JPH09512170A - セファマイシン生合成後期酵素コーディングdna - Google Patents
セファマイシン生合成後期酵素コーディングdnaInfo
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- JPH09512170A JPH09512170A JP7527735A JP52773595A JPH09512170A JP H09512170 A JPH09512170 A JP H09512170A JP 7527735 A JP7527735 A JP 7527735A JP 52773595 A JP52773595 A JP 52773595A JP H09512170 A JPH09512170 A JP H09512170A
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Abstract
(57)【要約】
抗生物質セファマイシンの合成に関与する後期酵素をコードするDNAを単離精製した。この特異的酵素はセファマイシン生合成の後期段階に関与する。これらのDNAを配列決定し、宿主細胞における組換え発現のために組換え発現ベクター中にクローニングした。DNA、このDNAを含むベクター、及び、このベクターを発現させる組換え宿主細胞が、抗生物質の生産のために有用である。
Description
【発明の詳細な説明】
セファマイシン生合成後期酵素コーディングDNA 概論
セファマイシンCは、Nocardia lactamdurans(Sta
pley他,1972)、Streptomyces clavuligeru s
(Brown他,1979)、及び、他の幾つかの放線菌類(Martin及
びLiras、1989の論評を参照されたい)によって生産されるセファロス
ポリンである。セファマイシンCは、pcbAB遺伝子(Coque他,199
1a)でコードされた多酵素であるα−アミノアジピル−システイニル−バリン
合成酵素(Martin他,1992;Aharonowitz他,1993)
によって、前駆体アミノ酸であるL−α−アミノアジピン酸、L−システイン、
及び、L−バリンから合成される。α−アミノアジピン酸は、lat遺伝子(C
oque他,1991b;Madduri他,1991)でコードされたリジン
−6−アミノトランスフェラーゼによってL−リジンから形成される。このトリ
ペプチドを更に環化してイソペニシリンNが形成した後に、この中間体をエピマ
ー化してペニシリンNが形成し、そ
の後で、デアセトキシセファロスポリンCシンターゼ(エキスパンダーゼ(ex
pandase))によってデアセトキシセファロスポリンC(DAOC)に変
換される。これら3つの酵素ステップをコードする遺伝子である、N.lact amdurans
のpcbC、cefD、cefEは、latとpcbABとに
よってクラスター化されることが公知である(Coque他,1993a,b)
。
セファロスポリンCは、Cephalosporium acremoniu m
の生合成経路の最終産物である。しかし、セファマイシン生産放線菌類では、
C−7−メトキシル基の合成と、C−3′におけるカルバモイル基の結合とに、
更に別の反応が関与している(図1)。しかし、デアセトキシセファロスポリン
CをセファマイシンCに変換する、いわゆる「後期」遺伝子に関する情報は、僅
かしか得られていない。このデアセトキシセファロスポリンCは、α−ケトグル
タル酸要求性(α−ketoglutarate−requiring)ジオキ
シゲナーゼ(Turner他,1979;Baker他,1991)によってS .clavuligerus
中でヒドロキシル化され、デアセチルセファロスポ
リンC(DAC)が形成す
ることが知られているが、N.lactamduransに関しては上記酵素は
現時点では報告されていない。これと並行して、デアセチルセファロスポリンC
が、カルバモイルリン酸からカルバモイル基を転移させるO−カルバモイルトラ
ンスフェラーゼによってO−カルバモイルデアセチルセファロスポリンCに酵素
的に転換される(Brewer他,1980)。上記セファマイシン中のC−7
におけるメトキシル基は、モノオキシゲナーゼとメチルトランスフェラーゼの作
用(O’Sullivan他,1979)によって分子酸素とメチオニンから得
られる(Whitney他,1972)。
微生物代謝生成物のヒドロキシル化には、少なくとも2つのタイプのオキシゲ
ナーゼが関与する。第1のタイプはα−ケトグルタル酸依存性オキシゲナーゼで
あり、基質中にO2由来の酸素原子を導入するためにFe2+イオンを必要とする
(Abbot及びLindstedt,1974)。第2のタイプのオキシゲナ
ーゼであるフラビンモノオキシゲナーゼは、電子供与体としてのピリジンヌクレ
オチドとO2とを必要とする。最も良く知られたフラビンモノオキシゲナーゼの
1つは、二タンパク質成分酵素(two protein component
enzyme)であるPseudomonas putidaのp−ヒドロキ
シフェニルアセタート−3−ヒドロキシラーゼである(Arunachalan
他,1992)。長年に亙って、C−7ヒドロキシラーゼが、DAOCをDAC
に変換するC−3′ヒドロキシラーゼと異なっているかどうかは不明のままであ
る。Demainと彼の共同研究者たち[Xiao他,1991]は、S.cl avuligerus
の7−ヒドロキシラーゼ活性を精製し、このタンパク質の
配列決定されたアミノ酸末端は、以前にクローン化したC−3ヒドロキシラーゼ
のそれに酷似している(Xiao他,1991)。
上記カルバモイル基は、シトルリンやカルバモイルアスパラギン酸のような一
次代謝の中間体の中に存在している。これらの分子は、アルギニン又はピリミジ
ンの生合成の過程で、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼによって、又
は、アスパラギン酸カルバモイルトランスフェラーゼによって、オルニチン又は
アスパラギン酸とカルバモイルリン酸から各々に形成される。
二次代謝では、上記カルバモイル基は、様々な抗生物質と他の代謝物との中に
存在している。こうしたカルバモイル基は、Streptomyces
aureofaciens Dugger及びSt reptomyces
hygroscopicus A−130によって生産
されるベンツリシジン(venturicidin)A(Brufani他,1
971;1968)と、Streptomyces subflavusによっ
て生産される抗真菌性抗生物質イルママイシン(irumamycin)(Na
kagawa他,1985)とこれに関連したStreptomyces sp
.からのマクロライド系抗生物質X−149523(Omura他,1985)
の3′−O−カルバモイル−2−デオキシ−β−D−ラモース(rhamose
)部分と、Streptomyces caespitosusやStrept omyces
ordusやStreptomyces verticilla tus
によって生産される抗腫瘍性抗生物質ミトマイシン及びポルフィロマイシ
ン(porfiromycins)(Glasby,1979)と、Strep tomyces
niveusによって生産されるDNAギラーゼ阻害剤である
ノボビオシン(Kominek,1972)との中に存在することが発見されて
いる。根粒着生に関与するRhizobium sp.のオリゴ糖の中にカルバ
モイル基が存在することも同様に公知である
(Price他,1992;Holsters他,1993)。
セファマイシン群のβ−ラクタム抗生物質では、カルバモイル基がセファマイ
シンCのC−3′ヒドロキシメチル側鎖に結合している。現在では、生化学分野
(Jensen,1986;Martin及びLiras,1989)と遺伝学
分野(Kovacevic他,1990;Kovacevic及びMiller
,1991;Coque他,1991a,b)とにおいてセファマイシンC生合
成の有用な知識が得られている(Aharonowitz他,1992)。セフ
ァマイシンC生合成経路の初期段階のための酵素をコードする遺伝子(lat、pcb
