JPH0959265A - 光学活性オキサゾリジノン、その製造方法、製造の中間体および不斉補助基としての利用 - Google Patents

光学活性オキサゾリジノン、その製造方法、製造の中間体および不斉補助基としての利用

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JPH0959265A
JPH0959265A JP21225295A JP21225295A JPH0959265A JP H0959265 A JPH0959265 A JP H0959265A JP 21225295 A JP21225295 A JP 21225295A JP 21225295 A JP21225295 A JP 21225295A JP H0959265 A JPH0959265 A JP H0959265A
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Kazuhiko Saigo
和彦 西郷
Atsushi Sudo
篤 須藤
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 不斉合成において利用範囲の広い不斉補助基
を提供し、種々の光学活性化合物の製造を容易にする。 【解決手段】 アミノアルコール(シス−2−アミノ−
3,3−ジメチル−1−インダノール)を対応するオキ
シムのNaBH4を用いた還元により合成し、そのマン
デル酸による光学分割により得られる光学活性体を、下
式(5a)で代表されるオキサゾリジノン(7,8−ベ
ンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ−4−アザ−2−
オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン)に導き、これ
を不斉補助基として利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オキサゾリジノン
の誘導体である新規化合物7,8−ベンゾ−6,6−ジ
メチル−3−オキソ−4−アザ−2−オキサビシクロ
〔3.3.0〕オクタン、とくにその光学活性体および
その製造方法に関する。 この光学活性なオキサゾリジ
ノン誘導体製造の中間体であるシス−2−アミノ−3,
3−ジメチル−1−インダノールもそれ自体新規な化合
物であって、その製造方法とともに、本発明の一部をな
す。 本発明はまた、上記の光学活性なオキサゾリジノ
ン誘導体を不斉補助基として利用して、種々の光学活性
な化合物を合成する方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】2−アミノ−3,3−ジメチル−1−イ
ンダノールの製造方法は、シェーリング社のドイツ連邦
特許第940,045号(1956)に記載されてい
る。 その方法は、3,3−ジメチル−1−インダノン
に亜硝酸アルキルを作用させて、オキシムである2−
(ヒドロキシイミノ)−3,3−ジメチル−1−インダ
ノンをつくり、これをラネーニッケル触媒を用いた水素
還元によりアミノアルコールとするものである。 ただ
し、生成物のシス/トランス選択性については上記特許
明細書に記載がなく、シス/トランス混合物であると考
えられる。
【0003】発明者らは、2−(ヒドロキシイミノ)−
3,3−ジメチル−1−インダノンからシス/トランス
選択性をもって2−アミノ−3,3−ジメチル−1−イ
ンダノールを製造することを意図して研究し、まず活性
炭担持パラジウム触媒によるエタノール溶媒中の水素還
元を試みたが、反応生成物は複雑で、所望のアミノアル
コールは得られなかった。 水素化リチウムアルミニウ
ムによるテトラヒドロフラン中での還元、およびボラン
による還元(上記オキシムをアセテートにして)は、と
もにアミノアルコールを与えたが、生成物質はいずれも
シス/トランス混合物であって、選択性は得られなかっ
た。 今回、水素化ホウ素ナトリウムによる還元が、ほ
ぼ完全なシス選択性をもってヒドロキシアミノアルコー
ルを与え、これをジアセテートとした後にボラン還元す
るとシス−アミノアルコールが得られることを見出し
た。
【0004】上記2−アミノ−3,3−ジメチル−1−
インダノールのシス/トランス混合比は、この化合物を
N,O−ジアセチル体すなわち酢酸2−アセトアミド−
3,3−ジメチル−1−インダニルに誘導することによ
り、クロマトグラフィー的手法により求めることができ
る。 水素化ホウ素ナトリウムによる還元がシス選択的
に行なわれることも、この手法で確認された。
【0005】続いて発明者らは、シス−2−アミノ−
3,3−ジメチル−1−インダノールの光学分割を試
み、光学活性なマンデル酸を分割剤として使用してジア
ステレオマー塩を形成することにより、ホモキラルな上
記インダノールを得ることに成功した。
【0006】さらに発明者らは、このホモキラルなイン
ダノールから新規な光学活性オキサゾリジノンを合成す
る方法を開発し、そのN−アシル体のリチウムエノラー
トに種々のハロゲン化アルキルを作用させる不斉アルキ
ル化を行ない、対応するアルキル化生成物を高いジアス
テレオ選択性をもって得ることに成功した。 この生成
