JPH09503751A - 細胞毒性抱合体の単一起源性製剤 - Google Patents

細胞毒性抱合体の単一起源性製剤

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JPH09503751A JP7505960A JP50596095A JPH09503751A JP H09503751 A JPH09503751 A JP H09503751A JP 7505960 A JP7505960 A JP 7505960A JP 50596095 A JP50596095 A JP 50596095A JP H09503751 A JPH09503751 A JP H09503751A
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エー. ソスナウスキ,バーバラ
エー. ラピ,ダグラス
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プリズム ファーマシュティカルズ,インコーポレイティド
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Abstract

(57)【要約】 繊維芽細胞成長因子(FGF)と細胞毒性物質との抱合体の単一起源性製剤を提供する。その結果生じる単一起源性製剤の細胞毒性抱合体の実質的にすべてが、FGF受容体と反応するポリペプチドと同一モル比の細胞毒性物質を含有する。抱合体は化学的抱合により、さらに融合タンパク質を産生するよう抱合体をコードするDNAの発現によっても生成される。少なくとも1つの置換又は欠失された反応性システインを有するFGFを精製モノ誘導化サポリンと、又はシステイン残基の付加又はシステインによる残基の置換により一端又は一端付近で修飾されたサポリンと反応させることにより、化学的抱合体を調製する。その結果生じる製剤は、実質的に単一起源性である。融合タンパク質は、1つ又はそれ以上のあらゆる反応性システインが欠失又は置換されたFGFのムテインをコードするDNA構築物を発現することにより生成する。細胞毒性物質をコードするDNAとの結合も提供する。DNA構築物は宿主細胞内で発現されて細胞毒性FGF抱合体の単一起源性製剤を生成する。抱合体のFGF部分が修飾されていて反応に用いられるシステインがない態様では、その結果生じる組成物は集合体を含有しない。本明細書で提供される抱合体の単一起源性製剤はFGF受容体を保有する細胞に対する強力な殺細胞物質である。

Description

【発明の詳細な説明】 細胞毒性抱合体の単一起源性製剤 産業上の利用分野 本発明は細胞毒性抱合体の製造及び使用に関する。特に細胞毒性抱合体の実質 的単一起源性製剤、細胞毒性抱合体の均質組成物及びこのような細胞毒性抱合体 の製造方法が提供される。 発明の背景 薬理学の一目標は、標的細胞又は組織にのみ高特異的活性で作用する特異的薬 剤を設計することである。この目標は、例えば腫瘍性疾患及びウイルス起源の疾 患といったような疾患の治療のための薬剤の設計に特に重要であって、この場合 、毒性用量対治療用量の比は非常に低く、投与量は最小限にしなければならない 。この目標を達成するために多数のアプローチが開発されてきた。これらの例と しては、特異的細胞にのみ作用する成長因子のような薬剤の使用、及び細胞内に 供給されないかぎりは相対的に非毒性である毒素の使用が挙げられる。 繊維芽細胞成長因子及び繊維芽細胞成長因子受容体 この25年間、特定の細胞型の成長、増殖及び分化を刺激する因子の同定及び特 性表示に多大の注意が向けられてきた。多数の成長因子並びに構造的及び機能的 特徴を共有する成長因子の族が同定されている。これらの因子の多数が多機能活 性を有し、広範囲の細胞型に影響を及ぼす。 広範囲の活性を有する成長因子の一族が、繊維芽細胞成長因子(FGF)族で ある。この族のタンパク質としては、FGF−1〜F GF−9(又はそれぞれ酸性FGF(aFGF)、塩基性FGF(bFGF)、 int−2、hst−1/K−FGF、FGF−5、FGF−6/Hst−2、 ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF−8及びFGF−9)と呼ばれるF GFが挙げられる。これらのタンパク質はヘパリンと結合する能力を共有し、細 胞内受容体媒介チロシンリン酸化及びc−fos mRNA転写の発現を誘発し 、DNA合成及び細胞増殖を刺激する。 特性表示されたFGF族の最初の成員である酸性及び塩基性FGFは、アミノ 酸レベルで約55%同一で、種の間に高度に保存される。塩基性FGFは約16kDの 分子量を有し、酸及び温度感受性で、高等電点を有する。酸性FGFは、酸性等 電点を有する。FGF族の他の成員は、aFGF及びbFGFとのアミノ酸配列 相同性並びに1つ又はそれ以上のFGF受容体と結合する能力を含めた共通の物 理学的及び生物学的特性に基づいて、その後同定された。塩基性FGF、int −2,hst−1/K−FGF、FGF−5、hst−2/FGF−6及びFG F8は腫瘍遺伝子である。例えばbFGFは黒色腫で発現され、int−2は乳 癌ウイルスで発現され、hst−1/K−FGFは血管由来の腫瘍で発現される 。酸性FGF、bFGF、KGF及びFGF−9は、正常細胞及び組織で発現さ れる。 FGFは広範囲の間葉、内分泌及び神経細胞に有糸分裂誘発作用を及ぼす。そ れらは分化及び発生においても重要である。特に興味深いのは、側副血管新生及 び脈管形成に及ぼすそれらの刺激作用である。このような作用は、治療薬として の、例えば創傷治癒、血管新生、神経再生及び軟骨修復のための薬としてのFG Fにおける少なからぬ関心を刺激した。潜在的に有用な増殖作用の他に、FGF 誘発性有糸分裂誘発刺激は、いくつかの場合には有害なことがある 。例えば細胞増殖及び脈管形成は、腫瘍成長に欠くことのできない面である。b FGFを含めたFGF族の成員は、例えば腫瘍の発達、慢性関節リウマチ、増殖 性糖尿病性網膜症及び他の糖尿病合併症において病態生理学的役割を演じると考 えられる。 FGFの作用は、細胞表面膜又はFGF反応性細胞上で高親和性受容体チロシ ンキナーゼにより媒介される(例えばImamura et al.,(1988) Biochem.Biophys .Res.Comm.155:583-590; Huang et al.,(1986) J.Biol.Chem.261:9568-95 71参照。これらは参照により本明細書中に含まれる)。低親和性受容体もFGF 活性を媒介するに際してある役割を演じる。細胞型により110〜150kDの範囲の分 子量を有する一本鎖ポリペプチドである高親和性受容体タンパク質が、構造的に 関連したFGF受容体の一族を構成する。4つのFGF受容体遺伝子が同定され ており、これらの遺伝子の少なくとも2つが一次転写産物の代替的スプライシン グを経て多数のmRNA転写産物を生成する。 リボソーム不活化タンパク質 リシン、アブリン及びサポリンを含めたリボソーム不活化タンパク質(RIP )は、真核生物リボソームを触媒的に不活化する植物タンパク質である。いくつ かのRIP、例えば毒素であるアブリン及びリシンは2つの構成分鎖を含有する :即ち細胞表面受容体との結合を媒介し、分子を取り込む細胞結合鎖と;毒性の 原因となる鎖である。このようなRIPはII型RIPである。一本鎖RIP、 例えばサポリンは細胞結合鎖を有しない。その結果、取り込まれないかぎり、そ れらは2つの鎖を有するRIPよりも全細胞に対する毒性が実質的に低い。 RIPは、タンパク質合成のタンパク質延長工程を妨害することによりリボソ ームを不活化する。例えばRIPサポリン(以後SA Pと呼ぶ)は、ラット28SリボソームRNA(rRNA)における位置4324で のアデニンのn−グリコシド結合の切断により60Sリボソームを不活化するこ とが示されている。rRNAにおいてA4324が位置する特定領域は、原核及び真 核生物の間で高度に保存される。28SrRNAにおけるA4324は、大腸菌(E .coli)23SrRNAのA2660に対応する。いくつかのRIPがさらに例えば 大腸菌のような原核生物におけるタンパク質合成を妨害すると思われる。 植物 Saponaria officinalis(シャボンソウ)の種子及び葉から、いくつかの 構造的に関連したRIPが単離されている。これらの中で、SAP−6は最も活 性で且つ多量で、全種子タンパク質の7% に相当する。サポリンは非常に安定で 、高等電点を有し、炭水化物を含有せず、変性物質、例えばドデシル硫酸ナトリ ウム(SDS)、及び種々のプロテアーゼに耐性である。種子からのいくつかの サポリン−6アイソフォームのアミノ酸配列が公知であって、少数のアミノ酸残 基で異なるサポリンRIPの族であると考えられる。サポリンはI型RIPであ るため、それは細胞結合鎖を保有しない。したがって、全細胞に対するその毒性 は、他の毒素、例えばリシン及びアブリンよりもたいそう低い。しかしながら真 核細胞に取り込まれた場合は、その細胞毒性はリシンA鎖より100〜1000倍強力 である。 細胞毒性抱合体 細胞毒素、例えばサポリン及びリシンA鎖は、細胞表面結合タンパク質と共有 結合して細胞毒性化学抱合体を生成するか、又は抗体と結合して特異細胞に標的 にされてそれに取り込まれる免疫毒素を生成する。例えば塩基性繊維芽細胞成長 因子(bFGF)はサポリン−6と化学的に抱合してミトトキシンbFGF−S APを生成す る(例えば米国特許第5,191,067号(Lappi et al);及びLappi et al.(1989) Bioc hem.and Biophys.Res.Comm. 160:917-923参照)。その結果生じるFGF−S AP抱合体を用いて再狭窄(例えば、国際特許出願第WO 92/11872号(これは米 国特許出願第07/637,074号に基づいている)参照;さらに米国特許第5,308622号 参照)、及びその他のFGF媒介性疾患を治療した。治療は、例えばバルーン血 管形成術後に治療的有効量のFGF抱合体を局所又は静脈内投与することにより 実施する。塩基性FGF−SAP抱合体はさらにある主の腫瘍の治療のための薬 剤として期待されている。FGFと結合する受容体を発現する黒色腫又は他の腫 瘍の成長はFGF- SAPにより阻害される可能性がある(例えば公告済の国際 出願WO 92/04918号(これは1990年9 月19日提出の米国特許出願第07/585,319号 に基づいている);及びBeitz et al.(1992) Cancer Research 52:227-230 参 照)。 抱合体はしばしば、細胞毒性部分及び標的部分中に、リシンA鎖の場合のよう に、天然にいずれも見出される反応性スルフヒドリルを用いて合成される。存在 しない場合には、化学的共役を用いて細胞毒性物質中にスルフヒドリルを導入し て、抱合体が自然のままの又は利用できるスルフヒドリルを欠いた抗体に又はS APのようなRIPに適するようにする。しかしながら抱合の化学は種々の構造 物を生じ手、互いに分離するのが難しい生成物質の異種集団を生じる。これらの 構造物は標的部分に付着する1つより多いRIP、RIPに付着する1つより多 い標的部分、又は1つより多い標的部分に付着する1つより多いRIPを含有す る抱合体を含む。抱合体間の、特に抱合体中の遊離スルフヒドリル間の相互作用 のために、その結果生じる構造物はさらに集合体を形成する。その結果生じる異 なる構造物を有する抱合体を分離する場合に遭遇する困難のために 、実験には、そして治療に適用する場合でさえ、異種混合物がしばしば用いられ る。 例えば、システインを介してbFGFを、先ずN−スクシニミジル−3(2− ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)で誘導されるサポリンと抱合する 。塩基性FGFは、SPDP誘導化サポリンとの反応に利用できる少なくとも2 個のシステインを有する。したがってbFGFをSPDP誘導化SAPと反応さ せると、分子列を生じるが、これは恐らく生物学的関連特性に関して異なってい て、in vivo 適用には理想的でない。ゲル電気泳動及びウエスタンブロティング は、多数のより高い分子量の種が生成されることを立証する。この種はSAP対 FGF比が0.5、1、2及び他のオリゴマー的組合せを含む。異種集団の種々の 構成成分の相対的活性に関してはごくわずかの情報しかないが、しかしポリマー RIPが非特異的毒性を増大したことが報告されている。 有害な疾病状態を治療するための許容可能な製剤中へのFGF−SAP及び他 の細胞毒性物質を開発するためには、物理学的、化学的及び生物学的に十分特性 表示された単一起源性分子を有するのが望ましい。したがって、細胞毒性FGF 抱合体の単一起源性製剤の並びにFGF及び細胞毒素の抱合体を含有する均質組 成物の製造方法を提供することが本明細書における目的である。さらにこれらの 方法により調製されるFGF細胞毒性抱合体を提供することが本明細書の目的で ある。FGF細胞毒性抱合体の均質集団又は単一起源性細胞毒性抱合体の混合物 を含有する組成物を提供することも本発明の目的である。 本発明の要約 細胞毒性抱合体及び細胞毒性抱合体の均質(非凝集)集団を含有 する組成物の単一起源性製剤を提供する。細胞毒性抱合体は、細胞毒性物質と結 合するbFGFのようなFGF受容体(本明細書中ではFGFタンパク質とも呼 ばれる)と反応するポリペプチドを含有する。規定の製剤では、実質的にすべて の細胞毒性抱合体が同一比のFGF受容体と反応性のポリペプチド対細胞毒性物 質比を有する。好ましい態様において、細胞毒性抱合体は細胞毒性物質1モル当 たり1モルのFGFタンパク質を含有する。 FGF受容体(FGFタンパク質)と反応性のポリペプチドとしては、FGF 受容体を保有して結合細胞毒性物質の取込みを生じる細胞でFGF受容体と反応 するあらゆる分子が挙げられる。特に好ましいFGF受容体と反応性のポリペプ チドとしては、その結果生じるポリペプチドがFGF受容体と結合して、結合細 胞毒性物質を取込み、そしてFGFタンパク質を含有する細胞毒性抱合体のその 結果生じる製剤が単一起源性である限り(即ちこのような抱合体の製剤中の各抱 合体が同一モル比のFGFタンパク質対細胞毒性物質比を有する)において、ポ リペプチドのFGF族の成員、これらのポリペプチドのムテイン、並びにこれら のあらゆる族成員の部分を含有するキメラ又はハイブリッド分子が挙げられる。 細胞毒性物質としては、取り込まれた場合に、真核細胞に対して細胞毒性であ るあらゆる分子が挙げられる。