JP2001011038A - 二級アルキル鎖を有する新規イソシアネートおよびセミカルバジド並びにその合成法 - Google Patents

二級アルキル鎖を有する新規イソシアネートおよびセミカルバジド並びにその合成法

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JP2001011038A
JP2001011038A JP11180306A JP18030699A JP2001011038A JP 2001011038 A JP2001011038 A JP 2001011038A JP 11180306 A JP11180306 A JP 11180306A JP 18030699 A JP18030699 A JP 18030699A JP 2001011038 A JP2001011038 A JP 2001011038A
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Takashi Nakamura
隆 中村
Kiyoshi Takeuchi
潔 竹内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α分岐のヒドロキサム酸から温和な条件下で
新規なイソシアネート並びにセミカルバジドを合成する
方法を提供する。 【解決手段】 式(1)に示すヒドロキサム酸から、酸
ハロゲン化物もしくは酸無水物と塩基の存在下に式
(2)に示すイソシアネートを得る合成方法。 【化1】 (式(1)及び式(2)におけるR1,R2は鎖状または
環状のアルキル基を示し、炭素数の和が8以上であ
る。) ならびに、上記方法により得られるイソシアネートとヒ
ドラジンとの反応により式(3)に示すセミカルバジド
を得る合成方法。 【化2】 (式(3)におけるR3,R4は式(1)におけるR1,R2
と同義である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀写真
感光材料に用いられる写真用有用性化合物や、液晶性化
合物、電子材料および医薬品の合成中間体として有用な
新規なセミカルバジドおよび新規なイソシアネート並び
にその合成法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にセミカルバジド類は、ハロゲン化
銀写真感光材料に用いられる写真用有用性化合物や医薬
品に含まれる複素環等の重要な合成中間体であり、さら
にその合成原料であるイソシアネート類はポリウレタン
に代表される高分子合成のための重要な工業原料であ
る。特に脂肪族セミカルバジド及びイソシアネートは、
その誘導体の親水性・疎水性を制御する上で重要であ
り、かつそれらから構成される材料の物性を制御する重
要な構成単位である。
【0003】セミカルバジドが対応するイソシアネート
とヒドラジンとの反応で得られることは公知であり、そ
の原料であるイソシアネート類の合成法としては、アミ
ン類にホスゲンを作用させてクロロカルバメートとした
後、熱分解により得る方法が一般的に知られている(Or
g. Synth., I, 447 (1941)、J. Org. Chem., 39, 1970
(1974))。しかしながら、この方法では毒性のあるホス
ゲンを使用するばかりでなく、尿素類の副生を防ぐため
に過剰量のホスゲンを用いる事が必要であり、そのため
引き続き反応を行うためには一旦イソシアネートを単離
することが必要である。これを改良するためにホスゲン
等価体を利用した方法(Justus LiebigsAnn. Chem., 64
8, 72 (1961))も提示されているが、そもそもこれらの
合成法は、対応するアミン類を出発原料とするため、工
業的に製造可能となるのは、入手容易なアミン類由来の
イソシアネートに限定され、より構造の複雑な二級アミ
ン由来のイソシアネートについては、そのアミンの合成
法も含め安価な合成法としての適用範囲に限界があっ
た。
【0004】一方、カルボン酸をアミドへと変換した
後、ナイトレンを発生させた後に転位反応を進行させ、
イソシアネートを得る方法が知られている(Org. Reac
t., 3,267, 307, 337 (1946))。この方法はアミンを合
成することなく直接的にイソシアネートを得る合成法で
あるが、その反応触媒として、臭素(J. Am. Chem. So
c., 71, 3352 (1949))、次亜塩素ナトリウム(Org. Sy
nth., II, 44 (1943)、J.Chin. Chem. Soc.,15, 236 (1
948))等の酸化剤、あるいはアジド化合物(Org.Reac
t., 3, 387 (1946)、Org. Synth., IV, 700 (1963))を
使用するため、その安全性ならびに環境的負荷の増大と
いう面から工業的に適用しにくく、さらにこのような酸
化条件下で得られたイソシアネートに対し、引き続きヒ
ドラジン等の還元性化合物との反応を行うには、一旦イ
ソシアネートの単離を行い酸化性の反応試剤を除去する
必要があった。
【0005】さらに、類似の反応としてヒドロキサム酸
を原料として転位反応を進行させ、生じるイソシアネー
