JPH095754A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JPH095754A
JPH095754A JP14907395A JP14907395A JPH095754A JP H095754 A JPH095754 A JP H095754A JP 14907395 A JP14907395 A JP 14907395A JP 14907395 A JP14907395 A JP 14907395A JP H095754 A JPH095754 A JP H095754A
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liquid crystal
alignment film
alignment
crystal molecules
film
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JP14907395A
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English (en)
Inventor
Shin Tabata
伸 田畑
Akira Tsumura
顯 津村
Masaya Mizunuma
昌也 水沼
Akira Tamaya
晃 玉谷
Takamitsu Fujimoto
隆光 藤本
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い視野角のTN型液晶表示素子の構造を提
供する。 【構成】 負の誘電異方性を有する液晶材料に液晶分子
の配向にらせん構造を付与する光学活性化合物を添加し
た材料で形成された液晶層を、液晶分子をその膜面に垂
直に配向させる配向膜が基板上の電極上に形成されてい
る第1および第2の電極基板を配向膜側を向合わせて形
成した間隙に挟持して形成された液晶セルと、この液晶
セルの両側に形成された偏光板とを備えた構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示素子における液
晶配向、液晶表示モードに関するものであり、特に視野
角特性に優れた液晶表示素子を得るための液晶配向、液
晶表示モードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在最も一般に用いられている液晶表示
モードであるTN(Twisted Nematic)モードの表示原
理についてまず説明する。
【0003】図3に第1の従来の液晶表示素子として、
TNモードの液晶材料の旋光性を表示のオンオフに用い
た液晶表示素子の斜視図を、また図4にその断面構造図
を示す。1、5は透明な第1、第2の基板、2、6は第
1、第2の基板1、5上に形成された第1、第2の電
極、3、7は電極2、6上に形成された第1、第2の配
向膜で、11、12は第1、第2の基板1、5の外側の
面に形成された第1、第2の偏光板である。この第1の
基板1と電極2および配向膜3で第1の電極基板4を構
成している。同様に、ガラス基板5、電極6、配向膜7
により第2の電極基板8を形成している。9は第1及び
第2の電極基板4、8間の間隙部分に挟持されたTN型
の液晶材料による誘電異方性△εが正、即ち液晶分子の
長軸方向の誘電率ε‖と液晶分子の短軸方向の誘電率ε
⊥の差△ε=ε‖ーε⊥が正の液晶材料による液晶層
で、10は液晶層9を構成する液晶分子である。13は
第1、第2の電極基板4、8で液晶層9を挟持して形成
した液晶セルである。14は液晶セル13の両側に偏光
板11、12を備えた液晶表示素子である。
【0004】図3および図4により、TNモードの表示
原理を示す。第1、第2の電極基板4、8表面に第1、
第2の配向膜3、7を形成し、その表面をラビング処理
する。このラビング方向を上下基板間で直交するように
液晶セルを作製し、正の誘電異方性を有する液晶材料を
第1、第2の電極基板4、8の間隙部分に注入し、液晶
層9を形成する。このとき図3(a)および図4(a)
に示すように、液晶分子10は第1、第2の基板のラビ
ング方向にしたがって、90°ねじれた配向状態を示
す。
【0005】この液晶セル13の上下に、たとえば、そ
の偏光方向が直交するように第1、第2の偏光板11、
12を貼付する。図3において両端矢印の線は偏光板1
1、12の偏光方向を示す。この液晶表示素子は、電極
間に十分高い信号電圧を印加して2値画像を、また比較
的小さな信号電圧を印加することにより中間調の画像を
表示することができる。図4(a)に示すように、この
液晶セル13は電圧印加しないとき、第1の偏光板11
を透過した光は液晶の旋光性にしたがって90°回転
し、第2の偏光板12を透過する。従って液晶表示素子
14は明(透過)状態となる。
【0006】図4(b)は電極2、6間に比較的小さな
電圧V1を印加したときの液晶層9内の液晶分子10の
配向状態を示す。液晶材料が正の誘電異方性を有するの
で、電圧印加に対し液晶分子は電界方向に少し配向され
ている。また図3(b)または図4(c)は十分に大き
な電圧V2を印加したときの液晶分子の配向状態を示
す。液晶分子10はすべて電極基板面に垂直に配向され
るので、電極上方から光を照射すると、第1の偏光板1
1を透過した光は液晶に旋光性がないので第2の偏光板
12を透過することができず、液晶表示素子14は暗状
態となる。以上のような表示原理によりTNモードの液
晶表示素子14は明暗の表示を行なうことができる。
【0007】また、図6(a)、(b)に、第2の従来
例として表示のオンオフを複屈折効果により行う液晶表
示素子の断面図を示す。ここで、基板及び電極等は、図
3及び図4に示した第1の従来例のものと同じであるの
で図示を省略する。図6(a)は、正の誘電異方性の液
晶を用いた液晶表示素子の断面図である。図において、
51は平行配向膜で、52は垂直配向膜である。58は
正の誘電異方性の液晶層で、60は液晶層58の液晶分
子のうち平行配向膜51によりその膜面に平行方向に配
向されたものを示す。また61も液晶層58中の液晶分
