JPH09506603A - 多発性硬化症治療でのペントキシフィリンの使用 - Google Patents
多発性硬化症治療でのペントキシフィリンの使用Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、間欠的及び慢性的な両タイプの進行性の多発性硬化症の治療でのペントキシンフィリンの使用に係る。これは、それ単独で又はコルチコステロイドとの組合せで用いることができる。コルチコステロイドがあるないにかかわらず、その投与量は0.01〜6.0g/dayである。
Description
【発明の詳細な説明】
多発性硬化症治療でのペントキシフィリンの使用
本発明は、間欠的及び慢性的な両タイプの進行性の多発性硬化症の治療でのペ
ントキシンフィリンの使用に係る。
多発性硬化症(MS)は、世界の我々の地域では最も頻繁な神経性疾患の一つ
である。通常は、成人期に始まって、慢性的に或いは間欠的に進行する。今まで
のところ、その進行についての確かなメカニズムは判ってない。しかしながら、
遺伝的な素因、環境的な因子が作用しているように思われる。
MSの臨床写真の一部は、患者の中枢神経系(CNS)での伝染性脱髄斑点で
ある。この伝染性疾患は、間欠的にかつ非系統的に中枢神経系で広まり、その疾
患の徴候としての特徴であるいわゆる神経性の機能障害を起こす。
多くの場合、境界を定めることのできない確実に進行性であるこの疾患の初期
段階として生ずる。その後の段階では、進行性脱髄以外の病理メカニズムが主体
になってくると思われる。
これまでは、この疾患の症状は、新たな神経性症状を伴って襲われた時に、コ
ルチコステロイドの投与(3日間に当たって1g/dayのi.v.)で治療す
るしかなかった。しかしながら、この治療により、そのような発作の間隔が短く
なる。しかしながら、知られていることであるが、コルチコイドの多くの、そし
てかなり強い副作用があるため、予防用として継続的治療にそれらを用いること
はできない。更に、真性糖尿病、タイプIのように、コルチコステロイドで影響
を受ける他の病気を患っている患者の治療は極めて困難かつ危険である。
このような問題点を回避するため、発明者は種々の薬剤の有効性について研究
した。
アザチオプリン又はシクロスポリンAのような免疫抑制剤での長期MS治療は
、この疾患の進行に対して何ら効果を有してない。一方、インターフェロン−β
の皮下注射は、著しく症状を緩和する。しかしながら、インターフェロン−βの
使用は、多数の副作用を伴うこと、高価であることから、患者に投与することは
困
難である。加えて、インターフェロン−βは、初期のMS症状がゆっくりと進行
している患者にのみ有効である。
したがって、本発明の目的は、上記の問題点のないMS治療用の製剤を提供す
ることにある。
驚くことに、本発明の目的は、間欠的に、又は慢性的に進行する両タイプのM
Sのいずれの治療において使用した場合も達成される。
ペントキシフィリン(PTX)は、赤血球及び白血球の変形性にかなり影響を
有することは周知の効果である。それ故に、血環内層障害に主に用いられ、微小
循環を改善したり(Journal of Medicine,Vol.10,
No.5,1979)、末梢動脈血液循環系障害並びに一般的な免疫障害を治療
する。第2に、ペントキリフィリンは、血小板凝集の低下、プロスタシクリンI
の放出を促進、更には、リンパ腫の有系分裂速度を低下することが知られている
。従って、リンパ球治療において転移進行を防ぐために用いられる(Journ
al of Medicine,Vol.15,No.5と6,1984)。ペ
ントキシフィリンの他の用途は、試験的な腹膜炎であって、その場合には、投与
されると、膿瘍形成並びにフィブリン沈析が低下する(Arc.Sog.,Vo
l.120,p.1141〜1144,1985)。
従来より公知の用途に加えて、PTXは、他の治療法でしばしば生ずるような
副作用を起こすことなしに、多発性硬化症治療剤として適していることが判明し
た。
公開の治療研究過程で、ペントキシフィリンを用いるMS発作の治療を初めて
経験した。そして静脈注射を用いての治療(3×200mg i.v./day
で5日間)と、経口治療(3〜4×4mg/day)のいずれも、発作時間は驚