物を過水酸化リチウム水溶液で加水分解することによ
り、光学活性なα−置換カルボン酸とオキサゾリジノン
とが定量的に得られることを知った。 このことは、上
記の新規な光学活性オキサゾリジノンが不斉合成におけ
る不斉補助基、いわゆるテンプレートとして有用な化合
物であることを示す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発明
者が得た上述の諸知見を活用し、まず新規化合物である
シス−2−アミノ−3,3−ジメチル−1−インダノー
ルの合成法を提供すること、次にこのインダノールから
出発してオキサゾリジノン誘導体である新規化合物7,
8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ−4−アザ
−2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタンの光学活
性体を製造する方法を提供すること、そしてこのオキサ
ゾリジノン誘導体を不斉補助基として利用し、光学活性
な化合物を製造する手法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本発明の第一
の目的であるシス−2−アミノ−3,3−ジメチル−1
−インダノールは、下記の式(rac−3)であらわされ
る。
【0009】
【化8】
【0010】上式の化合物において、光学活性体は下式
(3a)または(3b)の構造を有するもの、すなわち
(1R,2S)−体および(1S,2R)−体である。
【0011】
【化9】
【0012】前記の式(rac−3)のシス−2−アミノ−
3,3−ジメチル−1−インダノールを製造する方法
は、下式(1)の2−(ヒドロキシイミノ)−3,3−
ジメチル−1−インダノン
【0013】
【化10】
【0014】に水素化ホウ素ナトリウムNaBH4 を作
用させて還元することからなる。 具体的な手法として
は、前記の式(1)の2−(ヒドロキシイミノ)−3,
3−ジメチル−1−インダノンのNaBH4による還元
によりシス−2−(ヒドロキシアミノ)−3,3−ジメ
チル−1−インダノールを得、これに無水酢酸を作用さ
せて酢酸シス−2−(アセトキシアミノ)−3,3−ジ
メチル−1−インダニルとし、続いてボランを作用させ
てアセチル基およびアセトキシ基を離脱させてシス−2
−アミノ−3,3−ジメチル−1−インダノールとする
ことからなる。
【0015】光学活性なシス−2−アミノ−3,3−ジ
メチル−1−インダノールの製造方法は、前記の式(ra
c−3)であらわされるシス−2−アミノ−3,3−ジメ
チル−1−インダノール(ラセミ体)を溶媒中で光学活
性なマンデル酸と反応させ、生成するジアステレオマー
塩をその溶解度の差によって分離し、得られたジアステ
レオマー塩からアミン成分を単離することからなり、こ
れによりホモキラルな化合物が得られる。
【0016】上記のホモキラルなアミノアルコールを原
料として合成される本発明のオキサゾリジノン誘導体
は、7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ−
4−アザ−2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン
であって、下記の式(5a)または(5b)であらわさ
れ、
【0017】
【化11】
【0018】後記する実施例で得られる光学活性体は、
式(5a)の(1R,5S)−体の構造を有する。
【0019】式(5a)および(5b)であらわされる
化合物の製造方法は、前記の式(rac−3)のシス−2−
アミノ−3,3−ジメチル−1−インダノールを光学分
割して得られる光学活性体に、炭酸エステルを作用させ
ることからなる。
【0020】上記のオキサゾリジノン誘導体を不斉補助
基として利用し、光学活性なカルボン酸誘導体を製造す
る方法は、前記の式(5a)または(5b)の7,8−
ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ−4−アザ−2
−オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタンに、アルキル
リチウムを作用させた後にカルボン酸ハライドを作用さ
せて、下式(6a)または(6b)であらわされる4−
アシル−7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オキ
ソ−4−アザ−2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オク
タンを得、
【0021】
【化12】
【0022】これに対し、リチウムジアルキルアミドを
作用させた後にRX〔Rは各種アルキル基をあらわし、
Xはハロゲン原子をあらわす。〕を作用させて、下式
(7a)または(7b)で代表される、α−位がジアス
テレオ選択的に炭化水素基で置換された化合物を得、
【0023】
【化13】
【0024】ついでこれに過水酸化リチウムを作用させ
ることにより不斉補助基を除去して、下式(8a)また
は(8b)であらわされる光学活性なカルボン酸誘導体
を得ることからなる。
【0025】
【化14】
【0026】オキサゾリジノンのN−アシル体たとえば