子で垂直配向膜52によりその膜面に垂直に配向されて
いる。62は電圧が印加されたときの液晶分子で、63
は電圧印加による電界を示す。
【0008】図6(b)は、負の誘電異方性の液晶を用
いた液晶表示素子の断面図である。図において、59は
負の誘電異方性の液晶層で、64は液晶層59の液晶分
子のうち平行配向膜51によりその膜面に平行方向に配
向されたものを示す。また65も液晶層59中の液晶分
子で垂直配向膜52によりその膜面に垂直に配向されて
いる。66は電圧が印加されたときの液晶分子で、67
は電圧印加による電界を示す。
【0009】図7は、図6(a)の斜視図を示したもの
で、液晶表示素子の動作の説明図である。図において、
68、69はそれぞれ液晶層58を挟んでその両端に設
けられ、その偏光方向が互いに直交する第1、第2の偏
光板で、70、71はそれぞれ入射光及びその透過光を
示す。またθは入射光70の偏光方向と平行配向された
液晶分子60の軸方向のなす角である。この装置におい
て、平行配向膜の配向方向は、θが45°となるように
ラビングされている。図7において、液晶層58と第1
又は第2の偏光膜68、69との間にそれぞれ配向膜、
電極層、基板があるが、それらの図示は省略されてい
る。
【0010】つぎに、この装置の動作を説明する。図6
(a)又は図7において、液晶層58中の液晶分子の
内、平行配向膜近傍の液晶分子60は、この膜面に平行
に配向される。また垂直配向膜52近傍の液晶分子61
は、この膜面に垂直に配向される。この装置において、
前記の第1の従来例の液晶表示素子とは異なり、上記平
行、垂直配向された液晶分子60、61の分子軸方向間
にねじれはない。従って旋光性はない。
【0011】図6(a)または図7において、液晶層5
8に第1の偏光板68で規制された偏光方向を持つ入射
光70があると、光は液晶層58による複屈折効果によ
り透過光は偏光されている。第2の偏光板は、第1のも
のに対し直交するように形成してあるので、楕円偏光さ
れた透過光のうち、この成分を有する光だけが第2の偏
光板を透過できる。
【0012】この透過光量は、入射光70の偏光方向と
液晶分子軸のなす角θと、液晶層58の厚み等に依存し
sin22θに比例する。平行配向された液晶分子64
のうち、第1の偏光板68で規制された入射光70の偏
光方向と同じあるいは直交するもの、即ちθ=0°又は
90°のものは偏光に寄与しない。θ=0°と90°と
の間の液晶分子60が複屈折に寄与し、楕円偏光を示
し、とくにθ=45°でもっとも効果が大きいので、平
行配向膜をこの方向にラビングしている。
【0013】この液晶表示素子に電圧を印加しないで入
射光70を照射すると、上記複屈折効果により、第2の
偏光板69を光が透過し、明状態が観察される。一方、
この素子に電圧を印加すると、正の誘電異方性の液晶を
用いているので、液晶層58中の全ての液晶分子は垂直
方向に配向される。従って、第1の偏光板68側からの
入射光は偏光されないので、第1の偏光板68とその偏
光方向が直交している第2の偏光板69を透過できず、
暗状態となる。
【0014】また図6(b)に示す負の誘電異方性を有
する液晶を用いた液晶表示素子も同様な動作原理でオン
オフさせることができる。ただし、この場合、電圧無印
加の状態において、平行配向される液晶分子の量が少な
くなるようにその配向膜と液晶分子間の結合力を加減す
ることによって(アンカリング)この液晶分子64を偏
光に寄与しない程度に少なくすれば、電圧無印加で暗状
態とすることができる。図6(b)で電圧を印加する
と、液晶分子66は全て膜面と平行方向に配向されるの
で入射光70は複屈折により第2の偏光板69を透過
し、明状態となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】第1の従来例で示した
液晶表示素子では、第1、第2の電極基板上の配向膜
3、7がそれぞれ一定の方向にラビングされているの
で、電圧の印加のない初期状態における液晶分子10の
配向軸方向は常に配向膜面上の同一方向となっている。
従って、この素子に電圧を印加すると液晶分子10は
図3(b)または図4(b)、図4(c)に示すよう
に、すべての液晶分子は配向膜面上の同一方向からスタ
ートして配向軸方向を揃えながら垂直方向に向かって配
向される。このような液晶表示素子14は、光を照射し
たとき、眺める角度によって液晶分子10の光学的寄与
が異なり、コントラストの角度依存性として観察され
る。さらに見る角度を大きくしていくと白黒が反転し、
非常に表示品位が低下してしまうという問題がある。即
ち、このような液晶表示素子14は視野角が非常に狭い
という問題があった。
【0016】そこで現在このような視野角によるコント
ラストの変化および白黒反転をなくす表示モードとして
デュアルドメインTNモードまたはマルチドメインTN
モードと呼ばれるモードが提案されている(S.Kaneko,
Y.Hirai,K.Sumiyoshi,SID■93Digest p265(1993))。
【0017】この表示モードは従来のTNモードでは同
一であった電界印加による液晶分子のねじれ構造をほど
く方向を表示素子面内でばらつきをもたせたもので、図
5にその方式による液晶表示素子の構造断面図を示す。
図において、15、16はそれぞれ微小な領域に分割さ
れた配向膜を示し、それぞれの領域の液晶分子の配向方
向および基板表面から液晶分子の立ち上がり角度(プレ
チルト角)の大きさ、方向を変化させたものである。
【0018】この表示モードを用いることで、図5
(b),図5(c)に示すように電界印加により液晶分
子がねじれ構造をほどく方向および液晶分子が基板表面
に対し垂直方向へ移行する方向が表示面内でばらつくこ
とになり、視野角によるコントラスト変化、白黒反転等
は大幅に改善され表示品位を向上させることはできる。
しかし同時に製造工程増加、歩留りの低下が大きく実用
化には至っていないのが現状である。
【0019】また、第2の従来例で示した複屈折効果を
利用した液晶表示素子においては、平行配向膜の配向膜
