JPH0953383A - 斜坑用シールド掘進機及び斜坑と連続した横坑の構築方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工の安全性向上と施工性の改善を図れ
る、斜坑用シールド掘進機及び斜坑と連続した横坑の構
築方法を提供すること。 【解決手段】 親機２０内に子機３０が収容され、
親機２０の切羽側及び坑口側の端面が親機２０の軸線に
対して直角以外の角度で交差して形成され、掘削手段の
回転軸３５が鉛直方向に向けて配置して構成されるシー
ルド掘進機１０を使用し、シールド掘進機１０を掘進さ
せながら、リング間継手面を水平に形成したセグメント
を組み立てて斜坑４０を構築する。斜坑４０の下部で親
機２０から子機３０を発進させて横坑を構築する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する分野】本発明は斜坑の構築並びに斜坑と
一体の水平トンネルの構築が可能なシールド掘進機を使
用した、斜坑用シールド掘進機及び斜坑と連続した横坑
の構築方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】下向きに配置したシールド掘進機で掘進
しながらセグメントを組み立てて、立坑を構築する立坑
の構築方法は知られている。ところで、使用中の鉄道直
下或いは道路直下に鉄道や道路に沿った水平トンネルを
構築する方法としては、 図７に示すように鉄道又は道路の近傍から鉄道又は道
路の直下を結ぶ斜めの線に沿ってシールド掘進機ａを掘
進させてセグメント製の斜坑ｂを構築した後、水平トン
ネル用シールド掘進機（図示せず）と交換して水平トン
ネルを構築する方法と、 鉄道又は道路の近傍に立坑を構築した後、この立坑か
ら切り回して鉄道又は道路の直下に至る水平トンネルを
構築する方法の２つの方法の適用が考えられる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記した既設構造物の
直下にトンネルを構築する技術には次のような課題があ
る。 ＜イ＞ 斜坑ｂを構築する方法にあっては、セグメント
ｃのリング間継手面ｄが水平に対して傾斜しているた
め、斜坑ａ内に設置する足場（図示せず）を継手面ｄに
沿って斜めにする必要があり、セグメント組立て作業効
率が悪化するだけでなく、セグメント組立て作業の安全
性確保の点でも問題がある。特に、これらの問題は斜坑
ｂの傾斜が４０度を越えるほど顕著となり、斜坑ｂの傾
斜角度により在来工法の採用が不可能となる。 ＜ロ＞ またシールド掘進機ａとしては泥土化した掘削
土砂をカッタｅ中央の排泥管で吸引して排泥する方法が
提案されている。しかしながらこのシールド掘進機ａを
斜坑ｂの構築に使用すると、切羽面が斜めとなるために
カッタｅ中央で掘削土砂を吸引できず、排泥困難に起因
したカッタｅの回転不能に陥り易く、中央排泥式のシー
ルド掘進機の採用が困難となる。 ＜ハ＞ 立坑から切り回す方法にあっては、工費と工期
の負担が大きく実現性の点で採用困難である。