N−プロピオニル体へのジアステレオ選択的アルキル化
は、Evans et al,J.Am.Chem.Soc.,1982 104 1737
−1739 に報告されている。 その反応、収率およびジ
アステレオマー比(DR)は下記のとおりであって、
【0027】
【化15】
【0028】 RX 収率% DR(10:エピマー) ヨウ化エチル 36 96:4 臭化アリル 71 98:2 臭化ベンジル 92 >99:1 後記する実施例にみるとおり、本発明の方法は収率およ
び選択性に関して、この既知のジアステレオ選択的アル
キル化よりすぐれている。
【0029】前記の式(5a)および(5b)であらわ
されるオキサゾリジノンは、その合成法から当然に理解
されるように、同等に入手可能であって、必要に応じて
使い分けることができる。 すなわち、これらの化合物
のN−アシル体への不斉アルキル化により、α−置換カ
ルボン酸の両対掌体をつくり分けることができる。これ
らはいずれも、従来試みられて来た天然物から誘導した
キラルテンプレートを用いる手法では実現できないとこ
ろであり、本発明の方法に広汎な用途を約束する特徴で
ある。
【0030】本発明のキラルテンプレートの不斉合成へ
の利用可能性に関して、上述したアルキル化のほかに、
つぎの例を挙げることができる。
【0031】1)式(6a)または(6b)の化合物の
金属エノラートと種々のアルデヒド、ケトンとの不斉ア
ルドール反応を行なった後、不斉補助基を脱離すること
からなる光学活性β−ヒドロキシカルボン酸の合成。
【0032】
【化16】
【0033】2)式(5a)または(5b)の化合物の
金属アミドと塩化クロトノイルとから得られるN−クロ
トノイルオキサゾリジノンに対する、アルキル銅試薬の
不斉マイケル付加反応。
【0034】
【化17】
【0035】上述の合成反応および光学分割の操作は、
いずれも有機化学において知られている技術に従って実
施すればよい。 溶媒、温度、時間などに関して適切な
反応条件は、以下に記す実施例を参考にして、当業技術
者が容易に決定できるであろう。
【0036】〔実施例1〕 2−(ヒドロキシイミノ)−3,3−ジメチル−1−イ
ンダノンからのシス−2−アミノ−3,3−ジメチル−
1−インダノールの合成
【0037】
【化18】
【0038】2−(ヒドロキシイミノ)−3,3−ジメチ
ル−1−インダノン(1)6.34g(33.5mmol)
のメタノール溶液150mlを0℃に冷却し、それに水素
化ホウ素ナトリウム5.07g(134mmol)を加え、
その温度で1時間撹拌した。さらに室温において1.5
時間撹拌した後、反応混合物を氷冷した2M塩酸500
mlに加えて反応を停止した。 この混合溶液に3M水酸
化ナトリウム水溶液を300ml加え、ジクロロメタン各
400mlにより5回抽出を行なった。 有機層を硫酸ナ
トリウムで乾燥し、濾過した後に溶媒を留去することに
より、粗シス−2−(ヒドロキシアミノ)−3,3−ジ
メチル−1−インダノールを得た。
【0039】これをピリジン100mlに溶解し、その溶
液に無水酢酸50mlを加え、12時間放置した。 ピリ
ジンおよび過剰の無水酢酸を減圧下に留去した後、ジク
ロロメタン500mlを加え、水100mlで3回洗い、有
機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。 これを濾過し、溶
媒を減圧下に留去し、得られた固体をヘキサン500ml
を用いて再結晶させることにより、酢酸シス−2−(ア
セトキシアミノ)−3,3−ジメチル−1−インダニル
(2)6.74g(24.3mmol,73%)を得た。
【0040】 白色柱状晶:融点114.0−114.5℃。 IR(KBr) 3450,2890,1764,17
38,1375,1238,940,768cm-11 H−NMR(60MHz,CDCl3)δ 1.7(3
H,s),1.8(3H,s),2.2(3H,s),
2.3(3H,s),3.3(1H,br),6.8(1
H,s),7.13−7.77(4H,m),11.6
(1H,br)。
【0041】アルゴン雰囲気下、0℃において、式
(2)の化合物5.54g(20.0mmol)に対してボ
ラン−THF錯体(1M−THF溶液80ml,80mmo
l)を加え、その温度で1時間撹拌し、さらに2時間加
熱環流させた。 その後、0℃において1M塩酸300
mlを加え、反応を停止した。 さらに30分間撹拌し、
完全にボランが分解した後、反応混合物に3M水酸化ナ
トリウム水溶液を200ml加え、ジクロロメタン各15
0mlにより5回抽出を行なった。 有機層を硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、濾過した後に溶媒を留去し、得られた固
体を、ヘキサン55mlとベンゼン35mlの混合溶媒を用
いて再結晶することにより、シス−2−アミノ−3,3
−ジメチル−1−インダノール(rac−3)3.00g
(16.9mmol,85%)を得た。
【0042】 白色板状結晶:融点108.5−109.0℃。 IR(KBr) 3200,2950,2900,15
80,995,770,760cm-11 H−NMR(270MHz,CDCl3)δ 1.21
(3H,s),1.23(3H,s),1.80−2.
