JPH0959428A - 導電性繊維及びその製造方法 - Google Patents

導電性繊維及びその製造方法

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JPH0959428A
JPH0959428A JP21703795A JP21703795A JPH0959428A JP H0959428 A JPH0959428 A JP H0959428A JP 21703795 A JP21703795 A JP 21703795A JP 21703795 A JP21703795 A JP 21703795A JP H0959428 A JPH0959428 A JP H0959428A
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宏樹 村田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性及び補強性に優れ、遊離アルカリ成分
が少なく、優れた導電性を示す導電性繊維を得る。 【解決手段】 化学式KX AlX Ti8-X 16(0.8
≦X≦2.5)で示される組成を有するチタン酸アルミ
ン酸カリウム繊維を、炭化水素雰囲気または炭化水素と
還元性ガス及び/または不活性ガスとの混合ガス雰囲気
中で加熱焼成することにより、繊維の表面にカーボン導
電層を形成したことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性繊維であ
る、導電性が付与されたチタン酸アルミン酸カリウム繊
維、その製造方法及びそれを用いた導電性樹脂組成物に
関するものである。本発明の導電性繊維は、機能性複合
材料用素材として有用なものであり、導電性塗料、イン
キ、電気メッキ用複合材料、静電気帯電防止用材料、静
電記録材料、電磁波シールド材料等の各種の導電性複合
材料に適用することができるものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】化学技
術の発達とニーズの多様化に伴い、高性能、多機能素材
の開発が活発に行われ、プラスチック業界にあっても導
電性高分子材料の開発についての研究が種々試みられて
いる。例えば、粒子状導電性充填剤としては、カーボン
粒子、または銅、銀、金等の金属粉が使用されている。
また繊維状導電性充填材としては、カーボン繊維等が用
いられており、導電性を付加するとともに添加した高分
子マトリックス中において補強材として働き、機械的特
性の向上をもたらすものである。
【0003】しかしながら、金属粉を充填剤に用いた場
合、金属独自の色調を有することから、その用途に制約
がある。またカーボン繊維は、補強性を有する導電性充
填剤ではあるが、繊維長を均一に揃えるのが困難であ
り、アスペクト比が不揃いとなるため、成形加工性が悪
く、また成形品の表面平滑性及び研摩性において劣る。
【0004】特開昭58−135129号公報において
は、チタン酸アルカリと炭素物質からなる混合物を還元
または不活性雰囲気中で昇温し、加熱焼成することによ
り、導電性を有する還元チタン酸アルカリの製造する方
法が提案されている。また、特開昭63−12759号
公報においては、チタン酸アルカリの表面にカーボン被
覆を施すことにより、繊維長の揃った繊維状導電性充填
剤を製造することが提案されている。
【0005】しかしながら、これらの繊維状導電性充填
剤の製造においては加熱工程が必要であり、特に、チタ
ン酸アルカリの表面にカーボン被膜を形成する際、高い
導電性を得るためには高温での加熱工程が必要となる。
しかしながら、チタン酸アルカリは、800℃付近以上
において、その表面でアルカリ成分の析出が起こる。こ
の析出は特に高温状態において著しく、析出したアルカ
リ成分は、冷却後遊離アルカリ成分として、チタン酸ア
ルカリ中に混入する。このようなアルカリ成分の析出及
び混入は、チタン酸アルカリの表面にカーボン被膜を形
成する際にも同様に生じる。アルカリ成分の混入した導
電性チタン酸アルカリを導電性充填剤として用いると、
アルカリ成分が不純物として働き弊害の原因となる。特
に電気電子材料に用いた場合に、このような弊害が問題
となる。また、このようなアルカリ成分の析出に伴い、
チタン酸アルカリを800℃付近以上に加熱すると、繊
維形状の劣化が起こり、アスペクト比が低下し、補強性
能が低下する。
【0006】特開平7−41316号公報においては、
ホウ酸アルミニウムの表面を炭素質の導電層で被覆する
ことにより、ホウ酸アルミニウムに導電性を付与する技
術が提案されている。ホウ酸アルミニウムの組成の中
で、特に9Al2 3 ・2B23 は融点が高く、また
その組成からアルカリ金属の不純物の少ない補強材とし
て有用である。特に繊維状の場合、その形状を利用して
導電性繊維とすることができる。耐熱性が高いので、比
較的高温で導電層を構成することができるため、高結晶
性の炭素質導電層を形成することができ、チタン酸カリ
ウムを芯材にした場合に比べ優れた導電特性を付与する
ことができる。
【0007】しかしながら、高い融点を有する9Al2
3 ・2B2 3 の組成のホウ酸アルミニウムであって
も、1200℃以上の温度域では、ホウ酸成分の分解及
び脱離が生じる。この脱離現象は、さらに還元雰囲気ま
たは不活性雰囲気により一層促進されるので、繊維形状
のホウ酸アルミニウムの場合、この脱離により、形状の
劣化及び繊維表面の導電層の分解が起こる。この結果、
1200℃以上の加熱温度で、良好な導電性ホウ酸アル
ミニウムを作製することは困難となる。特に樹脂との複
合化においては、アスペクト比の高い繊維状の導電性物
質を複合させ、良好な導電回路を形成することが必要で
あるが、ホウ酸アルミニウムを芯材とした場合、上記の
ような問題のため、良好な導電性樹脂組成物を得ること
ができなかった。
【0008】本発明の目的は、上述のような従来の問題
点を解消し、耐熱性及び補強性に優れ、遊離アルカリ成
分が少なく、優れた導電性を示す導電性繊維、その製造
方法及びそれを用いた導電性樹脂組成物を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の導電性繊維は、
化学式KX AlX Ti8-X 16(0.8≦X≦2.5)
