JPH09509045A - トロンビン変異体 - Google Patents

トロンビン変異体

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JPH09509045A JP7514061A JP51406194A JPH09509045A JP H09509045 A JPH09509045 A JP H09509045A JP 7514061 A JP7514061 A JP 7514061A JP 51406194 A JP51406194 A JP 51406194A JP H09509045 A JPH09509045 A JP H09509045A
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エス. ギブス,クライグ
エル.ケイ. レング,ローレンス
チアング,マヌエル
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ギリアード サイエンシーズ、インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 顕著なフィブリノゲン凝固活性を有することなくプロテインC活性化が可能であるトロンビン変異体(Ts)、およびプロテインC活性を有することなくフィブリノゲン凝固活性化が可能なTsを提供する。フィブリノゲン凝固に関して増強されたプロテインC活性化特性を有するTsは、特に抗凝集剤として、そしてこの特性を作動的または拮抗的に作用する物質をスクリーニングする際に、そして患者の活性型プロテインC仲介抗凝固経路の状態を決定するための診断手順において有用である。凝固促進性Tsは、帯具への浸漬物として固形腫瘍の治療過程において、または診断アッセイにおいて凝固を促進するのに有用である。Tsは組換え細胞培養物においてまたはインビトロでの方法により生産される。

Description

【発明の詳細な説明】 トロンビン変異体 発明の背景 トロンビンは、凝血において重要な酵素であり、異なる基質特異性に基づいて 、凝固促進および抗凝固の両方の特性を有する。トロンビンは肝臓から、不活性 チモーゲン、プロトロンビンとして分泌され、これは凝固因子VaおよびXaによっ て活性化され、成熟α-トロンビンを生じる。この過程はインビトロにおいても 、様々なヘビ毒液(例えば、Echis carinatus毒)でのプロトロンビンのタンパク 質分解性で開裂によって模倣され得る。 トロンビンはフィブリノゲンのタンパク質分解性開裂により凝固薬として作用 し、最後に不溶解性フィブリン血餅を形成し、凝固補因子であるV因子およびVII I因子をFVaおよびFVIIIaに活性化し、XI因子を活性化XIa因子に開裂(さらなるIX 因子およびX因子の活性化および凝固の不朽化を導く)し、そして血小板トロンビ ンレセプターを開裂して、血小板を活性化させる。他方で、トロンビンが、血管 性内皮細胞上の膜内在性タンパク質であるトロンボモジュリン(TM)に結合した場 合、トロンビンはその凝固促進活性を欠失するなどのコンフォメーション変化を 被り、そして代わりにプロテインC(PC)と呼ばれる血漿タンパク質を、活性化プ ロテインC(aPC)に変換させる能力を獲得する。セリンプロテアーゼであるaPCは 、凝固カスケードにおいて2つの必須補因子である活性化FV(FVa)および活性化F VIII(FVIIIa)を不活性化することにより強い抗凝固薬として作用する。aPCはま た、tPA(組織プラスミノゲンアクチベーター)の主要な生理学的インヒビターで あるプラスミノゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1)を不活性化して、正 常なフィブリン溶解現象を増す。この機構は、損傷部位に血液凝固が局在するこ とを確実にするために作動する。完全にPCを欠損している新生児電撃性紫斑病と 呼ばれる致死的な血栓病の幼児は、本質的に生存しない:PCを部分的に欠損する 数名の患者は再発性血栓症を有する。さらに、aPCの注入を利用した多くの最近 の動物モデルは、外来性aPCが抗血栓症および抗炎症分子であることを示した。 ヒトトロンビンは、約579成熟アミノ酸(潜在的な対立遺伝子変異またはN-末端 微小不均一性を被る)および約43残基のプレ配列のポリペプチド前駆体である、 プロトロンビンから生成される(Degenら、「Biochemistry」22:2087[1993])。この プレ配列は、プロトロンビンの発現および分泌の過程の間に、細胞によってタン パク質分解的に除去される。プロトロンビンはチモーゲン、すなわち不活性なプ ロテアーゼであって、タンパク質分解的開裂によって活性化される。少なくとも 3つの基礎的な部位が開裂を受ける。インビボで、プロトロンビンはVa因子、リ ン脂質、およびカルシウムイオンの存在下でXaによってR271とT272残基(Degenら 、残基番号)との間で開裂され、プレトロンビン2およびフラグメント1.2を生じ る。プロトロンビンはまた、同様のシステムによってR320と1321との間で開裂さ れメイゾトロンビン(meizothrombin)を生じ、順番に自己分解的にR155とS156と の間を開裂してフラグメント1(1-155)およびメイゾトロンビンdes1(156残基 からプロトロンビンのカルボキシ末端に亘るジペプチドに結合し、R323で開裂さ れたジスルフィド)を生じる。最終的に、トロンビンは、R320と1321との間のタ ンパク質分解的開裂によってプレトロンビン2から、またはR271とT272との間の タンパク質分解的開裂によってメイゾトロンビンdes1から生成される。次いで トロンビン自身はT284とT285との間の開裂を自己分解し、成熟A鎖N末端を生成 する。本明細書の目的のために、トロンビンA鎖の成熟N末端残基は「T1a」と命 名され、次にR36aのアルギニン残基まで連続して番号をつける。B鎖は、そのN 末端残基I1(Degen I321)からE259までの番号をつける。この2つのトロンビンペ プチドはC9aとC119との間のジスルフィド結合によって共有的に結合される。 2つの異なる番号をつけるシステムが、DagenらのDNAに基づくシステムに加え てトロンビンのために用いられている。1つ目はキモトリプシノーゲンとのアラ インメント(Bodeら、「EMBOJ」8:3467(1989))に基づく。2つ目は、ワシントン大 学のSadlerおよび共同研究者から贈呈された。Sadlerの番号をつけるスキームは 本明細書中に使用される。このプロトコル下で、トロンビンのB鎖はI1から始ま り、そしてE259まで伸長するが、A鎖は上記のように、T1aからR36aにおけるよ うに、後ろに「a」を記して示される。このトロンビンは、「参照配列トロンビン」 と呼ばれ、この全配列は図1に示される。例えば、Wuら(「PNAS USA」88:6775、 (1991))は、Sadlerスキームに従って番号をつけられたいくつかのトロンビン変 異体を開示する。Wuらの変異体および対応するキモトリプシノーゲンおよびDege nらの残基数は、それぞれ、以下のとおり連続して示される:H43(57,363)、K52( 60f,372)、N53(60g,373)、R62(67,382)、R68(73,388)、R70(75,390)、D99(102,4 19)およびS205(195,525)。 文献においてフィブリノゲンおよびプロテインC活性化のトロンビン結合部位 は重複しているが同一ではないことが公知である。このことは、少数のトロンビ ン変異体(Wuら、前記)に基づく。Wuらは、トロンビンの配列を有するが52位でグ ルタミン酸に置換される(K52E)ポリペプチドは、活性化されたPCの生成において 野生型トロンビンよりも約2.5倍の活性があり、そして野生型トロンビンの正常 フィブリノゲン凝固活性の約17%しか有さなかったことを報告した。逆に、トロ ンビンの配列を有するが70位でグルタミン酸に置換される(R70E)ポリペプチドは 、報告によると、野生型トロンビンのフィブリノゲン凝固活性を有したが、しか し野生型トロンビンのPC活性能の約7%しか有さなかった。Wuらによると、R68E タンパク質は本質的に両方の機能を欠失した。 トロンビンに配列相同性を有する他のポリペプチドについては、以下を参照の こと: 血液凝固におけるトロンビンの中枢の役割は、このタンパク質を血栓処置のた めの薬剤開発の標的とした。努力のほとんどはトロンビンのタンパク質分解活性 の直接的な阻害に絞られ、そして実際に、トロンビンの凝固促進活性の多くのイ ンヒビターが、抗凝固効果を有する(Hirsh、1991;Hirsh、1991a)。しかし、こ れらのインヒビターの効力はトロンビンの抗凝固活性に付随する阻害によって限 定され得る。逆に、抗凝固効果は、トロンビン抗凝固経路の増加または刺激によ って、すなわち、可溶性TMの投与(Gomiら、「Blood」75:1396-1399、1990;および Light,D.,国際公開番号第93/15755号)または活性化プロテインC(「aPC」)の投与 (Dreyfusら、1991;Gruberら、1990;Gruberら、1991;Taylorら、1987)によっ て達成されてきた。このストラテジーは、以前に活性化されたトロンビンから生 じる進行中の凝固を阻害しなかった。 本発明の目的は、増強された生理化学的または生物学的活性を有する新規のポ リペプチドを調製することである。 本発明のさらなる目的は、トロンビンの凝固促進活性および抗凝固活性が実質 上分離され、そして随意にヘパリン介在抗トロンビンIII(AT-III)阻害に耐性の ある新規なポリペプチドを調製することである。 別の目的は、組換え細胞培養で増加した量を発現し得るこのようなポリペプチ ドを獲得することである。 本発明の他の目的は、プロテインC活性またはフィブリノゲンに特異的な基質 であるが、しかし実質的には、通常トロンビンの基質でないポリペプチドをタン パク質分解しない、新規のポリペプチドの提供である。 本発明の別の目的は、トロンビンの凝固促進活性または抗凝固活性のアゴニス トまたはアンタゴニストである物質のスクリーニングに有用な、共有結合的に修 飾された新規のポリペプチドの提供である。 さらなる目的は、プロテインCを活性化するが、実質的には、任意の1つまた はそれ以上のフィブリノゲン、トロンビン血小板レセプター、および/またはXI II因子、V因子、XI因子、またはVIII因子に対するタンパク質分解活性のない、 または減少を有する新規ポリペプチドの提供である。 さらなる目的は、細胞培養物または天然供給源由来のTMまたはaPCのようなト ロンビンと相互作用するポリペプチドの精製に有用な、新規ポリペプチドの獲得 である。 別の目的は、所望の基質に対するトロンビンのkcatおよびKmを含む、トロンビ ンの所望のタンパク質分解活性を少なくとも十分な程度保持する、新規ポリペプ チドの同定である。 さらなる目的において、野生型トロンビンと比べて増強されたPAI-1不活性化 活性を示す新規タンパク質が提供される。 さらなる目的は、血液凝固疾患の患者におけるトロンボモジュリン機能の欠損 を同定する方法の提供である。 他の目的において、血栓病、特に敗血症性ショックに関する血栓病の処置、固 形腫瘍の処置、および創傷用に改良したドレッシング(dressing)の調製、または トロンビンの特性に依存する治療および診断の有用性のために、新規ポリペプチ ドが提供される。 別の目的は、細胞増殖を刺激する、増強されたまたは減少された能力を有する トロンビン(Ben-Sharitら、「PNAS USA」83:976-980(1986))の新規アナログを同定 することである。 本発明のこれらのまたは他の目的は、本明細書を全体として考慮することによ り明白である。 発明の要旨 本発明は、トロンビンの特性が分離されている新規ポリペプチド(以後「NP」と 示す)に関する。すなわち、このポリペプチドが相当程度トロンビンの1または それ以上の所望でない性質を有さないが、トロンビンの1またはそれ以上の所望 の性質をなお保持している。さらに、本発明は標的となるトロンビン残基に突然 変異を生じさせられたNPに関する。 特に、NPの範囲から除外されるのは、公知のアミノ酸配列変異体のトロンビン であり、特に、トロンビンR70E、トロンビンR68E、トロンビンK154A、トロンビ ンK252E、トロンビンK174E、トロンビンR180E、トロンビンD99A、トロンビンD99 N、トロンビンE202Q、トロンビンE25K、トロンビンR245E、トロンビンS205A、R1 97E、D199E、トロンビンN151D、K154E、トロンビンdes P48、P49、W50、トロン ビンdes E146、T147、W148、トロンビンdes T147〜S158、トロンビンの活性部位 内で少なくとも1つのアミノ酸残基が変異した国際公開番号第93/13208号のトロ ンビン、組織プラスミノゲンアクチベーター由来の等価のループによってループ F19〜E25が置き換えられているトロンビンである。しかし、トロンビンK52Eは、 その製造が先行技術によって可能である範囲のみを除外する。活性部位変異体ト ロンビンは、用語「活性部位」が国際公開番号第93/13208号で定義され、そして 開示される範囲のみを除外する。本発明の新規ポリペプチドの範囲から除去され るのはまた、非トロンビンポリペプチドまたはプレプロトロンビンもしくはプロ トロンビンのペプチドを有する公知のトロンビンの機能である。しかし、NPの範 囲から除外されないものは、付加的なアミノ酸置換、挿入、または欠失が行われ た公知のトロンビンを代表するNPである。 新規ポリペプチドの範囲から除外されるものは、ヒトまたは動物由来(天然に 生じる対立遺伝子を含む)で、血液または他の体組織から単離または精製されて いない天然に生じるトロンビンであり、すなわち天然生成物のトロンビンである 。しかし、本発明のNPは、本明細書で意図した変異に加えてトロンビンの参照配 列由来の対立遺伝子変異体を含むことが、理解される。 本発明の特定の実施態様において、本発明者らは、フィブリノゲン凝固に対す るプロテインC活性化の非が野生型トロンビンとは異なる、新規の、タンパク質 分解的に活性なポリペプチドを提供する。特に、本発明者らは、約2つの一般的 なクラスの新規タンパク質を提供する。第1のクラスでは、「プロテインCアク チベーター」または「PCA」と呼ばれ、本発明者らは、2以上の凝固促進活性に 対する抗凝固活性の非を有する新規ポリペプチドを提供する。PCAポリペプチド はプロテインCを活性化し得るが、しかし実質的にはフィブリノゲンを開裂し得 ない。驚くことに、本発明者らの動物における経験的研究より、PCAにおける凝 固促進活性の残余レベルでさえ十分に抑制され、そして蕃種腫性血管内凝固作用 または臨床上不都合な凝固促進応答の形跡は何等生じないことが示された。さら に、本発明者らは思いがけなく、アッセイにおいて検出可能な凝固促進活性は何 等見られないが、しかし実質的にプロテインCを活性化し得るPCAを同定し得た 。従って、本発明の実施態様は、抗凝固治療の必要な被験体に、治療に有効な用 量のPCAで投与することを包含する。 前記の実施態様の拡張において、PCAは、その実質的に抗凝固活性が、予め決 められたトロンビンインヒビター、例えばヘパリンおよびAT-IIIによる阻害に耐 性であるように調製されそして投与される。1つの実施態様において、PCAはイ ンビボでヘパリンと共に投与される。ヘパリンは内因性トロンビンの凝固促進活 性をPCAの抗凝固活性を影響しないで阻害し、それによって強い抗凝固効果を生 じる。本発明のこの実施態様は、投与されたPCAがインビボにおいてAT-III−ヘ パリンクリアランスに耐性であり、それゆえより長い生物学的半減期を示すと予 想されるので付加的な利益を有する。 他の実施態様において、血小板トロンビンレセプターに対し減少されたタンパ ク質分解活性を有し、それゆえ治療用量で血小板を活性化しないPCAが提供され る。10nM以上の、通常は20nM以上の血小板凝集を刺激するためにEC50を有するPC Rが提供される。野生型トロンビンのEC50よりも大きなEC50は、PCAがプロテイン Cを活性化し得る用量で用いられる場合、PCAによる検出可能な血小板凝集を減 少または除去する。 本発明の第2グループの新規ポリペプチドは、「フィブリノゲン凝固タンパク 質」または「FCP」を意味する。これらのポリペプチドは、0.5未満の凝固促進活 性に対する抗凝固活性の非を有する。これらのNPはトロンビンのプロテインC活 性化ドメインに変異を含み、この変異は、生じたポリペプチドの抗凝固活性を野 生型トロンビンの約半分未満に減少するが、フィブリノゲンを凝固する能力を保 持する。これらのポリペプチドは、例えば、診断、準備方法および止血の外科用 品において有用である。本発明のさらなる実施態様は、凝固促進治療の必要な被 験体に、治療に有効な用量のFCPを投与することを包含する。 FCPまたはPCAの任意の可能な開示が先行技術文献において明白である範囲で、 このような先行技術のポリペプチドが、本発明の前記の治療方法において有用で ある。 1つの実施態様において、出願者は、トロンビンポリペプチドのアミノ酸残基 が置換され、欠失され、または1つまたはそれ以上のトロンビン残基W50、K52、 D58、K65、H66、Y71、N74、K106、K107、S176、T177、W227、D193、K196、E202 、E229、R233、D232、D234、K236、Y237、またはF239の隣理に1残基が挿入され たPCAポリペプチドを提供する。 別の実施態様において、出願者はトロンビンポリペプチドのアミノ酸残基が、 置換され、または欠失され、または1つまたはそれ以上のトロンビン残基K21、Q 24、R70、R98、またはK77の隣りに1残基が挿入されたFCPポリペプチドを提供す る。 本発明の別の実施態様は、様々な突発性血栓症疾患の特定の診断を容易にする 。この実施態様は、被験体の血液および血管組織を診断に有効な用量のPCAと接 触させ、そしてその後、被験体の血液の止血パラメーターを測定し、欠損が患者 のaPC経路において存在するかを決定する方法である。 図面の簡単な説明 図1(配列番号1および配列番号2)は、参照配列トロンビン(野生型トロンビ ンともいう)をコードするDNAのヌクレオチド配列、その相補的配列、および参照 配列トロンビンの推定アミノ酸配列を示す。 図2Aおよび2Bは、ウサギにおける組換え野生型ヒトトロンビン(図2A)、およ びK52A PCA(図2B)の活性を比較する。この研究は、新規ポリペプチドが、活性化 PTTアッセイによって測定されるように、野生型ヒトトロンビンと比較して、循 環フィブリノゲンを十分には減少しないが、しかし凝固阻止を誘導し得る。 図3は、K52A PCAが、投与後約150分間まで抗凝固活性を与える、インビボで 有意な半減期を有することを示す。 図4は、カニクイザルにおける本発明の2つの用量の新規ポリペプチド(PCA- 2、E229A PCA)の抗凝固活性を比較する。 