JPH0951109A - カルコパイライト型化合物の薄膜の作製方法及びその薄膜を有した太陽電池 - Google Patents

カルコパイライト型化合物の薄膜の作製方法及びその薄膜を有した太陽電池

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JPH0951109A
JPH0951109A JP7202357A JP20235795A JPH0951109A JP H0951109 A JPH0951109 A JP H0951109A JP 7202357 A JP7202357 A JP 7202357A JP 20235795 A JP20235795 A JP 20235795A JP H0951109 A JPH0951109 A JP H0951109A
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JP
Japan
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thin film
film
cuin
vacuum
type compound
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JP7202357A
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Hiroyuki Sano
寛幸 佐野
Kenichi Kondo
健一 近藤
Katsuaki Sato
勝昭 佐藤
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Stanley Electric Co Ltd
Original Assignee
Stanley Electric Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/541CuInSe2 material PV cells

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  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Physical Deposition Of Substances That Are Components Of Semiconductor Devices (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に結晶性が良く、付着力の強いCuIn
Se2 系のカルコパイライト型化合物の薄膜を形成でき
るようにする。また、その薄膜を用いて高効率の太陽電
池を実現する。 【解決手段】 まず膜の原料(Cu,In,Ga,S
e,Sなど)を各々の密閉形るつぼに入れ(ステップS
1)、このるつぼに設けた噴射ノズルから高真空中に噴
射させ(ステップS2)、その噴射ノズルから噴射した
原料から、高真空中での断熱膨張による過冷却現象(作
用)によって5×102 〜2×103 個の原子が緩く結
合した塊状原子集団(クラスター)を形成する(ステッ
プS3)。そして、この各塊状原子集団をそれぞれイオ
ン化して加速することにより、基板上にCuInSe2
やCuInx Ga1-x Se2 、またCuInSy Se
2-y 及びCuInx Ga1-xy Se2-y の薄膜を成膜
させる(ステップS4)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラスターイオン
ビーム法によるCuInSe2 、CuInx Ga1-x
2 、CuInSy Se2-y 及びCuInx Ga1-x
y Se2-y のカルコパイライト型化合物の薄膜の作製方
法及びその薄膜を有した太陽電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CuInSe2 は、閃亜鉛鉱構造のII−
VI族半導体ZnSeにおいて、Znを規則的にCuとI
nに置き換えたカルコパイライト型の結晶構造を持つ化
合物半導体であり、またCuInx Ga1-x Se2 ,C
uInSy Se2-y 及びCuInx Ga1-xy Se
2-y (0≦x<1,0<y≦2)も同様の結晶構造を持
つ化合物半導体である。
【0003】上記CuInSe2 の特徴は、禁制帯幅
