【発明の詳細な説明】
免疫調節障害の治療
発明の背景
エンケファリンのような内因性オピオイドペプチド、及びモルヒネのような外
因性阿片剤の作用が少なくとも3つの異なる型のオピオイド受容体〔ミュー(μ
)、デルタ(δ)、カッパ(K)〕に媒介されるという事実は、高選択性外因性
オピオイド作動薬又は拮抗薬を開発し得る可能性を提起する(W.R.Martin,Pha
rmacol.Rev.,35,283(1983)参照)。実際、近年、選択性オピオイド拮抗薬の
開発において、かなりの進展がもたらされた。構造的にエンケファリンに関連が
あるペンタペプチドは、高デルタ選択性オピオイド拮抗薬であると報告されてい
る。このような化合物(例えばICI174864)は、受容体機能及び構造の薬理学
的プローブとして広く用いられるが、しかしそれらは低効力で且つ中枢神経系(
CNS)に十分浸透しないという欠点を有する(J.W.Shaw et al.,Life Sci.,
31,1259(1982)及び R.Cotton et al.,Eur.J.Pharmacol.,97,331(1984)参
照)。Portoghese et al.(米国特許第4,816,586号)は、ナルトリンドール(
NTI)及び7−ベンジリデン−ナルトレキソン(BNTX)を含めたデルタ受
容体で高選択性及び効力を有するある種のオピオイド類似体を開示する。これら
の化合物のあるものは、アルコール嗜好性ラット系統におけるエタノール摂取を
妨げ、ラットモデルにおけるモルヒネ耐容性及び依存性を遮断することが報告さ
れている(J.C.Froehlich et al.,Alcoholism Clin.and Exp.Les.,Abstrac
t 20,page 315(1991)and M.Sofuoglu et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,
257,676(1991)参照)。
近年、内因性オピオイドペプチド及び外因性オピオイド作動薬がin vitro及び
in vivoの免疫反応をともに調整することも示された。例えばエンケファリンは
、正常個体及び免疫抑制患者の両方においてTリンパ球上でのCD2分子の発現
を増強することが示されている(例えばJ.Wybran et al.,J.Immumol.,123,
1068(1979)及びR.E.Faith et al.,NIDA Res.Monogr.,54,300(1984)参照)
。エンケファリンはさらに、ウイルス及び腫瘍試験に対する、並びにR.E.Faith
et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,496,137(1987)により報告されているような
アナフィラキシーショックに対するネズミ宿主耐性を増大し得る。他の試験では
、免疫機能に及ぼすエンケファリンの作用が、二相性であり、濃度が高いほど抑
制性で低濃度ほど刺激性であると報告されている(例えばD.Maric et al.,Ann
.N.Y.Acad.Sci.,496,126(1987)及びD.R.Oleson et al.,Brain,Behavior
and Immun.,2,171(1988)参照)。
エンケファリンがこのような調節作用を発揮する間の免疫細胞上の受容体の型
を調べた今日までの実験は、それが脳で認められたものと同様のオピオイド受容
体であることを示唆している。特に、免疫系の細胞上のエンケファリン結合受容
体はデルタ亜種のオピオイド受容体に属すると仮定されている。したがって免疫
機能に及ぼすエンケファリンの多数の作用は、古典的オピオイド受容体拮抗薬で
あるナロキソンによるだけでなく、デルタ受容体特異的拮抗薬であるICI 174
864によっても遮断され得る(B.D.Jankovic et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,5
40,691(1988)及びR.Cotton et al.,Eur.J.Pharmacol.,97,331(1984)参照
)。
NTIそれ自体は、in vivo及びin vitroの両方で免疫抑制性及び非毒性であ
るであることが示された。例えば、K.Arakawa等は、Transplant,53,951(1992)
及びTranspl.Prog.,24,696(1992)
で、NTIを用いて、ラット腎移植モデルにおける同種移植片生存を延長し、in
vitro同種及び異種混合リンパ球反応を抑制することを報告した。両in vitro反
応において、NTIは、同種移植生存のために選択される一般的治療であるシク
ロスポリンA(CsA)より効力が低いことが判明した。
自己混合リンパ球反応(AMLR)は、自己II型(Ia/DR)抗原保有細
胞(B細胞、マクロファージ、樹状突起細胞又は活性化T細胞)に応答するT細
胞増殖のin vitro現象であり、したがって自己免疫反応の一型を示す。AMLR
もとはマウスに特徴的なもので、その後にヒトで検出された。AMLRにおいて
増殖する細胞は、W.E. Crowe et al., Arth. Rheum., 28, 537(1985)により免疫
調整し得ることが示されている。
AMLRは免疫調節現象を試験するためのin vitroモデルを提供し得ると一般
に考えられる(例えば、M.M. Kuntz et al., J. Exp.Med., 143, 1042(1976); M
.E. Weksler et al., J. Exp.Med., 146, 1833(1977); 及びJ.S. Smolen et al.
, J. Clin. Invest., 68,1601(1981)参照)。このようなモデルの生存度は、A
MLRが自己免疫疾患において、並びに免疫調節障害から生じる他の疾患、例え
ばエプスタインバーウイルスにより引き起こされる感染性単核球増加症でしばし
ば抑制されるという事実により支持される(例えば、R.L. Hirsch, Clin. Exp.