トならびにアミンを合成する方法が知られている(Che
m. Rev., 33, 242 (1943)、J. Org. Chem., 26, 782 (1
961)、J. Org. Chem., 34, 2903 (1969)、Appl. Enviro
n Microbiol., 63, 3390 (1997)、WO 9744480)。しか
しながら、これらの文献に記載の方法では、転位反応自
体が酸性条件で進行するためイソシアネートとして得る
ことが困難であったり、反応条件として高い反応温度を
必要としたり、あるいはその反応の活性化に高価な試薬
を使用するなど、その工業的適用範囲には限界があっ
た。加えて、上記の反応における反応試薬はその多くが
水溶性化合物であり、疎水性の高い置換基を有するヒド
ロキサム酸に対しては、転位反応に非効率が生じ、生産
性の低下のみならず、しいては収率および生成物の純度
の低下を引き起こす。さらにはヒドラジンとイソシアネ
ートを反応させてセミカルバジドを得る際にも水溶性の
ヒドラジンと疎水性のイソシアネートが相分離してしま
うため、効率的な合成法とはなり得なかった。すなわ
ち、従来知られているヒドロキサム酸からイソシアネー
ト、しいてはセミカルバジドを得る合成法に関しては、
いずれも比較的低分子量のものに適用可能であり、疎水
性の高いアルキル鎖を有するセミカルバジドの合成に同
様の方法を適用するには限界があった。さらに、カルボ
ン酸からヒドロキサム酸ならびにイソシアネートを経由
してセミカルバジドを合成する方法において、中間に生
成するヒドロキサム酸およびイソシアネートを単離精製
することなく高収率かつ高純度で得る方法については未
だ何処にも開示されたことはない。したがって、疎水性
の高い置換基を有する化合物にも適用可能なより簡便で
安価なイソシアネートならびにセミカルバジドの製造方
法が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安価で工業
的に利用可能なα分岐カルボン酸を原料とし、簡便な操
作で高収率かつ高純度なセミカルバジドおよびイソシア
ネートの合成法、ならびに構造的に新規な二級のアルキ
ル基を有するセミカルバジドおよびイソシアネートを提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、ヒドロキサム
酸のヒドロキシル基を適当な塩基存在下、適当な脱離基
とすると、温和な条件下で転位反応が進行し、対応する
イソシアネートが得られること、さらにイソシアネート
を単離精製することなくヒドラジンと反応させることに
よりセミカルバジドが収率良く得られる方法を見出し、
本発明に至った。すなわち、本発明は、式(1)に示す
ヒドロキサム酸から、酸ハロゲン化物もしくは酸無水物
と塩基の存在下に式(2)に示すイソシアネートを得る
ことを特徴とするイソシアネートの合成方法、
【0008】
【化6】
【0009】(式(1)及び式(2)におけるR1,R2
は鎖状または環状のアルキル基を示す。)、ならびに、
このようにして得られたイソシアネートとヒドラジンと
の反応により式(3)に示すセミカルバジドを得ること
を特徴とするセミカルバジドの合成方法、
【0010】
【化7】
【0011】(式(3)におけるR3,R4は式(1)に
おけるR1,R2と同義である。)ならびに、式(5)に
示す化合物、
【0012】
【化8】
【0013】(式中、R7,R8はそれぞれ炭素数6以上
の直鎖または分枝の鎖状アルキル基を示す。)ならび
に、式(6)に示す化合物、
【0014】
【化9】
【0015】(式中、R9,R10はそれぞれ炭素数4以上
の直鎖または分枝の鎖状アルキル基を示す。)により達
成された。
【0016】
【発明の実施の形態】次に本発明について詳細に説明す
る。本発明は、以下の反応スキームに示すように、式
(1)に示される化合物から式(3)に示される化合物
への2工程の反応により構成される。
【0017】
【化10】
【0018】式(1)および式(2)におけるR1,R2
は鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数の和が8
以上が好ましく、さらに好ましくは炭素数の和が12以
上であり、特に好ましくは14以上である。R1,R2
示されるアルキル基の炭素数はそれぞれ通常3から50
であり、さらに好ましくは4から25であり、特に好ま
しくは6から15である。R1とR2で示される鎖状のア
ルキル基として具体的にはメチル基、エチル基、n−ブ
チル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル
基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−メチ
ルヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等であ
る。さらに環状のアルキル基としてはシクロペンチル
基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニ
ル基、アダマンチル基等を挙げることができる。R1,R
2で示されるアルキル基としては直鎖または分枝鎖アル
キル基が好ましく、さらに分枝鎖アルキル基が好まし