50(3H,brs),3.21(1H,brd),4.93
(1H,brd),7.19−23(4H,m)。
【0043】〔実施例2〕 シス−2−アミノ−3,3−ジメチル−1−インダノー
ルの光学分割
【0044】
【化19】
【0045】実施例1で合成したシス−2−アミノ−
3,3−ジメチル−1−インダノール2.34g(1
3.2mmol)と(S)−(+)−マンデル酸2.01g
(13.2mmol)とをメタノール30ml中で混合し、メ
タノールを減圧下に留去して得られる塩にエタノール3
3mlを加え、加熱環流して完全に溶解させた。 温度約
40℃において(1R,2S)−シス−2−アミノ−
3,3−ジメチル−インダノールの(S)−(+)−マ
ンデル酸塩を約2mg加え、室温で1時間、さらに0℃に
冷却して30分間放置し、析出した結晶を吸引濾過し
た。 これをさらにエタノール26mlから再結晶するこ
とにより、(1R,2S)−シス−2−アミノ−3,3
−ジメチル−1−インダノール・(S)−(+)−マン
デル酸塩すなわち上記の式(4)の化合物1.48g
(34%)を得た。
【0046】 白色針状晶:融点202.0−202.5℃。 〔α〕589 20.4+38.7゜(c 2.02,MeOH)。 IR(KBr) 3480,3100,1605,15
68,1540,1403,1062,760cm-11 H−NMR(270MHz,DMSO−d6)δ 1.2
0(3H,s),1.29(3H,s),3.34(1
H,d,J=6.2),4.64(1H,s),5.00
(1H,d,J=6.2),5.2−6.9(5H,b
r),7.10−7.42(9H,m)。
【0047】上記マンデル酸塩に2M水酸化ナトリウム
水溶液200mlを加え、ジクロロメタン50mlで6回抽
出し、あわせた有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥
し、濾過、溶媒の留去により、(1R,2S)−(−)
589−シス−2−アミノ−3,3−ジメチル−1−イン
ダノール542mg(96%)を得た。
【0048】 〔α〕589 18.0−16.8゜(c 1.00,MeOH)。
【0049】(1R,2S)−(−)589−シス−2−ア
ミノ−3,3−ジメチル−1−インダノールをピリジン
−無水酢酸混合溶媒に溶解し、12時間放置した後、溶
媒を減圧下に留去し、分取薄層クロマトグラフィー(展
開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製す
ることにより、酢酸(1R,2S)−シス−2−アセト
アミド−3,3−ジメチル−1−インダニルを得た。
ダイセルChiralcel OD(展開溶媒:ヘキサン/2−プ
ロパノール=9/1)を用いた高速液体クロマトグラフ
ィーによる分析の結果、その光学純度は100%e.e.で
あった。 上式(4)のジアステレオマー塩の単結晶X
線結晶構造解析により、アミノアルコールの絶対立体配
置を、式(3a)のように決定した。
【0050】〔実施例3〕 (1R,2S)−シス−2−アミノ−3,3−ジメチル
−1−インダノールからの(1R,5S)−7,8−ベ
ンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ−4−アザ−2−
オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタンの合成
【0051】
【化20】
【0052】実施例2で得た(1R,2S)−(−)−
シス−2−アミノ−3,3−ジメチル−1−インダノー
ルの542mg(3.06mmol)に炭酸カリウム30mgお
よび炭酸ジエチル4mlを加え、7時間加熱環流させた。
炭酸ジエチルを減圧下に留去し、得られた混合物をゲ
ル濾過し、さらにヘキサン10mlと酢酸エチル5mlから
なる混合溶媒から再結晶することにより、(1R,5
S)−7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ
−4−アザ−2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタ
ン603.2mg(2.97mmol,97%)を得た。
【0053】 白色柱状晶:融点164.0−164.5℃。 〔α〕589 20.4+179゜(c 5.00,CHCl3)。 IR(KBr) 3240,2975,1740,13
80,1242,1020,710cm-11 H−NMR(60MHz;CDCl3)δ 1.2(3H,
s),1.3(3H,s),4.3(1H,d,J=7.
