JPH0959228A - 光学活性なアミノアルコール及びその製造方法 - Google Patents

光学活性なアミノアルコール及びその製造方法

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JPH0959228A
JPH0959228A JP7231921A JP23192195A JPH0959228A JP H0959228 A JPH0959228 A JP H0959228A JP 7231921 A JP7231921 A JP 7231921A JP 23192195 A JP23192195 A JP 23192195A JP H0959228 A JPH0959228 A JP H0959228A
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amino
compound
solvent
diol
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JP7231921A
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Yasuo Ito
安夫 伊藤
Hideo Kato
日出男 加藤
Shingo Yasuda
信吾 安田
Noriyuki Kato
典幸 加戸
Toshihiko Yoshida
敏彦 吉田
Makoto Takeshita
真 竹下
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Abbott Japan Co Ltd
Original Assignee
Hokuriku Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗菌剤等の医薬及び農薬を製造するための合成
中間体として有用な(3S,4S)−3−アミノ−4−
メチルピロリジン誘導体を効率的に製造するために有用
な化合物を提供する。 【解決手段】合成中間体として(2S,3R)−2−ア
ミノ−3−メチルブタン−1,4−ジオール、及びアミ
ノ基が保護された(2S,3R)−2−アミノ−3−メ
チルブタン−1,4−ジオールを用いることにより、
(3S,4S)−3−アミノ−4−メチルピロリジン誘
導体を極めて効率的かつ高収率で製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌剤等の医薬及
び農薬の製造に有用な光学活性な3−アミノ−4−メチ
ルピロリジン誘導体を製造するために有用な光学活性な
アミノアルコールに関する。より具体的には、本発明
は、上記の有用性を有する光学活性な(2S,3R)−
2−アミノ−3−メチルブタン−1,4−ジオールに関
するものである。また、本発明は上記化合物の製造方法
及び上記化合物の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】3−アミノ−4−メチルピロリジン誘導
体のうち、特定の立体配置(3S,4S)により特徴付
けられる光学活性な3−アミノ−4−メチルピロリジン
誘導体が、抗菌剤、特にキノロンカルボン酸系合成抗菌
剤等の医薬及び農薬の製造に有用であることが知られて
いる(特願平7−27270号)。PCT国際公開WO
92−20652号には、(3S,4S)−3−アミノ
−4−メチルピロリジン誘導体の製造方法として、L-ア
スパラギン酸を出発原料とした以下の方法が開示されて
いる(式中、Boc 及びBnは、それぞれtert- ブトキシカ
ルボニル基及びベンジル基を表す)。
【化1】
【0003】しかしながら、上記の製造方法では立体選
択的なメチル化を行なうことができないので、反応系に
分離不可能な立体異性体の混合物が生成し(工程1)、
その後の工程においても立体異性体の分離が困難になる
という問題があった。最終工程の再結晶(工程5)によ
ってそれぞれの異性体を完全に分離することは非常に煩
雑であり、精製収率も満足のいくものではなかった。ま
た、エステルの還元(工程2)は室温以上の温度で行う
必要があり、還元生成物がラセミ化するという問題もあ
った。従って、この方法は工業的製法としては採用でき
ないものであった。
【0004】また、特開平4−211077号には、L-
リンゴ酸を出発原料として10以上の工程を経て(3
S,4S)−3−アミノ−4−メチルピロリジン誘導体
