JPH0957474A - レーザクラッド部の改質方法及びレーザクラッド層の形成方法 - Google Patents

レーザクラッド部の改質方法及びレーザクラッド層の形成方法

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JPH0957474A
JPH0957474A JP7217909A JP21790995A JPH0957474A JP H0957474 A JPH0957474 A JP H0957474A JP 7217909 A JP7217909 A JP 7217909A JP 21790995 A JP21790995 A JP 21790995A JP H0957474 A JPH0957474 A JP H0957474A
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clad layer
laser clad
heating
layer
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JP7217909A
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Kenji Hirano
賢治 平野
Shinobu Sasaki
忍 佐々木
Kazuo Yoshida
和夫 吉田
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IHI Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常のレーザ照射装置を使用して、レーザク
ラッド層の形成時に生じる硬化域の除去を確実にかつ容
易に行なうとともに、レーザクラッド層の厚さによる影
響を吸収して、レーザクラッド技術への適用範囲を拡大
する。 【解決手段】 被処理材の金属表面に形成されたレーザ
クラッド層にレーザビームを照射してスポット状に加熱
し、加熱範囲を非溶融状態に保持しながら、加熱範囲の
熱をレーザクラッド層の直下の母材組織に及ぼして、6
50〜850℃に加熱するとともに、レーザクラッド層
の形成時に生じた母材中の硬化域を軟化域に変換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザクラッド部
の改質方法及びレーザクラッド層の形成方法に係り、特
に、炭素鋼材、低合金鋼等の母材の表面にクラッド処理
を施すことによって形成される硬化域の改質処理技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレス鋼の耐食性を向上させ
る技術として、特開平1−199919号、特開平1−
199920号、特開平1−199921号及び特開平
6−073556号が提案されており、これら技術にあ
っては、いずれもステンレス鋼の表面にレーザクラッド
層をレーザ焼成することによって、耐食性を飛躍的に向
上させるようにしている。
【0003】レーザクラッド層の部分は、金属材料等を
溶融状態にして付着形成するものであるために、レーザ
クラッド層の直下の母材中に、レーザクラッド層の形成
熱に基づく熱影響部が発生する。該熱影響部は、表面近
傍に位置して当初の金属組織よりも硬度の高くなった硬
化域と、硬度の低い軟化域とに分類される。そして、母
材の金属組織中に硬化域が存在すると、靭性の低下を招
くとともに、硬化域が水素割れ、応力腐食割れの要因の
一つとなることが考えられる。
【0004】肉盛り溶接と関連して、硬化域を除去する
方法として、特開昭62−137175号公報に示され
ている「炭素鋼材等における肉盛り溶接法」の技術が提
案されている。この技術例では、母材の上に複数の溶接
ビードにより肉盛り層を形成する場合に、第1の溶接ビ
ードと最終の溶接ビードとを、溶接アークにより再加熱
し、そして、最終の溶接ビードを溶接アークにより再加
熱した後に、肉盛り層の上にテンパービードを重畳する
というものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような肉
盛り溶接法に基づく肉盛り厚さよりも、レーザ焼成によ
るレーザクラッド層の厚さが著しく薄くなるとともに、
溶接工程や入熱量管理の点での相違が大きく、レーザク
ラッド技術への適用が困難である。