2),6.5(1H,d,J=7.2),7.1−7.7
(5H,m)。
【0054】〔実施例4〕 (1R,5S)−7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−
3−オキソ−4−アザ−2−オキサビシクロ〔3.3.
0〕オクタンのN−プロピオニル誘導体の合成
【0055】
【化21】
【0056】実施例3で合成した(1R,5S)−7,
8−ベンゾー6,6−ジメチル−3−オキソ−4−アザ
−2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタンの30
6.4mg(1.508mmol)をTHF(3ml)に溶解
し、その溶液に対し、アルゴン雰囲気下に温度−78℃
においてブチルリチウムのヘキサン溶液(1.69M)
を1.05ml(1.77mmol)加え、この温度で10分
間撹拌した。 そこへプロピオン酸クロリド0.17g
(1.8mmol)を加え、ひき続き−78℃において30
分間撹拌した後、温度を0℃に高めてさらに30分間撹
拌し、その後、飽和塩化アンモニウム水溶液5mlを加え
ることにより反応を停止させた。 反応混合物を酢酸エ
チル各10mlで3回抽出し、溶媒を減圧下に留去した後
にゲル濾過し、さらに溶媒を減圧下に留去して得られる
固体をヘキサン4mlから再結晶することにより、(1
R,5S)−7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−
オキソ−4−プロピオニル−4−アザ−2−オキサビシ
クロ〔3.3.0〕オクタン370.9mg(1.430
mmol,95%)を得た。
【0057】 白色柱状晶:融点116.0−116.5℃。 〔α〕589 19.6+366゜(c 5.00,CHCl3)。 IR(KBr) 2950,1778,1765,16
95,1360,1203,760cm-11 H−NMR(60MHz;CDCl3)δ 1.1(3
H,s),1.2(3H,t,J=7.7),1.6
(3H,s),3.1(2H,q,J=7.7),4.9
(1H,d,J=8.2),5.9(1H,d,J=
8.2),7.2−7.8(4H,m)。
【0058】〔実施例5〕 N−プロピオニル誘導体のジアステレオ選択的アルキル
【0059】
【化22】
【0060】アルゴン雰囲気下、温度0℃においてジイ
ソプロピルアミン(151.4mg,1.496mmol)の
THF(3.0ml)溶液に対してブチルリチウムの1.6
3Mヘキサン溶液0.85ml(1.4mmol)を加え、3
0分間撹拌した。 そこへ、温度−78℃において(1
R,5S)−7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−
オキソ−4−プロピオニル−4−アザ−2−オキサビシ
クロ〔3.3.0〕オクタン302.8mg(1.167
mmol)のTHF(3.0ml)溶液を加え、同じ温度で3
0分間撹拌した。 この反応溶液に対して臭化ベンジル
(0.60g,3.5mmol)のTHF(3ml)溶液を−
78℃において加えた後、温度を0℃に高めてさらに3
0分間撹拌した。 飽和塩化アンモニウム水溶液5mlを
加えることにより反応を停止させた。 ジクロロメタン
各10mlで3回抽出し、さらにカラムクロマトグラフィ
ーによる精製を行なうことにより、ベンジル化生成物
(R=CH2Ph)(408.0mg,1.167mmol,1
00%)を得た。 HPLCによる分析の結果、ジアス
テレオ選択性は99%d.e.以上であった。
【0061】 白色綿状:融点107.5−108.0℃。 IR(KBr) 1974,1782,1680,13
80,1199,1130,986,755cm-11 H−NMR(270MHz:CDCl3)δ 0.86
(3H,s),1.18(3H,d,J=6.8),
1.51(3H,s),2.59(1H,dd,J=6.
