JPH0954922A - 回転ドラム装置及び記録又は再生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コスト化を実現すると共に、テープ規制部
材を位置調整可能とする回転ドラム装置を提供する。 【解決手段】 磁気ヘッド４を備えた回転ドラム３と磁
気テープ８を案内するためのリード９を有する固定ドラ
ム２とが、中心軸５を介して相互に回転可能に配置され
る。ドラム周面に巻き付けた磁気テープ８に対して、情
報の記録又は再生を行う。磁気テープ８の巻付開始点Ｐ
にて磁気テープ８のエッジ部分に接触し得るテープ規制
部材１２を有している。テープ規制部材１２を位置調整
可能に設けたものである。テープ規制部材１２をドラム
半径方向に微動し得るアジャスタ機構１４を備え、テー
プ規制部材１２のドラム周面からの突出量を適正な範囲
に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばビデオテー
プレコーダ（ＶＴＲ）やＲ−ＤＡＴ等の記録又は再生装
置に係り、特にカセット内から引き出された磁気テープ
をドラム周面に螺旋状に巻き付けて、該磁気テープに対
する情報の記録又は再生を行うための回転ドラム装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図１０〜図１２は、従来の回転ドラム装
置１の構成例を示している。この回転ドラム装置１で
は、磁気ヘッド４を有する上側の回転ドラム３とテープ
リード９を有する下側の固定ドラム２とが同軸に配置さ
れている。固定の中心軸５は、固定ドラム２に圧入され
ている。モータステータ６ａは中心軸５に固定され、ま
たモータロータ６ｂは回転ドラム３に固定されている。
図示しないテープカセットから引き出された磁気テープ
８は、図１０のようにテープリード９によってガイドさ
れるかたちで、ドラム周面にヘリカル状に巻き付くよう
になっている。

【０００３】回転ドラム装置１において、小型、薄型化
等の要請からドラム高さを低く設定しており、そのため
磁気テープ８の巻付開始点Ｐでは磁気テープ８のエッジ
（幅方向）が回転ドラム３の上端からはみ出す構成とな
っている。そして、そのままでは磁気テープ８に弛みが
生じた場合等において、その磁気テープ８が回転ドラム
３を乗り越してしまう。そこで、図示のように巻付開始
点Ｐにて磁気テープ８のエッジ部分と接触し得るテープ
規制部材７を中心軸５に固設し、磁気テープ８がドラム
周面に沿って適正に走行するように規制するようにして
いた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
回転ドラム装置１では、テープ規制部材７の位置が固定
であったために、その突出量を適正な範囲に設定するた
めには、部品の寸法精度や組立精度を上げる必要があっ
た。このため製造時の歩留りが悪く、コストが高くなら
ざるを得なかった。

【０００５】本発明はかかる実情に鑑み、低コスト化を
実現すると共に、テープ規制部材を位置調整可能とする
回転ドラム装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の回転ドラム装置
は、磁気ヘッドを備えた回転ドラムと磁気テープを案内
するためのリードを有する固定ドラムとが、中心軸を介
して相互に回転可能に配置され、ドラム周面に巻き付け
た前記磁気テープに対して、情報の記録又は再生を行う
ようにした回転ドラム装置において、前記磁気テープの
巻付開始点にて該磁気テープのエッジ部分に接触し得る
テープ規制部材を有し、このテープ規制部材を位置調整
可能に設けたものである。

【０００７】また、本発明の回転ドラム装置において、
前記テープ規制部材をドラム半径方向に微動し得るアジ
ャスタ機構を備え、前記テープ規制部材のドラム周面か
らの突出量を調整し得るようにしたものである。

【０００８】

【作用】本発明によれば、テープ巻付開始点において、
磁気テープのエッジ部分と接触するテープ規制部材を有
する回転ドラム装置において、テープ規制部材の位置を
可変できるアジャスタ機構を有することを特徴とする。
このアジャスタ機構によりテープ規制部材の突出量を変
化・調整し、その突出量を適正な範囲に設定することが
できる。また、この場合特殊な工具を必要とせず、しか
も簡単な機構で突出量の調節が可能となる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図１〜図６に基づき、従来
例と実質的に同一又は対応する部材には、同一符号を用
いて、本発明による回転ドラム装置の第１実施形態を説
明する。