このような細胞毒性物質としてはリボソーム不活 化タンパク質、DNA、RNA及び/又はタンパク質合成の阻害剤、並びに他の 代謝阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある態様では、細胞毒性物 質はリボソーム不活化タンパク質(RIP)、例えばサポリンであるが、しかし 他の細胞毒性物質を用いても有益である。 その結果生じる抱合体が化学的抱合体であるような化学的手段により、又はキ メラ分子をコードするDNAを用いて融合タンパク質 を生成して、製剤を製造し得る。DNAの発現により、あるいは化学合成又は当 業界で公知のあらゆる他の方法により、抱合体の成分を生成してもよい。 抱合体は次式: (FGF)n−(細胞毒性物質)m で表され、FGF及び細胞毒性物質は、その結果生じる抱合体がFGF受容体と 結合して、FGF受容体を保有する細胞中に細胞毒性物質を取り込む限りにおい て、あらゆる順序で、あらゆる適切な結合を介して結合し得ると理解される。F GFはFGF受容体と反応性のポリペプチドを指し、n及びmは、単一起源性製 剤においては整数であって、同一であっても異なってもよく、1〜6、好ましく は1〜4、一般的には1又は2であって、m又はn、あるいはm及びnが1より 大きい場合には、抱合体は1つより多い細胞毒性物質及び1つより多いFGFを 含有し得る。 細胞毒性物質と結合したFGFタンパク質の複数のモノマーを含有する細胞毒 性抱合体も提供される。数個の、一般的には2〜約6個のモノマーを含有するこ れらの抱合体は、単一プロモーター領域の転写制御下で、一般的には頭一尾のF GF融合タンパク質をコードするDNAの多数のコピーを結合させることにより 生成し得る。 細胞毒性抱合体の単一起源性製剤又はこのような抱合体の均質組成物を製造す るためには、本明細書で提供される方法によりFGF受容体と反応性のポリペプ チドと細胞毒性物質を結合させる。その結果生じる細胞毒性抱合体の製剤の各成 員は、同一モル比の細胞毒性物質対FGF受容体と反応性のポリペプチドを含有 する。一般的には、各抱合体は1分子の各構成成分を含有する。さらに、好まし い態様では、その結果生じる抱合体は集合体を形成しない。 サポリンを含めたしかしこれに限定されないリボソーム不活化タ ンパク質(RIP)のような細胞毒性物質及びFGFポリペプチド、並びに一定 モル比の各構成成分を含有する細胞毒性抱合体の単一起源性製剤の製造方法を提 供する。これらの方法としては、化学的抱合法、及び細胞毒性抱合体の組換え体 産生による方法が挙げられる。本方法により、好ましい態様において、単一起源 性細胞毒性抱合体の均質組成物を調製するために用いられる細胞毒性抱合体の単 一起源性製剤が生成される。 化学的方法は、いくつかの手段によって、その結果生じる細胞毒性抱合体の不 均質性を減じ、そして集合体形成を引き起こす抱合体間の相互作用を回避する。 好ましい態様では、抱合体のFGF部分を処理して、1個のシステインだけが細 胞毒性物質との反応に利用可能で、細胞毒性物質は、必要な場合には、誘導され て、単一種のみが修飾化FGFとの反応のために選択されるようにする。システ イン残基を含有するために細胞毒性物質を修飾してもよい。システイン残基の座 を選択して、システイン残基がFGFポリペプチド中で利用可能なシステインと の抱合に用いられて、その結果生じる抱合体が標的真核細胞に取り込まれた場合 に細胞毒性であるようにする。 本態様に従って、修飾サポリンが提供される。このような修飾としてはN末端 での又はN末端付近へのCys残基の導入が挙げられるが、これに限定されない 。Met−Cysの付加によるDNAのN末端コード部分でのシステイン残基の 付加により、サポリンを修飾する。サポリンはさらに、本明細書中では、野性型 残基の位置4又は10にシステインを挿入して修飾した。その結果生じたサポリ ンを次にFGF上で利用可能なシステインと反応させて、サポリン上に付加され たCys又はMet−Cysを介して結合される抱合体を生成する。 化学的方法を実施するに際しては、特定部位の突然変異誘発を用いて、bFG F中の反応性システインの1つを、結果的に生じる抱合体の細胞毒性を変えない 例えばセリンのような残基で置換し、細胞毒性物質との反応に用いられるシステ インを1個だけ残すことにより、化学的抱合体の不均質性を減じた。好ましい態 様では、細胞毒性物質は単一種の誘導化SAPである。SAPの誘導時に生じた 異なる誘導化SAP種間のわずかな電荷差のために、実質的に純粋なモノ誘導化 SAPを単離し得るということが、本明細書中で判明した。もの誘導化SAPと モノ反応性システイン塩基性FGFとの反応により、細胞毒性抱合体及びFGF 受容体保有細胞に対して高度に細胞毒性の抱合体の均質集団の単一起源性製剤が 生成された。他の態様においては、システイン残基を含有するためにN末端で又 はその付近でサポリンを修飾して、その結果生じる修飾化サポリンがさらに誘導 することなくFGFタンパク質と反応し得るようにする。 組換え体法は、集合体形成に関与するすべてのシステインを除去するために修 飾され、細胞毒性抱合体をコードするDNAに結合されるFGFタンパク質をコ ードするDNAの発現に依っている。FGFポリペプチドをコードするDNAを 突然変異原化して、システインが、他の抱合体との相互作用のためにその結果生 じる抱合体中で用いられないようにする。修飾化FGFタンパク質をコードする DNAをサポリンポリペプチドのN末端をコードするDNAに直接、あるいは1 つ、好ましくは2つ又はそれ以上のリンキングペプチド又はアミノ酸をコードす るコドンを介して、結合する。リンキングコドンの数は、その結果生じるDNA が選択された細胞に対して細胞毒性である融合タンパク質をコードするように選 択する。 修飾化FGFタンパク質と連鎖細胞毒性物質との組合せは、組換 え体DNA法を用いてキメラとして調製する。融合タンパク質分子は、抱合体の FGFタンパク質部分がそのそれぞれの細胞表面受容体の認識に用いられ、抱合 体をそのそれぞれの細胞表面受容体を含有する細胞に対する標的にし得るような 方法で意図され、生成される。好ましい態様では、FGFタンパク質は位置78 及び96でシステイン残基をセリン残基に置換することにより修飾したFGFで ある。 その結果生じる抱合体の単一起源性製剤及び本明細書に記載のあらゆる方法で 生成される抱合体の均質組成物を製薬組成物中に用いて、FGF受容体を有する 細胞を特異的に標的にして、細胞の増殖を阻害するか又は細胞死を引き起こして 、FGF媒介性病態生理学的症状を治療し得る。このような病態生理学的症状と しては、例えば腫瘍の発達、再狭窄、デュピュイトラン拘縮、糖尿病のある種の 合併症例えば増殖性糖尿病性網膜症、及び慢性関節リウマチが挙げられる。治療 は、例えば生理学的に許容可能な賦形剤中の治療的有効量のFGF抱合体を投与 することにより実施する。さらに、抱合体を用いて細胞毒性物質をFGF受容体 を有する細胞への標的にして、このような細胞の増殖を阻害することができる。 その結果生じる単一起源性FGF抱合体の製剤又は抱合体の均質組成物を抗腫 瘍剤、例えばシスプラチンといっしょに投与し得る。このような組合せ治療は、 FGF抱合体の抗腫瘍活性を増強する。特に、FGF細胞毒性抱合体といっしょ にシスプラチンを投与すると、FGF細胞毒性抱合体の抗腫瘍活性が増強される 。特に、増殖阻害量の細胞毒性抱合体及び細胞毒性量のシスプラチンを投与する ことにより(この場合、各々の量は細胞毒性抱合体及びシスプラチンの組合せが 腫瘍細胞を殺戮するか又はその成長を阻害するような量である)、FGF受容体 を保有する腫瘍細胞の増殖を阻害する方 法が提供される。 好ましい態様の詳細な説明 定義 別記しない限り、本明細書中で用いられる技術的及び科学的用語はすべて、本 明細書中の対象物が属する当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本 明細書中で言及したすべての米国特許及び全出版物は、その全記載内容が参照に より本明細書中に含まれるものとする。 本明細書中に見られる種々のアミノ酸配列で生じるアミノ酸は、それらの十分 公知の三文字又は一文字略語により同定される。種々のDNA断片で生じるヌク レオチドは、当業界で慣用的に用いられる標準単一文字名称で呼ばれる。 本明細書中で用いる場合、細胞毒性物質としてはサポリン、リシン、アブリン 及びその他のRIP、シュードモナス外毒素、DNA、RNA又はタンパク質合 成の阻害剤、又は当業者に公知の他の代謝阻害剤が挙げられる。サポリンが好ま しいが、他の適切なRIPとしてはリシン、リシンA鎖、トウモロコシRIP、 ゲロニン、ジフテリア毒素、ジフテリア毒素A鎖、トリコサンチン、トリチン、 アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質(PAP)、オシロイバナ抗ウイルス タンパク質(MAP)、Dianthins 32及び30、アブリン、モノルジン、ブリオジ ン、シガ、並びにその他の当業者に公知の物が挙げられる。RIPという用語は 、本明細書中ではこのような細胞毒素、並びに転写、翻訳、生合成又は分解経路 、DNA合成及び他のこのような工程を含めた細胞代謝工程を阻害する、あるい は細胞を殺戮する他の細胞毒素分子を広範に含めて用いられる。 本明細書中で用いる場合、サポリン(本明細書ではSAPと略す )は、天然植物宿主 Saponaria officinalis中に見出されるアミノ酸配列、並び にアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を有するが依然として本質的リボソーム 不活化活性を発現する修飾配列を有するポリペプチドを指す。サポリンの精製製 剤はしばしば、タンパク質の数個の分子的同形を含むことが観察される。アミノ 酸配列の差は異なる種からのサポリンで、並びに同一種の個々の生物からのサポ リン分子間で生じると理解される。 本明細書中で用いる場合、N末端延長は、サポリンポリペプチドの生物学的に 活性な部分のアミノ末端に連結するペプチド領域を指す。本明細書中で実証する ように、宿主細胞中でコーディングするDNAを発現させてサポリンを生成した 場合、それはN末端延長を伴って発現される。N末端延長は、サポリン含有タン パク質のサポリンポリペプチド部分を宿主中でのタンパク質の発現時に宿主に対 して非毒性にさせるか又はN末端延長を伴わないサポリンポリペプチドの発現よ りも宿主に対して実質的に低い毒性にさせるのに役立つ。2個という少数から多 数個までのアミノ酸を有するN末端延長が提供される。N末端延長の長さは、そ の結果生じる細胞毒性抱合体が細胞表面受容体と結合して、細胞毒性物質を取込 んでそして取込み時に細胞毒性であり、使用し得る限りは、重要でない。上限に 関する正確な数は、当業者に公知の、本明細書中に例示したような細胞毒性検定 を用いて、経験的に確定し得る。目下好ましいN末端延長領域は、約2〜15アミ ノ酸のオーダーである。最も好ましいN末端延長領域は、約2〜約10アミノ酸の 範囲である。 本明細書中で用いる場合、サポリンのような細胞毒性物質のN末端に実質的に 近い位置で行われる修飾は、一般的にはタンパク質の最初の約10残基内で実行さ れる。このような修飾としては、残基の付加又は欠失が挙げられ、例えばシステ インの付加はFGF受容体 と反応性のポリペプチド又はポリペプチドの断片間の抱合体又は細胞毒性部分が 、限定モル比、好ましくは1:1の細胞毒性物質対FGF受容体と反応性のポリ ペプチド又はポリペプチドの断片を含有する細胞毒性物質を生成するのを促す。 本明細書中で用いる場合、有糸分裂毒素はミトゲンにより特異的細胞を標的に する細胞毒性分子である。 本明細書中で用いる場合、細胞毒性物質という用語は、細胞機能を阻害し得る 分子を指す。その物質は細胞の増殖を阻害し、又は細胞に対して有毒である。本 用語は、細胞中に運搬される場合にのみ毒性作用が媒介される物質、及びその毒 性作用が細胞表面で媒介される物質を包含する。種々の細胞毒性物質を用い得る が、その例としては、タンパク質合成を阻害するもの、細胞の成長又は生存に不 可欠なある種の遺伝子の発現を阻害するものが含まれる。細胞毒性物質としては 、細胞死を引き起こすもの、並びに細胞の成長、増殖及び/又は分化を阻害する ものが挙げられる。 本明細書中で用いる場合、リガンドは、細胞表面タンパク質と結合し得る、そ して細胞中へのリガンド含有融合タンパク質の取込みを促進し得るあらゆるポリ ペプチドを指す。このようなリガンドとしては、成長因子、抗体又はその断片、 ホルモン、及び他の型のタンパク質が挙げられる。 本明細書中で用いる場合、”FGF受容体と反応性のポリペプチド”という用 語は、FGF受容体、好ましくは高親和性FGF受容体と特異的に相互作用し、 FGF受容体とのその相互作用によって細胞中に運搬されるあらゆるポリペプチ ドを指す。FGF受容体と反応性のポリペプチドはさらに本明細書中ではFGF タンパク質とも呼ばれる。FGFタンパク質としては、その結果生じるペプチド 又はタンパク質がFGF受容体と特異的に相互作用し、この相互作 用により取り込まれる限りは、FGF族のペプチドの成員、例えばFGF−1〜 FGF−9、任意のFGF−1〜FGF−9のキメラ又はハイブリッド、あるい はアミノ酸の欠失(例えば公告済の国際出願WO 90/02800、国内出願、及びそれ を基礎にした特許を参照)又は挿入を有するFGFが挙げられる。 本明細書中で用いる場合、FGFは、自然FGFタンパク質のアミノ酸配列を 有する、並びに自然タンパク質中のアミノ酸置換、欠失、挿入又は付加修飾配列 を有するがしかしFGF受容体と結合し、取り込まれる能力を保持するポリペプ チドを指す。このようなポリペプチドとしては、FGF−1〜FGF−9が挙げ られるが、これらに限定されない。例えばbFGFは一般的に、ウシbFGF又 はヒトbFGFあるいは酸性FGFと実質的に同じアミノ酸配列及び受容体標的 活性を有するポリペプチドを指す、と理解されるべきである。アミノ酸配列の差 は、異なる種のFGF間で、並びに個々の生物又は種からのFGF間で生じ、そ してすべてのFGFがすべてのFGF受容体亜型と結合する訳ではないと理解さ れる。FGFは少なくとも1つのFGF受容体と結合することが必要なだけであ る。 FGFについての言及は、天然供給源から単離されたタンパク質、並びに例え ば組換え法により、又はおそらくは化学的合成によって合成されたタンパク質を 包含するものとする。FGFはさらに、FGF受容体発現細胞に対してサポリン を標的にする能力を有するFGFのムテインを包含する。