AB、pcbC)(Coque他,1991;Madduri他,199
1)と、上記経路の中間段階のための酵素をコードする遺伝子(cefD、ce f
E、cefF)は、Streptomyces clavuligerus(
Kovacevic他,1990;Kovacevic他,1989)とNoc ardia
lactamdurans(Coque他,1993)とにおいて
クローン化されている。
セファマイシンC生合成の後期段階は僅かしか判明していない。生合成中間体
デアセチルセファロスポリンC(DAC)は、
C−7における2段階のメトキシル化のための基質である。C−7ヒドロキシラ
ーゼとC−7 O−メチルトランスフェラーゼとをコードする遺伝子(cmcI
、cmcJ)は、N.lactamduransから発見されていない。DAC
のC−3′−ヒドロキシメチル側鎖におけるカルバモイル化は、メトキシル化の
後で、又は、恐らくは、代謝グリッド(metabolic grid)の形成
(図1)と並行して生じる。カルバモイルリン酸をカルバモイル供与体として使
用するATP−依存性カルバモイルトランスフェラーゼの予備的説明が、Bre
wer他(1980)によって行われている。しかし、こうした遺伝子をコード
する遺伝子、又は、様々な抗生物質の生合成においてカルバモイル化反応を生じ
させる酵素をコードする他のいずれかの遺伝子については、未だ何も分かってい
ない。更に、セフェム−カルバモイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子と
、オルニチン(又は、アスパラギン酸)カルバモイルトランスフェラーゼをコー
ドする遺伝子とが何らかの類似性を有するかどうかは分かっていない。
セファマイシン生合成の後期段階を触媒する酵素をコードするDNAの同定と
単離と精製は、この抗生物質を生産するため
に極めて有用だろう。これらのDNAは、これらの抗生物質を工業的規模で生産
するための組換え宿主細胞を樹立する上で有用だろう。
デアセトキシセファロスポリンCヒドロキシラーゼと、C−7にメトキシル基
を導入する他の2つのタンパク質をコードする、N.lactamdurans
のセファマイシンC生合成のクラスター内に位置した3つの遺伝子が、単離され
配列決定された。上記2つのタンパク質の一方の配列は、芳香族化合物又はキノ
ン型の化合物中に存在するヒドロキシル基に対して作用する、互いに異なった起
源のコレステロールヒドロキシラーゼとメチルトランフェラーゼの両方に類似し
ている。これらのタンパク質はいずれも、C−7におけるヒドロキシル化と、7
−ヒドロキシセフェム中間体へのS−アデノシルメチオニンからのメチル基の転
移とにとって必要である。これに加えて、Nocardiaの3′−ヒドロキシ
メチルセフェム O−カルバモイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の単
離とヌクレオチド配列とキャラクタリゼーションが開示されている。この遺伝子
は、β−ラクタム抗生物質の生合成に関与する遺伝子の標準的な命名法(cef
は、セファロスポリン生産株とセフ
ァマイシン生産株とに共通の遺伝子を表し、cmcはセファマイシン生合成に特
異的な遺伝子を表す)に従って「cmcH」と名付けられている(Martin
他,1991;Aharonowitz他,1992)。図面の簡単な説明
図1は、セファマイシンC生合成経路の後期段階を示す説明図である。カルバ
モイル化を、C−7におけるメトキシル基の導入の前に生じさせることも可能で
ある。
図2は、ORF7、ORF8、ORF9、ORF10を含むN.lactam durans
の5.4kb BamHI DNAフラグメントの制限地図である
。黒の太線(図の下方)は、plJ702−誘導プラスミドを得るためにサブク
ローニングされたDNAフラグメントを示す。
図3は、5.4kb BamHI DNAフラグメント内部の2672bpの
配列を示す。
最初の69ntはpcbC遺伝子の3′末端に相当する。ORF7、ORF8
、ORF9によってコードされる対応(deduced)アミノ酸配列を、右側
に示す。翻訳開始コドン、翻訳終止コドン、及び、推定リボソーム結合部位には
下線を記
している。転写ターミネーターに相当する可能性があるRNA中のステムおよび
ループ構造を形成するORF9の下流の配列(nt2734−2765)を、矢
印で表示する。
図4は、N.lactamduransのcmcH遺伝子(ORF10)のヌ
クレオチド配列とその対応(deduced)アミノ酸配列を示す。反転反復を
伴った短い遺伝子間領域と、フレーム中最初のATG(the first i
n frame ATG)の前に位置するGGAGGA(推定リボソーム結合)
配列とに留意されたい。
図5は、cefF遺伝子とcmcH遺伝子とを有するS.clavulige rus
セファマイシンクラスターのフラグメントを示す。プラスミドpULFJ
P62とpULFJ30を黒の太線で示す。
図6(パネルA、パネルB)は、材料と方法に示される通りにS.livid ans
plJ702−58aの抽出物の脱塩硫酸アンモニウム画分(30−7
0%)を使用する3′−セフェムヒドロキシラーゼ(DAOCヒドロキシラーゼ
)アッセイの反応生成物のHPLC分析を示す。パネルAはゼロ時間の分析結果
を示し、パネルBは2時間の反応の後の分析結果を示す。
図7(パネルA、パネルB、パネルC、パネルD)は、S.lividans
pUL702−55aの抽出物の脱塩硫酸アンモニウム画分を使用する7−セ
フェムヒドロキシラーゼアッセイの反応生成物のHPLC(パネルA、パネルB
)と7−ヒドロキシセフェムメチルトランスフェラーゼアッセイの反応生成物の
HPLC(パネルC、パネルD)を示す。パネルAとパネルCはゼロ時間の分析
結果を示し、パネルBとパネルDは2時間の反応の後の分析結果を示す。
図8(パネルA、パネルB、パネルC)は、セファロスポリンC(50μg/
mL)が存在する場合(n)と存在しない場合(s)とにおける、S.livi dans
pUL702−56a抽出物(パネルA)とS.lividans
pUL702−57a抽出物(パネルB)とS.lividans plJ70
2抽出物(パネルC)によるNADH酸化を示す。ゼロ時間において50μgの
NADHを反応に加えた。発明の詳細な説明
本発明は、セファマイシンの生合成の後期段階に関与する酵素をコードするD
NA分子の単離と精製とキャラクタリゼーションとに係わる。本発明は、組換え
宿主細胞中での発現のため
にこれらのDNA分子を使用することにも係わる。本発明のDNA分子の組換え
発現は(recombinant expression)、セファマイシン抗
生物質の作製のために有用である。
この組換え発現は、組換えタンパク質の作製と精製とキャラクタリゼーション
と、抗生物質の生産のための組換えタンパク質の使用を容易にするだろう。
本発明は、cmcH、cmcI、cmcJと呼ばれるセファマイシン生合成の
ための新規の酵素をコードするDNAに係わる。本発明は更に、組換え発現プラ
スミド中に含まれるクローン化酵素コーディングDNAを発現させる組換え宿主
細胞にも係わる。本発明のDNAは、セファマイシン生産細胞から単離される。
特に、上記酵素をコードするDNAの単離に適したセファマイシン生産細胞は、
非限定的に、Nocardia lactamdurans、Streptom yces
clavuligerus、Streptomyces lipma nii
、Streptomyces panayensis、Streptom yces
cattleya、Streptomyces griseus,S treptomyces
wadayamensis、Streptomyce s
to dorominensis
、Streptomyces filipinens is
cephamycini、及び、Streptomyces heter omorphus
を含む。最も好ましいセファマイシン生産細胞は、Nocar dia
属である。
本発明の酵素コーディングDNAを単離するために使用するのに適した細胞と
