JPH0959243A - N−アルキルヒドロキサム酸の合成法 - Google Patents

N−アルキルヒドロキサム酸の合成法

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JPH0959243A
JPH0959243A JP23320295A JP23320295A JPH0959243A JP H0959243 A JPH0959243 A JP H0959243A JP 23320295 A JP23320295 A JP 23320295A JP 23320295 A JP23320295 A JP 23320295A JP H0959243 A JPH0959243 A JP H0959243A
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group
compound
acid
carbon atoms
alkylhydroxylamine
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Application number
JP23320295A
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English (en)
Inventor
Takashi Mikoshiba
尚 御子柴
Masakazu Morigaki
政和 森垣
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安価、簡便かつ高収率で目的物が得られ、副生
物の生成が少ない合成法を提供する。 【解決手段】N−アルキルヒドロキシルアミン化合物と
活性カルボニル化合物とを、反応液のpHが7.5以下
の条件下で反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真用薬品や医薬
薬などに有用なN−アルキルヒドロキサム酸の合成法に
関するものである。更に詳しくは、安価なヒドロキシル
アミンを原料とし、合成反応の各工程で精製を行なうこ
となく連続して合成する合成法において、副生成物の生
成が少い合成法に関する。
【0002】
【従来の技術】N−アルキルヒドロキサム酸は通常、対
応するN−アルキルヒドロキシルアミンと活性エステル
や酸クロリド等の活性なカルボニル化合物とを反応させ
て合成することができる。カルボニル化合物としては、
酸クロリドが最も好ましく用いられている。しかし、N
−アルキルヒドロキシルアミンは入手が困難なものが多
く、オキシム類を合成原料として合成しなければならな
いことが多い。N−アルキルヒドロキシルアミン化合物
の合成は、一般には、以下のように行われる。すなわ
ち、オキシム化合物に、ハロゲン化アルキルやアルキル
スルホン酸エステルなどのアルキル化剤を反応させてニ
トロン化合物に変換する。次に、該ニトロン化合物を加
水分解し、系中に生成するケトンと、N−アルキルヒド
ロキシルアミンを分離し、必要とするN−アルキルヒド
ロキシルアミンを得る。このとき、合成原料のオキシム
化合物の入手が困難である場合には、対応するカルボニ
ル化合物とヒドロキシルアミンを反応させオキシム化合
物を合成する。このような工程を経て合成されるN−ア
ルキルヒドロキサム酸を工業的に安価に製造するために
は、原料となるヒドロキシルアミンからの各工程毎に行
われる単離、精製作業を省略することが好ましい。すな
わち、工程のいわゆる一貫化を行うことが、コストの点
で重要となってくる。しかし、この一貫化には、次のよ
うな欠点があった。 各工程の収率が100%ではないため途中の工程の副
生成物に由来する不純物が混入し、N−アルキルヒドロ
キサム酸の純度が低下する。 この不純物を除去するために再結晶などの精製を行う
と製造工程と仕掛り日数が増加し、コストアップとな
る。 特に、副生成物が除去困難な化合物である場合には、精
製によるコストアップは著しいものとなる。そこで、N
−アルキルヒドロキサム酸の一貫法による合成法では、
除去しにくい副生成物の生成が少い方法の開発が望まれ
ていた。特開平3−293666号にN−アルキルヒド
ロキサム酸の合成法について記載されている。しかし上
記明細書のものはオキシムを原料とした3工程一貫法で
あり、又、最終工程のpHについて記載されていない。
これに対し、本発明はN−アルキルヒドロキシルアミン
と活性カルボニル化合物とからN−アルキルヒドロキサ
ム酸を合成する際に特定のpHで行うことを特徴として
いる。又、本発明は、使用する原料であるN−ヒドロキ
シルアミンにヒドロキシルアミンが含有されていても、
高収率でN−アルキルヒドロキサム酸を合成することが
可能な合成法に関する。更には、ヒドロキシルアミンを
原料とした4工程一貫法の場合に、副生成物の生成を抑
えることができる合成法に関する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
のN−アルキルヒドロキサム酸を製造する際の欠点を解
決し、安価で、簡便に、収率よくN−アルキルヒドロキ
サム酸を合成する方法を提供することである。特に、除
去しにくい副生成物の生成を抑制した合成法を提供する
ことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記の