で示される組成を有するチタン酸アルミン酸カリウム繊
維をカーボン導電層で被覆したことを特徴としている。
【0010】本発明の導電性繊維において、カーボン導
電層の被覆量は、全体の0.1〜50重量%が好まし
く、さらに好ましくは、0.2〜25重量%である。カ
ーボン導電層の被覆量が少なすぎると、十分な導電性を
付与することができず、カーボン導電層の被覆量が過剰
に多くなっても、被覆量に比例して高い導電性が得られ
ず、経済的に不利なものとなる。
【0011】本発明において、芯材となるチタン酸アル
ミン酸カリウム繊維は、内部に気孔を有するものであっ
てもよい。好ましくは70体積%以下の気孔を有し、さ
らに好ましくは、20〜50体積%の気孔を有する。気
孔率の高いチタン酸アルミン酸カリウム繊維を用いるこ
とにより、より軽量な導電性繊維とすることができ、重
量での配合割合を少なくすることができる。
【0012】本発明において用いられるチタン酸アルミ
ン酸カリウム繊維の形状は、特に限定されるものではな
いが、繊維径0.1〜10μm、繊維長5〜100μ
m、アスペクト比10〜100を有する針状単結晶であ
ることが好ましい。
【0013】チタン酸アルミン酸カリウム繊維は、高強
度、高弾性、高融点を有しており、各種マトリックスの
強化材として有用な素材である。また、この繊維は、樹
脂などの結合剤との複合化の際において、カリウムの脱
離がなく、マトリックスを分解させるおそれがない。特
に樹脂などの結合剤と複合化させ、樹脂複合材を製造す
る場合、一般には繊維径0.1〜10μm、繊維長10
〜100μmのものを使用することが好ましい。特に、
形状の微細な樹脂複合体または高い平面平滑性が要求さ
れる場合には、繊維径0.3〜5μm、繊維長10〜5
0μmのチタン酸アルミン酸カリウム繊維を芯材とする
ことが好ましい。また、毛玉等の凝集物がなく、十分に
繊維が単離、解繊されているチタン酸アルミン酸カリウ
ム繊維が分散性の点で好適である。
【0014】本発明の導電性繊維の製造方法は、上記本
発明の導電性繊維を製造することができる方法であり、
化学式KX AlX Ti8-X 16(0.8≦X≦2.5)
で示される組成を有するチタン酸アルミン酸カリウム繊
維を、炭化水素雰囲気または炭化水素と還元性ガス及び
/または不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で加熱焼成す
ることにより、チタン酸アルミン酸カリウム繊維の表面
にカーボン導電層を形成することを特徴としている。
【0015】本発明の製造方法において使用される炭素
水素としては、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素のい
ずれも使用することができる。脂肪族炭化水素として
は、例えば一般式Cn 2n+2(式中nは1〜20の整数
を示す)で表される飽和炭化水素、一般式Cn 2n(式
中nは前記に同じ)で表されるエチレン系炭化水素、一
般式Cn 2n-2(式中nは前記に同じ)で表されるアセ
チレン系炭化水素等を挙げることができる。また芳香族
炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等とその同族体、ナフタレン、アントラセンなどの
多核芳香族炭化水素及び上記各種炭化水素のハロゲン化
物等を挙げることができる。これらの炭化水素類は、1
種単独で、または2種以上混合して使用することができ
る。
【0016】本発明の製造方法においては、上記炭化水
素の雰囲気、あるいは上記炭化水素と還元性ガス及び/
または不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で加熱焼成が行
われる。還元性ガスとしては、例えば水素ガス、一酸化
炭素ガス、アンモニアガスなどが挙げられる。また不活
性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘ
リウムガス、キセノンガス、炭酸ガスなどが挙げられ
る。本発明の製造方法においては、これらの還元性ガス
及び不活性ガスを1種単独で使用してもよいし、2種以
上混合して使用してもよい。
【0017】炭化水素に還元性ガスを混合して用いる場
合には、還元性ガスと炭化水素の混合比率は、通常9
0:10〜10:90の範囲が好ましく、カーボン析出
量を考慮すれば、50:50程度が特に好ましい。
【0018】加熱焼成の温度としては、使用する炭素水
素の分解、すなわちカーボン析出の温度以上で、130
0℃以下の範囲内の温度が好ましい。加熱焼成の温度が
低すぎると、カーボン導電層を繊維表面に形成すること
ができず、また加熱焼成温度が高すぎると、芯材として
のチタン酸アルミン酸カリウム繊維の形状が崩壊し、ア
スペクト比の低下等を生じるおそれがある。
【0019】炭素水素の分解温度は、使用する炭化水素
により異なり、例えばメタンの場合のカーボンの析出温
度範囲は約900〜950℃であり、n−プロパンの場
合は約950〜1000℃である。ベンゼンの場合は温
度が低く、約750〜800℃でカーボンが析出する。
【0020】析出するカーボン導電層の導電性の点から
は、できるだけ高い温度で処理することが望ましい。な
お、加熱焼成の雰囲気においては、必ずしも還元性ガス
を必要とせず、例えば窒素ガスなどの不活性ガスの気流
下に約500〜1000℃で炭化水素を導入し、炭化水
素を分解することにより、カーボン導電層を析出させる
こともできる。
【0021】本発明の製造方法において、チタン酸アル
ミン酸カリウム繊維の表面にカーボン導電層を析出させ
た後は、室温までその温度を降下させる。この温度降下
の際も、不活性ガス、水素ガスまたは炭化水素ガスある
いはこれらの混合ガスを流しながら温度を降下させるこ
とが望ましい。また、降温の過程において、酸素または
空気が混入すると、チタン酸アルミン酸カリウム繊維の
表面に付着したカーボン導電層が燃焼するおそれがある
ので好ましくない。
【0022】本発明において炭化水素雰囲気または混合
ガス雰囲気中での加熱焼成は、例えば、トンネルキルン
や電気炉等を用いて加熱焼成することができる。また、
ロータリーキルンや流動焼成法等により焼成することも
できる。
【0023】本発明において芯材として用いられる、繊
維状チタン酸アルミン酸カリウムの製造方法は、特に限