1.04eVの直接遷移型半導体であること、既存の半
導体中で最も高い光の吸収係数を持つこと、アモルファ
スSiで問題となっている光劣化が全く存在しないこ
と、また元素を種々選択することにより禁制帯幅を制御
することができるなどがあげられ、多結晶薄膜太陽電池
材料として研究が進められている。
【0004】従来、上記のCuInSe2 の薄膜やCu
Inx Ga1-x Se2 の薄膜、CuInSy Se2-y
薄膜、CuInx Ga1-xy Se2-y の薄膜は、蒸着
法、スパッタ法、セレン化法などの手法により作製され
ており、成膜の際には、膜の結晶性を向上させるために
基板温度が450℃以上必要とされている。
【0005】図6は一般的なCuInSe2 系の薄膜を
有した太陽電池の構造を示す図であり、(a)はサブス
トレート型、(b)はスーパーストレート型の構造をそ
れぞれ示している。
【0006】図6の(a)のサブストレート型は、ガラ
ス基板(Glass)1上にMo電極2を蒸着させた
後、CuInSe2 系薄膜3を積層させ、その上に窓層
としてII−VI族化合物半導体のCdS膜4及びZnO膜
5を積層させて太陽電池としたものである。
【0007】また、図6の(b)のスーパーストレート
型は、上記のサブストレート型と逆構造となっており、
ガラス基板(Glass)上に透明電極としてITO,
ZnO,SnO2 等からなるTCO膜7が形成され、そ
の上に窓層としてCdS膜4を積層した後、CuInS
2 系薄膜3を積層し、さらにその上に背面電極として
MoやAu等からなる金属(Metal)電極6を設け
た構造となっている。このスーパーストレート型は、ガ
ラス基板1側から光(hν)を入射できるので、気密
性、量産性に優れている。
【0008】ここで、上記のような構造の太陽電池にお
いては、Mo電極2及び金属電極6は低抵抗で安定した
オーミック接触が得られるようにする必要があり、特に
Mo電極2とCuInSe2 系薄膜3との間には付着性
を向上させるためにTe膜やGa膜を設けても良い。ま
た、CuInSe2 系薄膜3とCdS膜4の境界面では
相互拡散を抑制し、高開放電圧化を図ることが有効であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来で
はCuInSe2 の薄膜を上記のように蒸着法、スパッ
タ法、セレン化法等で作製しており、良質の薄膜を得る
ためには基板温度に450℃以上の高温が必要であり、
この温度では安価な青板ガラスを使用することができな
い。
【0010】また、気密性、量産性に優れたスーパース
トレート型の構造にする場合は、II−VI族化合物(例え
ばCdS)上にCuInSe2 系の薄膜を積層させるの
で、II−VI族化合物に影響を与えない(CuがCdS等
の中に拡散しない)ようにするために基板温度が300
℃以下の低温成膜が必要とされる。
【0011】このため、従来ではスーパーストレート型
の太陽電池を作製する際に結晶性の良いCuInSe2
系の薄膜を形成することが困難であり、高性能、高効率
の太陽電池を得ることが困難であるとともに、安価な青
板ガラスを使用できないという問題点があった。
【0012】また、CuInSe2 系の薄膜をガラス基
板上に積層させる場合、従来では熱膨張係数の違いなど
により膜と基板との間に空隙が生じ、膜の付着力が弱く
なるという問題点があった。
【0013】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、容易に結晶性の良いCuInSe2
膜、CuInx Ga1-x Se2 膜、CuInSy Se
2-y 膜及びCuInx Ga1-xy Se2-y 膜を作製す
ることができるとともに、安価な青板ガラスが使用で
き、また強い膜の付着力が得られるCuInSe2 膜、
CuInx Ga1-x Se2 膜、CuInSy Se2-y
及びCuInx Ga1-xySe2-y 膜の作製方法とそ
の薄膜を有した高効率の太陽電池を提供することを目的
としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のCuInSe2
のカルコパイライト型化合物の薄膜の作製方法は、C
u,In,Seの原料をそれぞれ噴射ノズルを有した密
閉形容器に入れてその噴射ノズルから真空中に噴射さ
せ、前記噴射ノズルから噴射された原料は、真空中での