図5は、カニクイザルにおける本発明の2つのPCA(K52AおよびE229A)の抗凝固 活性を比較する。 図6は、本発明の2つのNP、K52AおよびE229Aの連続するトロンボモジュリン 依存性を証明する。 図7は、本発明の2つのNPの血小板活性能力が、野生型トロンビンと比較する と実質的に減少されることを示す。 発明の詳細な説明 本発明の新規ポリペプチドは、アミノ酸配列において、参照配列トロンビンに 少なくとも約80%(通常は少なくとも約90%、および好ましくは少なくとも約95% ) 相同であるポリペプチド配列を有するが、しかし本明細書中の他の所に記載する ように参照配列トロンビンでは有されない、重要な質的にまたは量的な特性を有 する。 「相同性」は、2つの配列を並べ、そして最大パーセント相同性を達成するた めに、必要であればギャップを挿入した後、参照配列トロンビンの残基と同一で ある候補アミノ酸配列における、残基のパーセントとして定義される。アライン メントのための方法およびコンピュータープログラムは当該分野において周知で ある。候補配列がこの定義の範囲内に治まるかどうかを決定する目的で使用され または適用され得る1つのコンピュータープログラムは、Genentech Inc.によっ て創作される「Align 2」であり、それは使用者のドキュメンテーションととも にUnited States Copyright Office、Washington、DC 20559に1991年12月10日に 出願された。 アミノ酸配列相同性の計算において、候補配列および参照配列は、並べられた 配列においてギャップで表わされる残基の挿入および欠失により、最大数の並べ られた残基を生成する様式で並べられる。例えば、N末端で細菌のシグナル配列 である異種の20残基と融合するが、しかしトロンビンフラグメントに1つの置換 を有する100残基のトロンビン参照配列フラグメントを含む120残基のポリペプチ ドは、フラグメント配列が1残基の置換および20残基のN末端融合を除いては、 最大に並べられたトロンビン参照配列に正確に対応するので、トロンビン参照配 列に99%相同性であると計算される。このように、候補配列および参照配列のア ラインメント最大化比較が、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の挿入(または 欠失)を明らかにすれば、これらの残基は相同性計算を行う目的のために無視さ れる。 別の例において、本明細書中で用いる名称「E202A NP」は、そのように命名さ れたポリペプチドが任意の以下を含むトロンビンB鎖の部位202にアラニンの置 換を含むことを意味する:成熟ヒトトロンビンB鎖(A鎖がない)、A鎖およびB 鎖の両方を含むヒトプロトロンビン、細菌ポリペプチドとヒトB鎖トロンビンの 融合物、またはヒトトロンビンB鎖の部位202を含むフラグメントであり、これ らの誘導体のそれぞれがプロテインCを活性化し、またはフィブリノゲンを開裂 して血餅を生成し得る能力を保持する、あるいはそのようにプロセスされ得る。 トロンビンA鎖またはB鎖のフラグメント、特にB鎖のフラグメントは、同様に 含まれ、完全なポリペプチドが、少なくともプロテインCを活性化し、またはフ ィブリノゲンを開裂して血餅を生成し得ることを再び提供する。トロンビンのフ ラグメントは、約10、20、30、50、100またはそれ以上の残基に亘る。一般的に 、トロンビンの配列において1つより以上の置換を含むNPはまた、介在トロンビ ン配列を含み得る。 相同性の分析は、任意の1つまたはそれ以上の、NPの発現のために用いる核酸 による配列、インビトロで最初に生成される生成物の配列、または任意の翻訳後 修飾の後の配列に基づく。従って、参照配列および候補配列は、発現するとき同 一であるが、しかし、グルタミン残基がのちにアミノ基を除去されグルタミン酸 になれば、第1候補は100%相同性であるが、アミノ基が除去された配列は相同 ではない。 本明細書の目的のために、「凝固促進活性」は、実施例2.3のフィブリノゲン凝 固アッセイによって測定される活性として定義され、NPおよび対応する野生型ト ロンビンの濃度を標準化するように補正される。 本明細書の目的のために、「抗凝固活性」は、実施例2.4のプロテインC活性ア ッセイによって測定される活性として定義され、NPおよび対応する野生型トロン ビンの濃度を標準化するように補正される。 NPおよびトロンビンの濃度は、任意の適切なアッセイによって測定される。下 記の表1aの報告により、NPおよびトロンビンタンパク質の濃度は、アミド分解( amidolytic)活性から推論されることが生じる。しかし、免疫アッセイはまた、 この目的を満足する。例えば、不死化PPAKは、NPおよびトロンビン、ならびに標 識された抗トロンビン抗体によって検出される結合タンパク質を獲得するために 使用され得る。NPまたはトロンビンが実質的に同質であれば、周知のLowry方法 のような総体タンパク質アッセイが、テストサンプル中のそれらの濃度を決定す るために使用され得る。 「対応する」野生型トロンビンは、分析されるNPが作製された方法と本質的には 同様の方法で作製され、そしてNPに見出される変異が、参照配列トロンビンに見 出される配列に戻されていないNPと同じ配列を有するタンパク質を意味する。 ある実施態様において、新規ポリペプチドは、(a)参照配列トロンビンに対す る増加した抗体と十分に交差反応し得る少なくとも1つの免疫エピトープを有し 、(b)単一のジスルフィド結合によって結合される参照配列トロンビンのAおよ びB鎖に相同な2つの鎖を有し、(c)トロンビン活性部位残基S205、H43、および D99を有し、(d)場合によっては、参照配列のkcatの少なくとも約20%、好ましく は少なくとも約75%、および最も好ましくは等価以上である、フィビリノゲンま たはプロテインCのkcatを有し、(e)場合によっては、参照配列のKm多くとも約1 50%、好ましくは多くとも約100%、および最も好ましくは多くとも約50%、そして 好ましくは少なくとも約75%である、フィブリノゲンまたはプロテインCのKmを 有し、(f)参照配列トロンビンの約50%以上、好ましくは約75%以上、および最も 好ましくは約90%以上である、S-2238の加水分解により測定されるタンパク質分 解活性を有し、そして/または(g)本質的に、参照配列トロンビンよりも広くな い基質特異性を有し、例えば、インビボで参照配列のわずか約150%、および好ま しくはわずか約120%の速さで天然トロンビン基質以外のヒトタンパク質を開裂し 得る。 本発明のPCAは、代表的には(a)参照配列トロンビンに等価または50、25、15、 10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1%未満の凝固促進活性を有し、( b)参照配列トロンビンと比較した場合、約2、3、4、5、6、7、8、9、10 、15、25、または50以上である凝固促進活性に対する抗凝固活性の非を有し、そ して(c)参照配列トロンビンの抗凝固活性に等価、または約5、10、15、25、50 、75、または100%以上である抗凝固活性を有する。 本発明のFCPは、代表的には(a)参照配列トロンビンに等価、または約50、25、 15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1%未満の抗凝固活性を有 し、(b)参照配列トロンビンと比較した場合、約0.5、0.25、0.15、0.10、0.09ま たは0.08未満である凝固促進活性に対する抗凝固活性の非を有し、そして(c)参 照配列トロンビンの凝固促進活性に等価、または約5、10、15、25、50、75、ま たは100%以上の凝固促進活性を有する。 本発明の新規ポリペプチドは、下記の表1または1bに示す任意の参照配列のア ミノ酸残基部位に隣接した任意のアミノ酸残基の置換、欠失、または挿入を包含 する。表1はトロンビン残基がアラニンで置換された研究の結果を示す。置換NP は、参照配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、そして異なるアミノ 酸がその場所の同じ位置に挿入される。分子において、1つのアミノ酸のみが置 換される場合、置換は単一であり得、または2つまたはより多くのトロンビン部 位で2つまたはより多くののアミノ酸が置換される場合、置換は複数であり得る 。表1のカラムは、左から右へ、本発明者らのコード番号、置換した残基、S-22 38加水分解データーの2つのカラム(トロンビンのタンパク質分解活性の測定、 および置換によって引き起こされるコンフォメーション破壊のしるし)、フィブ リノゲン凝固(凝固促進活性の測定)、プロテインC活性(抗凝固活性の測定)、フ ィブリノゲン凝固活性に対するプロテインC活性の非、およびヘパリン依存性AT -III阻害(ヘパリン存在下におけるAT-IIIによる不活性化を阻止するNPの能力の 測定)を示す。本発明者らのシステムにおいて、NP、Mt3およびMt37cの発現は検 出し得なかった。 表1の最も顕著なパラメーターは、PA/FC非である。この非が1.0から変化する ほど、変異体における凝固促進およびPC活性化特性の分離が大きくなる。最も低 い計算値を有する変異体は凝固促機能に捧げられるが、最も高い計算値を有する 変異体は特にPC活性に捧げられる。しかし、さらに、表1で、アラニン以外の任 意のアミノ酸残基、例えば、下記に開示する20の天然に生じる残基の1つを置換 することは本発明の範囲内である。最適な抗凝固治療の有用性のために、NPのPC 活性能力は、少なくとも参照配列トロンビンの約5%、通常は10〜30%であるべき であり、PA/FCの割合を抑制しないので、従って酵素の十分な活性が、生理学的 または診断上の効果を発揮するために存在することを確認し得る。さらに、PCA の絶対的フィブリン凝固活性は、医療上の安全性を確実にするために、理想的に は参照トロンビンの約10%未満、野生型の一般的に約5%未満、および通常は約3 %未満、および好ましくは約1%未満であるべきである。単に、酵素をより多く投 与することによって治療における能力の低さを克服できるので、NPは参照配列ト ロンビンのプロテインC活性化活性と同じレベルを保持する必要はない。これに 関して、E229およびR233のPCAは特に興味が持たれる。 表1で示すアラニン置換に加えて、参照配列トロンビンに他の残基を置換する ことは本発明の範囲内である。配列内に挿入された残基は、一般的に天然に生じ るアミノ酸であり、一般にG、A、Y、V、L、I、S、T、D、E、Q、C、 M、N、F、P、W、K、R、またはH(従来の1字表記を使用;EP第323,149号 )である。挿入に適切な残基はまた、ヒドロキシプロリン、β-化ドロキシアスパ ラギン酸、γ-カルボキシグルタミン酸、ヒドロキシリジン、またはノルロイシ ンを含み、それらの同名アミノ酸残基の代替物として使用される。 これらの置換は、置換する残基が置換される残基に構造的または機能的に類似 を有するので保存性であり得る。他の置換は、残基の異なる構造的または機能的 なクラスの間での交換を構成するので保存性がほとんどない。本明細書の目的の ために、これらのクラスは以下のとおりである:1.正に帯電した:R、K、H ;2.負に帯電した:D、E;3.脂肪族化合物:V、L、I、M;4.芳香族化 合物:F、Y、W;5.小さい:A、S、T、G、P、C;6.電荷を帯びた:R 、K、D、E、H;7.極性:S、T、Q、N、Y、H、W;および8.小さい 親水性:C、S、T。グループ間の置換は、一般的に保存的な(クラス内)置換よ りもタンパク質機能におけるより大きい効果を有する。従って、表1または1b の部位に保存的置換を誘導すること、そして結果が満足させるものでなくても、 その部位に非保存的置換を誘導することは、特に本発明の範囲内である。代表的 には、しかしながら、プロリン、グリシン、およびシステインの配列内への置換 または挿入は、好ましくない。 本発明の目的は、ヒトにおいて最小限に免疫原性または非免疫原性であるNPを 獲得することである。これに関して、KまたはR残基の配列への置換または挿入 は好ましくない。 置換は、好ましくはアラニンの置換によってPA/FC比が2.0以上または0.5未満 となる表1の部位(W50、K52、D58、K65、H66、Y71、N74、E202、E229、R233、D2 34、K21、Q24、R70、R98、およびK77)で作製された。これらの部位の4つ(E229 、R223、W50、およびK52)は、飽和変異誘発のために選択される。さらに、2重 および3重の変異は、様々に部位W50、K52、R233、E229、E202、K106、K107、D1 93、およびK196に挿入された。これらのNPは、組換え細胞培養において、表1の 変異体と同様の様式で調製されそして発現され、そして次に発現レベル、アミド 分解活性、aPCおよびフィブリノゲン凝固活性をアッセイされた。これらの結果 は表1aに示される(「INF」=無限大に接近する;空白のNPはまだ特徴付けされて いない) 表1aのデータは表1に提供されたように得られ、そして活性(タンパク質C 活性化およびフィブリノゲン凝固)は、表1aにおいてNPの特異的アミド分解 活性が対応する野生型トロンビンの75%未満であった場合を除き、アミド分解活 性により標準化され、タンパク質C活性化およびフィブリノゲン凝固のNP活性 値はNPの対応する特異アミド分解活性と掛けることにより訂正された(野生型 の%として示す)。PAおよびFC活性の数値は、両方の表に現れるNPに対し 表1と表1aとの間で異なることが注目される。これは2つの要因の結果である 。第1に、表1aの結果は一般的にただ1回あるいは2回の反復アッセイの結果 を表すのに対し、表1の結果は4つまでの反復に基づく。PAおよびFCアッセ イの変動係数が約10〜20%の範囲にあるので、表1aの結果が同−NPに対する 表1の結果と異なることが予想され得る。第2に、表1aの結果は上記のように 、アミド分解活性が野生型トロンビンの75%未満であった場合、ウエスタンブロ ッティングに基づいてタンパク質濃度が補正された。これは表1aにおける様々 なNP間のより有意義な比較を可能にする。なぜなら、この結果はウエスタンブ ロットにより決定されたのと同一のタンパク質濃度に補正されるからである。表 1のNPの補正はほとんど必要ない。なぜなら、大部分、アラニン変異体は参照 配列トロンビンのタンパク質分解活性の大部分を保持していたからである。 特に顕著なPCAは表1aにおいて同定された;データは少なくともいくつか のaPC活性の保持を示すが、本発明者らのアッセイにおいて検出可能なFC活 性(凝固せずに600秒)の除去を本質的に完了する。これらは二重変異体W50A 、E229AおよびE229A、R233A;および単変異体E229D(これはメチレン基 1つが野生酵素とごくわずかに異なる)E229F、E229S、E229W、E229Y、 R233E、R233G、R233M、R233N、R233S、W50E、W50K、W50C、お よびK52Cである。 表1および1aのPCAはNPのただ1つの代表であり、ここでトロンビン残 基は特に安全で強力なPCAを生産するために変異する。他のこのようなPCA は本明細書に記載の方法あるいは当業者に自明の他の方法により容易に同定され る。例えば、変異の多様な部位は活性の加成性により選択され、そしてアラニン 走査により同定された他の有望な部位は、最適な改変を選択するための飽和変異 誘発の対象とされる。所望の凝固促進特性および抗凝固特性を有する他のNPが うまく同定され得ることは自明であるので、それらを同定し、単離することのみ がルーチン実験の問題である。 表1および1aから、E229およびR233はPCAにとって鍵となる残基である ことが明らかである。E229あるいはR233とのファンデルワールス接触している トロンビン残基、E229あるいはR233付近の残基、およびR233およびループ( E229を含む)を含むドメインと接触する残基の改変は、E229あるいはR233の 直接置換(E229あるいはR233の部位あるいは配向の変化を引き起こすことによ り、あるいは通常E229あるいはR233と関連する分子内相互作用を破壊すること により)と類似の方法でフィブリノゲン凝固およびタンパク質C活性に影響し得 る。その置換がE229の置換を擬態し得る残基を同定するために、トロンビンの 3次元構造(Bode,W.ら、EMBO J.8:3467:3475(1989))においてE229に極めて接近 している残基をマッピングした。そのCαがE229のCα周囲の10Å範囲内にあ る残基を下の表1bに示す。 この分析により独立に同定される部位の1つはR233であり、それは表1aに 報告されている結果によりPCA特異性において重要な役割を果たしていること が示される。3つの他の部位は表1aに報告されている最初のスクリーニングに おいて同定され、そしてそれらは3つともすべて1より大きいPA/FC比を生 じ、aPC活性に対するトロンビンの基質特異性の分離におけるこのドメインの 道具的役割を再び確かにする。従って、残基が表1bに示す残基のどれか1つあ るいはそれ以上に隣接して挿入されるか、残基のどれか1つあるいはそれ以上に ついて置換されるか、あるいは残基のどれか1つあるいはそれ以上で欠失される NPを調製することは、本発明の範囲内である。特に、E229CαあるいはR233 Cαの10オングストローム内にある残基は特に問題の残基であり、8オングスト ローム内の残基はなおより問題の残基である。しかし、C201およびC231は、そ れらが天然トロンビンにおいてジスルフィド結合を形成して対合するので、好ま しい部位ではない。G228、G230、G235、およびG238もまた好ましくない。従 って、置換、挿入あるいは欠失に対して好ましい表1bの残基はS176、T177、 W227、D232、K236、Y237、およびG239である。表1bの残基の置換は欠失 あるいは挿入よりも好ましく、そして天然残基が属するクラスと異なるクラスの メンバーとなされるか、あるいは置換は、天然残基のクラスの他のメンバーによ りなされ得る。しかし、一般的に、システイン、プロリン、およびグリシンは表 1bの残基のいずれにも置換されない。R233の10オングストローム残基は多数 のE229近接残基と重複し、そして重複しない付加残基はBodeの3次元構造(引 用文献中)を用いて容易に同定される。 PCAポリペプチドは一般的に、1つあるいはそれ以上の次のトロンビン部位 の残基が対応する参照配列残基と置換されるポリペプチドである:K52、K65、 Y71、N74、W50、D58、H66、E202、E229、D234、およびR233。残基K52 、K106、K107、K196、および/あるいはK65は独立して、好ましくは天然に 存在するアミノ酸残基(例えば、G、A、V、L、I、S、T、D、N、E、Q 、C、M、F、Y、P、W、R、あるいはH)で置換される。