構成によって達成された。 N−アルキルヒドロキシルアミン化合物と活性カルボ
ニル化合物とを反応液のpHが7.5以下の条件で反応
させることを特徴とするN−アルキルヒドロキサム酸の
合成法。 使用するN−アルキルヒドロキシルアミンに3%以上
のヒドロキシルアミンが含有されていることを特徴とす
るに記載のN−アルキルヒドロキサム酸の合成法。 ヒドロキシルアミンとカルボニル化合物を反応させオ
キシム化合物に変換し、該オキシム化合物をアルキル化
剤と反応させニトロン化合物へ変換し、該ニトロン化合
物を加水分解してN−アルキルヒドロキシルアミンを合
成し該N−アルキルヒドロキシルアミンと活性カルボニ
ル化合物とを反応させることを特徴とするN−アルキル
ヒドロキサム酸の合成法であって、最終工程の反応が反
応液の水層のpHが7.5以下であるショッテン−バウ
マン法であることを特徴とするN−アルキルヒドロキサ
ム酸の合成法。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の合成法によって製造され
るN−アルキルヒドロキサム酸は、好ましくは下記一般
式(I)で表わされる。
【0006】
【化1】
【0007】一般式(I)中、R2 は、炭素数1〜60
の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜60の
置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜60の置
換もしくは無置換のアルケニル基、炭素数3〜60の置
換もしくは無置換のヘテロ環基又は、炭素数6〜60の
置換もしくは無置換のシクロアルキル基、シクロアルケ
ニル基、ビシクロアルキル基又はビシクロアルケニル基
を表わす。R1 は、炭素数1〜30の置換もしくは無置
換のアルキル基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換
のアルケニル基を表わす。
【0008】本発明の合成法で合成するN−アルキルヒ
ドロキサム酸化合物は、下記一般式(II)で表わされる
ものが好ましい。
【0009】
【化2】
【0010】一般式(II)において、R1 は炭素数1〜
6の置換又は無置換のアルキル基を表わす。R2 は炭素
数20以上の分岐アルキル基、炭素数17以上の直鎖又
は分岐アルケニル基、および少なくとも1つのアルコキ
シカルボニル基、アルケノキシカルボニル基、アリール
オキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アル
コキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキル
もしくはアリールスルホニル基、アリール基又はヘテロ
環基から選択される基を置換基として有する炭素数の総
和が12以上の置換アルキルもしくは、置換アルケニル
基を表わす。
【0011】その中でも、N−アルキルヒドロキサム酸
が下記一般式(III) で表わされるものであるものが好ま
しい。
【0012】
【化3】
【0013】一般式(III) 中、R1 は炭素数1〜6の置
換又は無置換のアルキル基を表わし、Ra 、Rb
c 、Rd は各々独立に、水素原子、炭素数1〜18の
置換もしくは無置換のアルキル基又は炭素数2〜18の
置換もしくは無置換のアルケニル基を表わし、Xは−O
6 又は−N(R6)(R7)を表わす。R6 又はR7 は、
各々独立に同じでも異なってもよく、水素原子又は炭素
数1〜22の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数
2〜22の置換もしくは無置換のアルケニル基、又は炭
素数6〜22のアリール基を表わす。
【0014】以下に一般式(II)について詳細に説明す
る。式(II)中、R1 は置換もしくは無置換のアルキル
基を表わし、R1 は無置換でも置換基によって置換され
ていてもよく、炭素数1〜6である。その好ましい具体
例を挙げると、メチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、 sec−ブチル、t−ブチル、n−
ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシ
ル、である。
【0015】これらのアルキル基の置換基としては、例
えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環
基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、ニトロ
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、ヒドロキシル基、アシル基、アシルオキシ基、ア
ルキル又はアリールスルホニル基、アシルアミノ基、ア
ルキル又はアリールスルホンアミド基などが挙げられ、
具体例を挙げると2−クロロエチル、2−メトキシエチ
ル、2−シアノエチル、2−エトキシカルボニルエチ
ル、3−メチルチオプロピル、2−アセチルアミノエチ
ル、3−ヒドロキシプロピル、2−アセチルオキシエチ
ル、3−クロロエチル、3−メトキシエチルアリル、プ
レニルである。R1 は無置換アルキル基が好ましく、メ
チル基が特に好ましい。
