JP2009534384A - オピオイドアンタゴニストによる炎症性および潰瘍性腸疾患の治療 - Google Patents

オピオイドアンタゴニストによる炎症性および潰瘍性腸疾患の治療 Download PDF

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Abstract

低用量オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン、ナルメフェンまたはナロキソン)による炎症性および潰瘍性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)を治療するための方法、このような方法における使用のための医薬組成物、ならびに、このような医薬組成物の製造方法。本発明の実施態様は、クローン病または潰瘍性大腸炎を有するヒト被験者に、治療用医薬組成物を夕方または就寝時に1日1回経口投与することを含んでなる医薬治療方法であって、該医薬組成物が、即効性の固形剤形中に約3mg〜約4.5mgのナルトレキソン、ナルメフェン、ナロキソンまたはその塩酸塩を含んでなる、前記方法を含む。
【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2006年4月19日に出願された米国仮特許出願第60/745,119の優先権を主張する。該出願の全体は、参照によって本明細書に援用される。
分野
[0002] 本発明の例示的な実施態様は、低用量オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン、ナルメフェンまたはナロキソン)による炎症性および潰瘍性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)を治療するための方法、このような方法における使用のための医薬組成物、ならびに、このような医薬組成物の製造方法を含む。
背景
[0003] 胃腸管の炎症の慢性的な再発および寛解は、炎症性腸疾患(「IBD」)と称される状態である潰瘍性大腸炎およびクローン病の顕著な特徴である。この疾患の発症ピーク年齢は10歳〜40歳代であり、欧州および北米では100,000人につき100〜200人の有病率である。炎症性腸疾患は、顕著な病的状態および生活の質の減少の原因となり、かつ、米国では、年間医療コストにおけるほぼ20億米ドルを占める。これらの疾患の病因の定義において進歩はあるものの、その原因は依然として曖昧である。現在最も包括的な仮説は、IBDが、最終的な兆候である粘膜の炎症を伴う疾患の混成群であって、かつ、複数の遺伝的および環境的要因が該疾患の病因に関わっているというものである。
[0004] IBDは、その名称のために、過敏性腸症候群(「IBS」)としばしば混同されるが、該症候群は、厄介ではあるがそれほど重篤ではない状態である。過敏性腸症候群は、排便傾向の変化、および、炎症または潰瘍などの検出可能な構造的異常を伴わない腹痛を特徴とする、胃腸障害である。過敏性腸症候群は炎症性疾患ではなく、そして、それは腸の潰瘍を特徴としない。IBSに関して、明確な診断マーカーは存在せず、そして、特徴的な異常は特定されておらず、したがって、該疾患のすべての定義は臨床所見に基づく。最近まで、多くの医師は、IBSが疾患であるとは全く考えておらず;彼らは、それを心理学的ストレスの身体上の兆候に過ぎないと見なしていた。IBSに対する典型的な化学療法には、排便促進剤、鎮痙剤および止痢剤が含まれる。
[0005] 対照的に、クローン病は、回盲部領域においてよく見られるものの、胃腸管の任意の部分の貫壁性、斑状、肉芽腫性の炎症を特徴とする炎症性疾患である。クローン病の症状には、腹痛、下痢、胃腸出血、吸収不良および体重減少が含まれる。病因は不明であるが、研究により、それが環境的、遺伝的、微生物的、免疫および非免疫的要因の複合的な相互作用を伴うことが、示唆されている。クローン病を有する被験者の腸から得た生検は、腸が刺激に対して免疫学的に反応しているかまたは胃腸路の内因性免疫系が平衡を失っているかのいずれかを示唆する炎症細胞を明らかにした。
[0006] クローン病の治療は、通常、副腎皮質ステロイド類、シクロスポリンおよびアザチオプリンなどの、炎症反応を低下させるよう設計された化合物を含む抗炎症薬の投与を含むが、これらは重篤な副作用を引き起こす場合が多い。IBDの病因の理解における大きな前進は、新規免疫療法の開発をもたらした。このような治療は、T細胞集団により発現された分子に特異的なキメラモノクローナル抗体、または、粘膜炎症の病因の中核をなすことが公知のサイトカイン類(抗腫瘍壊死因子、TNF)に特異的な抗体の投与を含む。この特異的な免疫療法が、クローン病を有する人々を助けてはいるものの、依然として約20%はこの治療に反応せず、そして、多くは、有害な副作用のためにこの療法を続けることができない。加えて、モノクローナル抗体インフリキシマブ(レミケード(登録商標)(ペンシルベニア州メルバーンのセントコアInc.の登録商標)として販売されている)は、各注入が3,000米ドルを超え、高価である。
[0007] 潰瘍性大腸炎は、腸(通常は、結腸)の炎症性疾患である大腸炎の一形態であり、特徴的な潰瘍を含む。活動性疾患の症状には、軽度の不快感から重度の有痛性痙攣まで様々な程度の腹痛を通常伴った、血液の混じった下痢が、通常含まれる。潰瘍性大腸炎の原因は不明であるが、推定される感受性に対しての遺伝的要素は存在する。該疾患は、感受性の人においては、環境的要因によって誘発される可能性がある。食物の変更が該疾患を有する人の不快感を低減する可能性はあるが、潰瘍性大腸炎は食物的要因に起因するとは考えられていない。クローン病と同様に、治療は、抗炎症薬の投与、免疫抑制、および免疫反応の特定の要素を標的とする生物学的療法を含む。
[0008] 抗炎症療法が失敗すると、結腸切除術が場合によっては必要となり、これは、潰瘍性大腸炎に治癒をもたらすと考えられている。外科手術は、一般には、クローン病の合併症のために、または、薬物を用いた治療に抵抗性の疾患が、除去可能な一部位に限定される場合のために、確保される。外科手術はまた、フィステルおよび小腸の閉塞などのクローン病の合併症を管理するために、ならびに、切除術および吻合術(例えば、回腸結腸の切除術)のためにも用いられる。外科手術は、滅多にクローン病を治癒せず、そして、以前には罹患していなかった腸の領域に再発が再出現する場合が多い。
[0009] したがって、クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の有効な薬理学的治療に対する需要が、引き続き存在する。
概要
[0010] 本発明の例示的な実施態様は、低用量オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン、ナルメフェンまたはナロキソン)による炎症性および潰瘍性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)を治療するための方法、このような方法における使用のための医薬組成物、ならびに、このような医薬組成物の製造方法を含む。
[0011] 別の例示的な実施態様において、本発明は、腸壁の炎症または潰瘍を特徴とする腸疾患の治療のための低用量医薬組成物の調製における、オピオイドアンタゴニストの使用を含む。
[0012] さらに別の実施態様において、本発明は、腸疾患を治療するための方法であって、それを必要とする被験者に、被験者(例えば、ヒト)における腸疾患の治療に有効な低用量のオピオイドアンタゴニストを投与することを含んでなる、前記方法を含む、ここで、腸疾患は腸壁の炎症または潰瘍を特徴とする。
[0013] さらになお別の実施態様において、本発明は、腸壁の炎症または潰瘍を特徴とする腸疾患の治療における使用のための医薬組成物であって、低用量(例えば、約5mg未満)のオピオイドアンタゴニストを含んでなる医薬組成物を含む。
