JPH0959213A - プロペニル基含有アクリル又はメタクリル化合物 - Google Patents

プロペニル基含有アクリル又はメタクリル化合物

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JPH0959213A
JPH0959213A JP21330795A JP21330795A JPH0959213A JP H0959213 A JPH0959213 A JP H0959213A JP 21330795 A JP21330795 A JP 21330795A JP 21330795 A JP21330795 A JP 21330795A JP H0959213 A JPH0959213 A JP H0959213A
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Naofumi Suzuki
直文 鈴木
Koichi Iwasako
浩一 祝迫
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Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 速硬化性と他の樹脂との共重合性を両立さ
せ、かつ、架橋剤としても有用な、二種類の反応性重合
基を有する新規モノマーを提供する。 【解決手段】 下記一般式で表わされるプロペニル基含
有アクリル又はメタクリル化合物。 【化1】 (式中、Rは1−プロペニル基またはイソプロペニル
基、Rは水素原子またはメチル基、Rは水素原子ま
たは炭素数1〜12のアルキル基またはアルケニル基、
Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜10の数を
表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二種類の反応性重
合基を有するプロペニル基含有アクリル又はメタクリル
化合物(即ち、プロペニル基含有アクリル化合物又はプ
ロペニル基含有メタクリル化合物、以下、プロペニル基
含有(メタ)アクリル化合物という)に関する。さらに
詳しくは、電子線、紫外線などの放射線により硬化可能
で、かつ、架橋剤としても有用な新規モノマーであるプ
ロペニル基含有(メタ)アクリル化合物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】(メタ)
アクリレート化合物類は、速硬化性等の様々な利点を有
しているため、インキ、塗料、コーティング等の分野に
おいて使用されているが、他の樹脂との共重合性が低い
ため、樹脂材料としての汎用性に欠け、また、フリーラ
ジカルシステムで硬化するため、空気の存在により硬化
阻害が生じるという欠点を有している。
【0003】一方、ビニルエーテル化合物類は、カチオ
ンシステムでも硬化可能なため、空気による硬化阻害は
なく、他の樹脂との共重合性は(メタ)アクリレート化
合物類より良好であるが、硬化速度が(メタ)アクリレ
ート化合物類より遅いという欠点を有しており、特に不
飽和ポリエステルとの共重合においては、その共重合性
および硬化速度の両方に問題を有している。
【0004】本発明の課題は、速硬化性と他の樹脂との
共重合性を両立させ、かつ、架橋剤としても有用な、二
種類の反応性重合基を有する新規モノマーを提供すると
ころにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のプロペニル基含
有(メタ)アクリル化合物は、下記一般式で表わされ
る。
【0006】
【化2】 式中、Rは1−プロペニル基またはイソプロペニル
基、Rは水素原子またはメチル基、Rは水素原子ま
たは炭素数1〜12のアルキル基またはアルケニル基、
Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜10の数を
表す。
【0007】
【発明の実施の形態】上記した本発明の新規化合物は、
公知の方法を採用することにより合成することができ
る。例えば、アリルアルキルフェノールまたはイソプロ
ペニルフェノールにアルカリ触媒のもとでアルキレンオ
キサイドを高温、高圧下で付加させ、さらに酸触媒下で
(メタ)アクリル酸エステル化することにより、本発明
のプロペニル基含有(メタ)アクリル化合物を得ること
ができる。
【0008】前記一般式中、Rは、好ましくは2位又
は4位置換体である。また、Rは、炭素数1〜12の
アルキル基またはアルケニル基の場合、好ましくは4位
置換体である。
【0009】また、前記一般式中、Aは、例えば、エチ
レン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等である。
なお、当該化合物1分子中に、このアルキレン基Aを複
数有する場合、それらは同一のアルキレン基であって
も、2種以上の異なるアルキレン基であってもよい。
【0010】また、nは、AOで表されるアルコキシル