を製造する方法が開示されている。しかしながら、この
方法は工程数が多いので収率の点で問題があり、また、
途中の工程においても、反応に用いた試薬由来の副生成
物を除去するため、カラムクロマトグラフィーによる精
製を行う必要があり、工業的製法として満足のいく方法
とは言えない。オルガニック・シンセシーズ・コレクテ
ィブ・ボリュームVII (Organic Syntheses Collective
Volumes VII) の156ページの記載によれば、本製造
工程の1つであるリンゴ酸エステル体のメチル化反応で
は、約1割の分離不可能な立体異性体が生成し、その後
の工程においてカラムクロマトグラフィーを用いた精製
が必要になるとのことである。
【0005】一方、2−アミノ−3−メチルブタン−
1,4−ジオールまたは保護基を有するその誘導体は知
られており(上記のPCT国際公開WO92−2065
2号及び特開平4−211077号公報)、この化合物
及びその誘導体が、光学活性な(3S,4S)−3−ア
ミノ−4−メチルピロリジン誘導体の製造に有用である
ことも知られている(PCT国際公開WO92−206
52号)。しかしながら、特定の立体配置(2S,3
R)によって特徴付けられる光学活性な2−アミノ−3
−メチルブタン−1,4−ジオール及び保護基を有する
その誘導体は上記の刊行物には開示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、抗菌
剤等の医薬及び農薬を製造する為の合成中間体として有
用な特定の立体配置(3S,4S)の光学活性な3−ア
ミノ−4−メチルピロリジン誘導体を効率的に製造する
ために有用な化合物を提供することにある。より具体的
には、本発明は、光学的に純粋な(2S,3R)−2−
アミノ−3−メチルブタン−1,4−ジオールを提供す
ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究した結果、9−フェニル−9−
フルオレニル基が導入されたL-アスパラギン酸誘導体に
対して立体選択的なメチル化を行うことにより、光学活
性な(2S,3R)−2−アミノ−3−メチルブタン−
1,4−ジオールを極めて効率的かつ高収率に製造でき
ることを見出した。また、この(2S,3R)−2−ア
ミノ−3−メチルブタン−1,4−ジオールが、(3
S,4S)−3−アミノ−4−メチルピロリジン誘導体
の効率的な製造に有用であることを見出した。本発明は
上記の知見を基にして完成されたものである。
【0007】すなわち本発明は、(2S,3R)−2−
アミノ−3−メチルブタン−1,4−ジオール、及びア
ミノ基が保護された上記化合物を提供するものである。
また、本発明の別の態様により、上記化合物の製造方法
が提供される。さらに、実質的に立体異性体の分離工程
を含まない(3S,4S)−3−アミノ−4−メチルピ
ロリジン誘導体の製造方法に用いる上記化合物、及び上
記化合物を用いて立体異性体の分離工程を含まずに(3
S,4S)−3−アミノ−4−メチルピロリジン誘導体
を製造する方法が本発明により提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明により提供される(2S,
3R)−2−アミノ−3−メチルブタン−1,4−ジオ
ール、及びアミノ基が保護された(2S,3R)−2−
アミノ−3−メチルブタン−1,4−ジオールは、2位
及び3位の炭素原子が特定の立体配置を有することによ
り特徴付けられる化合物である。これらの化合物は、抗
菌剤、例えばキノロンカルボン酸系合成抗菌剤等の医
薬、及び農薬などの製造に有用な特定の立体配置(3
S,4S)の光学活性な3−アミノ−4−メチルピロリ
ジン誘導体を製造するために有用である。
【0009】本発明の化合物は、遊離形態または酸付加
塩の形態のいずれでも存在しうる。酸付加塩としては、
塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、若しくはリン酸塩などの鉱酸
塩類、又は、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン
酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、リンゴ
酸塩、フマル酸塩、若しくはマレイン酸塩等の有機酸塩
類を挙げることができる。また、遊離形態又は上記の塩