[0014] 本発明は、オピオイドアンタゴニストである低用量ナルトレキソンが、クローン病の安全かつ有効な治療であるという、これまで公知でなかったエビデンスを提供する。要約すると、ヒト被験者の非盲検前向き試験を、以下により詳細に記載のように行った。低用量ナルトレキソン(「LDN」)の安全性および有効性を、活動性クローン病を有する患者において検討した。クローン病活動指数(「CDAI」)スコアが220〜450である、組織学的および内視鏡的に確認された活動性クローン病を有する適格被験者を、4.5mgナルトレキソン/日を用いた試験に登録した。インフリキシマブを、試験開始前に最低8週間、または試験期間中、許可しなかった。登録前4週間に一定用量であったクローン病に対する他の療法は、同一用量にて継続した。患者は、炎症性腸疾患質問票(「IBDQ」)およびショートフォーム(「SF−36」)クオリティ・オブ・ライフ調査を完了し、そして、CDAIスコアを、療法前、療法中4週間毎、および試験薬完了後4週に評価した。LDNを、12週間の期間、毎夕に経口投与した。平均CDAIスコアが356±27の17例の患者が、登録された。CDAIスコアは、LDNによって有意に低下し(p=0.01)、そして、療法完了後4週にもベースラインより低いままであった。90%の患者が、療法に対して反応を示し、そして、67%が寛解を達成した(p<0.001)。LDNを用いた場合にベースラインと比較して、改善が、双方のクオリティ・オブ・ライフ調査において記録された。臨床検査異常は、認められなかった。
[0015] 本発明はまた、本明細書において以下により完全に記載するような化学的に誘導した潰瘍性大腸炎マウスモデルにおいて、オピオイドアンタゴニストであるナルトレキソンが腸の炎症を低減するという、これまで公知でなかったエビデンスも提供する。簡潔には、実験用マウスに、非処理飲用水または2%デキストラン硫酸ナトリウム(「DSS」)含有水のいずれかを、6日間投与した。DSS導入後3日に、動物に、0.1mLの生理食塩液(対照)またはナルトレキソン(「NTX」、6.3または350μg/kg)を、6日間、毎日投与した。疾患活動指数(「DAI」)スコアを、毎日計算した。マウスを、第9日に屠殺し、そして、結腸の炎症を組織学的に解析した。結腸RNAを、マイクロアレイおよびリアルタイムRT−PCRにより評価した。第4日までに、DSS治療動物では、体重が有意に減少し(p=0.006)、そして、水対照と比較してDAIスコア(p<0.001)が高かった。ナルトレキソン(350μg/kg)を投与されたDSS治療マウスは、生理食塩液で治療されたDSSマウスと比較して、体重減少が少なく、DAIスコアが低く、そして炎症が軽かった。炎症促進性サイトカインであるIL−6およびIL−12をコードするRNAは、DSS治療マウスにおいて有意に上昇し、そして、ナルトレキソン治療後に、これらのサイトカインのRNAは、大腸炎を伴わないマウスにおけるものに近いかまたは同等のレベルにまで減少した。サイトカインシグナル伝達のダウンストリームエフェクターである転写因子STAT3およびSTAT4の発現もまた、DSS治療マウスにおいて亢進し、そして、ナルトレキソンによって同様に元に戻った。したがって、ナルトレキソンは、DSS誘導大腸炎における疾患の兆候および炎症の組織学的エビデンスを元に戻したようである。
[0016] 本発明の他の特徴および利点は、一例として本発明の原理を例示する添付の図と併せて、以下のより詳細な好ましい実施態様の説明から明白であろう。
詳細な説明
[0025] 本発明の例示的な実施態様は、低用量オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン、ナルメフェンまたはナロキソン)による炎症性および潰瘍性腸疾患を治療するための方法、このような方法における使用のための医薬組成物、ならびに、このような医薬組成物の製造方法を含む。
[0026] 実施態様において、本発明は、クローン病および潰瘍性大腸炎などの「炎症性腸疾患」の治療に関する。炎症性腸疾患(「IBD」)は、一連の大腸および小腸の炎症状態である。名称が類似するが、これを、異なる病因および異なる症状の異なる状態である過敏性腸症候群(「IBS」)と混同すべきでない。IBDの他の形態には、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、便流変更性大腸炎、ベーチェット症候群、感染性大腸炎および原因不明の大腸炎が含まれるが、IBDの主な形態は、クローン病および潰瘍性大腸炎(「UC」)である。クローン病とUCとの違いは、腸における炎症性変化の位置および性質である。クローン病は、回腸末端が最も一般的に関与する領域ではあるが、胃腸管の口から肛門までの任意の部分に罹患する可能性がある。対照的に、潰瘍性大腸炎は、概して、結腸および盲腸に限定される。顕微鏡的には、潰瘍性大腸炎は、粘膜(すなわち、上皮層)に限定されるが、クローン病は、腸壁の厚み全体に罹患する可能性がある。最終的には、クローン病および潰瘍性大腸炎は、肝障害、関節炎、皮膚兆候および眼障害などの腸以外の兆候を呈する。
[0027] 炎症性腸疾患は、任意の以下の症状:腹痛もしくは腹部不快感、異常排便頻度(例えば、下痢)、腸狭窄もしくはフィステル形成、肛門周囲不快感もしくはそう痒症、嘔吐、血便(hematochezia)(すなわち、血便(bloody stool))、体重減少、ならびに種々の関連する愁訴または疾患;を呈する可能性がある。IBDはまた、1またはそれより多くの胃結腸フィステル、胃空腸結腸フィステル、腸皮膚フィステル、肛門直腸フィステル、腸腟フィステル、腸膀胱フィステルおよび腸経腸フィステルを含む、種々のフィステルを呈する可能性がある。炎症性腸疾患の診断は、概して、病変の生検を伴う大腸内視鏡検査、または放射線学的(例えば、X線)検査により行われ、これによって回腸もしくは結腸(例えば、回盲部)の炎症または潰瘍が明らかとなる場合が多い。
[0028] したがって、本発明の実施態様は、腸疾患を治療するための方法であって、それを必要とする被験者に、被験者(例えば、ヒト患者)における腸疾患の治療に有効な低用量のオピオイドアンタゴニストを投与することを含んでなる、前記方法を含む、ここで、腸疾患は腸壁もしくはその任意の部分(例えば、粘膜)の炎症または潰瘍を特徴とする。
[0029] 本明細書では、「腸疾患」は、腹痛もしくは腹部不快感、異常排便頻度、腸狭窄もしくはフィステル形成、肛門周囲不快感もしくはそう痒症、または異常な便の硬さを特徴としてもよい。さらに、「腸疾患」は、小腸(例えば、回腸)もしくは結腸(例えば、回盲部)の炎症または潰瘍を特徴としてもよい。「腸疾患」はまた、例えば、胃腸系のフィステルの存在を特徴としてもよい。具体的には、「腸疾患」は、クローン病または潰瘍性大腸炎などの「炎症性腸疾患」(IBD)を含んでもよい。「腸疾患」は、本明細書では、本質的に過敏性腸症候群を含まない。
[0030] 本発明の別の実施態様は、腸壁もしくはその任意の部分(例えば、粘膜)の炎症または潰瘍を特徴とする腸疾患(例えば、IBD)の治療のための低用量医薬組成物の調製における、オピオイドアンタゴニストの使用を含む。
[0031] さらになお別の実施態様において、本発明は、腸壁もしくはその任意の部分(例えば、粘膜)の炎症または潰瘍を特徴とする腸疾患の治療における使用のための医薬組成物であって、低用量のオピオイドアンタゴニストを含んでなる医薬組成物を含んでなる医薬品に関する。
[0032] さらに別の実施態様において、本発明は、例えば腸から皮膚、腸の別の部分、膀胱または腟のいずれかへ連絡するフィステルの治療における使用のための医薬組成物であって、低用量のオピオイドアンタゴニストを含んでなる医薬品に関する。フィステルは、偶発的なものであっても、または、腸壁もしくはその任意の部分(例えば、粘膜)の炎症または潰瘍を特徴とする腸疾患に関連していてもよい。
[0033] 別の実施態様において、本発明は、腸疾患を治療するための方法であって、それを必要とする被験者に、前記被験者における腸疾患の治療に有効な低用量のオピオイドアンタゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法を含む、ここで、当該腸疾患は腸壁の炎症または潰瘍を特徴とする。オピオイドアンタゴニストの量は、約1.75mg〜約4.5mg/用量または約1.75mg〜約3mg/用量、あるいは、別の実施態様では、約3mg〜約4.5mg/用量であってもよい。