【０００４】本発明は以上の問題点を解決するためにな
されたもので、その課題とするところは、施工の安全性
向上と施工性の改善を図れる、斜坑用シールド掘進機及
び斜坑と連続した横坑の構築方法を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、親機の内部に
子機を収容したシールド掘進機において、親機の切羽側
及び坑口側の端面が親機の軸線に対して直角以外の角度
で交差して形成され、子機の掘削手段を親機の掘削手段
と兼用させると共に、掘削手段の回転軸を鉛直方向に向
けて配置したことを特徴とする、斜坑用シールド掘進機
である。さらに本発明は、親機の内部に子機を回転自在
に収容したシールド掘進機において、親機の切羽側及び
坑口側の端面が親機の軸線に対して直角以外の角度で交
差して形成され、子機の掘削手段を親機の掘削手段と兼
用させると共に、掘削手段の回転軸を鉛直方向に向けて
配置し、親機内に子機を収容した球状の外殻を回転自在
に収容し、親機の側面の一部に子機発進用の開口を設け
たことを特徴とする、斜坑用シールド掘進機である。さ
らに本発明は前記した斜坑用シールド掘進機において、
掘削手段が親機の断面楕円形を掘削する進退制御可能な
複数の補助カッタを具備することを特徴とする、斜坑用
シールド掘進機である。さらに本発明は前記したいずれ
かの斜坑用シールド掘進機において、シールド掘進機の
切羽側に送泥管を案内すると共に、掘削手段の回転軸に
切羽面の中央に集めた削土を吸引排土する中央吸引排土
手段を具備することを特徴とする、斜坑用シールド掘進
機である。さらに本発明は、シールド掘進機を地上から
斜めに発進させてセグメント製の斜坑を構築し、斜坑の
下部から連続してセグメント製の横坑を構築する方法に
おいて、前記したいずれかのシールド掘進機を使用し、
既設セグメントから反力を得てシールド掘進機を地上か
ら斜めに掘進する工程と、リング間継手面が水平に形成
したセグメントを前記シールド掘進機内でリング状に組
み立てる工程を繰り返しながら斜坑を構築し、斜坑の下
部に位置する親機から子機を発進させて斜坑と連続した
横坑を構築することを特徴とする、斜坑と連続した横坑
の構築方法である。さらにら本発明は前記した斜坑と連
続した横坑の構築方法において、斜坑を構成するセグメ
ントがリング間継手面が水平に形成されていると共に、
セグメント間継手面が鉛直線と平行に形成されているこ
とを特徴とする、斜坑と連続した横坑の構築方法であ
る。さらにら本発明は前記した斜坑と連続した横坑の構
築方法において、斜坑を構成するセグメントがリング間
継手面が水平に形成されていると共に、セグメント間継
手面が斜坑の軸線と平行に形成されていることを特徴と
する、斜坑と連続した横坑の構築方法である。

【０００６】

【発明の実施の形態１】以下図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。

【０００７】＜イ＞斜坑用シールド掘進機の全体構成 図２に斜坑用シールド掘進機１０を用いて斜坑を構築す
る全体図を示す。シールド掘進機１０は、掘削手段の回
転軸を鉛直方向に向けた親機２０とこの親機２０内に収
容した子機３０とよりなる。斜坑４０は複数のセグメン
ト４１群で構成され、特に各リング間の継手面４２が水
平に位置して組み立てられる。

【０００８】＜ロ＞親機 図１にシールド掘進機１０の拡大図を示す。親機２０は
剛性筒体製のスキンプレート２１を具備している。スキ
ンプレート２１内には、複数のシールドジャッキ２２
と、セグメント組立用のエレクタ装置２３等が配備され
ている。スキンプレート２１の切羽側及び坑口側の端面
は、親機２０の軸線に対して直角以外の角度で交差して
形成されている。換言すれば、親機２０の軸線を斜坑４
０の軸線と平行に位置させたとき、スキンプレート２１
の切羽側及び坑口側の端面が水平に位置するようになっ
ている。これは、シールド掘進機１０の掘削手段の回転
軸を鉛直にして水平掘削をさせるためである。またスキ
ンプレート２１の側面の一部には、図２に示すように子
機発進用の発進口２４が開設されている。この発進口２
４は子機３０を格納する球状の殻体３１で閉鎖され、親
機２０内に土砂が流入しない構造になっている。尚、発
進口２４は子機３０の発進予定方向に開設してあればよ
く、またその形状も図示するようなドーム形に限定され
ず、円形であってもよい。シールドジャッキ２２のスプ
レッダ２５は楔状を呈し、セグメント４１の継手面４２
に対して直角に当接するようになっている。また親機２
０は掘削手段を具備せず、後述する子機３０の掘削手段
が親機２０の掘削手段を兼ねている。