断熱膨張による過冷却作用によって原子が緩く結合した
塊状原子集団を形成し、この各塊状原子集団をそれぞれ
イオン化して加速することにより基板上にCuInSe
2 膜を成膜させるようにしたものであり、また、Cuの
イオン化電流をInのイオン化電流よりも大きくして加
速するようにしたものである。
【0015】本発明のCuInx Ga1-x Se2 のカル
コパイライト型化合物の薄膜の作製方法は、Cu,I
n,Ga,Seの原料をそれぞれ噴射ノズルを有した密
閉形容器に入れてその噴射ノズルから真空中に噴射さ
せ、前記噴射ノズルから噴射された原料は、真空中での
断熱膨張による過冷却作用によって原子が緩く結合した
塊状原子集団を形成し、この各塊状原子集団をイオン化
して加速することにより基板上にCuInx Ga1-x
2 膜を成膜させるようにしたものであり、また、Cu
のイオン化電流をIn及びGaのイオン化電流よりも大
きくして加速するようにしたものである。このときのx
の値は0≦x<1である。
【0016】本発明のCuInSy Se2-y のカルコパ
イライト型化合物の薄膜の作製方法は、Cu,In,
S,Seの原料をそれぞれ噴射ノズルを有した密閉形容
器に入れてその噴射ノズルから真空中に噴射させ、前記
噴射ノズルから噴射された原料は、真空中での断熱膨張
による過冷却作用によって原子が緩く結合した塊状原子
集団を形成し、この各塊状原子集団をそれぞれイオン化
して加速することにより基板上にCuInSy Se2-y
膜を成膜させるようにしたものであり、また、Cuのイ
オン化電流をInのイオン化電流よりも大きくして加速
するようにしたものである。このときのyの値は0<y
≦2である。
【0017】本発明のCuInx Ga1-xy Se2-y
のカルコパイライト型化合物の薄膜の作製方法は、C
u,In,Ga,S,Seの原料をそれぞれ噴射ノズル
を有した密閉形容器に入れてその噴射ノズルから真空中
に噴射させ、前記噴射ノズルから噴射された原料は、真
空中での断熱膨張による過冷却作用によって原子が緩く
結合した塊状原子集団を形成し、この各塊状原子集団を
それぞれイオン化して加速することにより基板上にCu
Inx Ga1-xy Se2-y 膜を成膜させるようにした
ものであり、また、Cuのイオン化電流をIn及びGa
のイオン化電流よりも大きくして加速するようにしたも
のである。このときのx,yの値はそれぞれ0≦x<
1,0<y≦2である。
【0018】本発明の基板上にCuInSe2 の薄膜を
有した太陽電池は、CuInSe2の薄膜を、Cu,I
n,Seの原料を真空中に噴射させた時に形成される原
子が緩く結合した各塊状原子集団をイオン化して加速す
ることにより成膜したものである。
【0019】また、本発明の基板上にCuInx Ga
1-x Se2 の薄膜を有した太陽電池は、CuInx Ga
1-x Se2 の薄膜を、Cu,In,Ga,Seの原料を
真空中に噴射させた時に形成される原子が緩く結合した
各塊状原子集団をそれぞれイオン化して加速することに
より成膜したものである。
【0020】また、本発明の基板上にCuInSy Se
2-y の薄膜を有した太陽電池は、CuInSy Se2-y
の薄膜を、Cu,In,S,Seの原料を真空中に噴射
させた時に形成される原子が緩く結合した各塊状原子集
団をイオン化して加速することにより成膜したものであ
る。
【0021】また、本発明の基板上にCuInx Ga
1-xy Se2-y の薄膜を有した太陽電池は、CuIn
x Ga1-xy Se2-y の薄膜を、Cu,In,Ga,
S,Seの原料を真空中に噴射させた時に形成される原
子が緩く結合した各塊状原子集団をそれぞれイオン化し
て加速することにより成膜したものである。この時のx
の値は0<x<1であり、yの値は0<y<2である。
【0022】
【作用】本発明のCuInSe2 、CuInx Ga1-x
Se2 、CuInSy Se2-y、及びCuInx Ga1-x
y Se2-y の薄膜の作製方法においては、膜の原料
がそれぞれノズルから真空中に噴射され、その真空中で
の膨張、冷却作用によって原子が緩く結合した塊状原子
集団が形成され、この各塊状原子集団がそれぞれイオン
化、加速されて基板上に成膜が行われるので、低温成膜
が可能であり、またイオン化のために膜の付着力も強く
なる。
【0023】また、本発明の太陽電池においては、上記