方向が入射光の偏光方向と常に45°となるようにラビ
ングしてあるので、コントラストが見る方向により変化
したり、また見る方向により色が変化したりする視野角
依存性があるという問題があった。
【0020】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、基板面に平行な面内では液晶
分子の配向軸が互いにランダムに配向するようにして、
眺める方向により透過光強度が変わらない即ち広い視野
角の液晶表示素子の構造を提供することを第1の目的と
する。また、第1の目的を達成するとともに、製造工程
の増加なしでランダムな液晶分子の平行配向分布が得ら
れる液晶表示素子の構造を提供することを第2の目的と
する。 また、第1の目的を達成するとともに、面内で
均一に配向し、長期間配向能力が変わらない耐久性のよ
い液晶表示素子の構造を提供することを第3の目的とす
る。また、第1の目的を達成するとともに、コントラス
トの高い液晶表示素子の構造を提供することを第4の目
的とする。
【0021】上記の目的を達成する手段として、液晶の
分子軸配列にねじれを生じさせて液晶の旋光性を表示の
オンオフに利用する発明を請求項1から4に、また液晶
の分子軸配列にねじれがなく、液晶分子軸の方向により
屈折率が異なることによる液晶の複屈折性を表示のオン
オフに利用する発明を請求項5から8に示す。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1に係わる発明
は、液晶層が負の誘電異方性を有する液晶に、液晶分子
の配向にらせん構造を付与する光学活性化合物を添加し
た材料からなり、また配向膜が液晶分子をその膜面に垂
直に配向させるものであるようにしたものである。
【0023】請求項2に係わる発明は、請求項1の発明
において、配向膜が有機シラン化合物膜であるようにし
たものである。
【0024】請求項3に係わる発明は、請求項1または
2の発明において、第1及び第2の電極基板間の間隔d
(μm)と、液晶層中の液晶分子のらせん構造の1周期
の長さp(μm)との関係が4d≧p≧dを満たすよう
にしたものである。
【0025】請求項4に係わる発明は、請求項1から3
のいずれかの発明において、第1及び第2の電極基板間
の間隔d(μm)と液晶層の液晶材料の屈折率異方性
(n)との積(Δnd)が2.0≧Δnd≧0.3の関
係を満たすようにしたものである。
【0026】請求項5に係わる発明は、第1の配向膜が
液晶分子をその膜面に垂直に配向させるものであり、第
2の配向膜が液晶分子を膜面に対し平行に配向させ、そ
の個々の液晶分子の配向軸方向を膜面上でばらばらな方
向に配向させるものであるようにしたものである。
【0027】請求項6に係わる発明は、請求項5の発明
において、第2の配向膜がラビング処理のされていない
ポリイミド膜であるようにしたものである。
【0028】請求項7に係わる発明は、請求項5または
6の発明において、第1の配向膜が有機シラン化合物膜
であるようにしたものである。
【0029】請求項8に係わる発明は、請求項5から7
のいずれかに記載の発明において、第1及び第2の電極
基板の間隔d(μm)が20μm≧d≧2μmの関係を
満たすようにしたものである。
【0030】
【作用】請求項1の発明の液晶表示素子は、液晶セル内
の液晶に光活性化合物を添加した材料を用いたので、液
晶分子が液晶層の液晶分子の合成ベクトル方向に対して
らせん状にねじれるように働く。従って、その液晶層を
光が透過するとその偏光方向が回転される旋光性を示
す。
【0031】また、液晶分子をその膜面に対し垂直方向
に配向させる配向膜を用いたので、液晶分子は基板に垂
直に配向されるように働く。
【0032】また、液晶が負の誘電異方性を有するの
で、電圧印加により液晶分子は基板と平行な方向に配向
されるように働く。
【0033】電圧印加が小さいときは、液晶分子は基板
と平行な方向に少し傾むくとともに、光学活性化合物の
作用により、配向膜面上のランダムな初期位置からねじ
れを生ずるように働く。電圧印加が十分大きいと、配向
膜による拘束が解かれるので、液晶分子は基板面に平行
な方向にランダムに分布して配向され、さらに光学活性
化合物の作用により液晶分子はらせん状にねじれを生ず
るように働く。
【0034】従って、液晶分子の配向軸の方向が基板面
に平行な面内でランダムに分布するようにしたので、眺
める方向により明状態の透過光強度に異方性がなく、視
野角の広い液晶表示を可能とするように働く。
【0035】液晶セル両端の第1、第2の偏光板間の偏
光角を直角に設定する場合、液晶の旋光角を光学活性化
合物の添加量を調整して電圧印加状態で液晶配向が90
°ねじれるように設定すると、光照射で明状態となる。
ここでは電圧印加状態での液晶配向のねじれ角が90°
となる場合のみについて述べたが、液晶のらせん構造の
角度およびその方向は特に限定するものではない。ただ
し表示素子としてのコントラスト比等の表示品位を考慮
するとねじれ角は50〜130°が好ましい。これ以外
の角度でも表示を行なうことはできるがコントラスト比
が小さく、画像の視認性が悪くなってしまう。
【0036】請求項1の発明において、光学活性化合物
はコレステリルノナネート(CN)等のコレステロール
系光学活性化合物、メルク社略号C15、CB15等の
シアノビフェニル系光学活性化合物等一般にTN液晶表
示モードの配向にねじれ方向を付与するための材料であ
ればいずれを用いてもこの発明の作用を生ずることがで
きる。
【0037】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、配向膜が有機シラン化合物膜であるようにしたの
で、この膜が垂直配向能力が大きく、基板表面との親和
性が強いので、全面にわたり均一に垂直配向が得られる
ように働く。またこの膜は長期間経過しても配向能力を
低下させないように働く。有機シラン化合物として、D
MOPA(S.Naemura, Appl. Phys. Lett33(1),1(197
8))をはじめとするいずれの有機シラン化合物を用いて