【0016】R2 は炭素数20以上の分岐アルキル基、
炭素数17以上の直鎖もしくは分岐アルケニル基、およ
び少なくとも1つのアルコキシカルボニル基、アルケノ
キシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カル
バモイル基、アシル基、アルコキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホ
ニル基、アリール基又はヘテロ環基から選択される基を
置換基として有する炭素数の総和が12以上の置換アル
キルもしくは、置換アルケニル基を表わす。
【0017】以下に更に詳しく説明する。本発明の好ま
しい実施態様のひとつはR2 が炭素数20以上30以下
の分岐アルキル基が好ましい。その具体例としては、下
記の構造が例として挙げられる。
【0018】
【化4】
【0019】本発明の他の好ましい実施態様は、R2
炭素数17以上30以下の直鎖又は分岐アルケニル基で
ある。その具体例としては、1−オクタデセニル、2−
オクタデセニルが挙げられる。
【0020】本発明の他の好ましい実施態様は、R2
少なくとも1つの置換基によって置換された炭素数の総
和が12以上40以下のアルキル基又はアルケニル基で
ある時、アルキル基に置換する置換基としては、アルコ
キシカルボニル基、アルケノキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、ア
ルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキ
ルもしくはアリールスルホニル基、アリール基又はヘテ
ロ環基が好ましい。
【0021】これらの中でもアルコキシ基、アリールオ
キシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカル
ボニル基、カルバモイル基、アミノ基(アニリノ基を含
む)が好ましい。その具体例を以下に挙げる。アルコキ
シ基(炭素数1〜22。例えばメトキシ、エトキシ、n
−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、n−ペ
ントキシ、n−ヘキシルオキシ、n−オクチルオキシ、
ステアリルオキシ、ドデシルオキシ、エイコシルオキ
シ、ドコシルオキシ、オレイルオキシ)。アルコキシ基
としては更に日本化学工業(株)製の商品名ファインオ
キソコール、140、1600、1800、180、1
80N、2000、2600の高級アルコールから誘導
されるアルコキシ基も具体例に挙げられる。
【0022】アリールオキシ基(炭素数6〜16。例え
ばフェノキシ、p−メトキシフェノキシ、m−オクチル
オキシフェノキシ、o−クロロフェノキシ、2,4−ジ
−t−オクチルフェノキシ)。アルコキシカルボニル基
(炭素数2〜23。例えばメトキシカルボニル、エトキ
シカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソプロポキ
シカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクチル
オキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル、ペ
ンタデシルオキシカルボニル、ステアリルオキシカルボ
ニル、オレイルオキシカルボニル、ドコシルオキシカル
ボニル)。更にアルコキシカルボニル基としては、日本
化学工業(株)製の商品名ファインオキソコール、14
0、1600、1800、180、180N、200
0、2600の各高級アルコールから誘導されるアルコ
キシカルボニル基も具体例に挙げられる。
【0023】アリールオキシカルボニル基(炭素数6〜
17。例えばフェノキシカルボニル、p−エトキシフェ
ノキシカルボニル、m−ドデシルオキシフェノキシカル
ボニル、o−フロロフェノキシカルボニル、2,4−ジ
−t−オクチルフェノキシカルボニル)。カルバモイル
基(炭素数3〜37。例えばジメチルカルバモイル、ジ
エチルカルバモイル、ジオクチルカルバモイル、ジステ
アリルカルバモイル、ジオレイルカルバモイル、ビス−
(2−エチルヘキシル)カルバモイル、ステアリルオキ
シプロピルカルバモイル)、アミノ基(炭素数1〜2
2。例えばオクチルアミノ、ジオクチルアミノ、ステア
リルアミノ、ジステアリルアミノ、オレイルアミノ、ジ
オレイルアミノ、メチルアミノ、アニリノ)
【0024】本発明に用いる一般式(II)で表わされる
化合物の好ましい構造は、R1 が炭素数1〜6の置換又
は無置換のアルキルであり、R2 が下記一般式(II−
A)で表わされるものである。
【0025】
【化5】
【0026】一般式(II−A)中、R3 は炭素数2〜2
0のアルキレン基又はアルケニレン基であり、R4 は炭
素数1〜30の置換又は無置換のアルキル基、炭素数6
〜20の置換又は無置換のアリール基、炭素数2〜20
の置換又は無置換のヘテロ環基を表わす。Lは−CO
−、−SO2 −、−O−、−S−、−COO−、−CO
N(R5)−を表わす。R5 は水素原子又は炭素数1〜1
8の置換又は無置換のアルキル基を表わす。ただし、L
が−O−を表わすとき、R4 は炭素数1〜30の置換又
は無置換のアルキル基である。R3 、L、R4 の炭素数
の合計は12以上が好ましい。