の形態の化合物の任意の水和物及び溶媒和物も本発明の
範囲に包含される。さらに、本発明の化合物には、実質
的に光学純粋な上記化合物、及び実質的に他の立体異性
体を含有しない上記化合物が包含される。
【0010】本発明の(2S,3R)−2−アミノ−3
−メチルブタン−1,4−ジオールの2位のアミノ基は
保護基により保護されていてもよい。保護基の種類は、
本発明の化合物を原料化合物として用いて他の化合物に
変換する反応においてアミノ基を保護し、その後に必要
に応じて、適当な手段により上記化合物の立体を損なう
ことなく除去できるものであれば特に限定されることは
ない。
【0011】例えば、ベンジル基,4−メトキシベンジ
ル基,3,4−ジメトキシベンジル基,ジフェニルメチ
ル基,トリフェニルメチル基若しくは9−フェニル−9
−フルオレニル基等のアリール置換アルキル基;アセチ
ル基、トリフルオロアセチル基、若しくはベンゾイル基
等のアシル基;エトキシカルボニル基若しくは tert-ブ
トキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基を用
いることができるが、アミノ基の保護基はこれらに限定
されることはなく、当業者が反応や目的化合物の種類に
応じて適宜選択することが可能である。
【0012】本発明に係る化合物のうち、アミノ基が保
護されていない化合物;アミノ基の保護基として1個の
9−フェニル−9−フルオレニル基が導入された化合
物;アミノ基の保護基として9−フェニル−9−フルオ
レニル基及びベンジル基が導入された化合物、並びに、
アミノ基の保護基としてtert- ブトキシカルボニル基が
導入された化合物は好ましい化合物である。
【0013】本発明の(2S,3R)−2−アミノ−3
−メチルブタン−1,4−ジオールの製造方法の一例、
及び本発明の上記化合物を用いた(3S,4S)−3−
アミノ−4−メチルピロリジン誘導体の製造方法の一例
を、以下のスキームに示す。スキーム中、(IV)、
(V)、及び(VIII) で示される化合物は本発明の化合
物である。以下、下記のスキームに従って各反応を詳細
に説明するが、本発明の化合物の製造方法は下記スキー
ムの製造方法に限定されることはなく、また、本発明の
化合物の用途も下記のスキームの反応に限定されること
はない。
【0014】
【化2】
【0015】スキーム中、R1 及びR7 はアミノ保護基
(ただし9−フェニル−9−フルオレニル基を除く)を
表し;R2 はアミノ基の保護基である9−フェニル−9
−フルオレニル基を表し;R3 及びR4 はそれぞれ独立
に同一又は異なる低級アルキル基を表し、R5 は水素原
子,低級アルキル基,低級アルコキシ基、又はハロゲノ
低級アルキル基を表し;R6 はメチル基,モノフルオロ
メチル基,ジフルオロメチル基,トリフルオロメチル
基,p-メチルフェニル基を表し;Xは脱離基を表し;a
及びbはそれぞれの位置の不斉炭素原子がS配置及びR
配置であることを表す。
【0016】R3,R4 及びR5 で表される低級アルキル
基としては、例えば、メチル基,エチル基,n-プロピル
基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-
ブチル基,tert- ブチル基等の炭素数1〜6、好ましく
は炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を挙げる
ことができ、これらのうち、メチル基又はエチル基が特
に好ましい。R5 で表される低級アルコキシ基として
は、例えば、メトキシ基,エトキシ基,n-プロポシキ
基,イソプロポキシ基,n-ブトキシ基,イソブトキシ
基,sec-ブトキシ基,tert- ブトキシ基等の炭素数1〜
6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖のアルコ
キシ基を挙げることができ、メトキシ基,エトキシ基又
はtert- ブトキシ基が特に好ましい。
【0017】R5 で表されるハロゲノ低級アルキル基と
しては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖
又は分枝鎖のハロゲノアルキル基を挙げることができ、
これらは1個または2個以上の同一又は異なるハロゲン
原子を有していてもよい。例えば、フルオロメチル基,
ジフルオロメチル基,トリフルオロメチル基,クロロメ
チル基,ジクロロメチル基,トリクロロメチル基等を好