定されるものではないが、例えば、アルミニウム供給成
分、カリウム供給成分及びチタン供給成分を溶融剤の存
在下にて反応させることによりチタン酸アルミン酸カリ
ウム繊維を製造する方法を挙げることができる。このよ
うな方法として、以下のような具体的な製造方法が挙げ
られる。
【0024】(第一の製造方法)カリウム供給成分及び
チタン供給成分となるチタン酸カリウム繊維を、アルミ
ニウム供給成分となるアルミニウム水酸化物などのアル
ミニウム化合物で被覆し、これを溶融剤の存在下に加熱
して反応させる方法である。このような方法によれば、
各成分が最近接に存在した状態で反応が進行するため、
ウィスカー形状のチタン酸アルミン酸カリウムを生成す
ることができるものと推測される。
【0025】本方法において、カリウム供給成分及びチ
タン供給成分となるチタン酸カリウム繊維の組成として
は特に限定はなく、例えば一般式aK2 O・TiO2
mH 2 O(0<a≦1、0≦m≦10)で示されるチタ
ン酸カリウムウィスカーを例示することができる。チタ
ン酸カリウムウィスカーの形状としては、繊維径0.0
1〜5μm、繊維長3〜300μm、好ましくは繊維径
0.1〜3μm、繊維長5〜200μm、アスペクト比
10以上のものを用いることができる。繊維径または繊
維長が小さすぎると、凝集性が大きくなり、生成するチ
タン酸アルミン酸カリウムが単離の困難な凝集物となる
傾向があり好ましくない。また繊維径または繊維長が大
きすぎると、チタン酸カリウム繊維を原料とした場合
に、表面活性が低下しアルミニウム化合物の均一な被覆
が困難となり、その結果、目的物中に未反応の酸化アル
ミニウムやチタン酸カリウムが混入するおそれを生じる
ため好ましくない。
【0026】アルミニウム化合物で表面が被覆されてい
るチタン酸カリウム繊維は、例えば、(1)アルミニウ
ムの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、水酸化物及びアル
コラート類からなる群より選ばれた少なくとも1種とチ
タン酸カリウムとを反応させる方法か、(2)アルミニ
ウムの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、水酸化物及びア
ルコラート類からなる群より選ばれた少なくとも1種
と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、
アルカリ金属のアルミン酸塩、アンモニウムの炭酸塩及
びアンモニウムの水酸化物からなる群より選ばれた少な
くとも1種とを反応させてチタン酸カリウム繊維表面に
沈着させる方法などにより得ることができる。
【0027】ここで、アルミニウムの硫酸塩としては、
例えば硫酸アルミニウム等が挙げられる。アルミニウム
のハロゲン化物としては塩化アルミニウムを、硝酸塩と
しては硝酸アルミニウムを、水酸化物としては水酸化ア
ルミニウムを、アルコラート類としてはアルミニウムア
ルコラートを例示できるが、その他、水溶性のものであ
れば、特に限定されるものではない。アルカリ金属の水
酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
を例示することができる。アルカリ金属の炭酸塩として
は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウ
ム等を例示することができる。アルカリ金属のアルミン
酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリ
ウム等が挙げられる。アンモニウムの炭酸塩としては、
炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム等が挙げられ
る。アンモニウムの水酸化物としては、例えば水酸化ア
ンモニウム等が挙げられる。以上に例示したもののほ
か、広く水可溶性のものを用いることができる。
【0028】アルミニウム化合物の被覆に際しては、水
中にチタン酸カリウムを分散させた上反応させる方法が
好ましい。その際、アルミニウム化合物の量としては、
チタン酸カリウム中のチタンに対するモル比として、
1:3〜1:18の割合となるようにするのが好まし
い。被覆反応は通常、5〜80℃、好ましくは10〜5
0℃にて1〜5時間程度で進行させることができる。こ
のようにして、アルミニウム化合物で被覆されたチタン
酸カリウム繊維は、必要に応じて水等で洗浄した後、乾
燥して次の工程に供することができる。
【0029】本方法に用いる溶融剤としては、アルカリ
金属の塩化物、例えば塩化カリウム、塩化ナトリウムや
アルカリ金属の硫酸塩、例えば硫酸カリウム、硫酸ナト
リウム等を用いることができ、これらは単独、もしくは
2種以上混合して用いることができる。溶融剤は、必要
に応じて予めジェットミル等の粉砕機にて粒度を細かく
して用いてもよい。また溶融剤はチタン酸カリウムの表
面をアルミニウム化合物に被覆する際に水溶液中に溶解
させておいてもよい。
【0030】溶融剤の添加量としては、アルミニウム化
合物で被覆されたチタン酸カリウムの合計量の50〜9
0重量%となるように添加することが好ましい。アルミ
ニウム化合物で被覆されたチタン酸カリウムを溶融剤の
存在下で、900〜1300℃の温度範囲で、通常10
分〜10時間程度反応させることにより、チタン酸アル
ミン酸カリウムウィスカーを得ることができる。この
際、加熱温度が900℃より低くなると、原料物質が未
反応のまま残ってしまい、チタン酸アルミン酸カリウム
ウィスカーの単一相を得ることが難しくなるため好まし
くない。また反応温度が1300℃を越えると、ウィス
カー間の溶着やアスペクト比の低下、もしくは結晶の粗
大化及び多結晶化が起こり易くなるため好ましくない。
【0031】また、結晶内に気孔を有するチタン酸アル
ミン酸カリウムウィスカーを生成させる場合、所定の温
度にて反応、育成した後、10℃/分以上の冷却速度に
て800℃付近まで炉冷または水冷等で急冷すればよ
い。この場合、結晶内の気孔の占める体積率は、焼成温
度及び冷却温度により制御可能である。さらに結晶内に
気孔を含まないチタン酸アルミン酸カリウムウィスカー
を生成させる場合、所定の温度で反応、育成した後、1
0℃/分以下の冷却速度にて800℃付近まで徐冷すれ