このようなムテインと しては、その結果生じるタンパク質がFGF保有細胞と結合する能力を有して、 結合した細胞毒性物質を取り込む限りにおいて、本明細書中に示すような1つ又 はそれ以上のシステインをセリンで置換することにより生成されるもの、あるい は欠失又は置換されたあらゆる他のアミ ノ酸を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。一般的には、このよ うなムテインは、例えば下記の表1に示すような保存性アミノ酸変化を有する。 このようなムテインをコードするDNAは、変性コドンの置換により修飾されな い限り、少なくとも低い緊縮性の条件下でbFGFをコードするDNA(配列番 号12及び13)と、又は配列番号24〜32に記載のあらゆるFGFをコード するDNAとハイブリダイズする。 本明細書中で用いる場合、FGFペプチド又はFGF受容体と反応性のポリペ プチドをコードするDNAは、このようなペプチドをコードすると本明細書に記 載されたあらゆるDNA断片、当業者に公知のあらゆるこのようなDNA断片、 FGF受容体と結合してそれにより取り込まれるFGFをコードし、前述のあら ゆるDNA断片をプローブとして用いてヒト細胞ライブラリーから単離し得るあ らゆるDNA断片、配列番号24〜32で記載されるあらゆるFGFペプチドを コードするあらゆるDNA断片(このようなDNA配列は公的にアクセス可能な データベースで利用可能である。例えばDNA*(1993年7 月、DNASTAR,Inc.M adison,WIからリリース;米国特許第4,956,455号、米国特許第5,126,323号、米 国特許第5,155,217号、米国特許第4,868,113号、公告済国際出願WO 90/08771( 及びその公布時の対応する米国特許)(これは1989年1 月31日提出の米国特許出 願第07/304,281号、及びMiyamoto et al.(1993) Mol.Cell.Biol.13:4251-425 9に基づいている)))、並びに変性コドンの置換により前述のあらゆるDNA 断片から生成され得るあらゆるDNA断片を指す。FGFペプチドのようなペプ チドの完全アミノ酸配列、及びこのようなペプチドをコードするあるDNA断片 が一旦当業者に利用されると、変性コドンを置換してこのようなペプチドをコー ドする考え得るあらゆるDNA断片を生成するの は慣例であると理解される。アミノ酸配列に基づいてこのようなペプチドをコー ドするDNAを合成することも一般的には可能である。 本明細書中で用いる場合、FGF受容体は、タンパク質のFGF族の成員と特 異的に相互作用してそれを細胞中に運搬する受容体を指す。これらの例としては 、国際出願WO 91/00916(これは米国特許出願第07/377,033号に基づいている) 、国際出願WO 92/00999(これは米国特許出願第07/549,587号に基づいている) 、国際出願WO90/05522、及び国際出願WO 90/12948に記載された受容体が挙げら れ、並びにImamura(1988) Biochem.Biophys.Res.Comm.155:583-590及びMosc atelli(1987) J.Cell.Physiol.131:123-130も参照さたい。 本明細書中で用いる場合、細胞毒性物質を標的にするとは、FGF受容体と反 応性のポリペプチドとその物質を結合させることにより選択された受容体を発現 する細胞にそれを向けることを意味する。受容体との結合に際して、サポリン含 有タンパク質は細胞に取り込まれ、細胞に対して細胞毒性である。 本明細書中で用いる場合、単一起源性抱合体の製剤とは、各抱合体が同一の、 一般的に約1:1の(必ずと言うわけではない)モル比の標的分子対標的化物質 を有する抱合体の製剤である。単一起源性抱合体は、それらが区別のつかない化 学的及び物理的特性を有するという点で実質的に同一であり、一般的にこのよう な抱合体の製剤は1種の抱合体のみを含有する。もちろん、種間にはなんらかの 変異性が存在し、抱合体の各成員の活性が実質的に同一である程度に耐容される と理解される。例えば、本明細書中に示すように細菌宿主中で発現されるサポリ ンは、N末端で異なる種の混合物を含有し得る。しかしながら、このような組換 えにより生成されたサポリ ンは、本明細書に記載の方法により化学的に抱合される抱合体を生成するのに用 いるのに適している。その結果生じる製剤は、ほんん明細書に記載されているよ うに単一起源性で、各抱合体は同一モル比のFGFタンパク質対標的化物質を含 有するが、しかし各抱合体は必ずしも同一でなく、しかし各抱合体が実質的に同 じ生物学的活性を有するという点で同一である。 本明細書中で使用する場合、抱合体の均質の集団又は組成物とは、集団又は組 成物の構成成員が単一起源性であってさらに集合体を形成しないことを意味する 。 本明細書中で使用する場合、分泌シグナルとは、宿主の細胞質からの前駆体タ ンパク質の細胞質周囲間隙中への又は細胞外成長培地中への分泌を指図する前駆 体タンパク質内のペプチド領域を指す。このようなシグナルは、前駆体タンパク 質のアミノ末端又はカルボキシ末端に存在する。好ましい分泌シグナルは、N末 端延長領域のアミノ末端と結合する。 本明細書中で用いる場合、ベクター又はプラスミドとは、異種DNAの発現の ためにあるいはクローン化異種DNAの置換のために細胞中に異種DNAを導入 するために用いられる別々の要素を指す。このようなベクター及びプラスミドの 選択及び使用は、十分、当業者のレベル内である。 本明細書中で用いる場合、発現ベクターは、このようなDNA断片の発現を実 行できる例えばプロモーター領域のような調節配列との有効連鎖において存在す るDNA断片を発現し得るベクターを包含する。したがって、発現ベクターとは 、組換え体DNA又はRNA構築物、例えばプラスミド、ファージ、組換え体ウ イルス、又は適切な宿主細胞中導入するとクローン化DNAの発現を引き起こす 他のベクターを指す。適切な発現ベクターは当業者には十分公知で あって、その例としては真核細胞及び/又は原核細胞中で複製可能なもの、並び に依然としてエピソーム性であるか又は宿主細胞ゲノムに組み込まれるものが挙 げられる。 本明細書中で用いる場合、プロモーター、エンハンサー、転写及び翻訳停止部 位のようなヌクレオチドの調節及びエフェクター配列、並びに他のシグナル部位 との異種DNAの有効連鎖又は有効会合とは、このようなDNAとヌクレオチド のこのような配列との間の機能的関係を指す。例えば異種DNAのプロモーター との有効連鎖とは、このようなDNAの転写が読取り枠内のDNAを特異的に認 識し、結合し、転写するRNAポリメラーゼによりプロモーターから開始される ようなDNA及びプロモーター間の物理的及び機能的関係を指す。 本明細書中で用いる場合、プロモーター領域とは、それが有効に結合されるD NAの転写を制御する遺伝子のDNAの部分を指す。プロモーター領域の一部分 は、RNAポリメラーゼ認識、結合及び転写開始に十分なDNAの特異的配列を 包含する。プロモーター領域のこの部分はプロモーターと呼ばれる。さらに、プ ロモーター領域は、RNAポリメラーゼのこの認識、結合及び転写開始活性を調 節する配列を包含する。これらの配列はシス作用性であるか又はトランス作用性 因子に反応する。プロモーターは、調節の性質によって、構成要素を成すか又は 調節される。本明細書中での使用に関しては、誘導プロモーターが好ましい。宿 主により発現されるRNAポリメラーゼによりプロモーターを認識する。RNA ポリメラーゼは宿主に対して内生的であるか、又は宿主中での遺伝子工学的処理 により、宿主染色体の一部として又はサポリン含有ポリペプチドをコードするD NAを含有するプラスミドを含めたエピソーム性要素上で導入される。本明細書 での使用に最も好ましいプロモーターは 、誘導がない場合には、サポリン含有タンパク質が発現されないようにしっかり 調節される。 本明細書中で用いる場合、転写終結領域は、(a)ポリアデニル化シグナル及 び転写体中のポリアデニル化部位をコードするサブセグメント、及び/又は(b )選定プロモーターを認識するポリメラーゼにより転写を終結する転写終結シグ ナルを提供するサブセグメントを有する。完全転写ターミネーターは、プロモー ターの供給源である遺伝子と同一であっても異なってもよいタンパク質コード遺 伝子から得られる。好ましい転写ターミネーター領域は、大腸菌中で機能的な領 域である。転写ターミネーターは本明細書中では発現系の任意の成分であるが、 好ましい態様においては用いられる。 本明細書中で用いる場合、トランスフェクションとは、宿主細胞によるDNA 又はRNAの取込みを指す。形質転換は、DNAが染色体外要素として又は宿主 の染色体DNAの一部として複製されるような方法で実行されるこの工程を指す 。トランスフェクション及び形質転換を実行するための方法及び手段は、当業者 には十分公知である(例えばWigler et al.(1979) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:1373-1376; Cohen et al.(1972) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:2110 参 照)。 本明細書中で用いる場合、生物学的に活性なという用語、あるいはサポリン含 有ポリペプチドの生物学的活性又はサポリン含有ポリペプチドの細胞毒性につい ての言及は、in vivo 又はin vitroでリボソームの不活化によりタンパク質合成 を阻害する、あるいは細胞によるサポリン含有ポリペプチドの取込み時に細胞の 成長を阻害するか又は細胞を殺戮するこのようなポリペプチドの能力を指す。好 ましい生物学的活性サポリンポリペプチドは、細胞に入った場合に真核細胞に対 して有毒であるものである。このような生物学的又は 細胞毒性活性は、当業者に公知のあらゆる方法により、例えばタンパク質合成を 測定するin vitro検定、及び細胞増殖又はタンパク質合成に及ぼす被験物質の作 用を測定することにより細胞毒性を検定するin vivo 検定により検定し得るが、 これらに限定されない。しかしながら特に好ましいのは、標的化細胞中の細胞毒 性を査定する検定である。 本明細書中で用いる場合、FGF媒介性病態生理学的症状とは、bFGF有糸 分裂刺激に感受性の細胞の増殖を特徴とするか又はそれにより引き起こされる有 害な症状を指す。塩基性FGF媒介性病態生理学的症状としては、ある種の腫瘍 、慢性関節リウマチ、再狭窄、デュピュイトラン拘縮及び糖尿病のある種の合併 症例えば増殖性網膜症が挙げられるが、これらに限定されない。 本明細書中で用いる場合、実質的に純粋なとは、当業者が用いる薄層クロマト グラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPL C)のような標準的方法により測定した場合に容易に検出可能な不純物が含有さ れないと思われるに十分に均質なという、あるいはさらに精製しても物質の酵素 活性及び生物学的活性といったような物理的及び化学的特性の変化が検出されな いほど十分に純粋なという意味である。実質的に化学的に純粋な化合物を生成す るための化合物の精製方法は、当業者には公知である。しかしながら実質的に化 学的に純粋な化合物は、立体異性体の混合物である。このような場合、さらに精 製すると化合物の特定の活性を増大し得る。 本明細書中で用いる場合、単離された実質的に純粋なDNAとは、当業者に用 いられる標準技法により精製されたDNA断片を指す(例えばManiatis et al.( 1982) Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laborato ry Press,Cold Spring Ha rbor,NY 及びSambrook et al.(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manua l, Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY 参照)。 本明細書中で用いる場合、特定緊縮条件下でハイブリダイズすることは、2つ の1本鎖DNA断片間に形成されるハイブリッドの安定性を説明するために用い られ、洗浄の場合より低い又はそれと等しい緊縮の条件下でのアニーリング後、 このようなハイブリッドを洗浄するイオン強度及び温度の条件を指す。一般的に は高、中及び低緊縮は以下の条件又はそれと等価の条件を包含する: 1)高緊縮: 0.1 x SSPE又はSSC,0.1% SDS,65 ℃。 2)中緊縮: 0.2 x SSPE又はSSC,0.l% SDS,50 ℃。 3)低緊縮: 0.1 x SSPE又はSSC,0.1% SDS,50 ℃。 等価条件とは、その結果生じるハイブリッド中での実質的に同一パーセンテージ の不適正を選択する条件を指す。ホルムアミド、フィコール、デンハートDenhar dt溶液といった成分の付加は、ハイブリダイゼーションが実施される温度及び反 応の速度といったパラメーターに影響を及ぼす。したがって20% ホルムアミド中 で42℃で5 xSSCでのハイブリダイゼーションは、低緊縮の条件下での上記ハ イブリダイゼーション条件と実質的に同じである。SSPE、SSC及びデンハ ートDenhardt溶液に関するレシピ並びに脱イオン化ホルムアミドの調製は、例え ばSambrook et al.(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spri ng Harbor Laboratory Press,Chapter 8 に記載されている(Sambrook et al. ,vol.3,p.B.13 参照。さらに一般に用いられる実験室溶液を記載した多数の 目録も参照)。SSPEはpH7.4 リン酸塩緩衝化0.18 NaClである。 本明細書中で用いる場合、発現とは、核酸がmRNAに転写され て、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質に翻訳される工程を指す。核酸がゲ ノムDNA由来である場合、発現は、適切な真核宿主細胞又は生物を選択すれば 、mRNAのスプライシングを包含し得る。 本明細書中で用いる場合、”培養”とは、それらの成長を伝導する培地中での 細胞の繁殖及びそのすべての継代培養を指す。”継代培養”という用語は、当該 継代培養及び供給源培養間で実施された継代培養回数には関係なく、別の培養( 供給源培養)の細胞から成長した細胞の培養、又は供給源培養のあらゆる継代培 養を指す。 