適に用いることができる。Xで表される脱離基として
は、例えば、フッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素
原子等のハロゲン原子、あるいはメタンスルホニル基,
p-トルエンスルホニル基,トリフルオロメタンスルホニ
ル基,ジフルオロメタンスルホニル基,フルオロメタン
スルホニル基等を挙げることができる。
【0018】工程1は、塩基の存在下、化合物(I)に
溶媒中でメチル化剤(II)を作用させて化合物(III) を得
る工程である。塩基としては、例えば、リチウムジイソ
プロピルアミド (LDA)又はリチウムビス(トリメチルシ
リル)アミド等を好適に用いることができ、溶媒として
は、例えば、エーテル,ジイソプロピルエーテル,テト
ラヒドロフラン,1,2−ジメトキシエタン等のエーテ
ル系溶媒等を好適に用いることができる。反応は−75
℃から室温の範囲で行なうことができる。
【0019】工程2は、化合物(III) を溶媒中で還元剤
により処理してアミノ基が保護された本発明の化合物(I
V)を得る工程である。還元剤としては、例えば、リチウ
ムアルミニウムヒドリド,ジイソブチルアルミニウムヒ
ドリド,ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒ
ドリド等を好適に用いることができ、溶媒としては、例
えば、エーテル,ジイソプロピルエーテル,テトラヒド
ロフラン等のエーテル系溶媒等を好適に用いることがで
きる。反応は−40℃から溶媒の還流温度の範囲で行な
えばよい。
【0020】工程3は、触媒の存在下、本発明の化合物
(IV)を溶媒中で加水素分解して、アミノ基が脱保護され
た本発明の化合物(V)を得る工程である。触媒として
は、例えば、ラネーニッケル,パラジウム炭素,又は酸
化白金等の水素添加用触媒を好適に用いることができ
る。溶媒の種類は、反応を阻害しない限り特に限定され
ず、例えば、メタノール,エタノール,プロパノール,
ブタノール等のアルコール系溶媒;含水アルコール系溶
媒;ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素
系溶媒;アセトニトリル,N,N−ジメチルホルムアミ
ド,ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;
酢酸メチル,酢酸エチル等のエステル系溶媒等を用いる
ことができる。水素源としては、水素ガスの他、シクロ
ヘキサジエン,ギ酸,ギ酸アンモニウム等を用いてもよ
い。
【0021】工程4は、塩基の存在下又は非存在下で、
本発明の上記化合物(V)に溶媒中で酸無水物(VI)又は
酸クロリド(VII) を作用させて、アミノ基が保護された
本発明の化合物(VIII)を得る工程である。塩基として
は、例えば、トリエチルアミン,N,N−ジイソプロピ
ルエチルアミン,1,8−ジアザビシクロ〔5.4.
0〕−7−ウンデセン,ピリジン等の有機塩基;又は、
炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム,
炭酸水素カリウム等の無機塩基を用いることができる。
溶媒としては、例えば、メタノール,エタノール,プロ
パノール,ブタノール等のアルコール系溶媒;エーテ
ル,ジイソプロピルエーテル,テトラヒドロフラン,
1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;アセト
ニトリル,N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルス
ルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸メチル,酢
酸エチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン,クロロホ
ルム,1,2−ジクロロエタン等のハロゲン含有炭化水
素系溶媒等を用いることができ、反応は氷冷下から溶媒
の加熱還流温度の範囲で行なえばよい。
【0022】工程5は、塩基の存在下又は非存在下に、
本発明の化合物(VIII)に対して溶媒中でスルホン酸クロ
リド(IX)を縮合させて、2個の水酸基がそれぞれスルホ
ニル化された化合物(X)を得る工程である。塩基とし
ては、例えば、トリエチルアミン,N,N−ジイソプロ
ピルエチルアミン,1,8−ジアザビシクロ〔5.4.