のように成膜されたCuInSe2膜、CuInGaS
2 膜、CuInSy Se2-y 膜あるいはCuInx
1-xy Se2-y 膜が使用されているので、窓層とな
るII−VI族化合物に影響を与えることなく、高効率が得
られる。
【0024】
【実施例】図1は本発明に係るCuInSe2 膜、Cu
Inx Ga1-x Se2 膜、CuInSy Se2-y 膜及び
CuInx Ga1-xy Se2-y 膜の作製過程を示す図
である。これらの薄膜の作製方法はクラスターイオンビ
ーム法(ICB法)と呼ばれるものであり、まず膜の原
料(Cu,In,Seなど)を各々の密閉形るつぼに入
れ(ステップS1)、このるつぼに設けた噴射ノズルか
らその蒸気を高真空中に噴射させ(ステップS2)、そ
の噴射ノズルから噴射された原料から、高真空中での断
熱膨張による過冷却現象(作用)によって5×102
2×103 個程度の原子が緩く結合した塊状原子集団
(クラスター)を形成する(ステップS3)。そして、
この各塊状原子集団をイオン化して加速することによ
り、基板上にCuInSe2 やCuInx Ga1-x Se
2 やCuInSy Se2-y やCuInx Ga1-xy
2-y の薄膜を成膜させる(ステップS4)。
【0025】その際、上記イオン化したクラスターは基
板衝突時に壊れて個々の原子になり、その入射エネルギ
ーは原子が基板表面でマイグレーションする拡散エネル
ギーに変換される。このとき、イオン化の量はイオン化
電流で、入射エネルギーは加速電圧でそれぞれ制御する
ことができる。
【0026】このようなマイグレーション効果によっ
て、CuInSe2 膜やCuInx Ga1-x Se2 膜や
CuInSy Se2-y 膜やCuInx Ga1-xy Se
2-y 膜が得られるが、その際熱エネルギーの代わりにイ
オン化による運動エネルギーを利用しており、その運動
エネルギーを制御し、かつ化学的に活性化させることで
薄膜を得ている。このため、成膜条件としては、基板温
度は300℃程度で良く、低温で良質の薄膜を形成する
ことができる。また、イオンの加速電圧は0〜3KV程
度であり、イオン化電流はCuのイオン化電流ICuをI
nやGaのイオン化電流IIn,IGaよりも大きくして
(ICu>IIn,IGa>0mA)加速することが望まし
い。
【0027】図2は上記の成膜に使用されるICB装置
の概略構成を示す図である。この装置は、真空装置(V
ACUUM SYSTEM)11とこれに接続された密
閉可能な真空容器12からなり、真空容器12内には上
述の噴射ノズルを有した密閉形容器であるるつぼ13
c,13i,13sが各々の原料(Cu,In,Se)
の発生源(SOURCE)として配置されている。
【0028】上記真空容器12内の各るつぼ13c,1
3i,13sの上部には、それぞれイオン化用電子エミ
ッタ14c,14i,14s、接地電極15c,15
i,15s、及び加速電極16c,16i,16sが設
けられている。また、これらのるつぼ13c,13i,
13sの上方には水晶結晶板センサ17が配置され、更
にその上方にモータ18によって回転する基板19が配
置されており、ランプ20により基板19が加熱される
ようになっている。
【0029】次に、上記のICB装置を用いてCuIn
Se2 膜を作製した実験結果について説明する。Cu,
In,Seの各々の原料を個別のるつぼ13c,13
i,13sに入れ、それぞれのイオン化量を制御して実
験を行ったところ、Seのイオン化の有無により顕著な
差が見られ、Seのイオン化によって非常に良質の薄膜
を低温で得ることができた。
【0030】図3は、基板温度を300℃、加速電圧を
2KVとし、またCuのイオン化電流を150mA、I
nのイオン化電流を50mAとした時におけるSeのイ
オン化の有無について実験した結果を示す図で、基板
(glass)上に得られたCIS薄膜の表面(sur
face)及び断面(cross section)の
写真を示している。
【0031】図3の(a)はSeを100mAのイオン
化電流でイオン化した場合であり、EPMA(電子プロ
ーブ微量分析)による分析結果ではCu/In=0.9
8のCuInSe2 膜で、X線解析でも図4のAに示す
ようにCuInSe2 膜であることが確認されている。
また表面写真からわかるように、粒径が2〜3μmあ
り、断面写真からも大きな柱状構造であることがわか
る。