本明細書中で用いる場合、核酸についての言及は、二本鎖DNA、一本鎖DN A、三本鎖、二本鎖又は一本鎖RNAを含めたあらゆる形態のRNA、アンチセ ンスRNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、一本鎖ヌクレオチド並び にその誘導体を包含する。 本明細書中で用いる場合、特定疾患の治療のための化合物の有効量とは、疾患 に関連した症状を改善する、又は何らかの方法で軽減するのに十分な量である。 このような量を1回投与量として投与し、あるいはレジメンにしたがって投与す れば、有効である。その量は疾患を治癒し得るが、しかし一般的には疾患の症状 を改善する為に投与する。症状の所望の改善を達成するためには、反復投与が必 要である。 本明細書中で用いる場合、抱合体の製薬上許容可能な塩、エステル又は他の誘 導体は、このような誘導のための公知の方法を用いて当業者により容易に調製さ れる、並びに実質的な毒性作用を伴わずに動物又はヒトに投与し得る、そして製 薬的に活性であるか又はプロドラッグである化合物を生成するあらゆる塩、エス テル又は誘導体を包含する。 本明細書中で用いる場合、プロドラッグは、in vivo投与した場 合に、生物学的、製薬的又は治療的に活性な形態の化合物に代謝されるか又は別 の方法で変換される化合物である。プロドラッグを生成するには、製薬的に活性 な化合物を修飾して、活性化合物が代謝工程により再生されるようにする。プロ ドラッグは、薬物の代謝安定性又は運搬特性を変え、副作用又は毒性を遮蔽し、 薬物の風味を改善するかあるいは薬物の他の特徴又は特性を変えるよう設計され る。In vivo の薬力学的工程及び薬物代謝の知識に基づいて、当業者は、一旦製 薬的に活性な化合物が分かれば、その化合物のプロドラッグを設計し得る(例え ばNorgrady(1985) Medical Chemistry A Biochemical Approach,Oxford Univer sity Press,New York,pages 388-392 参照)。 本明細書中で用いる場合、治療とは、状態、障害又は疾患の症状が改善される か又は別の方法で有益に変えられるあらゆる方法を意味する。治療はさらに、本 明細書の組成物のあらゆる製薬的使用を包含する。 本明細書中で用いる場合、特定の製薬組成物の投与による特定の障害の症状の 改善とは、恒久的であるか又は一時的か、継続的か一過性かにかかわらず、組成 物の投与が関与するか又は関連するあらゆる低減を指す。 本明細書中で用いる場合、ED50とは、一般的には72時間又は他の特定時間、 FGF−SAPのような毒素と一緒にインキュベーション後に、50% の細胞が殺 戮される濃度を指す。 本明細書中で用いる場合、ID50とは、処置細胞におけるタンパク質合成を、 タンパク質の非存在下でのタンパク質合成の50% まで阻害するのに要するサポリ ン含有タンパク質の濃度を指す。 A.ポリペプチド及び細胞毒性物質の調製 1.FGF受容体と反応性のポリペプチド 本明細書の方法には、FGF受容体と反応性のあらゆるポリペプチドを用い得 る。FGF−1〜FGF−9を含めたFGFペプチド族の成員が特に好ましい。 ポリペプチドの修飾は、当業者に公知のあらゆる手段により実施し得る。本発明 の好ましい方法は、ポリペプチドをコードするDNAの修飾及び修飾DNAの発 現に依る。 FGFポリペプチドをコードするDNAは単離され、合成されるか、あるいは 市販の供給源から得られる(FGF−1〜FGF−9のアミノ酸配列は配列番号 24〜32に記載されている;DNA配列はこれらのアミノ酸配列を基礎にする か又は当業者に公知のものである(例えばDNA(1993年7 月DNASTAR,Inc.Ma dison,WI からリリース)参照。さらに米国特許第4,956,455号、米国特許第5,1 26,323号、米国特許第5,155,217号、米国特許第4,868,113号、公告済国際出願WO 90/08771(及びその公布時の対応する米国特許第号)(これは1989年1 月31日 提出の米国特許出願第07/304,281号、及びMiyamoto et al.(1993) Mol.Cell.B iol.13:4251-4259に基づいている)参照))。酵母菌及び大腸菌における組換 え体bFGFの発現は、Barr et al.,J.Biol.Chem.263:16471-16478(1988) 、同時係属中の国際PCT出願PCT/US93/05702及び同時係属中の米国特許出願第 07/901,718号に記載されている。組換え体FGFタンパク質の発現は、本発明に 記載されているように実施し得る。FGFタンパク質をコードするDNAは、本 発明の方法の出発物質として用い得る。 突然変異は、タンパク質をコードするDNAの座位特異的又は特定部位の突然 変異誘発、並びにDNA鋳型における変化を誘発及び増幅するためにプライマー を用いるDNA増幅法の使用を含めた当業者に公知のあらゆる方法により実施し 得る。座位特異的突然変異誘発は一般的には、一本鎖及び二本鎖形態を有するフ ァージベクタ ー、例えば十分公知の市販されているM13ファージベクターを用いて実施し得 る。複製の一本鎖ファージオリジンを含有する他の適切なベクターを用いてもよ い(例えばVeira et al.(1987) Meth.Enzymol.15:3参照)。概して、特定部位 の突然変異誘発は、当該タンパク質(即ちFGF族の一成員又は細胞毒性分子、 例えばサポリン)をコードする一本鎖ベクターを調製することにより実施する。 一本鎖ベクター中のDNAと相同の領域内に所望の突然変異を含有するオリゴヌ クレオチドプライマーをベクターとアニーリングした後、DNAポリメラーゼ、 例えば大腸菌ポリメラーゼIクレノウ断片を付加するが、これはヘテロ二重鎖を 生成するためにプライマーとして二本鎖領域を用い、この場合、一本の鎖は変化 した配列をコードし、他の鎖は元の配列をコードする。ヘテロ二重鎖を適切な細 菌細胞に導入し、所望の突然変異を含有するクローンを選択する。その結果生じ る変化したDNA分子を適切な宿主細胞中で組換え的に発現させて、修飾タンパ ク質を生成する。 アミノ酸の適切な保存的置換は当業者には公知であって、一般的にその結果生 じる分子の生物学的活性を変えることなく作製される。概して、ポリペプチドの 非必須領域中の単一アミノ酸置換は生物学的活性を実質的に変えないことを、当 業者は認識している(例えばWatson et al.Molecular Biology of the Gene,4 th Edition,1987,The Bejacmin/Cummings Pub.co.,p.224参照)。 このような置換はおそらく、下記の表1に記載されたものによってなされるも のと思われる: 他の置換も可能であって、経験的に又は公知の保存的置換にしたがって確定し 得る。 2.細胞毒性物質 サポリン及び他のリボソーム不活化タンパク質(RIP)が、本発明で使用す るのに好ましい細胞毒性物質である。取り込まれた場合に細胞成長、細胞増殖又 は他の必須細胞機能を阻害するあらゆる細胞毒性物質が本発明に使用できる。こ のような細胞毒性物質は本 明細書に記載のRIPと機能的に等価であると考えられ、その例としてはサポリ ン、リシン、アブリン及び他のRIP、シュウドモナス外毒素、DNA、RNA 又はタンパク質合成の阻害剤、あるいは当業者に公知の他の代謝阻害剤が挙げら れるが、これらに限定されない。サポリンが好ましいが、しかし他の適切なRI Pとしてはリシン、リシンA鎖、トウモロコシRIP、ゲロニン、ジフテリア毒 素ジフテリア毒素A鎖、トリコサンチン、トリチン、アメリカヤマゴボウ抗ウイ ルスタンパク質(PAP)、オシロイバナ抗ウイルスタンパク質(MAP)、ジ アンチン Dianthin32及び30、アブリン、モノルジン、ブリオジン、シガ並 びに当業者に他の公知のものが挙げられるが、これらに限定されない(例えばBa rbieri et al.(1982) Cancer Surveys 1:489-520 及び公告済の欧州特許出願第 0466 222号(多数のRIP及びそれらの供給源のリストを提示する)(参照によ り本明細書中に含めるものとする)、さらに米国特許第5,248,608号(Walsh et al.)(これはトウモロコシからのRIPを提示する)参照)。 選択した細胞毒性物質は、必要な場合には、誘導して選択FGF上のシステイ ンと反応性の基を生成する。誘導により反応性種の混合物が生じた場合は、モノ 誘導化形態の細胞毒性物質を単離して、突然変異化FGFと抱合させる。 a.サポリン及びサポリンをコードするDNAの単離 本発明ではサポリンが好ましい。サポリンポリペプチドは、Saponaria offici nalis 又は関連種から単離されるサポリンのあらゆるアイソフォーム、あるいは 細胞毒性活性を保持する修飾化形態を包含する。特にこのような修飾化サポリン は、1つ又はそれ以上のアミノ酸を変えるか、あるいは1つ又はそれ以上のアミ ノ酸、例えばFGF又は他の細胞表面結合タンパク質との抱合を容易にするシス テインを欠失又は挿入することにより、タンパク質をコードするDNAを修飾す ることにより生成し得る(例えば国際PCT出願 PCT/US 93/05702(1993年6 月 14日提出)(米国特許出願第07/901,718号の一部継続である)参照;さらに同時 係属中の米国特許出願第07/885,242号(1992年5 月20日提出)及び1992年1 月15 日にイタリアで譲渡された特許第1231914号参照)。本発明に記載されているよ うなFGFと抱合する場合に、標準in vitro又はin vivo 検定において、本明細 書に記載のサポリン抱合体の少なくともおよその大きさの等級内で細胞毒性を示 すこのようなサポリン又はその一部分はすべて、本発明に使用し得るものとする 。 したがって、本発明で用いるSAPは、天然供給源から単離した、又は組換え 体発現により生成したあらゆるタンパク質を包含する(例えば同時係属中の国際 PCT出願PCT/US 93/05702(1993年6 月14日提出)(1992年6 月16日提出の米 国特許出願第07/901,718号の一部継続である)参照;さらに下記の実施例1参照 )。 SAP又はあらゆる細胞毒性物質をコードするDNAは、本発明の組換え法に 用い得る。細胞毒性物質がシステイン残基を含有しない場合には、この場合SA PをコードするDNAを選択すると、DNAは修飾されてシステインコドンを含 有する。コドンは、その結果生じるタンパク質の細胞毒性を低減しないか又はほ ぼ一等級未満の大きさだけ低減するあらゆる遺伝子座に挿入し得る。このような 遺伝子座は、タンパク質を修飾し、細胞無含有タンパク質合成検定のような検定 で細胞毒性に関してそれを試験することにより経験的に確定し得る。システイン 残基の挿入のためのSAPにおける好ましい遺伝子座は、N末端又はその近く( N末端の約10残基内)である。 b.サポリン含有ポリペプチドの発現のための宿主細胞 宿主生物としては、異種タンパク質の組換え体生成が実施されたことのある生 物、例えば細菌(例えば大腸菌)、酵母菌(例えばビール酵母菌 Saccharomyces cerevisiae及びPichia pastoris)、哺乳類細胞、昆虫細胞が挙げられるが、こ れらに限定されない。目下好ましい宿主生物は細菌株である。最も好ましい宿主 生物は大腸菌株である。 c.サポリンの組換え体生成方法 細胞毒性物質例えばサポリンタンパク質をコードするDNAを、選択した宿主 生物中でのポリペプチドの発現のために適切なプロモーターとの有効連鎖でプラ スミドに導入する。目下好ましいサポリンタンパク質は、Cys残基の付加によ りあるいはサポリンのアミノ−又はカルボキシル末端又はその付近で非必須残基 のCysによる置換によって修飾されたサポリン残基である。配列番号7のよう なサポリンは、N末端でのMet−Cys残基の挿入により修飾され、そしてそ れぞれ位置4及び10でのAsn又はIle残基の置換により修飾されている( 実施例4参照)。サポリンをコードするDNA断片はさらに、ペリプラズム又は 培地中に成熟ポリペプチドを向かわせるよう選択された宿主中で機能するタンパ ク質分泌シグナルを包含する。その結果生じるサポリンタンパク質は、当業界で 慣用的に用いられる方法、例えば本発明の実施例に記載の方法により精製し得る 。 適切な宿主細胞、好ましくは細菌細胞、さらに好ましくは大腸菌細胞の形質転 換方法、並びに異種タンパク質をコードする遺伝子を含有する上記の細胞を培養 するのに用いうる方法は、当業界で一般に公知である(例えばSambrook et al.( 1988) Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laborat ory Press,Cold Spring Harbor,NY 参照)。 あらゆる適切な方法、例えばプラスミド、ウイルス又は細菌ファージベクター を用いた形質転換、トランスフェクション、電気穿孔法、リポフェクション等( これらに限定されない)により、サポリンタンパク質をコードするDNA構築物 を宿主細胞に導入する。異種DNAは、任意にサポリン含有プラスミドの染色体 外保持を可能にする複製のオリジンのような配列を含み得るか、又は宿主のゲノ ムに組み込まれるよう意図される(宿主中の安定な保持を確かにするための代替 手段として)。 陽性形質転換は、DNA組込みの部位に関してはサザンブロット分析(Sambro ok et al.(1988) Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harb or Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)により、誘導プロモーター反応 性サポリン遺伝子発現に関してはノーザンブロットにより、そして細胞質、ペリ プラズム又は成長培地中のサポリン含有タンパク質の存在に関しては生成物分析 により特性化し得る。 サポリンコードDNA断片が一旦宿主細胞中に導入されれば、プロモーターが 誘導され、それにより有効に連鎖したDNAが転写される条件下に宿主細胞を置 くことにより、所望のサポリン含有タンパク質を生成し得る。好ましい態様では 、このような条件は、大腸菌lacオペロンからの発現を誘導するものである。 サポリン我宇タンパク質をコードするDNAを含有するプラスミドはさらに、プ ロモーター内にlacオベレーター(O)領域を包含し、lacリプレッサータ ンパク質をコードするlac遺伝子も含み得る(例えばMuller-Hill et al.