もこの発明の作用を生ずることができる。
【0038】請求項3の発明は、請求項1または2の発
明において、第1及び第2の電極基板間の間隔d(μ
m)と、液晶層中の液晶分子のらせん構造の1周期の長
さp(μm)との関係が4d≧p≧dを満たすようにし
たので、セルギャップ内で液晶分子の軸方向が螺旋状に
90°回転を可能とし、液晶層の旋光を可能とし、さら
にねじれを多少強く設定して液晶分子の旋光立ち上がり
時間を短縮させるように働く。
【0039】らせん周期pがセルギャップd未満のとき
セル内における液晶配向のねじれ角が大きくなりすぎ、
また4dを超えるときにはねじれ角が小さくなりすぎる
ため、いずれの場合にも良好なコントラストを達成する
ことができない。
【0040】請求項4の発明は、請求項1から3のいず
れかの発明において、第1及び第2の電極基板間の間隔
d(μm)と液晶層の液晶材料の屈折率異方性(Δn)
との積(Δnd)が2.0≧Δnd≧0.3の関係を満
たすようにしたので、液晶層の光の透過率に対する波長
分散が小さくなるように働く。
【0041】さらに本発明の液晶表示モードに用いる液
晶材料の屈折率異方性(Δn)は特に限定するものでは
ないが、表示品位特にコントラストの観点から2枚の電
極基板間隔d(μm)とΔnの積(Δnd)が0.3〜
2.0であることが好ましい。Δndが0.3未満また
は2.0を超える場合にはコントラストが低くなり、良
好な表示を得ることができない。
【0042】請求項5の発明において、第1の配向膜を
液晶分子をその膜面に垂直に配向させるものとし、第2
の配向膜を液晶分子をその膜面に平行な面内にばらばら
な方向に配向させるものとしたので、液晶セル内の液晶
分子の配向は、セル断面方向から観察すると第1の配向
膜上の垂直配向から第2の配向膜上の平行配向の液晶分
子までハイブリッド配向となるように働く。さらに第2
の配向膜が個々の液晶分子の配向軸方向を膜面上でばら
ばらな方向に配向させるものとしたので、ハイブリッド
配向の折れ曲がり方向はランダムとなるように働く。こ
の場合、 請求項1から4のものと異なり、液晶分子軸
にらせん状のねじれはない。従って液晶表示のオンオフ
は、旋光性ではなく、液晶分子の軸方向により屈折率が
異なる異方性による複屈折効果が利用される。
【0043】電圧無印加のとき、光を照射すると、液晶
セルの透過光は、第2の配向膜近辺のハイブリッド配向
の液晶分子の平行配向成分による複屈折効果により、透
過光が所定の方向に偏光されるように働く。この場合、
第2の配向膜は液晶分子をその膜面に平行な面内でばら
ばらな方向に配向するので、液晶セルの透過光強度は眺
める方向により異方性がなく、視野角の広い液晶表示を
可能とするように働く。
【0044】請求項5の発明における複屈折に寄与する
液晶分子の量は、配向膜の液晶分子に対するアンカリン
グの大きさに支配される。配向膜と液晶分子間の結合力
の強さ、すなわちアンカリングの大きさは特に限定しな
くともこの発明の作用を実現することはできるが、作用
をさらに効果的にするためには、正の誘電異方性の液晶
材料を用いるときは、平行配向用の第2の配向膜のアン
カリングの大きさを垂直配向用の第1の配向膜のアンカ
リングの大きさより大きくし、また負の誘電異方性の液
晶材料を用いるときは、垂直配向用の第1の配向膜のア
ンカリングの大きさを平行配向用の第2の配向膜のアン
カリングの大きさより大きくするのがよい。
【0045】このようなアンカリングの条件とすると、
液晶材料が正の誘電異方性の場合、また偏光板の偏光方
向が直交するようした場合、電圧無印加時に液晶分子は
ハイブリッド配向を示すため、入射光は液晶の複屈折の
効果により、セルを透過し明状態となる。電圧を印加す
ると液晶分子は基板表面に対し垂直配向するため複屈折
が消失し、入射光は透過することができず暗状態となる
ように働く。
【0046】また液晶材料が、負の誘電異方性の場合、
偏光板の偏光方向が直交するようにしたとき、電圧無印
加では液晶材料はほとんどが垂直配向して複屈折がな
く、入射光は透過することができず、暗状態となる。電
圧を印加すると基板表面に対し平行配向するため、入射
した光は複屈折効果により透過し明状態となるように働
く。
【0047】このような液晶表示モードにおいては、電
圧印加による液晶分子の配向軸の方向がランダムに分布
されるので、透過光強度は眺める方向に依存して変わら
ず、広い視野角が可能となるように働く。
【0048】請求項6の発明は、請求項5の発明におい
て、第2の配向膜がラビング処理のされていないポリイ
ミド膜であるようにしたので、これと接する液晶分子は
この膜面に平行に配向されるように働く。しかし、この
配向膜面はラビング処理がされていないので、膜面に平
行な面内において液晶分子の配向軸は互いにランダムな
方向に配向されるように働く。
【0049】請求項7の発明は、請求項5または6の発
明において、第1の配向膜が有機シラン化合物膜である
ようにしたので、この膜が垂直配向能力が大きく、基板
表面との親和性が強いので、全面にわたり均一に垂直配
向が得られるように働く。またこの膜は液晶に対して長
期間が経過しても配向能力を低下させないように働く。
有機シラン化合物としては、配向安定性、成膜工程の容
易さ等の観点からDMOPA等を用いるのがよい。
【0050】請求項8の発明は、請求項5から7のいず
れかに記載の発明において、第1及び第2の電極基板の
間隙d(μm)が20μm≧d≧2μmの関係を満たす
ようにしたので、間隙内でハイブリッド配向されるよう
に働く。dが2μmより小さいと、第1または第2の配
向膜のアンカーリングの大きさだけに支配されてハイブ
リッド配向が形成されない。またdが20μmを越える
と、第1、第2の配向膜のアンカーリングの大きさが互
いに影響しなくなり、やはりハイブリッド配向の形成が
できない。
【0051】
【実施例】本実施例および比較例に用いた液晶配向膜の
種類、液晶材料の諸特性、セルギャップおよびらせんピ
ッチを表1および表2に示した。またそれらのセルの諸