[0034] 本明細書では、「オピオイドアンタゴニスト」は、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナロキソン、オピオイドアンタゴニスト活性を有するその代謝物、医薬的に許容可能なその塩、そのプロドラッグ、およびその組み合わせからなる群より選択されてもよい。例えば、オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナロキソン、またはその塩酸塩(例えば、ナルトレキソン塩酸塩、ナルメフェン塩酸塩およびナロキソン塩酸塩)であってもよい。
[0035] 本発明の実施態様によると、オピオイドアンタゴニストを、「低用量」として投与する。例えば、低用量のオピオイドアンタゴニストは、約1.75mg〜約4.5mgまたは約1.75mg〜約3mg、あるいは、別の実施態様では、約3mg〜約4.5mgであってもよい。低用量のオピオイドアンタゴニストを、睡眠開始後直ちにtmaxとなるように、例えば夕方または就寝時に、1日1回投与してもよい。したがって、実施態様において、オピオイドアンタゴニストを、夕方または就寝時に1日1回投与してもよい医薬組成物として提供する。別の実施態様では、該医薬組成物を、朝または睡眠から目覚めた後に1日1回投与する。
[0036] 本発明の別の実施態様は、クローン病または潰瘍性大腸炎を有するヒト被験者に治療用医薬組成物を夕方または就寝時に1日1回(あるいは、朝または睡眠から目覚めた後に1日1回)経口投与することを含んでなる医薬治療方法であって、該医薬組成物が、即効性の固形剤形であってもよい約3mg〜約4.5mg/用量のナルトレキソン、ナルメフェン、ナロキソンまたはその塩酸塩を含んでなる、前記方法を含む。
[0037] 本発明はまた、医薬組成物およびその調製に関する。医薬組成物を、経口投与に適した固形剤形として処方物化してもよい。さらに、固形剤形は、オピオイドアンタゴニストと、例えば、ショ糖、セルロースおよびその組み合わせからなる群より選択されてもよい賦形剤とを含んでなる、即効性処方物であってもよい。別の実施態様において、低用量医薬組成物を、経口投与に適した液体剤形として処方物化してもよい。例えば、液体剤形は、オピオイドアンタゴニストと、水を含んでなってもよい液体キャリアとを含んでなってもよい。同様に、医薬組成物を、局所投与に適した局所剤形として処方物化してもよい。
[0038] 投与の簡便性および投与量の均一性のために、医薬組成物を単位剤形にて処方物化することが、特に好都合である。単位剤形とは、単位投与量として治療される被験者に適した物理的に別々の単位を指し;各単位は、所望の治療効果を得られるよう計算された既定量のオピオイドアンタゴニストを、必要な医薬ビヒクルとともに含有する。単位剤形の規格は、特定のオピオイドアンタゴニストのユニークな特性、ならびに、このような腸疾患治療用化合物を配合する技術に固有の制限によって、決定され、かつ直接的に依存する。
[0039] オピオイドアンタゴニストを、生理学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤を用いて、完全に当該技術分野の範囲内の方法にて、投与用に処方物化してもよい。例えば、所望により医薬的に許容可能な賦形剤を添加されていてもよいオピオイドアンタゴニストを、水性溶媒に懸濁または溶解し、次いで、得られた溶液または懸濁液を滅菌してもよい。オピオイドアンタゴニストを、例えば、不活性希釈剤または可食性キャリアとともに、経口投与してもよい。また、オピオイドアンタゴニストおよび他の成分を、硬もしくは軟殻ゼラチンカプセルに封入するか、あるいは、錠剤に圧縮してもよい。経口治療投与用には、オピオイドアンタゴニストを、賦形剤と合わせ、そして、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェーハ等の形態にて用いてもよい。
[0040] 局所投与用には、オピオイドアンタゴニストを、軟膏、クリーム、ジェル、ローション、シャンプー、粉末(スプレー粉末を含む)、ペッサリー、タンポン、スプレー、ディップ、噴霧剤または点滴剤(例えば、眼耳もしくは鼻点滴剤)の形態にて供してもよい。また、オピオイドアンタゴニストを、例えば経皮パッチなどの、経皮もしくは経皮的薬物送達システムの形態にて供してもよい。
[0041] 医薬組成物におけるオピオイドアンタゴニストの比率は、当然ながら、変えてもよい。このような治療上有用な組成物におけるオピオイドアンタゴニストの相対量は、適切な投与量が得られるようなものである。さらに、該医薬組成物を、当該技術分野において周知の方法により、即効性処方物(好ましい)、中速度放出性処方物、または徐放性処方物として処方物化してもよい。
[0042] オピオイドアンタゴニストは、典型的には、アミノ基などの塩基性官能基を含有するアルカロイド類であることから、医薬的に許容可能な酸とともに医薬的に許容可能な塩を形成することが可能である。この点における「医薬的に許容可能な塩」の語は、比較的毒性のない、オピオイドアンタゴニストの無機および有機酸付加塩を指す。これらの塩を、該化合物の最終的な単離および精製中にin situにて、あるいは、遊離塩基型の精製化合物を適切な有機もしくは無機酸と別に反応させ、そしてその結果形成された塩を単離することによって、調製してもよい。代表的な塩には、ハロゲン化水素酸塩(臭化水素酸塩および塩酸塩を含む)、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、ラウリルスルホン酸塩等が含まれる。例えば、Bergeら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci. 66, 1-19(1977年)を参照されたい。
[0043] 別の場合において、オピオイドアンタゴニストは、1またはそれより多くの酸性官能基を含有してもよいことから、医薬的に許容可能な塩基とともに医薬的に許容可能な塩を形成することが可能である。これらの場合における「医薬的に許容可能な塩」の語は、比較的毒性のない、オピオイドアンタゴニストの無機および有機塩基付加塩を指す。これらの塩を、該化合物の最終的な単離および精製中にin situにて、あるいは、遊離酸型の精製化合物を医薬的に許容可能な金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩などの適切な塩基、アンモニア、あるいは医薬的に許容可能な第1級、第2級もしくは第3級有機アミンと別に反応させることによって、同様に調製することが可能である。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩等が含まれる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等が含まれる。Berge、同書を参照されたい。
[0044] 「医薬的に許容可能な」には、正しい医学的判断の範囲内で、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の障害もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織に接触させての使用に適した、妥当な利益/リスク比に見合った、これらの化合物、材料、組成物または剤形が含まれる。
[0045] 本発明はまた、オピオイドアンタゴニストのプロドラッグにも関する。プロドラッグは、in vivoにおいて活性型へと変換される化合物である。プロドラッグを、特定の化合物の生体内分布または薬物動態を変えるために用いることが可能である。例えば、カルボン酸基を、例えば、メチル基またはエチル基とエステル化させて、エステルを得ることが可能である。エステルを被験者に投与すると、エステルが、酵素的もしくは非酵素的、還元的、酸化的、または加水分解的に切断されて、陰性基が現れる。陰性基を、切断されて、その後分解されて活性化合物となる中間化合物を出現させる部分(例えば、アシルオキシメチルエステル類)とともにエステル化してもよい。プロドラッグ部分を、エステラーゼまたは他のメカニズムによって、in vivoにてカルボン酸へと代謝してもよい。プロドラッグおよびその使用の例は、当該技術分野において周知である。オピオイドアンタゴニストのプロドラッグを、その最終的な単離および精製中にin situにて、あるいは、遊離酸もしくは塩基型の精製化合物を適切な誘導体化剤と別に反応させることによって、調製してもよい。例えば、R.B.Silverman、「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action」、アカデミックプレス社、第8章(1992年)を参照されたい。
