【発明の詳細な説明】
血栓性疾患の治療
本発明は、心臓病や脳卒中のような血栓性疾患に罹っている患者に起る生命を脅
かす血液凝塊(血栓)の予防と治療のための方法と材料薬物に関する。
血栓症は、心臓や脳のような重要な器官に血液を供給する血管を遮断(閉塞)す
る凝血塊(血栓または塞栓)の形成に集約される疾病過程である。これら血栓が
治療されなければ、心臓発作(心筋梗塞)、肺塞栓症または脳卒中による死を招
く結果となり得る。これら生命を脅かす血栓症の形の外に、主として、血管網中
の凝血塊が不都合に形成されることによる小血栓による多数の疾患側なものとし
ては、敗血症性ショックに至る細菌によって起る血栓症があげられる。血栓症が
起る機構は極めて複雑で、十分理解されていないが、ある場合には、血管壁の罹
病部分(アテローム病巣)が、傷害を受けた部位における血小板やフィブリンの
沈積物のような血液成分の集積からなる血液凝固(止血)の正常治療過程を受け
ることによって開始されると考えられる。
ある時点ては、治療が行われなければ、このような血栓は、十分大きく生長して
、形成部位における血管を閉塞するか、ちぎれて、血流中を運ばれ、ついにはも
っと径の小さい血管を遮断する(この現象は、塞栓と呼ばれている)。
現在では、血栓性疾患の治療は、大ざっばに、以下の如く、2つのよ(知られた
治療形式に限定されている。
1、 抗血液凝固剤での凝血塊形成の予防、そして、2、 プラスミノーゲンか
らプラスミンの産生を活性化させるために、組織プラスミノーゲンアクティベー
ター(T P A )を投与することによってフィブリン凝固物を開裂させるこ
と。
しかし、今までのところ、上述のような仕方で血管を閉塞することが多い、血小
板凝集物を、治療有、効量で特異的に溶解するか、または脱凝集させることがで
きる物質は同定されていない。(治療有効量とは、患者が受入れることができる
量で、−膜蛋白質分解のようなリスクか受入れることができる程度に低い用量で
ある)。
血小板凝集物中に存在する血小板間の結合には、フィブリノーゲンが関与してい
るが、フィブリノーゲンを分解する性質をもった物質が、血小板凝集物の脱凝集
を行う能力を必然的にもっているというような直接的相関は存在しない。血小板
凝集物の脱凝集を行う能力をもたない血栓溶解剤が同定され、多数のフィブリン
溶解酵素は、血小板凝集物を脱凝集できないことが知られている。例えば、スト
レプトキナーゼやウロキナーゼのようなプラスミノーゲンやアクティベーターは
、血小板凝集物を脱凝集しないし、トロンビンのようなN末端フィブリノゲナー
ゼやヘビ毒から単離されたフィブリゲナーゼにもこの活性はない。
それぞれ、フィブリン凝集塊と血小板凝集物を粉砕する上でのヘメンティンとプ
ラスミノーゲンアクティベーターの異なる役割、したがって、作用様式は、図1
に図解されている。プラスミノーゲンアクティベーターは、プラスミノーゲンの
フィブリン凝集塊に作用するプラスミンへの転換を促進する。それと対照的に、
ヘメンティンは、血小板のフィブリノーゲン開裂に優先的に作用し、その開裂に
よって、引続いて凝集物の脱凝集を起すことか分った。
血小板凝集物の脱凝集は、治療的に有効な方法で凝集物を特異的酵素(フィブリ
ノゲナーゼのような)で処理することによっては、不可能であると考えられた。
、TPAは、過度に高い濃度(すなわち、治療有効量よりかなり過剰な量にお
いて)で、ブロスミンによるフィブリノーゲン架橋結合血小板の蛋白質分解によ
って、血小板凝集物の脱凝集を促進することが知られている。しかし、TPAは
、血小板凝集物を選択的に脱凝集しない。
その上、循環系中の他の凝固因子(X因子など)に対し、有害な作用をもってお
り、血管網中の修復領域中に生ずる血止め栓の溶解を起す。プラスミノーゲンア
クティベーターのこの非特異的作用は、このような血栓溶解剤に関して起ること
が多い出血の原因となることがあると示唆されている。TPAの作用は、非特異
的プロテアーゼの作用と類似しており、血小板凝集物のフィブリノーゲン結合に
対して特異性がない。
in vivoで血小板凝集物を脱凝集するためにTPAを使用することを妨げ
るもう1つの要因は、投与したTPAが望ましい治療効果を発揮するためには、
受入れ難い高用量を必要とすると考えられることである。その上、TPAは血漿
によって阻害を受ける。そして、そのために、TPAを、それが血小板凝集物に
対して、脱凝集活性を保持するためには、連続的潅流としてTPAを投与するこ
とが必要となると考えられる。
哺乳動物の心血管系において、活性を有する一種々の物質が、ヒルの分泌物中に
存在することが知られている。
素であるヘメンティンがある。ヘメンティンとその単離は、U、S、特許439
0630中に記載されている。
ヘメンティンのフィブリノーゲン溶解活性は、Malinconico S、M
、 ; Katz J、B、とBudzynski A、Z、によって、 “ヘ
メンティンによるフィブリノーゲン分解−ヒル、Haementeria gh
ilianilの唾腺からのフィブリノーゲン溶解性凝固剤” 、J、 Lab
、 Cl1n、 Med、 1984 ;104 (5)pp842−854に
おいて記述されている。
この論文、または上述の米国特許4390630には、ヘメンティンが他のフィ
ブリノーゲン溶解酵素と比較して、血小板凝集物を脱凝集する特異的能力がある
というなんらのヒントも示唆もない。
本発明者らは、今回、ヘメンティンを含む組成物について、予期しない性質を発
見した。すなわち、治療有効量において、他の凝固因子や血液凝固に作用せずに
、フィブリノーゲン開裂を経て、血小板凝集物を特異的に溶解するin viv
oにおける能力である。
したがって、本発明の最初の部分によれば、動物の患者(ヒトのような)に対し
て、血小板凝集物を、容積て比較して優先的に含む部位において、該凝集物を脱
凝集させる量と方法で、ヘメンティンを含む組成物の治療的有効量を投与するこ
とを含む、血栓疾患の治療の方法が提供されている。
ヘメンティンか、血小板凝集物を脱凝集する、したがって、血小板に富んだ凝血
塊を溶解する詳細な機構は、独特であるように思われる。他のフィブリノーゲン
溶解性酵素は、優先的に、
1、 例えば、プラスミンと若干のヘビ毒(この露出したAの鎖もトリプシンの
ような一般的プロチアーゼによって、酵素的攻撃を受け易い)のように、フィブ
リノーゲンの露出したAの鎖のC00H−末端において開裂を起すか、または、
2、トロンビンや若干のヘビ毒のように、フィブリノーゲン分子のアミノ末端に