特性を表3および表4に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】実施例1.図1は、この発明の第1の構成
による液晶表示素子の一実施例の断面構造を示すもので
ある。30、31は第1、第2の電極基板で、この電極
基板は第1、第2の基板21、25であるガラス基板、
第1、第2の基板21、25上に形成された第1、第2
のITO(インジウムティンオキサイド)等の透明な電
極22、26、第1、第2の電極22、26上に有機シ
ラン化合物膜を塗布して形成された第1、第2の配向膜
23、27で構成されている。この第1、第2の電極基
板30、31で負の誘電異方性を有する液晶材料に、光
学活性化合物コレステリスノナート(CN)2%を添加
した液晶組成物による液晶層32を配向膜23、27側
を対向させて形成した間隔d(セルギャップ)が5.1
μmの間隙に挟持して、液晶セル34が形成されてい
る。さらに、液晶セル34の両側に偏光方向が互いに直
交する第1、第2の偏光板28、29を貼付して液晶表
示素子35が形成されている。
【0057】この液晶組成物のらせん構造の一周期(ら
せんピッチp)は約10μmであった。また、屈折率異
方性(Δn)は約0.1でΔndは約0.5であった。
(セルNo.1)
【0058】次に、図1により、実施例1の液晶表示素
子35の動作を説明する。図1(a)は電極22、26
間に電圧印加がないときの液晶セル34内の液晶分子3
3の配向状態を示す。液晶分子をその膜面に垂直に配向
させる配向膜23、27により液晶分子33はすべて電
極基板30、31の面に垂直に配向されている。
【0059】このとき、第1の電極基板30側から光を
入射すると、第1の偏光板28を透過した光は液晶分子
33がすべて垂直配向していて旋光性がないので、透過
光は第1の偏光板28と偏光方向が直交する第2の配向
板29で遮断され、液晶表示素子35は暗状態となる。
【0060】図1(b)は、第1、第2の電極22、2
6間に比較的小さな電圧V1を印加した場合の液晶セル
内の液晶分子33の配向状態を示す。液晶材料が負の誘
電異方性を有するので、電極22、26間に電圧V1を
印加すると、液晶分子33は電極基板30、31面に平
行な方向に少し傾いて配向される。
【0061】液晶材料に光学活性化合物を添加して液晶
配向にらせん配向能を付与しているので、液晶分子33
は第1または第2の配向膜23、27の面上からランダ
ムな初期方向をとってねじれ配向されている。このと
き、光学活性化合物の添加量を加減して、液晶分子33
の配向軸のねじれ角が電極基板30の上部から見て約9
0°に設定される。ただし表示素子としてのコントラス
ト比等の表示品位を考慮するとねじれ角は50〜130
°が好ましい。これ以外の角度でも表示を行なうことは
できるがコントラスト比が小さく、画像の視認性が悪く
なってしまう。
【0062】このとき、第1の電極基板30上部から光
を照射すると、第1の偏光板28を透過した光は液晶分
子の配向軸の回転角度に依存して液晶層を旋光し、第2
の偏光板29を通過し、明状態(グレー)とすることが
できる。
【0063】図1(c)は、第1、第2の電極22、2
6間に十分大きな電圧V2を印加した場合の液晶セル3
4内の液晶分子の配向状態を示す。
【0064】電圧V2が印加されると、液晶分子33は
第1、第2の配向膜23、27の拘束をはなれて、電極
基板30、31の面に平行に配向される。液晶材料に光
学活性化合物を添加しているので、液晶分子33の配向
軸は電極基板30上部から見て第1の配向膜23と第2
の配向膜27の間で約90°のねじれがある。さらに液
晶分子33が配向膜23、27の拘束をはなれ自由に動
けるので基板面に平行な面内の配向軸方向は互いにラン
ダムに分布している。
【0065】このとき、第1の電極基板30上部から光
を照射すると、第1の偏光板28を透過した後液晶層3
2の旋光性により90°ねじれ、第2の偏光板29を透
過できるので、液晶表示素子35は明状態となる。
【0066】また液晶分子33の配向軸方向が電極基板
30、31面に平行な面内で互いにランダムに分布して
いるので、透過光の強度は眺める方向により異方性がな
く、視野角の広い液晶表示素子35となる。
【0067】この液晶表示素子35の駆動電圧(電圧無
印加時の透過率を0%とし、十分電圧を印加したときの
透過率を100%としたときの透過率90%に到達する
ための電圧)3.5V、5V印加時の正面のコントラス
ト150、視野角上下・左右40°でコントラスト10
以上が達成でき、またTNモードの液晶表示素子を斜め
方向から観察したときに見られる白黒反転も見られず良
好な液晶表示素子35を得ることができた。また、この
実施例1の液晶表示装置35は、作成後1000時間以
上経過しても、コントラストの低下は観測されなかっ
た。
【0068】実施例2.図1において、表面に有機シラ
ン化合物を配向膜23、27として塗布した2枚の透明
電極22、26付きガラス基板21、25を張合せ、液
晶セル34を作製した。セルギャップdは5.2μmで
あった。このセルに誘電異方性が負で、光学活性化合物
コレステリスノナネート(CN)2.5%添加した液晶
組成物を注入した。この液晶組成物のらせん構造の一周
期(らせんピッチ:p)は約7μmであった。また屈折
率異方性(Δn)は約0.1でΔndは約0.5であっ
た(セルNo.3)。さらにこの液晶セル34の上下に
偏光板28、29を各々の偏光方向が直交するように貼
付し、液晶表示素子35とした。
【0069】この液晶表示素子35の駆動電圧3.7
V、5V印加時の正面のコントラスト120、視野角上
下・左右40°でコントラスト10以上が達成でき、ま
たTNモードの液晶表示素子35を斜め方向から観察し
たときに見られる白黒反転も見られず良好な液晶表示素
子35を得ることができた。また、この実施例2の液晶
表示装置35は、作成後1000時間以上経過しても、
コントラストの低下は観測されなかった。
【0070】実施例3.図1において表面に有機シラン
化合物を配向膜23、27として塗布した2枚の透明電