基の平均モル数を示し、1〜10の範囲にある。なお、
nは、硬化樹脂に与える物性の点より、1〜6の範囲に
あることが好ましい。
【0011】なお、(AO)は、例えばエチレンオキ
サイド(以下、EOという)、プロピレンオキサイド
(以下、POという)、ブチレンオキサイドまたはイソ
ブチレンオキサイドの単独付加体、ブロック付加体、ラ
ンダム付加体またはそれらの混合物であってもよい。
【0012】
【発明の効果】本発明の新規化合物は、二種類の反応性
重合基を有するため、カチオンおよびラジカルの両シス
テムでの重合が可能である。
【0013】そのため、この化合物は、カチオン重合開
始剤、ラジカル重合開始剤、又はカチオン及びラジカル
重合開始剤の存在下で、熱、紫外線、電子線などを作用
させることにより、容易に単独重合可能であり、また、
不飽和ポリエステルを含む他の不飽和結合を有する化合
物やエポキシ化合物などと容易に共重合を行なうことが
できる。即ち、速硬化性と共重合性が両立している。さ
らにまた、架橋剤としても使用可能である。そのため、
インキ、塗料、接着剤、およびコーティング材用の原料
として有用なモノマーである。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0015】実施例1 撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に、フェノー
ル94g(1.0モル)、NaOH40g(1.0モ
ル)およびアセトン210gを仕込み、撹拌しながら内
温を40℃に昇温した。次に、アリルクロライド76.
5g(1.0モル)を1時間かけて滴下し、滴下終了
後、さらに40℃に2時間保ち、反応を行なった。次
に、反応生成物を濾過し、副生したNaClを除去した
後、減圧下にてアセトンを除去し、アリルフェニルエー
テル130g(収率97%)を得た。
【0016】このアリルフェニルエーテル67g(0.
5モル)をオートクレーブに仕込み、200℃で撹拌し
ながら5時間保持して転位反応を行ない、アリルフェノ
ールとした。次に、一度室温まで冷却した後、触媒とし
てNaOH1.4gを加え、オートクレーブ内を窒素置
換した後、130℃で1〜2kg/cmの圧力下にお
いてエチレンオキサイド(EO)88g(2モル)を付
加させ、2−(1−プロペニル)フェノールEO平均4
モル付加体155gを得た。アリル基は、EO付加反応
のとき、1−プロペニル基に変化した。
【0017】次に、この2−(1−プロペニル)フェノ
ールEO平均4モル付加体93g(0.3モル)を撹拌
機、温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後に、
アクリル酸25.2g(0.35モル)、硫酸2g、ト
ルエン150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル
0.1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生成水
を溶剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4g
達したところで終点とした。反応混合物をシクロヘキサ
ン200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液で
中和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に硫酸マ
グネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減圧留去
して淡黄色液体100gを得た。
【0018】このもののIRスペクトルにおいて、16
40cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1
にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=O
に基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基
づく吸収が認められた。
【0019】また、このものの1H−NMRスペクトル
(CDCl溶媒中、テトラメチルシラン基準、pp
m)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロ
ペニル基由来のピーク(5H)、δ3.5〜4.0、δ
4〜4.6にメチレン基由来のピーク(12H、4
H)、δ1.7〜2にメチル基由来のピーク(3H)、
およびδ6.7〜7.5に芳香族環由来のピーク(4
H)が認められた。
【0020】上記の結果から、得られた液体が、2−
(1−プロペニル)フェノールEO平均4モル付加体ア
クリレートであることを確認した。
【0021】このものの共重合性をスチレンを基準モノ
マー(M)として測定すると、r=1.05、r
=0.02、r=0.021であり、Q=+0.