【0027】式(II−A)中、R3 は炭素数2〜20の
アルキレン基又はアルケニレン基を表わすが、好ましく
は1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基および置
換1,2−エチレン基が好ましい。R3 の具体例を挙げ
る。
【0028】
【化6】
【0029】R4 は上記の中でも炭素数1〜30の置換
又は無置換のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
ただしLとR4 の炭素数の和は40を越えないものが好
ましい。その中でも炭素数6〜22の置換又は無置換の
アルキル基又はアルケニル基が更に好ましい。Lは−C
O−、−O−、−SO2 −、−S−、−COO−、−C
ON(R5)−を表わす。その中でもLは−O−、−CO
−O−、−CO−NR5 −が好ましい。
【0030】その中でもR4 −L−は、アルコキシカル
ボニル基、アルケノキシカルボニル基、アリールオキシ
カルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルコキシ
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルもしく
はアリールスルホニル基、又はアリール基を表わすのが
好ましい。R4 、L、R3 の炭素数の合計は12以上4
0以下が好ましい。
【0031】一般式(II)で表わされる化合物の中でも
最も好ましいものは、下記一般式(III)で表わされる化
合物である。
【0032】
【化7】
【0033】一般式(III) 中、R1 は炭素数1〜6の置
換又は無置換のアルキル基を表わし、Ra 、Rb
c 、Rd は各々独立に同じでも異なっていてもよく、
水素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアル
キル基又は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のア
ルケニル基を表わし、Xは−OR6 又は−N(R6)(R
7)−を表わし、R6 及びR7 はそれぞれ独立に水素原
子、炭素数1〜22の置換もしくは無置換のアルキル
基、炭素数2〜22の置換もしくは無置換のアルケニル
基、又は炭素数6〜22の置換もしくは無置換のアリー
ル基を表わす。R1 はメチル基、エチル基またはn−ヘ
キシル基が好ましい。Ra 、Rb 、Rc 、Rd はすべて
水素原子又はRa 、Rb 、Rc 、Rd のうち少なくとも
1つは炭素数5〜18のアルキル又はアルケニル基であ
るものが好ましく、そのとき、他は水素原子が好まし
い。R6 は炭素数6〜22のアルキル基又はアルケニル
基が好ましい。ただし、Ra 、Rb 、Rc 、Rd がすべ
て水素原子のときは、R6は炭素数が14以上が好まし
い。R7 は炭素数6〜18のアルキル基が好ましい。X
は−OR6 の方が−NR6 7 より好ましい。
【0034】一般式(III) の中で最も好ましい1つの構
造は、Ra が炭素数12〜18のアルケニル基又はアル
キル基であり、Rb 、Rc 、Rd が水素原子であり、R
1 がメチル基、エチル基またはn−ヘキシル基であり、
Xが−OR6 であり、R6 が炭素数12〜18のアルキ
ル基又はアルケニル基のものである。
【0035】一般式(III) の中でもう1つの最も好まし
い構造は、Rc が炭素数12〜18のアルケニル基又は
アルキル基であり、Ra 、Rb 、Rd が水素原子であ
り、R1 がメチル基、エチル基またはn−ヘキシル基で
あり、Xが−OR6 であり、R6 が炭素数12〜18の
アルキル基又はアルケニル基のものである。一般式(II
I) の中で他の1つの最も好ましい構造は、Ra
b 、Rc 、Rdがすべて水素原子であり、R1 がメチ
ル基、エチル基またはn−ヘキシル基であり、XがOR
6 であり、R6 が炭素数12〜18のアルキル基又はア
ルケニル基のものである。上述の本発明の化合物中でも
最も好ましいものはRa 、Rb 、Rc 、Rd が全て水素
原子であり、R6 がミリスチル基、パルミチル基、また
はステアリル基でありR1 がメチル基、エチル基または
n−ヘキシル基の場合である。
【0036】一般式(II)で表わされる化合物は、分子
量が250以上が好ましく、300以上が更に好まし
く、330以上が最も好ましい。
【0037】本発明の合成法について詳しく説明する。
本発明は、N−アルキルヒドロキシルアミンと活性カル
ボニル化合物とを反応させてN−アルキルヒドロキサム
酸を合成する方法である。この反応については、後述す
る一貫合成法の工程で詳しく説明する。本発明では、
この反応をpH7.5以下で行うことで高収率を達成し
た。
【0038】本発明は、上記の反応で用いるN−アルキ
ルヒドロキシルアミンが、不純物としてヒドロキシルア
ミンを含有する末精製のものでも、高収率でN−アルキ
ルヒドロキサム酸を合成できることを達成した。これに
ついては、実施例3において詳しく説明する。
【0039】本発明は、ヒドロキシルアミンを原料とし
た4工程一貫法において、高収率でN−アルキルヒドロ
キサム酸を合成する方法を確立した。この一貫法につい
て詳しく説明する。
【0040】本発明の4工程一貫法による、N−アルキ
ルヒドロキサム酸の合成法は、以下のごとくである。ヒ
