JPH09507286A - 後退を改良したディスクブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ディスクブレーキは、ディスク（２）を跨ぐキャリパ（１）、車両に固定されるキャリヤ（３）、キャリパに固着されピストン（５）により閉鎖されるシリンダ（４）、少なくとも１つのガイドピン（６，７）、ガイドピンが摺動する盲孔（８，９）、及び２つの摩擦パッド（１０，１１）を包含する。ガイドピンと孔は、シリンダに対して、ブレーキが駆動された時に空気が孔の底部で圧縮されて、こうして閉じ込められた空気がブレーキの温度の上昇のもとで膨張しキャリパのその休止位置への十分な戻りを確保できるように設定される。

Description

【発明の詳細な説明】 後退を改良したディスクブレーキ 本発明は、一方がブレーキディスクを跨ぐキャリパで、他方が車両に固定され るキャリヤである、互いに対して移動できる２つのブレーキ要素と、 キャリパに固着され且つピストンにより閉鎖された穴をディスクに対向して設 けているシリンダから成る締付装置と、 ブレーキ要素の一方に固定された少なくとも１つのガイドピンと、他方のブレ ーキ要素に形成されガイドピンが摺動する盲孔とから成り、このガイドピンとこ の孔とで、ガイドピンの自由端部及び孔の口部により形成された前方部分とガイ ドピンの結合端部及び孔の底部により形成された後方部分とをそれぞれ設けてい る第１及び第２案内部材をそれぞれ構成し、孔の口部とガイドピンを弾性変形可 能な環状スリーブが囲繞し締付装置が駆動された時にキャリヤに対するキャリパ の摺動を許容する案内装置と、 ディスクの対向する面に向かい、ピストンとキャリパとの間で締付けられ、締 付装置が駆動された時にディスクに当接される２つの摩擦パッドと、 を包含する自動車用ディスクブレーキに関する。 このようなディスクブレーキは、例えば文献ＦＲ− Ａ−２,３５３,７５５又は対応する文献ＧＢ−Ａ−１,５７２,４５１に示されて いるような先行技術においてよく知られている。 “摺動キャリパ型”ブレーキと称するこの型式のブレーキにおいて起こってい る非常に古くからの問題は、ブレーキの駆動後にキャリパをその休止位置に戻す という問題である。 実際上、ブレーキ流体によって直接に移動されるピストンとは対照的に、キャ リパは、ディスクに当接するパッドの一方に対するピストンの機械的反作用によ って単に移動され、その上、その休止位置に戻るためにガイドピン上を摺動しな ければならず、従ってこの戻りが非常に扱い難いものである。 これらの条件のもとでは、ピストンの向く面とは反対側のディスクの面に対向 するパッドは、ブレーキが駆動されていない時でさえもディスクに擦り、不当に 車両の速力を落とす一方で、早計に摩耗してしまうという場合がしばしばある。 本発明はこれに関連するものであり、その目的は、ブレーキが解放されると直 ちにキャリパがその休止位置に正確に戻るようにした簡単な構造の摺動キャリパ 型ディスクブレーキを提案することにある。 この目的のため、前記前文に一致する本発明のブレーキは、本質的に、キャリ パが支持する少なくとも１つの案内部材の後方部分が、この案内部材の前方部分 よりもシリンダの底部から遠くにあり、孔から逃げ得る空気が、前記スリーブ内 に少なくとも部分的に収容されることを特徴としている。 これらの条件のもとでは、ブレーキの駆動でディスクに対するパッドの摩擦の ために発生する温度の上昇によって膨張される、盲孔及び又はスリーブ内に閉じ 込められた空気は、ガイドピンの軸線に沿って指向する力を発揮することによっ て、キャリパをその休止位置に押し戻すのである。 本発明の第１の可能な実施例によると、ガイドピンはキャリパに支持され、キ ャリヤに穿設した孔の口部は、シリンダの穴と同じ方向に向いている。 本発明の第２の可能な実施例によると、ガイドピンはキャリヤに支持され、キ ャリパに穿設した孔の口部は、シリンダの穴が向く方向とは反対の方向に向いて いる。 本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として添付図面を参照して行う本 発明の下記説明から明らかとなるであろう。 