(196 8) Proc.Nadtl.Acad.Sci USA 59:1259-12649参照)。lacリプレッサーは 、サポリン含有タンパク質をコードするDNAの転写を誘導するのに十分な量で のIPTGの付加により誘導されるまで、lacプロモーターからの発現を抑制 する。 したがって、大腸菌中でのサポリンの発現は、二段階工程で達成される。第一 段階では、形質転換化大腸菌細胞の培養を形質転換中のプラスミド内のサポリン 含有タンパク質の発現、好ましくは実施例4に記載されているようなサポリンの コード化がlacリプレッサーによって抑制されるような条件下で増殖させる。 この段階出は、細胞密度は増大する。最適密度に達すると、リプレッサーのオペ レーターとの結合を阻止し、それによりlacプロモーター及びサポリンコード DNAの転写を誘導するIPTGの付加により第二段階が開始する。 好ましい態様では、プロモーターはT7 RNAポリメラーゼプロモーターで あり、これをlacオペレーターと連結させると、大腸菌宿主株は、lacオペ レーター及びプロモーター、好ましくはlacUV5プロモーターと任意に連結 するT7 RNAポリメラーゼをコードするDNAを包含する。目下の好ましい プラスミドは、pET 11a(NOVAGEN,Madison,WI)で、これはT7 la cプロモーター、T7ターミネーター、誘導大腸菌lacオペレーター及びla cリプレッサー遺伝子を含有する。Hisカラム及びカラム上での精製後の切断 を可能にするトロンビン切断部位による精製に用いるためのHis−TagTMリ ーダー配列(配列番号36)、T7−lacプロモーター領域及びT7ターミネ ーターを含有するプラスミドpET15b(NOVAGEN,Madison,WI)を、サポリ ンの発現のために本発明で用いた。IPTGの付加は、T7RNAポリメラーゼ 及びT7プロモーター(T7RNAポリメラーゼにより認識される)の発現を誘 導する。 当業界で十分公知の適切な方法により、発酵器中で所望の表現型及び遺伝子型 を有する形質転換株を増殖させる。第一(又は成長) 段階では、発現宿主を、誘導条件を、好ましくはIPTGを欠いた限定最小培地 中で培養する。このような条件下で増殖させると、異種遺伝子発現が完全に抑制 され、異種タンパク質発現の非存在下で細胞塊が生成される。異種遺伝子発現の 抑制下手の増殖期間後、誘導物質、好ましくはIPTGを発酵ブロスに加え、そ れによりIPTG反応性プロモーター(lacオペレーターを含有するプロモー ター領域)と有効に連結したあらゆるDNAの発現を誘導する。この最終段階は 誘導段階である。 その結果生じるサポリン含有タンパク質は、当業界で慣用的に用いられる方法 により、例えば実施例1.E〜F及び2.Dに記載去れているような適切なアフ ィニティーカラム;硫酸アンモニウムによる沈殿;ゲル濾過;クロマトグラフィ ー分離用平床等電点電気泳動;ゲル電気泳動;高性能液体クロマトグラフィー( HPLC)等を用いて、他の発酵生成物から適切に単離し得る。サポリンの単離 方法は、実施例1で提供される(Lappi et al(1985) Biochem.Biophys.Res.C ommun.129:934-942 参照)。発現サポリンタンパク質は、細胞質、ペリプラズ ム、または細胞培地から単離する(下記のB.1.bの考察参照。並びに好まし い方法及びサポリンタンパク質に関しては例えば実施例4参照)。 3.FGFペプチド、細胞毒性物質及びFGFペプチド細胞毒性物質キメラの 発現のためのプラスミド DNA構築物を所望の宿主中での発現のためにプラスミドに導入する。好まし い態様では、宿主は細菌宿主である。プロモーター及びオペレーターのような調 節領域であるプラスミド中のヌクレオチドの配列は、サポリン含有タンパク質を コードするヌクレオチドの配列の転写のための別の配列に操作的に関連する。サ ポリン含有タンパク質をコードするヌクレオチドの配列は分泌シグナルをコード するDNAを含み、それによりその結果生じるペプチドはサポリンの前駆体であ る。その結果生じる処理済サポリンタンパク質は、その結果生じるタンパク質が 元のサポリンと同一であるように処理去れていない場合には、元のサポリンタン パク質の細胞毒性活性を保持し、ペリプラズム間隙又は発酵培地から回収される 。 好ましい態様では、DNAプラスミドはさらに転写ターミネーター配列を含有 する。プロモーター領域及び転写ターミネーターは、同一の又は異なる遺伝子か ら各々別々に選択される。 本発明で使用するプラスミドは、好ましくはサポリン含有タンパク質をコード するDNAと使用可能的に関連してプロモーターを包含し、細菌宿主中でのタン パク質の発現のために設計される。サポリンの発現のためにはしっかり調節でき るプロモーターが好ましいということが判明している。サポリン含有タンパク質 の発現に適したプロモーターは広範に利用され、当業界で十分公知である。調節 領域と結合する誘導プロモーター又は構成プロモーターが好ましい。このような プロモーターとしては、T7ファージプロモーター及び他のT7様ファージプロ モーター、例えばT3、T5及びSP6プロモーター、trp、lpp及びla cプロモーター例えば大腸菌からのlacUV5;バキュロウイルス/昆虫細胞 発現系のP10又は多面体遺伝子プロモーター、及び他の真核生物発現系からの 誘導プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。サポリン含有タンパ ク質の発現のために、このようなプロモーターをlacオペロンのような制御領 域と有効に連鎖してプラスミド中に挿入する。 好ましいプロモーター領域は、大腸菌中で誘導性及び機能的であるものである 。適切な誘導プロモーター及びプロモーター領域の例としては、イソプロピルβ −D−チオガラクトピラノシド(IPT G;例えばNakamura et al.(1979) Cell 18:1109-1117参照)に反応性の大腸菌 lacオペレーター;重金属(例えば亜鉛)誘導に反応性のメタロチオネインプ ロモーター金属調節エレメント(例えば米国特許第4,870,009号(Evans et al.) 参照);及びIPTGに反応性のファージT7lacプロモーター(例えば米国 特許第4,952,496号;及びStudier et al.(1990) Meth.Enzymol.185:60-89参照 )が挙げられるが、これらに限定されない。 プラスミドはさらに、好ましくは選択マーカー遺伝子又は宿主中で機能性の遺 伝子を含む。選択マーカー遺伝子は、形質転換細菌細胞が同定され、膨大な非形 質転換細胞中から選択的に増殖されるようにする細菌に表現型を賦与するあらゆ る遺伝子を含む。細菌宿主として適した選択マーカーは、例えばアンピシリン耐 性遺伝子(Amp’)、テトラサイクリン耐性遺伝子(Tc’)及びカナマイシ ン耐性遺伝子(Kan’)が挙げられる。目下はカナマイシン耐性遺伝子が好ま しい。 好ましいプラスミドはさらに、操作可能的サポリン含有タンパク質の分泌のた めのシグナルをコードするDNAを含む。使用に適した分泌シグナルは広範に利 用可能で、当業界で十分公知である。大腸菌中で機能性の原核生物及び真核生物 分泌シグナルを用い得る。目下好ましい分泌シグナルとしては、以下の大腸菌遺 伝子によりコードされるものが挙げられるが、これらに限定されない:ompA 、ompT、ompF、ompC、ベータラクタマーゼ及びアルカリ性ホスファ ターゼ等(von Heijne(1985) J.Mol.Biol.184:99-105)。さらに細菌pel B遺伝子分泌シグナル(Lei et al.(1987) J.Bacteriol.169:4379)、phoA 分泌シグナル及び昆虫細胞中で機能性のcek2を用い得る。最も好ましい分泌 シグナルは、大腸菌ompA分泌シグナルである。当業者に公知のその他の原核 生物及び真核生物分泌シグナルも用い得る(例えばvon Heijne(1985)J.Mol.B iol.184:99-105 参照)。本明細書に記載の方法を用いて、当業者は、酵母菌 、昆虫又は哺乳類細胞中でこれらの細胞からサポリン含有タンパク質を分泌する ために機能する分泌シグナルを置換し得る。 大腸菌細胞の形質転換に特に好ましいプラスミドは、pET発現ベクターを包 含する(米国特許第4,952,496号(NOVAGEN,Madison,WI)参照)。このようなプラ スミドとしては、pET 11a(T7lacプロモーター、T7ターミネータ ー、誘導大腸菌lacオペレーター及びlacリプレッサー遺伝子を含有);p ET 12a(T7プロモーター、T7ターミネーター及び大腸菌ompT分泌 シグナル含有);及びpET 15b(NOVAGEN,Madison,WI)(Hisカラム 及びカラム上での精製後の切断を可能にするトロンビン切断部位による精製に用 いるためのHis−TagTMリーダー配列(配列番号36)を含有)が挙げられ る。 他の好ましいプラスミドとしては、pKKプラスミド、特にpKK 223− 3(TACプロモーター含有)(Pharmaciaから入手;Brosius et al.(1984) Pr oc.,Natl.Acad.Sci.81:6929; Ausubel et al.,Current Protocols in Mole cular Biology;米国特許第5,122,463号、第5,173,403号、第5,187,153号、第5, 204,254号、第5,212,058号、第5,212,286号、第5,215,907号、第5,220,013号、 第5,223,483号及び第5,229,279号参照)(TACプロモーター含有)が挙げられ る。プラスミドpKKは、Scalでの消化によるアンピシリン耐性マーカー遺 伝子の崩壊、並びにEcoRI付着端を除去し、盲端を生成するためにHinc IIで切断したカナマイシン耐性カセット(Pharmaciaから購入;pUC4Kか ら得られた。例えばVieira et al.(1982) Gene 19:259-268;及び米国 特許第4,719,179号参照)の挿入により修飾された。バキュロウイルスベクター 、例えばpBlueBac(pjVETLとも呼ばれる。及びその誘導体)ベク ター、特にpBlueBacIII(例えば米国特許第5,278,050号、第5,244,8 05号、第5,243,041号、第5,242,687号、第5,266,317号、第4,745,051号及び第5, 169,784号参照;INVITROGEN,San Diegoから入手)は、昆虫細胞中でのポリペ プチドの発現のために用い得る。pBlueBacIIIベクターは二重プロモ ーターベクターであって、このプラスミドが昆虫認識ETLプロモーターの制御 下ではβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)を含有し、IPTGにより誘導 可能であるので、青色/白色スクリーニングによる組換え体の選択を提供する。 DNA構築物をバキュロウイルスベクターpBlueBacIII(INVITROGEN ,San Diego)に挿入して、昆虫細胞に野性型ウイルスを同時トランスフェクト した(sf9細胞;例えばLuckow et al.(1988) Bio/technology 6:47-55 及び 米国特許第4,745,051号参照)。 他のプラスミドとしては、pIN−IIIompAプラスミド(米国特許第4, 575,013号(Inouye)参照; Duffaud et al.(1987) Meth.Enz.153:492-507も参照 )、例えばpIN−IIIompA2が挙げられる。pIN−IIIompAプ ラスミドは、大腸菌のリポタンパク質由来の4つの機能性断片による読取り相で の転写発現のために連結される異種DNA(サポリン含有タンパク質をコードす るDNA)に対する挿入部位を含む。プラスミドはさらに、所望のポリペプチド がそのアミノ末端でompAシグナルペプチドにより発現され、それにより細胞 質膜を通して有効な分泌がなされるように位置する大腸菌のompA部分のシグ ナルペプチドをコードするDNA断片を含む。プラスミドはさらに、所望のポリ ペプチドの転写発現のために適正な配向で位置する大腸菌lacプロモーター− オペレーターの特異的セグメントをコードするDNA、並びにそれからの転写を 防止するためにlacオペロン誘導物質の非存在以下で、lacプロモーター− オペレーターと相互作用する関連リプレッサー分子をコードする別々の機能性大 腸菌lacI遺伝子を含む。所望のポリペプチドの発現は、リポタンパク質(l pp)プロモーター及びlacプロモーター−オペレーターの制御下にあるが、 しかしいずれかのプロモーターからの転写は通常はリプレッサー分子により遮断 される。リプレッサーは、誘導物質分子により選択的に不活性化され、それによ り両プロモーターからの所望のポリペプチドの転写発現を誘導する。 好ましい態様では、DNA断片は細菌細胞中で、好ましくは大腸菌中で複製さ れる。好ましいDNA断片はさらに、細菌の世代から世代へDNA断片を確実に 維持するための、複製の細菌オリジンを含む。この方法では、細菌中での複製に より大量のDNA断片が生成される。複製の好ましい細菌オリジンとしては複製 のfl−ori及びcolE1オリジンが挙げられるが、これらに限定されない 。好ましい宿主は、操作可能的に誘導プロモーター、例えばlacUVプロモー ターと連結するT7 RNAポリメラーゼをコードするDNAの染色体コピーを 含有する(米国特許第4,952,496号)。このような宿主としては溶原菌大腸菌株 HMS174(DE3)pLysS、BL21(DE3)pLysS、HMS1 74(DE3)及びBL21(DE3)が挙げられるが、これらに限定されない 。BL21(DE3)株が好ましい。pLys株は、T7 RNAポリメラーゼ の天然阻害剤であるT7リゾチームを低レベルで提供する。 提供されるDNA断片はさらに、リプレッサータンパク質をコードする遺伝子 を含有する。リプレッサータンパク質は、リプレッサ ータンパク質が結合するヌクレオチドの配列を含有するプロモーターの転写を抑 制し得る。プロモーターは、細胞の生理学的条件を変えることにより、脱抑制さ れる。変化は、例えばオペレーターと又は調節タンパク質又はDNAの他の領域 と相互作用する能力を阻害する分子の成長培地への付加により、あるいは成長培 地の温度を変えることにより達成される。好ましいリプレッサータンパク質とし てはIPTG誘導に反応性の大腸菌lacIリプレッサー、温度感受性c185 7リプレッサー等が挙げられるが、これらに限定されない。