細胞系が他にもある。適切な細胞の選択を、細胞中の酵素活性をスクリーニング
することによって行うことが可能である。酵素活性を検出するための方法は当業
界で公知であり、この方法に関しては下記で説明する。こうしたアッセイで酵素
活性を有する細胞は、上記酵素をコードするDNAを単離するのに適しているだ
ろう。
DNAをクローニングするために様々な方法の何れかを使用することが可能で
ある。こうした方法は、非限定的に、酵素含有DNAライブラリーを適切な発現
ベクター系中で構築した後でDNAを直接的に機能発現(functional
expression)させることを含む。別の方法は、特定のタンパク質の
アミノ酸配列から設計した標識化オリゴヌクレオチドプローブによってバクテリ
オファージ又はプラスミドシャトル
ベクター中で構築した、酵素活性含有DNAライブラリーをスクリーニングする
ことである。好ましい方法は、上記の特定のタンパク質をコードする部分DNA
によってバクテリオファージ又はプラスミドシャトルベクター中で構築した、酵
素活性含有DNAライブラリーをスクリーニングすることである。この部分DN
Aは、本発明の酵素に関連した上記特定酵素又は他の酵素に関する既知のアミノ
酸配列からの縮重オリゴヌクレオチドプライマーの設計によって、DNAフラグ
メントの特異的PCR増幅によって得られる。
他のタイプのライブラリーや、他の細胞又は細胞系統から構築したライブラリ
ーを、酵素コーディングDNAの単離のために使用することも可能であることは
当業者には容易に理解される。他のタイプのライブラリーは、非限定的に、No cardia
細胞以外の他の細胞又は細胞系統から得られるDNAライブラリー
と、ゲノムDNAライブラリーとを含む。
特定の酵素活性を有する細胞又は細胞系統から適切なDNAライブラリーを調
製可能であることが当業者に容易に明らかである。酵素コーディングDNAを単
離するためのDNAライブラリーの調製に使用する細胞又は細胞系統の選択は、
本明細書で使用する公知のアッセイを使用する細胞性酵素活性を最初に
測定することによって行うことが可能である。
DNAライブラリーの調製は、当業界で公知の標準的方法で行うことが可能で
ある。公知のDNAライブラリー構築方法に関しては、例えば、Maniati
s,T.,Fritsch,E.F.,Sambrook,J.,Molecu
lar Cloning:A Laboratory Manual(Cold
Spring Harbor Laboratory,Cold Sprin
g Harbor,New York,1982)を参照することが可能である
。
更に、本発明の酵素コーディングDNAを適切なゲノムGNAライブラリーか
ら単離することも可能であることが当業者に容易に明らかである。
ゲノムDNAライブラリーの構築を、当業界で公知の標準的な方法で行うこと
が可能である。公知のゲノムDNAライブラリー構築方法に関しては、、Man
iatis,T.,Fritsch,E.F.,Sambrook,J.,Mo
lecular Cloning:A Laboratory Manual(
Cold Spring Harbor Laboratory,Cold S
pring Harbor,New
York,1982)を参照することが可能である。
上記方法の中の何れか1つの方法で酵素コーディングDNA遺伝子をクローニ
ングするためには、別の生物からの上記特定酵素又はその関連酵素のアミノ酸配
列又はDNA配列が必要である。このために、上記特定酵素又はその関連酵素を
精製し、部分アミノ酸配列を自動シークエネーターによって決定することが可能
である。アミノ酸配列全体を配列決定する必要はないが、6アミノ酸から8アミ
ノ酸の2つの領域の直線配列を部分DNAフラグメントのPCR増幅のために決
定することが可能である。
適切なアミノ酸配列を同定した後に、そのアミノ酸配列をコードすることが可
能なDNA配列を合成する。遺伝コードが縮重しているので、個々のアミノ酸を
コードするために1つ以上のコドンを使用することが可能であり、従って、その
アミノ酸配列を、類似のDNAオリゴヌクレオチドのセットの何れかによってコ
ードすることが可能である。そのセットの1つのメンバーだけが酵素配列と同一
であり、そのセットの他のメンバーは、誤対合DNAオリゴヌクレオチドの存在
下でさえ上記DNAとハイブリッド形成することが可能だろう。この誤対合DN
Aオリゴヌクレオチドは、酵素コーディングDNAの同定と単
離を可能にするのに十分なだけ上記DNAとハイブリッド形成することが依然と
して可能だろう。
本発明の酵素コーディングDNAを得るための別の方法は、少なくとも一定程
度の相同性を有することが知られているか又はその可能性が推測されている別個
の異なったタンパク質をコードするDNA配列を使用することである。こうした
別個の異なったタンパク質をコードするDNAは、求める酵素をコードするDN
Aと部分的な相同性を有するか又は相同性領域を共有することが可能である。一
定程度の相同性を有すると推測されるタンパク質をコードするDNAをハイブリ
ッド形成プローブとして使用することによって、このプローブとハイブリッド形
成するDNAフラグメントを同定するために、ライブラリーを上記の通りにスク
リーニングすることが可能である。この手段によって同定されるハイブリッド形
成DNAフラグメントを、求める酵素をこれらのDNAフラグメントがコードす
るかどうかを決定するために更にキャラクタリゼーションする。
上記方法の1つを使用して、上記酵素をコーディングするDNAクローンを、
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく方法とDNAライブラリースクリーニ
ングとを使用する2段階の
アプローチで単離する。第1の段階では、精製酵素又は相同タンパク質からのN
H2末端及び内部アミノ酸配列情報を、酵素特異性DNAフラグメントの増幅の
ための縮重オリゴヌクレオチドプライマーを設計するために使用する。第2の段
階では、これらのフラグメントを、Nocardia又は他のセファマイシン生
産細胞から得られるDNAライブラリーから全長DNAを単離するためのプロー
ブの役割を果たすようにクローニングする。
適切なプロモーターと他の適切な転写調節要素とを含む発現ベクターの中への
分子クローニングによって、上記方法で得たクローン化DNAを組換え発現させ
、原核宿主細胞又は真核宿主細胞の中に転移させ、組換え酵素を作製する。こう
した操作のための方法に関しては、Maniatis,T他の上記文献の記載内
容を参照することが可能であり、また、当業界で公知である。
本明細書では、発現ベクターを、クローン化DNAの転写と適切な宿主中にお
けるそのmRNAの翻訳とのために必要なDNA配列と定義する。こうしたベク
ターを、様々な宿主(例えば、バクテリア、藍藻、植物細胞、昆虫細胞、酵母菌
及び糸状菌を含む菌類細胞、動物細胞)中で真核細胞DNAを発現させ
るために使用することが可能である。
特別に設計されたベクターは、「バクテリア細胞−菌類細胞」又は「バクテリ
ア細胞−動物細胞」のような宿主間のDNAのシャトリング(shuttlin
g)を可能にする。適切に構築された発現ベクターは、宿主細胞中の自律複製の
ための複製起点と、選択可能なマーカー(selectable marker
s)と、限定数の有効制限酵素部位と、高コピー数のためのポテンシャルと、活
性プロモーターとを含まなければならない。プロモーターは、DNAに結合して
RNA合成を開始するようにRNAポリメラーゼに命じるDNA配列と定義され
る。強力なプロモーターは、mRNAの高頻度の開始を生じさせるプロモーター
である。発現ベクターは、非限定的に、クローニングベクター、修飾クローニン
グベクター、特別に設計されたプラスミド又はウイルスを含む。
本発明の組換えセファマイシン生合成酵素を菌類細胞中で発現させるために、
様々な発現ベクターを使用することが可能である。組換え酵素の発現に適してい
る可能性がある市販入手可能な発現ベクターは、非限定的に、pIJ702(A
TCC 35287)、pVEI(ATCC 14585)、pULJL43(
University of Leon)を含む。