おいて開裂を起す。これは、主としてフィブリノペプチドAそして/またはフィ
ブリノペプチドB、(または同様な短鎖ペプチド断片)の除去に関るもので、こ
の除去により、通常は、依然として重合することができ、したがって、主として
フィブリンを含む凝血を形成することができる成分を、結果として生成する。
ヘメンティンは、DとEのドメインの間の結合部領域における3つの鎖(α、β
、γ)を通じて最初に開裂を起すことか知られている唯一の酵素である。(Ki
rschb−aum、 N、E、とBudzynski、 A、Z、1990)
“天然分子のAa C00H−末端ドメインを含んでいて(J、 Biol、
Chem265:13669−13676):後に血小板凝集物(治療的に有
効な量で)を脱凝集させることができるヒトフィブリノーゲンの独特な蛋白質分
解性断片。この部位における開裂は、血小板に結合したフィブリノーゲンの2価
の結合の性質をこわすために、最も利用し易く、効果的であると仮定されている
(Sawyer、 R,T、、PowellJones、 C,とMunro、
R,1991* アマシンのヒルHaementeria ghiliamm
iの吻におけるヘメンティンの生物学的機能; Blood coagulat
ion and Fibrinolysis vol。
2、 I)I)i 53−159)。上述の特許または論文中においては、ヘメ
ンティンの一次構造について、なんらヒントも示唆も存在していない。
本発明の第二の部分によれば、血栓性疾患の治療法が提供されており、その方法
は、動物の患者(ヒトの患者のような)に、血小板凝集物を優先的に(容積で)
含む凝血塊が存在する部位において、該血小板凝集物のフィブリノーゲン結合の
DとEのドメインの間を優先的に開裂させることができる物質の治療的有効量を
該凝集物を脱凝集させるような量と方法で、投与することを内容としている血栓
性疾患を治療する方法が提供されている。
本発明による方法によって治療された血小板凝集物は、治療を行わなければ、血
管を閉塞し、心臓発作、肺塞栓症または卒中、モして/または、その他の大小の
血液供給障害の症状発現によって病気を起すかもしれない凝血塊であってよい。
肺塞栓症に罹患している患者は、赤血球沈降速度(ESR)の加速を経験するの
が典型的である。このような患者にヘメンティンを含む組成物を、本発明の方法
にしたがって投与すると加速されたESRを減速することが、今や明らかにされ
た。その上、ESRを減速させるヘメンティン含有組成物の作用から、また加速
されたESRは、なんらかの方法で、赤血球とフィブリノーゲンの相互作用に関
係づけられることを示された。したかって、ヘメンティンは、個々の患者におけ
る赤血球とフィブリノーゲンとの相互作用の程度に対する診断指標として役立つ
。さらに、血漿フィブリノーゲンの増加が、血液の粘度に影響する場合には、ヘ
メンティン組成物は、粘度を減少させるための治療法として使用することがてき
る。
ヘメンティンのさらなる有利な性質は、その血小板凝集を脱凝集させるin v
ivo活性が、そのin VitrO活性に較へて、有意に増強されるというこ
とである。これは、TPAのin vivoとin vitroでの一般相対活
性と、完全に反対の関係にある。TPAは、in vivoての血漿による阻害
のために、in VitrOに較べin vivoでの活性がはるかに低い。
このような血栓性疾患を治療する上で使用される組成物は、ヒルの組織、または
Rhunchobdellida口のヒルの分泌液(例えば、Haemente
ria ghilianiiの唾腺から)から直接由来するか、または、任意に
さらに精製してもよい(例えば、単一の主要蛋白質ピークをもち、比活性か10
0OU/mg蛋白質より大きいことを特徴とする事実上純粋なヘメンティンまで
)。
ないしは、それはこのような組織または分泌物から、遺伝子操作、および複製技
術によって間接的に由来することができる。(そして、本発明中に今後説明され
るように、現在はじめて本発明者らがヘメンティンのアミノ酸配列を解明したの
で、このような遺伝子操作と複製技術が可能になった。典型的には、クローニン
グした物質は、ヒルの組織またはRhynchobdellida目のヒルの分
泌液から間接的に由来し、その中でヘメンティンが複製される宿主バクテリアに
よって発現される。
これまでは、ヘメンティンの短いアミノ酸配列しか知られておらず、独特なオリ
ゴヌクレオチドプローブの構築と複製を可能にするには不十分であった。前方唾
腺からのヘメンティンのN末端における最初の10このアミノ酸についての配列
は、以下の如く報告されている。
(Swadesh、J、に、、 Huang、 T、Y、とBudzynski
、 A、Z、1990゜“Haementeria ghilianiiからの
フィブリン溶解性プロテアーゼ、ヘメンティンの精製と特徴づけ: J、 Ch
ro−matography502 : 359−369) :51O
thr−thr−1eu−thr−glu−pro−glu−pro−asp−
1eu一本発明者らは、現在さらにそれによってヘメンテインの複製が可能にな
るヘメンティンのアミノ酸配列を解明した。
本発明者らは、前方唾腺または後方唾腺から単離されたヘメンティンのN−末端
配列をそれぞれ次の通り決定thr−thr−1eu−thr−glu−pro
−glu−pro−pro−(またはpheまたはasn)−1eu−thr−
thr (またはphe)−1eu−thr (またはasn)−phe−va
t−arg(またはasp)−ile(またはasn)−val−asn(また
は1ys)−vat(またはleu)−glu(またはasp)−met−pr
o−i1e−phe−val(またはaspまたはglyまたはalaまたはp
he)−met−ala−thr(またはarg)−ala−asn(またはg
in)−ser−gin−i 1e−thr(またはtyr)−set(または
thrまたはtyr)−thr(またはIYs)−phe−(前方唾腺について
);または
thr−thr−1eu−thr−g lu−pro−glu−pro−phe
−1eu−thr−tyr−1ys)−val(またはleu)−glu−me
t−pro−ile−phe−val−met−al a−t hr−a la
−asn−set−g ln−i le−t hr−ser−t hr−phe
−(後方唾腺について)
本発明者らは、前方唾腺ヘメンテインの内部アミノ酸配列についても、次の通り