K52は通常、シス テイン、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アスパラギン、 あるいはグルタミンで、いくつかの例ではグルタミン酸と異なる天然に存在する ア ミノ酸残基で、あるいは他の実施態様では、グルタミン酸あるいはアスパラギン 酸と異なる残基で置換されるが、K65、K106、K107、および/あるいはK196 は代表的に、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタ ミン、アルギニン、あるいはヒスチジンで置換される。 Y71は好ましくは、天然に存在するアミノ酸残基(例えば、G、A、V、L、 I、S、T、D、E、Q、C、M、N、F、P、W、K、R、あるいはH)、代 表的にはフェニルアラニン、トレオニン、セリン、イソロイシン、あるいはトリ プトファンで置換される。 N74は好ましくは、天然に存在するアミノ酸残基(例えば、G、A、V、L、 I、S、T、D、E、Q、C、M、F、P、W、K、R、あるいはH)、代表的 にはアラニン、グルタミン、グルタミン酸、あるいはアスパラギン酸で置換され る。 W50は好ましくは、天然に存在するアミノ酸残基(例えば、G、A、V、L、 I、S、T、D、E、Q、C、M、F、P、N、K、R、Y、あるいはH)、代 表的にはシステイン、アラニン、フェニルアラニン、リジン、アルギニン、ある いはヒスチジンで置換される。 D58、D193、および/あるいはD234は独立して、好ましくは、天然に存在す るアミノ酸残基(例えば、G、A、V、L、I、S、T、W、E、Q、C、M、 F、P、N、K、R、Y、あるいはH)、代表的にはアラニン、グルタミン酸、 グルタミン、アスパラギン、チロシン、トレオニン、あるいはセリンで置換され る。 H66は好ましくは、天然に存在するアミノ酸残基(例えば、G、A、V、L、 I、S、T、W、D、Q、C、M、F、P、N、K、Y、E、あるいはR)、代 表的にはアラニン、リジン、アスパラギン、グルタミン、トレオニン、ヒスチジ ン、あるいはセリンで置換される。 E202および/あるいはE229は独立して、好ましくは、天然に存在するアミノ 酸残基(例えば、G、A、V、L、I、S、T、W、D、Q、C、M、F、P、 N、K、R、Y、あるいはH)、代表的にはアラニン、アスパラギン酸、フェニ ルアラニン、トリプトファン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、チ ロシン、あるいはセリンで置換される。 R233は好ましくは、天然に存在するアミノ酸残基(例えば、G、A、V、L 、I、S、T、W、D、Q、C、M、F、P、N、K、E、Y、あるいはH)、 代表的にはアラニン、リジン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、トレ オニン、ヒスチジン、あるいはセリンで置換される。 前述の組み合わせを表すNPは本発明の範囲内にある。前述からの2、3、4 、5、あるいはそれ以上の置換は本明細書に定義されるようにトロンビンへ導入 される。個々のアミノ酸置換の結果は、残基が直接的あるいは間接的に互いに相 互作用する場合を除き、通常相加的である。本発明者らはさらなるPCAが上述 の11の鍵となる残基(W50、K52、D58、K65、H66、Y71、N74、K106、K1 07、D193、K196、E202、E229、R233、D234)の組み合わせにおける多重置 換から得られると考える。それらは、改良された特性、特に抗凝固活性に関する 凝固促進活性の低下の増大を有するPCAを同定するために下述と同一の手法を 用いて容易にスクリーンされる。それらは例えば以下を包含する;E229、R233 、D234;E229、R233; A、V、I、L、S、T、W、D、Q、C、M、F、Y、P、N、K、E、また はH;E229P、R233G、A、V、I、L、S、T、W、D、Q、C、M、F、 Y、P、N、K、E、またはH;E229K、R233G、A、V、I、L、S、T、 W、D、Q、C、M、F、Y、P、N、K、E、またはH;E229R、R233G、 A、V、I、L、S、T、W、D、Q、C、M、F、Y、P、N、K、E、また はH;E229H、R233G、A、V、I、L、S、T、W、D、Q、C、M、F、 Y、P、N、K、E、またはH;およびE229W、R233G、A、V、I、L、S 、T、W、D、Q、C、M、F、Y、P、N、K、E、またはH。 参照配列において示された表1、1a、あるいは1bの部位のいずれかでトロ ンビンアミノ酸のすぐ付近に挿入された1つあるいはそれ以上のアミノ酸を有す るNPは、本発明の範囲内に包含される。挿入NPは通常、配列NH2-PP-A-(X)n1 -B-PP-COOH(ここでXは挿入された残基(これは同一であり得るか、あるいは異 なり得る)であり、n1は整数であり、AあるいはBのどちらかは挿入について 示された残基部位であり、そしてPPはNPの残りあるいはNPのNあるいはC 末端での結合を表す)を含有するポリペプチド構造を有する。例はK52AA、R 233RA、K52KA、K52AK、E229AE、E229EW、E229WE、E229EY 、E229YE、G228GE、G228GA、G228GS、G228GAA、G228GAE、 G228GSE、G230GA、G230GS、G230GAA、およびE229EA(Nから C末端方向へ読み取り)を包含する。挿入は代表的には、E229の約10オングス トローム内および表1bのいずれかの残基付近に見出される。挿入は1から約10 00あるいはそれ以上の残基の範囲のトロンビンあるいは非トロンビンポリペプチ ドを包含するが、これらは代表的には、NP A鎖および/あるいはB鎖のNあ るいはC末端において導入される。これらのポリペプチドは、プロトロンビン配 列あるいはそれらのフラグメント(ヒトまたは動物由来)、細胞培養物からのN P生産物のイムノアフィニティー精製のための抗原配列、シグナル配列および以 下により詳細に記載される類似物を包含する。 1つあるいはそれ以上のアミノ酸残基の置換、挿入、あるいは欠失によりグリ コシル化部位が参照配列から導入あるいは除去されているNPもまた、本発明の 範囲内に包含される。このような変化は配列NXSあるいはNXT(ここでXは いずれかの残基であり得る)の設置あるいは除去を生じる。従って、アスパラギ ンはセリンあるいはトレオニンの2残基N末端側に部位するいずれかの残基と置 換され得、グリコシル化部位を導入する。さらに、N53での野生型トロンビンの 単一グリコシル化部位は、N53をいずれかの残基で置換すること、F54を欠失さ せること、セリン以外のいずれかの残基をT55と置換すること、あるいは少なく とも1つの残基をN53とT55との間に挿入することにより省かれ得る。 欠失NP(すなわち、NPにおいて、参照配列の1つあるいはそれ以上のアミ ノ酸残基が示された部位で除去され、それによって隣接残基が常法によりペプチ ド結合により結合されている)もまた本発明の範囲内に包含される。表1あるい は1bに示す部位のいずれもが欠失に適するが、一般的にP、C、あるいはG残 基を欠失させることは好ましくない。さらに、トロンビンA鎖は全体的に、必要 に応じてNP実施態様において欠失される。本発明の実施態様において、欠失は E229の約10オングストローム内で行われ、そして表1bのいずれもの残基、好 ましくはA200、E202、Y237、I179、R178、E146、およびS226を包含する 。 代表的に、欠失あるいは挿入は比較的小さい(1〜10残基のオーダーおよび通 常2にすぎない)が、欠失あるいは挿入は、それらが、場合に応じるが、凝固促 進活性あるいは抗凝固活性について要求される参照配列の部分に存在しない場合 、あるいは付加配列が特定の部位で翻訳後あるいは回復後プロセシングの間に除 去される場合、非常に大きくなり得る。一部分欠失あるいは挿入される残基の数 は、それらが2次構造成分(例えば、らせんあるいはシート)に見出されるか( そこでは、1つのみの残基、あるいは好ましくは2つの残基が挿入されるかある いは欠失される)、あるいはそれらがより構造的に制限が少ないドメイン(例え ば、ループ)に存在するか(ここでは、多数の残基がトロンビンの構造を過度に 混乱させずに欠失あるいは挿入され得る)に依存する。 欠失、挿入、および/あるいは置換の組み合わせを有するNPもまた、本発明 の範囲内に包含される。代表的に、単一残基の欠失には欠失部位の1〜約3残基 内での挿入が伴われる;場合に応じるが、凝固促進活性あるいはaPC活性につ いて必要でないより大きいドメインの欠失は挿入が伴われる必要がない。トロン ビンA鎖は必要じ応じてNPから欠失されるが、この場合通常A鎖(C119)と ジスルフィド結合を形成するB鎖システイン残基はB鎖から置換あるいは欠失さ れる。C119での代表的な置換はR、G、A、V、I、L、S、T、W、D、Q 、M、F、Y、P、N、K、E、あるいはHのいずれかであるが、通常S、M、 あるいはAである。NPの発現あるいは回復を容易にするために使用される大部 分の挿入は、NPに所望される特性(例えば、抗凝固あるいは凝固促進効果)を 与える参照配列における他の改変が当然伴われる。 本発明のNPは、翻訳後共有結合的改変(例えば、アスパラギンあるいはグル タミンの脱アミド化、あるいはシステイン残基の酸化)、および変異体を発現す るために使用される宿主細胞に依存してN53における不在あるいは変異グリコシ ル化を受け得る。このような改変を含むNPは本発明の範囲内に包含される。N 53がグリコシル化される場合、それは好ましくは哺乳類の細胞に特徴的な炭水化 物でグリコシル化されるが、それはまた真菌(例えば、酵母)グリコシル化様式 を有し得る。線維芽細胞、腎臓、肺、皮膚、神経、肝臓あるいは骨髄細胞あるい は細胞株由来のNP、あるいはいずれかの哺乳類細胞株(例えば、CHO細胞あ るいは初期腎臓細胞)のNPの発現に特徴的なグリコシル化が容認され得る。 インビボでのトロンビンクリアランスの1つの主要機構はトロンビン−AT− III複合体の形成であり、これは細胞表面ヘパリン様分子に大きく依存する。本 発明者らは変異トロンビンのヘパリン結合部位がヘパリン結合を妨げ、そしてそ れによってタンパク質の血漿半減期を延長すると考える。臨床上、これは抗血栓 効果を達成するために要求されるタンパク質の量を減少させる。本実施態様にお いては、ヘパリン結合部位が変異され、従ってNPはもはや実質的にヘパリンと 結合し得ない。これには、少なくとも既知ヘパリン結合ドメイン(R89、R180 、R245、K248、およびK252を包含する)において、1つあるいはそれ以上の 残基の欠失、置換、あるいは挿入が伴われる。耐NPは結合領域(例えば、R18 0N)への新規O−あるいはN−結合グリコシル化部位(NXS/T)の導入を 生じる置換あるいは挿入を包含する。 表1は、2つの変異体(各々が3重アラニン置換を含む)がAT−IIIによる ヘパリン媒介阻害に対して耐性であり、ヘパリン存在下で野生型トロンビンの18 %と比較して50%より大きなフィブリノゲン凝固活性を示したことを示す。R1 78、R180、およびD183の同時置換を含むこれらの変異体の1つは、凝固促進活 性あるいは抗凝固活性において減少を示さなかった。最適な変異体は、特に抗ト ロンビンIII存在下において、ヘパリン媒介阻害に対して最も耐性である変異体 のスクリーニングにより同定される。この型の変異体は必要に応じて上述の変異 (例えば、抗凝固活性と比べて凝固促進活性における減少を示す変異体)と組み 合わされる。このようなNPはヘパリンと組み合わせて投与されて、強力な抗凝 固効果達成する(ここで抗凝固経路はNPにより活性化され、そして内因性トロ ンビンの凝固促進活性はAT−IIIによるヘパリン媒介阻害により阻害される) 。 NPの調製および選択 最適NPは、フィブリノゲンまたはaPCの凝固調節、ヘパリン阻害の減少、血小 板トロンビンレセプターの分裂能の改変、および他の望ましい性質を表すが、こ れを本明細書に記載のような適切なインビトロアッセイによって候補をスクリー ニングすることにより同定した。次に所望のように動物で試験し、続いて血栓症 または出血モデルにおける効力を決定した。外因性のaPCをポジティブコントロ ールとして使用し得る。次に、任意に選択されたNPを、aPC注入が効果的である と示された動物モデル(例えば、ウサギ、モルモット、またはヒヒの敗血症ショ ックあるいは動脈血栓症モデル)で直接試験した。その上、これらのNPの抗凝固 性効力を、心肺バイパスモデルで試験し得る。これらのアッセイは、当該分野で 慣習的であり周知である。本明細書に特別に開示されたNP以外の他のNPを作り試 験するために、過度の実験は必要ではない。 本発明のNPは、当該分野で公知の方法により容易に調製し得る。一般的には、 NPをコードする核酸は、PCR、インビトロ合成、クローニングまたはこれら3つ の組み合わせによって調製され、必要であればトロンビンをコードする核酸の部 位特異的変異誘発を包含する。それは、インビトロ系または組換え宿主細胞で発 現される。1つの発現方法は、専用のtRNAを使用したリボゾームを基にした合成 (Benner、"TIBTECH"12:158〜163[1994]およびRobertsonら、"J.Am.Chem.Soc."11 3:2722〜2729[1991])である。しかし通常は、NPをコードする核酸(一般的にはD NA)は適当な発現ベクターに挿入され、宿主細胞は組換えベクターでトランス フェクトされ、この組換え宿主細胞は適切な培養培地で増殖され、そして望まし いアミノ酸配列NPが組換え細胞培養物からクロマトグラフィー法または他の精製 法によって回収される。組換え細胞培養においてまたはインビトロの方法によっ てNPを部分合成し、そして次にペプチドリガーゼによってポリペプチドフラグメ ントを結合すること(逆タンパク質分解合成)もまた本発明の範囲内である。 NP発現のための核酸は、代表的には望ましい変異を含むプレプロトロンビンを コードする。なぜならこれは、これまでトロンビンに使用されてきた方法によっ て容易な発現および生産を可能にするからである。その上、「グラドメイン欠損 (gladomainless)」プロトロンビンの組換え発現の公知の方法は、本発明のNPの 調製に容易に適用される。以下の任意のNPアナログをコードする核酸を発現する ことは、本発明の範囲内である。(a)プレトロンビン−2(α-トロンビン)また はプレトロンビン−1、(b)メイゾトロンビンdeslの両鎖の配列(これは、S156( Degenら)からB鎖をコードする核酸の3'末端まで広がる単一の鎖として発現さ れるか、またはS156フラグメントおよびトロンビンB鎖を別々にコードする核酸 として同時に発現されている)、(c)トロンビン(これは、A鎖およびB鎖の両 方をコードする単一の鎖として発現されるか、またはA鎖およびB鎖を別々にコ ードする核酸として同じ細胞で同時に発現されている)、あるいは(d)A鎖のな いトロンビンB鎖。「別々にコードする」によって、A鎖およびB鎖をコードす る核酸が、少なくとも終止コドンによって分けられていて、必要であれば下流の 核酸(通常はB鎖)が開始コドンで始まることが意味される。しかし、細菌のポ リシストロン性発現カセットは、下流コード配列の開始コドンを必要としないこ とに注意されたい。2つの鎖の独立した発現に適切なベクターおよび宿主細胞は 、米国特許第4,923,805号に記載されている。これらのヘテロ二量体発現系は、 一般に哺乳動物である。 ポリシストロン発現系は、前記の2つのトロンビン鎖を含有する配列の単細胞 同時発現に有用である。これらの系はそれ自体が知られており、そして本明細書 のように、細胞培養でNPのA鎖およびB鎖を独立に作り、それによって転写後プ ロセシングのいかなる必要性をも避けることが望まれている場合、特に有用であ る。この例では、一般に両鎖は同一の発現制御配列の指令下で発現される(ここ で、鎖および発現制御配列は同じベクターまたは違うベクターに存在し得る)。 しかし、各鎖をコードする核酸は、必要に応じてそれ自身の開始コドンを含有し 、そして好ましくはそれぞれの核酸はそれ自身のシグナル配列をコードする。 任意のNPは、α-トロンビンまたは別々のA鎖およびB鎖の前タンパク質とし て発現され、それによりNPは、成熟NPにプロセスされ、そして宿主細胞から分泌 される前駆体として発現される。本明細書中で使用される前配列またはシグナル 配列は、通常はトロンビン遺伝子源に関連する天然の前配列(例えばヒトのプレ プロトロンビンの前配列)、または配列または起源がプロトロンビンシグナルと 異種であるアミノ酸配列を有する前配列を包含する。適切な前配列は以下の前配 列を包含する。(a)サブチリシン(subtilisin)のような微生物のプロテアーゼ、( b)トリプシン、キモトリプシンのようなヒトプロテアーゼ、ウロキナーゼまたは tPAを包含する血栓溶解酵素、およびV因子、X因子、IX因子、VII因子、VIII因 子またはフィブリノゲンのような血液凝固因子、(c)γ-インターフェロンまたは インターロイキンのようなサイトカイン、(d)成長ホルモンまたはTGF-αのよう な成長因子、(e)ヒトトロンビンA鎖またはB鎖に相同であるN末端成熟配列を 有するポリペプチドまたはタンパク質、(f)免疫グロブリン、(g)レセプター、(h )他の分泌タンパク質または細胞膜結合タンパク質の前配列、または(i)glaドメ イン欠損プロトロンビンの分泌を行わせるのに使用される公知の前配列(国際公 開番号第93/13208号の11頁30行〜12頁21行)。任意のシグナル配列は、宿主細胞 、あるいは少なくとも宿主細胞の属する系統枝に由来するかまたは相同である。 例えば、通常、酵母発現系では接合因子のような酵母タンパク質の前配列を、細 菌培養系ではST-IIまたはβ-ラクタマーゼのような細菌タンパク質の前配列を使 用する。成熟トロンビンのA鎖およびB鎖と同一である成熟N末端を有する異種 由来のポリペプチドからシグナルを選択し、そしてこれらのシグナルをN末端相 同トロンビン鎖に使用することが望ましい。幅広い種々の適切なシグナル配列が 知られており、そして本明細書に記載のNPの調製法に使用され得る。 分泌されるNPをコードする核酸構築物は、一般に、同じまたは異なるシグナル 配列の正常なC末端にN末端で融合しているトロンビンA鎖またはB鎖をコード する。これらは、当該分野で一般に公知のようにプロモーター、オペレーター、 エンハンサー、およびポリアデニル化配列のような発現制御配列の制御下の発現 ベクターに挿入することができる。本発明のNPを分泌するかまたは原形質に発現 するための適切な発現ベクターを構築することは、当業者には慣例の事であり、 インビトロでの核酸合成、PCR、アダプター、リガーゼ、制限酵素、発現プラス ミドおよびシャトルプラスミド、トランスフェクション補助器具などを包含する 分子生物学の従来の手段を使用して成し遂げられ、これら全ては公に(および大 部分は商業的に)入手可能である。 