くほどに短縮し、発作の生じない間隔が広がった。
用いるPTX投与量は、通常の健康状態、患者の体重により調整される。一般
的には、0.01〜6g/day、好ましくは1〜3g/day、最も好ましく
は1.2〜2.4g/dayである。kg単位での体重によれば、用いられる濃
度は1kg当たり0.1〜120mg/day、好ましくは、1kg当たり10
〜60mg/day、最も好ましくは、1kgにつき12〜48mg/dayで
ある。
ペントキシフィリン単独使用に加えて、激しい発作の治療に際して、コルチコ
ステロイドを併用すると、それらが併用された時の両薬剤の驚くほどの相乗効果
が示された。
治療目的に用いられた他のコルチコステロイドに加えて、可能なコルチコステ
ロイドは、プレドニソーン、プレドニゾロン、プレドニソロン−21−アセテー
ト、プレドニリデン並びにメチルプレドニゾンである。メチルプレドニゾロンの
使用が好ましい。
投与量は、0.01〜103mg/day、好ましくは10〜250mg/d
ay、最も好ましくは1〜2mg/dayである。投与量を、1日当たり、体重
1kg当たりについてmg単位で表わすと、投与量は10-4−20、好ましくは
0.1〜2.5、最適には1kg、1日につき1−2mgである。
治療に際しPTXとコルチコステロイドを併用する場合、最も好ましい投与量
に相当する投与量は、好ましくは、例えば、経口用としては、1.2mg/da
yのPTX(16mg/kg/day PTX)と500mg/dayメチルプ
レドニソロン(7mg/kg/day,i.v.)を3日間調剤する。この量は
、激しい発作の治療でのこれまで投与されていた投薬量(1g/dayで3日間
)にくらべ著しく少ない。この少ない投与により、治療効果をそのまま維持しな
がら、これまで用いられてきた投与で頻繁にみられた一時的な糖尿病性代謝状態
の危険は、著しく低下する。
もちろん、ここで規定する投与量からの変更は、医師の自由裁量による。
適切なPTX調製、およびコルチコステロイドとの併用いずれについてもその
投与単位は錠剤形、コートされた錠剤形、カプセル又は放出遅延形態が可能であ
る。カプセルを用いる時には、カプセル剤はキャリアとして機能し、内容物は、
粉末、ゲル、エマルジョン等の形態であってよい。しかしながら、望ましいキャ
リアと共に、計量された有効成分を含む経口用、舌下用の有効成分形態に調製す
るのが好ましい。更に、貯蔵用調剤として、液剤又は結晶懸濁液の皮下用又は非
経口用(i.p.,i.v.,i.m.,皮下)注射用製剤とすることもできる
。吸入用製剤(スプレー用製剤)または座薬として用いることもできる。
上記の製剤は、従来より公知の方法で調製できる。
薬理学的に受容れられる材料はキャリア剤、賦形剤、添加剤として用いられる
。
可能な投与量は1錠当たり200、400mgのPTX、1アンプル当たり1
00、300mgのPTX、クロチコステロイドについては、1錠当たり0.5
〜10mg、又は1アンプル当たり10〜1000mgである。
組合せて調製する場合には、1錠当たり200−300mgのPTXと0.5
〜10mgのコルチコイド、1アンプル当たり100−150mgのPTXと1
0−1000mgのコルチコイドが用いられる。症例: 実施例1
女性患者(42才、64kgの体重)が8年間にわたって間欠性のMSを患っ
ていた。先の発作の際、彼女はコルチステロイド剤で治療を受けていた。しかし
ながら、この治療で精神異常症状が頻発した。この患者は、脳幹系症候(複視、
三叉神経分泌腺でのうずうずする知覚異常、めまい、吐き気を伴ったあらい眼球
振盪症)のため入院させられた。核スピン断層X線写真法により、脳幹に新たな
病巣が認められた。5日間のPTXによる注入治療(3×200mg/dayi
.v.)が施された。2日目ですでにこの患者は、めまい、複視症状においてか
なりの改善を覚えた。2日後、複視、倒れる傾向は消えた。注射治療後、患者は
3×400mg/dayの経口治療に変更された。それから(6カ月)はなんの
発作も生じなかった。治療前は患者は1年に3〜4回発作に襲われていた。実施例2
女性患者(45才、体重58kg)は、3年間MSを患っていた。これまでは