0〕−7−ウンデセン,ピリジン等の有機塩基;又は、
炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム,
炭酸水素カリウム等の無機塩基を用いることができる。
溶媒の種類は反応を阻害しない限り特に限定されず、例
えば、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水
素系溶媒;アセトニトリル,N,N−ジメチルホルムア
ミド,ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶
媒;酢酸メチル,酢酸エチル等のエステル系溶媒;塩化
メチレン,クロロホルム,1,2−ジクロロエタン等の
ハロゲン含有炭化水素系溶媒;エーテル,ジイソプロピ
ルエーテル,テトラヒドロフラン,1,4−ジオキサン
等のエーテル系溶媒等を用いることができる。反応は氷
冷下から溶媒の加熱還流温度の範囲で行なえばよい。
【0023】工程6は、溶媒中又は無溶媒条件下で、化
合物(X)に塩基の存在下又は非存在下に1級アミノ基
を有する化合物(XI)を反応させて、1位が保護された
(3S,4S)−3−アミノ−4−メチルピロリジン誘
導体(XII) を製造する工程である。塩基としては、例え
ば、トリエチルアミン,N,N−ジイソプロピルエチル
アミン,1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−
ウンデセン,ピリジン等の有機塩基;又は、炭酸ナトリ
ウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カ
リウム等の無機塩基を用いることができる。溶媒の種類
は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、ベン
ゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;
アセトニトリル,N,N−ジメチルホルムアミド,ジメ
チルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸メチ
ル,酢酸エチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン,ク
ロロホルム,1,2−ジクロロエタン等のハロゲン含有
炭化水素系溶媒;エーテル,ジイソプロピルエーテル,
テトラヒドロフラン,1,4−ジオキサン等のエーテル
系溶媒等を用いることができる。反応は氷冷下から20
0℃の範囲で行なうことができる。
【0024】工程7は、触媒の存在下、1位が保護され
た(3S,4S)−3−アミノ−4−メチルピロリジン
誘導体(XII) を溶媒中で加水素分解して1位が脱保護さ
れた(3S,4S)−3−アミノ−4−メチルピロリジ
ン誘導体(XIII)を製造する工程である。触媒としては、
例えば、ラネーニッケル,パラジウム炭素,又は酸化白
金等の水素添加用触媒を好適に用いることができる。溶
媒の種類は、反応を阻害しない限り特に限定されず、例
えば、メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノ
ール等のアルコール系溶媒;含水アルコール系溶媒;ベ
ンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶
媒;アセトニトリル,N,N−ジメチルホルムアミド,
ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸
メチル,酢酸エチル等のエステル系溶媒等を用いること
ができる。水素源としては、水素ガスの他、シクロヘキ
サジエン,ギ酸,ギ酸アンモニウム等を用いてもよい。
【0025】なお、上記スキーム中の出発原料である化
合物(I)は公知の化合物であり、特表平6−5081
36号公報に記載されている化合物である。以下、本発
明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は
これらの例に限定されることはない。
【0026】
【実施例】
例1:(2S,3R)−N−ベンジル−3−メチル−N
−(9−フェニルフルオレン−9−イル)アスパラギン
酸ジメチル ヘキサメチルジシラザン608mlのテトラヒドロフラン
3.2L溶液に、−10℃で攪拌下、窒素気流中、n-ブ
チルリチウム(1.66M)のn-ヘキサン溶液1966
mlを滴下し、−8〜4℃で30分間攪拌した。(2S)
−N−ベンジル−N−(9−フェニルフルオレン−9−