であることを解明した。
pro−val−glu−arg−gly−ile−pro−1euこの配列の
2−6位置と8−9の位置(星印で示されている)のこの配列の部分は、Swa
deshら(1190,J。
Chromatography502 : pp、359−369 )によって
報告され、ヘメンティン精製における混在ペプチドと称された配列に相当する。
その配列は、glU−Val−try−thr−asn−tyr−ala−se
r−phe−1eu−である。本発明者らの配列は、混在ペプチドに相当しない
であろう。この配列は、ヘメンティン分子内のasn−glyの酸加水分解から
生じる可能性がある。
上記アミノ酸配列のいずれをコードするDNA配列も、標準的技術によって外挿
されるか決定されることかできる。したがって、本発明は、上記の新しいアミノ
酸配列についてのいずれをコードするDNA塩基配列も含む。
ヘメンティンを含む組成物は、切除した呼線(典型的ジナイズし、そして、一連
のクロマトグラフィー操作を駆使して、活性成分を精製することによって得るこ
とかできる。
したがって、本発明によってあらかじめ生成された血小板凝集物を溶解すること
ができる物質を単離する方法が提供されている。その方法には以下が含まれる。
すなわぢ、
(a) 出発物質か、ヒルの組織である場合では、(b) 段階(a)のホモジ
ネート、またはHepes緩衝液中のRhynchobdellida 、また
はバクテリア源から発現されたクローニングしたヘメンティンのイオン交換クロ
マトグラフィーによる精製、そして、
(C) 段階(b)の溶出液に安定剤を添加すること。
したがって、示したように、ヘメンティンが発現された微生物からクローニング
した化学的に同一なヘメンティンを単離するためには、ヒルの組織や分泌物から
のヘメンティンの単離に用いられる方法と同様な方法か用いられるであろう。
好ましくは、段階(b)における溶出液として、食塩緩衝液が使用される。段階
(C)における安定剤は、精製ヘメンティンが、凍結乾燥、凍結、または解凍の
際に活性を失うことを防ぐためのものである。このような安定剤の例は、ウシ血
清アルブミンである。
典型的には、本発明の方法は、阻害因子Xaが目的物に混入するのを除くために
、ヘパリンセファロースカラムの使用を、そして目的物の純度を向上させるため
に、ゲル濾過クロマトグラフィーの使用を含む。
したがって、本発明によって、本発明の詳細な説明においてこれまでに記述した
単離法によって得られる産物が提供される。該産物は、動物の患者(ヒトの患者
のような)に治療的有効量で投与した場合、選択的に血小板凝集物を溶解、すな
わち、脱凝集することができる。好ましくは、産物はヘメンティンを含み、これ
は、典型的には事実上純粋なヘメンティンである。
小規模なヘメンティンの単離と精製の操作手順は、これまでに記述されている。
(Swadesh、 J、に、、 Huang、[、Y。
ghilianiiからのフィブリノーゲン溶解プロテアーゼの精製と特徴ずけ
: J、 Chromatography502 : 359−369)。しか
し、この方法は、強アニオン交換過程と重炭酸アンモニウムを使用しており、以
下の理由から、大規模用、または医薬用ヘメンティンに適用することはできない
。すなわち、
(1) 塩化カルシウムの存在下の重炭酸アンモニウム緩衝液は、凍結乾燥時に
不溶沈澱物を生じ、これは、恐らく炭酸カルシウムであろう。
(2) 精製したヘメンティンは、凍結、解凍および凍結乾燥時に、その活性の
大部分を失う。
(3) 本操作の結果、ヒル、Haementeria ghilianiiの
呼線中に存在することが知られている( Blankenshipら、1990
; Biochem、 Biophys、Res、 Comm、166 :1
384−1389)凝固因子Xaの検知しつる量が混入した産物を生じ得る。
本発明による方法で使用されるヘメンティンを含む組成物は、さらに、抗凝固作
用とフィブリン溶解活性を有し、(血小板凝集物に対する活性と相俟って)血液
凝固の1つ以上の過程について、相加的または相乗的に作用する。ヘメンティン
を含む組成物は、単独または他の抗凝固剤、すなわち、血栓溶解剤、または抗血
小板凝集剤ど併用しても、血栓症の予防、または治療的処置に、本発明にしたが
って用いることができる。
血小板凝集のための必須条件は、フィブリノーゲンが活性化された血小板上のG
p [Ib −III a受容体に対して結合することである。コラーゲン、
トロンビンおよびADPのような生理学的作用剤による活性化の結果、血小板上
のフィブリノーゲンに対する結合部位の露出を起し、活性化血小板上のD p
IIb −[[1aの受容体に結合したフィブリノーゲンのAa鎖を通じて、血
小板の架橋結合を生ずる。
本発明者らは、ヘメンティンを含む組成物は、この過程に対して効果を有し、血
小板凝集を防ぐばかりか血小板の脱凝集を起すことを見出した。
本発明者らは、ヘメンティンを含む組成物を使用して、ADPで誘発した血小板
凝集物の広範な脱凝集を起させることができた。ADPを使用して、広範な脱凝
集が起ったが、コラーゲンなどの他の誘発剤の高濃度を試みたとき、効果はやや
劣った。これは、これらの他の誘発剤が使用されるとき、フィブリノーゲンを利
用する結合以外の型の血小板結合が生ずるからであると考えられる。
ヘメンティンを含む組成物が、血小板を選択的に脱凝集させる能力は、TPAや
ストレプトキナーゼのようなプラスミノーゲンアクティベーターにはない特性で
ある。
これによりヘメンティンを含む組成物に、このようなプラスミノーゲンアクティ
ベーターに対して応答しない血小板に富んだ血栓に対する選択性を有する点で、
利点が与えられる可能性かある。したがって、血栓は、経過時間や組成が種々異
なる複雑な多元成分構造なので、抗血小板治療は、重要な治療戦略となるものと
思われる。ヘメンティンの血小板志向作用様式の確認は、血栓性疾患の治療に対
する平置てを提供する重要な進歩である。
それゆえ、さらに本発明の一部分によれば、血小板凝集の治療的脱凝集、および
任意的に、また血小板凝集の阻害または防御のための薬剤の製造において使用す
るためのヘメンティンを含む組成物が提供されている。
また、血小板凝集物の治療は、脱凝集、および任意的に、また血小板凝集の阻害
、または防御のための薬剤の製造において使用するための該血小板凝集物中に存
在するフィブリノーゲン結合のDとEトメ42間の選択的開裂を行うことができ