ドロキシルアミンとカルボニル化合物とを反応させ、オ
キシム化合物へ誘導し、該オキシム化合物をアルキル化
剤と反応させニトロン化合物へ誘導し、該ニトロンを加
水分解してN−アルキルヒドロキシルアミン化合物へ誘
導した後、活性カルボニル化合物と反応させN−アルキ
ルヒドロキサム酸化合物を合成する合成法である。特に
4つの合成工程を連続して行う一貫法に好ましく適用が
可能である。そして本発明は最終工程の反応液のpHが
7.5以下であることを特徴とする合成法である。
【0041】本発明の全合成スキームを示す。
【0042】
【化8】
【0043】Ra 、Rb は、同じでも異なっていてもよ
く、それぞれアルキル基、水素原子、アリール基、ヘテ
ロ環基、アミノ基を表わす。
【0044】工程は、ヒドロキシルアミンとカルボニ
ル化合物を反応させ、オキシム化合物に誘導する工程で
ある。このとき、ヒドロキシルアミンはヒドロキシルア
ミンそのものでも良いが、塩酸塩、硫酸塩のように造塩
したものを用い反応系中で中和してヒドロキシルアミン
を発生させて用いることができる。ヒドロキシルアミン
の造塩剤は酸性物質であればいずれでもよいが鉱酸(例
えば塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸)
や有機酸(例えば酢酸、シヨウ酸、トリクロロ酢酸、メ
タンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、1,5−ナ
フタレンジスルホン酸)を用いることができる。ヒドロ
キシルアミン塩を中和する塩基は、塩基性物質であれば
いずれを使用してもよいが、無機塩基(例えば、水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム)や有機塩基〔第1アミン(例えば、メチ
ルアミン、エチルアミン、アニリン)、第2アミン(例
えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン)、第3アミン
(例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジエ
チルアニリン、ジイソブチルメチルアミン)塩基性ヘテ
ロ環(例えば、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、2
−メチルピリジン、2,6−ルチジン)〕を用いること
ができる。ヒドロキシルアミン塩は、その入手性から上
市されているヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシル
アミン硫酸塩を用いることが好ましい。中和に用いる塩
のうち、有機塩は、後半の反応で副反応を起こすため、
無機塩基が好ましい。その中でも、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、が好ましい。又、ヒドロキシルアミン
は、フリー体の形で水溶液として入手することができ
る。本発明の合成法にこの水溶液を用いてもよい。工程
の反応溶媒としては、ヒドロキシルアミンが溶解する
溶媒であれば、いずれのものを使用してもよい。例えば
メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセルソル
ブ、エチルセルソルブ、アセトン、ジオキサン、2−メ
トキシ−プロパノール、エーテル、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、酢酸、
水、ジグリムが挙げられるが、ヒドロキシルアミンと溶
媒が反応して不純物を生成しない点で、メタノール、エ
タノール、水あるいはこれらの混合溶媒が優れている。
反応温度は、−10〜100℃で行うが、好ましくは、
0℃〜60℃、更に好ましくは、0℃〜40℃である。
反応時の液性は、中性又は塩基性が好ましい。その中で
もpHが7.0〜14.0が好ましく、8.0〜12.
0が更に好ましい。反応に用いるカルボニル化合物は、
ケトン又はアルデヒドが好ましい。その中でもケトンが
好ましい。ケトンは、Ra 、Rb が各々独立に同じでも
異っていてもよく炭素数1〜10の置換又は、無置換の
アルキル基、炭素数6〜12の置換又は無置換のアリー
ル基のものが好ましい。その中でも、Ra 、Rb ともに
アルキル基のものが好ましく、Ra 、Rb が同一でかつ
炭素数1〜3の無置換アルキル基のものがさらに好まし
い。カルボニル化合物は、アセトンが最も好ましい。
【0045】工程は、オキシム化合物とアルキル化剤
と反応させニトロン化合物へ誘導する工程である。アル
キル化剤は、R1 −X1 で表わされる化合物である。R
1 は、目的とするN−アルキルヒドロキサム酸のR1
同じであり、X1 は、有機化学の分野で脱離基と呼ばれ
ているものである。アルキル化剤の例としては、硫酸エ
ステル、p−トルエンスルホン酸エステル、リン酸エス
テル、ハロゲン化アルキル、などが挙げられる。R1
単純な、メチル基、エチル基の場合には対応するアルキ
ル化剤は上市されているため、容易に入手できる。例え
ば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホ
ン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチルが挙げら