図１は、本発明によるものではないブレーキを部分的に断面で示す平面図であ る。 図２は、本発明の第１実施例によるブレーキの部分的な概略断面図である。 図３は、本発明の第２実施例によるブレーキの部分的な概略断面図である。 図４は、第１実施例の変形例によるブレーキの概略断面図である。 図５は、図４の線Ｖ−Ｖに沿う断面図である。 本発明の一般的分野を単に説明する図１に示されているように、この発明は自 動車用ディスクブレーキに関し、このブレーキは複合体又はそれ以外のものであ り、 一方がブレーキディスク２を跨ぐキャリパ１で、他方が車両に固定されるキャ リヤ３である、互いに対して移動できる２つのブレーキ要素と、 キャリパ１に固着され且つピストン５により閉鎖された穴４ａをディスクに対 向して設けているシリンダ４から成る締付装置と、 ブレーキ要素の一方に固定された６，７のような少なくとも１つのガイドピン と、他方のブレーキ要素に形成され各ガイドピンが摺動する８，９のような盲孔 とから成り、締付装置が駆動された時にキャリヤ３に対するキャリパ１の摺動を 許容する案内装置と、 ディスクの対向する面２ａ，２ｂに向かい、ピストン５とキャリパ１の１つの 鍔部１ａとの間で締付けられ、締付装置が駆動された時にディスクに当接される ２つの摩擦パッド１０，１１と、 を包含する。 ６又は７のような各ガイドピン及びこれに対応する８，９のような孔はそれぞ れ第１及び第２案内部材を 構成しており、案内部材の各々は、印“ａ”で識別される前方部分と、印“ｐ” で識別される後方部分とを設けている。 より詳細には、各ガイドピン６，７の前方部分は6a，７ａのようなガイドピン の自由端部によって形成されるのに対し、各ガイドピン６，７の後方部分は６ｐ ，７ｐのようなガイドピンの結合端部によって形成されている。 各孔８，９の前方部分は８ａ，９ａのようなこの孔の口部によって形成される のに対し、各孔８，９の後方部分は８ｐ，９ｐのようなこの孔の底部によって形 成されている。 さらに、例えばベローの形状を採用し且つ好ましくは完全に密封した弾性変形 可能な環状スリーブ１２，１３が、各孔の口部８ａ，９ａ及び対応するガイドピ ン６，７を囲繞する。 図２〜５に示した本発明によると、キャリパが支持する少なくとも一方の案内 部材の後方部分は、この案内部材の前方部分よりもシリンダの底部から遠くにあ る。 例えば、キャリパが２つのガイドピン６及び７を支持している図２及び４にお いては、ガイドピン６の後方部分６ｐはこのガイドピンの前方部分６ａよりもシ リンダ４の底部から遠くにあり、この場合の状態はガイドピン７に関しても同じ である。これらの条件のも とでは、キャリヤ３に穿設した孔８の口部８ａは、シリンダ４の穴４ａと同じ方 向Ｄに向いており、この場合の状態は孔９に関しても同じである。 キャリパが２つの案内孔８及び９を穿設されている図３においては、孔８の後 方部分８ｐはこの孔の前方部分８ａよりもシリンダ４の底部から遠くにあり、こ の場合の状態は孔９に関しても同じである。これらの条件のもとでは、キャリパ １に穿設した孔８の口部8aは、シリンダ４の穴４ａが向く方向Ｄとは反対方向を 向いており、この場合の状態は孔９に関しても同じである。 すべての実施例において、例えばピン６が孔８内に進入した時にこの孔から逃 げ得る空気は、スリーブ12内に少なくとも部分的に収容されることとなり、この 場合の状態はガイドピン７、孔９及びスリーブ１３に関しても同じである。 このようなレイアウトにより、空気が盲孔の底部あるいはスリーブの内部にあ ろうとも、この空気はキャリパをその休止位置へ押し戻すのである。 図４及び５は図３のブレーキの変形例を示している。 この変形例では、ピストン５から遠くにあるパッド１１は、キャリパ１に直接 に支持され、この目的のために長円形の開口１１ａ、１１ｂを設けており、この 開口内には、ガイドピン６及び７の端部６ｐ，７ｐが回転不能に係合し、全体が これらの端部６ｐ，７ｐ上 にキャリパ１とパッド１１を固定するねじ１４，１５によって保持される。 このレイアウトにより、パッド１１自体は、キャリヤの外方部分に置き換わる 一方で、ブレーキの剛性に関与している。 