い。R1,R2は互いに同じでも異なっていても良いが異
なっている方が更に好ましい。式(3)におけるR3,R
4は式(1)におけるR1,R2と同義である。
【0019】次に前記反応スキームに示す各反応につい
て詳細に説明する。反応スキームに示す2段階の反応の
うち、第一工程の反応においては、ヒドロキサム酸の水
酸基を脱離基とし、塩基で処理すると転位反応が進行
し、対応するイソシアネートが得られる。ヒドロキサム
酸の水酸基を脱離基へ変換する化合物として酸無水物あ
るいは酸クロリドが好ましい。具体的には、無水酢酸、
無水メタンスルホン酸、アシルクロリド(例えばアセチ
ルクロリド、トリフルオロ酢酸クロリド、ベンゾイルク
ロリド等)、スルホニルクロリド(メタンスルホニルク
ロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、p-トルエンスル
ホニルクロリド等)が挙げられ、スルホニルクロリドが
特に好ましい。式(1)の化合物に対する酸無水物また
は酸クロリドの使用比率(モル比)は、0.5〜2が好
ましく、0.8〜1.5がより好ましい。本反応は、塩
基の存在下で実施される。反応に用いる塩基としては、
無機塩基(例えば炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等
のアルカリ金属塩)あるいは有機塩基(例えばトリエチ
ルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の低級アルキ
ルアミン類、ピリジン、ピコリン等の芳香族アミン類)
を用いることができるが、有機塩基が好ましく、低級ア
ルキルアミンが特に好ましい。式(1)の化合物に対す
る塩基の使用比率(モル比)は、0.5〜5が好まし
く、0.8〜2がより好ましい。
【0020】本反応は不活性である種々の非プロトン性
反応溶媒下で実施できる。溶媒としては、芳香族炭化水
素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エ
ーテル類(例えばジメトキシエタン、テトラヒドロフラ
ン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミ
ド類(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-
2-ピロリドン等)、ニトリル類(例えば、アセトニト
リル、プロピオニトリル等)であり、芳香族炭化水素類
とアミド類が好ましく、芳香族炭化水素類が特に好まし
い。本反応の反応温度には特に制限はないが、0℃から1
50℃の範囲で実施可能であり、好ましくは10℃から50℃
の範囲で実施できる。第一工程の反応で生成するイソシ
アネートは、溶媒を留去した後、蒸留、再結晶等の操作
によって単離することが可能である。しかし、引き続く
反応によりセミカルバジドを得ることを目的とする場合
には、単離精製せず反応溶液のまま次の反応を行うこと
が好ましい。
【0021】次に第二工程の反応について説明する。本
反応は第一工程で得られたイソシアネートとヒドラジン
との反応により実施可能であり、ヒドラジンとしては、
無水ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、ヒドラジン塩酸
塩等が利用できる。本反応は第一工程の反応に用いられ
た溶媒中で実施できるが、該溶媒がヒドラジンと相分離
する場合にはアミド類、エーテル類、スルホン類(例え
ばスルホラン等)の高極性溶媒を添加することが好まし
い。本反応の反応温度には特に制限はないが、0℃から1
50℃の範囲で実施可能であり、好ましくは20℃から50℃
の範囲で実施できる。式(2)の化合物に対するヒドラ
ジンの使用比率(モル比)は、0.5〜10が好まし
く、0.8〜5がより好ましい。本反応で生成したセミ
カルバジドは反応液を抽出、溶媒留去の後、カラムクロ
マトグラフィー、蒸留、再結晶等の操作によって単離す
ることが可能である。また、得られたセミカルバジドを
抽出、溶媒留去をせずに適当なイオン対と塩を形成させ
て結晶として単離することも可能である。具体的な塩と
しては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸との
塩、酢酸塩、トリフルオロ酸塩、しゅう酸塩、スルホン
酸塩(例えば、p-トルエンスルホン酸塩、1,5-ナフタレ
ンジスルホン酸塩等)のような有機酸との塩が挙げられ
るが、なかでも、塩酸塩、しゅう酸塩、スルホン酸塩が
好ましく、しゅう酸塩が特に好ましい。
【0022】本発明の式(1)で示されるヒドロキサム
酸は、式(4)に示すカルボン酸から、公知の酸クロラ
イド化反応とアミド化反応を組み合わせて利用すること
により合成できる。
【0023】
【化11】
【0024】式(4)におけるR5,R6は式(1)にお
けるR1,R2と同義である。式(4)に示すカルボン酸
から本発明の方法により式(2)に示すイソシアネート
を合成する場合には、中間体である式(1)に示すヒド
ロキサム酸を単離してもしなくても良く、単離しない方
が好ましい。さらに、式(4)に示すカルボン酸から本
発明の式(3)に示すセミカルバジドを合成する場合に