(クローン病)
[0046] 以下の詳細な実施例では、オピオイドアンタゴニストである低用量ナルトレキソンが、クローン病に対する安全かつ有効な治療であることが示される。ヒト臨床実験において、適格患者は、少なくとも18歳であり、かつ、内視鏡的もしくは放射線学的手順によりクローン病の診断が確定された、男女双方であった。患者は、クローン病活動指数(CDAIスコア)が>220かつ<450と定義される中等度〜重度の活動性疾患を有した。Bestら、「Development of a Crohn's disease activity index. National Cooperative Crohn's Disease Study」、Gastroenterology 70, 439-44(1976年)を参照されたい。アミノサリチル酸塩、免疫調節剤、副腎皮質ステロイド類または抗生剤の一定量を服用している患者は、試験への参加を許可され、そして、試験期間にわたって、同一投与量にてそれらを継続した。妊娠可能年齢の女性は、登録を許可され、そして、外科手術による不妊でない場合は、十分な避妊(経口もしくはデポー避妊、IUD、または、バリア+殺精子剤)を試験期間中に使用することを必要とした。これらの女性は、試験完了後3ヶ月間、十分な避妊を継続することを必要とした。除外基準には、妊娠中もしくは授乳中の女性、回腸造瘻、結腸造瘻、回腸直腸吻合、または外科手術に由来する短腸症候群を有する被験者、ならびに、肝機能検査異常を伴う患者が含まれた。登録8週間以内にタクロリムス、シクロスポリン、ミコフェノール酸塩またはインフリキシマブを服用した被験者は、除外した。
Figure 2009534384
[0048] 試験は、活動性クローン病を有する被験者におけるLDNに対する安全性、毒性および反応性を評価するための非盲検パイロット調査であった。適格性を電話により評価し、そして、可能性のある候補者に、スクリーニング来診の予定を組んだ。スクリーニング来診時、患者は、既往歴および理学的検査、ならびに臨床検査(化学パネル、完全血球数[「CBC」]、尿分析および赤血球沈降速度[「ESR」])を受けた。患者は、下痢の頻度、腹痛および一般的な幸福感の症状を記録する日記を、7日間付けた。14日間以内に、患者は、CDAIスコアの評価および計算のために再び訪れた。適格である被験者には、薬剤を与え、そして、次の月のCDAIスコアを計算するため、本来診(ベースライン)の最後に、新たな日記を渡した。患者は、副作用を評価し、そしてCBCを行うための中間来診のため、2週間後に再び訪れた。フォローアップ来診の予定を、第4、8、12および16週に組んだ。
[0049] 塩酸ナルトレキソンを、GMP認可基準により、薬局にて4.5mg含有カプセル中に配合した。本試験において用いる投与量は、現FDA認可用量の50mgよりも低かったため、これを「低用量ナルトレキソン」またはLDNと称する。包装および純度の品質保証は、分析研究所で確認した。患者を、LDNで経口により、3ヶ月間毎夕治療した。薬剤の供給を、毎月、患者に行った。最初の来診時に、LDNの10日分の追加供給を、予約が遅延した場合に備えて供給した。被験者は、計数および薬物アカウンタビリティのため、各予約時にバイアルを持参する必要があり;余剰のカプセルは、来診時に返却し、そして別の月の供給を受けた。
[0050] CBC、化学パネルおよびESRを含む所定の血液検査を、毎月評価した。加えて、尿検査および妊娠検査を、モニタリングおよび安全性のため、治療前および毎月の各来診時に行った。C反応性タンパク質(「C−RP」)を、ベースライン時および第12週に測定した。[Met]−エンケファリンレベルを、ラジオイムノアッセイ(「RIA」)により、ベースライン時ならびに第4、8、12および16週に測定した。
[0051] LDNの疾患活動性に対する効果を評価するため、患者は、CDAIスコアの計算のための各来診に先立ち、クローン病症状の日記を7日間付け続けた。クオリティ・オブ・ライフを評価するため、患者は、二つの標準化されたクオリティ・オブ・ライフ調査である、炎症性腸疾患質問票(「IBDQ」)およびSF−36健康調査を完了させた。Irvineら、「Quality of life: a valid and reliable measure of therapeutic efficacy in the treatment of inflammatory bowel disease. Canadian Crohn's Relapse Prevention Trial Study Group」、Gastroenterology 106(2), 287-96(1994年);Brazierら、「Validating the SF-36 health survey questionnaire: new outcome measure for primary care」、BMJ 305(6846), 160-04(1992年);を参照されたい。
[0052] LDNの安全性および毒性を、有害事象、検査パラメータおよびバイタルサインにより評価した。非血液学的および血液学的毒性を、WHO基準により判定した。Okenら、「Toxicity and response criteria of the Eastern Cooperative Oncology Group」、Am.J.Clin.Oncol. 5(6), 649-55(1982年)を参照されたい。
[0053] すべての評価可能な患者から得た利用可能データを統計学的解析に含めた包括解析を、行った。測定パラメータ(CDAIスコア、検査値およびクオリティ・オブ・ライフ調査)は、ベースライン値を毎月および療法後4週に得られたものと比較して、生物統計学者が解析した。線形の混合効果モデルに基づいた長期データ解析を、PROC MIXEDプログラム(SASインスティチュートInc.、ケアリー、ノースカロライナ州)を用いて適用した。ベースラインとの多重比較を含む解析を行う場合には、有意性を調整するためにボンフェローニ統計法を用いた。二元の結果である反応および寛解に対するP値は、二項の比率に対する直接確率検定を用いて計算した。
[0054] 年齢、性別および体重を含む、登録時における患者の特性を、表1に示す。ほとんどの患者は、小腸と結腸双方の疾患を有し、そして、2例の患者は、活動性の肛門周囲フィステルを有した。8例の患者は、以前に、クローンのために外科的切除術を施行されていた。患者の76%は、抗TNF−α療法による治療を以前に受け、そして、この薬剤に対してアレルギー、不耐性または無反応であった。試験期間全体にわたり患者が服用したクローン病のための併用薬剤もまた、上記の表1に示す。
[0055] 統計学的解析により、スクリーニング来診時から試験第16週までの間、体重に有意な変化がないことが示された(データは示さず)。2例の患者に、第12週に先立ち、クローン病のための所定の薬剤を中断する決定がなされ、そして、うち1例でクローン病の症状が再発した。両患者のデータを、包括解析パラダイムを用いて解析した。腸管皮および直腸腟フィステルを伴う2例の被験者は、LDN療法によりフィステルが閉鎖した。
[0056] 図を参照すると、図1は、ベースライン時(第0週)、LDN療法開始後第4、8および12週、ならびにLDN療法中断後4週(第16週)に示された、平均クローン病活動性指数(CDAI)スコア±SEMを示す。****=ベースラインとの有意差あり(p<0.0001)。図2は、第4、8および12週、ならびにLDN療法中断後4週(第16週)に示された、LDN療法に対して反応した患者の比率(図2A)、および寛解を達成した患者の比率(図2B)を示す。図3は、ベースライン時(第0週)、LDN療法開始後第4、8および12週、ならびにLDN療法中断後4週(第16週)に示された、平均炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコア±SEMを示す。ベースラインとの有意差を、**p<0.01、***p<0.001、および****p<0.0001として示す。図4では、ベースライン時(第0週)、LDN療法第4、8および12週、ならびにLDN療法中断後4週(第16週)に示された平均SF−36健康調査スコア±SEMを、SF−36健康調査により測定されたパラメータのそれぞれについて示す。ベースライン値との有意差は、以下:p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、および****p<0.0001を含んだ。