さらに、パッド１１は締付け中ガイドピンの回転を防止し、全体はキャリパの 分解を容易にできるようにしている。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９５年９月１９日 【補正内容】 明細書 後退を改良したディスクブレーキ 本発明は、一方がブレーキディスクを跨ぐキャリパで、他方が車両に固定され るキャリヤである、互いに対して移動できる２つのブレーキ要素と、 キャリパに固着され且つピストンにより閉鎖された穴をディスクに対向して設 けているシリンダから成る締付装置と、 キャリヤに固定された少なくとも１つのガイドピンと、キャリパに形成されガ イドピンが摺動する盲孔とから成り、孔の口部とガイドピンを弾性変形可能な環 状スリーブが囲繞し、締付装置が駆動された時にキャリヤに対するキャリパの摺 動を許容する案内装置と、 ディスクの対向する面に向かい、ピストンとキャリパとの間で締付けられ、締 付装置が駆動された時にディスクに当接される２つの摩擦パッドと、 を包含する自動車用ディスクブレーキに関する。 この型式のブレーキは、文献ＦＲ−Ａ−２,４２２，８６４に開示されている ような先行技術において知られている。 “摺動キャリパ型”ブレーキと称するこの型式のブレーキにおいて起こってい る非常に古くからの問題は、ブレーキの駆動後にキャリパをその休止位置に戻す と いう問題である。 実際上、ブレーキ流体によって直接に移動されるピストンとは対照的に、キャ リパは、ディスクに当接するパッドの一方に対するピストンの機械的反作用によ って単に移動され、その上、その休止位置に戻るためにガイドピン上を摺動しな ければならず、従ってこの戻りが非常に扱い難いものである。 これらの条件のもとでは、ピストンの向く面とは反対側のディスクの面に対向 するパッドは、ブレーキが駆動されていない時でさえもディスクに擦り、不当に 車両の速力を落とす一方で、早計に摩耗してしまうという場合がしばしばある。 本発明はこれに関連するものであり、その目的は、ブレーキが解放されると直 ちにキャリパがその休止位置に正確に戻るようにした簡単な構造の摺動キャリパ 型ディスクブレーキを提案することにある。 この目的のため、前記前文に一致する本発明のブレーキは、本質的に、キャリ パに穿設した孔が、シリンダの穴が向く方向とは反対方向に向く口部を有し、孔 から逃げ得る空気が、前記スリーブ内に少なくとも部分的に収容されることを特 徴としている。 これらの条件のもとでは、ブレーキの駆動でディスクに対するパッドの摩擦の ために発生する温度の上昇によって膨張される、盲孔及び又はスリーブ内に閉じ 込められた空気は、ガイドピンの軸線に沿って指向す る力を発揮することによって、キャリパをその休止位置に押し戻すのである。 本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として添付図面を参照して行う本 発明の下記説明から明らかとなるであろう。 図１は、本発明によるものではないブレーキを部分的に断面で示す平面図であ る。 図２は、本発明によるブレーキの部分的な概略断面図である。 本発明の一般的分野を単に説明する図１に示されているように、この発明は自 動車用ディスクブレーキに関し、このブレーキは複合体又はそれ以外のものであ り、 一方がブレーキディスク２を跨ぐキャリパ１で、他方が車両に固定されるキャ リヤ３である、互いに対して移動できる２つのブレーキ要素と、 キャリパ１に固着され且つピストン５により閉鎖された穴４ａをディスクに対 向して設けているシリンダ４から成る締付装置と、 ブレーキ要素の一方に固定された６，７のような少なくとも１つのガイドピン と、他方のブレーキ要素に形成され各ガイドピンが摺動する８，９のような盲孔 とから成り、締付装置が駆動された時にキャリヤ３に対するキャリパ１の摺動を 許容する案内装置と、 ディスクの対向する面２ａ，２ｂに向かい、ピスト ン５とキャリパ１の１つの鍔部１ａとの間で締付けられ、締付装置が駆動された 時にディスクに当接される２つの摩擦パッド１０，１１と、 を包含する。 ６又は７のような各ガイドピン及びこれに対応する８，９のような孔はそれぞ れ第１及び第２案内部材を構成しており、案内部材の各々は、印“ａ”で識別さ れる前方部分と、印“ｐ”で識別される後方部分とを設けている。 