所望のNPをコードする核酸でトランスフェクションするのに適切な宿主細胞が 周知であるように与えられた組換え宿主細胞で、NPの発現に使用するために適切 なプロモーターまたはエンハンサー、ターミネーション配列および他の機能性も 周知であり、それらの内いくつかは上に言及したが、他は国際公開番号第93/132 08号の12頁21行〜19頁5行、および欧州特許第319,312 B1号の16頁10行〜18行お よびその表IIに記載されている。NPをグリコシル化し得る宿主細胞が最適であり 、代表的には腎臓初期胚293細胞(embryonic kidney 293 cells)、COS細胞、CHO 、BHK-21細胞などのような哺乳動物細胞を包含する。さらに、組換え細胞培養中 でタンパク質分解酵素またはチモーゲンを発現するためにこれ以前に使用された 宿主細胞、または非組換え培養中でこれらの酵素またはチモーゲンを高レベルに 発現することがすでに知られている宿主細胞が適切である。後者の場合、内在性 の酵素またはチモーゲンをNPから分離することが難しければ、その場合内在性の 遺伝子を相同組換えによって取り除くか、または望ましくないポリペプチドをコ ードするRNAに相補的なアンチセンス配列をコードする核酸で宿主細胞を同時に トランスフェクトすることによってその発現を抑制しなければならない。この場 合、最適に内在性の高発現遺伝子に使用される発現制御配列(例えば、プロモー ター、エンハンサー、など)は、NPの発現制御に使用される。 宿主−ベクター系は、実質的に均一なNPを生ずるように選択されるべきであり 、それにより他のNPのイソ型から単一の分子種を精製する必要を避ける。従って 、細胞がグリコシル化され得る場合、本質的に全てのNP分子はグリコシル化され るべきである。さらに、トロンビンA鎖およびB鎖の鎖間を開裂し得るタンパク 質分解活性が(適切な細胞区画に)欠けている宿主細胞が最適に選ばれるべきで あ る。細胞は、例えばペリプラズムにトロンビンB R62、R123、R73、またはK154 (これら全てのものはB鎖の分解される位置として知られている)の後で開裂す るプロテアーゼを何も含まない細胞が選択され得る。例えば、E.coliおよび他の 微生物株は、ほとんどあるいは全く細胞外またはペリプラズムにタンパク質分解 活性(シグナルペプチダーゼを除く)を有さないことが知られている。これらの 細胞は、A鎖およびB鎖が同じまたは異なったシグナル配列に融合して同じ宿主 細胞で発現される発現系に使用され得る。A鎖およびB鎖は、ペリプラズムまた は細胞外培地に同時に分泌され、ここではそれらはジスルフィド結合するように なる。心身に有害なプロテアーゼの不在は、宿主内在性のプロテアーゼが生産物 NPに作用することにより鎖長が微外因性に(microheterogenous)されたようには この生産物を微外因性にしないことを確実にする助けとなるが、もちろん独立の A鎖およびB鎖の分泌はこのような細胞の使用に依存しない。さらに、またはそ のかわりに、A鎖およびB鎖のタンパク質分解開裂部位である基本残基は、Kま たはR以外の残基で置換される。例えば、K154は、γ-トロンビンの変換の開裂 部位の1つであることが報告された(Colmanら、"Hemostasis and Thrombosis"、 154頁(1987))。上の表1は、K154が活性を有意に変化させずにAで置換され得る ことを示す。よって、K154は、タンパク質分解への(さらに、望まれる全ての他 の変化に対して)耐性を与えるためにR以外にも別の残基で置換され得る。これ はまた、NPのインビボ寿命にも広げ得る。 組換え細胞は、これ以前に問題の細胞に用いられた従来の培養培地を使用して 、従来の条件下で培養される。これらの条件および培地は周知である。新たにト ランスフェクトされた細胞は、一時的にNPを発現し得るだけである。しかし安定 した形質転換体は、DHFRまたはグルタミンシンセターゼのような選択遺伝子によ る同時形質転換、およびそれぞれメトトレキセートまたはメチオニンスルホキシ ミンのような選択剤存在下での一連の培養を使用する慣例的な実施により容易に 得られる。NPの収量は、置換物または挿入物の性質の小さな違いにも関わらず、 実質的に異なり得る。これらの場合、同じ発現系で得られる参照のトロンビンの 少なくとも75%のトロンビン量を生ずる発現系をスクリーンすることが望ましい 。通常の37℃より低い温度で、代表的には10℃から30℃で、最適には約15℃から 2 7℃で細胞を培養することが時として有用である。これは、微生物または哺乳動 物細胞のいずれかを用いる場合である。 好ましくは、NPは、正しく会合し、ジスルフィド結合したトロンビンA鎖およ びB鎖アナログとして、またはB鎖アナログ単独として発現される。一般に、NP は水溶性である。NPは、微生物中で屈折体の形で発現し、この場合、不溶性のNP は回収され、そして公知の方法(例えば、グアニジニウムヒドロキシクロライド への溶解に続く段階的な変性の除去)を使用して再び折り畳まれる。直接発現さ れる本発明のNPは、N末端に余分のメチオニンまたはブロックされたメチオニン 残基を有するが、このような付着したメチオニン残基を開裂して取り去ってしま い得る宿主細胞が用いられ得る。 A鎖およびB鎖が融合されている場合、例えば、NPがα-トロンビンアナログ として発現される場合、タンパク質分解的に活性なNPに対する前駆体チモーゲン を活性化するために転写後タンパク質分解性プロセシングが必要とされ得る。こ のような前駆体は、天然に生ずるプロトロンビンに類似しているかまたは、シグ ナル配列の場合のようにトロンビン異種ポリペプチドと1つまたは両方のNP鎖と の融合であり得る。タンパク質分解性活性化および/またはプロセシングは、宿 主細胞培養物自体によって成し遂げられるか、またはNP前駆体(NP前駆体の精製 が間にあろうと無かろうと)の回収後に成され得る。転写後タンパク質分解性プ ロセシング(宿主細胞培養内で、またはNP前駆体の最初の回収後のいずれか)は 、NPのA鎖またはB鎖のN末端に融合し得るか、またはNP前駆体内のどこかに挿 入された任意のプロトロンビン(またはプロトロンビン-異種)配列(例えば、 精製を容易にするために使用した抗原タッグ)を取り除くために使用される。NP 前駆体は、NPのA鎖およびB鎖内に過剰なまたは望ましくない加水分解を起こさ ずに、正確な開裂を行い得る1つのまたは多くの酵素によって加水分解される。 プロ配列を取り除き、そして天然のプロトロンビンを活性化するための一般的に 適切な酵素は、Echis carinatus(鋸大のクサリヘビ)の毒物に見出される。因 子Xaもまた、NP前駆体を活性化するのに有用である。タンパク質分解性の活性化 は、NP成熟B鎖あるいは同時に発現される個々の成熟A鎖およびB鎖によって必 要とされない。 NP前駆体のタンパク質分解性活性化は、トロンビン活性化ドメイン(因子Xa開 裂部位)を、異なるプロテアーゼまたはトロンビン自体によって認識され開裂さ れる別の配列で置換することにより容易になる。本発明のNPに使用するための適 切に置換された活性化部位は、国際公開番号第93/13208号の9頁21行〜10頁17行 に記載されている。国際公開番号第93/13208号で注目されたように、プロトロン ビンのトロンビン活性化部位の酵母KEX2部位による置換は魅力的である。なぜな ら酵母がKEX2を発現し得、従って、活性化部位でトロンビン前駆体を内因的に開 裂し得るためである。トロンビン活性化ドメインと適切に置換される他の配列は 、欧州特許番号第319,312B1号の表1に開示されている。これらは、NPまたはそ の前駆体の細胞培養プロセシングの一部として、細胞膜結合性プロテアーゼによ って開裂される。 タンパク質分解性活性化は、NPまたはその前駆体の発現または精製の任意の時 点で達成され得る。しかし、代表的には細胞および/または細胞培養上清からの NP前駆体の精製後に行われる。RまたはK残基のトロンビン配列への挿入または 置換によって得た新しい二塩基部位を含有するNPは、天然のトロンビンを開裂し ない酵素による加水分解に感受性であり、それによって発現または活性化の間の 収量が多少減少することに注意されたい。この場合、2次的な開裂を減少させる ように発現系および/または異なる基質特異性を有する活性化酵素の選択が望ま しい。 組換え宿主細胞培養からのNPの収量は、培養条件およびNPの性質を包含する数 多くの因子に依存して変化し得る。最適には、培養物からのNPの収量(重量)は 、参照のトロンビンの約半分以上高く(および好ましくは75%以上は高く)ある べきである。 NPを含有し、活性化され、組換え細胞の濃縮された馴らし培地をこれ以上の精 製を行わずに診断的に使用することが可能である。しかし、治療的使用を意図す るNPは、これ以前にトロンビンおよび他のタンパク質に用いられた方法により単 離または精製されるべきである。例えば、未変性または変性/SDS電気泳動、等電 点電気泳動、固定化pH勾配電気泳動、塩析、溶媒分画(solvent fractionation) (例えば、エタノールを使用した)およびゲル濾過、イオン交換(陽イオンまた は陰イオン)、リガンド親和性(cibacron blue F3GAまたはp-アミノベンズアミ ジン)、免疫親和性、等電点クロマトグラフィー、逆相または疎水性相互作用ク ロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーである。適切な方法は、Colmanら の"Hemostasis and Thrombosis"、148頁(1987)および本明細書中に引用した参考 文献、国際公開番号第93/13208号の19頁33行〜21行25行および他の従来の情報源 に開示されている。活性化酵素(存在すれば)は、固定化し得るか、または続く 精製工程で取り除かれ得る。代表的には、NPは、タンパク質の重量で95%以上に 、好ましくは99%以上の純度となるように単離され得る。 NPまたはそのフラグメントもまた、特に比較的小さい場合、例えば約30残基以 下の大きさであれば、インビトロで調製される。しかし、大きくて完全なNPもま た、インビトロのプロセスで調製される。例えば、小さめのNPは、Merrifield"J .Am.Chem.Soc."85:2149(1963)に記載されたように標準的固相ペプチド合成手順 を使用した合成によって調製される。次にそれらはペプチドリガーゼ(逆タンパ ク質分解)によって互いに結合される。インビトロのタンパク質合成方法はまた 、組換え細胞培養を必要とせずにNPを調製するために使用される。これらの方法 は、小規模の調製に有用である。そして、宿主細胞のプロテアーゼ収量に及ぼさ れ得る効果を減少させるという有利性を有する。インビトロのNPタンパク質合成 は、NPに天然には生じないアミノ酸残基の部位特異的導入を可能にするというさ らに別の極めて実質的な有利性を有する(Benner、およびRobertsonら、上記)。 よって、本明細書で「アミノ酸残基」という用語を(特に1アミノ酸による置換 または挿入によるトロンビンの改変に関連して)使用する場合は、アミノ酸は、 天然のtRNAに関係した天然に生じる残基に限定されないことを理解されたい。Ro bertsonらにより注目されたように、アミノアシルtRNAは、様々な天然に生じな いアミノ酸を使用することにより効率的に調製される(「天然に生じない」は、 アミノ酸は天然の生物系に見出され得るがタンパク質では天然には見出されない ことを意味する)。tRNAは、タンパク質合成に関する通常の任意のtRNAによって 認識されないコドンで取り込まれるように選択したので、天然に生じないアミノ 酸残基は、ユニークなコドンゆえに選択されたNP配列内の特定の部位でのみ取り 込まれる。従って、これらの場合NPは、望ましいユニークな挿入部位または置換 部位 にナンセンスコドン(例えばUAG)を有する核酸によってコードされる。適切に 取り込まれた天然に生じないアミノ酸は、例えばGreensteinらの"Chemistry of the Amino Acids"Vol.1〜3、1986に記載されている。一般に、天然に見つかる が通常はタンパク質に取り込まれない薬学的に無害のL-アミノ酸を使用する。こ れらのアミノ酸は代表的に、所定の部位で所望の効果を生みだす天然に生じる残 基に構造的に関係し、そしてNPの望ましい性質をさらに解明し最適化するために 使用され得る。 本発明のNPはまた、最初にNPを調製する目的のために、あるいは本明細書の中 に記載のようにアミノ酸の置換、挿入または欠失によって調製されたNPの二次的 な改変としてのいずれかにより非ペプチジル部分で置換されたトロンビンを包含 する。NPそれ自体は、トロンビンまたはその構成鎖またはサブフラグメントの共 有結合修飾によって調製される。本発明者らはトロンビンの凝固促進性機能およ び抗凝固性機能に関係した数多くの鍵となる残基を決定したので、天然に生じる 残基に対応する部位特異的変異と本質的に同一の目的を達成するような部位に共 有結合修飾を導入することは,本発明の範囲内である。例えば、E229のようなカ ルボキシル含有側鎖の残基は、カルボジイミド(R'-N=C=N-R'、ここでRおよびR 'は異なるアルキル基である)との反応により誘導体化されるか、あるいはアンモ ニア、または置換アミンとの反応によりアミド化される。 R233およびK52の側鎖のような基本側鎖もまた誘導体化される。例えば、正に 荷電した側鎖を負に荷電した側鎖で置換したR233DおよびEは、非常に良好なPCA である。同様の電荷転換は、トロンビンR233またはK52をクロロ酢酸で置換する ことによって達成される。リジン残基は、無水酢酸によってアセチル化される。 トリプトファンは、トロンビンには比較的少ないアミノ酸である。よって、W5 0は翻訳後共有結合修飾に魅力的な部位である。なぜなら、他の部位での置換は 、より一般的な残基にあり得る場合より少ないと予想されるからである。ハロゲ ン供与体(例えば、臭素)のような酸化剤とW50との反応は、以下のような側鎖 構造を生じる。 この反応は、水溶性溶媒中で、かつ低ハロゲン濃度で行われるべきである。 本発明のNPを得るためのNPまたはトロンビンの他の共有結合修飾は、当業者に は明らかである。反応を望まれない側鎖は、保護されるべき残基を含むエピトー プを指向する抗体によってそれらをマスクすることにより保護される。これらの 修飾を達成するための薬剤は周知であり、そして診断分野および調製分野で広く 使用されてきた。T.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties 、1983参照のこと。 共有結合修飾はまた、分離した基質特異性を有するNPの調製以外の目的を達成 するために有用である。例えばNPは、水に不溶のマトリックスにそれらを架橋さ せることによって不溶性にされる。これは、NPおよびマトリックスを共有架橋を 形成する二官能性薬剤と反応させることにより達成される。適切な薬剤の例は、 1、1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロ キシスクシンイミドエステル(例えば、4-アジドサリチル酸のエステル)、3,3' -ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)のようなジスククシンイミド エステルを包含するホモ二官能性イミドエステル、およびビス-N-マレイミド-1, 8-オクタンのような二官能性マレイミドである。メチル-3-[(p-アジドフェニル) ジチオ]プロピオイミデートのような誘導体化剤は、光存在下で架橋を形成し得 る光活性化可能中間体を生じる。あるいは、NPは、シアノゲンブロマイド活性水 化物よび米国特許第3,969,287号;3,691,016号;4,195,128号;4,247,642号;4,229, 537号;および4,330,440号に記載の反応基質のような反応性水不溶性マトリック スに固定化される。 NPはまた、種々の非タンパク質性のポリマー(例えば、ポリエチレングリコー ル、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン)にNPを例えば米 国特許番号第4,640,835号;4,496、689号;4,301,144号;4,670、417号;4、791、192号 または4、179,337号に記載の方法で連結させることにより共有結合修飾される。 インビボのNPの循環半減期は、ポリエチレングリコール(PEG)のような長い半 減期を与えるポリマーにNPを結合させることにより長期化する。PEGは、非免疫 原性で、直鎖状で、エチレンオキシド単位あたり3水分子を持つ非荷電のポリマ ーである(Maxfieldら、"Polymer"16:505〜509(1975);Bailey,F.E.ら、"Nonionic Surfactants"、Schick,M.J.編pp794〜821(1967))。いくつかの治療酵素がPEGに 結合され、インビボでの半減期を増加させている(Abuchowski、A.ら、"J.Biol.Ch em."252:3582〜3586(1977);Abuchowski、A.ら、"Cancer Biochem.Biophys."7:175 〜186(1984))。IL-2(インターロイキン−2)-PEG結合物は、循環期および有効 性を増加させることが報告されている(Katre,N.V.ら、"Proc.Natl.Acad.Sci."84 :1487〜1491(1987);Goodson,R.ら、"Bio/Technology"8:343〜346(1990))。Abuch owski,A.ら、"J.Biol.Chem."252:3578〜3581(1977)もまた参照のこと。これら引 用文献で使用された任意のPEG結合方法は、本発明のNPに対して使用することが できる。 最終的に、NPは、診断適用に使用するために、以下により詳細に記載した以前 の診断アッセイに用いられた検出可能な基にそれらを架橋することにより共有結 合修飾される。 本発明によるNPの使用 本発明のNPは、治療、診断および調製方法において有用である。当業者に明ら かなように、その使用はそれ自体が有する性質に依存する。多くの場合、全ての NPはトロンビンの免疫エピトープを保持し、それ故、それらが本明細書中で使用 されるPCAあるいはFCPの定義に該当するかどうか、およびそれらが何らかのタン パク質分解活性を有するかどうかにかかわらず、トロンビンに関するイムノアッ セイにおいてトロンビンの代わりに有用である。さらに、PCAおよびFCPは特定の 治療に有用である。 抗凝固性NP、特にPCAは、望ましくない血液凝固を改善あるいは予防するのに 有用である。それらは内因性プロテインC経路を活性化すること、内因性aPCを 生成してFVaおよびFVIIIaを不活化することにより強力な抗凝固薬として働くこ と、およびPAI-1を不活化することによりtPAを介する線溶を増強することにおい て効果的である。このようなNPおよび特にPCAの臨床的適用は、敗血症性ショッ クのような血栓性疾患あるいは状態、冠状動脈血栓崩壊および血管形成における 補助治療、肺塞栓症、一過性脳虚血発作および卒中、不安定狭心症、M.I.、深静 脈血栓症、および種々の動脈および静脈血栓症を包含する。