ばよい。
【0032】結晶内に1〜70体積%の気孔を有するチ
タン酸アルミン酸カリウムウィスカーを芯材として用い
る場合、該ウィスカーは気孔を有しないウィスカーに比
べ嵩比重が小さいため、嵩比重の小さい導電性繊維とす
ることができる。従って、本発明の導電性繊維と結合材
から導電性樹脂組成物を製造する場合、気孔を有するチ
タン酸アルミン酸カリウムウィスカーを芯材とすること
により、より低い重量配合の樹脂組成物とすることがで
きる。
【0033】(第二の製造方法)本方法では、チタン供
給成分として、一般式TiO2 ・nH2 O(nは0〜8
の実数)で示される粒子形状または繊維形状の酸化チタ
ンを用い、アルミニウム供給成分として、アルミニウム
水酸化物、含水酸化アルミニウム、アルミニウム無機酸
塩及びアルカリ金属のアルミン酸塩から選ばれた少なく
とも1種類を用い、カリウム供給成分として、カリウム
の塩化物、硫酸塩、及び臭化物の中から選ばれた少なく
とも1種類を用い、これらを溶融剤の存在下、900〜
1300℃の温度に加熱し、さらに冷却することにより
反応、育成させることによって製造する方法である。溶
融剤としては、例えばアルカリ金属の塩化物、硫酸塩、
臭化物などを用いることができる。
【0034】本方法において、チタン供給成分として用
いる一般式TiO2 ・nH2 O(nは0〜8の実数)で
示される粒子形状または繊維形状物の具体例としては、
水和チタニア粒子、単斜晶酸化チタン粒子、アナターゼ
酸化チタン粒子、及びルチル酸化チタン粒子またはこれ
らの繊維状物を挙げることができる。繊維状物を原料と
する場合でも、その製造方法は特に制限はなく、直接湿
式反応にて作製した酸化チタンまたは水酸化チタン系繊
維状物質及び該繊維状物質の加熱処理品等が挙げられ
る。
【0035】本方法におけるアルミニウム供給成分の具
体例としては、上述のように、アルミニウム水酸化物、
含水酸化アルミニウム、アルミニウム無機酸塩、及びア
ルカリ金属のアルミン酸塩の中から選ばれる少なくとも
1種が用いられる。アルミニウム水酸化物としては、水
酸化アルミニウム等を例示することができる。含水酸化
アルミニウムとしては、ベーマイト(AlO(O
H))、ジアスポア、トーダイトを例示することができ
る。アルミニウムの無機酸塩としては、硫酸塩、硝酸
塩、塩化物、非水溶性アルミニウム塩基性塩を例示する
ことができる。アルミニウムの硫酸塩としては、硫酸ア
ルミニウム、硫酸アルミニウム14〜18水和物、硫酸
アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムカリウム12
水和物、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウ
ムナトリウム12水和物、硫酸アルミニウムアンモニウ
ム、硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物等を例示
することができる。アルミニウム硝酸塩としては、硝酸
アルミニウム、硝酸アルミニウム9水和物等を例示する
ことができる。アルミニウム塩化物としては、塩化アル
ミニウムや塩化アルミニウム6水和物等を例示すること
ができる。非水溶性アルミニウム塩基性塩としては、一
般式Al・(X)a・(OH)b・mH2 O(式中Xは
SO4 またはClを、a、b及びmはそれぞれ0.02
5≦a≦0.250、0.257≦b≦3.00、0≦
m≦2.0の数を表す。)で表されるものを例示するこ
とができる。アルカリ金属のアルミン酸塩としては、ア
ルミン酸カリウム、アルミン酸ナトリウムを例示するこ
とができる。
【0036】これらのアルミニウム供給成分は、単独で
もしくは2種以上混合して用いることができる。これら
のアルミニウム供給成分は、大気中での加熱により分解
して活性な酸化アルミニウムを発生するものであり、ア
ルミニウム供給成分として酸化アルミニウムを直接用い
る場合に比べてより低い温度もしくは短時間で反応を進
行させることができる。また、炭酸カリウムのように非
常に高い溶解性を有する溶融剤成分を必要としない。
【0037】カリウム供給成分の具体例としては、上述
のように、カリウムの塩化物、硫酸塩、臭化物の中から
選ばれる少なくとも1種類を用いることができる。カリ
ウムの塩化物としては、塩化カリウムを、硫酸塩として
は、硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、ピロ硫酸カリウ
ム、ピロ亜硫酸カリウムを、カリウムの臭化物として
は、臭化カリウムを、それぞれ例示することができる。
これらのカリウム供給成分は同時に溶融剤としても作用
する。
【0038】溶融剤としては、上記カリウムの塩化物、
硫酸塩、臭化物の中から選ばれた少なくとも1種を必須
成分として、アルカリ金属の塩化物、アルカリ金属の硫
酸塩、アルカリ金属の臭化物等を用いることができる。
アルカリ金属の塩化物としては、カリウムの塩化物に加
えて、塩化ナトリウム、塩化リチウムを例示することが
できる。アルカリ金属の硫酸塩としては、カリウムの硫
酸塩に加えて、硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム10水
和物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム7水和物、
ピロ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、硫酸リチ
ウム1水和物等を挙げることができる。アルカリ金属の
臭化物としては、カリウムの臭化物に加えて、臭化ナト
リウム、臭化リチウム等を挙げることができる。
【0039】チタン供給成分とアルミニウム供給成分の
割合としては、酸化チタンと酸化アルミニウムのモル比
で18:1〜22:5の割合で配合し、カリウム供給成
分と溶融剤の合計量を全重量%の30〜95重量%、好
ましくは50〜80重量%の範囲となるように添加する
ことが好ましい。またカリウムの塩化物、カリウムの硫
酸塩、カリウムの臭化物から選ばれる少なくとも1種類
と、その他のアルカリ金属の塩化物、アルカリ金属の硫
酸塩の中から選ばれる少なくとも1種類とを含めて、全
重量の70重量%以上となるように配合することが好ま
しい。
【0040】チタン供給成分、アルミニウム供給成分、