【００１０】ここで先ず、本発明の回転ドラム装置を備
えた記録又は再生装置の全体構成例を説明する。図１及
び図２において、記録又は再生装置１００は、回転ドラ
ム装置１０１を備えている。この回転ドラム装置１０１
はメインシャーシ１０２の所定位置に配置され、一方、
メインシャーシ１０２に対してスライド可能（図１、両
矢印参照）に構成されたスライドシャーシ１０３にはテ
ープリール等が配置される。つまり、この例ではメイン
シャーシ１０２及びスライドシャーシ１０３を別体構造
とし、スライドシャーシ１０３（カセット載置部材）に
装着したテープカセット２００を回転ドラム装置１０１
に対して進退させる（図１及び図２に示した状態が、そ
れぞれ対応する）構成としたものである。

【００１１】また、記録又は再生装置１００は、キャプ
スタン１０４、キャプスタンモータ１０５、回転ドラム
装置１０１に対するテープ進入側におけるテープ引出用
のテープガイド部材１０６及び回転ドラム装置１０１に
対するテープ出側におけるテープ引出用のテープガイド
部材１０７等を備えている。

【００１２】記録又は再生装置１００におけるテープロ
ーディング動作は、図１に示すようにスライドシャーシ
１０３上にテープカセット２００が装着された後、テー
プガイド部材１０６及び１０７によってテープカセット
２００の開口部２００ａから磁気テープ２０１が引き出
されていくと同時に、スライドシャーシ１０３が回転ド
ラム装置１０１に向かってスライド移動する。そして、
図２のように回転ドラム装置１０１が相対的に開口部２
００ａ内に配置されると共に、テープガイド部材１０６
及び１０７によって磁気テープ２０１が回転ドラム装置
１０１の周面に巻き付けられる。かくして、この記録又
は再生装置１００によれば、磁気テープ２０１を所定の
テープパスに沿って走行させることにより、記録又は再
生を行うことができる。

【００１３】さて、上記概略説明した本発明に係る記録
又は再生装置１００に用いられる回転ドラム装置１０１
の詳細構成を説明する。図３は本発明装置の第１実施形
態の斜視図、図４は本発明装置の第１実施形態の上面
図、図５は本発明装置の第１実施形態の断面図である。
この第１実施形態の回転ドラム装置１０１において、磁
気ヘッド４を有する上側の回転ドラム３と、テープリー
ド９を有する下側の固定ドラム２と、が同軸に配置され
ている。固定の中心軸５は固定ドラム２に圧入されてい
る。モータステータ６ａはモータ台座１１に固定され、
またモータロータ６ｂは回転ドラム３に固定されてい
る。

【００１４】磁気テープ８はテープリード９によってガ
イドされるかたちで、ドラム周面にヘリカル状に巻き付
くようになっている（図３）。磁気テープ８の巻付開始
点Ｐにおいて回転ドラム３の上端は、磁気テープ８の上
側のエッジ部分よりも下側に位置している。モータ台座
１１は中心軸５に圧入され、モータ台座１１上にテープ
規制部材１２が置かれている。テープ規制部材１２は中
心軸５が嵌入する長穴１２ａを有し、また固定ねじ１３
によってモータ台座１１に固定されるようになってい
る。テーパねじ１４は、モータ台座１１にねじ込まれて
おり、テーパねじ１４のテーパ面がテープ規制部材１２
の端部とＡ点にて接している。

【００１５】回転ドラム装置１０１において、磁気テー
プ８及びテープ規制部材１２は、巻付開始点Ｐにて接し
ている。このようにテープ規制部材１２を回転ドラム３
の外周面の上端から所定量だけ半径方向に突出させるこ
とにより、磁気テープ８の回転ドラム３の上端からのは
み出し部分が回転ドラム３の半径方向内側へ倒れるのを
防ぐことができる。これにより磁気ヘッド４及び磁気テ
ープ８の接触開始位置付近において、両者を安定的且つ
適正な接触状態に保持し、安定した記録又は再生を実現
する。