【0006】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成するものである。 新たな設備を追加することなく、レーザクラッド層の
形成に使用するレーザ照射装置を使用して硬化域の除去
を可能とすること。 硬化域の除去工程を簡素化して実用性を高めること。 母材のコーナー部に対しての適用性を高めること。 既存のレーザクラッド層に対して適用可能とするこ
と。
【0007】
【課題を解決するための手段】被処理材の金属表面に形
成されたレーザクラッド層にレーザビームを照射してス
ポット状に加熱し、加熱範囲を非溶融状態に保持しなが
ら、加熱範囲の熱をレーザクラッド層の直下の母材組織
に及ぼして、650〜850℃に加熱するとともに、レ
ーザクラッド層の形成時に生じた母材中の硬化域を軟化
域に変換する技術が適用される。母材のコーナー部の近
傍にレーザクラッド層が存在する場合にあっては、最初
にコーナー部に対してレーザビームを照射して、母材組
織を650〜850℃の温度で加熱する技術が付加され
る。レーザクラッド層の端部が形成されている場合は、
最初に端部に対してレーザビームを照射して、母材組織
を650〜850℃の温度で加熱した後、全体のレーザ
クラッド層の直下の母材組織を加熱することが望まし
い。コーナー部や端部の加熱後に、レーザクラッド層の
平坦部に対して加熱を行なう工程が付加される。平坦な
箇所のレーザクラッド層にあっては、レーザビームの照
射による加熱を複数回繰り返すことが有効であり、その
場合にあって、最終回の加熱時の入熱量を減少させる技
術が採用される。被処理材の金属表面にレーザクラッド
層を形成する場合には、金属表面にクラッド材を介在さ
せた状態でレーザビームを照射し、クラッド材を溶融状
態に導いてレーザクラッド層を形成するとともに、該レ
ーザクラッド層の形成後に、レーザクラッド層の直下の
母材組織に対してレーザビームの照射熱を及ぼして、6
50〜850℃に加熱するとともに、レーザクラッド層
の形成時に生じた母材中の硬化域を軟化域に変換する工
程が付加される。この場合にあっては、加熱範囲を非溶
融状態に保持しながら処理する上述の技術が適用され
る。被処理材の金属表面にクラッド材を介在させた状態
で、レーザビームを照射して被処理材を溶融状態に導き
ながらレーザクラッド層を形成する工程を複数回繰り返
して、レーザクラッド層を複数重畳させるとともに、レ
ーザクラッド層の形成時の熱を加熱範囲直下の母材中の
硬化域に及ぼして、母材中の硬化域を軟化域に変換する
技術も採用される。
【0008】
【作用】新たなレーザクラッド層を形成しない場合にあ
って、レーザビームの照射によりレーザクラッド層の表
面がスポット状に加熱され、その際に加熱範囲が非溶融
状態を保持するように設定されしていると、レーザクラ
ッド層及び母材が溶解されることなく母材組織が加熱さ
れる。母材組織が650〜850℃の温度範囲となる
と、母材中の硬化域が軟化域に変換される。加熱範囲は
レーザビームが外れることにより速やかに冷却される。
処理しようとするレーザクラッド層の近傍に、母材のコ
ーナー部が存在する場合、加熱によりコーナー部の母材
組織について軟化域への変換が行なわれる。同様に、レ
ーザクラッド層の端部の近傍の母材組織についても、軟
化域への変換が行なわれる。これらの軟化域への変換の
後に、全体のレーザクラッド層の直下における母材組織
の加熱により、軟化域の保持がなされる。レーザビーム
の照射による加熱を複数回繰り返し、最終回の加熱時の
入熱量を減少させると、硬化域から軟化域への変換がな
されなかった箇所の変換が促進されることに加えて、軟
化域への変換箇所がレーザクラッド層の表面に移行す
る。新たなレーザクラッド層の形成を必要とする場合に
あっては、所望のクラッド材をレーザビームにより加熱
して、クラッド材を溶融状態とすることによりレーザク
ラッド層が形成されるが、その際にレーザクラッド層の
直下の母材組織に熱影響部が生じて硬化域が形成され
る。該硬化域は、非溶融状態に保持しながら処理する技
術に準じて軟化域への変換がなされる。レーザクラッド
層の形成時に、複数のレーザクラッド層を重畳させ、レ
ーザクラッド層の形成時の熱を母材組織に繰り返し及ぼ
すように設定すると、レーザクラッド層の形成工程の進