【0032】一方、図3の(b)はSeをイオン化して
いない場合であり、Cu/In=1.01のCuInS
2 膜で、X線回析による分析データでも図4のBに示
すようにCuInSe2 膜であることが確認されてい
る。しかし、表面写真から見ると粒径はほぼ1μm以下
であり、しかも非常に不ぞろいであり、断面写真からも
細い柱状構造であることがわかる。
【0033】このように、Seのイオン化の効果が非常
に大きいことがわかる。そこで、このSeのイオン化の
効果を詳しく調べるために、基板温度を300℃、加速
電圧を2KV、Cuのイオン化電流を150mA、In
のイオン化電流を50mAに一定にしておき、Seのイ
オン化電流を0mA〜100mAまで変化させた時に得
られたCIS膜の表面写真を図5に示す。この図から明
らかなように、Seのイオン化電流が60mA以下では
粒径成長が不充分で、また粒径も不ぞろいであるが、そ
れ以上のイオン化電流であれば粒径も大きく、そろって
くることがわかる。
【0034】また、上述の基板温度300℃の低温成膜
において、Cuのイオン化電流をInのイオン化電流よ
りも大きくする(好ましくはICu−IIn≧30mA)こ
とで、異相がなく、粒径も1μm程度にそろい、結晶の
ファセットも観察されるような、結晶性の良いCuIn
Se2 膜が得られることがわかった。また、Inの一部
をGaで置換したCuInx Ga1-x Se2 膜について
も同様の実験をしたところ、ICu−IIn≧30mA、か
つICu−IGa≧30mAで、CIS膜と同様の良好な結
果が得られた。
【0035】ここで、上記の各化学式におけるxの範囲
については、好ましくは0.1<x<0.5で、最適値
としては0.25付近であった。
【0036】また、CuInSe2 のSeの一部をSで
置換したCuInSy Se2-y 膜についても同様の実験
をしたところ、上記と同様にCuとInのイオン化電流
の差は好ましくはICu−IIn≧30mAで、yの範囲は
0.3<y<1において良好な結果が得られた。このy
の最適値は、0.5付近であった。
【0037】また、CuInx Ga1-xy Se2-y
についても同様の実験を行なったところ、上記と同様の
範囲において良好な結果が得られた。
【0038】この時のCuやIn,Gaのイオン化は、
膜形成時において、蒸着原子の核形成、核成長を促進
し、結晶核凝集作用による良質の膜形成に関与するもの
と考えられる。
【0039】次に、上述のICB法で形成されたCIS
膜により作製したスーパーストレート型の太陽電池につ
いて説明する。この電池の構造は図6の(b)に示した
ものと同様であり、無アルカリのガラス基板上にZnO
(1μm),CdS(1000Å),CuInSe2
(1.5μm),Au(1μm)の各膜が順次形成され
た構成を有している。この太陽電池の特性として、AM
1.5、100mW/cm2 の照射条件の下で、変換効
率2%程度のものが得られた。
【0040】このように、ICB法によるCIS膜の低
温成膜技術を用いて、基板温度300℃以下で成膜でき
ることにより、スーパーストレート型の太陽電池を作製
した場合、下地の窓層(II−VI族化合物CdS)へのC
uの拡散が抑えられ、良好なCdS−CuInSe2
面が得られ、高性能、高効率の太陽電池が得られる。
【0041】また、ICB法で作製したCuInSe2
膜は、イオン化の効果等により、膜の付着力が強く、テ
ープテストを行っても膜はがれが生じることはない。
【0042】一般に、薄膜太陽電池に用いられる薄膜
は、その結晶が柱状で大粒径であることが光電変換効率
を上げるために必要なことであるが、本発明のようにS
eをイオン化することで、CuInSe2 の薄膜を用い
た太陽電池においてCu/In=0.98という最適条
件の比率が得られ、また2〜3μmという大粒径の柱状
結晶が得られる。
【0043】更に、本発明の方法を用いることにより、
基板温度が300℃という低温で良質の結晶が得られる
ので、量産性、信頼性に優れたスーパーストレート型の
太陽電池を安価な青板ガラスを用いて作製することがで
きる。
【0044】このように、CuInSe2 の薄膜の作製
に際して、Cu,In,Seの各々の原料を個別のるつ
ぼに入れ、その噴射ノズルから高真空中に噴射させてク
ラスターにし、そのそれぞれの元素のクラスターを全て
イオン化し、加速して基板に衝突させることで、従来4