本発明の酵素コーディングDNAを、宿主細胞中での発現のための発現ベクタ
ーの中にクローニングすることが可能である。宿主細胞は原核細胞と真核細胞の
どちらであってもよく、非限定的に、バクテリア、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵
母菌及び糸状菌を含む菌類細胞を含む。適切であり且つ市販入手可能な菌類種か
ら得られる細胞は、非限定的に、Cephalosporium acremo nium
(Acremonium chrysogenum)、Aspergi llus
nidulans、Penicillium chrysogenu m
、及び、Penicillium notatumを含む。
形質転換、トランスフェクション、プロトプラストフュージョン、エレクトロ
ポレーションを非限定的に含む多くの方法の何れかを使用して、発現ベクターを
宿主細胞中に導入することが可能である。発現ベクターを内含する細胞を個々に
分析し、こうした細胞が組換えタンパク質を生産するかどうかを判定する。アン
チ酵素抗体を使用する免疫反応性と、宿主細胞関連酵素活性の存在とを非限定的
に含む幾つかの手段によって、酵素発現細胞の同定を行うことが可能である。
DNAの全長オープンリーディングフレームと、上記タンパク質の特定のドメ
イン又は上記タンパク質の転位ドメイン(r
earranged domains)だけをコードするDNA部分を含む様々
な構築物とを非限定的に含むDNA分子を、最適レベルの酵素活性及び/又はタ
ンパク質をもたらすDNA配列を決定するために構築することが可能である。全
ての構築物を、酵素コーディングDNAの5′及び/又は3′非翻訳領域を全く
含まないか、その全てを含むか、又は、一部分を含むように設計することが可能
である。適切な宿主細胞の中へ上記構築物を単独及び組み合わせの両方で導入し
た後に、酵素活性とタンパク質発現レベルを測定することが可能である。過渡的
(transient)アッセイにおいて最適発現をもたらすDNAカセットを
決定した後に、このDNA構築物を、昆虫細胞、バクテリア、菌類細胞(酵母菌
と糸状菌を含む)を非限定的に含む様々な発現ベクター(組換えウイルスを含む
)に転移させる。
宿主細胞中の特異的組換えタンパク質のレベルを、免疫アフィニティー及び/
又は酵素活性法を非限定的に含む様々な方法で定量する。35S−メチオニンで標
識した又は非標識の組換え酵素を単離するために、酵素特異性アフィニティービ
ーズ(enzyme−specific affinity beads)又は
酵素特異性抗体を使用する。標識した組換え酵素をS
DS−PAGEで分析する。EP3特異性抗体を使用するウエスタンブロッティ
ング、ELISA、又は、RIAアッセイによって、非標識の組換えタンパク質
を検出する。組換え酵素の酵素活性も下記の通りに検出し測定する。
宿主細胞中の酵素の発現の後に、酵素を回収して、その特異性活性を生じさせ
ることが可能な活性形態で酵素を与えることができる。幾つかの組換え酵素精製
方法が使用可能であり、使用に適している。塩分別、イオン交換クロマトグラフ
ィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイト吸着クロマトグ
ラフィー、及び、疎水性相互作用クロマトグラフィーを様々に組み合わせて、又
は、これらの方法を単独で使用して、細胞ライゼートと細胞抽出物から、又は、
ならし培地から、組換え酵素を精製することが可能である。
これに加えて、全長酵素又はその酵素のポリペプチドフラグメントに対して特
異性を有するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体で作製した免疫アフィ
ニティーカラムを使用して、組換え酵素を他の細胞タンパク質から分離すること
が可能である。
上記酵素に対する単一特異性抗体を、特異的酵素に対して反
応性を有する抗体を含む哺乳動物抗血清から精製するか、又は、Kohler及
びMilstein,Nature 256:495−497(1975)の方
法を使用してその酵素に対して反応性を有するモノクローナル抗体として調製す
る。本明細書では、術語「単一特異性抗体」を、当該酵素に対する均一な結合特
性を有する単一の抗体種又は複数の抗体種と定義する。本明細書では、上記のよ
うに、術語「均一な結合」は、上記酵素に関連した特異的抗原又はエピトープの
ような特異的抗原又はエピトープに対する抗体種の結合能力を意味する。免疫ア
ジュバントと共に又は免疫アジュバントなしで、適切な濃度の酵素によって動物
(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ウマ等)を免疫感作す
ることによって、組換え酵素特異性抗体を生じさせる。
単一特異性抗体を作製するための上記方法が、ポリペプチドフラグメント又は
全長ポリペプチドに対して特異性を有する抗体を作製するために使用可能である
ことは、当業者には容易に明らかである。
抗体がアガロースゲルビーズ支持体との共有結合を形成するようにN−ヒドロ
キシスクシンイミドエステルで予活性化した
ゲル支持体、Affigel−10(Biorad)に抗体を加えることによっ
て、酵素特異性抗体アフィニティーカラムを作製する。その後で、スペーサーに
よってアミド結合を介して抗体をゲルと結合させる。残りの活性化エステルを1
MエタノールアミンHCl(pH8)でクエンチする。カラムを水で洗浄し、そ
の後で0.23MグリシンHCl(pH2.6)で洗浄し、非複合抗体(non
−conjugated antibody)又は異質(extraneous
)タンパク質を全て取り除く。更に、カラムをリン酸緩衝溶液(pH7.3)中
で平衡化し、組換え酵素又はそのフラグメントを含む細胞培養上清液又は細胞抽
出物を、上記カラム中をゆっくりと通過させる。その後で、そのカラムを、光学
濃度(A280)がバックグラウンドに低下するまでリン酸緩衝溶液で洗浄し、タ
ンパク質を0.23Mグリシン−HCl(pH2.6)で溶離させる。精製した
タンパク質をリン酸緩衝溶液に対して透析する。
本発明を説明するために下記の実施例を示すが、これらの実施例は本発明を何
ら限定するものではない。実施例1 細菌菌株とプラスミド
改良セファマィシンC生産菌であるN.lactamdur ans
LC411を、DNA及びRNAの供給源として使用した。β−ラクタ
ム抗生物質を合成できない菌株であるStreptomyces livida ns
1326(Hopwood他、1985)を、形質転換と発現実験とのた
めの宿主として使用した。E.coli DH5αを高頻度形質転換のために使
用し、E.coli WK6をヘルパーファージMK13K07と共に一本鎖D
NAを得るために使用した。
セファマイシンC生合成クラスターの遺伝子をラムダファージEMBL−C2
とC8から単離し(Coque他、1991a)、プラスミドpBluescr
ipt KS(+)又はplJ2921の中にサブクローニングした。N.la ctamdurans
遺伝子をS.lividans中で発現させるために、こ
の遺伝子をplJ702中にサブクローニングした(Katz他,1983)。実施例2 発酵条件
種培養(seed cultures)を準備するために、組換えプラスミド
を含むS.lividans形質転換細胞を、スクロース34%を含むYEME
培地中で成長させた(Hopwood他,1985)。YEME培地中で48時
間成長させ
た後に、この培養25mLを使用して、グルコースとリジンを含む最少培地10
0mLを入れた500mLトリプルバッフルフラスコに接種し(Coque他,
1991b)、250rpmで作動する軌道振とう機(orbital sha
ker)中で30℃で成長させた。形質転換細胞菌株の培養を成長させるために
使用した接種材料と発酵培地の全てはチオエストレプトン(thioestre
pton)(5μg/mL)を含んでいた。
20μg/mL DNAseと1mM PMSFとを含むMOPS緩衝液10
0mM(pH7.5)中に、洗浄した菌糸体を懸濁させることによって、無細胞
抽出物を調製した。Branson Sonifier B−12又はFren