及び溶融剤(カリウム供給成分)の混合は、その方法に
おいて特に限定されるものではなく、混合後において、
各供給成分及び溶融剤が微細に分散されている状態であ
れば良好な原料粉末として使用できる。微細な分散の点
からは、混合と粉砕を兼ねた工程を有する方法により混
合することが好ましい。また、予め各供給成分及び溶融
剤を溶解分散させ、この溶液をスプレードライ乾燥、棚
段乾燥またはドラムドライヤー式乾燥等の方法で、水分
を蒸発乾固することにより各成分が均質に分散した原料
粉末としてもよい。
【0041】また、一般式Al・(X)a・(OH)b
・mH2 O(式中XはSO4 またはClを、a、b及び
mはそれぞれ0.025≦a≦0.250、0.257
≦b≦3.00、0≦m≦2.0の数を表す。)で示さ
れる非水溶性アルミニウム塩基性塩をアルミニウム供給
成分として用いる場合には、単に乾式混合でチタン供給
成分と溶融剤とを混合する以外に、その非水溶性を利用
し、チタン供給成分表面にアルミニウム供給成分である
アルミニウム塩基性塩を付着させたものを用いることが
できる。このものは、チタン供給成分の水分散液中で、
例えばアルミニウムの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、
水酸化物、アルコラート類からなる群より選ばれる少な
くとも1種と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属
炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、アンモニウムの炭
酸塩、及びアンモニウムの水酸化物よりなる群より選ば
れる少なくとも1種とを反応させて、チタン供給成分上
にアルミニウム塩基性塩を付着させる方法により得るこ
とができる。この方法により得られた混合物は、作製時
に副生した副生成塩を水洗し、または水洗せずに乾燥あ
るいはさらに溶融剤を加えた状態で乾燥を行う。溶融剤
を混合せずに乾燥した混合物は、乾式混合で所定量の溶
融剤を加え原料粉末とする。ここで用いるチタン供給成
分の組成、形状は、特に限定されるものではないが、好
ましくは表面積の大きな微細な粒子形状物または繊維形
状物が微細混合の面から好ましい。
【0042】上記混合物の加熱焼成に際して、その状
態、形状は、特に限定されるものではなく、例えば粉末
状態でそのまま加熱焼成する方法、顆粒化した後加熱焼
成する方法、シート状で加熱焼成する方法、またはブロ
ック状で加熱焼成する方法等が挙げられる。顆粒化した
後加熱焼成する方法としては、攪拌機能の付いたミキサ
ーまたはブレンダー内等で必要に応じて水分または加熱
により容易にガス化する有機バインダを添加しながら顆
粒化する方法を挙げることができる。シート状で焼成す
る方法としては、混合粉末を加圧状態でシート化する
か、水分または加熱により容易にガス化する有機バイン
ダを添加した後押出機等を用いてシート化する方法を挙
げることができる。ブロック状に成形して加熱成形する
方法としては、原料粉末をそのままもしくは水分または
加熱により容易にガス化する有機バインダを添加して成
形を容易にした後、所定の金型内に原料粉末を入れ、加
圧により成形しブロック状原料とする方法を挙げること
ができる。
【0043】所望の状態とした原料は、セラミック質等
の耐熱容器上に設置し、その耐熱容器とともにトンネル
キルンや電気炉等を用いて加熱焼成する方法等により加
熱焼成することができる。粉末のまま、もしくは顆粒化
した原料を用いる場合は、ロータリーキルンや流動焼成
法により焼成することもできる。シート状に成形した原
料を用いる場合は、セラミック質等の耐熱容器もしくは
耐熱板上等に設置し、連続的に加熱焼成する方法を採用
することができる。
【0044】加熱焼成条件としては、900〜1300
℃、好ましくは1000〜1200℃で10分〜10時
間程度、好ましくは、30分〜5時間程度加熱した後、
室温で冷却する。この際、焼成温度が低すぎると、原料
粉末が未反応のまま残ってしまうため、目的物の単一相
のウィスカーが得られず好ましくない。また焼成温度が
高すぎるとウィスカー間の溶着、アスペクト比の低下、
結晶の粗大化及び多結晶化が起こるので好ましくない。
【0045】以上の第一の方法及び第二の方法もしくは
その他の方法により得られたチタン酸アルミン酸カリウ
ムウィスカーは、必要に応じて熱水、温水、希酸水溶
液、希アルカリ水溶液により水溶性成分を溶解した後、
ろ別、水洗、乾燥し、好ましくは分級することにより不
純物が除去され、繊維形状の整った微細なチタン酸アル
ミン酸カリウムウィスカーとすることができる。
【0046】本発明の導電性樹脂組成物は、上記本発明
の導電性繊維または上記本発明の製造方法で製造された
導電性繊維と結合剤からなることを特徴としている。結
合剤は、その用途や目的に応じて、熱可塑性樹脂、熱硬
化性樹脂等の合成高分子化合物、天然樹脂及びその誘導
体、カップリング剤、無機質結合剤、有機高分子化合物
のエマルジョン等から適宜選択して使用される。
【0047】熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂等の汎用のプラスチ
ックの他、ポリアミド、ABS樹脂、熱可塑性ポリエス
テル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニ
レンサルフェイド、ポリフェニレンエーテル、ポリサル
フォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン等の全てのエンジニア
リングプラスチックを挙げることができる。
【0048】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不
飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール樹脂、
アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート
ホモポリマー、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリア
ミド、尿素、及びメラミン含有樹脂、及びポリウレタン
等を挙げることができる。