Immunol., 64, 107(1986)参照)。AMLR抑制と自己免疫疾患とのこの関連は
、異常AMLRにおいて明らかな免疫調節損傷がこれらの疾患の病因に関連し得
ることが、W.E. Crowe et al., Arth. Rheum., 28, 537(1985)により示唆された
。免疫抑制剤としてNTIを用いた試験で、H. Nagase等(欧州特許出願第45683
3号)は、NTIが同種ネズミ脾臓細胞の標本においてMLRを強力に抑制する
と報告した。したがって、AMLR及び
それに関連した免疫調節障害を調整し得る薬剤の必要性がある。
本発明の要約
本発明は、
1.治療が必要な哺乳類における自己混合性リンパ球反応(AMLR)低下を
特徴とする免疫調節疾患を治療するための方法であって、式I:
(式中、R1は(C1〜C5)アルキル、C3〜C6(シクロアルキル)アルキル、
C5〜C7(シクロアルケニル)アルキル、アリール、アラルキル、トランス(C4
〜C5)アルケニル、アリル又はフラン−2−イルアルキルであり、R2はH、
OH又はO2C(C1〜5)アルキルであり、R3はH、(C1〜C5)アルキル又は
((C1〜C5)アルキル)COであり、R4及びR5は別々にH、F、Cl、Br
、NCS、NO2、NH2、(C1〜C5)アルキル又は(C1〜C5)アルコキシで
あるかあるいはともにベンゾであり、XはO、S又はNY(ここでYはH、(C1
〜C5)アルキル又は(R4)(R5)ベンゾである)である)の有効量の化合物
、並びにその製薬上許容可能な塩を上記の哺乳類に投与することから成る方法を
提供する。
米国特許第4,816,586号に開示されたI式の好ましい化合物は「ナルトリンド
ール」又は「NTI」(17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−
3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−
エポキシ−6,7−2’,3’−インドールモルヒナン)と呼ばれており、次式
:
を有する。
I式の別の好ましい化合物は、(17−(シクロプロピルメチル)−6,7−
デヒドロ−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6,7−2’,3
’−ベンゾ〔b〕フラノモルヒナン)である(P.S. Portoghese et al., J. Med
. Chem., 31, 281(1988)参照)。I式の別の好ましい化合物は、ナルトリンドー
ル5’−イソチオシアネート又は「5’−NTII」である(P.S. Portoghese
et al., J. Med. Chem., 33, 1547(1990); Eur. J. Pharmacol., 146, 185(1988
); J. Med. Chem., 31, 281(1988); J. Pharmacol. Exp. Ther., 258, 299(1991
)参照)。これらの化合物は選択的δ−オピオイド受容体拮抗薬である。
本方法の別の実施例では、AMLR低下を蒙った哺乳類を、式(II):
(式中、R1は(C1〜C5)アルキル、C3〜C6(シクロアルキル)アルキル、
C5〜C7(シクロアルケニル)アルキル、アリール、アラルキル、トランス(C4
〜C5)アルケニル、アリル又
はフラン−2−イルアルキルであり、R2はH、OH又はO2C(C1〜5)アルキ
ルであり、R3はH、(C1〜C5)アルキル又は(C1〜C5)アルキルCOであ
り、R4及びR5は別々にH、F、Cl、Br、NO2、NH2、NCS、(C1〜
C5)アルキル又は(C1〜C5)アルコキシであるかあるいはともにジオキシメ
チレン(−OCH2O−)又はベンゾであり、XはO、(H)2又はCH2であり
、R6及びR7はともにHであるかあるいはともにある結合である)である)の有
効量の化合物、並びにその製薬上許容可能な塩で治療する。II式の好ましい化
合物は、7−ベンジリデンナルトレキソン又は「BNTX」(ここでR1はシク
ロプロピルメチルであり、R2はOHであり、R3=R4=R5=Hであり、R6及
びR7はともにある結合である)である。6−ケト(C=0)基は存在しないか
(−CH2−に置換される)又はエキソ−メチレンに置換される。
本発明はさらに、哺乳類AMLR低下の治療方法であって、このような治療を
要するヒトに式III:
(式中、R1は(C1〜C5)アルキル、C3〜C6(シクロアルキル)アルキル、
C5〜C7(シクロアルケニル)アルキル、アリール、アラルキル、トランス(C4
〜C5)アルケニル、アリル又はフラン−2−イルアルキルであり、R2はH、
OH又はO2C(C1〜5)アルキルであり、R3はH、(C1〜C5)アルキル又は
((C1〜C5)アルキル)C=Oであり、MはN又はCHであ
り、R4及びR5は上記I式に関する上記と同様である)の有効量の化合物、並び
にその製薬上許容可能な塩を投与することによる方法を提供する。
I、II及びIII式の化合物は、δオピオイド受容体に関して選択的である
。特に、II式の化合物はデルタ受容体のδ1サブセットに特異的である。I、
II又はIII式の化合物のデルタ選択性は明らかに、化合物を投与される哺乳
類、例えばヒト患者におけるAMLR低下を上昇させるこれらの化合物の顕著な
特徴である。本明細書中で用いる場合、「上昇させる」という用語は、反応低下
の正常レベルへの100%上昇を、並びに関連免疫調節疾患状態の少なくとも1
つを治療するために、即ち寛解に似せるために臨床的に有意の上昇の量を意味す
る。同様に、治療のために選択されるAMLR低下は、急性又は切迫性AMLR
関連疾患状態により現れるものであるか、又はその症状である。したがって本方
法は、動物及びヒトの両方におけるAMLR低下関連免疫調節疾患、例えば自己
免疫疾患、リンパ球増殖疾患及びある種のウイルス感染を治療するのに有効であ
る。
本発明の化合物は構成上はモルヒネ誘導体であるため、それらの安定性並びに
「血管−脳関門」を越える、そしてCNSに作用するそれらの能力はデルタオピ
オイド拮抗薬よりはるかに優れていると考えられる。
下記で例示するように、I〜III式の化合物のあるものは、同一種類の他の
化合物の生成における中間物質として用い得る。例えば、ニトロ基はアミノ基に
還元され得る。
I、II又はIII式の化合物中でシクロアルキル、シクロアルケニル、アリ
ール又はフラン−2−イル部分を塩基性窒素原子に連結するR1基中に存在する
アルキル部分は、低級(アルキル)基、
好ましくは−(CH2)n−(式中、nは約1〜5であり、最も好ましくはnは1
である)であり、例えばR1はC3〜C6(シクロアルキル)メチル、C5〜C7(
シクロアルケニル)メチル、アリールメチル又はフラン−2−イルメチルである
。好ましいアリール部分としては、(C6〜C10)アリール、好ましくは(C6〜
C9)アリール、即ちフェニル、ベンジル、トリル、キシリル、アニシル等が挙
げられる。
(R4)(R5)ベンジルは、(R4)(R5)フェニルメチル(ここで、R4及
びR5はフェニル環上の任意の位置を占める)を示す。
I、II又はIII式において、−R4及び−R5基の位置は、それらがそれぞ
れ−X基又は−N=基に対してオルト、メタ又はパラであり得ることを示し、例
えばR4及び/又はR5はフェニル環上のあらゆる利用可能な部位を占めることが
できる。構造式I、II及びIII中で、楔形又は黒太線で示した結合はフェニ
ル環の平面上に伸びる結合を表す。破線で示した結合は、フェニル環の平面下に
伸びる結合を表す。
これらのデルタオピオイド拮抗薬としては、I式、II式又はIII式(式中
、R1は(C1〜C5)アルキル、C3〜C6(シクロアルキル)アルキル又はC5〜
C7(シクロアルケニル)アルキルであり、好ましくはR1は(C2〜C3)アルキ
ル又はC3〜C4(シクロアルキル)メチルであり、最も好ましくはR1はシクロ