ch Press(Aminco)を使用して音波処理によって細胞を破壊した
。実施例3 DNA単離、配列決定、及び、操作
配列決定すべきフラグメントをpBluescript KS(+)中で両方
向にサブクローニングした。ネストDNAフラグメントの定序セット(orde
red sets of nested DNA fragments)を、E
rase
−a−Baseシステム(Promega,Madison,Wis)を使用し
て逐次欠失によって作製した。圧縮(compresion)を防ぐためにTa
qポリメラーゼ(Promega)と7−デアザ−dGTPを使用するジデオキ
シヌクレオチド配列決定法(Sanger他,1977)によって、DNAを両
方向に配列決定した。プラスミドDNAの単離、エンドヌクレアーゼによる消化
、標識化、及び、サザンハイブリッド形成を、標準的手順(Sambrook他
,1989)に従って行った。S.lividansの形質転換を公知の通りに
行った(Hopwood他,1985;Garcia−Dominguez他,
1991)。DNA及びタンパク質の配列解析
DNA中のオープンリーディングフレーム(ORF)をGENEPLOTプロ
グラムを使用して同定した。逆方向反復塩基配列をSTEM&LOOPプログラ
ムによって位置決定した。EMBL Swiss Protデータバンクを使用
したAALIGNプログラムによってタンパク質の比較を行った。
Dot Plot分析を、25アミノ酸の窓サイズ(window size
)と30%のパーセント符合を使用したDot−Plotプログラムによって行
った。
『pcbC遺伝子から下流に位置した3つのオープンリーディングフレーム(O
RF)の中の1つが、cefEプローブとハイブリッド形成する。』
A.chrysogenum遺伝子cefEFの734bp Sacll内部
プローブを使用してN.lactamduransからのcefE遺伝子をクロ
ーニングしていた時に、2つの陽性のハイブリッド形成バンドを、N.lact amdurans
の全体DNA中に発見した。その1つをキャラクタリゼーショ
ンし(cefE遺伝子)、DAOCシンターゼ(エキスパンダーゼ)(Coqu
e他,1991a)をコードすることを確認した。第2のハイブリッド形成バン
ドが何であるかは不明だったが、近縁の遺伝子又は重複cefE遺伝子である可
能性があった。従って、そのDNAバンドがコードしたものを確定するために、N.lactamdurans
セファマイシンC遺伝子クラスターのDNAフラ
グメントを含むファージをBamHIで消化し、N.lactamdurans
からのcefE遺伝子の内部の503bp Avall DNAフラグメントと
ハイブリッド形成させた。5.4kb BamHI DNAフラグメント(図2
)[pcbC遺伝子を含むがcefE遺伝子は含まないことが知られている(C
oque他,19
91;1993)]は、強い陽性のハイブリッド形成を生じさせた。pcbCか
ら下流に位置するこの5.4kb DNAフラグメントの領域全体を配列決定し
た。3つのORFであるORF7、ORF8、ORF9(図2)を発見し、第4
の完全ORF(ORF10)はORF9の下流に存在した。GENEPLOTプ
ログラム(DNASTAR)を使用した時に、この4つのORFは、放線菌遺伝
子において予想されるようなコドンの第3位置における高頻度のGCを明らかに
示した。
サブクローニング実験と欠失実験とによって、cefEプローブが特異的にO
RF9とハイブリッド形成することが明らかになった。
『cefF遺伝子としてのORF9のキャラクタリゼーション』
ORF9はpcbCから1.6kb下流に位置し、このORF9は933ヌク
レオチドのサイズ(図3)と68.1%のG+C含量を有する。ORF9は、推
定Mrが34,366で且つ予想pIが4.65であるタンパク質をコードする
。この遺伝子は上流ORF(ORF8)から23ヌクレオチド分だけ離れている
。推定リボソーム結合部位(RBS)GAGGAGCAがATG翻訳開始トリプ
レットから7bp上流の遺伝子間領
域内に存在する。TAG終止コドンの下流には、二次構造(nt2734−27
67)が、−31Kcal/モルの計算上の自由エネルギーを有するターミネー
ターに対応する可能性があるステム及びループ構造を形成する。
コンピューターを使用して、ORF9のアミノ酸及びヌクレオチド配列を、セ
ファロスポリン生合成又はセファマイシン生合成に関与するエキスパンダーゼ及
びヒドロキシラーゼと比較することによって、S.clavuligerusのcef
Fコード化タンパク質との80.8%のヌクレオチドの同一性と77.5
%のアミノ酸の同一性が明らかになった。ORF9でコードされたタンパク質は
、(cefEFでコードされた)A.chrysogenumの二機能(bif
unctional)エキスパンダーゼ/ヒドロキシラーゼと、(cefFでコ
ードされた)N.lactamduransとS.clavuligerusの
エキスパンダーゼとに対しても、高い類似性を示した。
『ORF7とORF8のキャラクタリゼーション』
推定pIが4.89である236アミノ酸(27,364ダルトン)のタンパ
ク質(P7と名付ける)をコードする711ヌクレオチドのORF(ORF7)
が、pcbC遺伝子から下
流に13ヌクレオチド離れた位置で開始する。ORF7から僅かに7ヌクレオチ
ド離れた下流の位置で、pIが5.02である292アミノ酸(32,090ダ
ルトン)の対応(deduced)タンパク質(P8)をコードする876ヌク
レオチドの配列ORF8が開始する(図3)。ORF7のG+C含量は67.5
%であり、ORF8のG+C含量は71.9%である。ORF7のATGから1
3ヌクレオチド上流の位置に、ORF9の上流に発見したRBS配列と同一の推
定RBS配列(GAGGAGCA)を確認した。ORF7とORF8との間が僅
かしか離れていないことと、推定PBS配列(GAGGAGCA)がORF7末
端の前(コーディング配列の内側)に存在することとは、これらの両遺伝子がリ
ボソームの放出なしに共翻訳されることを示唆している。
データバンク中に含まれる他のタンパク質に対する、ORF7によってコード
された推定タンパク質の比較DOTPLOT分析によって、ORF7生成物が、S.typhimurium
とE.coliからの化学走性(che遺伝子)に
関与するO−メチルトランスフェラーゼと、ヒドロキシインドイル−O−メチル
トランスフェラーゼと、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼと、コーヒ
ー酸−O−メチルトランスフェラー
ゼとに対して相同性を示し、一方、Streptomyces fradiae
(tcmP、tcmO)からのチロシンメチルトランスフェラーゼと、Azor hizobium
(nodS)の根粒着生に関与するオリゴ糖のメチル化のため
のメチルトランスフェラーゼとに対して、より低い相同性を示すことが明らかで
ある。典型的なS−アデノシルメチオニン結合モチーフがN末端領域(アミノ酸
10から26)中に存在する(Ingrosso他,1989)。これらのタン
パク質全てがフェノール性又はヘテロ環式ヒドロキシル基のO−メチル化を触媒
するので、ORF7はC−7ヒドロキシセフェムメチルトランスフェラーゼをコ
ードすると考えられる。しかし、これに加えて、上記タンパク質は、コレステロ
ール核内のC−7位置に酸素を導入する酵素であるヒト及びラットのコレステロ
ール7−α−モノオキシゲナーゼに対して、59アミノ酸において30.5%の
同一性を示す。
ORF8タンパク質は、EMBOとSwiss−Protデータバンクとに含
まれる何れのタンパク質とも有意な相同性を示さず、カップリングタンパク質(
coupling protein)として振る舞う。
『N.lactamduransのORF10の位置』
5.4kb BamHI DNAフラグメント中に存在する遺伝子cefF、cmc
I、cmcJのキャラクタリゼーションの間に、不完全ORF(ORF1
0)を発見した。このORFはcefFの下流に位置した。この遺伝子の完全配
列を得るために、セファマイシンC遺伝子クラスターの3.6kb BamHI