[0057] CDAIスコアを、LDN療法に対する患者の疾患活動性および炎症反応を測定するために用いた。LDN療法開始後第4、8および12週の平均CDAIスコア(図1)は、ベースラインよりもそれぞれ41%、55%および49%減少した。療法中断後4週(第16週)において、平均CDAIスコアは、ベースラインよりも45%少なく、そして、療法中に測定された平均CDAIスコアと統計学的に有意ではなかった。図2は、療法に反応した患者の比率(図2A)、ならびに、疾患の寛解を達成した被験者の比率(図2B)を示す。治療後1ヶ月に、76%が療法に対する反応を達成し(CDAIスコアが70ポイント減少)、そして、第8および12週には、88%が反応を示した。LDN中断後1ヶ月に、73%が反応を示し続けた。LDN療法開始後1ヶ月に、患者の29%が寛解を達成し(CDAIスコアが150ポイント以下)、そして、LDN療法第8および12週には、53%および47%が、それぞれ寛解を達成した(図2B)。LDN療法中断後4週に、被験者の33%が臨床的寛解期にあった。したがって、16週間の試験期間中のいくつかの時点で、LDNにより、患者の89%が反応を示し(p<0.001)、そして、67%が寛解を達成した(p=0.07)。
[0058] 二つの標準化されたクオリティ・オブ・ライフ調査である炎症性腸疾患質問票(IBDQ)(図3)およびSF−36健康調査(図4)を、LDN治療を受けた患者に行った。双方の測定により、患者は、LDN療法によるクオリティ・オブ・ライフの有意な改善を経験した。IBDQ調査に関しては、クオリティ・オブ・ライフの有意な改善は、LDN第4、8および12週、ならびに治療完了後1ヶ月に、ベースラインと比較して顕著であった。
[0059] 患者は、SF−36健康調査により測定された種々のパラメータにおいて、クオリティ・オブ・ライフの有意な改善を経験した(図4A〜4H)。LDNによる療法第4、8および12週に、身体的役割(physical role)スコアが5〜8倍改善し(図4A)、そして、身体の痛み(bodily pain)が61〜65%改善する(図4B)結果となった。LDN治療第8および12週における活力(energy)スコア(図4C)は、療法開始時よりも少なくとも2倍大きかったが、健康感(health perception)スコア(図4D)は、ベースラインよりもそれぞれ33%および49%大きかった。LDN療法第4および8週に、身体機能(physical function)(図4E)は、ベースライン値よりも23%大きかった。社会生活機能(social function)(図4F)は、第4、8および12週にベースラインよりも70%大きかったが、しかし、統計学的には第8週のみで有意であった。心身的役割(role emotional)(図4G)および心身の健康(emotional health)(図4H)は、LDN治療第4、8および12週に、ベースライン値と同等であった。LDN終了後4週(すなわち、第16週)に、心身の健康以外のすべてのパラメータは、ベースラインよりも27%〜8倍の範囲の改善を示した。
[0060] LDN療法第4、8および12週において、CBCまたは化学値は、ベースラインから変化しなかった。第12週において、肝パネルは、ベースラインレベルと変わらなかった。LDN療法第2週におけるCBCの評価は、ベースライン値と同等であった。C反応性タンパク質レベルは、治療第12週までに、ベースライン時のメディアン値2.6(正常<0.8)から0.9の値へと減少し、そして、この変化は統計学的に有意であった(p=0.03)。ESRは、平均ベースライン値23.3±0.4mm/時間から17.9±0.3mm/時間へと減少し、これも有意であった(p=0.04)。ベースラインの血漿エンケファリンレベルは9.5±2.8pg/mLであり、そして、LDN療法第12週に3.6±1.0pg/mLの値へ減少したが、しかし、この血漿エンケファリンレベルの差は、統計学的に有意でなかった。
[0061] 最も頻繁に報告されたLDN療法による副作用は、睡眠障害であり、そして、これは7例の患者において顕著であり;1例で異常夢が報告された。5例の被験者が、不眠症のため、LDNの時間を夕方から朝へ変更した。睡眠障害に必要な用量低減を行った例はなかった。他のまれに報告された事象には、悪心(N=1)、薄毛(N=1)、霧視(N=1)、易刺激性(N=1)、気分変動(N=1)および軽度の失見当識(N=1)が含まれた。
[0062] 本パイロット試験の結果は、LDN療法が有意に症状を減少させ、そして活動性クローン病を有する患者のクオリティ・オブ・ライフを改善することを示す、最初のものである。登録患者の3分の2が、LDN治療中のある時点において寛解を達成した。本試験における別の発見は、第4週までに有意な改善があったという点における、LDNからの極めて急速な効果の発現であった。副腎皮質ステロイド類は、クローン病患者の症状を7〜10日以内に減少させるのに有効である可能性があるが、しかし、免疫調節剤(例えば、アザチオプリンおよび6−メルカプトプリン)などの他の薬剤は、症状の改善を示すのに3〜4ヶ月かかる可能性がある。症状は、副腎皮質ステロイド類またはアミノサリチル酸塩を中断後1ヶ月以内に再発する場合が多い。しかしながら、本試験では、CDAIスコアおよびクオリティ・オブ・ライフの改善が、LDN中断後4週においても継続することが、報告された。
[0063] 本パイロット試験における別の発見は、LDNが活動性クローン病を有する被験者のクオリティ・オブ・ライフを改善することであった。IBDQにおけるベースライン値は、他の臨床試験において報告されたものと同様であり、我々の被験者群が他の試験において使用されたものと異ならないことが示唆された。統計学的解析により、二つの別々のクオリティ・オブ・ライフ調査について、LDN中のこれらの個体にベースラインとの有意差が生じることが示された。さらに、LDN療法中断後1ヶ月においても、クオリティ・オブ・ライフは、これらの患者に対して測定されたほとんどすべてのパラメータにおいてなお良好であった。本特許の出願日の時点では、ヒト被験者の二重盲検プラセボ対照第II相臨床試験において、いかなる重篤な有害事象も現れていない。
[0064] LDNによる治療は、クローン病に対する他の標準的な療法を超える利点を提供する。LDNの安全性プロファイルは、本試験において優れているようであり、副作用はまれかつ軽度であり、そして、公知の免疫抑制および二次感染のリスク増加はなかった。副腎皮質ステロイド類には、体重増加、骨粗しょう症、白内障および耐糖能障害の有意な長期リスクがある。免疫調節剤であるメトトレキサート、アザチオプリン、6−メルカプトプリンおよびシクロスポリンは、いずれも、免疫機能を低下させ、感染および(おそらく)悪性腫瘍に対するリスクを増加させる。新たな抗TNF−α化合物による免疫抑制に加えて、これらの薬物は、結核の再活性化のリスクを増加させ、そして、ループス様反応、血清病様症候群またはアナフィラキシーを誘導する可能性もある。一部の研究者は、インフリキシマブ(抗TNF−α化合物)または他の免疫調節剤が悪性腫瘍、特にリンパ腫のリスクを増加させる可能性のあることを示唆したが;しかしながら、該リスクが薬剤よりもむしろ疾患自体によるものであるかどうかについては、はっきりしない。アルコールおよびオピオイド乱用に対して用いられるより高用量のナルトレキソン(すなわち、50mg)は、肝トランスアミナーゼを上昇させることが報告されている。対照的に、本明細書におけるLDN 4.5mg/日での使用は、治療中に肝トランスアミナーゼを変化させなかった。
[0065] インフリキシマブは、クローン病に関連するフィステルが生じる疾患を有する患者に対する標準的な医学的療法となった。以前にはインフリキシマブに反応しなかった、我々の試験における腸皮膚フィステルを伴った2例の被験者で、LDNにより閉鎖が認められたことは、興味深い。おそらく、フィステルの閉鎖は、腸分泌の減少または粘膜の治癒に関連しているのであろう。おそらく、排便数の減少および粘膜液体吸収の改善の結果として、フィステルが閉鎖したのであろう。