【0049】これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種
以上を組み合わせて併用してもよい。さらに、いわゆる
ポリマーアロイとして、ポリカーボネートとABS樹
脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンなど、数種
類の異なった樹脂を予め複合したものを用いてもよい。
【0050】天然樹脂としては、具体的にはバルサムゴ
ム樹脂等を例示することができる。天然樹脂の誘導体と
しては、具体的には天然樹脂変性フェノール樹脂等を例
示することができる。カップリング剤としては、シラン
系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系、
ジルコアルミニウム系、クロム系、ボロム系、リン系、
及びアミノ酸系カップリング剤等の全てのものを挙げる
ことができ、特に限定されるものではない。無機質結合
剤としては、具体的には、水ガラス、シリカゾル、アル
ミナゾル、アルミナ−シリカゾル等を例示することがで
きる。また有機高分子化合物のエマルジョンとしては、
具体的にはポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル共
重合体エマルジョン、アクリル酸エステル共重合体エマ
ルジョン、塩化ビニリデン共重合体エマルジョン、ポリ
エチレンエマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン等を
例示することができる。
【0051】また、本発明の導電性樹脂組成物には、必
要に応じて、タルク、マイカ、ワラストナイト、炭酸カ
ルシウム等の充填剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の補
強材、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、熱安定
剤、難燃剤等を適宜添加してもよい。
【0052】本発明の導電性樹脂組成物の製造において
は、通常の混合操作、例えばバンバリミキサー法、イン
ターナルミキサー法、押出造粒法等の混合方法を適宜採
用することができる。
【0053】本発明の導電性樹脂組成物における導電性
繊維の配合量は、導電性を付与する目的及び用途に応じ
て適宜設定されるものであるが、一般には、5〜60重
量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜50重量%
である。配合量が少なすぎると、導電性樹脂組成物に十
分な導電性を付与することができず、また配合量が多す
ぎると、成形性等が悪くなり好ましくない。
【0054】本発明の導電性樹脂組成物は、例えば、導
電性塗料、インキ、電気メッキ用複合材料、静電気帯電
防止用材料、静電記録材料、電磁波シールド材料等の各
種導電性複合材料に好適に使用され得るものである。
【0055】
【発明の効果】本発明の導電性繊維は、芯材としてチタ
ン酸アルミン酸カリウム繊維を用いているため、不純物
としてのアルカリ金属イオンがほとんど含まれず、アル
カリ金属イオンの溶出が少ない。このため、耐熱性及び
耐薬品性に優れ、複合材料として用いた場合のチタン酸
アルミン酸カリウム繊維の補強性及び表面平滑性等の特
徴を有するものである。
【0056】従って、帯電防止、静電気除去、導電性材
料等としての用途に適しており、特にプラスチック成形
品、シート、紙、布巾、フィルム等の導電性材料とし
て、用いることができるものである。
【0057】さらに本発明の導電性繊維は、プラスチッ
クの補強材、導電性塗料、インキ、電気メッキ用複合材
料、静電気帯電防止用材料、静電記録材料、電磁波シー
ルド材料等の各種の導電性複合材料に適用することがで
きる。
【0058】
【実施例】以下に、チタン酸アルミン酸カリウム繊維の
製造例を説明し、得られたチタン酸アルミン酸カリウム
繊維を用いて、実施例及び比較例により、本発明を具体
的に説明する。なお、以下の実施例により本発明の範囲
が限定されるものではない。以下において、%は重量%
を示す。
【0059】製造例1 6チタン酸カリウム繊維(大塚化学社製、商品名:TI
SMO−N)200gを、水2.5リットルに分散させ
た後、重炭酸アンモニウム228.4gを添加し、塩化
アルミニウム6水和物188.5gを水に溶解して40
0mlとした溶液を攪拌しながらゆっくりと加えて反応
させた。この間、反応温度を30〜40℃に保持して、
3時間反応を続行した。反応終了後、反応液のpHは
7.4であった。次に、反応物を濾過し、水で洗浄して
不純物を除去し、80℃で乾燥した。乾燥物として26
3.0gが得られた。この乾燥物を分析した結果、酸化
アルミニウム換算で15.1%、硫酸塩として0.00
3%、及び強熱減量が8.09%である、水酸化アルミ
ニウム化合物により被覆された6チタン酸カリウムであ
った。
【0060】この水酸化アルミニウム化合物により被覆
された6チタン酸カリウム繊維に、フラックス原料(溶
融剤)として、硫酸カリウム(K2 SO4 )を重量比で
1:4となるように添加し乳鉢で十分に混合した後、加
圧成形し、1150℃で3時間焼成した。焼成後800
℃の温度まで5℃/分の速度で冷却し、その後炉冷によ
り室温まで冷却し、焼成物を得た。焼成物は、水中で煮
沸し、水洗、濾別、乾燥することにより、黄淡色粉末を
得た。このものはX線回折、及び元素分析からK2.0
2.0 Ti6.0 16の組成を有し、繊維径2μm、繊維
長30μmのチタン酸アルミン酸カリウム繊維であっ
た。また、ほとんど気孔を有しないものであった。
【0061】製造例2 焼成後の冷却を、炉内から取り出し、冷水中にて急冷し
た以外は、上記製造例1と同条件で行い、黄淡色粉末を
得た。このものはX線回折及び元素分析からK 2.0 Al
2.0 Ti6.0 16の組成を有しており、繊維径2μm、
繊維長30μmで、全体積に対し結晶中約50体積%の
気孔を有するチタン酸アルミン酸カリウム繊維であっ
た。
【0062】製造例3 8チタン酸カリウム繊維(大塚化学社製、商品名:TI
SMO−D)200gを、水2.5リットルに分散させ
た後、硫酸アルミニウム18水塩47.3gを水に溶解
させて110mlとした溶液と、アルミン酸ナトリウム