【００１６】さて、特にテーパねじ１４によれば、テー
プ規制部材１２をドラム半径方向に微動させるアジャス
タ機構を構成することにより、テープ規制部材１２のド
ラム周面からの突出量を調整することができる。この場
合、先ず固定ねじ１３を緩めてテープ規制部材１２を移
動もしくはスライド可能にし、テープ規制部材１２及び
テーパねじ１４をＡ点にて接させながら、テーパねじ１
４をねじ込み、或いは緩める。テーパねじ１４の回動操
作量に応じて、テープ規制部材１２をモータ台座１１上
にてドラム半径もしくは直径方向に所望量だけ微動さ
せ、適正な突出量を設定することができる。そして、こ
のようにテープ規制部材１２を適正位置に設定した時点
で、固定ねじ１３を締め付けてテープ規制部材１２を固
定する。

【００１７】なお、テープ規制部材１２を微調整する場
合、中心軸５とテープ規制部材１２の長穴１２ａとは適
度な摺動抵抗が生じるように嵌合することが好ましい。
中心軸５及び長穴１２ａの嵌合寸法をこのように設定す
ることにより、テープ規制部材１２の突出量が多くなり
過ぎないように最適位置に位置出しすることができ、つ
まり言わばテープ規制部材１２を微動させる際のストッ
パの機能を発揮することができる。

【００１８】ここで、この実施形態における具体的な数
値例を説明する。例えば、テーパねじ１４のテーパ角度
を１０°とした場合、テーパねじ１４を０．１ｍｍねじ
込むと、テープ規制部材１２はドラム周面から突出する
方向に０．１×ｔａｎ１０°＝０．０１８ｍｍ移動す
る。このようにテーパねじ１４を用いることにより、テ
ープ規制部材１２の突出量の調整を精度良く行うことが
できる。

【００１９】本発明によれば、テーパねじ１４によって
テープ規制部材１２の突出量を高い精度で調整すること
ができるため、記録又は再生時に磁気ヘッド４において
良好な出力波形を得るための磁気テープ８の好適な形状
（平坦度）を維持する。つまり、図６は、テープ規制部
材１２の突出量と磁気テープ８の形状又はエンベロープ
波形との関係を示している。本発明によれば、図６
（Ｂ）のように磁気ヘッド４において極めて適正な出力
波形を得ることができ、良好な記録又は再生を実現す
る。これに対して、テープ規制部材１２の突出量が適正
でない、即ちドラム周面から出過ぎても（図６
（Ａ））、或いは引込み過ぎても（図６（Ｃ））、適正
な磁気テープ８の形状を維持することができず、エンベ
ロープ波形が平担でなくなるため、信号の適正な記録又
は再生を行うことができない。

【００２０】次に、本発明による回転ドラム装置１０１
の第２実施形態を説明する。図７は本発明の第２実施形
態における斜視図、図８は第２実施形態における上面
図、図９は第２実施形態における断面図である。なお、
第１実施形態の場合と実質的に共通部分については、こ
こではその説明を省略するものとする。

【００２１】この第２実施形態において、テープ規制部
材１２の端部にて下方を向いてピン１５（図９参照）が
植設されている。また、テープ規制部材１２の至近位置
にツマミ１６が配置されている。ツマミ１６は、モータ
台座１１に植設された支軸１７のまわりに回動自在に設
けられ、その外周には回動操作を容易且つ的確に行うよ
うにするための滑り止加工（例えば、適宜のローレット
等であってよい）が施されている。ツマミ１６はまた、
ピン１５が嵌入するカム溝１６ａを有しいる。このカム
溝１６ａは、図７に示されるように、支軸１７からの距
離Ｒが中心部から外周部に向かって次第に大きくなる例
えば螺旋状に形成される。