50、e=−2.50であった。よって、この化合物は
共重合性に優れている。
【0022】実施例2 オートクレーブにp−イソプロペニルフェノール134
g(1.0モル)および触媒として48%KOH3.0
gを仕込み、120℃にて減圧脱水した後、オートクレ
ーブ内を窒素置換した。次に、プロピレンオキサイド
(PO)348g(6モル)を徐々に加え、130℃で
1〜2kg/cmの圧力下の条件下にて付加反応を行
ない、p−イソプロペニルフェノールPO平均6モル付
加体482gを得た。
【0023】次に、p−イソプロペニルフェノールPO
平均6モル付加体144.6g(0.3モル)を撹拌
機、温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後に、
メタクリル酸30.1g(0.35モル)、硫酸2g、
トルエン150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル
0.1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生成水
を溶剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4g
に達したところで終点とした。反応混合物をシクロヘキ
サン200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液
で中和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に硫酸
マグネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減圧留
去して淡黄色液体140gを得た。
【0024】このもののIRスペクトルにおいて、16
40cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1
にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=O
に基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基
づく吸収が認められた。
【0025】また、このものの1H−NMRスペクトル
(CDCl溶媒中、テトラメチルシラン基準、pp
m)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロ
ペニル基由来のピーク(4H)、δ3.5〜4.0、δ
4〜4.6にメチレン基由来のピーク(6H、12
H)、δ1.0〜2にメチル基由来のピーク(24
H)、およびδ6.7〜7.5に芳香族環由来のピーク
(4H)が認められた。
【0026】上記の結果から、得られた液体が、p−イ
ソプロペニルフェノールPO平均6モル付加体メタクリ
レートであることを確認した。
【0027】このものの共重合性をスチレンを基準モノ
マー(M)として測定すると、r=0.95、r
=0.25、r=0.24であり、Q=+0.4
5、e=−2.38であった。よって、この化合物は共
重合性に優れる。
【0028】実施例3 撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に、フェノー
ル94g(1.0モル)、NaOH40g(1.0モ
ル)およびアセトン210gを仕込み、撹拌しながら内
温を40℃に昇温した。次に、アリルクロライド76.
5g(1.0モル)を1時間かけて滴下し、滴下終了
後、さらに40℃に2時間保ち、反応を行なった。次
に、反応生成物を濾過し、副生したNaClを除去した
後、減圧下にてアセトンを除去し、アリルフェニルエー
テル130g(収率97%)を得た。
【0029】このアリルフェニルエーテル67g(0.
5モル)をオートクレーブに仕込み、200℃で撹拌し
ながら5時間保持して転位反応を行ない、アリルフェノ
ールとした。次に、一度室温まで冷却した後、触媒とし
てNaOH1.4gを加え、オートクレーブ内を窒素置
換した後、130℃で1〜2kg/cmの圧力下にお
いてエチレンオキサイド(EO)44g(1モル)を付
加させ、2−(1−プロペニル)フェノールEO平均2
モル付加体111gを得た。アリル基は、EO付加反応
のとき、1−プロペニル基に変化した。
【0030】次に、この2−(1−プロペニル)フェノ
ールEO平均2モル付加体66.6g(0.3モル)を
撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後
に、アクリル酸25.2g(0.35モル)、硫酸2
g、トルエン150g、ハイドロキノンモノメチルエー
テル0.1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生
成水を溶剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.