る物質を含む組成物も提供されている。
本発明は、TPAのような凝血塊溶解のためのプラスミノーゲンアクティベータ
ーと併用して、患者に投与するためのヘメンティンを含む組成物の使用をさらに
含んでいる。このような投与は、血小板凝集物の阻害剤をさらに要しないと思わ
れる。
本発明は、さらに、ヘメンティンを含む組成物を、ヒルディンや他のヒル由来抗
凝固剤(我々の前回のPCT特許明細書WO90105143において開示され
たもののような)と併用することを含む。
したがって、本発明は、さらにヘメンティンを含む血小板凝集物の治療のための
医薬製剤を含む。本製剤には、ヘメンティン、不活性担体またはそのための賦形
剤、および、任意に、1つ以上のヒル由来抗凝固剤のような活性物質が含まれる
。このような抗凝固剤は、アンチトロンビンであることが望ましく、典型的には
、ヒルジン、ヒルジン類似体、もしくはXa因子である。
担体および賦形剤は、製剤が静脈投与できるようなものであることか望ましい。
適切な担体の1例は、滅菌食塩水である。典型的には、患者に投与されるとき、
ヘメ本発明者らは、ヘメンティンを含む組成物は、単独で、または同様な標的に
向けられる他の薬物との併用で効果を示す4つの抗凝固と抗血栓特性をもってい
ることを確立した。これらの特性は、以下の如く要約できる。すなわち、
1、 抗凝固剤−血液が凝固することを阻害する能力(精製されたヘメンティン
の場合には、凝固に利用できるフィブリノーゲンを涸渇されるフィブリノーゲン
溶解活性の結果であると考えられる)。
2、 フィブリン溶解性の一フィブリン凝固物を溶解する能力
3、 血小板凝集物の阻害剤−多数の作用薬によって、フィブリノーゲンに対す
る作用を経て開始される凝集を防ぐ能力
4、血小板凝集物ン
選択的に脱凝集する独特な驚くべき能力である。
本発明を、これから以下の例をあげてさらに詳細に記述する。これらの例におい
て引用される粗ヘメンテインとは、約100(典型的には25−100)U/m
g蛋白質の活性をもつ組成物のことであり、精製ヘメンテインとは、100OU
/mg蛋白質を超える活性をもつ組成物のことである。
ヘメンティンの単位活性は、37℃において、毎分トロンビンによって凝固でき
ないようにされるmlあたりのフィブリノーゲンのμg数として定義されている
。
本発明はまた、このヘメンティン活性を検知し、測定するための、新しい、より
感度の高い検定法を提供する。
本発明者らは、ヘメンティンは、塩依存性が極めて強く、その結果、活性は反応
緩衝液中での塩化ナトリウムの生理的に近い濃度で測定しなければならないこと
を発見した。本発明者らの反応条件は、50mM Hepes 、10mMCa
C1z 、 0.15 mM NaC1、0,1%Br1j 35 、 pH7
,5であった。対照的に、Swadeshらによる上述の論文では、検定、緩衝
液は、150 mM Hepes、 pH7,9および10mMCaCl2であ
った。その上、本発明者らは、HDLCによって検出されるフィブリノーゲン分
解産物の分析に基く感度の高い検定法も提供している。
さらに、例をあげて、ヘメンティンについての単離精製技術、続いてその物理化
学的性質の特徴づけが示される。
前方呼線からのヘメンティンの精製
凍結した。呼線は、ドライアイス中で細い粉末に砕き、20mM Hepes
、10mM CaC1z 、 pH7,5中でホモジナイズし、解凍した。ホモ
ジナイズを遠心分離しく10100OX、不溶細胞片を除き、次に、さらに遠心
分離(10000Xg)して濾過した(0.45μフイルター)。この物質は、
精製のための出発点とし、ステージI物質と称した。
ヘメンティンは、次に、高性能陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製し
た。ステージI物質を、上記Hepes緩衝液中10m1とし、1−2m1を1
度にDEAE−5PWカラム(I X 5 am ; Waters−Mill
ipore)に加えた。線形食塩グレーディエンドを使用し、活性は8〇−15
0mM NaC1の間で溶出した。
集めた活性分画の凍結乾燥または凍結を行う前に、1mg/mlのウシ血清アル
ブミンを加えた( ’Cohn Fracti−on5 ’ 、 Sigma
)。典型的な精製結果は、以下の如くである。
比活性 全 回収率
(単位/mg) (単位) %
ステージI 292 16.600 −前方呼線物質のゲル濾過による精製
陰イオン交換後の物質(ステージ目)を例1に記述したように集めた。集めた分
画を、分子ふるいカラム(Superdex 200 ; Pharmacia
)に20 mM Hepes、10 mMCaClz 、 pH7,5を含む緩
衝液を使用してかけた。活性を含む分画を集めた。凍結または凍結乾燥する前に
、この集めた分画に、1mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)を加えた。
次に、凍結乾燥し、ステージIII物質と称した。典型的な精製の結果は、以下
の通りである。
比活性 全 回収率
118頭のハングリーフエツトHaementeriaghilianiiの後
方呼線を手で切除し、ドライアイス上で凍結した。ステージI物質とステージI
I物質(イオン交換クロマトグラフィー後)は、例1における如く調製した。イ
オン交換カラムからのステージII物質の溶出中に、活性を含む分画の部分量を
、還元条件下で5DS−PAGE(10%)で分析した(図2挿入図)活性分画
を含し、凍結または凍結乾燥を行う前に、In+g/mlのBSAを加えた。
典型的な精製の結果は、以下の如くであった。
比活性 全 回収率
(単位/mg) (単位) %
ステージI !、825 40.929ステージII 11,506 28.6
50 70凍結した。呼線は酸で洗った砂を用いて、10m1の20mM He
pes、 10mM CaCl2. pH7,5中でホモジナイズした。ホモジ
ネートを遠心分離しく10.000Xg)、上清を0.43μのフィルターを通
して濾過した。これを陰イオン交換カラム(DEAE−5p、 Waters)
上にのせ、食塩グレーディエンドを用いて溶出した。分画を集め、活性と蛋白質
(280mM)について検定した。活性は、分画21−25と分画29/30中
に見出された。
分画21と23−25を合し、逆相疎水的相互作用クロマトグラフィー(RP−
HPLC)によって、さらに精製するのに用いた。5DS−PAGEゲル分析は
、活性を含む分画について行った。陰イオン交換クロマトグラフィーからの、集