50℃以上でしか得られなかった良質の結晶が300℃
という低温で得られる。
【0045】また、スーパーストレート構造にする場
合、窓層となるCdS層にCuが拡散して特性劣化を招
くことが知られているが、この現象は400℃以上で問
題となり、本方式では基板温度が300℃と低温なので
その影響はない。
【0046】なお、上述の成膜法で得られた膜は、Cu
InSe2 膜でもCuInx Ga1-x Se2 膜でも、C
uInSy Se2-y 膜でも、CuInx Ga1-xy
2-y 膜でも同様の品質が保証される。また、これらの
膜は太陽電池だけでなく、撮像管など他にも適用するこ
とができる。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、低温で
容易に結晶性の良いCuInSe2 膜、CuInx Ga
1-x Se2 膜、CuInSy Se2-y 膜及びCuInx
Ga1-xy Se2-y 膜を作成することができ、また膜
の強い付着力が得られるという効果がある。
【0048】また、上記のCuInSe2 膜、CuIn
x Ga1-x Se2 膜、CuInSySe2-y 膜あるいは
CuInx Ga1-xy Se2-y 膜により、高効率の太
陽電池を実現することができ、安価な青板ガラスを使用
することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る膜の作製過程を示す図
【図2】 図1の成膜に使用される装置の概略構成図
【図3】 図2の装置で作製されたCuInSe2 膜の
表面及び断面を示す図(写真)
【図4】 図3のCuInSe2 膜のX線回析パターン
を示す図
【図5】 成膜条件を変えて作製したCuInSe2
の表面を示す図(写真)
【図6】 一般的な太陽電池の構造を示す断面図
【符号の説明】
11 真空装置 12 真空容器 13c るつぼ(密閉形容器) 13i るつぼ(密閉形容器) 13s るつぼ(密閉形容器) 19 基板 20 ランプ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】 図2の装置で作製されたCuInSe2 膜の
表面及び断面を表す薄膜の写真
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】 成膜条件を変えて作製したCuInSe2
の表面を表す写真

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuInSe2 のカルコパイライト型化
    合物の薄膜の作製方法において、Cu,In,Seの原
    料をそれぞれ噴射ノズルを有した密閉形容器に入れてそ
    の噴射ノズルから真空中に噴射させ、前記噴射ノズルか
    ら噴射された原料は、真空中での断熱膨張による過冷却
    作用によって原子が緩く結合した塊状原子集団を形成
    し、この各塊状原子集団をそれぞれイオン化して加速す
    ることにより基板上にCuInSe2 膜を成膜させるこ
    とを特徴とするCuInSe2 のカルコパイライト型化
    合物の薄膜の作製方法。
  2. 【請求項2】 Cuのイオン化電流をInのイオン化電
    流よりも大きくして加速することを特徴とする請求項1
    記載のCuInSe2 のカルコパイライト型化合物の薄
    膜の作製方法。
  3. 【請求項3】 CuInx Ga1-x Se2 (但し0≦x
    <1)のカルコパイライト型化合物の薄膜の作製方法に
    おいて、Cu,In,Ga,Seの原料をそれぞれ噴射
    ノズルを有した密閉形容器に入れてその噴射ノズルから
    真空中に噴射させ、前記噴射ノズルから噴射された原料
    は、真空中での断熱膨張による過冷却作用によって原子
    が緩く結合した塊状原子集団を形成し、この各塊状原子
    集団をそれぞれイオン化して加速することにより基板上
    にCuInx Ga1-x Se2 膜を成膜させることを特徴
    とするCuInx Ga1-x Se2 のカルコパイライト型
    化合物の薄膜の作製方法。
  4. 【請求項4】 Cuのイオン化電流をIn及びGaのイ
    オン化電流よりも大きくして加速することを特徴とする
    請求項3記載のCuInx Ga1-x Se2 のカルコパイ
    ライト型化合物の薄膜の作製方法。