イル)アスパラギン酸ジメチル942gのテトラヒドロ
フラン3.2L溶液を−28〜−23℃に保ちながら滴
下し、−26〜24℃で30分間攪拌した。−65〜−
64℃に冷却した後、ヨウ化メチル143mlを滴下し、
−73〜−65℃で1.5時間、続いて−30〜−21
℃で1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水3.8L
を加えた後、氷冷下15分間攪拌し、分液した。水層を
酢酸エチルで抽出し、抽出液を先の有機層と合わせた
後、飽和食塩水で洗浄した。抽出液を芒硝にて乾燥後、
溶媒を減圧留去し、残渣をメタノールで洗浄して、無色
結晶880gを得た。メタノールから再結晶して、融点
153〜155℃の無色板状晶を得た。 元素分析値 C3331NO4 理論値 C, 78.39; H, 6.18; N, 2.77 実験値 C, 78.41; H, 6.15; N, 2.75 旋光度 〔α〕D 20 -344.5 °(c=1, CHCl3)
【0027】例2:(2S,3R)−2−〔N−ベンジ
ル−N−(9−フェニルフルオレン−9−イル)〕アミ
ノ−3−メチルブタン−1,4−ジオール 水素化リチウムアルミニウム63gの無水テトラヒドロ
フラン3.0L懸濁液に、窒素気流中氷冷下、(2S,
3R)−N−ベンジル−3−メチル−N−(9−フェニ
ルフルオレン−9−イル)アスパラギン酸ジメチル56
0gの無水テトラヒドロフラン1.8L溶液を滴下し
た。室温で30分間攪拌後、氷冷下で水300ml次いで
15%水酸化ナトリウム水溶液110mlを加え、室温で
2時間攪拌後、不溶物を濾去した。不溶物をテトラヒド
ロフラン1Lで洗浄した。濾液,洗液を合わせ、減圧濃
縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、芒硝にて乾燥後、
溶媒を減圧留去し、無色粘稠性液体544gを得た。本
品は精製せずに次の反応に使用できるが、一部カラムク
ロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル:n-ヘキサ
ン=1:2)により精製し、無色粘稠性液体を得た。 IRスペクトル ν (Liq) cm -1 : 3324 NMRスペクトル δ (CDCl3) ppm : 0.54(3H,d,J=7
Hz),1.50-1.60(1H,m),2.58-2.64(1H,m),2.84-2.93(1H,
m),3.02-3.10(1H,m),3.12-3.19(1H,m),3.22-3.29(1H,
m),4.18(1H,d,J=15.5Hz),4.29(1H,d,J=15.5Hz),7.17-7.
75(18H,m) 旋光度 〔α〕D 20 +106.7 °(c=1, CHCl3)
【0028】例3:(2S,3R)−2−アミノ−3−
メチルブタン−1,4−ジオール (2S,3R)−2−〔N−ベンジル−N−(9−フェ
ニルフルオレン−9−イル)〕アミノ−3−メチルブタ
ン−1,4−ジオール60g,20%水酸化パラジウム
炭素6.0g及びメタノール500mlの混合物を、オー
トクレーブ中、5Kgf/cm2,40℃にて2時間接触還元し
た。触媒を濾去後、濾液を減圧濃縮した。残渣にイソプ
ロピルアルコールを加えた後、不溶物を濾去し、濾液を
減圧濃縮して、無色粘稠性液体16.7gを得た。 IRスペクトル ν (liq) cm -1 : 3360 NMRスペクトル δ (CDCl3) ppm : 0.90(3H,d,J=
7.5Hz),1.65-1.76(1H,m),2.60-3.00(5H,m),3.50-3.61(2
H,m),3.64-3.70(2H,m)
【0029】例4:(2S,3R)−2−(tert- ブト
キシカルボニル)アミノ−3−メチルブタン−1,4−
ジオール (2S,3R)−2−アミノ−3−メチルブタン−1,
4−ジオール146gのイソプロピルアルコール500
ml溶液に、室温攪拌下、二炭酸ジtert- ブチル234g
のイソプロピルアルコール140ml溶液を滴下した。室
温下30分間攪拌後、溶媒を減圧留去して、淡黄色粘稠
性液体260gを得た。本品は精製せずに次の反応に使
用できるが、一部カラムクロマトグラフィー(シリカゲ
ル,塩化メチレン:酢酸エチル=1:1)により精製
し、無色粘稠性液体を得た。 IRスペクトル ν (liq) cm -1 : 3352 , 1690 NMRスペクトル δ (CDCl3) ppm : 1.03(3H,d,J=7
Hz),1.45(9H,s),1.75-1.90(1H,m),2.72(1H,br-s),3.17