より詳細には、各ガイドピン６，７の前方部分は6a，７ａのようなガイドピン の自由端部によって形成されるのに対し、各ガイドピン６，７の後方部分は６ｐ ，７ｐのようなガイドピンの結合端部によって形成されている。 各孔８，９の前方部分は８ａ，９ａのようなこの孔の口部によって形成される のに対し、各孔８，９の後方部分は８ｐ，９ｐのようなこの孔の底部によって形 成されている。 さらに、例えばベローの形状を採用し且つ好ましくは完全に密封した弾性変形 可能な環状スリーブ１２，１３が、各孔の口部８ａ，９ａ及び対応するガイドピ ン６，７を囲繞する。 本発明は、より詳細には、ガイドピンがキャリヤに支持され且つキャリパに形 成した孔内を摺動するようにした文献ＦＲ−Ａ−２,４２２,８６４に示されたよ うなディスクブレーキに関する。 図２に示した本発明によると、孔８の後方部分８ｐはこの孔の前方部分８ａよ りもシリンダ４の底部から遠くにあり、この場合の状態は孔９に関しても同じで ある。 これらの条件のもとでは、キャリパ１に穿設した孔８の口部８ａは、シリンダ ４の穴４ａが向く方向Ｄとは反対方向を向いており、この場合の状態は孔９に関 しても同じである。 このレイアウトにより、例えばピン６が孔８内に進入した時にこの孔から逃げ 得る空気は、スリーブ１２内に少なくとも部分的に収容されることとなり、この 場合の状態はガイドピン７、孔９及びスリーブ１３に関しても同じである。従っ て、空気が盲孔の底部あるいはスリーブの内部にあろうとも、この空気はキャリ パをその休止位置へ押し戻すのである。 請求の範囲 一方がブレーキディスク（２）を跨ぐキャリパ（１）で、他方が車両に固定さ れるキャリヤ（３）である、互いに対して移動できる２つのブレーキ要素と、 キャリパに固着され且つピストン（５）により閉鎖された穴（４ａ）をディス クに対向して設けているシリンダ（４）から成る締付装置と、 キャリヤ（３）に固定された少なくとも１つのガイドピン（６，７）と、キャ リパ（１）に形成されガイドピンか摺動する盲孔（８，９）とから成り、孔の口 部（８ａ）とガイドピン（６）を弾性変形可能な環状スリーブ（１２，１３）が 囲繞し、締付装置が駆動された時にキャリヤに対するキャリパの摺動を許容する 案内装置と、 ディスク（２）の対向する面（２ａ，２ｂ）に向かい、ピストンとキャリパと の間で締付けられ、締付装置が駆動された時にディスクに当接される２つの摩擦 パッド（１０，１１）と、 を包含する自動車用ディスクブレーキにおいて、キャリパに穿設した孔が、シリ ンダの穴（４ａ）が向く方向（Ｄ）とは反対方向に向く口部（８ａ）を有し、孔 （８）から逃げ得る空気が、前記スリーブ（１２）内に少なくとも部分的に収容 されることを特徴とするディスクブレーキ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 一方がブレーキディスク（２）を跨ぐキャリパ（１）で、他方が車両に固定さ れるキャリヤ（３）である、互いに対して移動できる２つのブレーキ要素と、 キャリパに固着され且つピストン（５）により閉鎖された穴（４ａ）をディス クに対向して第１方向に向けて設けているシリンダ（４）から成る締付装置と、 ブレーキ要素（１，３）の一方に固定された少なくとも１つのガイドピン（６ ，７）と、他方のブレーキ要素（３，１）に形成されガイドピンが摺動する盲孔 （８，９）とから成り、孔の口部とガイドピンを弾性変形可能な環状スリーブが 囲繞し、締付装置が駆動された時にキャリヤに対するキャリパの摺動を許容する 案内装置と、 ディスク（２）の対向する面（２ａ，２ｂ）に向かい、ピストンとキャリパと の間で締付けられ、締付装置が駆動された時にディスクに当接される２つの摩擦 パッド（１０，１１）と、 を包含する自動車用ディスクブレーキにおいて、ガイドピンがキャリヤ（３）に 支持され、孔がキャリパに穿設され、第１方向（Ｄ）とは反対の第２方向に向く 口部（８ａ，９ａ）を有し、孔（８，９）内に存在してこの孔から逃げ得る空気 が、前記スリーブ（１２，１３）内に少なくとも部分的に収容されることを特徴 とするディスクブレーキ。