敗血症性ショックを 処置する方法において、抗凝固性NPは、進展した敗血症(グラム陰性、グラム陽 性、あるいは真菌性)において、例えば高熱、低血圧、汎発性血管内凝固症候群 、腎不全および/またはARDSを示す患者に投与される。抗凝固性NP、特にPCAは、 これまでにaPCに関して提案されたあらゆる有用性に対し有用である。これに関 して、EP 191 606 B1の13ページ52行、15ページ32行を参照。従って、治療上の 適用について、抗凝固性NPおよび特にPCAは、薬学的に受容可能な投与形態およ び治療上効果的な用量で哺乳類、好ましくはヒトに投与される。抗凝固性NPはま た、ボーラスで、あるいは一定時間の継続注入により静脈内的に、あるいは筋内 、皮下、動脈内、滑液包内、鞘内、局所的あるいは吸入経路で投与される。抗凝 固性NPはまた、カテーテルで適切に投与され主に局所的な抗凝固作用を発揮する 。 抗凝固性NPはまた、血液凝固障害の診断にも有用である。患者に見られる過凝 固(hypercoagulation)の実質的な部分は、特定の分子の欠損に帰すことができな い。血栓症の発作になりやすい多くの患者は、プロテインC活性化経路のコンポ ーネントに先天性異常(inborn error)を患い得るが、現在そのような患者を診断 することは困難である。特にPCAは、欠陥のある活性化プロテインC経路および 欠失しているこの経路のコンポーネントの診断を提供するに有用である。この実 施態様において、被験者は抗凝固治療を即座に必要とする必要はないが、未知の 起源の過度の血栓症にさらされたことを知り得る。PCAのような抗凝固性NPは患 者に投与され、そして患者血液の抗凝固状態は、PCAが作用に要する時間を経た 後に測定される。PCAの用量は、通常の患者において検出可能な抗凝固作用を誘 導するに効果的なPCAの量と実質的に同じである。被験者の抗凝固状態は、通常 の患者において検出可能な抗凝固作用が誘導される時点と実質的に同じ時点で測 定される。どのような血液凝固に関するアッセイも適切である(例えば、aPTTな ど)。PCAが、被験者の血液を検出可能に凝固を阻止することに成功しない場合 、この患者はトロンボモジュリン−プロテインC抗凝固経路の欠失に苦しんでい る可能性が高い。さらなる実施態様においては、可溶性TMをPCAと共に投与し、 どちらかのタンパク質が欠損を解消するか決定することにより、欠失の位置につ いての情報を得る。即ち、TMおよびNPが抗凝固作用を誘導するが、プロテインC およびNPが誘導しない場合、被験者のTMが欠損の原因であると結論し得る。 凝固促進性NPは、凝固促進薬としていかなる目的にも治療上有用である。例え ば、それらは、ドレッシング(dressing)、バンデージ(bandage)などに浸漬させ るか、そうでなければ局所投与用に意図される投薬形態に包含される。また、FC Pは、大型固形腫瘍の血栓性処置において血栓症促進剤として効果的である。FCP は、C4b結合タンパク質あるいは米国特許第5,147,638号に述べられているような 抗aPC抗体の代わりに、最適にはTNF-αあるいはTNF-βのようなサイトカイン、 γインターフェロン、IL-1、IL-2、および/またはGM-CSFと組み合わせて使用さ れる。FCPの用量は、腫瘍において血液凝固を誘導するが、どこか他の場所で臨 床上重大な血液凝固を生じない力価である。また内因性の活性化に依存するNPの 代用形はこの方法で使用し得る。 本発明によるNPの投与形態は、従来、他のタンパク質治療薬と共に使用されて いるものである。NPは無菌であり、代表的には、無菌アクセスに適した容器(例 えば、エラストマーの栓で封をされるバイアル)に入れられ、そして塩および溶 媒和物を含む、無毒で薬学的に受容可能なキャリアーを包含する。このようなキ ャリアーの例は、イオン交換体、酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム 、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、ホスフェートのよう な緩衝液、グリシン、アルギニン、リシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、 および植物性飽和脂肪酸、水、アルカリ金属塩、あるいはプロタミンスルフェー トのような電解質の部分的なグリセリド混合物、リン酸水素二ナトリウム、リン 酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、マグネシウムトリ シリケート(magnecium trisilicate)、ポリビニルピロリドン、セルロースをベ ースにした物質、およびポリエチレングリコールを包含する。局所用あるいはゲ ル ベースの形態のNPに対するキャリアーは、ナトリウムカルボキシメチルセルロー スあるいはメチルセルロースのような多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアク リルレート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポ リエチレングリコール、およびウッドワックスアルコールを包含する。従来のデ ポー剤(depot)を使用し得、例えば、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソ ーム、硬膏、吸入形態、鼻スプレー、および舌下錠を包含する。NPは、代表的に は、約1〜150マイクロモルあるいは1〜200mg/mLの濃度でこのようなビヒクル に処方される。特に、NPがA鎖とB鎖を結ぶジスフィルド結合あるいはB鎖中に 見い出されるジスフィルド結合を含む場合(一般には、そうであるので)、アスコ ルベートのような抗酸化剤を含有することが望ましい。処方物のpHは、アミド分 解および自己分解が最小になるように選択すべきであり、そして一般には約5か ら8である。処方物は好ましくは凍結乾燥するが、水溶液として調製および貯蔵 し得る。 血栓症の予防あるいは処置に適切な抗凝固性NPの用量は、残留凝固促進活性( もしあるならば)の量、処置されるべき血栓症あるいは予想血栓症の位置および 性質、血液凝固異常の激烈さおよび過程(course)、抗凝固性NPが予防のために投 与されるのかあるいは治療のために投与されるのか、以前の処置の性質および過 程、血行中でのNPの半減期、他の治療薬あるいは抗凝固薬の使用、NP投与の場所 (局所用量は全身用量より少ない)、患者のNPに対する反応、NPが内因性プロトロ ンビン活性化経路による活性化を必要とするか(すなわち、トロンビンNPが対応 するプロトロンビンあるいはその不活化フラグメントとして供給されるか)、お よび主治医の裁量の範囲内の他の考慮すべき事柄に依存する。PCAは活性酵素で あることから、抗血栓効果に必要な量は相当少なく、5〜10nMの範囲であり(血 漿中の最終濃度)、そして事実、ウサギを用いた本発明者らの研究は、K52A PCA は血漿レベルで約3〜9nMの範囲で治療的な抗凝固作用生じ、E229A PCAに関し ても同様の結果であることを明らかにしている。これはヒルジン(100〜800 nM )のような他の抗凝固性高分子あるいはトロンビン結合DNAアプタマーであるGS- 522(2000〜4000 nM;PCT US92/01367)とをしのぐ。本発明者らの予備的なサル での研究は、霊長類におけるPCAの用量は約0.05U/kg/分から20U/kg/分の範囲 であり、残留フィブリノゲン開裂活性(これは、より少ない用量に有利に働き、 フィブリノゲン消費および血漿板活性化を予防する)およびaPC活性の効力(十 分な割合の野生型aPC活性を保持するPCAは、より低用量の範囲で使用される)に 主に依存する。IUは、1NIH Unit(血液凝固活性)の野生型トロンビン中のS-2 238アミド分解活性の量に等しい(実施例4と比較)。 本発明のNPは、免疫原性でないと予測される。なぜなら、好適な実施態様にお いて、僅かな決定的な残基が、改変(約5より少ない)され、あるいはグリコシ ル化でマスクされるからである。これは特に高度に保存性である単一の置換(例 えば、E229D)を有する場合である。あるNPの半減期は非常に短く、それらは、継 続注入として使用されることを要求され得る(インビボでの野生型トロンビンの 血漿半減期はおそらく極めて短く、秒の範囲である)。しかし、患者において出 血エピソードを発達させるトロンビンインヒビターの必要がなくなることから、 これはいくつかの状況においては臨床的に有利であり得る。PCAは類人霊長類お よび他の動物において適切な用量での投与の後、約90分から180分間抗凝固効果 を有する。それ故、単回注入あるいは短時間注入(例えば、10分)によるPCAの 投与は実行可能である。しかし、継続注入による投与もまた、本発明の範囲内で ある。 凝固促進性あるいは抗凝固性NPは、適切には一度に、あるいは一連の処置にわ たって患者に投与される。状態により数日間あるいはさらに長期にわたって反復 投与することで、処置は所望の抗凝固効果あるいは凝固促進効果が達成されるま で継続される。 本発明の他の実施態様によれば、凝固促進薬あるいは坑凝固薬としての本発明 の化合物の効果は、関連する目的に効果的な他の薬剤あるいは医学的手順と、連 続的にあるいは同時に投与することにより改善される。PCAは、ヘパリン、第X 因子インヒビター、血小板凝集インヒビター、などのような既知の抗凝固薬との 併用において有用である。またこれは血栓崩壊治療(例えばtPA、ウロキナーゼ またはストレプトキナーゼを使用する)、あるいはバルーン血管形成、あるいは 血液凝固の溶解、アテローム硬化性斑の処置、あるいは血管内皮の手法あるいは 接触を必要とする手順との併用において有用である。 本発明のNPは、トロンビン上の標的部位(トロンビン結合パートナーすなわち 「TBP」)に結合する物質の同定に有用である。トロンビンのPC活性化ドメイン には結合するが、凝固促進ドメインには結合しない物質、あるいはこの逆の物質 が特に興味深い。好適な実施態様において、これはトロンビンと結合可能であり 、そしてPC活性化機能を比較的阻害することなくトロンビンの凝固促進活性を実 質的に阻害する。このことは全く阻害されないトロンビンPC活性化機能をTBPが 残す必要があるという意味ではない。この場合に必要なのは、PC活性化の阻害の 程度が凝固促進機能の阻害の程度より小さいことだけである。代表的には、TBP は、凝固促進活性に対するPC活性の割合は約0.5より小さいか、あるいは約2.0よ り大きいように、標的トロンビンタンパク質分解活性を阻害する。TBPは普通、 2つのクラスに該当するポリマー:ポリペプチドおよびオリゴヌクレオチドであ るが,しかし本質的には限定されず約1500分子量より小さい分子を含むいかなる 物質をも包含し得る。TBPは、診断手順において使用されてトロンビンを間接的 に標識するか、あるいは試験サンプル中の他の物質からトロンビンを分離する。 また、TBPがトロンビンと結合する能力はまた、組換えトロンビン発現細胞の細 胞培養上清(本明細書では、トロンビンアミノ酸配列NPを含む)のような混入混 合物からトロンビンを回収する方法において有用である.代表的には、NPが、問 題のトロンビンイムノアッセイに使用される抗体によって認識されるトロンビン エピトープを少なくとも1つ有する場合、NPは、トロンビンに関するイムノアッ セイにおいてトロンビンスタンダードの代わりに使用され得る。一方、TBPは、 トロンビンに対する抗体の代わりに使用される。NPはまた、トロンビンの特定の 個々の特性(例えば、NPが凝固促進活性を保持することを規定するその凝固促進 活性)に対する機能的アッセイに有用である。 ポリペプチドTBPは、代表的には、FCPに特異的に結合し得るができるがPCAと は実質的に結合し得ないペプチドあるいはタンパク質、およびその逆のペプチド あるいはタンパク質である。それは従って、これらは、トロンビンの凝固促進機 能あるいはaPC機能のいずれかの高度に特異的なインヒビターである。 ペプチドTBPは、候補配列を呈するために線状ファージを使用する方法(そう でなければファージディスプレイとして知られる)のようなインビトロ特異的展 開法(in vitro directed evolutionary method)、およびそれ自身ペプチドの系 統的生成および活性に関するスクリーニングに頼ることが知られる同様な方法の 使用により得られる。代表的には、これらは、むしろ小さな分子であり、約5か ら20のオーダーで残基を含む。本発明のFCPおよびPCAポリペプチドは、これら が、オリゴヌクレオチドTBPのスクリーニングに有用であるのと同様な一般的様 式で、このようなペプチドTBPのスクリーニングに有用である。 抗体TBPは免疫グロブリン、通常はモノクロール抗体であり、特異的にトロン ビンの凝固促進機能またはaPC機能を阻害し得る。抗体は、参照配列トロンビン を含有するタンパク質組成物に対して生成される。抗凝固抗体を得るために、抗 体プールはPCAに吸着され、このことによって、実質的に結合しない(しかし血 液凝固阻害は示す)抗体は回収される。これらの抗体は必ずフィブリノゲン開裂 エピトープに特異的である。類似のストラテジーが凝固促進抗体を調製するため に用いられる。 本明細書中で使用される「モノクローナル抗体」とは,実質的に均質な抗体の 集団から得られる抗体をいう。すなわち、集団を含む個々の抗体は特異性および 親和性が本質的に同一である。モノクローナル抗体には、起源の種、あるいは免 疫グロブリンのクラス名称あるいはサブクラス名称に関係なくハイブリッドおよ び組換え抗体(例えば、「ヒト化抗体」)、および抗体フラグメント(例えば、Fa b、F(ab')2、およびFv)が含まれる。従って、「モノクロール」抗体は実質的に 均質な集団を生成するいかなる特定の方法によっても生成される。例えば、モノ クロール抗体は、KohlerおよびMilstein、「Nature」256:495(1975)、Goding、M onoclonal Antibodies:Principles and Practice pp.59-103(1986)、Kozbor、 「J.Immunol.」133:3001(1984)、またはBrodeurら、Monoclonal Antibody Produ ction Techniques and Applications 、pp.51-63(1987)により記載される方法を 用いて作製し得、あるいは組換えDNA法により作製し得る。(Cabillyら,米国特 許第4,816,567号.) 本発明の好ましい実施態様において,モノクローナル抗体は、参照配列トロン ビンに対して、例えば、MunsonおよびPollard、「Anal.Biochem.」107:220(1980) のスキャッチャード分析により測定される、少なくとも約109モル/リットルの親 和性を有する。また、モノクローナル抗体は代表的には、例えば、PC活性化分析 、あるいは本明細書で開示されるトロンビン時間測定により測定される、少なく とも約50%、好ましくは80%以上,そして最も好ましくは90%以上トロンビンの 凝固促進活性あるいは抗凝固活性を阻害する。 モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば,ネズ ミ抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレ オチドプローブを使用することにより)、容易に単離されそして配列決定される 。ハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい供給源として働く。このDNAは 一旦単離されると、発現ベクターに配置され、そしてこのベクターは、そうしな ければ免疫グロブリンタンパク質を生成しないサルCOS細胞、チャイニーズハム スター卵巣(CHO)細胞、あるいはミエローマ細胞のような宿主細胞にトランス フェクトされ、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を獲得し得る。 そのDNAは、任意に、その発現により生成される免疫グロブリンの性質を変化 させるために改変し得る。例えば、ヒト化形態のネズミ抗体は、ネズミ抗体の可 変ドメインの相補性決定領域(CDR)をヒト抗体の対応する領域に代えて置換 することにより生成される。いくつかの実施態様において、ネズミ抗体の選択さ れたフレームワーク領域(FR)のアミノ酸残基もまた、ヒト抗体中の対応する アミノ酸残基に代えて置換され得る。また、ヒト化形態のネズミ抗体もまた、ヒ ト抗体重および軽定常鎖ドメインのコード配列を相同なネズミ配列の代わりに置 換することにより生成され得る(Morrisonら、「PNAS」81:6851(1984))。 標的タンパク質に結合するオリゴヌクレオチドのための展開選択法(evolution ary selection method)は周知である(WO 92/14843;Ellingtonら、「Nature」355: 850(1992);Bockら、「Nature」355:564(1992);Ellingtonら、「Nature」346:818(1 990);Tuerkら、「Science」249:505(1990))。普通アプタマーとして知られるこ れらのオリゴヌクレオチドは、一般に通常のA、T、G、CあるいはU塩基、あ るいはそれらの誘導体を含有し、そして標的タンパク質上の予め決定された部位 に結合する配列を含む。この場合、FCPおよびPCAは、ネガティブ(結合不在)お よびポジティブ(結合)選択プロトコルに使用され、血液凝固活性あるいはaPC 活性のどちらかの阻害に特異的なアプタマーのようなTBPを生成する。トロンビ ンの凝固促進機能を阻害する(しかし実質的には抗凝固活性には干渉しない)TB Pの選択方法は、以下の工程を包含する:(a)候補物(オリゴヌクレオチド、ペプ チド、抽出物、タンパク質、など)のプールを調製する工程、(b)この候補物を 、凝固促進活性を有するトロンビン(代表的には、参照配列トロンビン)と接触 させる工程、(c)このトロンビンから、トロンビンに結合し得る候補物を単離す る工程、(d)工程c)の候補物を、NP(ここでは、トロンビンの凝固促進機能はNP から実質的に変異させられている、すなわちPCA)と接触させる工程、(e)PCAに 結合しないこれらの候補物を回収する工程。このことは、このように選択された いかなる候補物もPCAポリペプチドに達する際に変化するアミノ酸部位、すなわ ちトロンビンの凝固促進機能において役立つ残基に結合し得ることを保証する。 あるいは、候補体あるいは潜在的な抗凝固性TBPが富化されたプールは、(a)パー トナー(上記のような)に結合する候補物のプールを調製する工程、(b)この候補 物を、凝固促進活性を有するトロンビン(代表的には、参照配列トロンビン)に接 触させる工程、(c)トロンビンから、トロンビンと結合し得る候補物を単離する 工程、(d)工程c)の候補物を、トロンビンNP(ここでは、PC活性化機能は、NPか ら実質的に変異されている、すなわちFCP)に接触させる工程、(e)FCPと結合す る候補物を回収する工程、により選択される。