めた活性分画を0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中RF−HPLCカラム(
CI 8゜Waters)に適用し、70%水溶性アセトニトリルと0.1%T
FAのグレーディエンドで溶出した(図3)。分画を集め分画53−55に活性
が含まれていることか見出され、それらを凍結乾燥した。蛋白質含量は約40μ
gであった。還元条件下での産物の5DS−PAGE分析により、ヘメンティン
の分子量に相当する約so、oo。
の分子量か与えられた。フィブリノーゲンに対する活性は、ヘメンティンを含む
分画と、インキュベーションした後、フィブリノーゲンの断片を、5DS−PA
GE分析を用いて検出した。
蛋白質の精密な等電点(pDについての知識は、精製のための条件を最大限にす
る上で役に立つ。ヘメンティンについてのこの特性を決定するために、以下の実
験を行った。図2に示したように、陰イオン交換クロマトグラフィーにかけた後
の活性分画を、さらに、0.2MNaC1,10mM CaCl2および0.1
%Tween 80を含む20 mM Hepes緩衝液pH7,5中で、あら
かじめ平衡させた5uperose 12ゲル濾過カラム上のFPLCによって
、さらに精製した。試料200μlをカラムにのせ、上記の緩衝液で0.4 m
l/分の流速で溶出した。溶出液を、分画として集め、その吸光度を280nm
でモニターした。
2つの主要なピークが、それぞれ約30分と40分において溶出した。フィブリ
ノーゲン分解検定(下記例12に記述したように)に基いて、ヘメンティンのピ
ークは、約30分後に溶出するものと決定された。
このピークは、濃縮され、5ephadex G −25上て脱塩された。さら
に濃縮した後、試料の一部をPharmaciaPhast Systemを用
いて、Phast Gel 3−9上で、その等電点(pl)につき分析した。
試料は、ゲルの中央に適用した。Coomassie Blueで染色した後、
およそのp[6,25±0.1の1つの主要バンドがヘメンティンに相当すると
考えられた。微量の複数の不純物も、ゲル上pI値4.6より低値に可視化され
てみられた。染色の強度に基いて、これらの不純物は、5%未満に相当するもの
と推定された。したがって、ヘメンティンのp[は、約6.25±0.1極めて
限られた量の物質か関与している活性のピークを知るためには、フィブリノーゲ
ン分解についての、以下の新しく、迅速で簡便な高感度の検定法を開発すること
が必要であった。検定は、酵素または精製カラム分画を、フィブリノーゲンと共
にインキュベートして後、HPLC(RP300−C8)上で、フィブリノーゲ
ン分解産物を急速に分析することによる。ステージIIの酵素(50μm)、ま
たはカラム分画を、50tll(7)50μM Hepes緩衝液、pH7,5
,2mM CaC1g、50μmの0、15 mM NaC1と50μmのフィ
ブリノーゲン(5mg/ml)とともにReacti −Vial中でインキュ
ベートした。この混合物のうち、20μmを30μmの20 mM Hepes
緩衝液で希釈し、全容量を直ちにRP30−CBカラムを備えたABI 130
A分析クロマトグラフに注入し、0時間のクロマトグラムを作製した。反応混合
物を、0.1%TFA水溶液(溶媒A)と0.1%TFAの80%アセトニトリ
ル水溶液(溶媒B)との間のグレーディエンドで溶出した。カラムは、35%B
で平衡させ、その後5分間で45%Bまで上昇させ、そして、20分間かけて5
0−55%Bのグレーディエンドを行った。バイアルの残りは、30分間のよう
な望ましい期間、37°Cでインキュベートした。この期間は、フィブリノーゲ
ン分解産物の存在によるHPLC溶出プロファイルの変化の形から、活性を検出
するのに十分であった(図4)。
フィブリノーゲン単独では、52%溶媒Bにおいて、単一ピークとしてHPLC
カラムから溶出した。37℃でヘメンティンと30分間インキュベートした後、
フィブリノーゲンピークは、より早い溶出ピーク(50%B)と、もとのフィブ
リノーゲンより遅く(53%B)現れるピークに変換されていた(90%)。
不活性物質は、24時間も経っても溶出パターンを変化させなかった。
例1で述へたようなステージ【I物質をRP300(C3)カラム上てHPLC
により精製した。溶媒Aは、水中0.1%TFA、溶媒Bは、0.1%TFA、
80%水性アセトニトリルであった。グラジェントは30分て25から60%溶
媒Bであった。溶出により、物質は、溶出プロフィール(図5A)に示すように
7つのフラクションに分離した。このアッセイ条件下、実施例6で述べたセンシ
ティブアッセイにより決定されるように、フラクション6及び7は活性を示した
か、他の全てのフラクションは不活性であった。フラクション6か大きな活性を
含んでいた。
24時間ペーパー相HCI加水分解及びフェニルイソソルシオシアナー)(PI
TC)の後、アミノ酸分析を実施した。
例7で述べたように製造したプールしたピーク6(図5Bではピーク1により示
される)をWaters840アミノ酸分析システム(Picotag)にかけ
た。アルチブルリグレッション分析により、Black及びHognessのコ
ンピュータープログラムで計算して、全てのアミノ酸値としてベストフィツトフ
ァクターとして最小分子量83.000を得た。前グランドへメンチンのアミノ
酸組成は次のとおり決定された:
thr 31.89
ser 78.94
g1u )
phe 28.85
前グランドへメンチンのN−末端アミノ酸配列アミノ酸配列分析用プレバレージ
ョンで、例7で製造した、ピーク6ヘメンチンをジクロロジメチルシラン処理ガ
ラスチューブに、マニュアル的に収集した。グラジェントを100マイクロリツ
ター/分で行ない、ピーク6を1チューブ当り200マイクロリツター以下で収
集した。プールしたビーク6ヘメンチンを直ちに100マイクロリツター以下に
濃縮し、20マイクロリツタ一部分て、Applied Biosystems
477 Aパルス液相蛋白シーケンサ−のポリブレーン処理膜に移した。配列分
析のため、フラクションをHepesバッファーなしに収集した。
N−末端配列を以下のとおり決定した:thr−thr−1eu−thr−gl
u−pro−glu−pro−proc又はphe又はasn)−1eu−th
r−thr(又はphe)−1eu−thr−(又はasn)−phe−val
−arg(又はasp)−ile(又はasn)−val−asn(又は1ys