DNAフラグメント[ORF9(cefF)から下流の5.4kb BamH
Iフラグメントに近接していることが知られている(Coque他,1993)
]をサブクローニングし、両方向に配列決定した。この3.6kb BamHI
フラグメントは、bla遺伝子(Coque他,1993)と、ORF10の3
′領域と、ORF14の5′末端を含む。単一DNAフラグメント中のORF1
0を得るために、3.4kb NotI DNAフラグメントを組換えラムダフ
ァージEMBL−C2から単離し、pBluescript KS(+)中でサ
ブクローニングした。このフラグメントを回収し、末端をクレノウポリメラーゼ
で充填し、合成8−mer BglIIリンカーに連結反応させ、BglIIで
消化したpIJ2921中でサブクローニングした。このプラスミドから、Bg l
II末端を有する3.4kbフラグメントを、mel遺伝子の
同一方向に且つmelプロモーターから下流にStreptomycesプラス
ミドplJ702中でサブクローニングし、プラスミドpUL702−37aを
得た(図2)。
『ORF10のキャラクタリゼーション』
ORF10の翻訳イニシエーターATGコドンはcefFから74bp下流に
位置する。シャイン・ダルガルノリボソーム結合配列に類似するGGAGGA配
列がその前に位置する。転写される場合に、−31Kcal/モルの計算上の自
由エネルギーを有するステム及びループ構造を形成することが可能な15bpの
逆方向反復塩基配列が、遺伝子間領域内に存在する。この構造が機能ターミネー
ター(functional terminator)である場合には、ORF
10をそれ自体のプロモーターから発現させなければならない。或いは、ORF
10を上流プロモーターから発現させることも可能であり、逆方向反復塩基配列
が、抗終結機構によって調節されたターミネーターとして作用する可能性がある
。ORF10は1563ntを含み(図4)、N.lactamdurans配
列決定ゲノムの平均G+C含量(70.4%)(Coque他,1993a)に
近い68.8%のG+C含量を有する。これは、推定
Mrが57149でpIが5 2である520アミノ酸のタンパク質をコードす
る。
アミノ酸比較をAalignプログラムを使用して行った時に、ORF10に
よってコードされたタンパク質は、Rhizobium frediiとBra dyrhizobium
japonicumの両方からのnodU遺伝子のC
末端に対して32.1%(287アミノ酸)及び30.2%(281アミノ酸)
の同一性を示した。nodU遺伝子は、根粒着生に必要なカルバモイル化多糖の
生合成のためのO−カルバモイルトランスフェラーゼをコードする(Lewin
他,1990)。従って、ORF10に対応する遺伝子は、セフェム−カルバモ
イルトランスフェラーゼをコードし、β−ラクタム生合成遺伝子の呼称に関する
Martin他(1991)及びAharonowitz他(1992)の提案
に従って、この遺伝子をcmcHと命名した。cmcHでコードされたタンパク
質は、E.coli、Aspergillus nidulans、及び、様々
な他の微生物のアスパラギン酸カルバモイルトランスフェラーゼとオルニチンカ
ルバモイルトランスフェラーゼとに対して全般的相同性をほとんど示さなかった
。
『S.clavuligerusのcmcH遺伝子の位置』
ラムダGEM12中のS.clavuligerus DNAのゲノムライブ
ラリーから、cmcH及び近傍のcefF遺伝子を、プラスミドpULFJP6
2を起点とする6.2kb BamHI DNAフラグメントとしてpIJ70
2の中にサブクローニングした。セファマイシンクラスターのDNAフラグメン
トを含むラムダGEM12ファージを、N.lactamduransのcef
F遺伝子又はcmcH遺伝子でハイブリッド形成させた時に、ファージEMBL
−C5中と6.2kb BamHI DNAフラグメント中とに陽性のハイブリ
ッド形成を発見した。従って、S.clavuligerusの6.2kb D
NAフラグメントは、cefF遺伝子(Kovacevic他,1991)とc mc
H遺伝子とを含む。
ハイブリッド形成S.clavuligerus DNA配列を、cefF遺
伝子も含む3.0kb KpnI DNAフラグメント内に更に厳密にマッピン
グした(図5)。3.0kb KpnI DNAフラグメントを、プラスミドp
ULFJP30を与えるpBluescript KS(+)中にサブクローニ
ングし、(cefFの下流の)遠位末端のKpnI部位における160bpを配
列決定した。160nt配列は、N. lactamdurans
のcmcH遺伝子の配列(図3Aのnt1479−1
639)に殆ど完全に一致し、ヌクレオチドにおいて80%の同一性とその対応
(deduced)アミノ酸において81%の同一性を有した。こうした結果は
、セファマイシンC生産菌S.clavuligerusとN.lactamd urans
との両方のセファマイシンクラスターの組織全体が互いに異なってい
るにも係わらず、cefFとcmcHの相対位置がこれらのクラスターにおいて
同一であるということを明らかに示していた(Martin他,1992;Ma
rtin及びGutierrez,1994)。実施例4 細胞成長と無細胞抽出物の調製
グルコースとリジンとを含む最少培地中で48時間成長させたS.livid ans
形質転換細胞から無細胞抽出物を得た(Madduri他,1991)。
細胞を洗浄し、DTT(1mM)とPMSF(1mM)とDNAse(20μg
/mL)とを含む100mM MOPS(pH7.5)中に懸濁した。この細胞
懸濁液をBranson B−12振動器で音波処理した。プロタミン硫酸(0
.1%)による処理によって無細胞
抽出物から核酸を取り除き、上清液中のタンパク質を硫酸アンモニウム(0−8
0%)で沈殿させた。このタンパク質沈殿物を同じMOPS緩衝液中に溶解し、
PD−10カラム(Pharmacia)を通過させた。実施例5 3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイルトランスフェラーゼ(CC T)アッセイ
3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイルトランスフェラーゼ活性
を、次の3つの異なる方法で検定した。i)Brewer他(1980)が報告
しているように、デカルバモイルセフロキシムと[14C]カルバモイルリン酸と
を基質として使用し、Phillips PW4700 シンチレーション計数
管によって、酢酸エチルで抽出可能なカルバモイル化セフロキシムの放射能を測
定した。(ii)或いは、カルバモイル化の定性決定のために、反応生成物のT
LCクロマトグラフィーを、n−プロパノール:氷酢酸:水(5:1:2)を使
用してシリカゲル60プレート(20x20)上で行い、(a)1%w/vアジ
化ナトリウムを含むI2/KI 5mM溶液と
(b)デンプン1%溶液とを上記プレートに散布することによって、セフェム環
を含む化合物を検出した。
『N.lactamduransとS.clavuligerusのcmcH遺
伝子が機能的3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイルトランスフェ
ラーゼ活性をコードする。』
S.lividans[pIJ702]、S.lividans[pUL70
2−37a](N.lactamduransからのcmcH遺伝子を含む)、
及び、S.lividans[pULFP62](S.clavuligeru s
からのcmcH遺伝子を含む)の培養(最少培地中で48時間)の無細胞抽出
物を得、CCT活性を定量した。表1は、N.lactamdurans遺伝子
を含むS.lividans菌株のCCT特異的活性が、pIJ702で形質転
換したS.lividansのバックグラウンドレベルよりも7.5倍高く、S .clavuligerus
遺伝子を含むS.lividans菌株のCCT特
異的活性が、pIJ702で形質転換したS.lividansのバックグラウ