プロピルメチルである。R2は好ましくはOH又はOAc(O2CCH2)であり
、R3は好ましくはHである。好ましくはR4及びR5の少なくとも1つそして最
も好ましくは両方がHであるか、又はR4がHでR5がNCS、即ち5’−NCS
である)の化合物が挙げられる。好ましい化合物はさらにR4がHでR5がF、(
C1
〜C5)アルキル又は(C1〜C5)アルコキシである場合にも結果的に生じる。
好ましいYはH、メチル又はベンジルである。Xは好ましくはOである。
本発明のさらに別の態様は、包装材料、例えば紙箱、封筒、瓶、バイアル、プ
ラスチックパック、静脈内バッグ等、並びにAMLR低下に関連したヒト又は動
物の免疫調節疾患を治療するのに有効な量のI、II又はIII式の化合物ある
いはその混合物を含有する少なくとも1つの薬剤単位投与形態、例えば錠剤又は
カプセルから成っており、上記の包装材料がその中に又はその上にヒト又は動物
のAMLR低下を治療する(上昇させる)ために、あるいはAMLR低下に関連
した免疫調節疾患を治療するために上記の単位投与形態を用い得ることを示した
使用説明手段、例えば印刷したラベル、包装挿入物、札、カセットテープ、ビデ
オテープ等を含入する製品又はキットを包含する。
図面の簡単な説明
図1は、I式の化合物の図式である。
図2は、細胞培養にNTIを付加することにより逆転されるAMLR低下(ラ
ット脾臓MNC使用)を示す6つの別々の実験(実験1〜6)からのデータを含
有する。各々の実験は、3匹のラットのプールからの脾臓細胞を含有する。18
匹の未感染ラット(6実験)のプールから対照を算出した。
図3は、mCMVによるマウスの計画的感染が用量依存性デアルAMLR抑制
を引き起こすことを示す。感染マウスにmCMVを摂取させたのと同時に、未感
染マウスに食塩水を注射した。各処置群は、2匹のマウスからプールされた細胞
で構成された。
図4A及び4Bは、NTIがCMV感染により引き起こされるA
MLR抑制を逆転し得ることを示す。図1に示したラットAMLR実験から、N
TIの最適濃度を確定した。
本発明の詳細な説明
AMLR低下関連疾患
本発明の方法を用いて治療し得る疾患は、免疫調節の障害を特徴とするもので
、その例としては(i)自己免疫疾患、例えば多発性硬化症(MS)、全身性紅
斑性狼瘡(SLE)及び慢性関節リウマチ(RA)、(ii)いくつかのウイル
ス感染、例えばエプスタイン−バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス
(CMV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、1型糖尿病、ニューカッスル病
ウイルス(NDV)により引き起こされる感染、及びリンパ球増殖性疾患、例え
ば慢性リンパ性白血病(CLL)が挙げられるが、これらに限定されない。これ
らの疾病状態及びAMLR低下との関連を記載した参照文献を下記の表Aに列挙
する。
上記並びにJ.K. Gutowski等(Immunol., 46, 801(1982))が記載したように、A
MLRは自己抗原に対して増殖するTリンパ球の能力の測定値であり、T細胞調
節能力を示すものと思われる。CD4 T細胞(CD4+ 45R+)のサプレ
ッサー−インデューサー亜群は、培養中の抗原呈示細胞により呈示される自己抗
原により活性化される一次細胞であると思われる。AMLRにおけるこれらの細
胞の活性化の一次機能的結果は、AMLR検定における増殖の大きさにより明示
されるサプレッサーT細胞の生成であることが示されている(D. Kelleher et a
l., Gut, 30,839(1989); D.A. Hafler et al., Clin. Immunol. and Immunopath
ol., 58, 115(1991); J.
K. Gutowski et al., Immunuol., 46, 801(1982);F. Pazderka et al., Cell. I
mmunol., 112, 64(1988)参照)。
J.K. Gutowski et al., Immunuol., 46, 801(1982)に記載されているように、
サプレッサー細胞機能不全に関連した自己免疫疾患を有するヒト及び動物は、A
MLR活性損傷を示す。AMLR発生サプレッサー細胞又はサプレッサー細胞機
能の非存在は病因的にこれらの個体における自己寛容の損失に関連し得ると考え
られる。AMLR低下を逆転し得る抗原は、AMLR低下を特徴とする疾患の治
療に有効であり得るが、これは治療により又は疾病自然過程の一部として寛解状
態にある自己免疫疾患を有する患者において、AMLRが正常レベルに戻るとい
うことをA. Laffer等(Rheumatol. Int., 3, 117(1983))により立証されている
ためである。したがって、本発明の化合物によるAMLR低下の逆転は、サプレ
ッサー細胞活性増大に依るものであり、これは次いで自己免疫疾患の正常寛解に
類似した状態をもたらし得る。
下記に教示のように上昇されたAMLR低下は、ラットコロニーにおける非制
御ウイルス感染及びネズミサイトメガロウイルス(mCMV)の制御感染の結果
であった。これらの免疫調節障害のすベてに関与するメカニズムは複雑であるた
め、2つの疾患に関連するin vitro欠陥の修正が概してこの種の疾患すべてに関
連し得るか否かは疑問である。しかしながら、そうであることを示唆する強力な
証拠がある。HIV感染患者は、ともにT細胞が機能するのに必要なIL−2産
生及びIL−2受容体(IL−2R)発現に一部関連したAMLR低下を有する
ことが示されている。これらの同一の機能的欠陥(即ちAMLR低下、IL−2
産生及びIL−2R発現低下)は、ニューカッスル病ウイルス(NDV)に感染
したマウスで、並びに自己免疫疾患に罹患し易いマウスの全系統で記載されてい
て、このことは共通のメカニズムが異なる免疫調節障害において欠如しているこ
とを示唆する(N. Tala et al., Behring Inst. Mitt., 72, 169(1983)参照)。
したがってウイルス感染後にラット及びマウスで生じるAMLR低下を逆転する
NTIの能力は、特にその安定性及び血管/脳関門を越える能力の点からみて、
免疫調節の障害を伴う全疾患に一般化し得る。
化学的知見
I式(1〜15及び18)又はIII式(16〜17)の代表的化合物は、米
国特許第4,816,586号に記載され、図1に略記したように、式IVa又はIVb
の出発物質から合成された。図1で一般的に示した化合物1〜15及び18の構
造を、下記の表Iに要約する。
化合物1〜18は、オピオイド作動薬C環の6,7位置に融合するインドール
(1〜7、9〜15)、ベンゾフラン(8)、ベンゾピラジン(16)、ベンゾ
キノリン(17)又はベンゾインドール(18)部分を有する。
出発物質
一般式IVのそれぞれの4,5−エポキシ−6−ケト−モルヒナン出発物質の
構造式、一般名及びMerck Index参照番号を下記の表IIに要約する。
有機化学業界では十分公知の合成方法により、IV式の他の出発物質を調製し
得る。例えばIV式(式中、R1はHであり、R3は適切な保護基であって、6−
ケト基も保護されている)の化合物は、化合物IVa〜gから調製し得る。これ
らの中間体は、十分公知の反応を適用することにより、N−アルキル化及び脱保
護化されて、I式(式中、R1はC2〜C5(アルキル)、C4〜C6(シクロアル
キル)アルキル、C5〜C7(シクロアルケニル)アルキル、アリール、アラルキ
ル、トランス−C4〜C5−アルケニル又はフラン−2−イルアルキルである)の
化合物を産生し得る。
例えば、IV式の化合物の遊離ヒドロキシル基、例えばR2=OH及び/又は
R3=Hを酸不安定基、例えばCompendium of Organic Synthetic Methods, I.T.