)−val(又はleu)−glu(又はasp)−met−pro−ile−
phe−val(又はasp又はgly又はala又はphe)−met−al
a−thr(又はarg)−ala−asn(又はgln)−ser−gln−
ile−thr(又はtyr)−ser(又はthr又はtyr)−thr(又
は1ys)−phe−例7により製造した、プールしたビーク6ヘメンチンによ
り、トリフルオロ酢酸加水分解により以下の配列を有するペプチドフラグメント
を得た:
pro−val−glu−arg−gly−ile−pro−1euポジション
2−6及び8−9(星印で示す)それぞれでの配列部分は、Swadesh等に
より報告された配列(1990、J、 Chromatograply 502
: pp、359−369)により報告された配列に対応し、ヘメンチン精製
でのコンタミペプチドを示す。彼らの配列は:glu−val−tyr−thr
−asn−tyr−ala−ser−phe−1eu−我々の配列は、コンタミ
ペプチドに対応せず、ヘメンチン分子内のasn−gty結合の酸ヒドロリシ
スから得られた結果に対応する。
例3で述べた、後グランドから製造したステージUヘメンチンを、実施例7で述
べたようにHPLCにより精製した。この蛋白プロフィールは、前グランドステ
ージ[1へメンチンのものと、3つの大きなピークをもっている点(図6)違っ
ていた。活性はピーク3で見られた。
活性ピーク(ピーク3)に対応するプールフラクションをパルス液相蛋白シーケ
ンサ−Appljed Bjosystems477Aにかけた。N−末端配列
を次のとおり決定した:
thr−t hr−1eu−t hr−g lu−pro−g 1 u−p r
o−phe−1e u−t hr−tyr−1eu−thr−phe−val−
arg(又は1ys)−ile−val−asn(又は1ys)−val(又は
leu)−glu−met−pro−ile−phe−val−met−ala
−thr−ala−aSn−Ser−gln−ile−thr−3er−thr
−pile−クルードへメンチンによる3 0 U/ml (単位/ml)での
プラズマ抗−コアゲラント率をマンチェスター試薬(Thrombosis R
e5earch Foundation、ストックボール、英国)を用いたプロ
トロンビン時間(PT);カオリン/ベル及びアルドン プレートレッドサブス
チチュート(Diagnostic Reagents、 Jhame、英国)
による活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT);ウシトロンビン(Ba
xter Healtheare、 Newbury、 Berks)によるト
ロンビン りロツチング時間(TCT)及びアトロキシンクロッチング時間−ボ
スロブス(Bothrops)アトロキシン(atrox)毒(Sigma)の
0.5 mg/ m111度で使用される精製抽出物を測定することによりフォ
ローした。PT。
TCT及びAPTTをクエン酸塩化プラズマ中で測定した。
クルードへメンチンでのこの研究の結果は次のとおりであった:
APTT <1.0 40秒
TCT <2.5 15秒
Atroxin 15−20 17秒
プラズマの凝固性に対するクルードへメンチンの迅速な効果を示している。
精製へメンチンのクエン酸塩化プラズマの凝固に対する700/mlでの結果は
次のとおりであった。
PT アトロキシン TCT APTTコントロール 19 25 15 55
5 min 18 26 15 54
10 min 20 26 15 5320 min >300 60 >30
0 >30030 min >300 −
フィブリノーゲンに対する精製へメンチンの効果を図7に示す。この図は、5D
S−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示し、フィブリノーゲンフラグメ
ントのジェネレーション時間と分子サイズを与えている。
フィブリノーゲン(0,5mg/ ml)を37゛Cで精製へメンチン(160
U/ml)でインキュベートし、アリコートを時間インターバルで採取し、非還
元条件下、5DS−PAGEにより分析した。フィブリノーゲンの大フラグメン
ト(1−4) ’: Marinconicoにより述べられたフラグメント4
(MW225にダルトン);6(MW157にダルトン); 7 (MW=13
3にダルトン):及び8(MW=100にダルトン);に対応か検出された。
クルードヘメンチンをHaementeria ghifianiiの前グラン
ドから抽出した。凍結乾燥クルードへメンチンを血小板研究に使用する前に生理
食塩水又は、50 mM Hepes、10 mM CaCL、0.1%Br1
j35、pH7,5のインビトロアッセイ用に再構成した。新鮮な血液サンプル
を少くとも2週間治療も受けず、アルコールも飲まない5人の健常人ボランティ
アの肘前静脈から静脈注射により採取した。
各ボランティアからの対のサンプルを2つの別の抗凝固剤−1:9v/vO,1
05Mクエン酸ナトリウム又はヘパリン(急速な血小板クランピングを来たさな
い濃度−20II/ml血液で)を含むシリコーン容器中に入れた。
サンプルを200g1O分間遠心し、血小板リッチプラズマ(PRP)9を採取
して250−350X10/リツトルの血小板を含むものを作った。必要であれ
ば、PRPをオートロガスな血小板プアプラズマ(PPP)により稀釈する。全
てのテストを静脈切開前の第2の時間中に行なった。血小板凝集及び脱凝集(d
eaggregati−on)研究を4チヤンネル アブレボメーター中で37
°Cで行なった。酸可溶タイプIコラーゲン(Chrono logCorp、
、Havertown、PA)、ADP (Sigma chemical C
o、。
Poole、 Dorset)及びクエン酸塩化サンプルの場合には−ウシトロ
ンビン(Baxter Healthcare Ltd、、 Newbury。
Berks)を血小板凝集を誘導するのに使用した。インデューサー添加前のへ
メンチンによる事前インキュベート(5分’)PRP (稀釈1:9)の効果を
決定した。精製へメンチンによる血小板脱凝集を凝集の閾値レベルに到達する時
にPRP/インデューサー混合物へのその添加に基づいて決定した。精製へメン
チンの代りの生理ホスフェートバッファー食塩水を用いた適当なコントロールを
各インデューサーで行なった。