極22、26付きガラス基板21、25を張合せ、液晶
セル34を作製した。セルギャップdは5.2μmであ
った。このセルに誘電異方性が負で、光学活性化合物コ
レステリスノナネート(CN)0.8%添加した液晶組
成物を注入した。この液晶組成物のらせん構造の一周期
(らせんピッチ:p)は約20μmであった。また屈折
率異方性(Δn)は約0.1でΔn・dは約0.5であ
った(セルNo.4)。さらにこの液晶セル34の上下
に偏光板28、29を各々の偏光方向が直交するように
貼付し、液晶表示素子35とした。
【0071】この液晶表示素子35の駆動電圧3.2
V、5V印加時の正面のコントラスト100、視野角上
下・左右40°でコントラスト10以上が達成でき、ま
たTNモードの液晶表示素子を斜め方向から観察したと
きに見られる白黒反転も見られず良好な液晶表示素子3
5を得ることができた。また、この実施例3の液晶表示
装置35は、作成後1000時間以上経過しても、コン
トラストの低下は観測されなかった。
【0072】実施例4.図1において、2枚の透明電極
付ガラス基板21、25の表面に配向膜23、27とし
てメチルアルコールに溶解したレシチンを塗布、乾燥し
た後張合せ、液晶セル34を作製した。セルギャップd
は5.3μmであった。この液晶セル34に実施例1と
同じ比率でCNを含む同じ液晶組成物を注入した(セル
No.2)。
【0073】この液晶表示素子35の初期諸特性は実施
例1とほぼ同じものが得られた。しかしこの液晶セル3
4作製後の放置時間が長く、たとえば1000時間経過
するとコントラストが製作当初の約1/2に低下した。
これは、配向膜のレシチン膜が液晶に溶解して表面が荒
され、垂直配向能力が劣化したためである。なお、実施
例4は配向膜レシチンの垂直配向能力がまだ十分大き
く、劣化していないときの第1の発明の実施例を示す。
【0074】比較例1.実施例1と同じ条件で作製した
液晶セル34に、CNを3%添加した実施例1と同じ液
晶組成物を注入した。この液晶セル34のセルギャップ
は約6μmで、液晶組成物のらせんピッチは約5μmで
あり、セルギャップよりらせんピッチが短かった(セル
No.5)。
【0075】この液晶セル34の駆動電圧は3.8V、
5V印加時の正面のコントラスト30、コントラスト1
0以上の視野角上下・左右約20°と通常のTNモード
に比べ良好な特性は得られなかった。
【0076】比較例2.実施例1と同じ条件で作製した
液晶セル34に、CNを0.7%添加した実施例1と同
じ液晶組成物を注入した。この液晶セル34のセルギャ
ップは約5μmで、液晶組成物のらせんピッチは約25
μmであり、セルギャップの4倍よりらせんピッチが長
かった(セルNo.6)。
【0077】この液晶セル34の駆動電圧は3.3V、
5V印加時の正面のコントラスト100、コントラスト
10以上の視野角上下・左右約30°と比較的良好な特
性を示したが、視野角30°を超えると白黒反転が観察
され、表示品位が著しく低下した。
【0078】比較例3.実施例1と同じ条件で作製した
液晶セル34に、CNを2.5%添加したΔnが0.0
8の液晶組成物を注入した。この液晶組成物のらせんピ
ッチは約8μm、セルギャップは3.5μmでΔndは
0.28であった(セルNo.7)。
【0079】この液晶セル34の駆動電圧は3.5V、
5V印加時の正面のコントラスト20、コントラスト1
0以上の視野角上下・左右約20°と良好な特性を得る
ことができなかった。
【0080】比較例4.実施例1と同じ条件で作製した
液晶セル34に、CNを0.8%添加したΔnが0.2
5の液晶組成物を注入した。この液晶組成物のらせんピ
ッチは約20μm、セルギャップは8.1μmでΔnd
は約2.03であった(セルNo.8)。
【0081】この液晶セル34の駆動電圧は3.0V、
5V印加時の正面のコントラスト20、コントラスト1
0以上の視野角上下・左右約15°と良好な特性を得る
ことができなかった。
【0082】実施例5.図2は、第2の構成による液晶
表示素子の一実施例の断面構造を示すものである。図2
において、36は第1の電極基板40の第1の透明電極
22上に有機シラン化合物を塗布して形成された垂直配
向用の第1の配向膜である。また37は第2の電極基板
41の第2の透明電極26上にラビング処理を行わない
ポリイミド膜により形成された平行配向用の第2の配向
膜である。この第1、第2の電極基板40、41を用い
てセルギャップ約10μmの液晶セル42を作成した。
このセルに誘電異方性が+5.0の液晶材料を注入し
た。このセル内において液晶分子33はハイブリッド配
向を示した。(セルNo.9) さらに、偏光方向がお
互いに直交するように第1、第2の偏光板28、29が
貼付されて液晶表示素子43が形成されている。
【0083】次に、図2によりこの液晶素子43の動作
説明をする。図2(a)は、第1、第2の電極22、2
6間に電圧を印加しない場合の液晶分子33の配向状態
を示す。液晶分子33は第1の配向膜36の有機シラン
化合物膜の膜面上で膜面に垂直に配向し、第2の配向膜
37のポリイミド膜上では膜面に平行に配向し、ギャッ
プ間ではセル断面方向から観察するといわゆるハイブリ
ッド配向となっている。しかし、第2の配向膜37のポ
リイミド膜はラビング処理を行っていないので、個々の
液晶分子の配向軸方向は膜面上でばらばらな方向に配向
され、第2の配向膜面からはじまるハイブリッド配向の
折れ曲がり方向はランダムとなる。
【0084】図2(a)で、第1の電極基板40の上方
から光を照射すると、第1の偏光板28を透過した光
は、液晶層32のハイブリッド配向された液晶分子33
のうち平行配向成分の量に応じて第2の偏光板29を透
過する。液晶材料が正の誘電異方性のときは、平行配向
用の第2の配向膜37のアンカーリングの大きさを、垂
直配向用の第1の配向膜36のものより大きくなるよう
にして、ギャップ内の液晶分子33のハイブリッド配向
の相当量が平行配向となるように配向膜材料を調整し、
電圧無印加で光を照射すると、液晶層32に複屈折が生
じ、第2の偏光板29を透過できるので明状態となる。