従って、得られる候補物のプール は、候補物が特異的に富化されているか、あるいは候補物が選択されている。こ こで、候補物は、PC活性化部位の変異残基でトロンビンに結合しない。次いで、 この候補物のプールは、例えば、PCAに結合しないTBPをさらに選択することによ り、抗凝固活性が選択される。結局、このことは、PC活性化部位に結合せず、ト ロンビンの凝固促進性残基に結合する候補物TBPについてプールを富化するか、 あるいは選択する。工程c)およびb)は任意に入れ替えられる。 トロンビンのプロテインC活性化機能を阻害するTBPは、上記のような凝固促 進機能を阻害する能力を有するTBPの富化と類似のプロセスて選択される(例え ば、トロンビンには結合しFCPには結合しないTBPが選択される)。 結合工程は、多くの場合、固定化NP、体表的には、公知の方法(例えば、コン カナバリンAアガロースの固定に続くα-メチルマンノシドを用いる溶出;Bock ら,op cit)に従い、そのグリコシル置換基あるいはそのN末端あるいはC末端 により不溶性キャリアーに吸着されたNPを使用して達成される。 候補物が複製可能な部分、例えば,線状ディスプレイファージあるいはオリゴ ヌクレオチド、選択あるいは単離した候補物のプールを増幅する1つあるいはそ れ以上の工程を、工程cと工程dの間に任意に挿入し得る。普通、候補物はこれ らの工程の間には増幅されない。さらに、工程a)〜工程e)を繰り返し、そして 多くの場合には、工程e)と工程a)の間に増幅工程を挿入することが望ましい。 増幅(通常、オリゴヌクレオチド候補物の場合には、PCRによって達成される) は、機能に関する選択(selected-for function)を示し得るプールを富化するの に有用である。 FCPおよびPCAは、TBPの調製において中間体として特に有用である。 診断的適用において、本発明のTBPあるいはNPは検出可能な部分で任意に標識 される。検出可能部分は、直接的あるいは間接的のいずれかで検出可能な信号を 生じ得る任意の置換基であり得る。例えば、検出可能部分は、3H、14C、32P 、35S、あるいは125Iのような放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネ ート、ローダミンあるいはルシフェリンのような蛍光あるいは化学発光性化合物 ;125I、32P、14C、あるいは3Hのような放射活性同位体標識あるいはアルカ リホスファターゼ、β-ガラクトシターゼあるいは西洋ワサビペルオキシターゼ のような酵素であり得る。 当該分野において公知のいかなる方法も、本質的に、TBPあるいはNPを検出可 能な部分と結合するために用いられ得る。上記文献およびHunterら、「Nature」14 4:945(1962);Davidら、「Biochemistry」13:1014(1974);Painら、「J.Immunol.Me th.」40:219(1981);およびNygren,J、「Histochem.and Cytochem.」30:407(1982 )に記載の方法を参照。オリゴヌクレオチドTBPは、診断プローブ技術分野におい てこれまで使用された従来の様式で標識される。 標識NPは、例えば、トロンビンに結合するタンパク質、例えば抗体の検出に使 用される。さらに、非標識NPは、抗分析物抗体(共有結合あるいは免疫吸着によ るどちらか一方)あるいは分析物結合レセプターに結合され、そしてそれら自身 が、蛍光法あるいは比色法により容易に検出される、標識ペプチドを開裂する能 力により標識として使用される。非標識NPが結合する代表的なレセプターは細胞 表面高分子を含む(例えば、LFA-1、VLA-4、mac-1、I-CAM1、I-CAM2、I-CAM3あ るいはV-CAM1)。非標識NPが結合する代表的な抗体は、血液凝固カスケードに関 係するタンパク質および内皮細胞抗原、腫瘍抗原、あるいは他の細胞表面高分子 に対する抗体を含む。タンパク質の結合あるいはタンパク質の標識に適した方法 は周知であり、NPの結合あるいは標識化に都合良く適用される。例えば、NPのB 鎖はそのN末端で免疫グロブリン重鎖のC末端あるいは細胞表面レセプターの細 胞外ドメインのC末端に融合される。 本発明のTBPあるいはNPは任意に競合結合アッセイ、直接および間接サンドイ ッチアッセイおよび免疫沈降アッセイのような公知のイムノアッセイ技術におい て使用される(Zola、Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques、pp.14 7-158(1987))。 競合結合アッセイは標識スタンダード(これは、トロンビン、あるいは本発明 の標識NPのような、トロンビンの免疫学的に反応性部分であり得る)と限られた 量のTBPとの結合に関して、試験サンプルのトロンビンと競合する能力に依存す る。試験サンプル中のトロンビンの量は、TBPと結合されるようになるスタンダ ードの量に反比例する。結合されるようになるスタンダードの量の測定を容易に するために、一般に、TBPは競合前あるいは競合後に不溶化されて、TBPに結合さ れるスタンダードおよび分析物は都合良く結合されないままのスタンダードおよ び分析物から分離される。 サンドイッチアッセイは、それぞれトロンビンの異なる標的部分あるいはエピ トープに結合可能な2つのTBPの使用を包含する。サンドイッチアッセイにおい て、試験サンプル分析物は、固体支持体に固定された第1のTBPにより結合され 、その後第2のTBPがその分析物に結合して3つの部分よりなる不溶性の複合体 を形成する(DavidおよびGreene,米国特許第4,376,110号)。第2抗体は、それ 自体が検出可能部分で標識され得る(直接サンドイッチアッセイ)か、あるいは 検出可能部分で標識された抗TBP抗体を使用して測定され得る(間接サンドイッ チアッセイ)。例えば、サンドイッチアッセイの1つのタイプはELISAアッセイ であり、この場合検出可能部分は酵素である。 また本発明のTBPおよびNPは、インビボイメージングに有用であり、ここで、 検出可能部分で標識されたTBPあるいはNPは、宿主、好ましくは血流中へ投与さ れ、そして宿主中の標識TBPあるいはNPの存在および位置がアッセイされる。 以下の模範的な資料は例示のためのみに提供され、そしていかなる方法におい ても発明を制限する意図はない。本明細書中で引用されるすべての特許および参 考文献を、特に参考として援用する。 実施例1 1.1 組換えヒトプロトロンビン産生のための発現ベクターの構築 ヒトプロトロンビンをコードする、全1869個の塩基対の配列+12塩基対の5'非 翻訳配列および97塩基対の3'非翻訳配列を、ヒトプロトロンビンのcDNAクローン であるBS(KS)-hFII(Ross T.A.MacGillivray,Dept of Biochemistry,Univ of British Columbia,Vancouver,Canadaから入手)由来のSmaI〜XbaIフラグメン ト上に単離した。このフラグメントを真核細胞の発現ベクターであるpRc/CMV(I nvitrogen Corp,San Diego,CA)にクローニングした。pRc/CMVをHindIIIで消 化し、そしてE.coli DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントで充填することに よって、3'陥凹末端を平滑にした。さらにベクターをXbaIで消化し、そしてプロ トロンビンをコードする配列を含むSmaI〜XbaIフラグメントに連結した。得られ た構築物、pRc/CMV-hPTはプロトロンビンをコードする配列を含み、この配列は 哺乳動物細胞中の高レベルの転写に必要とされる配列:ヒトサイトメガロウイル スの即時型遺伝子由来のプロモーターならびにウシ成長ホルモン遺伝子由来の転 写終止配列およびポリアデニル化シグナルに挟まれている。このクローンはまた 、アンピシリン耐性を与えるβ-ラクタマーゼ遺伝子およびE.coliにおける繁殖 ならびに維持のためのColE1複製開始点を含む。欠損ヘルパーファージであるM13 KO7(VieiraおよびMessing、1987)に感染したE.coliにおける1本鎖DNAの産生の ための線状バクテリオファージf1の複製開始点もまた存在する。このベクターは 、一過性にトランスフェクトした哺乳動物細胞におけるヒトプロトロンビンの発 現に用いられ得るが、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子が存在する ことは、大規模発現のための永続的にトランスフェクトされた細胞株が抗生物質 G418に対する耐性によって選択され得ることを意味する。 1.2 トロンビン表面上の機能的残基を同定するための変異誘発ストラテジー 本発明者らの変異誘発ストラテジーは、ヒトα-トロンビンの表面を体系的に スキャンして、フィブリノゲン血液凝固、トロンボモジュリン依存性プロテイン C活性化、およびヘパリン/アンチトロンビンIIIならびにトロンビンアプタマー による血液凝固の阻害に重要な残基を同定するためにデザインされた。ストラテ ジーは、タンパク質コンホメーションの非特異的な破壊の機会を最小にしながら 、機能的残基を同定する可能性を最大にするようにデザインされた。荷電極性( R、K、D、E、H、S、T、Q、N、Y、W)アミノ酸は、変異に特に重要で あった。何故なら、これらの残基は、荷電リガンドの結合に重要と思われる水素 結合および静電相互作用に関与し得るからである。次に、α-トロンビン表面上 で溶媒に高度に曝される荷電極性残基のみが変異に関して選択された。溶媒にア クセスし得る表面残基を標的とした。何故なら、これらの残基は、リガンドとの 相互作用に利用され得、そして配列のバリエーションにより寛容であるからであ る(Bowieら、1990)。半径1.4Åの溶媒プローブ(solvent probe)に対する機 能的接近性(accessibility)(Roseら、1985)を、インヒビターのヒルジン(h irudin)と複合体化したヒトα-トロンビンの2.3Å結晶構造におけるトロンビン 中の各残基について測定し(Rydelら、1990)、そして35%を超える機能的接近 性を有する70個の荷電極性残基を変異に関して選択した。単一の残基R36aのみを このリストから除外した。R36aは、α-トロンビンのA鎖とB鎖との間の接合部 に位置し、そして成熟2本鎖α-トロンビンへのプロトロンビンのプロセッシン グに必要である。しかし、数個の残基をリストに加えた。これには、予想フィブ リノゲン結合エキソサイト(exosite)中に位置する5個の残基(R20、K65、H66 、R68、K77)および推定ヘパリン結合部位の2個の残基(R98、W249)が含まれ る。従って、全部で76個の残基を、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発(oligon ucleotide-directed mutagenesis)によりアラニンで置き換えた。全ての置換に ついてアラニンを使用した。何故なら、アラニンは、α-2次構造およびβ-2次 構造の両方と適合し得(Klapper、1977)、タンパク質中の埋もれた位置および 露出した位置の両方で許容され(Klapper、1977;Roseら、1985)、そして非極 性で かつその側鎖が小さいサイズであることは、アラニンによる置換がタンパク質コ ンホメーションを破壊しにくいということを確実にするからである。2個または 3個の標的残基がともに集まっている場合は、多数の置換を同時に行った。この ように多様な変異体が機能的表現型を示す場合は、個々の残基を個々に続いて置 換した。アラニン置換変異体の全リストを表1に示す。ヒトα-トロンビン中の 残基の番号付けシステムは、以前に使用されたもの(Wuら、1991)であって、こ こでは、B鎖の残基を連続的に番号付けする(1〜259)。A鎖の残基もまた連 続的に番号付けする(1a〜36a)が、小文字の「a」を末尾に添えてA鎖である ことを示す。 1.3 オリゴヌクレオチド特異的変異誘発による ヒトプロトロンビンにおけるアラニン置換体の構築 一本鎖DNAテンプレート上で、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発によりヒト プロトロンビン遺伝子にアラニン置換体を導入した(ZollerおよびSmith、1982 )。E.coli(CJ236)のdut-ung-株においてウラシル含有一本鎖DNAテンプレートを 作成し(Kunkelら、1987)、変異原性オリゴヌクレオチドプライマーの伸長およ び連結後、E.coliのung+株において非変異テンプレートに対する選択を可能にし た。アラニン置換体をコードする合成オリゴヌクレオチドプライマーであって、 プロトロンビンをコードする鎖に相補的な12個のヌクレオチドの領域に挟まれた プライマーを、ホスホアミダイト化学を用いるApplied Biosystems Inc.固相シ ンセサイザーにより合成した。リン酸化プライマーをpRc/CMV-hPTテンプレート とハイブリダイズし、T7 DNAポリメラーゼで伸長し、そしてT7 DNAリガーゼによ り新しく合成された鎖に連結した。ヘテロ二重鎖DNAを用いてdut+ung+E.coli株 であるXL-Blueを形質転換して、ウラシル含有親鎖に対して選択した。ジデオキ シチェインターミネーションおよびSequenase 2.0(United States Biochemical) を用いて、個々の形質転換体由来の一本鎖DNAの配列を決定し、各変異の同一性 を確認した。XL1-Blueにおける各pRc/CMV-hPT変異体の500ml培養物を用いて、培 養COS-7細胞のトランスフェクションのためのプラスミドDNAを生成した。QIAGEN Maxiプラスミド調製キットを用いて約1mgの閉環状プラスミドDNAを単離した。 本明細書中に記載する他のNPをコードするDNAは、同じ様式で適切なテンプレー トを用いて作成される。 実施例2 2.1 一過性発現アッセイのための組換えプロトロンビンの発現および活性化 (野生型トロンビンのために)非改変プロトロンビンcDNA、(ネガティブコン トロールのために)S205Aを変異したトロンビン、および種々の変異体を含む組 換えプロトロンビン構築物(10〜20μg)を、トランスフェクションのDEAE-デキ ストラン法(AdamsおよびRose、1985)により、35mmウエル中で生育した106個の COS-7細胞に別々に導入した。トランフェクション2日後、細胞単層をPBSで2回 洗浄し、そして1mlの無血清DME培地を単層に添加して戻し、そして37℃で24時 間インキュベートした(37℃で発現が検出されない、または乏しい場合、すなわ ちMt11、12、13、34、35、14.5および37cでは、時々、約30℃未満の温度、特に2 7℃で培養するのが有利であった)。次に馴化培地を回収し、遠心分離して任意 の細胞破砕物を除き、そしてCentricon-30を用いた限外濾過により20倍に濃縮し た。この濃縮培地の50μlを、1.5μgのEchis carinatus毒を用いて37℃で45分間 活性化した。毒活性化前後の25μlの濃縮馴化培地を、ヒトトロンビンに対する ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を用いるウエスタンブロッティン グにより分析した。ウエスタンブロット分析およびアミド分解アッセイ(amidol ytic assay)の両者により評価すると、トロンビンの発現レベルは106細胞当り0 .12〜2.0μgのトロンビンで変化する。 2.1a スロットブロットによる馴化細胞培養培地における 組換えプロトロンビンの定量 Schleicher and Schuell Minifold II真空スロットブロット装置を用いる定量 ウエスタンブロッティングにより、トロンビンタンパク質濃度を測定した。20倍 濃縮馴化培地中のプロトロンビンおよび精製プロトロンビンスタンダード(Amer ican Diagnostica)を上記の通り活性化した。サンプルおよびスタンダードをPB Sで希釈し、そして同濃度の偽トランスフェクト細胞由来の馴化培地に調整した 。 約50ngの活性化プロトロンビンを含む2連(duplicate)の100μlアリコートお よび2連のアリコートの精製活性化プロトロンビンスタンダード(1〜200ng)を スロット-ブロット装置内で0.45μmニトロセルロースフィルターを通じて吸引し た。各スロットをPBSの200μlアリコートで2回洗浄した。フィルターをPBSで2 回洗浄し、そしてPBS中の5%無脂肪脱脂乳(Carnation)でブロックした。ブロッ トをPBSに溶解した5%無脂肪脱脂乳中11μg/mlのヒトプロトロンビンに対するウ サギポリクローナル免疫グロブリン(Dako)とともにインキュベートした。ブロ ットを、0.05%Tween-20を含むPBSで洗浄し、そして1μCi/mlのウサギ免疫グロ ブリンに対する35S標識ロバF(ab')2(Amersham)とともにインキュベートした。ブ ロットを0.05%Tween-20を含むPBSで洗浄し、そしてAmbis 4000radioanalytic im aging detectorを用いるスキャンによって各位置の放射能を測定した。1〜200n gプロトロンビンの範囲にわたって直線であった標準曲線から各サンプルのトロ ンビン濃度を決定した。 2.2 アミド分解アッセイ 以前に記載されている(Wuら、1991)ように、トロンビンによる色原基質S-22 38の加水分解を実施した。標準曲線を血漿トロンビンで構築した。ここで、1μ gのトロンビンは、300μlの100μM S-2238における1220.5mOD/分の加水分解速度 を与える。300μlの100μM S-2238の加水分解速度の測定のために、20μlの1/3 希釈毒活性化馴化培地を用いた。 2.3 フィブリノゲン血液凝固 実施例2.2のアミド分解アッセイで335mOD/分(0.27μgの血漿トロンビンに等 価)を与える量の毒活性化馴化培地を、フィブリノゲン血液凝固に用いた。反応 混合物は、20μlの馴化培地、および20mM TrisアセテートpH7.5、140mM NaCl、 5mM KCl、1mM MgCl2、1mM CaCl2を含む180μlの選択緩衝液を含んでいた。カ ルシウムを含まないPBS中で作成された10mg/mlのストックから選択緩衝液で新た に2mg/mlに希釈した50μlのヒトフィブリノゲンを添加して反応を開始した。フ ィブリノゲンの添加から血餅形成までの秒単位の時間をフィブロメーター(fi brometer)で測定した。血漿トロンビンの標準血液凝固曲線を用いて血液凝固時 間を血漿トロンビンのmg/ml等量値に変換した。結果を野生型活性の%として表 す。 