【００２２】第２実施形態による回転ドラム装置１０１
において、テープ規制部材１２のドラム周面からの突出
量を調整する場合、先ず固定ねじ１３を緩めてテープ規
制部材１２を移動もしくはスライド可能にする。この状
態でツマミ１６を回動すると、ピン１５がカム溝１６ａ
に従って従動するため、ピン１５がカム溝１６ａに嵌入
する位置に応じてテープ規制部材１２の突出量を適正且
つ所望量に設定することができる。

【００２３】上述のようにツマミ１６の回動操作による
回転角によって、ピン１５と係合するカム溝１６ａの位
置が変化するので、それに伴ってピン１５と共にテープ
規制部材１２が移動する。この場合、ツマミ１６を回動
操作する際の回転角の使用範囲を多く、つまりツマミ１
６の回転角に対するカム溝１６ａの半径方向の変化量を
小さくすることにより、テープ規制部材１２の突出量を
高い精度で調整することができる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、テ
ープ規制部材のドラム周面からの突出量を装置組立後に
調節可能とすることができ、実質的に構成部品の単品精
度及び組立精度を低くすることができる結果、コストを
安くすることができる。また、組立ラインの調整工程
で、エンベロープ波形を見ながらテープ規制部材の突出
量の調整を行えるため、製造能率の向上をはかることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の回転ドラム装置を備えた記録又は再生
装置の全体構成例を示す平面図である。

【図２】本発明の回転ドラム装置を備えた記録又は再生
装置の全体構成例を示す平面図である。

【図３】本発明の回転ドラム装置の第１実施形態におけ
る斜視図である。

【図４】本発明の回転ドラム装置の第１実施形態におけ
る平面図である。

【図５】本発明の回転ドラム装置の第１実施形態におけ
る縦断面図である。

【図６】本発明の回転ドラム装置における磁気ヘッドの
出力波形を従来例との関係で示す図である。

【図７】本発明の回転ドラム装置の第２実施形態におけ
る斜視図である。

【図８】本発明の回転ドラム装置の第２実施形態におけ
る平面図である。

【図９】本発明の回転ドラム装置の第２実施形態におけ
る縦断面図である。

【図１０】従来の回転ドラム装置における斜視図であ
る。

【図１１】従来の回転ドラム装置における平面図であ
る。

【図１２】従来の回転ドラム装置における縦断面図であ
る。

【符号の説明】

２ 固定ドラム ３ 回転ドラム ４ 磁気ヘッド ５ 中心軸 ６ａ モータステータ ６ｂ モータロータ ８ 磁気テープ ９ テープリード １１ モータ台座 １２ テープ規制部材 １３ 固定ねじ １４ テーパねじ １５ ピン １６ ツマミ １６ａ カム溝 １７ 支軸

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気ヘッドを備えた回転ドラムと磁気テ
   ープを案内するためのリードを有する固定ドラムとが、
   中心軸を介して相互に回転可能に配置され、ドラム周面
   に巻き付けた前記磁気テープに対して、情報の記録又は
   再生を行うようにした回転ドラム装置において、 前記磁気テープの巻付開始点にて該磁気テープのエッジ
   部分に接触し得るテープ規制部材を有し、このテープ規
   制部材を位置調整可能に設けたことを特徴とする回転ド
   ラム装置。
2. 【請求項２】 前記テープ規制部材をドラム半径方向に
   微動し得るアジャスタ機構を備え、前記テープ規制部材
   のドラム周面からの突出量を調整し得るようにしたこと
   を特徴とする請求項１に記載の回転ドラム装置。
3. 【請求項３】 磁気テープに対して情報の記録又は再生
   を行うためのヘッドを有する請求項１又は２に記載の回
   転ドラム装置と、 前記磁気テープを収納するカセットを装着し、該カセッ
   トを前記回転ドラム装置に対して進退可能に支持するカ
   セット載置部材と、 前記磁気テープを前記カセットから引き出して、該磁気
   テープを所定テープパスに沿って走行させるようにした
   テープガイド部材と、を備えたことを特徴とする記録又
   は再生装置。