【発明の詳細な説明】
心出しおよび締付けのための手段と工具との結合
本発明は、たとえば機械加工のような材料の処理用工具のための固定機構に関
し、該固定機構は工具、そのフレームおよび機械工具のフレーム内の工具保持部
材の組合わせを含んで成る。
本発明の固定機構は、機械加工の材料として木材、プラスチック、金属等の、
たとえばフライス削り、リーマ通し、穴あけ、丸削りのようなチッピングによる
機械加工を含む広範囲の技術に応用できる。固定機構は、様々な種類の製造のた
めのロボット技術に、または部品の移送および処理のための器具のようなその他
の自動装置で、さらに空気圧縮工具でのつかみ部材等の交換に用いることができ
る。異なった種類の操作に要する前記の工具の交換は、様々な操作を実行するた
めに必要である。
加えて、上記工具の固定機構は、切断、押抜き、成型および成形工作に、特に
いわゆる板機械加工センターにおける金属板の機械加工に使用するのに利点があ
る。この種の機械加工において、工具の固定の方向は、機械加工刃端または成形
刃端が機械加工力を金属板に向けるように線形運動方向、通常金属板の主方向に
垂直な方向であり、金属板が工具とその相手部材、すなわちクッションとの間に
配置される。本発明の固定機構は、実際の機械工具および相手部材、すなわちク
ッションの両方を機械工具のフレーム内の工具保持部材に固定するのに用いるこ
とができる。
従来技術では、工具を固定するのに、いわゆるコニックフィット(円錐すり合
わせ)、すなわちモースコニックフィットを用いるのが一般的であり、それによ
って工具フレームと工具保持部材がそれぞれの軸方向で固定運動によって互いに
連結され、脱着も軸方向に対応する様式で達成される。特に、コニックフィット
は、接続面が軸方向の力のもと、お互いに容易に締付けられすぎる傾向にあると
いう欠点がある。このため、現在用いられている多くのシステムは、締付けられ
たコニック面を工具の交換に際して、開放するための特別の脱着機構を含む。そ
の結果、工具据え付けに要求される固定機構の費用が増加するとともに、固定機
構が比較的複雑となり、そのため実際の機械加工操作の間、特に工具の交換の間
に、障害が起こりやすい。
従来技術について、さらに完全な曲面とのインタフェイスを用いる工具固定機
構を開示するDE−4218142,EP−22796およびDE−42231
58を参照されたい。
本発明の目的は、改善された工具固定機構を提供することであり、広い範囲の
応用分野で従来技術を改善することでもある。これらの目的を達成するために本
発明の工具固定機構は、工具フレームと工具保持部材との間の機械加工力を伝え
るために、工具フレーム中、および機械加工工具のフレーム内の工具保持部材中
の接続面の少なくとも1つが、主に装着方向に延び、曲面として形成され、そし
て工具フレームに連接する第1接触面と工具保持部材中の第2接触面が固定機構
の操作位置でお互いに接触して配置されるよう調整されていることを主に特徴と
する。上記解決法を用いて、非常に簡便で確実な固定機構が達成される。工具と
そのフレームとは、曲面で定義される非常に簡単な移動によって工具保持部材に
位置され、そこで接続面が実質的にお互いに接触して位置し、そして接触面は装
着方向に実質的に垂直な方向に延び、最終装着段階で、工具と工具フレームおよ
び工具保持部材間で装着方向に機械加工力を伝え、そして/または装着方向に実
質的に垂直な方向に摩擦接触によって機械加工力を伝える。
本発明の固定機構の幾つかの有利な実施の形態が添付された従属項に提示され
ている。
下記の記載において、本発明は添付された図面に示され、本発明の固定機構の
幾つかの有利な実施の形態を例示する一連の図を参照して開示される。
図1aは、第1の実施の形態に従う工具の部品を別々に工具を固定する初期の
段階において装着方向から見た断面図である。
図1bは、工具とそのフレームを機械工具のフレーム内の工具保持部材に連接
して装着する段階を示す、装着方向での断面図である。
図1cは、固定機構の機能位置における工具、工具フレームおよび機械工具の
フレーム内の工具保持部材の装着方向での断面図である。
図1dは、工具および工具フレームを上記断面図中、脱着する段階を示す。
図2a−dは、図1−dに示される段階に対応する固定機構の別の実施の形態
を示す。
図3a−cは、本発明の第3の実施の形態に従う図1−dに示される重要な段
階を示す。
