とも1種のブロック(B) とからなり、かつ末端に水酸基
    を有する変性ブロック共重合体(I) 、および/または
    ビニル芳香族化合物重合体ブロック(C) とポリイソブチ
    レンブロック(D) とからなり、かつ末端に水酸基を有す
    る変性ブロック共重合体(II)を、ポリエステル系樹脂の
    理論生成重量と、変性ブロック共重合体(I) および(II)
    の添加重量の合計との比が98/2〜40/60となる
    割合で、ポリエステル系樹脂の重縮合反応が完了するま
    での時期に反応系に添加して得られたポリエステル系樹
    脂組成物、ならびに (2) 乳化重合法により、主としてアクリル酸アルキルエ
    ステルおよび/または下記の一般式 【化1】CH2 =C(−R)−CH=CH2 (式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で示さ
    れるジエン化合物からなる単量体系を重合させ、次い
    で、形成される外層部分のガラス転移点が50℃以上に
    なるような組み合わせで選択されたラジカル重合性単量
    体を重合させることによって得られた、硬質の外層を7
    5〜5重量%の割合で有する多層構造重合体粒子を含有
    し、かつ、上記ポリエステル系樹脂組成物(1) /上記多
    層構造重合体粒子(2) の重量比が10/90〜75/2
    5の範囲内であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系樹脂がポリブチレンテレ
    フタレート系樹脂である請求項1に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 変性ブロック共重合体が式X−Y−Z−
    OH(式中、XおよびZはそれぞれブロック(A) を表
    し、Yはブロック(B) を表し、OHは水酸基を表す)で
    示される変性トリブロック共重合体である請求項1また
    は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ラジカル重合性単量体がメタクリル酸メ
    チルエステルを主成分とするものである請求項1〜3の
    いずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 単量体系が主としてアクリル酸ブチルで
    ある請求項1〜4のいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
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