Harrison et al., eds., Wiley-Interscience, New York, NY(1971)at pages 1
24-131, (以後「Compendium」と記載する)に開示されている(その記載内容は
、参照により本明細書中に含まれるものとする)ようなテトラヒドロピラニル−
イル、トリメチルシリル、1−メトキシ−イソプロピル等により保護し得る。そ
のケタール又はチオケタール基への可逆的変換によるIV式の化合物の6−ケト
基の保護化は、Compendium(449-453ページ)(その記載内容は、参照により本
明細書中に含まれるものとする)に記載されている。N−メチルアミンのデメチ
ル化のための方法は、例えばCompendium(p.247)、J. Amer. Chem. Soc., 89
, 1942(1967)及びJ. Amer. Chem. Soc.,77, 4079(1955)(これ
らの記載内容は、参照により本明細書中に含まれるものとする)に記載されてい
る。
塩基性又は中性条件下でのハロゲン化物を用いた第二アミンのアルキル化の手
順は、十分公知である(例えばCompendium(p.242-245)、Org. Synth., 43,
45(1963)、J. Org. Chem., 27, 3639(1962)及びJ. Amer. Chem. Soc., 82, 6163
(1960)参照)(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれるものとす
る)。
デルタオピオイド受容体拮抗薬の合成
対応する出発物質IVを用いて、I、II又はIII式(式中、R2はアシル
オキシであり、及び/又はR3はアシルである)の化合物を調製し得る。例えば
出発物質IVaを、それとピリジンに溶解した適切な無水(C1〜C5)アルキル
とを18〜25℃で10〜18時間反応させて、二アシル化する。その結果生じ
た3,14−ジアシル化化合物を限定加水分解により14アシル化化合物に変換
する。IV式の化合物を無水物と短時間、例えば約2〜4時間反応させて、3−
アシル化出発物質を調製する。3−アシル化物質をクロマトグラフィーにより3
,14−ジアシル化物質から分離する。
II式(式中、Xはエキソ−メチレンである)の化合物は、6−ケト基をCH2
=PPh3と反応させて調製する。II式(式中、Xは(H)2である)の化合
物は、対応するチオケタール又はジチアニル保護化6−ケト基を水素化分解して
、調製し得る。
1〜7、9〜15及び18の調製は、フィッシャーインドール合成を用いて成
し遂げられた(R.B. Van Orden et al., Chem. Rev., 30, 78(1942)参照)(こ
の記載内容は、参照により本明細書中に含まれるものとする)。IV式の化合物
、例えば塩酸ナルトレキソン(IVa−HCl)又は塩酸オキシモルホン(IV b
−HCl)
及び適切な芳香族塩酸ヒドラジン(30)を、有機又は無機酸、例えばメタンス
ルホン酸又は塩酸(HCl)を含有する氷酢酸又はメタノール中で3〜6時間還
流した。5’−ニトロインドール(6)を5’−アミノ誘導体(12a)に還元
し、これをチオホスゲンで処理して12bを水和塩として生成することにより、
化合物12bを調製した(P.S. Portoghese et al., J. Med. Chem., 31, 281(1
988)参照)。ナトレキソン−HClを1−ナフチルヒドラジンとともに還流して
、6’,7’−ベンゾ誘導体(18)を調製した。
等量のIVa−HCl、メタンスルホン酸及びo−フェニルヒドロキシルアミ
ン−HCl(31)を含有するエタノール溶液を18時間還流して、ベンゾフラ
ン(8)を調製した。
オキシミノ誘導体21に変換した後、o−フェニレンジアミン25と反応させ
て、IVa−HClからベンゾピラジン16を合成した。
ナルトレキソン−HClをエタノール中のo−アミノベンズアルデヒド28及
びメタンスルホン酸とともに還流して、キノリン誘導体17を調製した。IV式
の化合物を酸の存在下でチオフェノールと反応させ、その後Hg高圧ランプを用
いて窒素大気中でOH−保護化チオエノールを光分解することにより、対応する
ベンゾチオフェン誘導体(I,X=S)を合成した(S.H. Green et al., J. Or
g.Chem.,33,2218(1968)参照)(この記載内容は、参照により本明細書中に含
まれるものとする)。
出発物質をDMF中に溶解し、余分量の適切な(C1〜C5)アルキル沃化物及
びジイソプロピルエチルアミンのようなアミンを付加して、I、II又はIII
式(式中、R3=H)の化合物の酸塩を対応する(C1〜C5)アルコキシ誘導体
〔R3=(C1〜C5)アルキル〕に変換する。反応は、温度を上げて、約4〜1
0時間
で実施し得る。最終産物をカラムクロマトグラフィーにより精製する。
これらの化合物の製薬上許容可能なアミン塩は、有機酸、例えば酢酸、クエン
酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の
塩、並びに製薬上許容可能な無機酸、例えばリン酸、塩酸又は硫酸等の塩である
。これらの生理学的に許容可能な塩は、当業界で公知の方法により、例えば遊離
アミン塩基を余分量の酸とともに水性アルコール中に溶解して、調製する。
化合物1〜12及び13〜17の合成は、P.S. Portoghese(米国特許第4,816
,586号)に詳細に記載されている(この記載内容は、参照により本明細書中に含
まれるものとする)。
II式の化合物は、下記のように、IV式の化合物を塩基の存在下でベンズア
ルデヒドあるいはその一又は二置換化誘導体と反応させることにより容易に合成
し得る。
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は上記と同様である)。好ましくは、IV
は塩酸ナトレキソンで、例えばR3=H、R2=OHでR1はシクロプロピルメチ
ルであって、II式(式中、R2=OH、R1=シクロプロピルメチル及びR3=
R4=R5=Hである)の化合物の合成は、P.S. Portoghese et al., J. Med. Ch
em., 34, 1292(1991)に記載されたように実施する。OR3及び/又はR2が塩基
不安定基、例えばアルカノキシである場合、II式の化合物中ではR3はHであ
り、R2はOHである。このような情況
では、ヒドロキシル基の保護/脱保護のための当業界で認識された方法により、
保護基を置換し得る。もちろん、ナルトレキソン−HCl又は遊離OH基を含有
するIV式の同様の化合物を用いてII式(式中、R3はHであり、及び/又は
R2はOH又はHである)の化合物を調製する場合、II式の化合物中の遊離ヒ
ドロキシル基も当業界で公知の方法によりアルカノイルオキシに変換される。
II式の化合物の特定の実施例の合成は、米国特許出願第07/867,997号(1992
年4月13日提出)に詳細に記載されている。
投与及び投薬形態
本発明の臨床的実施に際しては、本発明の化合物は一般に、経口的に又は非経
口的に、例えば注射又は注入により、活性成分を製薬上許容可能な担体と組合せ
て包含する製剤の形態で、例えば薬剤単位投薬形態で投与する。担体は、固体、
半固体又は液体希釈剤であるか、あるいは経口摂取用カプセル中に圧縮されるか
又は成形される。化合物又はその塩は、担体物質なしで使用してもよい。
本発明の拮抗薬を含有する薬剤単位投薬形態の例としては、錠剤、予備選択容
量の静注液、懸濁液、硬質又は軟質ゼラチンカプセル、マイクロカプセル、座薬
、リポソーム及び活性剤の制御又は遅延放出のために設計されたシステム、例え
ば経皮供給又は皮下供給用に設計されたレザーバーが挙げられる。このようなレ
ザーバーとしては、皮膚パッチ及び成形高分子インプラントが挙げられる。通常
、活性物質はその結果生じる薬剤単位投薬形態の約0.05〜99重量%、又は
0.1〜95重量%を構成し、例えば注射又は注入用としては製剤の0.5〜2
0%、例えば錠剤又はカプセルのような経口投与用では0.1〜50%である。
AMLR低下に反作用するのに、且つAMLR低下の結果生じた疾病状態の症
状を治療するのに有効なI、II又はIII式の規定
の化合物の用量は、動物投与データをヒトに外挿するための当業界で公知の方法
により、ある程度まで、下記のin vitroネズミデータから、並びにEur. J. Phar
macol., 219, 346(1992)に示されたin vivoネズミデータから推定し得る(例え
ば米国特許第5,035,878号及び第4,938,949号参照)。
バイオアッセイ
A.モルモット回腸筋肉を用いた試験
モルモット回腸(GPI)からの抽出縦筋肉を生理学的培地中に懸濁すると、
電気刺激は確実に収縮を引き起こす。したがって、電気刺激に対する反応性を用
いて薬物の効果を示し得る。モルヒネは普通は電気刺激から派生する収縮を確実
に抑制し、古典的オピオイド拮抗薬、例えばナロキソン及びナルトレキソンはモ
ルヒネの作用を遮断するという観察により例証されるように、用いた手法及び一
般の結果は標準になった。
B.マウス精管(MVD)
マウス精管はデルタオピオイド薬に感受性である。さらにMVDは、デルタオ
ピオイドと選択的に反応する。したがって、それは選択的デルタ−オピオイド薬
を指示するのに有用である。本明細書で用いる方法は、Henderson等(Brit. J.