も、中間体である式(1)に示すヒドロキサム酸ならび
に式(2)に示すイソシアネートを単離してもしなくて
も良く、単離しない方がより好ましい。
【0025】以下、本発明の具体的合成例をあげるが、
本発明はこれらに限られるものではない。 実施例1 ヒドロキサム酸の一般的合成法(N-ヒドロキシ-2-ヘキ
シルデカナミド) 2-ヘキシルデカン酸52g(200mmol)に塩化チオニル24g
(200mmol)を60℃で1時間かけて滴下した。さらに60
℃で1時間撹拌した後、反応液を室温まで冷却し、2-へ
キシルデカン酸クロリド55g(200mmol)を得た。別途、
炭酸水素ナトリウム84gと水400mLからなる水溶液に、ヒ
ドロキシルアミン塩酸塩41.7g(600mmol)を添加し、発
泡がおさまった後、酢酸エチル400mLを加え、さらに前
述の2-ヘキシルデカン酸クロリド55g(200mmol)を0℃
で滴下した。滴下終了後30分攪拌し、分液により水層を
除去した後、酢エチ層を水洗、飽和食塩水で洗浄、硫酸
マグネシウムにて乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物
を酢酸エチル/アセトニトリルで再結晶し、N-ヒドロキ
シ-2-ヘキシルデカナミド41g(76%)を白色結晶として
得た。mp.77℃。NMR(CDCl3);0.8(t,3H)、1.0
(t,3H)、1.0−2.4(m,25H)、6.7(s,1H)、9.0(s,
1H)。IR(KBr):3230,1630 cm-1
【0026】ヒドロキサム酸からイソシアネートの合成
(1-ヘキシルノニルイソシアネート) N-ヒドロキシ-2-ヘキシルデカナミド27.1g(100mmol)
のトルエン(100mL)溶液にメタンスルホニルクロリド
7.7mL(100mmol)を加え、トリエチルアミン27.9mL(20
0mmol)を10℃で滴下した。室温に昇温した後、1時間攪
拌し、生じたトリエチルアミン塩酸塩をセライトろ過で
除いた。得られたろ液を濃縮し、1-ヘキシルノニルイソ
シアネート24.7g(95%)を油状物として得た。NMR(CD
Cl3);0.8(t,3H)、1.0(t,3H)、1.0−2.4(m,25
H)。IR(neat):2250cm-1
【0027】イソシアネートからセミカルバジドの合成
(4-(1-ヘキシルノニル)セミカルバジド) ヒドラジン一水和物31.3g(500mmol)のDMAc50mL溶液に
1-ヘキシルノニルイソシアネート25.3gを室温で滴下
し、30分間攪拌した。反応液に水100mLを加え、酢酸エ
チル100mLで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、
溶媒を留去した。得られた残査をカラムクロマトグラフ
ィー(酢酸エチル/メタノール=100/1)で精製し、4-
(1-ヘキシル)ノニルセミカルバジド22.0g(77%)を油
状物として得た。NMR(CDCl3);0.8(t,3H)、1.0
(t,3H)、1.0−2.4(m,25H)、5.6 (s,1H)、6.6
(s,1H)、7.4 (s,1H)、8.3 (s,1H)。IR(neat):335
0,1650cm-1
【0028】実施例2 カルボン酸からセミカルバジドの一貫合成法(4-(1-ヘ
キシルノニル)セミカルバジド) 実施例1の第一工程の方法に準じて得たN-ヒドロキシ-2
-ヘキシルデカナミド27.1g(100mmol)のトルエン(約1
00mL)溶液にメタンスルホニルクロリド7.7mL(100mmo
l)を加え、トリエチルアミン27.9mL(200mmol)を10℃
で滴下した。室温に昇温した後、1時間攪拌し、3%食塩
水を加え、水層を分液で除去した。得られた有機層をヒ
ドラジン一水和物25.5g(500mmol)のDMAc50mL溶液に室
温で滴下し、30分攪拌した。反応液に水200mLを加え、
酢酸エチル100mLで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、溶媒を留去した。得られた残査をカラムクロマト
グラフィー(酢酸エチル/メタノール=100/1)で精製
し、4-(1-ヘキシル)ノニルセミカルバジド23.7g(83
%)を油状物として得た。
【0029】実施例3 ヒドロキサム酸からセミカルバジド・蓚酸塩の一貫合成
法(4-(1-ヘキシル)ノニルセミカルバジド・蓚酸塩) N-ヒドロキシ2-ヘキシルデカナミド27.1g(100mmol)の
トルエン(100mL)溶液にメタンスルホニルクロリド7.7
mL(100mmol)を加え、トリエチルアミン27.9mL(200mm
ol)を10℃で滴下した。室温に昇温した後、1時間攪拌
し、3%食塩水を加え、水層を分液で除去した。得られ
た有機層をヒドラジン一水和物31.3g(500mmol)のDMAc
50mL溶液に室温で滴下し、30分攪拌した。反応液に水20
0mLを加え、水層を除去した後、無水蓚酸18g(200mmol)
のアセトニトリル(500mL)溶液を加え、生じた沈殿を
ろ過して4-(1-ヘキシル)ノニルセミカルバジド蓚酸塩3
6.3g(90%)を白色結晶として得た。NMR(CDCl3);
0.8(t,3H)、1.0(t,3H)、1.0−2.4(m,25H)、8.