主に極度に不快な知覚異常として現われる知覚症状があった。両足の耐え難い焼
けるような感覚を伴った新たな発作の際、患者は3×400mg PTX/da
yの治療を受けた。ほんの3日後に、しばしば数週間も継続して起きた異常感覚
は、患者が眠ることができ、日々の家事ができるまでに抑まった。ここでも、5
カ月間何の発作もなく経過した。実施例3
男性患者(36才、62kg)の症例において、2年前にMSと診断された。
それから治療を要するほどにはなかった軽いMS症状があった。この患者は真性
糖尿病タイプIを患らっているのでステロイド治療は、危険性が高いと言えた。
左目の視覚の突然の悪化により、眼球後部の神経炎と診断された。眼底検査では
病的な状況は認められなかった。静脈注射による治療(3×300mg/day
)は遅滞なく開始された。翌日早々、症状は抑まった。患者は数を認識でき、視
力も0.1から0.65に改善した。実施例4
48才の女性患者については、36才の時に間欠的なMSと診断された。ここ
2年間、脳幹並びに知覚能力に影響する発作が頻繁に起きていた。最近の2回の
発作後は、症状は元には戻らなくなった。軽度の運動失調症、けいれん性の歩行
パターンに特徴づけられる症状が残った。右目の完全な視力喪失となった他の激
しい発作後に、メチルプレドニソロンの高投与(3カ月間1日当たりi.v.で
1g)に加えて、ペントキシフィリン1200mg投与量(経口)で4週間投与
することを決めた。患者の視力が5日目に殆ど回復しただけではなく、以前の発
作の際に残った症状についても著しい改善が見られた。彼女の要求に応じて患者
は上記の投与量でペントキシフィリンによる経口治療を続けた。それから8カ月
経過したが、何ら発作は生じなかった。他の症状も主観的にも客観的にも改善さ
れた。実施例5
23才の女性患者の場合、2年前にMSと診断された。感覚発作のみが数回あ
った後、左半身の著しい片麻痺が生じた。メチルプレドニソロンの初期の高投与
治療(3日間1g i.v.)では、症状の著しい改善はなかった。それ故に、
少ない経口投与(1日おき100mgを20mgに減少)のメチルプレドニソロ
ンの投与を継続すると共に、これに加えて(経口投与で)1200mgのペント
キシフィリンでこの患者を治療することとした。次の3日間にわたって驚くべき
改善が認められ、患者は何の助けもなく歩行可能となった。病理学上のグルコー
ス許容値から、コルチソン投与は、急速に減少され、一方ペントキシフィリン投
与は続けた、歩行パターンの安定性、改善は継続した。本症例でも患者はペント
キシフィリン治療を続行することを要求した。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1995年11月14日
【補正内容】
請求の範囲
1.間欠的並びに慢性的な両タイプの進行性MS治療でのコルチステロイドとの
組合せによるペントキシフィリンの使用。
2.ペントキシフィリンの投与量が0.01〜6.0g/day(1kg当たり
0.1〜120mg/day)とコルチコイドの投与量が0.01〜1000m
g/day(1kg当たり0.0001〜20mg/day)である請求項1記
載のペントキシフィリンの使用。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.間欠的並びに慢性的な両タイプの進行性MS治療でのペントキシフィリンの 使用。 2.0.01〜6.0g/day(1日当たり体重1kgにつき0.1〜120 mg)、好ましくは1〜3g/day(1kg当たり10〜60mg/day) 、最も好ましくは1.2〜2.4g/day(1kg当たり12〜48mg/d ay)の投与量である請求項1記載のペントキシフィリンの使用。 3.コルチコステロイドとの組合せによる先の請求項1又は2のいずれかに記載 のペントキシフィリンの使用。 4.ペントキシフィリンの投与量が0.01〜6.0g/day(1kg当たり 0.1〜120mg/day)とコルチコイドの投与量が0.01〜1000m g/day(1kg当たり0.0001〜20mg/day)である請求項3記 載のペントキシフィリンの使用。
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