4,14),3.21(1H,dd,J=6.4,1
4),4.10−4.23(1H,m),4.85(1
H,d,J=8.0),5.77(1H,d,J=8.
2),7.12−7.51(9H,m)。
【0062】同様の操作により、臭化ベンジル以外に2
種のアルキル化剤を用いてアルキル化を行ない、やはり
ジアステレオ選択的アルキル誘導体を得た。 それぞれ
の収率およびジアステレオマー比(DR)を、上記ベン
ジル化の場合とあわせて、下に示す。
【0063】 RX 収率% DR(7a:エピマー) ヨウ化エチル 57 99:1以上 臭化アリル 95 99:1以上 臭化ベンジル 100 99:1以上。
【0064】〔実施例6〕 不斉補助基の除去による(R)−2−メチル−3−フェ
ニルプロピオン酸の製造
【0065】
【化23】
【0066】アルゴン雰囲気下、0℃において、上式
(7a)(ただしR=Ch2Ph)の化合物349.0mg
(1.00mmol)のTHF(4ml)溶液に、水1ml、3
5%過酸化水素水0.4ml、および過水酸化リチウム一
水和物68.3mg(1.63mmol)を加え、同じ温度で
2.5時間撹拌した後、亜硫酸ナトリウム水溶液(50
0mgNa2SO3、水3ml)を加えて反応を停止させた。
減圧下にTHFを留去し、ジクロロメタン各10mlで
2回抽出を行なった。 ジクロロメタン層を硫酸ナトリ
ウムにより乾燥し、溶媒を留去することにより、オキサ
ゾリジノンすなわち前記の式(5a)の化合物(20
4.2mg,1.00mmol,100%)が得られた。 ま
た、水層に6M塩酸を加えてそのpHをほぼ1とし、酢
酸エチル各10mlで3回抽出した。 有機層を硫酸ナト
リウムにより乾燥し、溶媒を留去することにより、
(R)−2−メチル−3−フェニルプロピオン酸すなわ
ち上式(8a)(ただしR=Ch2Ph)の化合物が得ら
れた。 収量156.3mg(0.952mmol,95
%)。
【0067】〔α〕589 19.2−27.3゜(c 7.66,
CHCl3)、文献値は、〔α〕589−25.4゜(nea
t)。
【0068】上式(8a)(ただしR=Ch2Ph)の化
合物をボランにより2−メチル−3−フェニル−1−プ
ロパノールへ還元した。 それを(+)−α−メトキシ
−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸のエステルと
し、270MHz 1H−NMR により分析した結果、その
光学純度はほぼ100%であることがわかった。
【0069】
【発明の効果】本発明により、従来技術では製造できな
かった化合物シス−2−アミノ−3,3−ジメチル−1
−インダノールが、はじめて製造できるようになった。
このアミノアルコールの光学分割も本発明により可能
であり、ホモキラルな光学活性体を得ることができる。
【0070】さらに本発明は、この光学活性アミノアル
コールから新規な光学活性オキサゾリジノンである7,
8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ−4−アザ
−2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタンを合成す
る途を確立した。 このオキサゾリジノンを不斉補助基
として利用することも、本発明がはじめて提案するとこ
ろである。 すなわち、オキサゾリジノンをN−アシル
誘導体とし、不斉アルキル化することによって高いジア
ステレオ選択性をもったアルキル化生成物を得、これを
加水分解して、光学活性α−置換カルボン酸とオキサゾ
リジノンを得る手法である。 この手法は、さまざまな
光学活性化合物の合成に利用できる。
【0071】このようにして本発明は、光学活性な化合
物の合成の分野で、工業的に利用可能な新しい途を開拓
した。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年8月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】
【化2】
【化3】 を水素化ホウ素ナトリウムNaBH4で還元してシス−
2−(ヒドロキシアミノ)−3,3−ジメチル−1−イ
ンダノールを得、これに無水酢酸を作用させて酢酸シス
−2−(アセトキシアミノ)−3,3−ジメチル−1−
インダニルとし、続いてボランを作用させてアセチル基
およびアセトキシ基を離脱させることからなるシス−2
−アミノ−3,3−ジメチル−1−インダノールの製造
方法。
【化4】
【化5】 これに対し、リチウムジアルキルアミドを作用させた後
にRX〔Rは各種のアルキル基をあらわし、Xはハロゲ
ン原子をあらわす。〕を作用させて、下式(7a)または
(7b)であらわされる、α−位がジアステレオ選択的
に炭化水素基で置換された化合物を得、
【化6】 ついでこれに過水酸化リチウムを作用させることにより
不斉補助基を除去することからなる、下式(8a)また
は(8b)であらわされる光学活性なカルボン酸誘導体
の製造方法。