大腸菌lacIリプ レッサーが好ましい。 全長bFGF又はbFGFムテインをコードするDNAを成熟サポリンタンパ ク質をコードするDNAと結合させて、FGF−SAP融合タンパク質の、それ ぞれ細胞内及びペリプラズム発現のためのpET−11a及びpET−12a発 現ベクター(NOVAGEN,Madison,WI)を含めたpETベクターに導入した。その 結果生じる融合タンパク質は細胞活性を示し、化学的抱合化FGF−SAP製剤 と少なくとも同じ程強力であると思われる。その結果生じるbFGF融合タンパ ク質は、標的細胞に取り込まれた場合は、高細胞毒性である。 B.細胞毒性抱合体の単一起源製剤及び細胞毒性抱合体の均質集団の合成 細胞毒性FGF抱合体の組成物及び製剤の異質性の問題は、いくつかの方法で 本明細書で扱われている。第一の方法は化学的抱合体に依っており、第二の方法 は組換え体DNA技術に依る。本発明の方法は、bFGF及びSAPに関して記 載されている。しかしながら、同一方法を用いて、FGF族のあらゆる成員とS AP、主食SAP、又はあらゆる他の細胞毒性物質との抱合の均質集団を修飾及 び調製し得ると理解される。 1.化学的抱合体 本発明の化学的抱合を実行するために、FGFタンパク質を修飾し、次いで細 胞毒性物質と結合させた。細胞毒性物質がペプチド又はタンパク質以外、例えば 非ペプチド薬剤である場合には、化学的抱合を用いなければならない。 a.FGFタンパク質の選択 FGFタンパク質含有化学抱合体の製剤の不均質性を減じるために、不均質を 引き起こすFGF上の部位を欠失又は置換することによりFGFタンパク質を修 飾する。このような部位は、一般的には、タンパク質の折り畳みに際して、他の システインとの相互作用あるいはFGFペプチド1分子当たり1又はそれ以上の 細胞毒性分子との相互作用に依然として利用できるシステイン残基である。した がって、このようなシステイン残基は、FGFペプチドの適正な折り畳みに又は FGF受容体を結合して取り込む能力の保持に必要ないかなるシステイン残基も 含まない。化学的抱合に関しては、生理学的条件で相互作用に利用出来る1つの システイン残基は、それが細胞毒性部分を連結するための部位として用いられる ために、置換されない。その結果生じる修飾FGFを、単一種の細胞毒性抱合体 と抱合する。 FGF受容体と反応するあらゆるタンパク質が、本発明で用い得る。特にFG F−1〜FGF−9のすべてが、本発明で用いるために修飾され、又は細胞毒性 試薬と反応させて、その結果生じる抱合体が単一起源性となるようにする。FG F−1は、位置31、98及び132にシステインを有する;FGF−2は位置 34、78、96及び101にシステインを有する;FGF−3は位置50及び 115にシステインを有する;FGF−4は位置88及び155にシステインを 有する;FGF−5は位置19、93、160及び2 02にシステインを有する;FGF−6は位置80及び147にシステインを有 する;FGF−7は位置18、23、32、46、71、133及び137にシ ステインを有する;FGF−8は位置10、19、109及び127にシステイ ンを有する;そしてFGF−9は位置68及び134にシステインを有する。生 物学的活性の保持に不可欠であると思われる、そして欠失又は置換されるべきで ないFGF−1〜FGF−9の各々からのシステイン残基を以下に示す: FGFペプチドは下記のように修飾し得る。あるいはFGF受容体と結合する 能力への各システインの関与を経験的に確定する。各システイン残基は、保存性 アミノ酸変化(上記表1参照)と規則的に置換し得るか、又は欠失し得る。その 結果生じるムテインを欠くことのできない生物学的活性、FGF受容体と結合し 連結した細胞毒性部分を取り込む能力に関して試験する。ムテインがこの活性を 保持する場合には、システイン残基は必要でない。付加的システインを規則的に 欠失及び置換して、その結果生じるムテインを活性に関して試験する。この方法 では、FGF受容体と結合して取り込む 能力を保持するのに必要なシステインの最小数及び同一性を測定し得る。 各FGFペプチドに関しては、完全アミノ酸配列が公知である(例えば配列番 号24(FGF−1)及び配列番号26〜32(それぞれFGF−3〜FGF− 9)参照)。配列を調べ、システイン残基を同定する。FGF−1〜FGF−9 のアミノ酸配列間の比較により、1つのCysがFGF族のペプチド中に保存さ れることが明らかになる(表2参照)。これらのシステイン残基は二次構造に必 要であり変えられるべきである。これらの残基は置換されるべきではない。残り のシステイン残基は各々、セリン残基又はタンパク質の構造を変えると予測され ない他の残基により規則的に欠失及び/又は置換され得る。その結果生じるペプ チドを、生物学的活性に関して試験する。システイン残基が生物学的活性の保持 に必要な場合には、それは欠失されない;それが必要でない場合には、それは好 ましくはセリン又はその結果生じるタンパク質の二次構造を変えないように選択 される他の残基で置換される。 b.化学的抱合のためのFGFタンパク質の修飾 受容体結合には必要でないが適切に誘導された細胞毒性物質との反応に利用で きる1つ又はそれ以上の反応性システインを除去して、その結果生じるFGFタ ンパク質が細胞毒性物質との抱合に利用できるシステイン残基を1つだけ有する ようにして、FGF受容体と反応するポリペプチドを修飾する。他のシステイン 残基は除去し、好ましくはその結果生じる突然変異体FGFの生物学的活性を実 質的に変えないアミノ酸と置換する。次に、細胞毒性物質をFGF受容体を発現 する細胞に対する標的として、このような細胞中に細胞毒性物質を取り込む能力 の保持に関して、その結果生じた突然変異体FGFを試験する。増殖活性の保持 はこのような活性の保持を 示すが、しかし明確ではない。増殖活性は、例えば以下に例示するような副腎毛 細管内皮細胞の細胞数の増加を測定するといった、あらゆる適切な増殖検定によ り測定し得る。しかしながら、修飾化又は突然変異体FGFは増殖活性の減少を 示すか又は全く示さないことには留意すべきであるが、それらが結合細胞毒性物 質を未修飾FGFが結合し、細胞毒性部分の取込みを引き起こす受容体を保有す る細胞の標的にする能力を保持する場合には、本発明での使用に適している。 FGF−3、FGF−4及びFGF−6は化学的抱合のために2つだけシステ インを有するため、好ましくはいずれかの末端近くの別の残基がシステインと置 換されない限りは、2つのシステインはいずれも好ましくは欠失又は置換されな い。他のFGF族成員に関しては、少なくとも1つのシステイン、恐らくは2つ のシステイン、しかし少なくとも表2に記載のシステインは、依然として細胞毒 性抱合体との抱合に利用できなければならない。2番目のシステインは、ジスル フィド結合を形成する必要がある。したがって、3つ以上のシステインを有する あらゆるFGFペプチドが、他のシステイン残基を欠失又は置換することにより 化学的抱合のために修飾される。1つのシステインを除去することにより3つの システイン残基を有するFGFペプチドを修飾し、細胞毒性部分と抱合させて、 FGF受容体と結合して細胞毒性部分を取り込む能力に関して試験する。 本発明の方法に従って、化学的抱合のための塩基性FGFの2つのムテインが 生成された(抱合体の組換え体発現のためのムテインの調製を下記に示す)。p FC80(同時係属中の国際PCT出願PCT/US93/05702(米国特許出願第07/901 ,718号の一部継続である)参照;さらに配列番号12参照)から得られた塩基性 FGFをコ ードするDNAを突然変異化した。塩基性FGFのシステイン78のセリンへの (〔C78S〕FGF)、又はシステイン96のセリンへの(〔C96S〕FG F)突然変異誘発は、培養中の内皮細胞増殖を刺激する能力により判定した場合 、元の塩基性FGFのほとんど完全な増殖活性を有する2つの突然変異体を産生 した。2つの突然変異体及び元のタンパク質の活性は、効能又は最大反応により 査定した場合、有意に異ならない。修飾DNAの配列分析からは、突然変異体の 各々がセリンに関するコドンに変換されるシステインに関する1つのコドンを有 することが立証された。 その結果生じるムテインFGF又は未修飾FGFは、単一種の細胞毒性物質と 反応する。bFGFムテインは、単一種の誘導化サポリン(モノ誘導化サポリン )と反応し、それによりFGF−SAP抱合体の単一起源性製剤及びFGF−S AP化学抱合体の均質組成物を生じた。その結果生じる化学抱合体は凝集せず、 必要な生物学的活性を保持する。 c.サポリンの調製 (1)モノ誘導化SAPの単離 化学的抱合のために、SAPを誘導又は修飾して、それがFGFタンパク質と の抱合のためのシステイン残基を含むようにする。 一般的には、SPDPとの反応により、SAPを誘導する。これは異質集団を 生じる。例えば、SPDPによりSAPIモル当たり0.9 モルのピリジン−ジス ルフィドのレベルに誘導されるSAPは、非誘導化、モノ誘導化及びジ誘導化S APを包含する。SPDPによりひどく誘導されるリボソーム不活性化タンパク 質は、感受性リシンとの反応のために活性を失う(Lambert et al.(1988) Cance r Treat.Res.37:175-209)。非精製物質の製剤中の非誘導化SAPの量は判定 が難しく、これにより反応混合物に付加する誘導化S APの正確な割合を概算し得る場合に誤差を生じる。 SPDPのリシンとの反応による負電荷の除去のために、3つの種は電荷の差 を示す。本発明の方法は、モノS陽イオン交換クロマトグラフィーによるモノ誘 導化SAPの精製に関してこの電荷差に依っている。精製モノ誘導化SAPの使 用は、非精製物質よりも明らかに有益である。SAPと反応し得る塩基性FGF の量は、モノ誘導体物質につき1モルに限定され、それは、さらに均質の抱合体 が生成されるという本発明の結果に認められる。本発明に使用したモノ誘導化S APと異質性の供給源が依然として存在する。種子それ自体から精製されるよう な元のSAPは、タンパク質配列で判断した場合、4つのアイソフォームの混合 物である(例えば国際PCT出願PCT/US93/05702及び同時係属中の米国特許出願 第07/901,718号参照; Montecucchi et al.(1989) Int.J.Pept.Prot.Res.33 :263-267;Maras et al.(1990) Biochem.Internat.21:631-638; 及びBarra et al.(1991) Biothchnol.Appl.Biochem.13:48-53 参照)。SPDPとの反応 がおそらくは各々のアイソフォームと同等に起こるために、これは抱合体のなん らかの異質性を生じる。異質性のこの供給源は、例えば大腸菌中に発現されるS APの使用により克服し得る。 (2)サポリンの組換え体発現 本発明のDNAは、サポリンポリペプチドをコードするヌクレオチドの配列及 びサポリンのアミノ末端に連結するN末端延長配列を包含する。N末端延長は、 細菌宿主中にサポリンを発現させる。サポリンがFGFペプチドをコードするD NAに連結する場合には、N末端延長は必要ないが、しかしその結果生じるサポ リンペプチドが細胞毒性活性を保持する限りは、約1から20〜30までの、又は所 望によりそれ以上のアミノ酸残基を包含し、含有し得る。 適切なN末端延長領域は実質的に中性で、サポリンポリペプチドをそれが発現 される宿主に対して無毒性又は低毒性にする以外のあらゆる生物学的機能を欠い ている。N末端延長領域から作られる特異的アミノ酸は、サポリン含有タンパク 質をタンパク質の発現時に宿主に対して無毒性又は低毒性にさせるのに不可欠で あるとは思えない。 好ましい態様では、N末端延長領域は、タンパク質分解性シグナル配列の一般 的細胞内分解によるか又は座位特異的タンパク質分解プロセッシングにより、真 核生物細胞内プロテアーゼによる切断を受けやすく、したがって取込み時にサポ リン含有融合タンパク質のN末端領域は、単一断片サポリンタンパク質を生物学 的に活性にして細胞死を引き起こす細胞性真核生物プロテアーゼにより切断又は 分解される(例えば同時係属中の米国特許出願第08/ , , 号(本明細書と同 時に提出)参照)。 本発明のDNA分子は、位置48及び91のアミノ酸で異質性を有する4つの アイソフォームの全てを含めたサポリン−6(SO−6)と実質的に同じアミノ 酸配列及びリボソーム不活性化活性を有するサポリンをコードする(例えばMara s et al.(1990) Biochem.Internat.21:631-638; 及びBarra et al.(1991) Bio thchnol.Appl.Biochem.13:48-53並びに配列番号3〜7参照)。他の適切なサ ポリンポリペプチドとしては、SO−1及びSO−3(Fordham-Skelton et al. (1990) Mol.Gen.Genet.221:134-138)、SO−2(例えば米国特許出願第07/ 885,242号(英国特許第2,216,891号に対応する)参照;Fordham-Skelton et al. (1991) Mol.Gen.Genet.229:460-466も参照)、SO−4(例えば英国特許第2 ,194,241号参照; Lappi et al.(1985) Biochem.Biophys.Res.Commun.129:93 4-942参照)及びSO−5(例えば英国特許第2,194,241号参 照; Montecucchi et al.(1989) Int.J.Peptide Protein Res.33:263-267参照 )を含めたアイソフォームのサポリン型RIPをコードする多遺伝子族の他の成 員が挙げられる。0.1 M リン酸塩緩衝液,pH7で抽出し、その後ホウ酸ナトリウ ム緩衝液,pH9に対して上清を透析し、1〜0.3 M NaClの勾配及びSAP活 性を有する一次溶離クロマトグラフィー分画を用いて、負荷電イオン交換樹脂、 例えばMono S(Pharmacia Fine Chemicals,Sweden)から選択的に溶離すること により、配列番号33で示されるN末端40アミノ酸を包含するSO−4をSapo naria officinalisの葉から単離する。二次溶離分画はSO−5である。 本明細書中に例示したサポリンポリペプチドは、配列番号3〜7で示されるも のと実質的に同じアミノ酸配列を有するものを含む。 これらのタンパク質をコードするDNAの単離及び発現は、実施例1に記載する 。 (3)サポリンの修飾 SAP上の1つより多いアミノ基がスクシニミジル部分と反応し得るため、タ ンパク質表面上の1つより多いアミノ基が反応することができる。これはモノ誘 導化SAPにおける異質性の可能性を生じる。異質性のこの供給源は、上記のよ うにコード配列中に挿入された付加的システインを有する大腸菌中に発現される 抱合修飾化SAPにより解明された。 したがって、他の態様においては、サポリンを誘導してスルフヒドリルを導入 する代わりに、システイン残基をSAPに導入して修飾し、その結果生じる修飾 化サポリンタンパク質がFGFタンパク質と反応して真核細胞上でFGF受容体 と結合して、このような細胞に取り込まれた場合に細胞毒性である単一起源性細 胞毒性抱合体を生成するようにする。システイン残基の導入のための好ましい遺 伝子座としては、N末端領域、好ましくは細胞毒性物質、例えばSAPのN末端 から約1〜20残基内が挙げられる。本発明の細菌宿主系中でのSAPの発現のた めには、サポリンタンパク質のN末端をコードするDNAと連結するメチオニン をコードするDNAを付加することも望ましい。SAPをコードするDNAは、 成熟タンパク質の最初の残基に対するコドンのすぐ近くのN末端にMet−Cy SをコードするDNA(ATG TGT又はATG TGC)を挿入することに より修飾された。 システイン残基がN末端に付加されたムテイン、並びに位置4又は10のアミ ノ酸がシステインで置換されたムテインを、サポリンをコードするDNAを修飾 することにより調製した(実施例4参照)。結果的に生じるSAPの発現及び精 製に関して本明細書に記載したようにして、修飾化DNAを発現させ、その結果 生じるサポリンタンパク質を精製し得る。次に修飾化サポリンを修飾化FGFと 反応させて、FGF上の1回曝露システイン残基と修飾化SAP上のシステイン 残基との間にジスルフィド結合を形成する。 結果的に生じるSAPの発現及び精製に関して本明細書に記載したようにして 、修飾化DNAを発現させ、その結果生じるサポリンタンパク質を精製し得る。 次に修飾化サポリンを修飾化FGFと反応させて、FGF上の1回曝露システイ ン残基と修飾化SAP上のシステイン残基との間にジスルフィド結合を形成する 。 いずれかの方法(モノ誘導化SAPをFGFペプチドと反応させるか、又はc ys残基をSAPに導入する)を用いて、その結果生じるFGF−SAP化学抱 合体の製剤は単一起源性である;抱合体を含有する組成物は凝集物を含有しない と思われる。 異質性に関する上記の供給源も、下記のように細胞毒性物質をコードするDN Aと結合する修飾化FGFタンパク質をコードするD NAの発現により、融合タンパク質として細胞毒性抱合体を生成することにより 回避し得る。 2.修飾化FGFを含有する細胞毒性抱合体の組換え体産生 異質性の問題は、組換え体DNA技術を用いて融合タンパク質として抱合体を 調製することにより処理した。未反応システインを介してといったようにFGF 及び/又は標的化薬剤を修飾して各抱合体間の相互作用を阻止することにより、 融合タンパク質を含有する製剤をより均質にし得る。細胞毒性物質と結合するF GFタンパク質の融合をコードするDNAの発現により、細胞毒性抱合体の単一 起源製剤が生成された。しかしながらこのような集団は集合体を形成する。未反 応システインを介してといったようにFGF及び/又は細胞毒性物質を修飾して 各抱合体間の相互作用を阻止することにより、融合タンパク質を含有する製剤を より均質にさせた。FGF上のシステイン残基を欠失又は置換させたムテイン構 築物を調製することにより、集合体形成を排除した。位置78及び96のシステ インがセリンに置換されたbFGFを含有する細胞毒性抱合体を調製した。その 結果生じる細胞毒性抱合体の製剤は細胞毒性活性を保持し、単一起源性で、集合 体を含有しない。 a.抱合体の組換え体産生のためのムテインの調製 本発明の方法に用いる組換え体発現に関しては、生物学的活性に必要とされな いFGFペプチドのシステインのすべてを欠失又は置換させる;本発明の方法を 化学的抱合に用いるためには、細胞毒性物質との化学的抱合に用いられるこれら のシステインの1つを除いて全てを欠失又は置換させる。実際に、2つのシステ イン(表2に記載のシステイン残基の各々を含む)だけが、そしておそらくは表 2に記載のシステインだけが、FGFペプチドの必要な生物学的活性の保持のた めに必要とされる。したがって、残りのシステインを セリンで置換することにより、2つより多いシステインを有するFGFペプチド を修飾する。その結果生じるムテインを、必要な生物学的活性に関して試験する 。 表2には載せられていない第二のシステインを置換することにより2つのシス テインを有するFGF−3、FGF−4及びFGF−6のようなFGFペプチド を修飾し、その結果生じるムテインをFGFコードDNAと結合する細胞毒性物 質をコードするDNAを含有する構築物の一部として用い得る。適切な宿主中で 構築物を発現させて、その結果生じるタンパク質を、FGF受容体と結合し、細 胞毒性物質を取り込む能力に関して試験する。 以下に例示するように、Cys78及びCys96をセリン残基で置換したbFG Fムテインを含有する抱合体を調製した。その結果生じた抱合体は、野性型FG F成分を有する組換え体抱合体と少なくとも同じ活性で、且つFGFの化学的抱 合体と少なくとも同じ活性を示す。さらに組換え的に産生された抱合体は低毒性 で、したがって必要な場合には高用量で投与し得ると思われる。 b.DNA構築物及びDNA構築物の発現 組換え法を用いて細胞毒性抱合体の単一起源製剤を生成するために、FGFタ ンパク質をコードするDNAを修飾して、発現時に、その結果生じる融合タンパ ク質のFGF部分が反応に利用できるいかなるシステインも含まないようにする 。好ましい態様では、FGFポリペプチドをコードするDNAをサポリンポリペ プチドをコードするDNAと結合させる。翻訳停止コドン、並びに存在し得る他 の転写又は翻訳停止シグナルを除去するために、そして利用できるシステインを コードするDNAを除去又は置換するために、FGFポリペプチドをコードする DNAを修飾する。次にそのDNAをサポリンポリペプチドをコードするDNA と直接又はサポリンの最初 のコドンとFGFの最後のコドン間の1つ又はそれ以上のコドンのスペーサー領 域を介して結紮する。スペーサー領域の大きさは、その結果生じる抱合体が標的 細胞に取り込まれた場合に細胞毒性活性を示す限りは、いかなる長さでもよい。 目下、約1から約75〜90コドンまでのスペーサー領域が好ましい。 FGFペプチドをコードするDNA及び/又はアミノ酸配列FGFは、当業者 には公知である(例えば配列番号24〜32参照)。DNAは、FGFのアミノ 酸配列又は公知のDNA配列に基づいて合成的に調製し得るか、あるいは当業者 に公知の方法を用いて単離し得るか、あるいは市販の又は当業者に公知の他の供 給源から得られる。例えばペプチドのFGF族の事実上全てをコードするDNA が公知である。例えばヒトaFGF(Jaye et al.(1986) Science 233:541-545 )、ウシbFGF(Abraham et al.(1986) Science 233:545-548)、ヒトbFG F(Abraham et al.(1986) EMBO J.5:2523-2528; 及びAbraham et al.(1986) Q uant.Biol.51:657-668)、及びラットbFGF(Shimasaki et al.(1988) Bioch em.Biophys.Res.Comm.及びKurokawa et al.(1988) Nucleic Acid Res.16:5 201参照)、FGF−3、FGF−7及びFGF−9が公知である(米国特許第5 ,155,214号、米国特許第4,956,455号、米国特許第5,026,839号及び米国特許第4, 994,559号、DNASTARデータベース並びに上記及び下記の参考文献参照)。ウシ下 垂体組織から単離した適例の哺乳類bFGFのアミノ酸配列も公知である(例え ばEsch et al.(1985) Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:6507-6511; 及び米国特 許第4,956,455号参照)。 単離哺乳類塩基性FGFタンパク質は、一般的には約16kDの分子量及び約9.6 のplを有する146残基ポリペプチドである:それは約9残基のアミノ末端延長 により発現されて、その結果生じるタ ンパク質が約18kDの分子量を有するようになる。 次に標準的方法を用いてこのようなDNAに突然変異原を与えて、上記のよう に集合体形成に関与するあらゆるシステイン残基を欠失し又は欠失及び置換する 。必要な場合には、集合体形成に関与するシステイン残基の同一性を、システイ ン残基を欠失し、及び/又は欠失及び置換して、その結果生じる置換システイン を有するFGFが生理学的に許容可能な緩衝液及び塩を含有する溶液中に集合体 を形成するか否かを確かめることにより、経験的に確認する。 上記のように、塩基性FGF(bFGF)及び酸性FGF(aFGF)のほか にHST、INT/2、FGF−5、FGF−6、KGF(FGF−7)、FG F−8及びFGF−9(例えばBaird et al.(1989) Brit.Med.Bull 45:438-45 2; Tanaka et al.(1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8928-8932; Miyamoto et al.(1993)Mol.Cell.Biol.13:4251-4259参照、さらにFGF族のDNA 及びアミノ酸配列に関してはデータベースDNA*(1993年7 月DNASTAR,Inc.Ma dison,WIからリリース)参照;FGF-1〜FGF-9のアミノ酸配列に関しては、 それぞれ配列番号24〜32参照)を含めたあらゆるFGFタンパク質を、本発 明の方法により修飾及び発現し得る。FGFタンパク質はすべて、広範な正常二 倍体中胚葉由来及び神経陵由来細胞における有糸分裂活性を誘導し、この活性は FGF細胞表面受容体との結合及びその後の取込みにより媒介される。FGF受 容体との結合及びその後の取込みは、本発明に用いるのに適したFGFタンパク 質に必要な活性である。FGF受容体と結合し、取り込まれる能力を反映するこ のような”FGF有糸分裂活性”の試験は、Gospodarowicz et al.(1982) J.Bi ol.Chem.257:12266-12278; Gospodarowicz et al.(1976) Proc.Natl.Acad.S ci.USA 73:4120-4124に記載されているような培養ウシ大動脈 内皮細胞の増殖を刺激する能力である。 その結果生じる修飾FGF−SAPをコードするDNAを上記のようにプラス ミドに挿入して選択宿主中で発現させて、FGF−SAPの単一起源製剤及び単 一起源性FGF−SAPを含有する均質組成物を生成し得る。 修飾化FGF−SAPキメラ又は修飾化FGF−細胞毒性物質キメラの多数の コピーを、一プロモーターと有効に連鎖させて単一プラスミドに挿入し得る。発 現した場合、その結果生じるタンパク質は多重結合体である。一般的には、キメ ラの2〜6個のコピーを、好ましくは頭一尾方式で、一プラスミドに挿入する。 配列番号12を有するヒトbFGF−SAPをコードするDNAを、重複延長 (SOE)によるスプライシングを用いて実施例に記載されているように突然変 異を起こさせた。別の好ましいコード領域は、配列番号13のヌクレオチド1〜 465に示される。いずれの場合も、好ましい態様においては、位置78及び9 6のシステインをセリンで置換することによりDNAを修飾する。FGF−SA PコードDNA(配列番号12)中のFGFの位置78及び96のシステイン残 基をコードするコドンを、SOEによりセリンコドンに変換した。SOE法の各 適用には、プライマーとしての相補端を有し、突然変異体が所望の遺伝子座に変 化したコドンを包含してハイブリッド生成物を生じる2つの増幅オリゴヌクレオ チド生成物を使用する。非重複末端でアニーリングする2つのプライマーを用い る二次増幅反応は、ハイブリッドを増幅して、所望の変化を有するDNAを生成 する。 C.結果的に生じる化学的抱合体及び融合タンパク質の特性及び使用 化学的抱合、組換え体DNA技術、又は組換え体発現と化学的抱 合の組合せのいずれかにより、細胞毒性抱合体物質を調製し得る。本発明の方法 は、特にbFGF及びサポリンに言及する。しかしながら、同一方法を用いてS AP、修飾SAP、又は本明細書に記載のあらゆる他の細胞毒性物質を有するF GFのあらゆる成員の抱合体を調製及び使用し得ると理解される。 上記及び実施例の方法及び材料を用いて、化学的抱合体及び融合タンパク質を 合成した。これらは以下の構築物を包含する: 構築物の合成についての特定の詳細は、実施例に記載する。上記の構築物が合 成され、プラスミド、例えばpET11(T7転写タ ーミネーターを伴う場合及び伴わない場合)、pET12及びpET15(NOVA GEN,Madison,WI)、λpPL並びにpKK223−3(PHARMACIA,P.L.)及 びpKK223−3の誘導体中に挿入した、あるいは挿入し得る。その結果生じ るプラスミドを、細菌宿主、例えばBL21、BL231(DE3)+pLYS S、HMS175(DE3)、HMS175(DE3)+pLYS S(NOVA GEN,Madison,WI)及びN4830(c1857)中に形質転換した、あるいは し得る(Gottesman et al.(1980) J .Mol.Bol.140:57-75 参照。PL Biochemi cals,Incから市販。さらに例えば米国特許第5,266,465号、第5,260,223号、第5 ,256,769号、第5,256,769号、第5,252,725号、第5,250,296号、第5,244,797号、 第5,236,828号、第5,234,829号、第5,229,273号、第4,798,886号、第4,849,350 号、第4,820,631号及び第4,780,313号参照)。enu4830は、突然変異体c 1857温度感受性リプレッサーを保有する重度欠失ファージラムダプロファー ジ及び活性N遺伝子を有する。 D.FGF抱合体の治療的使用 マウス異種移植腫瘍モデルは、FGF抱合体が抗腫瘍活性を示す ことを立証する。確立されたSK−Mel−5異種移植を有するマウスに、野性 型bFGF−SAP抱合体(総用量125μg/kg)を4週間に亘って毎週静注する と、平均腫瘍容積が対照容積の49% になった。