行とともに、軟化域への変換がなされる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るレーザクラッ
ド部の改質方法及びレーザクラッド層の形成方法の一実
施形態について、図1ないし図5に基づいて説明する。
図1にあっては、レーザ照射によるレーザクラッド層の
形成状況を示しており、各図において、符号1はレーザ
発生装置(CO2 レーザ)、2は反射ミラー、3は集光
レンズ、4はワイヤ供給装置、5は溶加ワイヤ(クラッ
ド材)、10は被処理材(母材)、11は金属表面(フ
ランジ面)、12はレーザクラッド層、13はコーナー
部、Lはレーザビームである。
【0010】前記レーザ発生装置1にあっては、CO2
レーザ発振器のように大出力のレーザビームLを出力し
得るとともに、数kWないし数100Wの範囲で調整し
得るものが適用され、例えば以下の仕様を満足するもの
が適用される。 レーザ出力 :3.0 kW 施工速度 :500 mm/分 オシュレート周波数:100 Hz オシュレート幅 :5.0 mm ビードピッチ :3.0 mm
【0011】前記反射ミラー2及び集光レンズ3は、光
学系を構成してレーザビームLを、レーザ発生装置1か
ら金属表面11まで導き、所望の照射箇所に必要な大き
さの加熱範囲を形成するとともに、レーザビームLを前
述のようにオシュレートする(往復移動させる)機能を
有するものが適用される。
【0012】前記ワイヤ供給装置4は、クラッド材とし
て溶加ワイヤ5を貯線するとともに、レーザ照射箇所に
適宜供給し得るものとされ、例えば以下の仕様を満足す
るものが適用される。 ワイヤ送給速度 :650 mm そして、溶加ワイヤ5は、例えばCr−Ni系金属で、
施工時の希釈を考慮し、成分比がCr:40,Ni:4
0,Mo:5(重量%)である金属粉末をFeで覆った
もの(コアードワイヤ)が適用される。
【0013】前記被処理材(母材)10は、容器フラン
ジ部を想定して、例えば低合金鋼(SGV49)であ
り、金属表面11としてフランジシール面を対象として
いる。
【0014】前記レーザクラッド層12は、前述のクラ
ッド材をレーザ焼成して金属表面11(フランジシール
面)に形成されるものであり、その成分比が希釈後に、
Cr:33.0,Ni:31.8,Fe:32.9(重
量%)となるものを対象としている。
【0015】前記コーナー部13は、レーザクラッド層
12の形成箇所を、溝の底部のフランジシール面(金属
表面)11としているため、レーザクラッド層12の両
側部(端部)に近接する部分となっている。
【0016】以下、レーザ照射によるレーザクラッド層
12の形成状況と、該レーザクラッド層12の形成によ
って生じた熱影響部の処理状況について説明する。
【0017】レーザ発生装置1の作動により、レーザビ
ームLを、図1に示すように、被処理材10の金属表面
11に照射して加熱することにより、金属表面11を溶
融状態に導くとともに、ワイヤ供給装置4から溶加ワイ
ヤ5を溶融箇所に供給して溶解することにより、レーザ
クラッド層12を形成する。
【0018】〔レーザクラッド層の形成〕図2は、レー
ザ出力:3.0kW,施工速度:500mm/分,入熱
幅(加熱範囲):5mmで、レーザクラッド層12を形
成した場合の温度分布を示している。図2(a)は、被
処理材10のコーナー部13の近傍にレーザクラッド層
12を形成している場合の加熱状況を示し、当初の金属
表面11に厚さ1mm程度のレーザクラッド層12を形
成する場合、加熱範囲W(レーザビームLの有効直径)
へのレーザ照射によって生じる熱影響部Tに、850℃
〜1400℃の温度範囲でマルテンサイトが析出して組
織が硬化した状態となる硬化域Hと、850℃以下の温
度で組織が軟化した状態となる軟化域Sとが発生する。
図2(b)は、レーザクラッド層12を平坦な金属表面
11に形成する際の温度分布を示し、平坦な金属表面1
1にあっても、熱影響部Tに、硬化域Hと軟化域Sとが
発生する。なお、レーザ照射によりレーザクラッド層1
2を形成する場合には、被処理材10の熱容量が、加熱
範囲Wや入熱量に比較して著しく大きいことに基づい
て、加熱範囲Wから若干離れた箇所で溶融池(溶融金
属)が急速に冷却されて固化状態のレーザクラッド層1
2となり、該レーザクラッド層12の直下の母材中に硬
化域Hが残されたままとなる。
【0019】〔コーナー部近傍の硬化域の除去〕コーナ