【０００９】＜ハ＞子機 図１に示すように子機３０は親機２０の発進口２４を通
じて横方向に向けて発進可能なように外殻３１内に格納
されている。子機３０は親機２０と同様に剛性筒体製の
スキンプレート３２を具備し、このスキンプレート３２
内に複数のシールドジャッキ３３やエレクタ装置やその
他必要な機材等が配備されている。子機３０を格納する
外殻３１が球体であるから、シールド掘進機１０の掘進
中に子機３０が自由回転しないようなっている。子機３
０の切羽側には、駆動源３４の回転を受けて回転する回
転軸３５が鉛直方向に向けて配置され、その下端に掘削
手段である回転カッタ３６が固着されている。回転カッ
タ３６には放射状に複数の補助カッタ３７が配置され、
油圧により各補助カッタ３７の進退を個別に制御して、
図３に示すように楕円形を呈する親機２０（シールド掘
進機１０）の水平断面を掘削できるようになっている。
尚、図１においてシールド掘進機１０は、シールド掘進
機１０の切羽面へ向けて泥水を供給する送泥管３８と、
回転軸３５の軸路３９とにより構成される中央吸引排土
手段を具備し、送泥管３８から泥水を供給して泥土化し
た削土を切羽面のほぼ中央に位置する軸路３９を通じて
吸引して排土できるようになっている。

【００１０】＜ニ＞斜坑 斜坑４０を構成するセグメント４１の一例を図４，５に
示す。図４はリング間継手面４２が水平に形成されてい
ると共に、セグメント間継手面４３が鉛直線と平行に形
成されたセグメント４１を示す。図５はリング間継手面
４２が水平に形成されていると共に、セグメント間継手
面４３が斜坑４０の軸線４４と平行に形成されたセグメ
ント４１を示す。また図４，５に示した各セグメント４
１は、リング状に組み立てたとき継手面４３が同一直線
上に揃わないように設計することが望ましい。

【００１１】

【作用】つぎに斜坑用シールド掘進機１０の使用方法に
ついて説明する。

【００１２】＜イ＞シールド掘進機のセット（図２） 軌道等の地上構造物の近傍に、前述した斜坑用シールド
掘進機１０を下向きに配置する。

【００１３】＜ロ＞掘削開始（図１，２） 補助カッタ３７の進退を制御しながら回転カッタ３６を
回転させて、図３に示す掘削断面の掘削を開始する。削
土は図１に示すシールド掘進機１０のほぼ中央に位置す
る軸路３９を通じて排土する。また掘削に際し、回転軸
３５が鉛直方向に位置するため切羽面がほぼ水平（すり
ばち状）となる。そのため削土が回転カッタ３６の中央
に集まって吸引し易くなるため円滑に排土が行える。

【００１４】＜ハ＞セグメント組み立て（図１） シールド掘進機１０内ではエレクタ装置２３を使用して
セグメント４１をリング状に組み立てる。組み立てられ
た各セグメント４１のリング間継手面４２は水平に位置
することになる。

【００１５】＜ニ＞掘進（図１） シールド掘進機１０内のシールドジャッキ３２を一斉に
伸長操作して、組み立てを終えたセグメント４１から反
力を得てシールド掘進機１０を掘進させる。シールドジ
ャッキ３３の先端の楔状のスプレッダ２５がセグメント
４１のリング間継手面４２に対して直角に当接するの
で、効率的推進力が伝達される。

【００１６】＜ホ＞横坑の構築 上記の要領で所定の深度まで斜坑４０を構築したら、シ
ールド掘進機１０の掘進を停止する。つぎにシールド掘
進機１０内の子機３０の全ての補助カッタ３７を回転カ
ッタ３６内に後退させた後、子機３０を親機２０の発進
口２４へ向けて回転させる。子機３０を水平に位置させ
たら、回転カッタ３６の回転を開始して親機２０から反
力を得て、子機３０を横方向に発進させると共に、子機
３０内で公知の円弧形のセグメントを組み立てて横坑５
０を構築する。図６は親機２０から発進させた子機３０
によって斜坑４０と連通する横坑５０を構築する概念図
を示す。尚、親機２０は回収せずに地中に残置する。

【００１７】

【発明の実施の形態２】以上はシールド掘進機１０を使
用して斜坑４０から連続して横坑５０を構築する場合に
ついて説明したが、前記した子機３０を省略すると共に
親機２０に掘削手段を追加して装備させれば、斜坑４０
のみの構築が可能である。本実施の形態の場合、掘削手
段の回転軸を鉛直に向けて掘削する点、楕円掘削する
点、セグメント４１の構造、横坑４０の構築工程につい
ては、既述した実施の形態１と同様である。