れ、これらは、コストの点でも優れている。一方ハロゲ
ン化アルキルを用いれば更に複雑なN−アルキルヒドロ
キサム酸を合成することができる。例えばヨウ化メチ
ル、ヨウ化エチル、ヨウ化n-ブチル、ヨウ化イソブチ
ル、臭化n-ペンチル、臭化イソペンチル、臭化n-ヘキシ
ル、臭化−n-オクチル、1−ブロモ−2−エチルヘキサ
ン、なとが上市されている。更に複雑なアルキル化剤
は、対応するアルコールを合成し、硫酸エステル、p−
トルエンスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハ
ロゲン化物に誘導して用いればよい。本工程は、塩基の
存在化行うことが好ましい。用いる塩基は、工程で挙
げたものを用いることができる。その中でも、工程と
共通化する点で工程で好ましい例として挙げたものを
用いることが好ましい。例えば水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムである。工程の反応溶媒としては、工程
で挙げたものがすべて使用可能であるが、工程と共通
化する点からメタノール、エタノール、水、あるいは、
これらの混合溶媒が好ましい。反応温度は、0℃〜15
0℃、好ましくは10℃〜120℃である。更に好まし
くは、10℃〜40℃である。
【0046】工程は、ニトロン化合物を加水分解して
N−アルキルヒドロキシルアミンに誘導する工程であ
る。加水分解は、水又は含水溶液中で行うことが好まし
い。反応液の液性は、酸性、中性、塩基性のいずれでも
よいが、反応速度の点で酸性が好ましい。用いる酸とし
ては、工程で述べた酸を挙げることができる。例え
ば、塩酸、硫酸である。反応液のpHは、7〜1が好ま
しく、6〜1が更に好ましい。3〜1が最も好ましい。
この工程の反応は、平衡反応であり、加水分解して生成
した、N−アルキルヒドロキシルアミンとカルボニル化
合物が再度反応し、元のニトロンを再生する。このため
この工程の反応を完結するためには、生成するカルボニ
ル化合物を除去して平衡を生成系へ移す必要がある。従
って、本工程では、生成したカルボニル化合物を減圧も
しくは、常圧で留去し、反応系外へ出すことが好まし
い。
【0047】工程は、N−アルキルヒドロキシルアミ
ン化合物に活性カルボニル化合物を反応させ、N−アル
キルヒドロキサム酸へ誘導する工程である。活性カルボ
ニル化合物としては、酸ハライド、酸無水物(混合酸無
水物を含む)、又R2 −CO−X2 (X2 がイミダゾー
ルなどの脱離基である)である。R2 は、N−アルキル
ヒドロキサム酸のR2 と同じである。活性カルボニル化
合物としては、酸ハライドが好ましく、更には、酸クロ
リドが最も好ましい。酸クロリドは、R2 が単純なアル
キル基、アリール基であるものは、上市されているた
め、入手容易である。例えば、アセチルクロリド、ピバ
ロイルクロリド、ベンゾイルクロリド、ステアロイルク
ロリド、パルミトイルクロリドなどが挙げられる。R2
が複雑なアルキル基、アリール基である場合は、対応す
るカルボン酸をオキザリルクロリドや塩化チオニル、三
塩化リンなどと反応させて、一旦酸クロリドを合成し用
いる。工程は、水と有機層の2層系で反応を行うこと
が好ましい。その有機溶媒としては、酢酸エチル、エー
テル、塩化メチレン、ヘキサン、トルエン、などの水に
不溶なものが好ましい。そこに更に水に可溶な第3の溶
媒を用いてもよい。例えば、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコールである。本工程は、反応の進行
とともに反応液が酸性に変わっていく。それを中和する
ためいわゆる脱酸剤(中和剤)を使用することが好まし
い。脱酸剤は、工程で述べた塩基のいずれも使用可能
であるが、好ましくは、無機塩基である。
【0048】本工程の反応液のpHは、反応の収率、副
生成物の生成量に大きな影響を与える。例えばpHが
9.0以上になると生成したN−アルキルヒドロキシル
アミンが解離して求核性が上がり、更に活性カルボニル
化合物と反応した副生成物を与える。
【0049】
【化9】
【0050】一方pHが6.0以下であるとN−アルキ
ルヒドロキシルアミンと活性カルボニル化合物との反応
が遅く、活性カルボニル化合物が加水分解した副生成物
を与える。
【0051】
【化10】
【0052】ここまでは、N−アルキルヒドロキシルア
ミンからN−アルキルヒドロキサム酸を合成する場合の
個々の素反応について述べた。しかし、本発明の場合、
ヒドロキシルアミンから4工程一貫法で合成するため別
の副生成物が生成する。すなわち工程で未反応で残存
するヒドロキシルアミンから、一般式(VI)で表わされ
るN−無置換ヒドロキサム酸が生成する。
【0053】
【化11】
【0054】更に、それが、活性カルボニル化合物と反
応して一般式(VII)で表わされる別の副生成物を生成す
る。一般式(VII)で表わされる化合物は、難溶性なもの
が多く再結晶を行っても、除去できないことが多い。そ
のため、この副生成物を生成しない合成法ほど実用合成
法としては優れている。
【0055】
【化12】
【0056】これらの副生成物の生成を抑制する点で工
程のpHは、7.5以下6.0以上が好ましい。更に
は、7.0〜6.0が好ましい。最も好ましくは、6.