ー部13の近傍にレーザクラッド層12の側部(端部)
が存在する場合にあっては、図3に示すように、最初
に、コーナー部13のレーザクラッド層12の縁部近傍
にレーザビームLを照射して、被処理材10の母材組織
を650〜850℃の温度で加熱する。この場合、金属
表面11の一部は、例えば1400℃まで加熱されるも
のの、加熱範囲Wのレーザクラッド層12が溶融状態と
ならない、つまり加熱範囲Wを非溶融状態に保持しなが
ら、加熱範囲Wの熱により加熱時の650〜850℃の
温度範囲(熱影響部T)が、レーザクラッド層12の形
成時の硬化域Hに重畳するように運用する。例えば、レ
ーザ出力:550W,施工速度:100mm/分,入熱
幅(加熱範囲):3.3mmとすることにより、図3に
示す温度分布が付与される。このような温度分布を付与
することにより、レーザクラッド層12の形成時に、金
属表面11の直下に生じた硬化域Hの一部は、図3に示
すように、軟化域Sに変換される。なお、コーナー部1
3の近傍におけるレーザビームLによる施工方向は、コ
ーナー部13の長さ方向(図1に示す溝の長さ方向)と
される。
【0020】〔平坦部の硬化域の除去〕コーナー部13
の近傍の加熱後に、図4(a)(b)に示すように、平
坦な金属表面11について、加熱範囲Wを側方にずらし
た状態の設定を行なって、レーザビームLの照射によ
り、被処理材10の母材組織を650〜850℃の温度
で加熱する。この場合の加熱にあっても、加熱範囲Wの
レーザクラッド層12を溶融させない温度範囲で行なわ
れる。図4(a)(b)に示すように、平坦部の加熱処
理にあっても、加熱時の650〜850℃の温度範囲
が、レーザクラッド層12の形成時の硬化域Hに重畳す
るように運用する。この場合の加熱処理条件を、例え
ば、レーザ出力:650W,施工速度:100mm/
分,入熱幅(加熱範囲):5.6mmとすることによ
り、図3に示す温度分布が付与される。加熱範囲を、図
4(a)ないし(b)に示すように、間欠的にずらして
いくことにより、金属表面11の直下の硬化域Hの大部
分が、軟化域Sに変換される。なお、平坦部の金属表面
11の施工方向にあっても、コーナー部13の長さ方向
と平行(溝の長さ方向)に設定される。
【0021】このような平坦部の金属表面11の加熱処
理は、必要に応じて複数回繰り返して行なわれる。つま
り、図4(a)(b)に示すように、例えば2回目のレ
ーザビームLの照射を行なうことによって、レーザクラ
ッド層12の形成時に母材組織中に残留した硬化域H
は、完全に軟化域Sに変換されることになる。2回目の
加熱処理条件を、例えば、レーザ出力:500W,施工
速度:100mm/分,入熱幅(加熱範囲):5.6m
mに設定することにより、図4(a)(b)に示すよう
に、硬化域Hの軟化域Sへの変換が十分に行なわれるも
のとなる。なお、2回目を最終回とする際の加熱処理に
あっては、1回目の加熱時よりも入熱量を減少させるよ
うに設定する。
【0022】〔既存レーザクラッド層等への技術の応
用〕図1ないし図5の一実施形態では、レーザクラッド
層12を形成した後に、レーザビームLの出力を調整し
ながら、レーザクラッド層12の直下の母材を加熱処理
するものとしているが、以下の既存レーザ焼成レーザ
クラッド層、小出力レーザによる形成レーザクラッド
層、小出力レーザによる形成レーザクラッド層端部、
重畳レーザクラッド層の各条件にあっても適用可能で
あることが確認された。
【0023】既存レーザ焼成クラッド層への適用 例えば、前述した特開平1−199919号、特開平1
−199920号、特開平1−199921号及び特開
平6−073556号等の技術を応用して、所望の金属
表面にレーザクラッド層をレーザ焼成した場合にあっ
て、レーザクラッド層の厚さが、例えば1mm程度の肉
厚であると、図3ないし図5に示す処理工程に準じて、
硬化域を軟化域に変換することができる。
【0024】小出力レーザにより形成したレーザクラ
ッド層への適用 小出力レーザによって薄肉状にレーザクラッド層を形成
した場合にあっても、レーザクラッド層の直下の母材に
生じた硬化域を、レーザビーム照射の熱影響部の範囲
(650〜850℃の温度範囲)で加熱して軟化域に変
換することができる。この場合の加熱処理条件を、例え
ば、 a)レーザクラッド層形成時のレーザ出力:800W,
施工速度:200mm/分,入熱幅(加熱範囲):2.