【００１８】

【発明の効果】本発明は以上説明したようになるから次
のような効果を得ることができる。 ＜イ＞ セグメントのリング間継手面を水平にして斜坑
を構築できるので、斜坑内に設置する作業足場を水平に
して、安全かつ効率的にセグメントの組立て作業が行え
る。 ＜ロ＞ 斜坑の傾斜が４０度を越えるようなきつい角度
でも施工が可能である。 ＜ハ＞ 斜坑から横坑の連続掘進が可能なため、地上構
造物が例えば鉄道や道路の場合には、電車や車両を通行
させたまま施工できる。 ＜ニ＞ シールド掘進機の掘削手段の回転軸を鉛直に向
けて掘削するので、切羽の中央に泥土化した削土を集め
易い。そのため泥土化した削土を円滑に吸引して効率良
く排土することができる。 ＜ハ＞ 立坑から切り回す方法に比べて、工費の低減と
工期の削減が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る斜坑用シールド掘進機の縦断面
図

【図２】 斜坑の構築時における施工概念図

【図３】 図１におけるIII −III の矢視図

【図４】 斜坑を構成するセグメントの斜視図

【図５】 斜坑を構成する他の例のセグメントの斜視図

【図６】 親機から子機を発進させて斜坑と連続した横
坑の構築時における施工概念図

【図７】 本発明が前提とするシールド掘進機を使用し
て斜坑を構築する施工概念図

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 功 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 親機の内部に子機を収容したシールド
   掘進機において、 親機の切羽側及び坑口側の端面が親機の軸線に対して直
   角以外の角度で交差して形成され、 子機の掘削手段を親機の掘削手段と兼用させると共に、 掘削手段の回転軸を鉛直方向に向けて配置したことを特
   徴とする、 斜坑用シールド掘進機。
2. 【請求項２】 親機の内部に子機を回転自在に収容し
   たシールド掘進機において、 親機の切羽側及び坑口側の端面が親機の軸線に対して直
   角以外の角度で交差して形成され、 子機の掘削手段を親機の掘削手段と兼用させると共に、 掘削手段の回転軸を鉛直方向に向けて配置し、 親機内に子機を収容した球状の外殻を回転自在に収容
   し、 親機の側面の一部に子機発進用の開口を設けたことを特
   徴とする、 斜坑用シールド掘進機。
3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２において、掘削
   手段が親機の断面楕円形を掘削する進退制御可能な複数
   の補助カッタを具備することを特徴とする、斜坑用シー
   ルド掘進機。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれかにおいて、シ
   ールド掘進機の切羽側に送泥管を案内すると共に、掘削
   手段の回転軸に切羽面の中央に集めた削土を吸引排土す
   る中央吸引排土手段を具備することを特徴とする、斜坑
   用シールド掘進機。
5. 【請求項５】 シールド掘進機を地上から斜めに発進
   させてセグメント製の斜坑を構築し、斜坑の下部から連
   続してセグメント製の横坑を構築する方法において、 前記請求項１〜５のいずれかに記載のシールド掘進機を
   使用し、 既設セグメントから反力を得てシールド掘進機を地上か
   ら斜めに掘進する工程と、 リング間継手面が水平に形成したセグメントを前記シー
   ルド掘進機内でリング状に組み立てる工程を繰り返しな
   がら斜坑を構築し、 斜坑の下部に位置する親機から子機を発進させて斜坑と
   連続した横坑を構築することを特徴とする、 斜坑と連続した横坑の構築方法。
6. 【請求項６】 請求項５において、斜坑を構成するセ
   グメントがリング間継手面が水平に形成されていると共
   に、セグメント間継手面が鉛直線と平行に形成されてい
   ることを特徴とする、斜坑と連続した横坑の構築方法。
7. 【請求項７】 請求項５において、斜坑を構成するセ
   グメントがリング間継手面が水平に形成されていると共
   に、セグメント間継手面が斜坑の軸線と平行に形成され
   ていることを特徴とする、斜坑と連続した横坑の構築方
   法。