4gに達したところで終点とした。反応混合物をシクロ
ヘキサン200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水
溶液で中和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に
硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減
圧留去して淡黄色液体70gを得た。
【0031】このもののIRスペクトルにおいて、16
40cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1
にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=O
に基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基
づく吸収が認められた。
【0032】また、このものの1H−NMRスペクトル
(CDCl溶媒中、テトラメチルシラン基準、pp
m)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロ
ペニル基由来のピーク(5H)、δ3.5〜4.0、δ
4〜4.6にメチレン基由来のピーク(4H、4H)、
δ1.7〜2にメチル基由来のピーク(3H)、および
δ6.7〜7.5に芳香族環由来のピーク(4H)が認
められた。
【0033】上記の結果から、得られた液体が、2−
(1−プロペニル)フェノールEO平均2モル付加体ア
クリレートであることを確認した。
【0034】このものの共重合性をスチレンを基準モノ
マー(M)として測定すると、r=1.00、r
=0.03、r=0.03であり、Q=+0.4
9、e=−2.51であった。よって、この化合物は共
重合性に優れる。
【0035】実施例4 オートクレーブにp−イソプロペニルフェノール134
g(1.0モル)および触媒として48%KOH3.0
gを仕込み、120℃にて減圧脱水した後、オートクレ
ーブ内を窒素置換した。次に、ブチレンオキサイド(以
下、BOという)144g(2モル)を徐々に加え、1
30℃で1〜2kg/cmの圧力下の条件下にて付加
反応を行ない、p−イソプロペニルフェノールBO平均
2モル付加体278gを得た。
【0036】次に、p−イソプロペニルフェノールBO
平均2モル付加体83.4g(0.3モル)を撹拌機、
温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後に、メタ
クリル酸30.1g(0.35モル)、硫酸2g、トル
エン150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.
1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生成水を溶
剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4gに達
したところで終点とした。反応混合物をシクロヘキサン
200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液で中
和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に硫酸マグ
ネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減圧留去し
て淡黄色液体88gを得た。
【0037】このもののIRスペクトルにおいて、16
40cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1
にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=O
に基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基
づく吸収が認められた。
【0038】また、このものの1H−NMRスペクトル
(CDCl溶媒中、テトラメチルシラン基準、pp
m)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロ
ペニル基由来のピーク(4H)、δ1.4〜1.6、δ
3.5〜4.0、δ4〜4.6にメチレン基由来のピー
ク(4H、2H、4H)、δ1.0〜2にメチル基由来
のピーク(12H)、およびδ6.7〜7.5に芳香族
環由来のピーク(4H)が認められた。
【0039】上記の結果から、得られた液体が、p−イ
ソプロペニルフェノールBO平均2モル付加体メタクリ
レートであることを確認した。
【0040】このものの共重合性をスチレンを基準モノ
マー(M)として測定すると、r=0.97、r
=0.20、r=0.19であり、Q=+0.4
7、e=−2.40であった。よって、この化合物は共
重合性に優れる。
【0041】実施例5 撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に、p−ノニ
ルフェノール126g(1.0モル)、NaOH40g
(1.0モル)およびアセトン210gを仕込み、撹拌
しながら内温を40℃に昇温した。次に、アリルクロラ
イド76.5g(1.0モル)を1時間かけて滴下し、
滴下終了後、さらに40℃に2時間保ち、反応を行なっ
た。次に、反応生成物を濾過し、副成したNaClを除
去した後、減圧下にしてアセトンを除去し、アリルノニ
ルフェニルエーテル158g(収率96%)を得た。