ンドレベルよりも7.7倍高いことを示している。無細胞抽出物を硫酸アンモニ
ウムで処理した後に、3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイ
ルトランスフェラーゼが45−65%の画分で沈殿することを確認し、更に別の
生化学的キャラクタリゼーションのために精製した。このことは、ORF10(cmc
H)が機能的3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイルトラン
スフェラーゼをコードすることを実証する。
実施例6 3′−メチルセフェム−ヒドロキシラーゼ活性
硫酸アンモニウム(30−70%)によって粗抽出物を沈殿させ、その調製物
をSephadex G−25 カラム(Pharmacia PD−2)を通
して脱塩した後に、この活性(DAOCヒドロキシラーゼとしても知られる)を
測定した。DAOCからDACへの変換に基づくアッセイを、Kovacevi
c他(1989)によって説明されている通りに行い、30℃で120分間イン
キュベートした。メタノール(200μL)で反応を停止させ、沈殿タンパク質
を10分間14,000rpmで遠心分離して取り除き、反応生成物を上清液中
で定量した。DAOCからDACへのヒドロキシル化の後に、200mM Na
H2PO4(pH4.0)により流量1.5mL/分で平衡化と溶離を行ったWa
ters pBondapak C18 カラム(300x3.8mm)を使用
してHPLCを行った。溶離画分を254nmで測定した。この条件下で、DA
OCが保持時間10.7分で溶出し、DACが保持時間3.7分で溶出した。
『cefF遺伝子が、セフェム−7−ヒドロキシラーゼ活性の
ない機能的セフェム−3−ヒドロキシラーゼをコードする。』
ORF9の生成物を完全にキャラクタリゼーションするために、5.4kb Bam
HIフラグメントをplJ702中にサブクローニングし[Katz.,
E.他,1983,J.Gen.Microbiol.,129,pp2703
−2714]、プラスミドplJ702−54aを得た。更に、1.4kb N ot
l−Mlul DNAフラグメント(5.4kbフラグメントに対して内部
)を、末端充填(end−filled)し、plJ2921のポリリンカー中
にサブクローニングし、BglIIで回収し、plJ702のBglII部位中
にサブクローニングし、plJ702−58aを得た(図2)。両方の場合とも
、OFR9をmelプロモーターから下流に且つmelプロモーターと同方向に
サブクローニングした。更に、1.4kb Notl−Mlulフラグメントを
plJ699のBamHI部位中にサブクローニングし[Kieser,D.及
びMelton,R.D.,1988,Gene,65,pp83−91]、プ
ラスミドplJ699−58aを得た。
発現プラスミド[plJ702−54a]によって形質転換したS.livi dans
の48時間培養からの無細胞抽出物
に対して、DAOCヒドロキシラーゼ活性のアッセイを行った。反応生成物のH
PLC分析は、純粋なデアセチルセファロスポリンCと共に共溶離した(co−
eluted)(図6A)保持時間3.7分の生成物の形成(図6B)を示し、
DAOCヒドロキシラーゼ活性を立証した。同じDAOCヒドロキシラーゼ活性
をS.lividans[plJ702−58a]の培養中で確認した。
S.lividans[plJ702−58a]とS.lividans[p
lJ699−58a]の培養を、発酵中に別々の時点でC−7ヒドロキシラーゼ
活性に関して試験した。何れの時点でもC−7ヒドロキシラーゼ活性は検出でき
ず、このことは、ORF9が、C−3′位置でセフェム核をヒドロキシル化する
がC−7位置ではヒドロキシル化しないN.lactamduransのcef
F遺伝子をコードすることを立証した。
これらの結果は、2つの異なったヒドロキシラーゼがセファマイシン生合成の
後期反応に必要であることを示している。実施例7 7−セフェム−ヒドロキシラーゼと7−ヒドロキシセフェムメチルトランスフェ ラーゼのアッセイ
上記の通りに、Sephadex G−25 カラムを通して脱塩した後に粗
抽出物の30−70%硫酸アンモニウム沈殿物中の上記酵素を測定した。このア
ッセイは、セファロスポリンCの7−ヒドロキシセファロスポリンC及び7−メ
トキシセファロスポリンCへの変換に基づいている(Xiao及びDemain
,1991)。その反応に必要な酸素転移を促進するために振とうを行いながら
、水浴中で反応を実施した。30℃で120分間インキュベートした後に、酢酸
(10μL)を加えて反応を停止させ、5分間14,000rpmで遠心するこ
とによってタンパク質を取り除いた。
上清液を、50mMトリス塩酸(pH6.0)で平衡化したQAE−Seph
adexカラム(カラム床体積1mL)に充填した。上記緩衝液600μLでカ
ラムを洗浄した後に、反応生成物を3N NaCl(600μL)で溶離させた
。1.5mLの流量で、0−20分:メタノール0%、30分:メタノール5%
、及び、40分:メタノール10%のメタノール勾配で溶離を行ったことを除い
て、上記の通りにWaters μBondapack C18カラム中で反応生
成物のクロマトグラフィーを行った。こうした条件の下で、基質と生成物の保
持時間は、セファロスポリンCが29.2分、7−ヒドロキシセファロスポリン
Cが14.2分、7−メトキシ−セファロスポリンCが17.7分だった。或い
は、S−アデノシル−L−[メチル−14C]メチオニン(25μCi/mL)を
アッセイに使用し(反応毎に250nCi)、HPLCクロマトグラフィー後に
放射性同位体検出器(Beckman 171)を使用して標識化7−メトキシ
セファロスポリンCを測定した。
『S.lividans中のORF7とORF8の発現が、C−7メトキシル化
活性を生じさせる。』
ORF7によってコードされたタンパク質とメチルトランスフェラーゼとの間
の類似性は、セフェム核内のC−7におけるメトキシル化のための酵素をコード
する遺伝子にORF7(及びORF8)が対応する可能性があることを示唆して
いる。従って、(ORF7とORF8を含む)plJ702−54aからの30
61bp Pstl DNAフラグメントを、plJ2921中にサブクローニ
ングし、BglII回収し、plJ702中にmelプロモーターから下流に且
つmelプロモーターと同方向にサブクローニングし、発現プラスミドplJ7
02−55aを得た。S.lividans[plJ702
−55a]の48時間培養の無細胞抽出物を硫酸アンモニウム(30−70%)
で沈殿させ、C−7ヒドロキシラーゼ活性とメチルトランスフェラーゼ活性に関
して試験した。保持時間14.2分(図7B)の生成物がC−7ヒドロキシル化
中に形成される。このピークは、s−アデノシルメチオニン(SAM)をそのア
ッセイに加えた時に減少(図7D)し、保持時間17.7分の第2の生成物が付
随的形成した。このことは、C−7ヒドロキシラーゼ活性とメチルトランスフェ
ラーゼ活性(7−メトキシCPCとして同定)の両方が形質転換細胞中に存在す
ることを示し、この2つの活性は両方とも対照試料のS.lividans[p
lJ0O2]無細胞抽出物中には発見されなかった(図7Aと図7C)。保持時
間が17.7分の生成物を同定するために、標識したSAMを上記アッセイに使
用し、反応生成物の放射能をHPLCとTLCで観察し、更にその後でオートラ
ジオグラフィーで観察した。放射能の3つのピークを、保持時間10.7分、1
4.0分、及び、17.7分のHPLC溶出画分において発見した。3つの標識
ピークの形成は、反応へのCPC基質の添加に依存していた。これらのピークの
1つ(保持時間17.7分)を、7−メトキシセファロスポリン
Cと同定し、一方、他の2つは、その反応を停止するための酸による処理に起因
する7−メトキシセファロスポリンCの加水分解生成物に対応するものと考えら
れる。
発酵中の形質転換細胞のC−7ヒドロキシラーゼ活性とメチルトランスフェラ
ーゼ活性を測定した。2つのタイプの形質転換細胞を使用した。melプロモー
ターの下流に3つの遺伝子を含み、且つ、ORF7−ORF8がそれ自身のプロ