図1を参照して、固定機構は、主要部分として、工具1、工具1を固定する工
具フレーム2、ブッシュ様の工具保持部材3および締付金具3aとから成る。こ
の実施の形態では、工具1は切断、穴あけ、成型または成形等の刃のための相手
部材として用いるクッションまたはそれに類するものである。
工具フレーム2中の接続要素4は、円筒形状を有するインレイである。前記要
素4は、実質的に装着方向へ延び、装着方向(矢印A)で直線をなす第1接続面
5と、さらに第1接続面と続き装着方向に対して実質的に垂直である第1接触面
6(すなわち底面)とから成る。本実施の形態では、第1接触面6は、第1接続
面5の接続要素4の底部に面する一端から固定機構の中心線Kに向けて延びる環
状様のフランジ部分であり、図3に示されるように、工具フレーム2および保持
部材3の両方の中央開口部KR2およびKR3は、寸法が等しく同心状であるた
め、保持部材3の内部で付加的な部品の装着方向でのいかなる移動も可能となる
。
図1に例示された第1の実施の形態では、曲線接続面(特に球面)は、工具保
持部材3と連接する接続面7であり、環状様の第2接触面(すなわち表側の表面
)から装着方向(A)に垂直な方向に延び、好ましくは装着方向での工具保持部
材3の外側表面の一部を形成する。図3を特に参照して、工具フレーム2は、第
2接続面7を工具保持部材3の端部で取り囲むように配置され、第1接触面6お
よび第2接触面8は互いに接触している。
本発明によれば、曲線面すなわち第2接続面7を、曲線面の曲率半径rと工具
保持部材3の装着方向での中心線K上に位置する中心Kと、接触面(すなわち本
実施の形態では第2接触面8)との距離が次式を満たすように設計することには
利点がある。
r2=D2+d2
式中、rは曲率半径、Dは装着方向Aに垂直な第2接触面8の半径、dは装着
方向Aでの曲率半径の中心と第2接触面との間の距離を表す。
その結果、曲線第2接続面7が装着方向Aで第2接触面8の外側端から、第2
接触面から距離eで延び、eは実質的にe=2*dである。式中、dは装着方向
での曲率半径の中心と、第2の接触面8との間の距離を表す。
固定機構を適合性よく機能させるためには、接続要素4のインレイの直径Hは
実質的にH=2*rであり、好ましくはH=2*r+△(式中、△は用いられる
嵌め合わせであり、rは前記曲率半径である)である。
少なくとも第2接続面7による工具保持部材3の断面形状と、工具フレーム2
内の接続要素4の断面形状との両方は、装着方向Aに対して垂直な方向で、円形
状である。用いられる嵌め合わせ△は、工具の用途に従って、動きばめ、締りば
めまたはピンチばめであり得る。
図1bは、工具1およびフレーム2の工具保持部材3への装着を示し、工具フ
レーム2は装着方向Aに関して傾いた位置に移動される。すなわち、工具保持部
材3の一端が第2接続面7を通り、工具フレーム2をフレーム2と固定された締
付金具3a(たとえばグルーブノーズジョイント10a,10b)で工具保持部
材3の方へよせる。棒状締付金具3aは、このようにして、グルーブノーズジョ
イント10a,10bを固定するために接触面8を通るようにされる。工具フレ
ーム2は、球曲面を形成する接続面7のまわりを図1cに示す位置まで回転させ
ることができ、そこで装着方向への力を受けるべく第1接触面6および第2接触
面8は、互いに接触し向き合う。締付金具3aは、接触面6および8間に圧力を
かけ、装着方向に垂直な方向の負荷(たとえば、ねじれ)を摩擦接触によって伝
えることができる。すなわち、
FR=μ*Fk
(式中、FRは半径方向の力、μは接触面6および接触面8間に有効に働く摩
擦係数、そしてFkは締付金具3aの張力を表す。)
図1dに示すように、工具フレーム2は、締付金具3aの推進力Fkによって
逆に脱着される。本実施の形態では、接続要素4のインレイの装着方向での深さ
S(すなわち、第1接触面6と工具フレーム2の環状様端面9との間の距離)は
実質的に2*dであることに注目すべきである。ここで、dは装着方向での曲率
半径rの中心Kと第2接触面8との間の距離である。
締付金具3aは、工具フレーム、2の外周を囲む2つ以上の金具であり、それ
らの端部に設けられ工具フレーム2に向かって半径方向に延びるノーズ10bを
含む。溝10aが工具13のフレーム2の外表面に設けられ、フレーム2を取り
囲み、装着要素として機能し、2つの半径方向面11aおよび11bを有し、各