【0042】このアリルノニルフェニルエーテル83g
(0.5モル)をオートクレーブに仕込み、200℃で
撹拌しながら5時間保持して転位反応を行ない、アリル
ノニルフェノールとした。次に、一度室温まで冷却した
後、触媒としてNaOH1.4gを加え、オートクレー
ブ内を窒素置換した後、130℃で1〜2kg/cm
の圧力下においてエチレンオキサイド(EO)88g
(2モル)を付加させ、2−(1−プロペニル)フェノ
ールEO平均4モル付加体155gを得た。アリル基
は、EO付加反応のとき、1−プロペニル基に変化し
た。
【0043】次に、この4−ノニル−2−(1−プロペ
ニル)フェノールEO平均4モル付加体102.6
(0.3モル)を撹拌機、温度計、還流管を備えた反応
容器に仕込んだ後に、アクリル酸25.2g(0.35
モル)、硫酸2g、トルエン150g、ハイドロキノン
モノメチルエーテル0.1gを仕込み、反応温度100
〜120℃で生成水を溶剤と共沸留去しながら反応さ
せ、生成水が5.4gに達したところで終点とした。反
応混合物をシクロヘキサン200gに溶解し、10%水
酸化ナトリウム水溶液で中和した後、純水で洗浄した。
得られた生成物に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後
濾過し、溶剤を減圧留去して淡黄色液体105gを得
た。
【0044】このもののIRスペクトルにおいて、16
40cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1
にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=O
に基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基
づく吸収が認められた。
【0045】また、このものの1H−NMRスペクトル
(CDCl溶媒中、テトラメチルシラン基準、pp
m)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロ
ペニル基由来のピーク(5H)、δ2.1〜2.4、δ
3.5〜4.0、δ4〜4.6にメチレン基由来のピー
ク(16H、12H、4H)、δ1.7〜2にメチル基
由来のピーク(6H)、およびδ6.7〜7.5に芳香
族環由来のピーク(3H)が認められた。
【0046】上記の結果から、得られた液体が、4−ノ
ニル−2−(1−プロペニル)フェノールEO平均4モ
ル付加体アクリレートであることを確認した。
【0047】このものの共重合性をスチレンを基準モノ
マー(M)として測定すると、r=1.10、r
=0.10、r=0.11であり、Q=+0.0
9、e=−1.95であった。よって、この化合物は共
重合性に優れる。
【0048】実施例6 実施例1〜3にて製造した化合物(以下それぞれ化合物
1〜3という)と、従来のジアクリレート系モノマーと
の硬化性の比較を行なった。なお、従来のジアクリレー
ト系モノマーとしては、1,6−ヘキサンジアクリレー
トと1,9−ノナンジアクリレートを用いた。
【0049】化合物1〜3又は前記のジアクリレート系
モノマー各100部に対し重合開始剤(2,2−ジメト
キシ−2−フェニルアセトフェノン,BDK)をそれぞ
れ4部添加して、それらをそれぞれ平板上に塗布し、各
平板を、高圧水銀灯(80W/cm)1灯を備えた処理
装置中にラインスピード10m/minで投入して、化
合物を硬化させ、塗膜を形成せしめた。なお、処理時間
は0.1分であった。
【0050】硬化性の評価は、上記塗膜中における未反
応物を塩化メチレンにて24時間抽出し、このときの塗
膜の重量変化であるゲル化率により行なった。各化合物
のゲル化率を表1に示す。ここで、ゲル化率は、硬化後
(抽出前)の塗膜重量をW、抽出後の塗膜重量をWと
したとき、下記式で表される。
【0051】ゲル化率(%)=(W/W)×100
【表1】 表1に示されているように、化合物1〜3は、1,6−
ヘキサンジアクリレート及び1,9−ノナンジアクリレ
ートに比べてゲル化率が高く、100%に近い値であっ
た。よって、化合物1〜3は速硬化性を備える。
【0052】実施例7 本発明の化合物における架橋剤としての効果を確認する
ため、下記の配合よりなる組成物に、前記した化合物1
〜3及びスチレンを各30部添加し、良く混合して20
℃で放置し、ゲル化時間、硬化物の引っ張り強度及び伸
びの比較を行なった。結果を表2に示す。
【0053】 (組成物配合) プロピレングリコール 27.6部 無水マレイン酸 16.9部 無水フタル酸 25.5部 シクロヘキサノンパーオキサイド 2.0部 ナフテン酸コバルト 0.5部
【表2】 化合物1〜3は、不飽和ポリエステル用架橋剤として最
も汎用的なスチレンと比較して、同等以上の速度で硬化
し、引っ張り強度はやや劣るものの、スチレンの欠点で
あった脆さを改善する架橋剤であることが確認できた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で表わされるプロペニル基含
    有アクリル又はメタクリル化合物。 【化1】 (式中、Rは1−プロペニル基またはイソプロペニル
    基、Rは水素原子またはメチル基、Rは水素原子ま
    たは炭素数1〜12のアルキル基またはアルケニル基、
    Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜10の数を
    表す。)
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