5〜7.0である。
【0057】本発明は、N−アルキルヒドロキシルアミ
ンと活性カルボニル化合物とを反応させ、N−アルキル
ヒドロキサム酸を合成する際に、特定の条件を選択する
ことによって、反応時反応系中にヒドロキシルアミンが
混入していても、副生成物の生成による収率の低下が少
ない。よって、一貫法の採用により最終工程で用いるN
−アルキルヒドロキシルアミンにヒドロキシルアミンの
混入が避けられない場合に好ましく本発明を適用でき
る。又、一貫法を採用しない場合でも原料として用いる
N−アルキルヒドロキシルアミンにヒドロキシルアミン
が混入している場合には、本発明を好ましく適用でき
る。この場合、N−アルキルヒドロキシルアミンに混入
しているヒドロキシルアミンの含有率が、モル、当量換
算で1%以上含有されているものの場合、本発明が有効
である。好ましくは3%以上含有されている場合であ
る。5%以上含有されているときが更に好ましく、10
%以上含有されているときが最も好ましい。本発明を用
いれば、N−アルキルヒドロキシルアミンに対し当量の
ヒドロキシルアミンが含有されているような、通常の有
機合成化学的な常識では、用いることのできないような
低品質の原料を用いても、比較的高品質なN−アルキル
ヒドロキサム酸を合成することができる。これについて
は、実施例3で述べる。
【0058】本発明の合成法によって製造されるN−ア
ルキルヒドロキサム酸について例示する。ただし、これ
らによって本発明が限定されるものではない。
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】
【化19】
【0066】
【化20】
【0067】
【化21】
【0068】
【化22】
【0069】
【化23】
【0070】
【化24】
【0071】
【化25】
【0072】
【実施例】本発明の方法を実施例によって説明する。こ
れらによって本発明は限定されない。
【0073】実施例1 水139ml、酢酸ナトリウム18.6gを窒素ガス気流
下溶解し、N−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩9.6
1g、炭酸水素ナトリウム7.63gを加え攪拌した。
このときpHは6.5であった。酢酸エチル98.1ml
を加えた後温度15℃にて化合物aの酢酸エチル溶液
(45.5w%溶液)63.0gを30分かけて滴下し
た。30分間反応させた後50℃に昇温し分液、水洗
後、有機層にアセトニトリル158mlを加え冷却し再結
晶を行った。濾取、乾燥を行い化合物27を27.0g
得た。(収率90.9%)。
【0074】
【化26】
【0075】比較例1 水139ml、水酸化ナトリウム4.60gを窒素ガス気
流下溶解し、N−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩9.
61g、炭酸水素ナトリウム19.3gを加え攪拌し
た。このときpHは、8.2であった。酢酸エチル9
8.1mlを加えた後温度15℃にて化合物aの酢酸エチ
ル溶液(45.5w%溶液)63.0gを30分間かけ
て滴下した。30分反応させた後50℃に昇温し分液、
水洗後有機層にアセトニトリル158mlを加え冷却し再
結晶を行った。濾取乾燥を行い化合物27を26.1g
得た。(収率87.9%)。
【0076】実施例1、比較例1の比較からわかるよう
に、N−アルキルヒドロキサム酸と酸クロリドとの反応
は、pH6.5で行った方がpH8.2で行うより収率
が高く優れていた。
【0077】実施例2 水800ml、酢酸ナトリウム32.0g、N−メチルヒ
ドロキシルアミン塩酸塩40.0g、ヒドロキシルアミ
ン塩酸塩1.7gを窒素ガス気流下攪拌しているところ
に、炭酸水素ナトリウム32.0gと酢酸エチル800
mlを加え氷冷下攪拌した。化合物aの酢酸エチル溶液
(化合物a125g、酢酸エチル154g)を13℃で
10分間かけて滴下した。滴下前の水層のpHは6.5
であり、滴下後のpHは4.6であった。温度50℃で
分液を行い2回水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶
媒を減圧留去した。残渣にメタノール100ml、アセト
ニトリル300mlを加えて再結晶を行い、結晶を濾取、
乾燥し、化合物27を111g得た。(収率85.7
%)。HPLC分析の結果、純度は99.0%であっ
た。又、一般式(VII)にあたる不純物aは0.1%以下
であった。
【0078】
【化27】
【0079】比較例2 水800ml、水酸化ナトリウム20.12g、N−メチ
ルヒドロキシルアミン塩酸塩40.0g、ヒドロキシル
アミン塩酸塩1.7gを窒素ガス気流下攪拌していると
ころに、炭酸水素ナトリウム42.3gと酢酸エチル8
00mlを加え氷冷下攪拌した。化合物aの酢酸エチル溶
液(化合物a125g、酢酸エチル154g)を13℃
で10分間かけて滴下した。滴下前の水層のpHは8.
0であった。温度50℃で分液を行い2回水洗後、硫酸
マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣にメ
タノール100ml、アセトニトリル300mlを加えて再
結晶を行い結晶を濾取、乾燥し化合物27を115g得
た。(収率88.8%)。HPLC分析の結果、純度は
92.1%であった。又、一般式(VII)にあたる不純物
aは3.1%であった。
【0080】実施例2と比較例2の比較からN−アルキ
ルヒドロキシルアミンにヒドロキシルアミンが不純物と
して含有している場合に反応時のpHが6.5の方が
8.0の場合より、不純物が少く好ましいことがわか
る。 実施例3 水160ml、水酸化ナトリウム34.5g、メタノール
160mlを溶解し、10℃に冷却した。窒素ガス雰囲気
下、ヒドロキシルアミン塩酸塩(H2NOH・HCl)20.0g
を加え、次いでアセトン18.4mlを滴下した。(温度
20℃〜24℃)。30分間反応後、p−トルエンスル
ホン酸メチル91.1gを1時間かけて滴下した。(温
度30℃)。次に1.3 mol/リットルの硫酸120ml
を加え、減圧留去した(温度50〜70℃)。2時間後
水200mlを加え、12 mol/リットルの水酸化ナトリ
ウム水溶液を加えてpH調整を行い反応液のpHを6.