々は工具の装着の間、固定されたとき(図1a−c中、11aおよび12a)、
脱着の間(図1d中、11bおよび12b)、各ノーズ10bの対応する半径方
向面12aおよび12bと協働する。
代わりに、図2を参照して、本発明の固定機構は、装着方向に垂直な方向から
見て、曲線面が工具フレーム2の外表面に形成され、それは実質的に装着方向に
関して、球面であり、そこでは工具保持部材中の接続要素4は、対応するインレ
イである。当然のことながら、両方の接続面を少なくとも部分的に曲線状にする
ことも可能である。
図2の実施の形態では、工具フレーム2は工具固定要素2aと、それの第1面
に固定された工具1とから成る。板様固定要素2aの第2面は、部分的に第1接
触面6を形成し、それに対して接続面要素2bが固定され、かつその装着方向の
表面は曲線状の接続面7を形成する。接続面要素2bは、第1接触面6に関して
中央に配置され、接続面要素2bは第1接触面によって環状様に取り囲まれてい
る。装着方向に装着要素13は接続面要素から延びて、実質的に装着方向にある
中央アーム13aとその自由端にある継ぎ要素13bとから成る。
工具保持部材3には、その一端に端面が第2接触面8を形成するフランジ様の
継ぎ部材が設けられる。工具保持部材3は、ブッシュのようであり、装着方向に
おいてブッシィング穴内で移動自在に締付金具3aが配置され、工具保持部材3
のブッシィング形状の内部穴から案内効果を受ける。締付金具3aの自由端は、
開口溝システム14を備え、図2aに示されるように装着要素13のアーム13
aを収容するために開口部14aが装着方向に配置される。そこで締付金具3a
は外側の位置にあり、開口溝システム14の一端は、装着方向で第2接触面8の
外側に突出し、フレーム2の装着要素13は、継ぎ要素13bが溝要素14bの
内部に位置されるように、開口溝システム14に関してたとえば、側方から装着
することができる。溝要素14bは、装着方向に垂直に、端部で半径方向面12
a,12bを含む。このようにして、図2bによれば、工具1はフレーム2とと
もに工具保持部材3に引き付けられ、接続面要素2bが保持部材3のブッシィン
グ形状部の内部に配置され、保持体の端部近傍の内面がそのようにして第2接続
面5を形成する。継ぎ要素13bの第1半径方向面11aは、装着段階で溝要素
14の第1半径方向面12aと接触状態にある。装着は、工具1に関して提示さ
れた様式で行われ、図2cに示すような状況となり、そこでは示された固定にお
いて、締付金具3aは上方に向けての力Fkによって動かされ、接触面6および
8は互いに接する。工具1は、図2dに示す様式で保持部材から脱着され、要素
13の第2半径方向面11bおよび要素14の第2半径方向面12bが互いに接
し、そして装着方向に有効な締付金具3aの力が実質的に装着方向Aで締付金具
3aのブッシィング形状部から接触面要素2を開放する。
図3を参照して、フレーム2は、締付金具3aにある一連の開口部3b内部で
半径方向に配置されたボール機構15等によって、締付金具3aに固定される。
開始段階および開放段階では、図3aおよび図3cに示すように、ボール(15
a)類は、保持部材のブッシィング穴の中のインレイ16に位置することができ
、半径方向外方に移動して装着要素13の継ぎ要素13bが装着方向でボール1
5aを通過することを可能にする。保持部材3のブッシィング穴では、締付金具
3aを形成するブッシィング状管が装着方向に移動自在に配置される。フレーム
2の装着は、図3aに従えばアーム要素13aおよび継ぎ要素13bを含めて装
着要素13を装着方向Aで締付金具3aの管形状体内部に挿入することによって
開始される。ここでボール15aはインレイ16と連接しており、管形状体の内
面の平面で最外部の位置にある。締付金具3aが保持部材3に対して、図3bに
示
すように、上方に移動するとき、図1および図2に関して前記で説明した様式に
対応するようにフレーム2をロックしそして力Fkを与えるためにボール15a
は、装着方向に垂直な方向において内部に位置され、保持部材3の内部穴の表面
によって継ぎ要素13bの半径方向面11aと強制的に連接される。図3cに示
すように、締付金具3aの表側面3c(図2では半径方向面12bに対応する)
を用いて、第2半径方向面11bを形成する接続面要素2bの接触面6を押して
、フレーム2は脱着される。保持部材3内の接続面5は、締付金具が自在に移動