Pharmacol., 46, 764(1972))(この記載内容は、参照により本明細書中に含ま
れるものとする)が記載したものである。
実施例1
拮抗薬活性の評価
A.材料及び方法
1.モルモット回腸縦筋肉(GPI)。
モルモットからの回腸を回盲接合部から約10cm摘出し、取付け
られる筋層間神経叢を有する縦筋肉のストリップをRang et al., Brit. J. Phar
macol., 22, 356(1964)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれるも
のとする)の方法により調製した。次にこのストリップの1cm部分を、10mlの
器官浴中に設置した2つのプラチナ電極の間に載せて、同大変換器に接続した。
ポリグラフで収縮を記録した。全標本で超最大矩形パルス(0.1Hzの周波数で
持続時間0.5msで80V)により、回腸ストリップの収縮を開始させた。1.
25μMのマレイン酸クロルフェニルアミンを含有するクレブス重炭酸塩溶液を
浴液とし、持続的に95%O2及び5%CO2で発泡させた。器官浴は36〜37
℃に保持した。縦筋肉ストリップを最低90分間の連続刺激で平衡状態にした。
薬剤を10〜50μlの量で浴中に付加し、それらの最大作用を書き留めた後に
緩衝液10mlで2回洗浄後、累積濃度−反応曲線を確定した。
2.マウス精管(MVD)。
Henderson et al., Brit. J. Pharmacol.,46, 764(1972)(この記載内容は、
参照により本明細書中に含まれるものとする)の記述に従って、本検定を実施し
た。両精管をマウスから摘出して、10mlの器官浴中の2つのプラチナ環電極全
体に1つずつ載せた。浴は、持続的に95%O2及び5%CO2で発泡させたクレ
ブス重炭酸塩溶液を含入した。器官浴は37℃に保持した。この組織を同大変換
器に取り付けて、矩形パルス(0.1Hz、持続時間1ms、超最大電圧)で経壁的
に刺激した。薬剤を10〜50〜μlの量で浴中に累積的に付加し、それらの最
大作用を書き留めた後に洗浄した。
B.薬理学的知見
マウス精管(MVD)及びモルモット回腸(GPI)標本に関して、in vitro
で化合物を試験した。各化合物(100又は200nM)を組織と一緒に15分間
インキュベートした後、IC50値を確定
するために段階的用量の標準作動薬を付加した。使用した標準作動薬は、〔D−
Ala2,D−Leu5〕−エンケファリン(DADLE)、モルヒネ(M)及び
エチルケタゾシン(EK)であった。これらはそれぞれデルタ、ミュー及びカッ
パオピオイド受容体に対して選択的である。IC50値を同一組織の対照IC50値
で割って、このIC50比(DR)を用いて、等式Ke=(拮抗薬)/(DR−1
)からKe値を算出した。これらのバイオアッセイの結果を、下記の表IIIに
要約する。
すべてのN−シクロプロピルメチル化合物(1〜6、8〜14及び16〜17
)がデルタ作動薬DADLEの作用を相殺した。実質的にはモルヒネ及びEKに
対する拮抗作用はほとんど観察されなかった。これらの化合物は作動薬活性を欠
いているか、又は弱い、部分的作動薬として振る舞い、1μMの濃度で最大反応
の20〜40%でプラットーとなる反応曲線を有した。作動薬作用は、試験中の
拮抗薬に関して使用した濃度(20〜200mM)で、一貫して20%以下であっ
た。
N−メチル化合物7も部分的作動薬活性を示した。しかしながら、その作動薬
作用が5nM又はそれ未満で20%以下でしかないため、この濃度での拮抗薬活性
に関してそれを試験して、この点では不活性であることが判明した。
実施例2
NTIのin vivoでの拮抗薬活性
本系列の高活性デルタ拮抗薬NTI(1)を、Tyr−D−Ser−Gly−
Phe−Leu−Thr(DSLET)、モルヒネ及びU50488Hの抗侵害
受容作用を相殺するに際してのその有効性に関してマウスで評価した。その作動
薬活性がそれぞれデルタ、ミュー及びカッパオピオイド受容体を介して選択的に
媒介されるために、これらの作動薬を用いた。
表IVのデータに示されるように、化合物1は20mg/kg皮下投与で、DSL
ETによる苦悩阻害を有効に遮断し、モルヒネ又はU50488Hの作用を有意
に相殺しなかった。
したがって、in vitro及びin vivoデータはともに、インドール、ベンゾフラ
ン、ベンゾブラジン又はキノリン環系とナルトレキソンのC環との融合が、独特
のオピオイド受容体拮抗薬プロフィールを有する化合物を生じる。これらの化合
物のほとんどがデルタオピオイド受容体に対して高選択性で、非置換インドール1
はその置換コンジナーより効力があると思われる。NTIの選択性比は、デル
タ/ミューに関して約50で、デルタ/カッパに関する値より大きいと思われる
。
ベンゾフラン8は、デルタ拮抗薬として1より低効力及び低感受
性であるが、しかし実質的デルタ拮抗活性を保持することが注目される。同様の
関係は、ベンゾピラジン16及びキノリン17に関して観察された。これは、イ
ンドール環系がデルタ選択性に必要だというわけではないことを示す。おそらく
、これらの化合物中のピロール、フラン、ピラジン及びキノリン部分の役割は、