0にした。炭酸水素ナトリウム48.3g加えたところ
pHは7.4になった。酢酸エチル480mlを加え温度
15℃で化合物a57.4gを酢酸エチル70gに溶解
したものを15分かけて滴下した。分液、水洗した後、
有機層を濃縮し、メタノール30mlとアセトニトリル9
0mlで再結晶し化合物27を26.0g得た。HPLC
分析の結果、純度は98.5%であった。又、不純物a
は0.2%であった。
【0081】比較例3 実施例3の水酸化ナトリウムによる中和後のpHを6.
0から7.0にした以外は全く実施例2と同様に合成を
行った。化合物aを滴下する前のpHは8.1であっ
た。化合物27を25.2g得た。HPLC分析の結
果、純度は85.0%であった。又、不純物aは10.
2%であった。
【0082】実施例4 モデル実験を行って、N−アルキルヒドロキシルアミン
にヒドロキシルアミンが混入した場合のN−アルキルヒ
ドロキサム酸および副生成物の生成について試験した。 実験A ヒドロキシルアミン塩酸塩1.66g、N−メチルヒド
ロキシルアミン塩酸塩2.00g、水100ml、水酸化
ナトリウム1.91gを加えた。更に炭酸水素ナトリウ
ム8.03gを加え、反応液のpHを7.8に調整し
た。酢酸エチル100mlを加え10℃で化合物aの酢酸
エチル溶液(化合物a11.84gを14.5gの酢酸
エチルに溶解)を滴下した。通常の後処理をした後、H
PLC分析を行った。 実験B ヒドロキシルアミン塩酸塩1.66g、N−メチルヒド
ロキシルアミン塩酸塩2.00g、水100ml、酢酸ナ
トリウム6.4gを加えた。更に炭酸水素ナトリウムを
加えpHを調整して、pH6.5にした。酢酸エチル1
00mlを加え、化合物aの酢酸エチル溶液(化合物1
1.84gを14.5gの酢酸エチルに溶解)を滴下し
た。通常の後処理をした後、HPLC分析を行った。
【0083】結果を表1に示した。
【0084】
【表1】
【0085】
【化28】
【0086】表1から、反応液のpHが6.5の本発明
の合成法を用いて合成した実験Bは、比較例の実験Aと
比較してヒドロキシルアミンと化合物aが反応して生成
する副生成物A、Cが少く、反応の選択性が高いことが
明らかである。又、化合物Cは、非常に結晶性のよい化
合物で実験Aの粗精製物について再結晶を行っても、化
合物Cを除去することはできなかった。一方、実験Bの
粗精製物の再結晶を行ったところ容易に97%以上の純
度の化合物27を得ることができた。 実施例5 実施例2の化合物aの変わりに当量の下記化合物b〜g
を用いて他の条件は実施例2と同様にN−アルキルヒド
ロキサム酸の合成を行った。
【0087】 N−アルキル 一般式(VII) エントリー 酸クロリド ヒドロキサム 収率(%) 純度 の不純物 酸化合物 1 b 1 91.2 98.2 0.1以下 2 c 9 93.1 99.1 〃 3 d 18 86.3 99.2 〃 4 e 80 92.3 98.6 〃 5 f 84 92.0 98.7 〃
【0088】
【化29】
【0089】実施例6 実施例1と同様にして化合物7、8、12、21、2
2、30、32、34、36、38、40、45、4
6、50、54、60、66、68、76、78、8
1、82、83、85を合成した。いずれの場合も最終
工程のpHを6.5〜7.0で行った方が7.5〜8.
5で行った場合より収率がよく副生成物が少く好ましか
った。
【0090】
【発明の効果】本発明の合成法は、従来公知の合成法と
比較して収率が高く、副生成物の生成が少い。そのため
コストが低く工業的合成法として優れている。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 315/04 C07C 315/04 317/28 317/28 C07D 211/62 C07D 211/62 213/81 213/81

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−アルキルヒドロキシルアミン化合物
    と活性カルボニル化合物とを反応液のpHが7.5以下
    の条件で反応させることを特徴とするN−アルキルヒド
    ロキサム酸の合成法。
  2. 【請求項2】 使用するN−アルキルヒドロキシルアミ
    ンに3%以上のヒドロキシルアミンが含有されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載のN−アルキルヒドロキ
    サム酸の合成法。
  3. 【請求項3】 ヒドロキシルアミンとカルボニル化合物
    を反応させオキシム化合物に変換し、該オキシム化合物
    をアルキル化剤と反応させニトロン化合物へ変換し、該
    ニトロン化合物を加水分解してN−アルキルヒドロキシ
    ルアミンを合成し、該N−アルキルヒドロキシルアミン
    と活性カルボニル化合物とを反応させることを特徴とす
    るN−アルキルヒドロキサム酸の合成法であって、最終
    工程の反応を反応液の水層のpHが7.5以下であるシ
    ョッテン−バウマン法で行うことを特徴とするN−アル
    キルヒドロキサム酸の合成法。
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