0mm b)1回目レーザ照射時のレーザ出力:1000W,施
工速度:200mm/分,入熱幅(加熱範囲):2.0
mm c)2回目レーザ照射時のレーザ出力:1000W,施
工速度:200mm/分,入熱幅(加熱範囲):2.0
mm d)3回目レーザ照射時のレーザ出力:800W,施工
速度:200mm/分,入熱幅(加熱範囲):2.0m
m とすることにより、図3ないし図5に示す処理工程に準
じて、硬化域を軟化域に変換することができる。
【0025】小出力レーザによる形成クラッド層端部
への適用 被処理材の金属表面が平坦で、その一部にレーザクラッ
ド層の端部(側部)が存在しているような条件下では、
熱伝達方向が平面に沿うものとなるため、コーナー部の
加熱に代えて、レーザクラッド層の端部を最初に加熱す
ることにより、一実施形態に準じて適用することができ
る。加えて、小出力レーザによってレーザクラッド層端
部を形成した場合にあっても、レーザクラッド層端部及
びレーザクラッド層を形成した後、レーザビーム照射の
熱影響部の範囲(650〜850℃の温度範囲)で加熱
して軟化域に変換することができる。この場合の加熱処
理条件を、例えば、 a)レーザクラッド層形成時のレーザ出力:800W,
施工速度:200mm/分,入熱幅(加熱範囲):2.
0mm b)レーザクラッド層端部照射時のレーザ出力:400
W,施工速度:200mm/分,入熱幅(加熱範囲):
2.0mm c)1回目レーザ照射時のレーザ出力:500W,施工
速度:100mm/分,入熱幅(加熱範囲):5.0m
m 2回目以後のレーザ照射省略 の各処理を行なうことにより、硬化域を軟化域に変換す
ることができる。
【0026】重畳レーザクラッド層のへの適用 被処理材の金属表面に複数のレーザクラッド層を重畳さ
せる場合にあっても、レーザクラッド層形成時のレーザ
ビーム照射による熱影響部の範囲を重畳させることによ
り、最初のレーザクラッド層形成時に生じた硬化域を繰
り返し加熱して、軟化域に変換することができる。この
場合の加熱処理条件を、例えば、 a)溶加ワイヤの供給を伴うレーザクラッド層形成時の
レーザ出力:3kW,施工速度:500mm/分,入熱
幅(加熱範囲):5.0mm b)溶加ワイヤの供給を伴う1回目熱処理用レーザクラ
ッド層形成時のレーザ出力:4kW,施工速度:500
mm/分,入熱幅(加熱範囲):5.0mm c)溶加ワイヤの供給を伴う2回目熱処理用レーザクラ
ッド層形成時のレーザ出力:4kW,施工速度:500
mm/分,入熱幅(加熱範囲):5.0mm d)溶加ワイヤの供給を伴う3回目熱処理用レーザクラ
ッド層形成時のレーザ出力:3kW,施工速度:500
mm/分,入熱幅(加熱範囲):5.0mm の各処理を行なうことにより、硬化域を軟化域に変換す
ることができる。
【0027】
【発明の効果】本発明に係るレーザクラッド部の改質方
法及びレーザクラッド層の形成方法にあっては、以下の
効果を奏する。 (1) レーザクラッド層にレーザビームを照射して、
加熱範囲を非溶融状態に保持しながら、母材組織を65
0〜850℃に加熱するとともに、レーザクラッド層の
形成時に生じた母材中の硬化域を軟化域に変換するもの
であるから、新たな設備を追加することなく、レーザク
ラッド層の形成のための通常のレーザ照射装置を使用し
て、硬化域の除去処理を容易に、かつ格別な設備を用意
することなく実施することができる。 (2) コーナー部の近傍にレーザクラッド層が形成さ
れている場合や、レーザクラッド層の端部が形成されて
いる場合にあっても、最初にレーザクラッド層の端部を
加熱する技術を付加することにより、被処理材の形状変
化に対する影響を少なくして改質処理を行なうことがで
きる。 (3) レーザビーム照射による加熱を複数回繰り返す
ことにより、レーザクラッド層の厚さによる影響を吸収
して、レーザクラッド技術への適用範囲を拡大すること
ができる。 (4) 溶加材を供給することなく、レーザビーム照射
のみで加熱処理を行なうことにより、既存のレーザクラ
ッド層に対して適用性を高めることができる。 (5) 金属表面にクラッド材を介在させた状態で、レ
ーザ照射によりレーザクラッド層を形成するとともに、
レーザクラッド層を複数重畳させて、レーザクラッド層
形成時の熱を硬化域に及ぼすことにより、レーザクラッ
ド層が厚くなる場合にあっても、硬化域を軟化域に変換
する改質を実施し応用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザクラッド部の改質方法及び