それがモルヒネ核のC環と同一平面であるように付加的ベンゼン環を阻むことで
ある。
実施例3.ラットコロナウイルス感染におけるAMLR低下に及ぼすNTIの
作用
ラット。
Harlan-Sprague Dawley, Inc.(Indianapolis, IN)から150gの雄Lewisラッ
トを入手し、各実験前に少なくとも1週間、慣用的ラットケージ中で飼育した。
ラットには餌及び飲料水を自由に摂取させ、12時間:12時間の明暗周期で保
持した。
脾臓単核球(MNC)の単離。
8mg/mlケタミン及び2mg/mlアセプロマジン(用量=0.1ml/体重100g
)の混合物でラットを麻酔し、脾臓を無菌的に摘出した。動物を麻酔下で瀉血し
た。金網を通して離散させて、脾臓MNCを周囲結合組織から外した。ficol-hy
paque(リンパ球分離培地 Lymphocyte Separation Medium, LSM, Organon Teckn
ika, Durham, NC)上での密度勾配遠心分離により、赤血球を除去した。精製M
NCを1%ゼラチン及び2mMEDTAを含有するハンクス平衡塩溶液Hanks Bala
nced Salt Solution中で洗浄し、5%ウシ胎児血清(FBS)、100U/mlペ
ニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び5 x 10-5M 2−メルカプト
エタノールを含有するRPMI−1640培地中に再懸濁した。いくつかの実験
では、TCMTM,限定培地サプリメント(CELOX, Minneapolis, MN)をF
BSの代わりに用いた。
自系細胞培養。
精製MNCを総容積0.2ml中に2 x105細胞/ウエルで96ウエル丸底プ
レート中に入れ、37℃で5日間インキュベートした。いくつかのウエルには、
培養開始時にNTI(P. Portoghese博士(University of Minn,参考文献9)より
入手)を10-6M〜10-18Mの範囲の濃度で付加した。培養の最後の18時間に、
1μCiの3H−チミジン(6.7 Ci/mmol, New England Nuclear, Boston, MA)
を各ウエルに付加した。次に細胞をガラス繊維濾紙上に採集して、ベックマンBe
ckman(Fullerton,CA)シンチレーション計数器で計数した。結果を三重のウエ
ルの1分当たりの平均数として算出し、対照の%として表す(抑制AMLRのcp
m/対照AMLRのcpm)。
AMLR検定を実施するためのもっとも一般的な手順は、T細胞を非T細胞か
ら分離し、非T細胞を照射又はマイトマイシンC処理して、培養中でそれらを再
結合することである。このような操作は培養中のcpmをやや高くするが、しか
しながら、これらの培養中に3H−チミジンを混入する非分別化脾臓MNCも自
己抗原に対してそのようにしている ということがR.I. Zuberi et al., Cell.
Immunol., 84, 299(1984)により示されている。したがって、本実施例に記載し
た方法で単独で培養された非分別化脾臓MNCは真のAMLRを生じる。
ラットコロナウイルス感染。
われわれのコロニー中のラットのあるものは、われわれの獣医が診断した場合
、ラットコロナウイルス感染の臨床徴候を示した。このウイルスは、致命的では
ないが免疫抑制的であることが公知の上部呼吸器感染を引き起こす(R.O.Jacoby
et al., in The Laborato
ry Rat, Vol. I, Biology and Diseases, H.J. Baker et al., eds., Academic
Press, NY(1979)at page 272参照)。ラットは一般的には発病後1週間〜10日
以内に回復した。感染ラットからの脾臓MNCは一貫してAMLR低下を示した
。非感染ラットから単離した脾臓MNCから、対照反応が得られた。
NTI投与
図1は、感染ラット(3ラットから採集した細胞を各実験用にプールした)か
らの自系混合リンパ球反応をNTIにより調整し、3H−チミジン取込みにより
測定した6つの代表的実験(標識化実験1〜6)の結果を示す。反応は、非感染
ラットから単離したMNCを用いて得られた対照反応のパーセント(%)として
表す。5%FBSを培地中に用いた場合、対照計数は3800〜5200cpmの
範囲であった。FBSの代わりにTCMTMを培地中に用いた場合には僅かに低い
計数が観察された(1200〜1500cpm)。TCMTMを2つの実験に用いて
、対照培養中に観察された3H−チミジン取込みが本当にAMLRであって、異
種血清によるマイトジェン刺激によるものでないことを立証した。
全実験において、感染ラットからの細胞におけるAMLRの抑制は、健常ラッ
トからの対照細胞と比較して、単に部分的で、32%(実験例2は対照の68%
として示される)〜75%(実験例3)の範囲であった。6つの実験全てに関し
て、%抑制は52+/−8(平均+/−s.e.m.)であった。これらの反応
は多発性硬化症患者で観察されたものの典型で、例えばその場合、抑制患者AM
LRは健常対照の場合の約50%である(例えばR.L. Hirsch, Clin. Immunol.