[0066] IBDに対する医療は、高価である。アミノサリチル酸塩療法には月に数百ドルかかる可能性があり、そして、インフリキシマブ注入は、概して、数千ドルを超える(静脈内投与のために職場を離れる時間については、言うまでもない)。ナルトレキソンは、後発薬剤であるため、したがって、費用は安価である。その上、有効なメサラミン(ペンタサ(登録商標)、オランダのフェリングB.V.社の登録商標)療法は、1日に8〜16錠まで必要とする可能性がある。LDNの別の利点は、1日1回投与であることであり、患者のコンプライアンスを改善する可能性がある。
(潰瘍性大腸炎)
[0067] 以下の詳細な例示的な実施態様に、オピオイドアンタゴニストであるナルトレキソンが、潰瘍性大腸炎の化学的誘導マウスモデルにおいて腸の炎症を低減することを、示す。マウスにおける実験的大腸炎のデキストラン硫酸ナトリウム(「DSS」)モデルは、その投与の簡便性、ならびに症状の効率的かつ可逆的な誘導により、一般的なIBDの前臨床モデルである。DSSを飲用水へ添加すると、血便、体重減少、短腸および好中球浸潤を誘導することから、ヒト炎症性腸疾患のモデルとなる。DSS治療マウスにおける上皮バリア機能の崩壊は、疾患の進行において中心的役割を果たすと考えられている炎症促進性サイトカインの誘導をもたらす。サイトカインは、アポトーシスを抑制し、かつ、炎症の慢性状態の一因となる免疫細胞の活性化も促進する可能性がある。この過剰の炎症反応を低減させることを目的とした治療は、DSSモデルにおいて治療の見込みを示した。したがって、DSS治療マウスは、サイトカインにより誘導される炎症状態を低減させる可能性のある新規IBD治療学および治療の概念実証試験に、特に適している。マウスにおけるDSS誘導大腸炎の進行に対するナルトレキソンの効果を、検討した。より正確に確立された大腸炎の治療発明モデルを作製するため、化学的誘導を治療開始に先行して行った。ナルトレキソンが、DSSにより誘導される急性炎症反応を元に戻す能を、全動物の症状、組織の組織像およびRNAプロファイリングのレベルにて解析した。
[0068] 6〜8週齢の雄性C57ブラック/6Jマウス(チャールズリバー・ラボラトリーズInc.、ウィルミントン、マサチューセッツ州)を、それぞれ24例のマウスの2群のうち一方に、無作為に割り付けた。食品および水を、自由に摂取させた。第1群(正常)には、通常の飲用水を与え、そして、第2群(DSS)には、2%デキストラン硫酸ナトリウム(分子量40,000)(TdBコンサルタンシーAB社、ウプサラ、スウェーデン)を含有する水を6日間与え、その後さらに3日間通常の水を与え、そして第9日に剖検した(図5A)。各マウスを、食物および水の摂取量を正確に測定するため、個々のケージに入れた。動物の体重、水摂取量および食物消費量を、毎日測定した。毎日、床替えを行い、そして新鮮便ペレットを採取し、そして、潜血について分析した。大腸炎疾患活動指数(DAI)を、Murthyらによって確立されたシステムによって、各マウスにつき計算した。Murthyら、「Treatment of dextran sulfate sodium-induced murine colitis by intracolonic cyclosporin」、Dig.Dis.Sci. 38, 1722-34(1993年)を参照されたい。便の硬さの明らかな変化はほとんど認められなかったことから、修正DAIを、体重減少率、および便潜血もしくは肉眼的出血の存在に基づき計算した。
[0069] 各群(正常またはDSS)のマウスを、それぞれ8例のマウスの3つの治療群に、無作為にさらに分割した。72時間後に、マウスを、6日間連続して、以下のうち一つの皮下注射(0.1mL)により1日1回治療した:生理食塩液(対照)、6.3μg/kgナルトレキソン(「NTX」)または350μg/kg NTX(シグマ・ケミカルズ社、セントルイス、ミズーリ州)。第9日に、すべての動物を剖検し、そしてその結腸を切除した。
[0070] 剖検では、全結腸を切除し、長さを測定し、そして近位部および遠位部に二分割した。近位および遠位結腸を、RNA抽出および組織像のため、さらに分割した。各組織像標本を10%中性緩衝ホルマリン中に固定し、パラフィン包理を行い、そしてヘマトキシリンおよびエオシン(「H&E」)染色用に切片作製を行った。標本を顕微鏡学的に検査し、そして、Williamsらにより確立された基準に基づいて、治療群に対して盲検化された研究者によりスコア化した。Williamsら、「Enhanced survival and mucosal repair after dextran sodium sulfate-induced colitis in transgenic mice that overexpress growth hormone」、Gastroenterology 120, 925-37(2001年)。簡潔には、各マウスから得た代表的な縦断切片を、無作為の6区画につき、炎症重症度、炎症範囲(粘膜、粘膜下層、壁内)および腺窩損傷に関してスコア化した。これらのスコアのそれぞれを、切片全体の病変率を反映するように加重し、そして、6区画それぞれの加重されたスコアを平均して、各マウスの全体的な炎症スコアを得た。
[0071] 全RNAを、遠位結腸試料から抽出し(カリフォルニア州カールスバッドのインビトロジェンCorp.より入手可能なTRIZOL(登録商標)を用いて;TRIZOL(登録商標)は、オハイオ州シンシナティのモレキュラー・リサーチ・センターInc.の登録商標である)、そして、10Kマウスマイクロアレイ(MWGバイオテック社、ハイポイント、ノースカロライナ州)およびパッカード・バイオサイエンシズ・スキャンアレイ4000KLマシン(ペンシルバニア州立大学医学部研究資源部門の機能ゲノム学コア施設)を用いたマイクロアレイ解析にかけた。動物間の差異の影響を最小限にするため、個々のマウスから得たRNAを、各治療群内でプールした。アレイをデュプリケートで実行し、そして、大腸炎において、および続いて行ったナルトレキソン治療によって発現が有意に変化した(p<0.05)遺伝子を特定するために、三対比較を行った。正常+生理食塩液、DSS+6.3μg/kg NTX、およびDSS+350μg/kg NTXから得たRNAを、それぞれ、DSS+生理食塩液と比較検討した。データは、GenSpring 6ソフトウェア(アジレント・テクノロジーズ社、パロアルト、カリフォルニア州)を用いて解析した。
[0072] RNA(18Sおよび28Sバンド)を、アジレント2100バイオアナライザー(アジレント・テクノロジーズ社、サンタクララ、カリフォルニア州)を用いて視覚化し、そして、濃度を調整した。次いで、第一鎖cDNAを、ランダムなヘキサマープライマーおよびSuperScript III逆転写キット(インビトロジェン社)を用いて、1.0μgの全RNAから作製した。その結果得られたcDNAの濃度および質を、アジレント2100バイオアナライザーを用いて、またはナノドロップND−1000(ナノドロップ・テクノロジーズ社、ウィルミントン、デラウェア州)を用いて分光学的に、定量および分析した。試料を30ng/μLに標準化し、そして次いで、一試料につき60ngのcDNAを、SYBRグリーンマスターミックス(キアゲン社、ヴァレンシア、カリフォルニア州)を用いたリアルタイムPCR用鋳型として用いた。18S rRNAプライマー(ユーロジェンテック社、サンディエゴ、カリフォルニア州)、ならびにプライマーバンク(pga.mgh.harvard.edu/primerbank)から得た以下の遺伝子特異的プライマー配列を、用いた:β−アクチン、6671509a;IL−5、6754336a;IL6、13642311a;IL−12、6680395a;STAT3、13277852a;STAT4、6755670a;Muc2、3452503a2;TFF3、6755773a1;パラディン、9828173a1;および、TGF−β BP、7305243a1。ゲノムDNAの混入の可能性を排除するため、cDNA鋳型を加えない対照反応も、各遺伝子特異的プライマーセットについて行った。PCR増幅および解析を、相対定量化(ddCt)を用いたアプライド・バイオシステムズ・シークエンス検出システム7300を用いて行った。目的とする遺伝子の増幅データを、各個々の反応内で、18Sを基準に正規化した。反応をトリプリケートで行い、そして、複数回の実行により得られたデータを平均化した。