する保持部材3のブッシィング穴を超える直径を有する接続要素4中に形成され
る。その結果、図3に示す実施の形態では、開口溝システム14(図2)に対応
する構造は、図2の固定構造の代わりに、締付金具3aの移動に従って半径方向
で調整されるように形成される。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年8月6日
【補正内容】
請求の範囲
1.機械加工のような材料を処理するための工具の固定機構であって、工具(
1)と、そのフレーム(2)と、機械工具のフレーム内の工具保持部材(3)と
の組合わせを含んで成り、工具フレーム(2)および工具保持部材(3)は、主
に装着方向に延びる接続面(5,7)を含み、そして工具フレーム(2)は、第
1接触面(6)を含み、工具保持部材(3)は第2接触面(8)を含み、工具フ
レーム(2)と工具保持部材(3)との間の機械力を伝達するために、該第1接
触面(6)および第2接触面(8)は実質的に装着方向に垂直な方向に配向され
、固定機構の操作位置でお互いに接するように位置する固定機構において、前記
接続面(5,7)の少なくとも1つは、球面として形成されることを特徴とする
固定機構。
2.前記接続面(5,7)および接触面(6,8)は、工具フレーム(2)中
および工具保持部材(3)中の両者において、実質的にそれらの端部で続いてい
ることを特徴とする請求項1記載の固定機構。
3.球面(7)は、工具保持部材(3)の外側表面に形成され、第2接触面(
8)の外端から延び、そして工具フレーム(2)中の接続要素(4)は、凹部で
あることを特徴とする請求項1記載の固定機構。
4.球面(7)は、工具フレーム(2)の外側表面に形成され、そして工具保
持部材(3)中の接続要素(4)は、凹部であることを特徴とする請求項1記載
の固定機構。
5.第1に、球面(7)の曲率半径の長さ、第2に該曲率半径の中心(K)と
接触面との間の距離は次式を満たす:
r2=D2+d2
(式中、rは曲率半径であり、Dは装着方向(A)に垂直な接触面(6,8)
の半径であり、そしてdは装着方向(A)での曲率半径の中心と接触面(6,8
)との間の距離である)
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固定機構。
6.接触部(4)のインレイの直径(H)は、実質的に2*r、好ましくは(
H)=2*r+△(式中、rは前記曲率半径であり、そして△は、たとえば動き
ばめ、締りばめまたピンチばめのような、使用する嵌め合わせである)であるこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固定機構。
7.球面(7)は、装着方向(A)で第1接触面(6)から実質的に(e)の
心から表側の表面までの距離である)であることを特徴とする請求項1〜5のい
ずれかに記載の固定機構。
8.前記接続要素(4)は、円筒状等形状を備える凹部であり、装着方向(A
)での第2接続面(8)からの深さが実質的に2*dである(式中、dは、装着
方向(A)での曲率半径(r)の中心(K)と第2接触面(8)との間の距離で
ある)ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固定機構。
9.前記工具フレーム(2)は、工具が固定される固定要素(2a)と、工具
(1)の固定位置に対して固定要素(2a)の反対側に位置し、球形接続面(5
,7)を有する接続面要素(2b)であり、接触面(6,8)が該接続面要素(
2b)を取り囲むように固定要素中に位置されるものと、保持部材(3)内に位
置し、保持部材(3)に対して移動自在である固定手段(3a)等の開口溝配置
(14)と協働して配置される装着要素(13)とを含むことを特徴とする請求
項1〜8のいずれかに記載の固定機構。
10.前記装着要素(13)は、接続面要素(2b)から突出し、そしてアーム
要素(13a)および継ぎ要素(13b)を含むことを特徴とする請求項1〜9
のいずれかに記載の固定機構。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR,
KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M
N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,
UA,UG,US,UZ,VN