2.4 プロテインCの活性化 以前に記載されている(Tsiangら、1990)ように、504±34fmoles/106細胞の レベルで、組換えヒトトロンボモジュリンを発現するTMnc細胞(Tsiangら、1992 )から、細胞溶解物を調製した。約8×106細胞を800μl中に溶解し、溶解物中 約5nMのトロンボモジュリン濃度を得た。TMを発現しない非トランスフェクト親 CV-1細胞株からコントロール溶解物を同様に調製した。市販のヒト血漿プロテイ ンCは、プロテインCの各pmolについて、約0.005〜0.02pmoleの混入プロトロン ビンを含む。この問題を回避するために、まず444pmoleのプロテインCを10μg のEchis carinatus毒で30分間37℃で処理して混入プロトロンビンをトロンビン に変換し、このトロンビンを、次にトロンビンインヒビターであるPPACK(D-Phe -Pro-Arg-クロロメチルケトン)での滴定により不活化した。次に、この毒処理 プロテインCおよびPPACK滴定したプロテインCをプロテインC活性化アッセイ に用いた(Tsiangら、1990)。アッセイ混合物は、総容量50μl中に標準量のS-2 238アミド分解活性(8.5mOD/分)に対応する量の毒活性化馴化培地、20μlのTMn c細胞溶解物、および887nMプロテインCを含んでいた。この混合物を37℃で1時 間インキュベートし、そして抗トロンビンIIIおよびヘパリンを添加することに よって停止した。トロンボモジュリン非依存性プロテインC活性化のために、ア ッセイ混合物においてTMnc溶解物を除外し、そして2mM CaCl2を5mM Na2EDTAで 置き換えた。生成した活性化プロテインCを、色原基質S-2366の加水分解により アッセイした。表1aの生スコアは、実施例2.3と同じ様式での補正を反映する。 プロテインC活性化活性を野生型活性の%として表した。 2.5 血液凝固のヘパリン依存性抗トロンビンIII阻害 370mOD/分の加水分解速度に等価な量の毒活性化培地を各アッセイに用いた。 サンプルの容量を、偽トランスフェクトした20倍濃縮培地で15μlに調整し、そ して135μl選択緩衝液と混合し、そして37℃で予備加温した。サンプル混合物へ の50μlの2mg/mlフィブリノゲンと0.1U/mlヘパリンを伴うまたは伴わない50μl の650nM AT-IIIとの同時添加直後に血液凝固時間を測定した。ヘパリンに対する 血液凝固のAT-III阻害感受性を、ヘパリンを含まないコントロールに対するヘパ リン存在下での残留血液凝固活性%で表す。 実施例3 3.1 組換えトロンビンの安定な発現 実施例1の線状化組換えプロトロンビン構築物(10μg)を、トランスフェク ションのリン酸カルシウム法(GrahamおよびVan der Eb、1973;Parkerおよびst ark、1979)を用いて、BHK-21細胞に導入した。抗生物質G418を含む培養培地に おいてクローンを選択し、そして発現レベルをアミド分解活性およびウエスタン ブロッティングによって測定した。 3.2 タンパク質精製のための馴化培地の作成 組換えプロトロンビンを発現する所望の各BHK-21クローンを850cm2ローラーボ トルに播き、そして10%FCSを含む完全DMEM中で生育させた(5×106細胞/200mL/ ローラーボトル)。2日後、細胞が集密に達した後、マイクロキャリアビーズCy todex2(Pharmacia LKB、Piscataway、NJ)を添加して、細胞単層をコートした 。3日後、ビーズ上で生育している細胞がビーズを覆った後、細胞をPBSで洗浄 し、そしてプロトロンビン分泌のために5μg/mLインスリン、5μg/mLトランス フェリン、5μg/mLフェチュインおよび10μg/mLビタミンKを含む無血清DMEMを 細胞に添加して戻した。3日後に一回およびさらに6日後に一回馴化培地を回収 した。 別の手順において、増殖表面積を拡大するためにマイクロキャリアビーズを用 いる代わりに、上述のように、所望の各BHK-21クローンを、1700cm2に表面を拡 張したローラーボトルに同じ培養培地中に播いた(5×106細胞/200mL/ローラー ボトル)。4日後、細胞が集密に達した後、細胞をPBSで2回(3回ではなく) 洗浄し、そしてプロトロンビン発現のために同じ無血清培地(150mL)を細胞に 添加して戻した。馴化培地を3回、一回目は4日後(150mL)、2回目は8日後 (50mL)、3回目は11日後(100mL)に回収した。馴化培地を、Buckner funnel を用いるWhatman No1ペーパーを通して濾過して細胞破砕物および最初の方法で は、脱着したビーズを除去した。 3.3 培地の濃縮および透析 プロトロンビンを含む無血清馴化培地を、接線フロー濾過システム(tangenti al flow filtration system)(PelliconR、Millipore、Bedlford、MA)を用い て濃縮した。製造者の指示に従い、接線フローフィルター(タイプPLGC、5平方 フィート、MWCO.10000)の低タンパク質結合のセルロース膜を予め条件付けした 。濃縮中、供給側(feeding-side)に20〜25psiの圧力を使用し、濃縮水側(ret entate-side)に3〜4psiの圧力を使用した。浸透水流速は150〜200mL/分であ った。培地(濃縮水)を約500〜600mLに濃縮する場合は、同フィルターにより10 00〜1200mLの透析緩衝液(0.1Mリン酸カリウム、pH7.5)に対して7〜8回透析 した。簡単に説明すると、約2〜3分間、濾過システム中に混合物を循環させる ことによってゆっくりと混合しながら透析緩衝液を培地濃縮物に添加した(透過 無し)。次に混合物を500〜600mLに濃縮した。上記の透析を7〜8回繰り返した 後、99.9%を超える培地を透析緩衝液により置き換えた。 3.4 プロトロンビンの精製 次に最終透析物(600〜800mL)を0.45μm滅菌ディスポーザブルフィルター(N algene、Rochester、NY)を通して濾過し、そして(2.6×7)cm DEAEセファロ ース高速陰イオン交換カラム(Pharmacia、Piscataway、NJ)に添加した。プロ トロンビンのピークは、0.1〜0.7M勾配を用いて0.35〜0.45M間のリン酸カリウム に溶出した。プロトロンビンを含む画分のアリコートを、可溶性Echis carinatu s毒活性化(Sigma,St.Louis,MO)後のアミド分解アッセイおよびSDS-PAGEの 両方により測定した。活性画分をプールし、そして0.02M HEPES、0.1M NaCl、pH 8.0に対して4℃で1晩透析した。透析後、プールしたプロトロンビンの画分を 、撹拌細胞を用いるPM30メンブラン(Amicon,Beverly,MA)を通して10〜15ml に濃縮した。 3.5 NPの精製 濃縮物中のプロトロンビンNPを、Amberlite CG50(ICN Biomedicals,Irvine, CA)上に予め吸着させ、そして必要に応じてAffi-Gel 10ビーズ(Bio Rad,Richmo nd,CA)に固定したEchis carinatus毒によりNPにプロセッシングした。50分間37 ℃でゆっくりと回転させることによりプロトロンビンNPの毒活性化を行った。毒 -ビーズを遠心分離に引き続く0.45μmフィルターでの濾過により除去した。濾液 を直ちに(2.6×7)cm Amberlite CG50(200〜400メッシュ)陽イオン交換カラ ムに添加した。0.1〜1.0M NaCl勾配を用いて単一ピークとしてNPが0.4Mで溶出し た。アミド分析活性およびSDS-PAGE(染色ゲルおよびウエスタンブロット)に基 づいてNPの画分をプールした。次に、撹拌細胞を用いるPM30メンブランにより、 プールしたNP画分を8〜10mLに濃縮し、そして0.1M NaCl、0.02M HEPES,pH8.0 に対して透析した。精製されたNPを、アミド分析活性血漿凝固時間、プロテイン C活性化、および血小板凝集について特徴付けた。その純度および比活性も測定 した。最後に、NP調製物を、滅菌ポリプロピレンチューブ中0.5mLのアリコート にて−80℃で保存した。 3.6 NPを用いるインビボでの抗凝固 試験した処方物を以下に特定する。 処方物を、それぞれ中心静脈内に設置した内在性(in-dwelling)カニューレ を経て、静脈内投与で約13mL/時の注入速度(野生型の場合14.3U/kg/分およびK5 2Aの場合11.7U/kg/分)でN.Z.白ウサギに投与した。試験処方物の潜在的な血栓 形成性質のため、末梢静脈(例えば、辺縁耳静脈)での注入は、試験物の高い局 所濃度のために局所血栓症および虚血を起こし得る。中枢循環(central circul ation)(例えば、頚静脈を経由するSVC)を評価することによって、この合併症 が高い血管内流速および注入化合物の迅速な分布のために最小に抑えられる。こ のアプローチは、ヒヒにおいてヒトトロンビンを用いて既に用いられている(J. Clin.Invest.,92:2003-12,1993)。 処方物Eの注入は、辺縁耳静脈を経由した。何故なら、この投与経路は、安全 かつ有効であることが示されているからである。 結果を図2A、2B、および3に示す。各図は、1匹のウサギによる結果を示す。 図2Aは、野生型トロンビンが実質的なフィブリノゲン消費および過度の抗凝固を 引き起こすことを示す。参照的に、図2Bは、K52A PCAが正常な範囲内(図の斜線 領域)の抗凝固活性を可能にすること、臨床的に有用な作用の持続性を有するこ と、およびフィブリノゲン消費を起こさないことを示す。図3は、排泄半減期お よび可逆性を示す。 3.7 TMの存在下または非存在下におけるPCAによるプロテインC活性化 プロテインC活性化アッセイは、実施例2.4に記載されている。実施例2.4と異 なり、プロテインCストックを毒およびPPACKで前処理する必要はない。何故な ら、精製された組換えトロンビンには、プロテインCストック内に混入プロトン ビンを活性化するための毒はないからである。トロンビン、トロンボモジュリン 、およびプロテインCを図6に示した濃度で使用した。反応物を1時間37℃でイ ンキュベートし、そして原色基質S-2366を用いてaPC活性についてアッセイした 。この実験は、PCAであるK52AおよびE229Aがトロンボモジュリン依存性を残して い ることを示している。 実施例4 プロテインC活性化因子2(PCA2)(E229A)およびK52A PCA を用いるカニクイザルにおける可逆性抗凝固の証明 実施例3.4および3.5に記載のように調製したPCA2を、滅菌等張水溶液中に総容 量10mLで処方した。PCA2溶液を成熟雄性カニクイザルの末梢静脈へ、10分間継続 的に60mL/時の速度で総容量10mLで静脈内注入した。注入ポンプを用いることに よって、注入速度を制御した。2種類の濃度を投与した:(1)1.5μg/kg/分( 2U/kg/分)および(2)4.5μg/kg/分(6U/kg/分)。(1Uは、上記本文中で 定義される)。 以下の時点における末梢静脈の穿剌により血液サンプルを回収した:注入開始 直前t=0および注入開始後の間隔t=5、10、20、30、45、60、90、120、150 分。サンプルは約2mLの容量で、そしてクエン酸塩中に回収した。10分以内に全 血から血漿を得た。フィブロメーターにおいてaPTTを測定することによって、抗 凝固をモニターした。フィブリノゲン欠損血漿を用いて血液凝固アッセイからフ ィブリノゲンレベルを測定した。 図4は、個々のサルに2種類の用量のPCA2を注入したときの結果を示す。両用 量とも、フィブリノゲンの消費を伴わずに、期待された治療範囲(斜線領域)を 超える血液凝固時間の延長を引き起こしたことから、PCA2は、インビボで検出可 能な凝固促進活性を欠くことを示す。この効果は可逆的であり、注入停止約170 分後、aPTTが正常に復帰した。この効果の可逆性は、凝固因子が注入中に消費さ れないことを示唆し、これはさらに、PCA2がインビボで検出可能な凝固促進活性 を有しないことを示した。この反転の動力学の分析は、約50分のクリアランスの 半減期を示唆する。この持続性の程度は、臨床的に有用と考えられる。 別の研究において、2U/kg/分のK52A PCAを調製し、そして上記のように10分 間にわたって注入し、そして上記実施例における2U/kg/分のE229A PCAと比較し た。結果を図5に示す。2U/kg/分でのK52A PCAによるフィブリノゲンレベルは 、変化しなかったものの、実質的に同条件下であったが12U/kg/分の過剰用量で 注 入されたK52A PCAは、aPTT>10×コントロールおよび10%未満までのフィブリノ ゲンの低下を引き起こした。12U/kg/分は、この用量でウサギにより良好に寛容 されるという事実(上述)にも関わらず、サルに対しては過剰用量であった。そ れ故、サルでの用量は、一般にウサギよりも低い。 血小板消費および出血時間をアッセイした。そして結果を表2に示す。 このデータは、血小板の機能が保存され、そして出血時間が変化しなかったこ とを示し、gpIIb/IIIaインヒビターまたはトロンビンインヒビターで見られる結 果と参照的である。 実施例5 5.1 B鎖NPのみの発現および使用 トロンビンA鎖の置換体は、S-2238加水分解、FCまたはPAに対して無視できる 効果しか有さなかったという本発明者らの観察を考慮すると、抗凝固薬としてPC A B鎖のみを使用することまたは凝固促進薬としてFCP B鎖のみを使用すること は有用である。FCPまたはPCA B鎖は、連結しているジスルフィド結合を還元し 、そして再折り畳みによって、二本鎖の親(two chain parent)から得られる( Hagemanら、Arch.Biochem.Biophys.171:327-336[1975])。しかし、好ましく は、NP B鎖のみをコードする核酸の発現によってB鎖を得る。B鎖PCAまたはFC Pの発現ベクターは、プロトロンビン、プレトロンビン1、プレトロンビン2( 一本鎖(single chain)α-トロンビン)の発現のために、シグナルペプチドの カルボキシル末端をコードするコドンとトロンビンB鎖(II)のアミノ末端残基 をコードするコドンとの間の介在配列を欠失することによって構築されたベクタ ーから誘導される。ala置換体NPの構築について記載されているように、欠失は 、化 学的に合成されたオリゴヌクレオチドを用いるオリゴヌクレオチド特異的変異誘 発により達成される。このようなオリゴヌクレオチドは一本鎖DNAテンプレート 上のプライマーとして欠失をコードする。必要に応じて、C44に対するコドンが 変異誘発されてAまたはSをコードする。 5.2 E.coliにおけるGST融合タンパク質としての プレトロンビン-1およびプレトロンビン-2の発現 プレトロンビン-1(アミノ末端残基S156、Degenら、残基番号)およびプレト ロンビン-2(アミノ末端残基T272、Degenら、残基番号)は、E.coliの細胞質コ ンパートメントにおいてグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との可溶性 融合タンパク質として発現した。使用した発現ベクターは、pGEX-5X-1(Pharmac ia LKB Biotechnology)で、これは、E.coli内での増殖のためのpBR322の複製開 始点、プラスミドの存在を維持するための抗生物質アンピシリンに対する耐性を コードするβ-ラクタマーゼ遺伝子、および融合タンパク質の基本的発現を減衰 させるためのlacリプレッサータンパク質をコードするlac 19遺伝子を含む。発 現は、IPTGによって誘導され得るtacプロモーターによって仲介されるが、この プロモーターは、リボソーム結合部位、およびGST遺伝子の翻訳開始コドンの近 位にある。GSTの221個のアミノ酸をコードする配列の後に、融合タンパク質由来 のGST部分を切断するために使用され得る第Xa因子またはEchis carinatus毒のた めのタンパク質分解的切断部位をコードする配列(IEGR)、およびGSTをコード する配列に融合されるコード配列の挿入のために独特な制限酵素部位を含むポリ リンカー配列が続く。 プレトロンビン-1については、PCRプライマーを設計してプレトロンビン-1 のS156(Degenら、残基番号)からトロンビンB鎖のカルボキシル末端までをコ ードするヌクレオチド配列を増幅した。6個の連続したヒスチジン残基(Ni2+キ レート化マトリクス上での融合タンパク質精製のためのアフィニティータグとし て使用され得る)をコードする配列を添加し、そしてEcoRI制限エンドヌクレア ーゼ部位をコードする配列を添加することによって、プレトロンビン-1をコー ドする配列の5'末端部を改変した。3'プライマーを改変して、停止コドンの3'側 にXhoI制限エンドヌクレアーゼ部位をコードする配列を挿入した。プレトロンビ ン-2については、同じ3'PCRプライマーを使用したが、5'PRCプライマーは設計 してT272残基(Degenら、残基番号)から始まるプレトロンビン-2配列を6個の ヒスチジンアフィニティータグおよびEcoRI制限部位と融合した。PCRプライマー を使用し、プレトロンビン-1およびプレトロンビン-2をコードする改変された 配列を、テンプレーとしてプレトロンビンcDNAクローンであるBS(KS)-hFIIを用 いて増幅した。増幅されたフラグメントを、pGEX-5X-1のEcoRIおよびXhoI部位に 、GSTをコードする配列とインフレームでクローニングした。得られた構築物を 用いて、E.coli株JM105(ATCC 47016)を形質転換した。 GST-プレトロンビン-1およびGST-プレトロンビン-2を含むJM105の静止期培 養物を一晩、37℃で、200μg/mlアンピシリンを含む25mlのLuria-Bertani培地( LB)中で、250rpmで震盪させながら増殖した。200mlの培地は4mlの静止期培養 物を接種され、そして、250rpmで震盪しながら、細胞が指数増殖期に達するまで (600nmにおけるO.D.=0.6〜1.2)37℃でインキュベートした。インキュベーシ ョンの温度を17℃に下げ、そして1時間後、IPTGを添加して最終濃度を1mMとし 、さらにインキュベーションを24時間継続した。細菌細胞を5000gで遠心分離に より回収し、50mM TrisCl、150mM NaCl、pH7.5で洗浄した。細胞を20mlの50mM T risCl、150mM NaCl、pH7.5中に懸濁し、3〜4分間の超音波処理(50%デューテ ィーサイクル)によって破砕し、Triton X-100を添加して、最終濃度を1%とし 、そして抽出物を80rpmで60分間4℃で混合した。不溶性物質を10,000gでの遠心 分離によって除去した。GST-プレトロンビン-1およびGST-プレトロンビン-2を 、可溶性画分中にヒトα-トロンビンに対するモノクローナル抗体(EST-1)を用 いるウエスタンブロッティングにより評価して、約5mg/リットル培養物の収量 で発現させた。