モーターから発現させられなければならない2つの転写ターミネーターを有する
plJ699aプラスミド中でcefF遺伝子又はORF7−ORF8包含フラ
グメントのどちらかがサブクローニングされる構造を有するS.lividan s
[plJ702−55a]。発酵中のメチルトランスフェラーゼ活性の時間過
程は、7−ヒドロキシラーゼ活性の時間過程とオーバーラップし、このことは両
方の活性が相関的に発現させられることを示唆している。
『ORF7が7−ヒドロキシラーゼ活性をコードするが、ORF7とORF8に
よってコードされた2つのタンパク質が7−メトキシラーゼ活性のために必要で
ある。』
どの酵素活性が各々の遺伝子に対応するかを確定するために、
ORF7とORF8を個々にサブクローニングした。ORF7とORF8を別々
に含むDNAフラグメントのPstl−Xhol(2056bp)とKpnl(
1048bp)(図2)を、plJ2921中でクローニングし、BglIIで
回収し、melプロモーターから下流に且つmelプロモーターと同方向にpl
J702のBglII部位中にサブクローニングし、プラスミドpUL702−
56aとpUL702−57aを得た。
C−7ヒドロキシラーゼ活性を、繰返し実験においてS.lividans[
pUL702−56a]の培養中に発見した。ORF7とORF8の両方を有す
るDNAフラグメント(即ち、pUL702−55a)でS.lividans
を形質転換しなかった場合には、7−ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性
は認められなかった。
従って、上記タンパク質両方のインビトロの相補性を試験した。S.livi dans
[pUL702−56a]とS.lividans[pUL702−5
7a]との無細胞抽出物を、i)C−7ヒドロキシラーゼ活性とii)C−7ヒ
ドロキシラーゼ及びメチルトランスフェラーゼ活性とに必要な補助因子の存在下
で30分間に亙って共にインキュベートした。これらの
条件下でC−7ヒドロキシセファロスポリンCのピークを観察し、このことはC
−7ヒドロキシラーゼ活性がORF7で実際にコードされたことを示した。OR
F7タンパク質及びORF8タンパク質を共に混合した時にはインビトロでは7
−メトキシCPCの形成は認められなかったが、このことは、ORF8の発現レ
ベルが低いが、メトキシCPCを検出するには十分であることを示唆した。OR
F7とORF8の両方からのタンパク質がインビボで会合するだろうが、無細胞
抽出物中のタンパク質が低濃度なので、こうした会合はインビトロでは困難であ
ると考えられる。
『7−ヒドロキシラーゼは、セファロスポリン依存性NADH−オキシダーゼ活
性を示す。』
ORF7とORF8でコードされたタンパク質は、二タンパク質成分系として
振る舞う。ORF7を発現させるS.lividans[plJ702−56a
]の無細胞抽出物は、強いセファロスポリン依存性NADHオキシダーゼ活性を
示した(図8)。ORF8でコードされたタンパク質は有効なNADH−オキシ
ダーゼ活性を示さなかったが、生産的な7−メトキシル化のためには絶対に不可
欠だった。こうした結果は、ヒド
ロキシル基を導入にするために分子酸素を還元するための電子供与体としてNA
DHを使用するヒドロキシラーゼによって、C−7におけるヒドロキシル化が仲
介されることを示している。ORF8でコードされたタンパク質が、7−メトキ
シCPC誘導体を形成するためのメチル基の導入に不可欠である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12R 1:365)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG,KR
,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MN,
MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,S
K,TJ,TT,UA,US,UZ
(72)発明者 エンジタ,フランシスコ・ホタ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 フウエンテ,フアン・エレ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 リヤレーナ,フランシスコ・ホタ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 リラス,パロマ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 マルテイン,フアン・エフエ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. セファマイシン生合成の後期酵素をコードする単離精製したDNA分子。 2. 前記DNAが3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイルトラン スフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードする請求項1に記載の単離精製し たDNA分子。 3. 前記DNAが次のヌクレオチド配列: を有する請求項2に記載のDNA分子。 4. 前記DNAが3′−メチルセフェムヒドロキシラーゼ活性を有するタンパ ク質をコードする請求項1に記載の単離精製したDNA分子。 5. 前記DNAが次のヌクレオチド配列: を有する請求項4に記載のDNA分子。 6. 前記DNAがC−7ヒドロキシセフェムメチルトランスフェラーゼ活性を 有するタンパク質をコードする請求項1に記載の単離精製したDNA分子。 7. 前記DNAが次のヌクレオチド配列: を有する請求項6に記載のDNA分子。 8. 前記DNAが次のヌクレオチド配列: を有する請求項6に記載のDNA分子。 9. 1つ以上のセファマイシン生合成後期酵素をコードする1つ以上の組換え 遺伝子を含む細胞の培養によってセファマイシン抗生物質を生産する方法。 10. 3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイルトランスフェラー ゼ、3′−メチルセフェムヒドロキシラーゼ、及びC−7ヒドロキシセフェムメ チルトランスフェラーゼから成る群から前記セファマイシン生合成後期酵素を選 択する請求項9に記載の方法。 11. 3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイルトランスフェラー ゼ、3′−メチルセフェムヒドロキシラーゼ、及びC−7ヒドロキシセフェムメ チルトランスフェラーゼから成る群から前記セファマイシン生合成後期酵素を選 択し、且つ、前記細胞培養がセファマイシン抗生物質生合成が可能である請 求項9に記載の方法。 12. セファマイシン生合成が可能である前記細胞がNocardiaの種で ある請求項11に記載の方法。 13. セファマイシン生合成後期酵素である単離精製したタンパク質。 14. 前記タンパク質が3′−ヒドロキシメチルセフェム O−カルバモイル トランスフェラーゼ活性を有する請求項13に記載の単離精製したタンパク質。 15. 前記タンパク質が次のアミノ酸配列: を有する請求項14に記載のタンパク質。 16. 前記タンパク質が3′−メチルセフェムヒドロキシラーゼ活性を有する 請求項13に記載の単離精製したタンパク質。 17. 前記タンパク質が次のアミノ酸配列: を有する請求項16に記載のタンパク質。 18. 前記タンパク質がC−7ヒドロキシセフェムメチルトランスフェラーゼ 活性を有する請求項13に記載の単離精製したタンパク質。 19. 前記タンパク質が次のアミノ酸配列: を有する請求項18に記載のタンパク質。 20. 前記タンパク質が次のアミノ酸配列: を有する請求項18に記載のタンパク質。
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-
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