[0073] 結果は、平均±SEMとして計算した。統計比較を、NTX治療分群とそれに対応する生理食塩液対照との間で、ならびに、正常群とDSS群との間で、対応する治療を比較して、行った。パラメータ解析を、対照との多重比較を補正するための修正ボンフェローニ法を用いて行った(Minitab 13、ステートカレッジ、ペンシルバニア州)。
[0074] 9日間の試験過程にわたり、非処理飲用水を与えられた動物は、一定の体重増加を示した(図5A、上部パネル)が、DSSマウスは、第4〜6日に始まる体重減少を示した(図5A、下部パネル)。一定の体重減少は、DSSマウスにおいて、剖検時(第9日)まで続いた。ナルトレキソン治療により、体重減少は、DSS+生理食塩液と比較して少なくなる傾向にあったが;しかしながら、DSS+6.3μg/kg NTXマウスでのみ、第6日に統計学的有意に達した(p=0.02)。三つのDSS分群間で、動物に3日間DSSを与えなかった剖検時に、体重の有意差は明らかでなかった。
[0075] ナルトレキソン治療のみでは、食物消費量に対する影響はなかった(図5B)。しかしながら、DSSマウスでは、NTX治療の有無にかかわらず、総食物消費量が有意に減少した(図5Bおよび5C)。総水摂取量もまた、DSSマウスにおいて、通常の水を与えられたマウスと比較して低減した。正常マウス間では、6.3μg/kg NTXで治療されたものにおける水消費量の低減が、生理食塩液と比べて顕著であった(図5C)。図5Bおよび5Cでは、アステリスクは、対応するDSS治療群と正常(DSSなし)治療群との間の有意差値を示す(p<0.025;**p<0.005;n=7〜8)。生理食塩液治療マウスとNTX治療マウスとの有意差、†(p<0.025)により示す。
[0076] 疾患の進行をモニターするため、疾患活動性指数(「DAI」)を、各マウスについて毎日評価した。すべての正常マウス(生理食塩液およびNTX治療の双方)の修正DAIスコアは、大腸炎のエビデンスを示さなかった(図6、上部パネル)。体重減少と同様に、DSSマウスは、潜血陽性便およびDAIスコアの増加を含む大腸炎の症状を第4日まで発症し、これは第8日まで増加し続けた(図6、下部パネル)。これらのDAIスコアの低減は、ナルトレキソン治療により明白であった。第6日に、DSS+350μg/kg NTX動物のDAIスコアは、DSS+生理食塩液マウスよりも有意に低かった(55%)(p=0.015)。図6に、DSS+350μg/kg NTX治療マウスと対応するDSS+生理食塩液群との有意差を示す(† p<0.05;n=7〜8)。
[0077] DSS誘導大腸炎の別の指標である結腸の長さの低減もまた、全DSS動物において明白であった(正常+生理食塩液:9.32±0.39cm、平均±SEM;DSS+生理食塩液:6.95±0.43;p=0.002)。ナルトレキソンで治療されたDSSマウスの結腸は、非治療動物よりはなお短いものの、より正常な長さであった。
[0078] 遠位結腸の組織学的炎症スコアにより、DSSが炎症状態を誘導したことが確認される(図7A)。正常+生理食塩液と正常+NTX動物における結腸の炎症に差がみられないことは、組織学的に明らかであった。このことは、ナルトレキソンのみでは、結腸粘膜の完全性が変わらなかったことを示唆している。すべてのDSS動物では、炎症スコアが増加し、かつ、腺窩損傷および白血球浸潤の増加が示された(図7B)。しかしながら、DSS+NTX動物では、DSS+生理食塩液を与えられた動物と比較して低い炎症スコアであったことから明らかなように、炎症および損傷が用量依存的に減少した(図7A)。図7Aでは、アステリスクは、対応するDSSと正常(DSSなし)治療群との間の有意差値を示す(p<0.025;**p<0.005;n=7〜8)。この傾向は統計学的有意には達しなかったが、DSS+350μg/kg NTXマウスでは腺窩構造が改善され、そして、DSS+生理食塩液マウスで観察されたよりも、白血球の浸潤が少なかった(図7B)。図7Bに、遠位結腸の代表的なH&E切片を示す。健康なネズミ結腸(DSSなし+生理食塩液;上部)の正常な外観と比較して、白血球浸潤、および正常な腺窩構造の欠如が、DSS+生理食塩液マウスにおいて明白であった(中部)。構造の改善および炎症の低減が、350μg/kgのナルトレキソンで治療されたDSSマウスにおいて、明らかに認められた(図7Bの底部)。
[0079] 正常+生理食塩液、DSS+生理食塩液およびDSS+NTXマウス間での遠位結腸における遺伝子発現の差を、ネズミスポットオリゴヌクレオチドアレイを用いて、まず評価した。アレイ上の9800個の遺伝子のうち、506遺伝子を、正常+生理食塩液マウスと比較した場合に、DSS+生理食塩液マウスにおいて有意に変化しているものとして(p<0.05)まず特定した(データは示さず)。最も差次的に発現した遺伝子には、ムチン(Muc2)、トレフォイル因子(TFF3)およびTGF−β結合タンパク質があった。ナルトレキソン治療(6.3または350μg/kg)は、DSS動物におけるこれらのmRNAレベルを、様々な程度に回復させた。しかしながら、それに続く定量性RT−PCRによるバリデーションでは、DSS+生理食塩液およびDSS+NTX動物におけるこれら三つのmRNAレベルに、正常動物との有意差はなかった。
[0080] ナルトレキソンがDSSにより誘導される大腸炎の炎症組織像を低減させたため、サイトカイン類と下流メディエータの双方を含む目的とする複数の遺伝子の発現を、リアルタイムRT−PCRにより検討した。β−アクチン、サイトカインIL−5、IL−6、IL−12、ならびに転写因子STAT3およびSTAT4の発現を、内在性対照として18rS rRNAを用いて評価した。β−アクチンおよびIL−5の発現は、DSS+生理食塩液またはDSS+NTXのいずれによっても有意に変化しなかった(図8A)。対照的に、DSSにより誘導される大腸炎において亢進することが公知のサイトカインIL−6およびIL−12は、DSS+生理食塩液動物において、正常対照と比較して増加した(図8Bおよび8C)。IL−6 mRNAの増加は73倍であったが、IL−12の有意な増加はより控えめであった(3倍)。ナルトレキソンによる治療の結果、IL−6およびIL−12のレベルは、DSSマウスにおいて大幅に低減した。IL−12に関しては、ナルトレキソン治療によって、mRNA発現が、大腸炎でない正常マウスにおいてみられる程度にまで回復した。IL−6の低減もまた、そのレベルが大腸炎でない動物においてみられる程度にまでは完全に回復しなかったものの、有意であった。
[0081] 炎症促進性サイトカインであるIL−6およびIL−12のmRNAの発現の変化が結果として機能するかどうかを評価するため、下流シグナル伝達中間物のmRNAもまた、リアルタイムRT−PCRにより測定した。IL−6の下流にあるSTAT3とIL−12の下流にあるSTAT4の双方が、DSS+生理食塩液動物において増加し(それぞれ、2.20倍および8.03倍)、炎症促進性反応が誘導されていたことが、再度、示された(図8Bおよび8C)。しかしながら、STAT3とSTAT4双方のmRNAレベルは、ナルトレキソン治療後に50%を超えて減少した。実際に、ナルトレキソン治療動物におけるSTAT3 mRNAのレベルは、大腸炎でない正常対照と統計学的に区別がつかなかった。STAT4 mRNAレベルは、ナルトレキソン治療によって有意に低減したものの、正常マウスにおけるものよりも、なおわずかに高かった。
[0082] 図8において、ヒストグラムの柱は、各標準物質/標的対に対する相対量(RQ=2−DDCT)を表す。バーは、相対量周囲の95%信頼区間(CI)を表し、そして、有意性は、CIが重ならないことに基づく。(A)β−アクチンおよびサイトカインIL−5;(B)サイトカインIL−12およびその下流エフェクターSTAT4;ならびに、(C)サイトカインIL−6およびその下流エフェクターSTAT3の相対的RNAレベルによって、DSSにより誘導された炎症促進性メディエータの有意な上昇、ならびに、動物をナルトレキソンで治療した場合の正常レベルへの有意な回復が、明らかとなる。