【0085】図2(b)は、液晶層32の液晶材料が正
の誘電異方性を有する場合に、第1、第2の電極22、
26間に十分大きな電圧V2を印加したときの配向状態
を示す。液晶材料が正の誘電異方性を有するので、電圧
印加すると液晶分子33は電極基板40、41に垂直方
向に配向される。
【0086】図2(b)で、第1の電極基板40の上方
から光を照射すると、液晶層32の入射光に対する複屈
折がなく、光は透過できず、暗状態となる。
【0087】この液晶セル42は駆動電圧4.2V、正
面のコントラスト約100、視野角上下・左右40°で
コントラスト10以上と視角特性に優れた液晶表示素子
43を得ることができた。また、この実施例4の液晶表
示装置43は、作成後1000時間以上経過しても、コ
ントラストの低下は観測されなかった。
【0088】実施例6.図2において、36は第1の電
極基板40の第1の透明電極22上に有機シラン化合物
を塗布して形成された第1の配向膜である。また37は
第2の電極基板41の第2の透明電極26上にラビング
処理を行わないポリイミド膜により形成された第2の配
向膜である。この第1、第2の電極基板40、41を用
いてセルギャップ約11μmの液晶セル42を作成し
た。このセルに誘電異方性がー5.5の液晶材料を注入
した。このセル内において液晶分子はハイブリッド配向
を示した。(セルNo.10)さらに、この液晶セルの
上下に偏光方向がお互いに直交するように第1、第2の
偏光板28、29が貼付されて液晶表示素子43が形成
されている。
【0089】次に、図2によりこの液晶素子43の動作
説明をする。図2(a)は、第1、第2の電極22、2
6間に電圧を印加しない場合の液晶分子33の配向状態
を示す。液晶分子33は第1の配向膜36の有機シラン
化合物膜の膜面上で膜面に垂直に配向し、第2の配向膜
37のポリイミド膜上では膜面に平行に配向し、ギャッ
プ間ではセル断面方向から観察するといわゆるハイブリ
ッド配向となっている。しかし、第2の配向膜37のポ
リイミド膜はラビング処理を行っていないので、一軸配
向性がなく、第2の配向膜面からはじまるハイブリッド
配向の折れ曲がり方向はランダムとなる。
【0090】図2(a)において、液晶材料が負の誘電
異方性のとき、垂直配向用の第1の配向膜36のアンカ
ーリングの大きさを、平行配向用の第2の配向膜37の
ものより大きくして液晶分子33の殆どが垂直配向とな
るように調整し、電圧無印加で光を照射すると、液晶層
32に複屈折がないので光は透過できず、暗状態とな
る。
【0091】図2(c)は、液晶層32の液晶材料が負
の誘電異方性を有する場合に、第1、第2の電極22、
26間に十分大きな電圧を印加したときの配向状態を示
す。液晶材料が負の誘電異方性を有するので、電圧を印
加すると液晶分子33は電極基板40、41に平行方向
に配向される。しかし、第2の配向膜36のポリイミド
膜はラビング処理を行っていないので、一軸配向性がな
く、電極基板40、41面に平行な面内において配向軸
の方向はランダムとなる。
【0092】図2(c)で、上方から光を照射すると、
第1の偏光板28を透過した光は液晶層32の複屈折効
果により第2の偏光板29を透過し、明状態となる。さ
らに、液晶分子の配向軸が基板面に平行な面内でランダ
ムに分布しているので、透過光強度は眺める方向によっ
て変わらない。
【0093】このセルの電気光学特性を測定したとこ
ろ、この液晶セル42は駆動電圧4.3V、正面のコン
トラスト約100、視野角上下・左右40°でコントラ
スト10以上と視角特性に優れた液晶表示素子43を得
ることができた。また、この実施例5の液晶表示装置4
3は、作成後1000時間以上経過しても、コントラス
トの低下は観測されなかった。
【0094】実施例7.図2の液晶表示素子43におい
て、第1の配向膜36としてレシチン膜を作製した透明
電極基板40を、第2の配向膜37としてラビング処理
を行なわないポリイミド膜を表面に作製した透明電極基
板41を用いてセルギャップ約10μmの液晶セル42
を作製した。このセルに誘電異方性が+5.0の液晶材
料を注入した。この液晶セル42内において液晶分子3
3はハイブリッド配向を示した(セルNo.11)。
【0095】この液晶セルの上下に偏光板28、29
を、その偏光方向が直交するように貼付し、電気光学特
性を測定したところ、この液晶セル42は駆動電圧4.
4V、正面のコントラスト約100、視野角上下・左右
40°でコントラスト10以上と良好な初期特性を示し
た。しかしながら、製作時から長時間、例えば1000
時間経過すると、コントラストが製作当初にくらべ1/
2程度に低下した。これは実施例4で説明したものと同
じ理由によるものである。なお、実施例7は第1の配向
膜レシチンの垂直配向能力がまだ十分大きく、劣化して
いないときの第5の発明の実施例を示す。
【0096】比較例5.図2の液晶表示素子43におい
て、第1の配向膜36として有機シラン化合物を塗布し
た透明電極基板40を、第2の配向膜37を電極26の
表面に作製しない透明電極基板41を用いてセルギャッ
プ約10μmの液晶セル42を作製した。このセルに誘
電異方性が+5.0の液晶材料を注入した。このセル内
において液晶分子は良好なハイブリッド配向を示さなか
った(セルNo.12)。
【0097】この液晶セル42の上下に偏光板28、2
9を、その偏光方向が直交するように貼付し、電気光学
特性を測定したところ、この液晶セル42は駆動電圧
4.5V、正面のコントラスト約15、コントラスト1
0以上の視野角上下・左右20°と良好な液晶表示素子
43を得ることはできなかった。
【0098】比較例6.図2の液晶表示素子43におい
て、第1の配向膜36として有機シラン化合物を塗布し
た透明電極基板40を、第2の配向膜37としてラビン
グ処理を行なわないポリイミド膜を表面に作製した透明
電極基板41を用いてセルギャップ約1.5μmの液晶
セル42を作製した。この液晶セル42に誘電異方性が
+4.5の液晶材料を注入した。このセル内において液
晶分子はハイブリッド配向を示さなかった(セルNo.