GST-プレトロンビン-1およびGST-プレトロンビン-2融合タンパ ク質を、30μg/mlのEchis carinatus毒とともに、50mM TrisCl、150mM NaCl、pH 7.5中で30分以上インキュベートすることによって成熟α-トロンビンにプロセッ シングした。融合タンパク質がヒトα-トロンビンのA鎖およびB鎖と同じサイ ズのフラグメントにプロセッシングされることを還元条件下でのSDS-PAGE後のウ エスタンブロッティングにより可視化した。プロセッシングの際に、200ngの プロセッシングされたGST-プレトロンビン-1またはGST-プレトロンビン-2融合 タンパク質を100μM S-2238とともに50mM TrisCl、150mM NaCl、pH7.5中37℃で1 0分間インキュベートすることによってトロンビン特異的色原性ペプチジル基質 (S-2238)に対するアミド分解活性を評価した。Echis carinatus毒によるプロ セッシング後、サンプル中にアミド分解活性のみが検出された。 GST-プレトロンビン-1およびGST-プレトロンビン-2融合タンパク質を、グル タチオン-セファロース4B(Pharmacia)でのアフィニティークロマトグラフィー により精製した。細菌抽出物をグルタチオン-セファロース4Bの1mlカラムに適 用し、カラムを密閉し、そして40分間混合した。カラムを排水し、そして50mM T risCl、150mM NaCl、pH7.5+1%TritonX-100で洗浄し、50mM TrisCl、150mM NaC l、pH7.5で洗浄し、そして10mMグルタチオンを含む1mlアリコートの50mM TrisC l、pH8.0で溶出させた。10mMグルタチオンで溶出させたGST-プレトロンビン-1 およびGST-プレトロンビン-2融合タンパク質は、クーマシーブルーで染色され たSDS-PAGEにより評価されるように約50%の純度であった。 本発明のNPは、本実施例中のプレトロンビン-1またはプレトロンビン-2と同 様の様式によって産生され、そして本明細書中に記載のように成熟活性化NPにプ ロセッシングされる。ただし、構築物はJM105における発現前に変異誘発され、 所望の配列変化を発現ベクターに導入される。 実施例6 PCA2(E229A)および野生型トロンビンによる血小板凝集 PCA2は、フィブリノゲン血液凝固が欠損していることを示されたが、トロンビ ンの別の重要な凝固促進機能は、血小板表面の膜貫通レセプターの切断の結果と しての血小板凝集の刺激である。PCA2もまたトロンビンのこの凝固促進機能を欠 損することを示すために、血小板凝集研究が実施され、異なる濃度のPCA2および 野生型トロンビンを比較した。 野生型およびPCA-2トロンビンを比較する血小板凝集研究を、クエン酸処理ヒ ト血小板豊富血漿(PRP)でChrono-Logデュアルチャンネル凝集メーター(aggre gometer)(model 560-VS,Chrono-Log Corp,Havertown PA)を用いて実施した 。 新鮮ヒト全血(4.5mL)を、0.5mLの129mMクエン酸ナトリウムを含む滅菌Vacutai nerチューブ(Becton Dickenson,Rutherford,NJ)に回集した。遠心分離によ って、PRPをクエン酸処理血液から分離した。凝集メーターを、製造者の指示に 従って設定した。組換えヒトα-トロンビンを添加し、最終濃度が野生型に対し て0.12nM〜0.49nMの範囲、およびPCA2に対して0.74nM〜71.89nMの範囲のPRPを予 備加温(37℃2分間)した。PRPに対するトロンビンの添加によって刺激される 血小板凝集を、5分間までの間チャートレコーダー上に記録した光透過性の上昇 によってモニターした。血小板凝集の程度を、トロンビン添加1.5分後のトレー スの下の面積を測定することによって定量化した。血小板凝集の程度(cm2)を トロンビン濃度に対してプロットした(図7)。 野生型トロンビンおよびPCA2による血小板凝集の剌激に対するEC50(最大刺激 の半量に要する濃度)をこのプロットから推定した。PCA2(EC50=30.8nM)は、 血小板凝集の刺激において野生型トロンビン(EC50=3.9nM)より8倍効めが低 く、それ故、この凝固促進活性ならびにフィブリノゲンの血液凝固において欠損 している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07H 21/04 A61K 37/02 ABN C12N 5/10 ABS 9/74 ADU (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT, LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK ,TJ,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 レング,ローレンス エル.ケイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94010, ヒルスボロー,レイクビュー ドライブ 1470 (72)発明者 チアング,マヌエル アメリカ合衆国 カリフォルニア 94404, フォスター シティー,アルバコア レー ン 166

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.タンパク質分解活性NPであって、参照配列トロンビンと少なくとも約80%の アミノ酸相同性を有し、そしてフィブリノゲン凝固活性に対するプロテインC活 性化活性の比が参照配列トロンビンの比の約半分未満または約2倍より大きい比 を有するが、ただし、該新規ポリペプチドが、天然に存在するトロンビン、トロ ンビンK52E、トロンビンR70E、トロンビンR68E、トロンビンK154A、トロンビンK 252E、トロンビンK174E、トロンビンR180E、トロンビンD99A、トロンビンD99N、 トロンビンE202Q、トロンビンE25K、トロンビンR245E、トロンビンS205A、R197E 、D199E、トロンビンN151D、K154E、トロンビンdesP48P49W50、トロンビンdesE1 46T147W148、トロンビン活性化部位内の少なくとも1つのアミノ酸残基が置換あ るいは欠失されているトロンビン、またはループF19-E25が組織プラスミノゲン アクチベーター由来の等価なループに置き換えられているトロンビンでない、タ ンパク質分解活性NP。 2.単離したタンパク質分解活性NPであって、参照配列トロンビンと少なくとも 約80%のアミノ酸相同性を有し、そしてフィブリノゲン凝固活性に対するプロテ インC活性化活性の比が参照配列トロンビンの比の約半分未満または約2倍より 大きい比を有するが、ただし、該新規ポリペプチドが、トロンビンK52E、トロン ビンR70E、トロンビンR68E、トロンビンK154A、トロンビンK252E、トロンビンK1 74E、トロンビンR180E、トロンビンD99A、トロンビンD99N、トロンビンE202Q、 トロンビンE25K、トロンビンR245E、トロンビンS205A、R197E、D199E、トロンビ ンN151D、K154E、トロンビンdesP48P49QW50、トロンビンdesE146T147W148、トロ ンビンアミノ活性化部位内の少なくとも1つのアミノ酸残基が置換あるいは欠失 されているトロンビン、またはループF19-E25が組織プラスミノゲンアクチベー ター由来の等価なループに置き換えられているトロンビンでない、単離されたタ ンパク質分解活性NP。 3.1つまたはそれ以上の残基W50、K52、D58、K65、H66、Y71、N74、K106、K1 07、S176、T177、W227、D193、K196、E202、E229、R233、D232、D234、K236、Y2 37、またはF239が置換され、欠失され、またはその隣に別の残基が挿入されてい るトロンビンから選択される、請求項1に記載のNP。 4.W50が欠失されているか、または以下の群:G、A、V、I、L、S、T、 D、N、E、Q、C、K、M、F、Y、P、R、およびHから選択される別の残 、基が、それの代わりに置換されるか、あるいはそのすぐ隣に挿入されている、 請求項3に記載のNP。 5.K52、K65、K106、K107、またはK196が欠失されているか、または以下の群: G、A、V、I、L、S、T、D、N、E、Q、C、M、F、Y、P、W、R、 およびHから選択される別の残基が、それの代わりに置換されるか、あるいはそ のすぐ隣に挿入されている、請求項3に記載のNP。 6.D58、D193、またはD234が欠失されているか、または以下の群:G、A、V 、I、L、S、T、N、E、Q、C、K、M、F、Y、P、W、R、およびHか ら選択される別の残基が、それの代わりに置換されるか、あるいはそのすぐ隣に 挿入されている、請求項3に記載のNP。 7.残基W50およびK52、E229およびW50、R233およびW50、R233およびK52、また はR233およびE229が、置換されているか、または欠失している、請求項3に記載 のNP。 8.H66が、欠失されているか、または以下の群:G、A、V、I、L、S、T 、D、N、E、Q、C、K、M、F、Y、P、W、およびRから選択される別の 残基が、それの代わりに置換されるか、あるいはそのすぐ隣に挿入されている、 請求項3に記載のNP。 9.Y71が、欠失されているか、または以下の群:G、A、V、I、L、S、T 、 D、N、E、Q、C、K、M、F、P、W、R、およびHから選択される別の残 基が、それの代わりに置換されるか、あるいはそのすぐ隣に挿入されている、請 求項3に記載のNP。 10.N74が、欠失されているか、または以下の群:G、A、V、I、L、S、 T、D、E、Q、C、K、M、F、Y、P、W、R、およびHから選択される別 の残基が、それの代わりに置換されるか、あるいはそのすぐ隣に挿入されている 、請求項3に記載のNP。 11.E202またはE229が、欠失されているか、または以下の群:G、A、V、I 、L、S、T、D、N、Q、C、K、M、F、Y、P、W、R、およびHから選 択される別の残基が、それの代わりに置換されるか、あるいはそのすぐ隣に挿入 されている、請求項3に記載のNP。 12.前記置換、欠失、または挿入が、AまたはB鎖においてのみ行われている 、請求項3に記載のNP。 13.R233が、欠失されているか、または以下の群:G、A、V、I、L、S、 T、D、N、E、Q、C、K、M、F、Y、P、W、およびHから選択される別 の残基が、それの代わりに置換されるか、あるいはそのすぐ隣に挿入されている 、請求項3に記載のNP。 14.残基D193、K196、およびK52が置換されているかまたは欠失されている、 請求項3に記載のNP。 15.前記残基が置換され、そして該置換がアラニンによる、請求項3に記載の NP。 16.前記残基のうち2または3個が置換されている、請求項3に記載のNP。 17.A鎖を伴わないB鎖を含有する、請求項3に記載のNP。 18.AおよびB鎖を含有する、請求項3に記載のNP。 19.ヘパリン依存性AT-III阻害の存在下でS-2238の加水分解によって測定した とき、参照トロンビンの約2倍より大きい残留タンパク質分解活性を有する、請 求項1に記載のNP。 20.ヘパリン結合部位残基が置換されている、請求項3に記載のNP。 21.前記残基が、R89、R180、R245、K248、またはK252である、請求項20に 記載のNP。 22.前記NPが、 である、請求項3に記載のNP。 23.前記トロンビンが、残基K21、Q24、R70、R98、もしくはK77位置で置換さ れ、1つまたはそれ以上のこのような残基が欠失されるか、または別の残基がこ のような残基の1つまたはそれ以上のすぐ隣に挿入されている、請求項1に記載 のNP。 24.前記残基がE229またはR233である、請求項3に記載のNP。 25.前記残基が、E229またはR233のCαから約10オングストローム以内に存在 する、請求項1に記載のNP。 26.請求項1に記載のNPをコードする、核酸。 27.請求項26に記載の核酸を含有する、複製可能なベクター。 28.請求項27に記載のベクターを含有する、組換え細胞。 29.請求項28に記載の細胞を培養する工程および該細胞培養物からNPを回収 する工程を包含する、方法。 30.前記NPが、前記細胞培養物中で可溶性ポリペプチドとして発現される、請 求項29に記載の方法。 31.前記NPが、前記細胞培養物中でB鎖のみとして発現される、請求項29に 記載の方法。 32.前記核酸がAおよびB配列をコードし、これらのうち各1つが独立してシ グナル配列をコードする核酸と連結し、そして該核酸が同一の宿主細胞内で同時 発現される、請求項29に記載の方法。 33.血栓症の疾患または病態を治療する方法であって、治療有効量のタンパク 質分解活性NPを投与する工程を包含する方法であって、ここで、該NPが、参照配 列トロンビン配列に対してアミノ酸配列で少なくとも約80%相同性であり、そし てフィブリノゲン凝固活性に対するプロテインC活性化活性の比が参照配列のト ロンビンの比の約2倍より大きい比を有する、方法。 34.ヘパリン依存性AT-III阻害の存在下でS-2238の加水分解によって測定した とき、前記NPが参照トロンビンの約2倍より大きい残留タンパク質分解活性を有 する、請求項33に記載の方法。 35.血栓性疾患または状態が、心臓バイパス術、冠動脈血栓溶解および血管形 成術、肺塞栓症、一過性虚血性発作、脳卒中、不安定性狭心症、心筋梗塞、お よび深部静脈血栓症である、請求項33に記載の方法。 36.前記NPが、検出可能なフィブリノゲン凝固活性を欠く、請求項33に記載 の方法。 37.前記NPが、少なくとも5%の野生型トロンビンプロテインC活性化活性を 保持する、請求項36に記載の方法。 38.前記NPが、 である、請求項37に記載の方法。 39.参照配列トロンビンに対してアミノ酸配列で少なくとも約80%相同性であ るNPが、該トロンビンの少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されているか、欠 失されているか、またはトロンビン残基R20、K21、S22、Q24、E25、D35、W50、D 51、K52、N53、F54、T55、N57、D58、K65、H66、R68、T69、R70、Y71、R73、N74 、K77、E82、K83、R89、R93、E94、R98、K106、K107、D113、C119、D122、R123 、E124、S128、Q131、K145、E146、T147、W148、T149、N151、K154、S158、E169 、K174、D175、S176、T177、R178、1179、R180、D183、D193、K196、D199、A200 、C201、E202、N216、N217、W227、G228、E229、G230、C231、D232、R233、D234 、G235、K236、Y237、G238、F239、R245、K248、Q251、R245、K248、W249、Q251 、K252、D255、またはD256のすぐ隣に挿入がなされているが、ただし、該NPが、 トロンビンK52E、トロンビンR70E、トロンビンR68E、トロンビンK154A、トロン ビンK252E、トロンビンK174E、トロンビンR180E、トロンビンE202Q、トロンビン E25K、トロンビンR245E、D199E、トロンビンN151D、K154E、トロンビンdesP48P4 9QW50、トロンビンdesE146T147W148、トロンビンアミノ活性化部位内の少なくと も1つのアミノ酸残基が置換あるいは欠失されているトロンビン、またはループ F19-E25が組織プラスミノゲンアクチベーター由来の等価なループに置き換えら れているトロンビンではない、NP。 40.参照配列トロンビンに対してアミノ酸配列で少なくとも約80%相同的であ るNPが、該トロンビンの少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されているか、欠 失されているか、または以下のトロンビン残基D35、W50、D51、K52、N53、F54、 T55、N57、D58、K65、H66、R68、T69、R70、Y71、R73、N74、K77、E82、K83、R8 9、R93、E94、R98、K106、K107、D113、C119、D122、R123、E124、S128、Q131、 K145、E146、T147、W148、T149、N151、K154、S158、E169、K174、D175、S176、 T177、R178、1179、R180、D183、D193、K196、D199、A200、C201、E202、N216、 N217、W227、G228、E229、G230、C231、D232、R233、D234、G235、K236、Y237、 G238、F239、R245、K248、Q251、K248、W249、Q251、K252、D255、またはD256の すぐ隣に挿入がなされているが、ただし、該NPが、トロンビンK52E、トロンビン R70E、トロンビンR68E、トロンビンK154A、トロンビンK252E、トロンビンK174E 、トロンビンR180E、トロンビンD99A、トロンビンD99N、トロンビンE202Q、トロ ンビンE25K、トロンビンR245E、トロンビンS205A、R197E、D199E、トロンビンN1 51D、K154E、トロンビンdesP48P49QW50、トロンビンdesE146T147W148、トロンビ ン活性化部位内の少なくとも1つのアミノ酸残基が置換あるいは欠失されている トロンビン、またはループF19-E25が組織プラスミノゲンアクチベーター由来の 等価なループに置き換えられているトロンビンではない、NP。 41.参照配列トロンビンに対してアミノ酸配列で少なくとも約80%相同的であ るNPが、該トロンビンの少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されているか、欠 失されているか、または以下のトロンビン残基D35、D51、N53、F54、T55、N57、 D58、K65、H66、T69、Y71、R73、N74、K77、E82、K83、R89、R93、E94、R98、K1 06、K107、D113、C119、D122、R123、E124、S128、Q131、K145、T149、S158、E1 69、D175、S176、T177、R178、1179、D183、D193、K196、A200、C201、N216、N2 17、W227、G228、E229、G230、C231、D232、R233、D234、G235、K236、Y237、G2 38、F239、K248、Q251、K248、W249、Q251、D255、またはD256のすぐ隣に挿入が なされている、NP。 42.アルギニンがE229の代わりに置換されている、請求項41に記載のNP。
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