and Immunopathol., 58, 115(1991)参照)。
われわれの実験では、AMLRを示している抑制培養へのNTI付加、3H−
チミジン取込みにより測定した場合、完全な又はほ
ぼ完全な反応の復帰(正常増殖)を引き起こした。実験3で示された最も重症な
抑制反応は、この実験に用いたNTIの濃度により部分的に復活しただけであっ
た。しかしながら10-12M NTIはこれらの培養における抑制反応を完全に逆
転させたと思われる。AMLR低下を逆転させるのに最も有効なNTIの濃度は
、一般的に10-10〜10-14Mの範囲であった。
実施例4.ネズミサイトメガロウイルス(mCMV)感染におけるAMLR低
下に及ぼすNTI作用
マウス。
8週齢雄Ba1b/CマウスをHarlan-Sprague Dawley Inc.(Indianapolis, I
N)から入手し、各実験前に少なくとも1週間、慣用的マウスケージ中で飼育した
。マウスには餌及び飲料水を自由に摂取させ、12時間:12時間の明暗周期で
保持した。
mCMV感染。
ストックmCMV溶液の連続10倍希釈液をマウスに腹腔内注射した。ストッ
クウイルスの希釈は、10-2〜10-6の範囲であった。注射の10日後にマウス
を屠殺した。対照マウスには食塩水を注射した。
T及び非T MNC分画の単離。
CMV感染及び非感染マウスからの脾臓MNCを、ラット脾臓MNCに関して
上記したのと同様に、LSMでの密度勾配遠心分離により精製した。M.H.Juliu
s et al., Eur. J. Immunol., 3, 645(1973)に記載されたようなナイロンウール
カラムにより、T及び非T細胞分画を単離した。富T細胞を応答体細胞として用
いた。K.M. Linner et al., Endocrinol., 128, 717(1991)に記載されているよ
うに非T細胞をマイトマイシンCで処理してその増殖を停止させ、刺激体細胞と
して用いた。次に自系細胞培養を作って、等数(2 x
105)の反応体T及び刺激体非T細胞を96ウエルマイクロ滴定プレート中で
培養した。細胞は5日間培養した。いくつかのウエルには、ラットAMLR試験
から最適であることが立証された濃度である10-10、10-12又は10-14MでN
TIを培養期間中付加した。3H−チミジンをインキュベーションの最後の18
時間各ウエルに付加し、上記のように培養を採集し、計数した。
図2は、AMLRに関するin vivo mCMV感染の結果を示す。CMV感染後
10日目に、10-4のCM部でAMLRの最大抑制が観察された。10-5及び1
0-6のCMVはこの時点ではAMLRに影響を及ぼさなかったが、一方10-3及
び10-2のCMVはAMLRをより低度に抑制した。対照(非感染)AMLRは
4500〜14,500の範囲のcpmを有した。
図3A及び3Bは、10-10〜10-14Mの範囲の濃度のNTIによる2つの抑
制AMLR培養の逆転を示す。図3Aは、10-2のCMVに対して部分的に抑制
された(20%)AMLRを示す。それは10-12及び10-10MのNTIにより
完全に逆転されるが、しかし10-14MのNTIによっては逆転されない。図3B
は、CMV10-4に対して最大に抑制された(42%)AMLRを示す。これも
10-14M〜10-12MのNTIにより完全に抑制が逆転されるが、10-10MのNT
Iでは部分的である。
実施例5.7−ベンジリデン−7−デヒドロナルトレキソン(II,R1=シ
クロプロピル−メチル,R2=OH,R3=R4=R5=H)
MeOH(8ml)に溶解した塩酸ナルトレキソン(200mg,0.53mmol)
の攪拌溶液に、氷浴中で水酸化ナトリウム(1N,4ml)及びベンズアルデヒド
(0.5ml,3.7mmol)を付加した。混合物を14時間冷蔵した。混合物を1
N水性HClで中和し、C
HCl(3 x)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて、濃縮
し、粗製物質を得て、これをセファデックスSephadexカラム(CH−20,Me
OH)上で精製して、7−ベンジリデン−7−デヒドロナルトレキソン(113
mg,50%)を得た。融点230℃。dec;Rf0.60(CHCl3−MeO
H−アセトン,19:0.5:0.1);IR(液体フィルム,cm-1)1685
,1611;MS m/e 429(M+,EI)。塩酸塩:Rf0.72(ブタ
ノール−アセトン−H2O,2:1:1);融点210℃ dec.分析値(C2 7
H27O4N・HCl)C,H,N,Cl.
実施例6.置換7−ベンジリデン−7−デヒドロナルトレキソン
塩基として水酸化ナトリウムを用いた種々の過剰量(30当量)の置換ベンズ
アルデヒドによるナルトレキソンのアルドール縮合により、II式の一連のBN
TX類似体の合成を成し遂げた。HMDSのような強塩基を用いたベンジルナル
トレキソン(IV,R1=シクロプロピルメチル,R2=OH,R3=ベンジル)
のベンズアルデヒド(1.5当量)との反応は、所望の化合物を生成しなかった
。しかしながら反応混合物中に12−クラウン−4を付加すると、所望のベンジ
リデン誘導体が収率48%で得られた。ベンジルエーテルの開裂は、BBr3で
処理して収率32%で達成した。代表例を下記の実施例6aに示す。
実施例6a.塩酸E−7−(4−ニトロベンジリデノ)ナルトレキソン(II
a)
MeOH(40ml)に溶解した塩酸ナルトレキソン(100mg,0.26mmol
)及び4−ニトロベンズアルデヒド(1.0g,6.6mmol)の溶液に、1N水
酸化ナトリウム(2ml)を付加した。混合物を0℃で3日間放置し、次いで水で
希釈して、N−HClで酸
性にして、エーテルで洗浄した。水性層を飽和水性NaHCO3でアルカリ性に
して、EtOAcで抽出した。抽出物を水で洗浄し、乾燥、蒸発させた。残渣を
シリカゲル(ヘキサン−EtOAc,1:1)上でクロマトグラフィー処理して
、E−7−(4−ニトロベンジリデノ)ナルトレキソン(102mg,78%)を
得た。E−7−(4−ニトロベンジリデノ)ナルトレキソンの遊離塩基をエタノ
ールに溶解して、数滴の濃塩酸を付加した。溶液を濃縮して、エーテルを加え、
乾燥させた(100mg)。C27H27N2O6(M+H)+に関する正確な質量計算
値 475.1869,実測値475.1883。類似体IIa〜IImに関す
る反応時間(rt=25℃)、収率及び融点(mp)を下記の表Vに示す。
実施例7.生物活性
実施例5(BNTX)及び6の化合物の拮抗薬効力を、マウス精管(MVD)
標本におけるin vitroNTI及びナルトレキソンの活性について比較した。各化
合物(100nM)を組織とともに15分間インキュベート後、IC50値を確定す
るために段階用量の標準作動薬を付加した。使用した標準デルタ選択性作動薬は
〔D−Ala2
,D−Leu3〕エンケファリン(DADLE)であった。IC50値として表さ
れる拮抗薬の非存在下(対照)及び存在下で、濃度−反応曲線を得た。IC50比
は、拮抗薬の存在下でのIC50を同一組織における対照IC50値で割った値であ
る。したがって、高IC50値は、特定の受容体での相対的に高度の拮抗作用を示
す。化合物IIa〜c、IIe、IIg〜i、IIj及びIIl〜mに関するI
C50比(MVD検定を用いて確定)を下記の表VIに示す。IC50値を用いて、
等式Ke=(拮抗薬)/(IC50比−1)からKe値を算出した。したがって、
低Keは特定の受容体での相対的に高度の結合を示す。
BNTXに関するこれらの生物検定の結果を下記の表VIIに要
約する。
表VIIに示したデータは、BNTXがδ−選択性拮抗薬であることを示す。
そのKe比は標準δ−作動薬NTIの値より低いが、しかしμ−選択性拮抗薬で
あるナルトレキソンよりも大きいということも注目される。
表VIIに示した平滑筋薬理学的データは、BNTXがδ−選択性であること
を明示しているが、MVD標本が脳と比較した場合、異なるδ亜型又はδ亜型の
混合物を含有すると思われるため、データは、たとえあるにしても、そのδ亜型
選択性を同定しない。
したがって、δ亜型選択性のより良好な査定は、脳膜の結合から、並びにマウ
スにおける拮抗薬試験から得られる。BNTXのモルモット脳膜との結合を、L.