(Na2 O・Al2 3 )16.6gと水酸化ナトリウ
ム5.2gを溶解して100mlとした溶液を20〜3
0℃の温度で攪拌しながら、上記両液を反応液がpH7
〜9の中性域を示すようにゆっくりと加え、反応を5時
間行った。反応終了後、反応液のpHは7.2であっ
た。次に、反応物を濾過し、水で洗浄して不純物を除去
し、90℃で乾燥した。乾燥物として238.8gが得
られた。この乾燥物を分析した結果、酸化アルミニウム
換算で7.36%、硫酸塩として3.31%及び強熱減
量が5.19%である塩基性硫酸アルミニウム化合物に
より被覆された8チタン酸カリウム繊維であった。
【0063】この塩基性硫酸アルミニウム化合物により
被覆された8チタン酸カリウム繊維に、フラックス原料
(溶融剤)として塩化カリウム(KCl)と硫酸カリウ
ム(K2 SO4 )をモル比で1:3となるように混合
し、この混合粉末を8チタン酸カリウム繊維に対して、
重量比で1:9となるように添加し、乳鉢で十分に混合
した後、加熱成形し、1250℃で3時間焼成した。焼
成後800℃の温度まで1℃/分の速度で冷却し、その
後炉冷により室温まで冷却し、焼成物を得た。焼成物を
水中で煮沸し、水洗、濾別、乾燥することにより、黄淡
色粉末を得た。このものはX線回折及び元素分析から、
1.0 Al1.0 Ti7.0 16の組成を有し、繊維径3μ
m、繊維長50μmのチタン酸アルミン酸カリウム繊維
であった。また、ほとんど気孔を有しないものであっ
た。
【0064】実施例1 上記製造例1で得られたチタン酸アルミン酸カリウム繊
維(K2.0 Al2.0 Ti6.0 16)5gを、50mlの
白金製るつぼに入れ、シリコニット製の管状電気炉内に
設置し、窒素ガス置換を2度繰り返し行った後、窒素ガ
スを150ml/分の流量で導入しながら、室温から5
00℃まで昇温速度6℃/分で加熱した。次いで、導入
するガスをプロパンガスに切り換え、プロパンガスを流
量120ml/分の割合で導入しながら、850℃、1
100℃または1200℃までそれぞれ昇温させ、それ
ぞれの温度で30分間保持した後、プロパンガスを切
り、窒素ガスを流しながら室温まで炉冷した。その後炉
外に取り出した。黒色に帯色した導電性を有するチタン
酸アルミン酸カリウム繊維が得られた。
【0065】得られたカーボン導電層で被覆されたチタ
ン酸アルミン酸カリウム繊維は、5.5gであったの
で、カーボン導電層の重量は0.5gであり、従って全
体の9.1重量%のカーボン導電層で被覆されているこ
とになる。
【0066】実施例2 上記製造例2で得られたチタン酸アルミン酸カリウム繊
維(K2.0 Al2.0 Ti6.0 16)5gを、50mlの
白金製るつぼに入れ、シリコニット製の管状電気炉内に
設置し、窒素ガス置換を2度繰り返し行った後、窒素ガ
スを150ml/分の流量で導入しながら、室温から5
00℃まで昇温速度6℃/分で加熱した。次いで、導入
するガスを水素ガスに切り換え、水素ガスを流量120
ml/分の割合で導入しながら、800℃まで昇温させ
た。次に、水素ガス導入管に予め設けられた分岐管を介
してベンゼンガスを50ml/分の割合で30分間導入
し、その間、管状電気炉を、850℃、1100℃また
は1200℃まで昇温させ、それぞれの温度で10分間
保持した後、電気炉の電源を切って水素ガスを流したま
ま炉冷した。温度が300℃まで降下した時点で導入ガ
スを窒素ガスに切り換えて室温まで炉冷し、炉外に取り
出した。黒色に帯色した導電性を有するチタン酸アルミ
ン酸カリウム繊維が得られた。
【0067】得られたカーボン導電層で被覆されたチタ
ン酸アルミン酸カリウム繊維は、5.5gであったの
で、カーボン導電層の重量は0.5gであり、従って全
体の9.1重量%のカーボン導電層で被覆されているこ
とになる。
【0068】実施例3 上記製造例3で得られたチタン酸アルミン酸カリウム繊
維(K1.0 Al1.0 Ti7.0 16)5gを、50mlの
白金製るつぼに入れ、シリコニット製の管状電気炉内に
設置し、上記実施例2と同じ条件で処理を行い、黒色に
帯色した導電性を有するチタン酸アルミン酸カリウム繊
維が得られた。
【0069】得られたカーボン導電層で被覆されたチタ
ン酸アルミン酸カリウム繊維は、5.5gであったの
で、カーボン導電層の重量は0.5gであり、従って全
体の9.1重量%のカーボン導電層で被覆されているこ
とになる。
【0070】比較例1 6チタン酸カリウム繊維(大塚化学社製、商品名:TI
SMO−N、K2 O・6TiO2 )5gを、50mlの
白金製るつぼに入れ、シリコニット製の管状電気炉内に
設置し、上記実施例2と同じ条件で処理を行うことによ
り、黒色に帯色した導電性を有する6チタン酸カリウム
繊維を得た。得られたカーボン導電層で被覆された6チ
タン酸カリウム繊維は5.5gであったので、カーボン
導電層の重量は0.5gであり、全体の9.1重量%で
あった。
【0071】比較例2 ホウ酸アルミニウム繊維(四国化成工業社製、商品名:
アルボレックスY、9Al2 3 ・2B2 3 )5g
を、50mlの白金製るつぼに入れ、シリコニット製の
管状電気炉内に設置し、上記実施例2と同じ条件で処理
を行うことにより、黒色に帯色した導電性を有するホウ
酸アルミニウム繊維を得た。得られたカーボン導電層を
有するホウ酸アルミニウム繊維は5.2gであったの
で、カーボン導電層の重量は0.2gであり、全体の
3.8重量%であった。
【0072】試験例1 上記各実施例及び比較例で得られたそれぞれの導電性物
質90重量部と、流動パラフィン10重量部を乳鉢でよ
く混合した後、内径10mm、長さ20mmの金型を用
いて、50kg/cm2 の条件で10分間加圧し成形し
た後、デジタルマルチメーター(アドバンテスト社製)
を用いて導電性を測定し、体積抵抗率を下式に従って換
算し算出した。この結果を表1に示す。 体積抵抗率(Ω・cm)=測定抵抗(Ω)×電極面積
(cm2 )/電極間距離(cm)
【0073】試験例2 上記各実施例及び比較例で得られたそれぞれの導電性物
質1gに60mlの蒸留水を加えて、50℃で20分間
攪拌した後、濾紙(No.5C)で濾過し、その濾液を
蒸留水で100mlに希釈し、この希釈水を用いてKイ
オンをそれぞれ炎光分析装置で測定し、遊離K成分を求
めた。この結果を表1に示す。