(1H,br-s),3.42-3.80(5H,m),5.23(1H,br-s) 旋光度 〔α〕D 20 -10.4° (c=1, CHCl3)
【0030】例5:(2S,3R)−2−(tert- ブト
キシカルボニル)アミノ−1,4−ビス(メタンスルホ
ニルオキシ)−3−メチルブタン (2S,3R)−2−(tert- ブトキシカルボニル)ア
ミノ−3−メチルブタン−1,4−ジオール249g及
びトリエチルアミン34mlの塩化メチレン1600ml溶
液に、氷冷攪拌下、塩化メタンスルホニル174mlを滴
下した。室温下、30分間攪拌後、反応混合物を水で2
回洗浄した。有機層を芒硝にて乾燥後、溶媒を減圧留去
した。残渣をイソプロピルエーテルで洗浄して、淡褐色
結晶341gを得た。 IRスペクトル ν (KBr) cm -1 : 3336 , 1676 NMRスペクトル δ (CDCl3) ppm : 1.13(3H,d,J=7
Hz),1.45(9H,s),2.10-2.22(1H,m),3.04(3H,s),3.06(3H,
s),3.81-3.93(1H,m),4.15-4.26(2H,m),4.26-4.40(2H,
m),4.85(1H,br-s) 旋光度 〔α〕D 20 - 26.0 ° (c=1, CHCl3)
【0031】例6:(3S,4S)−1−ベンジル−3
−(tert- ブトキシカルボニル)アミノ−4−メチルピ
ロリジン ベンジルアミン290mlに室温攪拌下、(2S,3R)
−2−(tert- ブトキシカルボニル)アミノ−1,4−
ビス(メタンスルホニルオキシ)−3−メチルブタン1
00gを少量ずつ加えた。室温にて24時間攪拌後、反
応混合物を氷水600ml中へ注ぎ、30分間攪拌した。
析出結晶を吸引濾取し、淡褐色結晶45.1gを得た。
イソプロピルエーテルから再結晶して、融点100〜1
02℃の無色針状晶を得た。 旋光度 〔α〕D 20 + 31.1 °(c=1, CHCl3)
【0032】例7:(3S,4S)−3−(tert- ブト
キシカルボニル)アミノ−4−メチルピロリジン (3S,4S)−1−ベンジル−3−(tert- ブトキシ
カルボニル)アミノ−4−メチルピロリジン60.0
g,5%パラジウム炭素6.00g及びメタノール50
0mlの混合物をオートクレーブ中5kgf/cm2 ,40℃に
て3時間接触還元した。触媒を濾去後、濾液を減圧濃縮
し、n-ヘキサンから再結晶して、融点83〜85℃の無
色針状晶38.0gを得た。 NMRスペクトル δ (CDCl3) ppm : 0.97(3H,d,J=7
Hz),1.45(9H,s),2.20-2.30(1H,m),2.44-2.53(1H,m),2.7
0(1H,dd,J=11.5,4.5Hz),3.15(1H,dd,J=11,7.5Hz),3.20-
3.30(1H,m),4.05-4.20(1H,m),4.62(1H,br-s) 高分解能マススペクトル:C10212 2 理論値 m/z : 201.1603 実験値 m/z : 201.1601 旋光度 〔α〕D 20 + 19.6 °(c=1, CHCl3)
【0033】例8:5−アミノ−7−((3S,4S)
−3−tert- ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−
1−ピロリジニル)−1−シクロプロピル−6−フルオ
ロ−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリ
ン−3−カルボン酸 〔5−アミノ−1−シクロプロピル−6,7−ジフルオ
ロ−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリ
ン−3−カルボン酸−O3 ,O4 〕ジフルオロホウ素
1.01g,(3S,4S)−3−tert- ブトキシカル
ボニルアミノ−4−メチルピロリジン(〔α〕D 20 + 1
9.2 °(c=1, CHCl3))0.71g,N,N−ジイソプロ
ピルエチルアミン0.51ml及びジメチルスルホキシド
4.04mlの混合物を外温30℃で64時間攪拌した。
氷冷下、反応液に水を加え塩化メチレンで抽出し、塩化
メチレン層を水,飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥
し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー
(シリカゲル,塩化メチレン:メタノール=100:
1)で精製し、得られた結晶をジエチルエーテルで洗浄
して、黄橙色結晶0.58gを得た。得られた結晶0.