0(broad-s,6H)。IR(neat):3250,1650,1550c
m -1。C18H37N3O5;calc. C, 57.57; H, 9.93; N, 11.1
9.found.C, 57.35; H, 10.22; N, 10.99。
【0030】実施例4 1-ヘキシルヘプチルイソシアネート N-ヒドロキシ-2-ヘキシルオクタナミドから実施例1の
第二工程と同様の方法にしたがって合成した。収率90%
(油状物)。NMR(CDCl3);0.88(t,3H)、1.0(t,3
H)、1.0−2.4(m,21H)。IR(neat):2250cm-1。 実施例5 6-メチル-1-(3-メチルヘキシル)ノニルイソシアネート N-ヒドロキシ-7-メチル-2-(3-メチルヘキシル)デカナ
ミドから実施例1の第二工程と同様の方法にしたがって
合成した。収率97%(油状物)。NMR(CDCl3);0.7(t,
3H)、0.8(t,3H)、0.9(d,3H)、0.95(d,3H)、
1.0−2.4(m,23H)。IR(neat):2250cm-1。 実施例6 4,6,6-トリメチル-1-(1,3,3-トリメチルブチル)ヘプチ
ルイソシアネート N-ヒドロキシ-5,7,7-トリメチル-2-(1,3,3-トリメチル
ブチル)オクタナミドから実施例1の第二工程と同様の
方法にしたがって合成した。収率98%(油状物)。NMR(C
DCl3);0.8(d,3H)、0.85(d,3H)、1.0(s,9
H)、1.5(s,9H)、1.0−2.4(m,11H)。IR(nea
t):2250cm-1
【0031】実施例7 4-(1-ヘキシルヘプチル)セミカルバジド N-ヒドロキシ-2-ヘキシルオクタナミドから実施例2と
同様の方法にしたがって合成した。収率87%。NMR(CDC
l3);0.8(t,3H)、1.0(t,3H)、1.0−2.4(m,21
H)、5.6 (s,1H)、6.6 (s,1H)、7.6 (s,2H)。IR(ne
at):3350,1650cm-1。 実施例8 4-(6-メチル-1-(3-メチルヘキシル)ノニル)セミカルバ
ジド N-ヒドロキシ-7-メチル-2-(3-メチルヘキシル)デカナ
ミドから実施例2と同様の方法にしたがって合成した。
収率96%(油状物)。NMR(CDCl3);0.7(t,3H)、0.8
(t,3H)、0.9(d,3H)、0.95(d,3H)、1.0−2.4
(m,23H)、5.6 (s,1H)、6.6 (s,1H)、7.6 (s,2
H)。IR(neat):3350,1650cm-1。 実施例9 4-(4,6,6-トリメチル-1-(1,3,3-トリメチルブチル)ヘプ
チル)セミカルバジド N-ヒドロキシ-5,7,7-トリメチル-2-(1,3,3-トリメチル
ブチル)オクタナミドから実施例2と同様の方法にした
がって合成した。収率96%(油状物)。NMR(CDCl3);0.