[0083] 本試験は、オピオイドアンタゴニストによる治療によってネズミモデルにおける大腸炎が改善することを報告する、最初のものである。ナルトレキソン治療は、DSSマウスにおいて大腸炎症状の迅速な緩和をもたらしたが、大腸炎でない場合には、有意な影響を及ぼさなかった。生理食塩液またはナルトレキソンいずれかの注射前に、DSSを3日間投与して、治療に先立ち、確立された腸炎状態を模倣させた。飲用水にDSSを添加された動物は、有意な体重低下および大腸炎の症状を呈したが;しかしながら、350μg/kgのナルトレキソンによる治療3日以内に、体重低下と疾患症状の双方が減少した。炎症もまた、試験終了時に、組織像によって示されるように改善した。実際に、組織学的炎症スコアの差は、DSSがまだ投与されていた、より早期の時点に評価されたならば、より顕著であった可能性がある。第6日にDSSを休止したことで、部分的な回復が可能となって、潜在的にはより大きなナルトレキソン治療の有意性を緩和した可能性がある。
[0084] IBDの強固な炎症促進性反応の特性が、分子レベルにてさらに確認された。炎症促進性サイトカインIL−6およびIL−12の遺伝子発現の有意な上昇が、DSSにより観察された。分子的エビデンスによって、それに続くナルトレキソン治療がこれらの炎症促進性シグナル伝達経路に劇的な影響を及ぼして、DSSマウスにおけるIL−6およびIL−12の発現を正常もしくは正常に近いレベルにまで有意に減少させることも、示された。サイトカイン発現のこのような減少が、機能的であること、すなわち、下流のシグナル伝達分子であるSTAT3およびSTAT4の発現を低減させることも、判明した。免疫反応の過剰刺激を緩和し、そしてサイトカインレベルを回復させることによって、ナルトレキソン治療は、より正常な粘膜構造を再出現させた。このようにして、ナルトレキソン治療は、疾患の分子マーカーとDSSにより誘導される大腸炎の生理学的症状の双方の増加を、元に戻した。
[0085] 抗TNF−αモノクローナル抗体などの現在の療法が炎症促進性サイトカイン類を排除するように設計されていることから、これらの療法には、免疫抑制による感染リスクの増加がある。ヒト化モノクローナル抗体もまた、時間とともに有効性の減退を示し、かつ、重大な二次的合併症を有することから、長期使用への適切性が減少する。ナルトレキソンは、炎症促進性サイトカイン類を発現低下させるが、しかし排除はしないため、ナルトレキソン療法は、望ましくない副作用が現在使用されている剤よりも少ない可能性がある。加えて、経口投与に関してのナルトレキソンの汎用性は、患者のコンプライアンスにおける利点を示す。
[0086] 本発明を、好ましい実施態様に関して説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更を行ってもよく、そして、その要素を同等物に置き換えてもよいことが、当業者により理解されよう。加えて、特定の状況または材料を本発明の教示に適応させるために、多くの修飾を、その本質的な範囲から逸脱することなく行ってもよい。したがって、本発明は、本発明を実行するために企図される最善の方法として開示されるいかなる特定の実施態様にも制限されないが、しかし、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に分類されるすべての実施態様を含むことが、意図される。
図1は、ヒト患者におけるLDN療法に関連した、平均クローン病活動指数スコアを示す。 図2は、LDN療法に対する患者の反応率、および患者の寛解達成率を示す。 図3は、ヒト患者におけるLDN療法に関連した、平均炎症性腸疾患質問票スコア±SEMを示す。 図4は、ヒト患者におけるLDN療法に関連した、平均SF−36健康調査スコア±SEMを示す。 図5Aは、通常の飲用水(上部パネル)または飲用水中の2%DSS(下部パネル)のいずれかを与えられた実験動物の平均体重を示す。 図5Bは、DSS/NTX実験中の一動物あたりの総食物摂取量を示す。 図5Cは、試験過程にわたる一動物あたりの総水摂取量を示す。 図6は、ナルトレキソンで治療された実験動物における、1日毎の修正疾患活動指数スコアの低減を示す。 図7Aは、染色および評価の際の、遠位結腸の縦断切片の炎症の違いを示す。 図7Bは、遠位結腸の代表的な染色切片を示す。 図8は、対照マウス、治療されていない大腸炎を有するマウス、および大腸炎をナルトレキソンで治療したマウスの遠位結腸から得た全RNAのリアルタイムRT−PCR定量を示す。

Claims (23)

  1. 腸壁の炎症または潰瘍を特徴とする腸疾患の治療のための、低用量医薬組成物の調製におけるオピオイドアンタゴニストの使用。
  2. 腸壁の炎症または潰瘍を特徴とする腸疾患の治療における使用のための医薬組成物であって、低用量のオピオイドアンタゴニストを含んでなる前記医薬組成物。
  3. 腸疾患を治療するための方法であって、それを必要とする被験者に、当該被験者における腸疾患の治療に有効な低用量のオピオイドアンタゴニストを投与することを含んでなる、ここで、当該腸疾患が腸壁の炎症または潰瘍を特徴とする、前記方法。
  4. 前記腸疾患が、腹痛もしくは腹部不快感、異常排便頻度、腸狭窄もしくはフィステル形成、肛門周囲不快感もしくはそう痒症、または異常な便の硬さをさらに特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記腸疾患が、小腸もしくは結腸の炎症または潰瘍をさらに特徴とする、請求項3に記載の方法。
  6. 前記腸疾患が、フィステルの存在をさらに特徴とする、請求項3に記載の方法。
  7. 前記腸疾患が炎症性腸疾患(IBD)を特徴とする、請求項3に記載の方法。
  8. 前記腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎である、請求項3に記載の方法。
  9. 前記オピオイドアンタゴニストが、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナロキソン、オピオイドアンタゴニスト活性を有するその代謝物、医薬的に許容可能なその塩、そのプロドラッグ、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
  10. 前記オピオイドアンタゴニストが、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナロキソン、またはその塩酸塩である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記オピオイドアンタゴニストを、医薬組成物として供する、請求項3に記載の方法。
  12. 前記医薬組成物を、夕方または就寝時に1日1回投与する、請求項11に記載の方法。
  13. 前記医薬組成物を、朝または睡眠から目覚めた後に1日1回投与する、請求項11に記載の方法。
  14. 前記医薬組成物を、経口投与に適した固形剤形として処方物化する、請求項11に記載の方法。
  15. 前記固形剤形が、オピオイドアンタゴニストおよび賦形剤を含んでなる即効性処方物である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記賦形剤が、ショ糖、セルロース、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記医薬組成物を、局所投与に適した局所剤形として処方物化する、請求項11に記載の方法。
  18. 前記低用量が、約1.75mg〜約4.5mgの前記オピオイドアンタゴニストである、請求項3に記載の方法。
  19. 前記低用量が、約1.75mg〜約3mgの前記オピオイドアンタゴニストである、請求項3に記載の方法。
  20. 前記低用量医薬組成物を、経口投与に適した液体剤形として処方物化する、請求項11に記載の方法。
  21. 前記液体剤形が、オピオイドアンタゴニストおよび液体キャリアを含んでなる、請求項11に記載の方法。
  22. 前記液体キャリアが水を含んでなる、請求項11に記載の方法。
  23. クローン病または潰瘍性大腸炎を有するヒト被験者に、治療用医薬組成物を夕方または就寝時に1日1回経口投与することを含んでなる医薬治療方法であって、当該医薬組成物が、即効性の固形剤形中に約3mg〜約4.5mgのナルトレキソン、ナルメフェン、ナロキソンまたはその塩酸塩を含んでなる、前記方法。
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