【化7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07M 7:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式(rac−3)であらわされるシス−
    2−アミノ−3,3−ジメチル−1−インダノール。 【化1】
  2. 【請求項2】 下式(3a)または(3b)であらわさ
    れる(1R,2S)−体または(1S,2R)−体であ
    る請求項1のシス−2−アミノ−3,3−ジメチル−1
    −インダノール。 【化2】
  3. 【請求項3】 下式(1)であらわされる2−(ヒドロ
    キシイミノ)−3,3−ジメチル−1−インダノン 【化3】 を水素化ホウ素ナトリウムNaBH4で還元してシス−
    2−(ヒドロキシアミノ)−3,3−ジメチル−1−イ
    ンダノールを得、これに無水酢酸を作用させて酢酸シス
    −2−(アセトキシアミノ)−3,3−ジメチル−1−
    インダニルとし、続いてボランを作用させてアセチル基
    およびアセトキシ基を離脱させることからなる請求項3
    のシス−2−アミノ−3,3−ジメチル−1−インダノ
    ールの製造方法。
  4. 【請求項4】 7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3
    −オキソ−4−アザ−2−オキサビシクロ〔3.3.
    0〕オクタン。
  5. 【請求項5】 下式(5a)または(5b)であらわさ
    れる(1R,5S)−体または(1S,5R)−体である
    請求項4の7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オ
    キソ−4−アザ−2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オ
    クタン。 【化4】
  6. 【請求項6】 前記の式(rac−3)のシス−2−アミノ
    −3,3−ジメチル−1−インダノールのラセミ体を溶
    媒中で光学活性なマンデル酸と反応させ、生成するジア
    ステレオマー塩をその溶解度の差によって分離し、得ら
    れたジアステレオマー塩からアミン成分を単離すること
    からなる、前記の式(3a)または(3b)であらわさ
    れる光学活性なシス−2−アミノ−3,3−ジメチル−
    1−インダノールの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記の式(3a)または(3b)であら
    わされる光学活性なシス−2−アミノ−3,3−ジメチ
    ル−1−インダノールに炭酸エステルを作用させること
    からなる前記の式(5a)または(5b)の7,8−ベ
    ンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ−4−アザ−2−
    オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタンの光学活性体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記の式(5a)または(5b)の7,
    8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オキソ−4−アザ
    −2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オクタンに、アル
    キルリチウムを作用させた後にカルボン酸ハライドを作
    用させて下式(6a)または(6b)であらわされる4
    −アシル−7,8−ベンゾ−6,6−ジメチル−3−オ
    キソ−4−アザ−2−オキサビシクロ〔3.3.0〕オ
    クタンを得、 【化5】 これに対し、リチウムジアルキルアミドを作用させた後
    にRX〔Rは各種のアルキル基をあらわし、Xはハロゲ
    ン原子をあらわす。〕を作用させて、下式(7a)または
    (7b)であらわされる、α−位がジアステレオ選択的
    に炭化水素基で置換された化合物を得、 【化6】 ついでこれに過水酸化リチウムを作用させることにより
    不斉補助基を除去することからなる、下式(8a)また
    は(8b)であらわされる光学活性なカルボン酸誘導体
    の製造方法。 【化7】
JP21225295A 1995-08-21 1995-08-21 光学活性オキサゾリジノン、その製造方法、製造の中間体および不斉補助基としての利用 Pending JPH0959265A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002249463A (ja) * 2001-02-23 2002-09-06 Japan Science & Technology Corp キラル補助基を効率的に除去する光学活性化合物の製造方法

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