  5. 【請求項5】 CuInSy Se2-y (但し0<y≦
    2)のカルコパイライト型化合物の薄膜の作製方法にお
    いて、Cu,In,S,Seの原料をそれぞれ噴射ノズ
    ルを有した密閉形容器に入れてその噴射ノズルから真空
    中に噴射させ、前記噴射ノズルから噴射された原料は、
    真空中での断熱膨張による過冷却作用によって原子が緩
    く結合した塊状原子集団を形成し、この各塊状原子集団
    をそれぞれイオン化して加速することにより基板上にC
    uInSy Se2-y 膜を成膜させることを特徴とするC
    uInSy Se2-y のカルコパイライト型化合物の薄膜
    の作製方法。
  6. 【請求項6】 Cuのイオン化電流をInのイオン化電
    流よりも大きくして加速することを特徴とする請求項5
    記載のCuInSy Se2-y のカルコパイライト型化合
    物の薄膜の作製方法。
  7. 【請求項7】 CuInx Ga1-xy Se2-y (但し
    0≦x<1,0<y≦2)のカルコパイライト型化合物
    の薄膜の作製方法において、Cu,In,Ga,S,S
    eの原料をそれぞれ噴射ノズルを有した密閉形容器に入
    れてその噴射ノズルから真空中に噴射させ、前記噴射ノ
    ズルから噴射された原料は、真空中での断熱膨張による
    過冷却作用によって原子が緩く結合した塊状原子集団を
    形成し、この各塊状原子集団をそれぞれイオン化して加
    速することにより基板上にCuInx Ga1-xy Se
    2-y 膜を成膜させることを特徴とするCuInx Ga
    1-xy Se2-y のカルコパイライト型化合物の薄膜の
    作製方法。
  8. 【請求項8】 Cuのイオン化電流をIn及びGaのイ
    オン化電流よりも大きくして加速することを特徴とする
    請求項7記載のCuInx Ga1-xy Se2-y のカル
    コパイライト型化合物の薄膜の作製方法。
  9. 【請求項9】 基板上にCuInSe2 の薄膜を有した
    太陽電池において、前記CuInSe2 の薄膜は、C
    u,In,Seの原料を真空中に噴射させた時に形成さ
    れる原子が緩く結合した各塊状原子集団をそれぞれイオ
    ン化して加速することにより成膜したことを特徴とする
    スーパーストレート型の太陽電池。
  10. 【請求項10】 基板上にCuInx Ga1-x Se2
    (但し0≦x<1)の薄膜を有した太陽電池において、
    前記CuInx Ga1-x Se2 の薄膜は、Cu,In,
    Ga,Seの原料を真空中に噴射させた時に形成される
    原子が緩く結合した各塊状原子集団をそれぞれイオン化
    して加速することにより成膜したことを特徴とするスー
    パーストレート型の太陽電池。
  11. 【請求項11】 基板上にCuInSy Se2-y (但し
    0<y≦2)の薄膜を有した太陽電池において、前記C
    uInSy Se2-y の薄膜は、Cu,In,S,Seの
    原料を真空中に噴射させた時に形成される原子が緩く結
    合した各塊状原子集団をイオン化して加速することによ
    り成膜したことを特徴とするスーパーストレート型の太
    陽電池。
  12. 【請求項12】 基板上にCuInx Ga1-xy Se
    2-y (但し0≦x<1,0<y≦2)の薄膜を有した太
    陽電池において、前記CuInx Ga1-xy Se2-y
    の薄膜は、Cu,In,Ga,S,Seの原料を真空中
    に噴射させた時に形成される原子が緩く結合した各塊状
    原子集団をそれぞれイオン化して加速することにより成
    膜したことを特徴とするスーパーストレート型の太陽電
    池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011162102A1 (ja) * 2010-06-23 2011-12-29 パイオニア株式会社 撮像デバイス
JP2014504036A (ja) * 2011-01-26 2014-02-13 エルジー イノテック カンパニー リミテッド 太陽電池及びその製造方法

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