ヘメンチンにより事前インキュベートされたPRPでの血小板凝集
精製へメンチンにより事前インキュベートされたPRP中のトロンビンによるフ
ィブリノーゲンコアグラビリチイーの低下は、クエン酸塩化、ヒルジン化(hi
ru’dinised)及びヘパリン化(heparinised)血液の両方
で血小板凝集反応の重大な低下に関連している。典型的な反応、これは5人のボ
ランティア全員で似ていたが、を図アグレゲートした血小板を含むプラズマへの
へメンチンの添加から得られる血小板脱凝集を図9に示す。正常ヒトPRPの血
小板を活性化し、誘導してADP、コラーゲン又はトロンビンアゴニストの作用
により凝集させた。ヘメンチンをこれらのアグレゲートに添加し、時間コースと
効果の程度を血小板アブレボメーター中でフォローした(図9)。クエン酸塩化
又はヒルジン化プラズマにおいて、1から5tJM投与量のADPは特徴的な(
クエン酸塩化プラズマの場合に2相)血小板凝集カーブを誘導し、そしてこれは
少くとも10分間維持された。クエン酸塩化(図9a)又はヒルジン化(図9b
)ADP−誘導血小板アグレゲートへのヒメンチン(10から100 Ll/m
l濃度)の添加は、血小板の急速で非可逆的脱凝集を生じた(図9a、b)。ヘ
パリン化プラズマでは、類似の脱凝集の観察がみられた(データ示さず)。
ヘメンチンにより脱凝集された血小板プレバレージョンは、凝集しなかったコン
トロールと比較してサイズ分布に変化は無かった。
ヒルジン化PRPで、ひとたびへメンチンによる脱凝集がなされたら、ADP(
10μM)又はコラーゲン(5μg/ml)のいずれかを更に添加しても再凝集
は、有意には誘導されなかった(lI9b)。これは、おそらくプラズマ内での
フィブリノーゲンの枯渇(depletion)及び/又は血小板機能を十分に
回復させるのに必要な時間によるためであろう。
クエン酸塩化;ヒルジン化又はヘパリン化PRP、において、コラーゲン(2μ
g/ml)は、特徴的な凝集反応を誘導した。しかしながら、ヘメンチン(10
−100Ll/ml) ; ADP誘導化血小板凝集(lがら50M)に有効な
投与範囲で、脱凝集(図9c)をインビトロで起こさなかった。より高いヘメン
チンの投与量は、インビボでコラーゲン関連血小板凝集を脱凝集した。
クエン酸塩化プラズマにおいて、0.2 ug/mlの投与量のトロンビンは、
PRP中のトランジェント凝集反応を誘導した。より高いアゴニスト濃度log
/mlで、ひき続いてクロツチングを伴なう完全な凝集反応を得た。ヘメンチン
は、0.2 ug/mlの次最適トロンビン投与量をフォローする血小板アグレ
ゲートの瞬時の脱凝集を有意に加速したが、コントロールでのクロット形成を完
全に防止したにも拘らず、2μg/m1以上のトロンビン投与により凝集した血
小板を脱凝集しなかった(データ示さず)。
クエン酸塩化プラズマ中の脱凝集に対するヘメンチンの部分的効果はクエン酸塩
によるヘメンチンのいくっがの阻害によるものかもしれない。
ヘメンチンの血小板脱凝集に対する効果をもう一つのトロンポリチック剤の効果
と比較して、我々は、同一のPRPでの対比で、1041U/ml(プラズマク
ロットを2分内に溶解するのに十分)までの投与量で、TPAはクエン酸塩化P
RPで血小板を脱凝集させなかったことを見出した。ヒト血小板を誘導し、AD
P(1がら5μM)をアゴニストとして用いて凝集させ、そしてTPA(104
[U/ml)又はヘメンチン(20から70U/ml)を添加し、脱凝集の経路
を血小板アブレボメーター中でフォローした。これにより、ヘメンチンはTPA
とは異なる作用機構を有しており、ヘメンチンは、トロンビ含有血小板及び他の
血小板アグレゲートの溶解を助ける、別の抗血小板活性を有していることが明ら
かになった。
ヘメンチンは、血液の天然由来阻害剤であるコアグレージョンプロテアーゼによ
って阻害されないことが知られている(米国特許4390630)。我々は、精
製へメンチンの活性が全血において非常に強化されるという更に重大な発見をし
た。この知見は、驚くべきものであり、PA−1(プラスミノーゲン アクチベ
ーター インヒビター1)により阻害されると良く知られているTPAの作用に
極立って対象的である。PA−1は心筋梗塞の生存者のプラズマの低いフィブリ
ン溶解能(fib−rinolytic capacity)の原因として見ら
れてきた(Madi−son、 E、 E、等、2989.Nature 33
9ニア21〜724)。
説明のために、以下の実験を行ない、全血、プラズマ(同一の個体から)及びバ
ッファー中のフィブリノーゲン中の精製へメンチンの相対活性を決定した。ヒト
全血を静脈注射により採取し、I : 9v/vo、1205Mクエン酸ナトリ
ウムて抗凝固化した。血液のアリコートを3000rpmで10分間室温で遠心
してPRPを得るために使用した。精製ウシフィブリノーゲンに使用する反応バ
ッファーは: 20 mM Hepes、10 mM CaCl2.0.2MN
aC1,0,1%Br1j35、pH7,5であった。血液及びプラズマサンプ
ルをフィブリノーゲン濃度(通常2.5から4mg/mlの範囲)をアッセイし
、フィブリノーゲンの濃度をフィブリノーゲン/バッファー実験と比較するよう
調節した。
クエン酸塩化ヒト血液、プラズマ及びフィブリノーゲン(比較血液/プラズマレ
ベルに調節)を37°Cて、精製へメンチン(最終濃度IO単位/ml)とイン
キュベートした。
ヘメンチンブレパレーションを、不純プレバレージョンにコンタミするとされて
いるファクターXaの阻害剤が実質的に存在しないように注意した。アリコート
を時間インターバルで除去し、2.5 N[H単位ウシトロンビンと混合し、そ
してクロツチング時間を記録した。
平行して行なった実験で、ヘビフィブリノーゲン溶解酵素アトロキシンを同じ時
間インターバルでアリコートに添加して、フィブリノーゲンの完全性(inte
grity)を試験した(即ち、もしフィブリノーゲンが以前にヘメンチンによ
り作用されるなら、アトロキシンはクロットをもたらさないであろう)。結果は
、次のとおりである(TT= )ロンビンクロッチング時間、A=アトロキシン
シクツチング時間):
クロッチング時間(秒)
時間 コントロール 5 10 15 30 60全血
TT 15 >60 >60 >60 >60 >60A 18 25 >60
>60 >60 >60プラズマ
TT 15 15 16 23 30 >60A 18 18 18 24 4
1 >60フイブリノーゲン