レーザクラッド層の形成方法におけるレーザ照射による
レーザクラッド層の形成状況を示す斜視図である。
【図2】図1のレーザクラッド層形成時のレーザ照射状
況を示すもので、(a)はコーナー部の温度分布図、
(b)は平坦部の温度分布図である。
【図3】本発明に係るレーザクラッド部の改質状況を示
すコーナー部の温度分布図である。
【図4】図3の改質処理後における平坦部の1回目の加
熱状況を示すもので、(a)はコーナー部近傍の温度分
布図、(b)は平坦部の温度分布図である。
【図5】図4の改質処理後における平坦部の2回目の加
熱状況を示すもので、(a)はコーナー部近傍の温度分
布図、(b)は平坦部の温度分布図である。
【符号の説明】
1 レーザ発生装置(CO2 レーザ) 2 反射ミラー 3 集光レンズ 4 ワイヤ供給装置 5 溶加ワイヤ(クラッド材) 10 被処理材 11 金属表面(フランジシール面) 12 レーザクラッド層(クラッド層) 13 コーナー部 L レーザビーム T 熱影響部 H 硬化域 S 軟化域 W 加熱範囲
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 和夫 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社横浜エンジニアリ ングセンター内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理材(10)の金属表面(11)に
    形成されたレーザクラッド層(12)にレーザビーム
    (L)を照射してスポット状に加熱し、加熱範囲(W)
    を非溶融状態に保持しながら、加熱範囲の熱をレーザク
    ラッド層の直下の母材組織に及ぼして、650〜850
    ℃に加熱するとともに、レーザクラッド層の形成時に生
    じた母材中の硬化域(H)を軟化域(S)に変換するこ
    とを特徴とするレーザクラッド部の改質方法。
  2. 【請求項2】 被処理材(10)のコーナー部(13)
    の近傍にレーザクラッド層(12)が存在する場合にあ
    っては、最初にコーナー部に対してレーザビーム(L)
    を照射して、母材組織を650〜850℃の温度で加熱
    することを特徴とする請求項1記載のレーザクラッド部
    の改質方法。
  3. 【請求項3】 最初にレーザクラッド層(12)の端部
    に対してレーザビーム(L)を照射して、母材組織を6
    50〜850℃の温度で加熱した後、全体のレーザクラ
    ッド層の直下の母材組織を加熱することを特徴とする請
    求項1記載のレーザクラッド部の改質方法。
  4. 【請求項4】 レーザクラッド層(12)の平坦部に対
    して、レーザビーム(L)の照射による加熱を複数回繰
    り返すとともに、最終回の加熱時の入熱量を減少させる
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のレーザク
    ラッド部の改質方法。
  5. 【請求項5】 被処理材(10)の金属表面(11)に
    レーザクラッド層(12)を形成するものであって、金
    属表面にクラッド材(5)を介在させた状態でレーザビ
    ーム(L)を照射し、クラッド材を溶融状態に導いてレ
    ーザクラッド層を形成するとともに、該レーザクラッド
    層の形成後に、レーザクラッド層の直下の母材組織に対
    してレーザビームの照射熱を及ぼして、650〜850
    ℃に加熱するとともに、レーザクラッド層の形成時に生
    じた母材中の硬化域(H)を軟化域(S)に変換するこ
    とを特徴とするレーザクラッド層の形成方法。
  6. 【請求項6】 被処理材(10)の金属表面(11)に
    クラッド材(5)を介在させた状態で、レーザビーム
    (L)を照射して被処理材を溶融状態に導きながらレー
    ザクラッド層(12)を形成する工程を複数回繰り返し
    て、レーザクラッド層を複数重畳させるとともに、レー
    ザクラッド層の形成時の熱を加熱範囲直下の被処理材中
    の硬化域(H)に及ぼして、母材中の硬化域を軟化域
    (S)に変換することを特徴とするレーザクラッド層の
    形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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