58g,トリエチルアミン0.58ml,メタノール1
1.6ml及び1,2−ジクロロエタン5.8mlの混合物
を3時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、残渣に水
を加え結晶を濾取,水洗して、黄色結晶0.52gを得
た。アセトン−ジイソプロピルエーテルから再結晶し
て、融点178.5〜180℃の黄色結晶を得た。 元素分析値 C2431FN4 5 理論値 C, 60.75; H, 6.58; N, 11.81 実験値 C, 60.59; H, 6.55; N, 11.73 旋光度 〔α〕D 20 -141.9 °(c=0.1, CHCl3)
【0034】例9:5−アミノ−7−((3S,4S)
−3−アミノ−4−メチル−1−ピロリジニル)−1−
シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−8
−メチル−4−オキソキノリン−3−カルボン酸 氷冷攪拌下、濃塩酸0.77ml中に5−アミノ−7−
((3S,4S)−3−tert- ブトキシカルボニルアミ
ノ−4−メチル−1−ピロリジニル)−1−シクロプロ
ピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−8−メチル−
4−オキソキノリン−3−カルボン酸0.45gを加
え、室温で3分間攪拌後、水0.77mlを加え、室温で
10分間攪拌した。反応液に10%水酸化ナトリウムを
加え、pH11とした後、10%塩酸でpH8とし、塩化メ
チレン−メタノール(9:1)で抽出した。有機層を水
洗後乾燥し、減圧濃縮して黄色結晶を得た。塩化メチレ
ン−ジエチルエーテルから再結晶して、黄色結晶0.2
4gを得た。エタノール−ジエチルエーテルから再結晶
して、融点212.5〜213.5℃の黄色結晶を得
た。 元素分析値 C1923FN4 3 ・1/4H2 O 理論値 C, 60.23; H, 6.25; N, 14.79 実験値 C, 60.32; H, 6.32; N, 14.47 旋光度 〔α〕D 20 -159.8 °(c=0.1, DMF)
【0035】
【発明の効果】本発明の化合物を用いることにより、反
応系から立体異性体の分離を必要とせず、極めて効率的
かつ高収率で(3S,4S)−3−アミノ−4−メチル
ピロリジン誘導体を製造することができ、従来の方法
(例えば、PCT国際公開WO92−20652号に記
載の方法)に比べて数工程の短縮が可能である。本発明
の化合物を用いて効率的に製造可能な上記の特定の立体
配置〔(3S,4S)〕により特定される3−アミノ−
4−メチルピロリジン誘導体は、例えば、特願平7−2
7270号に記載されているように、抗菌剤、特にキノ
ロンカルボン酸系合成抗菌剤や各種の農薬の製造に用い
ることができる。その製造方法の詳細は実施例(例8,
9)に記載した。例9で得られた化合物は、優れた抗菌
作用を有し、かつ光毒性,染色体異常誘発,痙攣誘発等
の副作用を起こさないので安全性も高く、抗菌剤として
極めて有用である。このように、(3S,4S)−3−
アミノ−4−メチルピロリジン誘導体は、他の立体配置
の3−アミノ−4−メチルピロリジン誘導体に比べて極
めて有用性が高い化合物である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07M 7:00 (72)発明者 竹下 真 福井県勝山市立川町1丁目3−14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (2S,3R)−2−アミノ−3−メチ
    ルブタン−1,4−ジオール。
  2. 【請求項2】 アミノ基が保護された請求項1に記載の
    化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の化合物を製造す
    る方法。
  4. 【請求項4】 立体異性体の分離工程を実質的に含まな
    い(3S,4S)−3−アミノ−4−メチルピロリジン
    誘導体の製造方法に用いる請求項1又は2に記載の化合
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の化合物を用いて
    立体異性体の分離工程を実質的に含まずに(3S,4
    S)−3−アミノ−4−メチルピロリジン誘導体を製造
    する方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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