TT 10 10 10 10 10 10A 20 20 20 20 20
20血小板リツチプラズマに関して同様の結果が得られた(全血の遠心は、約
200Xg 10分間)。
例17
ヘメンチンによる脱凝集とフィブリノーゲン溶解率凍結乾燥へメンチンを、血小
板研究用には使用前に生理食塩水で、又はインビトロアッセイ用には20mMH
epes 、l OmM CaCl2.0.2 MNaCl 、 0.1%Br
1ji35、pH7,5で再構成した。血小板凝集の測定のため、PRPを、少
くとも2週間医療を受けずアルコールも飲まないボランティアのクエン酸塩化静
脈血から調製した(300±50Xlos血小板/リツトル)。血小板凝集研究
を37°Cで4チヤンネルアグレゴメーター(Agg−regcorder P
A3210. Kyoto Daiichi Kagaku Co、 Ltd、
日本)中で行なった。
血小板リッチプラズマを37°Cで精製へメンチン(10単位/mりでブレイン
キュベートし、そしてAD P (2,5um)を血小板凝集性を決定するため
に、5.10及び20分に添加した(結果を図11aに示す)。
(a)と同じPRPをADP(2,5um)で凝集させ、そしてヘメンチン(1
0単位/ml)をピーク凝集が得られた後添加した(結果を図11bに示す)。
十分なADPが添加されて誘導し、そして全期間にわたって十分な凝集を維持す
ることを確認するためにコントロールを実施した。
PRPを37℃でヘメンチン(10単位/ml)とインキュベートした時、トロ
ンビンとの凝集性が10分後に失なわれた。同じPRPブレバレージョンのAD
P−凝集をヘメンチン(10単位/ml)の添加後の各時点でテストした時、凝
集能は10分後失なわれた。これに対して、あらかじめ形成された血小板アグレ
ゲート(2,5uMADPで誘導)上の精製ヒメンチン(10単位/ml)によ
り誘導された脱凝集の時間コースはヒメンチンの添加後3分で実質的に完全とな
る脱凝集を有して非常に急速であった。結果を図11に示す。この血小板に対す
るヒメンチンの作用は凝集パラメーター上のどのような有意の効果が測定される
前に完全であった。ヒメンチンの無いコントロールインキュベーションは完全に
凝集したままてあった。
これらの結果は、ヒメンチンか、プラズマを凝集させうるよりもすばやく血小板
−フイブリノーゲンー血小板クロスリンクを切断することかできることを示唆し
ている。これは、フィブリノーゲンのカルボキシル末端に優勢であり、Gp [
Ib−1[1aレセプターに結合するのに関係するかもしれないプラスミン開裂
サイトよりは、ヒメンチンへのより大きな分子接近性(accessibili
ty)を許すかもしれないフィブリノーゲンのD及びEドメインの間の独自の開
裂サイトによるかもしれない。結極、ヘメンチンは、フリーのフィブリノーゲン
に対してよりも血小板に結合したフィブリノーゲンへより選択的であろう。血小
板凝集は、血小板リッチトロンビ、これはプラスミノーゲンアクチベーターに基
づく現在のトロンポリチック剤には手に負えない、のバルクを構成するので、し
たがって、ヘメンチンは、トロンポリシスを起こす血小板リッチクロットの内で
、血小板の脱凝集剤として医療的潜在性を有している。
例18
他のフィブリノーゲン−媒介血液学的パラメーターに対するヘメンチンの効果
その特異的なフィブリノーゲン溶解作用のために、精製へメンチンは、トロンピ
ンクロツチング時間、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)のような
血液学的パラメーターに対するフィブリノーゲンの貢献を決定するのに使用でき
る。同様な方法で、ヘメンチンはミエローマ、リューマチ性関節炎のようなある
種の血液学的疾病に対する診断マーカーであるエリストロサイトセディメンテー
ション率(ESR)へのフィブリノーゲン貢献を決定するのに使用しつる。
図12に要約したように、実験を次のとおり行なった。
ボランティア(円)からのクエン酸塩化全血を1時間25°C(0円)で、そし
て精製へメンチン(10単位/ml)なしで(黒用)でインキュベートし、ES
Rを決定した。クロツチングパラメーターをPT=95秒、APTT=340秒
、TCT=99秒ニアトロキシン=146秒で決定した。結果は、正常血液での
クロッチングパラメーターでの著しい延長にも拘らず、ESRに対してほとんど
効果を示さなかった。
肺エンボリズム(四角)の患者からのクエン酸塩化全血を1h25°Cで35単
位/mlのへメンチン(白四角)と精製へメンチンなしく黒四角)てインキュベ
ーションて、ESRを決定した。結果は、正常値に対して、この患者のESRは
非常に加速されたことを示す。ヘメンチンとのインキュベーションは、この効果
をよりゆっくりしたESRに導いて部分的に逆行することができた。
上記の例において、ヘメンチンは、肺エンボリズムの患者に見られた加速された
ESRがへメンチンの作用が減少したESRに導くようなエリスロサイトのフィ
ブリノーゲンとの干渉に幾分よるものであることを示唆して、ESRに対する著
しい定量化しうる効果を示した。したがって、ヘメンチンは個々の患者における
エリメロサイト/フィブリノーゲンの比率の診断的なインデックスとして使用で
きる。更に、ヘメンチンは異常ESRの原因ファクターをアドレスする治療剤と
して適切であることを示して、ESRを正常レベルに戻した。
最後に、増加したフィブリノーゲンが血液粘度に影響を与える場合に、ヘメンチ
ンは粘度を低げるのに治療的に使用しうる。プラズマでの増大したフィブリノー
ゲンレベルは、感染、第3トリメスターフレグナンシー、凝固異常、肝疾患、術
後及び加齢を含むある種の疾病状態において急性的に又は慢性的に上昇しうる。
上昇したフィブリノーゲンレベルを低下させることは、クロツチングのリスクを
低下させるのにつながる。
吸収280nm(−)
FIG、3
FIG、4
FIG、5A
FIG、5B
FIG、6
N
FIG、8
FIG、9
クエン酸塩化PRP
ADP ヒルシ゛ン化PRP
クエン酸塩化PPP
FIG、 10
FIG、II
匡
E
浄書(内容に変更なし)
要 約 書
血栓症的事態の治療
ヒメンチン又は血小板アグレゲート中に存在するフィブリノーゲンリンケージの
D及びEドメインの間を好ましく開裂することのできる物質を含む医薬製剤の治
療的に有効な量を、血小板アグレゲートを、容量で優勢的に含むクロットを溶解
するような量及び方法で投与することを特徴とする血栓症的事態の治療方法。
手続補正書泪発) X
平成4年2月13日