13)。
【0099】この液晶セル42の上下に偏光板28、2
9を、その偏光方向が直交するように貼付し、電気光学
特性を求めたところ、駆動電圧は2.6Vと十分低かっ
たが正面のコントラスト約10であり良好な液晶表示素
子43を得ることができなかった。
【0100】比較例7.図2の液晶表示素子において、
第1の配向膜36として有機シラン化合物を塗布した透
明電極基板40を、第2の配向膜37としてラビング処
理を行なわないポリイミド膜を表面に作製した透明電極
基板41を用いてセルギャップ約25μmの液晶セル4
2を作製した。このセルに誘電異方性が+4.5の液晶
材料を注入した。この液晶セル42内において液晶分子
33はハイブリッド配向を示さなかった(セルNo.1
4)。
【0101】この液晶セル42の上下に偏光板28、2
9を、その偏光方向が直交するように貼付し、電気光学
特性を求めたところ、駆動電圧7.0V、正面のコント
ラスト約12と良好な液晶表示素子43を得ることがで
きなかった。
【0102】
【発明の効果】第1の発明では、液晶層が負の誘電異方
性を有する液晶に、液晶分子の配向にらせん構造を付与
する光学活性化合物を添加した材料からなり、また配向
膜が液晶分子をその膜面に垂直に配向させるものである
ようにしたので、電圧印加により基板面に平行に配向さ
れる液晶分子の配向軸が互いにバラバラに分布されて、
素子の透過光強度が眺める方向に依存しないようにする
ことができ、視野角の広い液晶表示素子の構造を提供す
ることができる。
【0103】第2の発明では、第1の発明において、配
向膜が有機シラン化合物であるようにしたので、広い視
野角が得られるとともに、液晶分子が面内で均一に配向
し、配向膜の長期間配向能力が変わらない耐久性のよい
液晶表示素子の構造を提供することができる。
【0104】第3の発明では、第1または第2の発明に
おいて、電極基板間隔dと、液晶分子のらせん構造の1
周期の長さpとが4d≧p≧dとなるようにしたので、
広い視野角が得られるとともに、高いコントラストの液
晶表示が可能な液晶表示素子の構造を提供することがで
きる。
【0105】第4の発明では、第1から第3のいずれか
の発明において、電極基板間隔dと液晶の屈折率異方性
(Δn)との積(Δnd)が2.0≧Δnd≧0.3と
なるようにしたので、広い視野角が得られるとともに、
高いコントラストの液晶表示素子の構造を提供すること
ができる。
【0106】第5の発明では、第1の配向膜が液晶分子
をその膜面に垂直に配向させるものであり、第2の配向
膜が液晶分子を膜面に対し平行に配向させ、その個々の
液晶分子の配向軸方向を膜面上でばらばらな方向に配向
させるものであるようにしたので、液晶分子の平行配向
軸方向を基板面内でバラバラに分布させることができ、
この液晶の透過光強度が眺める方向に依存しない広い視
野角が可能な液晶表示素子の構造を提供することができ
る。
【0107】第6の発明では、第5の発明において、第
2の配向膜をラビング処理のされていないポリイミド膜
であるようにしたので、製造工程の増加なしで液晶分子
の平行配向のランダム分布が得られ、製造工程の複雑化
を防ぎ広い視野角が可能な液晶表示素子の構造を提供す
ることができる。
【0108】第7の発明では、第5または第6の発明に
おいて、第1の配向膜を有機シラン化合物膜としたの
で、広い視野角が得られるとともに、液晶分子が面内で
均一に配向し、長期間配向能力が変わらない耐久性のよ
い液晶表示素子の構造を提供することができる。
【0109】第8の発明では、第5から第7のいずれか
の発明において、電極基板間隔dを20≧d≧2(μ
m)としたので、広い視野角が得られるとともに、高い
コントラストの液晶表示素子の構造を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の液晶表示素子の第1の構成による
一実施例の断面図である。
【図2】 この発明の液晶表示素子の第2の構成による
一実施例の断面図である。
【図3】 旋光による第1の従来の液晶表示素子の斜視
図である。
【図4】 第1の従来の液晶表示素子の断面図である。
【図5】 第1の従来の他の液晶表示素子の断面図であ
る。
【図6】 複屈折による第2の従来の液晶表示素子の断
面図である。
【図7】 第2の従来の液晶表示素子の断面図である。
【符号の説明】
21、25 基板 22、26
電極 23、27、36、37 配向膜 28、29
偏光板 30、31、40、41 電極基板 32 液晶層 33 液晶分
子 34、42 液晶セル 35、43
液晶表示素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉谷 晃 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 藤本 隆光 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の電極上に配向膜を有する第1、
    第2の電極基板を上記配向膜側を向合わせて形成された
    間隙に液晶層を挟持して形成された液晶セルを有し、上
    記液晶層が負の誘電異方性を有する液晶に、液晶分子の
    配向にらせん構造を付与する光学活性化合物を添加した
    材料からなり、また上記配向膜が液晶分子をその膜面に
    垂直に配向させるものであることを特徴とする液晶表示
    素子。
  2. 【請求項2】 配向膜が有機シラン化合物膜であること
    を特徴とする請求項第1項記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 第1及び第2の電極基板間の間隔d(μ
    m)と、液晶層中の液晶分子のらせん構造の1周期の長
    さp(μm)との関係が4d≧p≧dを満たすことを特
    徴とする請求項第1項または第2項記載の液晶表示素
    子。
  4. 【請求項4】 第1及び第2の電極基板の間隔d(μ
    m)と液晶層の液晶材料の屈折率異方性(Δn)との積
    (Δnd)が2.0≧Δnd≧0.3の関係を満たすこ
    とを特徴とする請求項第1項から第3項のいずれかに記
    載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 基板上の電極上に第1の配向膜を有する
    第1の電極基板と、基板上の電極上に第2の配向膜を有
    する第2の電極基板とを上記第1、第2の配向膜側を向
    合わせて形成された間隙に液晶層を挟持して形成された
    液晶セルを有し、上記第1の配向膜が液晶分子をその膜
    面に垂直に配向させるものであり、上記第2の配向膜が
    液晶分子を膜面に対し平行に配向させ、その個々の液晶
    分子の配向軸方向を膜面上でばらばらな方向に配向させ
    るものであることを特徴とする液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 第2の配向膜がラビング処理のされてい
    ないポリイミド膜であることを特徴とする請求項第5項
    記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 第1の配向膜が有機シラン化合物膜であ
    ることを特徴とする請求項第5項または第6項記載の液
    晶表示素子。
  8. 【請求項8】 第1及び第2の電極基板の間隔d(μ
    m)が20μm≧d≧2μmの関係を満たすことを特徴
    とする請求項第5項から第7項のいずれかに記載の液晶
    表示素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000065706A (ko) * 1999-04-08 2000-11-15 김순택 액정표시소자와 배향막의 표면 처리방법 및 장치
JP2007521506A (ja) * 2003-06-23 2007-08-02 エクシベオ ペーペーエフ 2 アーベー 液晶装置及びその製造方法
US7738070B2 (en) 2005-09-16 2010-06-15 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid crystal display element
US7876409B2 (en) 2005-09-16 2011-01-25 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid crystal display element

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