【0074】試験例3 上記各実施例及び比較例で得られたそれぞれの導電性物
質を電子顕微鏡試料台上に均一に分散し、倍率1000
倍でそれぞれの導電性物質を電子顕微鏡で撮影した。さ
らに印画紙に焼き付ける段階で、最終倍率3000倍に
引き伸ばし、写真上の導電性物質の繊維長さ、径または
粒子径をノギス(最少測定値1/100mm)を用いて
測定した。500個の平均値をその平均繊維長さ、平均
繊維径または平均粒子径とした。この測定結果を表1に
示す。
【0075】
【表1】
【0076】実施例4 上記各実施例と同様にして作製したそれぞれの導電性物
質を、表2に示す各種結合剤に添加混合してシート化
し、その表面抵抗を測定した。表面抵抗率は次式により
測定した。
【0077】 表面抵抗率(Ω)=π・(D+d)・Rs/(D−d) π :円周率=3.14 D :表面の環状電極の内径(cm) d :表面電極の内円の外径(cm) Rs:表面抵抗測定値(Ω)
【0078】また上記各実施例と同様にして作製したそ
れぞれの導電性物質を、表3に示す各種結合剤と混練し
た後、JIS法に準拠して試験片を作製し、引張強さ
(JIS−K−7113)、曲げ強さ(JIS−K−7
203)についてそれぞれ測定した。測定結果を表3に
示す。
【0079】シリコン樹脂としては商品名「シリコーン
・レジン」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
を用い、ウレタン樹脂としては商品名「Vトップ」(大
日本塗料社製)を用い、フッ素樹脂としては商品名「ネ
オフロン」(ダイキン工業社製)を用い、エポキシ樹脂
としては商品名「アラルダイト」(チバ・ガイギー社
製)を用いた。
【0080】ポリアセタール樹脂としては商品名「ジュ
ラコン」(ポリ・プラスチックス社製)を用い、6−ナ
イロン樹脂としては商品名「ウベナイロン」(宇部興産
社製)を用い、PBT樹脂として商品名「ジュラネック
ス」(ポリ・プラスチックス社製)を用いた。
【0081】比較例3 上記各比較例と同様にして作製した導電性物質を上記実
施例4と同様にして、各種結合剤に混練した後、上記実
施例4と同様にして表面抵抗を測定した。また上記実施
例4と同様にして引張強さ及び曲げ強さを測定した。そ
れぞれの結果を表3に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】表1の結果から明らかなように、本発明の
導電性繊維は、比較例1及び比較例2と同等あるいはそ
れ以上の導電性を有しており、また1200℃の高い温
度で処理しても、ほとんどアスペクト比が低下しないこ
とがわかる。また比較例1に比べ、遊離のK成分が少な
いことがわかる。
【0085】表2から明らかなように、本発明の実施例
1〜3の導電性繊維は、各種結合剤に配合して、優れた
導電性が得られることがわかる。特に、1200℃の高
い温度で処理したものが、優れた導電性を示している。
【0086】表3から明らかなように、本発明に従う実
施例1〜3の導電性繊維は、補強効果においても、各種
エンジニアリングプラスチックに配合して、高い引張強
さ及び曲げ強さを与えることがわかる。特に1200℃
の高い温度で処理したものでも、アスペクト比の低下が
少ないため、比較例1及び比較例2の導電性繊維に比べ
優れた補強効果を示している。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式KX AlX Ti8-X 16(0.8
    ≦X≦2.5)で示される組成を有するチタン酸アルミ
    ン酸カリウム繊維を、カーボン導電層で被覆したことを
    特徴とする導電性繊維。
  2. 【請求項2】 チタン酸アルミン酸カリウム繊維が、7
    0体積%以下の気孔を有するチタン酸アルミン酸カリウ
    ム繊維である請求項1に記載の導電性繊維。
  3. 【請求項3】 化学式KX AlX Ti8-X 16(0.8
    ≦X≦2.5)で示される組成を有するチタン酸アルミ
    ン酸カリウム繊維を、炭化水素雰囲気または炭化水素と
    還元性ガス及び/または不活性ガスとの混合ガス雰囲気
    中で加熱焼成することにより、前記チタン酸アルミン酸
    カリウム繊維の表面にカーボン導電層を形成することを
    特徴とする導電性繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱焼成の温度が、使用する炭化水素の
    分解(カーボン析出)温度以上1300℃以下の範囲内
    の温度である請求項3に記載の導電性繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 チタン酸アルミン酸カリウム繊維とし
    て、70体積%以下の気孔を有するチタン酸アルミン酸
    カリウム繊維を用いる請求項3または4に記載の導電性
    繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 炭化水素が脂肪族炭化水素または芳香族
    炭化水素である請求項3〜5のいずれか1項に記載の導
    電性繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 還元性ガスが、水素ガス、一酸化炭素ガ
    ス、またはアンモニアガスである請求項3〜6のいずれ
    か1項に記載の導電性繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1もしくは2に記載の導電性繊維
    または請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法により
    製造された導電性繊維と結合剤からなる導電性樹脂組成
    物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001051565A1 (fr) * 2000-01-14 2001-07-19 Otsuka Chemical Co., Ltd. Composition a base de resine electriquement conductrice

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