8(d,3H)、0.85(d,3H)、1.0(s,9H)、1.5(s,9
H)、1.0−2.4(m,11H)、5.6 (s,1H)、6.6 (s,1
H)、7.4 (s,2H)。IR(neat):3350,1650cm-1。
【0032】本発明において上述した式(2)に示すイ
ソシアネートのうち、式(5)に示すイソシアネート類
は構造的に新規である。
【0033】
【化12】
【0034】R7,R8はそれぞれ炭素数6以上の直鎖ま
たは分枝鎖のアルキル基であり、分枝アルキル基が好ま
しい。それぞれの炭素数は6から30が好ましく、さら
に7から15が好ましい。R3,R4で表されるアルキル
基の具体例としては、一般式(1)のR1、R2に含まれ
るものを挙げることができる。R7,R8は互いに同じで
も異なっていても良いが、異なっている方が更に好まし
い。以下、一般式(5)で示される化合物の具体例をあ
げるが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【0038】上記の例示化合物は本発明の実施例1に準
じた方法によって合成できる。さらに、本発明の式
(3)に示すセミカルバジドの中でも式(6)に示すセ
ミカルバジドは構造的に新規である。
【0039】
【化16】
【0040】R9,R10はそれぞれ炭素数4以上の直鎖ま
たは分枝鎖のアルキル基である。R 9,R10で表されるア
ルキル基の具体例としては一般式(1)のR1、R2に含
まれるものを挙げることができる。R9,R10で示される
アルキル基の炭素数は通常2から50であり、さらに好
ましくは4から25であり、特に好ましくは6から15
である。R9,R10で示されるアルキル基としては分枝ア
ルキル基が好ましい。R9,R10は互いに同じでも異なっ
ていても良いが、異なっている方が更に好ましい。以
下、一般式(6)で示される化合物の具体例をあげる
が、本発明はこれらに限られるものではない。
【0041】
【化17】
【0042】
【化18】
【0043】
【化19】
【0044】上記の例示化合物は本発明の実施例4に準
じた方法によって合成できる。
【0045】
【発明の効果】(1)安価でかつ工業的に利用可能なα
分岐カルボン酸を原料とし、簡便な操作で高収率かつ高
純度な、セミカルバジドおよびイソシアネートの合成法
を提供できる。 (2)構造的に新規な二級のアルキル基を有するセミカ
ルバジドおよびイソシアネートとを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC55 AC59 BA02 BA20 BA21 BA25 BA32 BA50 BA51 BA52 BA69 BB11 BB14 BB15 BB20 BB21 BC10 BC34 BE27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)に示すヒドロキサム酸から、酸
    ハロゲン化物もしくは酸無水物と塩基の存在下に式
    (2)に示すイソシアネートを得ることを特徴とするイ
    ソシアネートの合成方法。 【化1】 (式(1)及び式(2)におけるR1,R2は鎖状または
    環状のアルキル基を示し、炭素数の和が8以上であ
    る。)
  2. 【請求項2】 請求項1に示す合成法において、式
    (1)及び式(2)に示される化合物のR1,R2がそれ
    ぞれ炭素数4以上の直鎖または分枝の鎖状アルキル基で
    ある請求項1に記載のイソシアネートの合成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法により得られるイ
    ソシアネートとヒドラジンとの反応により式(3)に示
    すセミカルバジドを得ることを特徴とするセミカルバジ
    ドの合成方法。 【化2】 (式(3)におけるR3,R4は式(1)におけるR1,R2
    と同義である。)
  4. 【請求項4】 式(3)に示される化合物のR3,R4
    それぞれ炭素数4以上の直鎖または分枝の鎖状アルキル
    基である請求項3に記載のセミカルバジドの合成方法。
  5. 【請求項5】 式(1)に示すヒドロキサム酸を式
    (4)に示すカルボン酸から得ることを特徴とする請求
    項1に記載のイソシアネートの合成方法。 【化3】 (式(4)におけるR5,R6は式(1)におけるR1,R2
    と同義である。)
  6. 【請求項6】 式(5)に示す化合物。 【化4】 (式中、R7,R8はそれぞれ炭素数6以上の直鎖または
    分枝の鎖状アルキル基を示す。)
  7. 【請求項7】 式(6)に示す化合物。 【化5】 (式中R9,R10はそれぞれ炭素数4以上の直鎖または分
    枝の鎖状アルキル基を示す。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20130274504A1 (en) * 2010-10-21 2013-10-17 Steven L. Colletti Novel Low Molecular Weight Cationic Lipids For Oligonucleotide Delivery
US11814360B2 (en) 2017-10-05 2023-11-14 Novomer, Inc. Isocyanates, derivatives, and processes for producing the same

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