L. Werling et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 233, 722(1985)の一般的方法
のA.E. Takemori et al., J. Pharmacol. Exp. Ther.,246, 255(1988)による変
法を用いて確
定した。使用した放射性リガンドはδ1受容体に対する〔3H〕(〔D−Pen2
,D−Pen5〕エンケファリン)、δ2受容体に対する〔3H〕DSLET(〔
D−Ser2−Leu5〕エンケファリン−Thr6)、μ受容体に対する〔3H〕
DAMGO、及びκ受容体に対するU69593(トランス−(±)−3,4−
ジクロロ−N−メチル−N−〔2−(1ピリジジニル)−シクロヘキシル〕ベン
ゼンアセトアミド)であった。
下記の表VIIIのデータに示すように、BNTXは約100のKi(δ2)
/Ki(δ1)結合比を示した。規定受容体での高Ki値は受容体に対する低度
結合親和性を示すため、BNTXはδ1受容体部位に対して高度選択性であるこ
とが認められる。
抗侵害受容性に及ぼすBNTXの拮抗薬作用を、F.C. Tulunay et al., J. Ph
armacol. Exp. Ther., 243, 91(1987)の手法に従っ
て、テールフリック検定を用いてマウスで評価した。10匹のマウスから成る少
なくとも3群を用いて用量−反応曲線を作った。尾で払いのける潜伏期間が対照
潜伏期間+群の平均反応時間の3S.D.より大きい場合には、マウスは抗侵害
受容に関して陽性と見なされた。反応時間は、種々の作動薬投与後の抗侵害受容
に対するピーク時間で確定した。脳室内(i.c.v.)注射は、5μlの容量
で、T.J. Haley et al., Br. J. Pharmacol., 12, 12(1957)の方法で実施した。
表VIIIでは、効力はED50比として表す。これはBNTXの存在下で皮下
投与した標準作動薬(6.25pmol/i.c.v./マウス)のED50を標
準作動薬のED50で割った値である。したがって、DPDPEに関して得られた
用量−反応曲線は約7.2の因子だけ高濃度に移動されたが、一方DSLET、
モルヒネ及びU50488H(κ作動薬)の曲線は、有意に移動されなかった。
したがって、モルモット脳膜に関して測定された結合データはin vivoデータと
相関し、δ亜型選択性の指示薬として、表IXに示した平滑筋ベースの検定デー
タより優れている。BNTXは、同定される最初のδ1オピオイド受容体亜種選
択性拮抗薬であると考えられる。
論文、特許及び特許文書はすべて、個別に参照に含まれると考えられる場合に
は、参照により本明細書中に含まれる。本発明は、種々の特定の及び好ましい実
施例及び方法を参照して記載されている。しかし、本発明の精神及び範囲を逸脱
しない限りにおいて、多数の変更及び修正が成されるものと理解されるべきであ
る。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年9月19日
【補正内容】
請求の範囲
1.自己混合性リンパ球反応(AMLR)低下を特徴とする疾患に苦しむ哺乳
類のAMLRを上昇させる薬剤を調製するための、式I:
(式中、R1は(C1〜C5)アルキル、C3〜C6(シクロアルキル)アルキル、
C5〜C7(シクロアルケニル)アルキル、アリール、アラルキル、トランス(C4
〜C5)アルケニル、アリル又はフラン−2−イルアルキルであり、R2はH、
OH又はO2C(C1〜5)アルキルであり、R3はH、(C1〜C5)アルキル又は
((C1〜C5)アルキル)COであり、R4及びR5は別々にH、F、Cl、Br
、NCS、NO2、NH2、(C1〜C5)アルキル又は(C1〜C5)アルコキシで
あるかあるいはともにベンゾであり、XはO、S又はNY(ここでYはH、(C1
〜C5)アルキル又は(R4)(R5)ベンゾである)である)の化合物、及びそ
の製薬上許容可能な塩を用いる方法。
2.哺乳類がヒトである請求項1記載の方法。
3.AMLRが慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡又はシェーグレン症候群
、多発性硬化症、慢性リンパ性白血病又は1型糖尿病に依る請求項2記載の方法
。
4.I式の化合物がナルトリンドールである請求項1記載の化合物。
5.I式の化合物がナルトリンドール5’−イソシアネートである請求項1記
載の化合物。
6.薬剤が単位投薬形態で、製薬上許容可能な担体と組合せて、有効量のI式
の化合物を含む請求項1又は2記載の方法。
7.製薬上許容可能な担体が液体である請求項6記載の方法。
8.単位投薬形態がI式の化合物を含有する錠剤、カプセル又は溶液を包含す
る請求項6記載の方法。
9.薬剤が注射、静注又は経皮投与によるような非経口投与に適応される請求
項1又は2記載の方法。
10.自己混合性リンパ球反応(AMLR)低下を特徴とするウイルス感染に
苦しむ哺乳類のAMLRを上昇させる薬剤を調製するための、式I:
(式中、R1は(C1〜C5)アルキル、C3〜C6(シクロアルキル)アルキル、
C5〜C7(シクロアルケニル)アルキル、アリール、アラルキル、トランス(C4
〜C5)アルケニル、アリル又はフラン−2−イルアルキルであり、R2はH、
OH又はO2C(C1〜5)アルキルであり、R3はH、(C1〜C5)アルキル又は
((C1〜C5)アルキル)COであり、R4及びR5は別々にH、F、Cl、Br
、NCS、NO2、NH2、(C1〜C5)アルキル又は(C1〜C5)アルコキシで
あるかあるいはともにベンゾであり、XはO、S又はNY(ここでYはH、(C1
〜C5)アルキル又は(R4)(R5)ベンゾである)である)の化合物、及
びその製薬上許容可能な塩を用いる方法。
11.哺乳類がヒトである請求項10記載の方法。
12.I式の化合物がナルトリンドールである請求項10記載の方法。
13.I式の化合物がナルトリンドール5’−イソシアネートである請求項1
0記載の方法。
14.薬剤が単位投薬形態で、製薬上許容可能な担体と組合せて、有効量のI
式の化合物を含む請求項10又は11記載の方法。
15.製薬上許容可能な担体が液体である請求項14記載の方法。
16.単位投薬形態かI式の化合物を含有する錠剤、カプセル又は溶液を包含
する請求項14記載の方法。
17.薬剤が注射、静注又は経皮投与によるような非経口投与に適応される請
求項10又は11記載の方法。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 31/40 ADU 9454−4C A61K 31/40 ADU
ADV 9454−4C ADV
ADY 9454−4C ADY
C07D 498/08 8415−4C C07D 498/08
513/08 8415−4C 513/08
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE
,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,
LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N
L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ポートジェス,フィリップ エス.
アメリカ合衆国,ミネソタ 55127,セン
ト ポール,オリオール レーン 17
(72)発明者 シャープ,バート エム.
アメリカ合衆国,ミネソタ 55416,セン
ト ルイス パーク,セダーウッド ロー
ド 4301
(72)発明者 リンナー,クリスティン エム.
アメリカ合衆国,ミネソタ 55116,セン
ト ポール,サウス クリーブランド ア
ベニュ 831