シスプラチン(FGF−SAP 治療後に5mg/kgを週1回腹腔内投与)を包含するよう毎週のレジメンを修正す ると、60日目の平均腫瘍容積が対照の23% になった。組合せ治療は、処置マウス の10% で腫瘍の完全緩解を引き起こした。 本発明で生成される抱合体をこのようなマウスに注射すると、化学的抱合体の 異質性製剤より低毒性であると思われる。本発明で提供される抱合体のあるもの は、このようなマウスにおいて抗腫瘍活性を示すことが分かった。 特に5μg/kg/週のFPFSI及びCCFSIを、確立されたHT−119 7(ヒト膀胱癌細胞株)異種移植を有するマウスに投与した。各治療は、61日の 試験を通じて腫瘍増殖の有意の阻害を生じた。別の試験では、0.1又は0.5μg/ kg/週のFPFS1を、0.5mg/kgのシスプラチンを含有する場合としない場合と で、確立されたヒト前立腺癌細胞腫瘍を有するマウスに投与する。 本発明の化学的抱合体及び融合タンパク質bFGF−SAPも再狭窄の治療に 用い得る。FGF抱合体は、再狭窄のウサギバルーン損傷モデルにおける平滑筋 に抗増殖作用を及ぼす(米国特許第5,308,622号(承認済の米国特許出願第07/91 5,056号(再狭窄の治療のためのFGF−細胞毒性抱合体の使用を記載)に基づ いている)参照)。 E.製薬組成物の処方及び投与 本発明の抱合体を局所、限局、静脈内及び全身投与に適した製薬組成物中に処 方し得る。有効濃度の1つ又はそれ以上の抱合体を適切な製薬担体又はビヒクル と混合する。有効である抱合体の濃度及 び量は、投与した場合に、症状を改善し又は疾患を治療する量の供給を必要とす る。一般的には、組成物は1回投与量投与用に処方する。治療的に有効な濃度及 び量は、本明細書に記載したような公知のin vitro及びin vivo 系で抱合体を試 験することにより、経験的に確定し得る;その後ヒト又は他の動物用の投与量を それから推定する。 抱合体にビヒクルを混合又は付加すると、その結果生じる混合物は溶液、懸濁 液、乳濁液等である。その結果生じる混合物の形態は、意図される投与様式、及 び選択される担体又はビヒクル中の抱合体の溶解度を含めた多数の因子に依って いる。有効濃度は、処置される疾患、障害又は状態の症状を改善するのに十分で あり、マウス異種移植モデルからのデータのようなin vitro及び/又はin vivo データに基づいて経験的に確定し得るし、必要な場合には抱合体の製薬上許容可 能な塩又は他の誘導体を調製し得る。 本発明の抱合体の投与に適した製薬担体又はビヒクルとしては、特定の様式の 投与に適していることが当業者に公知のあらゆる担体が挙げられる。さらに抱合 体は、組成物中の単独の製薬上活性な成分として処方し得るし、あるいは他の活 性成分と組合せてもよい。 抱合体は、あらゆる適切な経路で、例えば経口的に、非経口的に、静脈内に、 皮内に、皮下に、又は局所的に、液体、半液体又は固体形態で投与し得るし、各 投与経路に適した方法で処方し得る。好ましい投与様式は、処置される適応症に 依る。皮膚科学的及び眼科学的適応症は一般的には限局的に処置する;一方腫瘍 及び再狭窄は、一般的には全身性、皮内又は筋肉内投与で治療する。 抱合体は、処置される患者に望ましくない副作用を及ぼさずに治療的に有用な 作用を発揮するのに十分な量で製薬上許容可能な担体中に含まれる。副作用の数 及び程度は、抱合体が投与される条件に 依ると理解される。例えば、ある種の有毒且つ望ましくない副作用は、あまり重 大でない障害を治療する場合には耐容されないが、例えば癌のような生命を脅か す疾病を治療する場合には耐容される。 組成物中の抱合体の濃度は、その吸収、不活性化及び排泄率、投与スケジュー ル、及び投与される量、並びに当業者に公知の他の因子に依っている。 一般的には、治療的有効投与量は、活性成分の血清濃度を約0.1ng/mlから約50 〜100μg/mlにする。製薬組成物は一般的には、選択された抱合体/体重1kg/ 日によって、約0.01mgから約100〜200mgの投与量の抱合体を提供する必要がある 。例えば再狭窄の治療のためには、1日の投与量は約0.05〜0.5mg/kg(FGF− SAP化学的抱合体又はモルベースでそれと等価の本発明の抱合体の量に基づい て)で十分である。投与物の量は、選択される抱合体、治療される適応症及び耐 容される可能性のある副作用の一関数であると理解される。 活性成分は1度に投与してもよいし、又は少量に分けて間隔を置いて投与して もよい。正確な投与量及び治療期間は治療中の疾患の一関数であり、公知の試験 プロトコールを用いてあるいはin vivo又はin vitro試験データからの推定によ り経験的に確定し得る、と理解される。濃度及び投与量の値は、軽減される状態 の重症度に伴って変化するということに留意すべきである。さらに、あらゆる特 定の被験者に関しては、個々の必要性及び組成物の投与を実行又は指示する人の 専門的判断に依って特定の投与レジメンを調整する必要があるし、本明細書に記 載した濃度範囲は例示に過ぎず、特許請求組成物の範囲又は実行を限定するもの ではないと理解される。 非経口的、皮内、皮下又は局所適用に用いられる溶液又は懸濁液は、任意の以 下の成分を含む:滅菌希釈液、例えば注射用水、食塩 溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又 は他の合成溶剤;抗菌剤、例えばベンジルアルコール及びメチルパラベン;酸化 防止剤、例えばアスコルビン酸及び亜硫酸水素ナトリウム;キレート化剤、例え ばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩及 びリン酸塩;並びに張度調整剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。非 経口製剤は、ガラス製の、プラスチック製の又は他の適切な材料で作られたアン プル、使い捨て注射器又は多用量バイアル中に封入される。 静注の場合、適切な担体としては、生理食塩水又はリン酸塩緩衝食塩水(PB S)、及び濃化剤及び可溶化剤、例えばグルコース、ポリエチレングリコール及 びポリプロピレングリコール、並びにその混合物が挙げられる。リポソーム懸濁 液も製薬上許容可能な担体として適している。これらは当業者に公知の方法によ り調製し得る。 抱合体は、経時放出処方物又はコーティングといった体から迅速に排除されな いようそれらを保護する担体とともに調製し得る。このような担体としては、制 御放出処方物、例えば埋め込み型及びマイクロカプセル封入型供給システム、並 びに生物分解性、生物適合性ポリマー、例えばエチレンビニルアセテート、ポリ アンヒドライド、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸等が挙げら れる。このような処方物の製造方法は、当業者には公知である。 抱合体は、ゲル、クリーム及びローションの形態で限局又は局所適用のために 、そして槽内又は脊椎内適用のために処方し得る。このような溶液は、適切な塩 とともに、0.01% 〜10% 等張液,pH約5〜7として処方し得る。抱合体は局所適 用エアゾールとして処方し得る(例えば米国特許第4,044,126号、第4,414,209号 及び第4,36 4,923号参照)。 経口投与が望ましい場合は、抱合体は胃の酸性環境からそれを保護する組成物 中に提供されねばならない。例えば、組成物は胃の中でその完全性を保持し、腸 で活性化合物を放出する腸溶性コーティング中に処方し得る。組成物はさらに、 制酸薬又は他のこのような成分と組合せて処方し得る。 経口組成物は一般に、不活性希釈剤又は食用担体を包含し、錠剤中に圧縮され るか又はゼラチンカプセル中に封入される。経口治療投与のために、単数又は複 数の活性化合物は賦形剤に組み入れて、錠剤、カプセル又はトローチの形態で用 い得る。製薬上相溶性結合剤及びアジュバント物質を組成物の一部として含入し 得る。 錠剤、ピル、カプセル、トローチ等は、以下の任意の成分、又は同様の性質の 化合物を含有し得る:結合剤、例えば微晶質セルロース、トラガカントゴム及び ゼラチン;賦形剤、例えばデンプン及びラクトース、崩壊剤、例えばアルギニン 酸及びコーンスターチ(これらに限定されない);滑剤、例えばステアリンサン マグネシウム(これに限定されない);研磨剤、例えばコロイド二酸化珪素(こ れに限定されない);甘味剤、例えばショ糖又はサッカリン;風味剤、例えばペ ッパーミント、サリチル酸メチル、及び果物風味。 投与単位形態がカプセルの場合は、それは上記の種類の物質の他に、液体担体 、例えば脂肪油を含有し得る。さらに、投与単位形態は、投与単位の物理的形態 、例えば糖及び他の腸溶性物質のコーティングを修飾する種々の他の物質を含有 し得る。抱合体はさらに、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエファー、チュー インガム等の成分として投与し得る。シロップは、活性化合物の他に、甘味剤と してのショ糖、並びにある種の防腐剤、染料及び着色料、及び風味剤を含有し得 る。 活性物質は他の所望の作用を損なわない活性物質と、又は所望の作用を補足す る物質、例えば腫瘍の治療のためのシスプラチンと混合し得る。 最後に、化合物を、パッケージング材料、パッケージング材料内の1つ又はそ れ以上の本発明の抱合体又は組成物、並びに抱合体が提供される適応症を示すラ ベルを含有するメーカーの製品として包装する。 以下の実施例は説明のためだけのものであって、本発明の範囲を限定するもの ではない。 実施例1 サポリンの組換え体生成 A.材料及び方法 1.細菌株: 大腸菌JA221株(lpp-hdsM+trpE5 leuB6 lacY recA1 F’ 〔lacIqlac+pro+〕)は、アメリカ培養細胞コ レクション(ATCC)(American Type Culture Collection,Rockville,MD 20852)から、受入れ番号ATCC 33875として公に入手できる(JA221は、Nor thern Regional Research Center (NRRL),Agricultural Research Service,U. S.Department of Agriculture,Peoria,IL 61604からも受入れ番号NRRL B-1521 1で入手できる。さらに米国特許第4,757,013号(Inouye); 及びNakamura et al.( 1979)Cell 18:1109-1117参照)。INV1a株は、Invitrogen,San Diego,CA から市販されている。 2.DNA操作 本発明で用いる制限及び修飾酵素は、米国内で市販されている。自然サポリン 及びサポリンに対するウサギポリクローナル抗血清は 、以前にLappi et al.(1985) Biochem.Biophys.Res.Comm.129:934-942に記 載されたようにして得られた。リシンA鎖は、SIGMA,Milwaukee,WIから市販さ れている。メーカーの使用説明書に従って、抗血清をAffi−ゲル 10(BI O-RAD,Emeryville,CA)と結合させた。メーカーの使用説明書に従って、Unite d States Biochemical CorporationのSequenaseキット(バージョン2.0)を 用いて、シーケンシングを実施した。プラスミドのミニ調製及びマキシ調製、コ ンピテント細胞の調製、形質転換、M13操作、細菌培地、ウエスタンブロッテ ィング及びELISA検定は、Sambrook et al.((1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harb or,NY)に依った。メーカーの使用説明書に従って、Geneclean II キット(Bio 101)を用いてDNA断片の精製を実施した。SDSゲル電気泳動をPhastsystem (Pharmacia)で実施した。 メーカーの説明通りに、Phast Transferシステムを用いて電気泳動処理したタ ンパク質をニトロセルロースに移して、ウエスタンブロティングを成し遂げた。 SAPの抗血清を1:100の希釈で用いた。ホースラディッシュペルオキシダー ゼ標識化抗IgGを二次抗体として用いた(Davis et al.(1986) Basic methods in molecular biology,New York,Elsevier Science Publishing Co.,pp1-33 8参照)。 B.サポリンをコードするDNAの単離 1.ゲノムDNAの単離及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー Saponaria officinalisの葉のゲノムDNAをBianchi et al.(1988) Plant Mo l.Biol.11:203-214に記載されているように調製した。ゲノムDNA増幅のた めのプライマーを380B自動DNA合 成機で合成した。サポリンの”センス”鎖に対応するプライマー(配列番号1) は、自然サポリンN末端リーダー配列(配列番号1): のアミノ酸15に関するDNAコドンのすぐ上流にEcoRI制限Vアダプター を包含する。プライマー5’-CTGCAGAATTCGCCTCGTTTGACTACTTTG-3’(配列番号2 )は、サポリンの”アンチセンス”鎖に対応し、成熟ペプチドのカルボキシル末 端をコードするDNAの最後の5ヌクレオチドから出発するサポリンのコード配 列を補足する。このプライマーを用いると、成熟サポリンをコードする配列の後 に翻訳停止コドン及びEcoRI制限部位が導入される。 2.サポリンをコードするDNAの増幅 非分別化Saponaria officinalisの葉のゲノムDNA(1μl)を、10mM Tri s-HCl(pH 8.3)、50mM KCl、0.01% ゼラチン、2mM MgCl2、0.2mM dNTPs、 0.8μgのプライマーを含有する最終容量100μl中に混合した。 次に、2.5U TaqlDNAポリメラーゼ(Perkin Elmer Cetus)を加え、混合 物に鉱油(Sigma)30μlを被せた。DNA Thermal Cycler(Perkin Elmer Cet us)中でインキュベーションを実施した。1サイクルには、変性工程(94℃で1 分)、アニーリング工程(60℃で2分)及び延長工程(72℃で3分)が含まれた 。30サイクル後、各反応液の10μlアリコートを1.5% アガロースゲル上で処 理して、増幅産物の正確な構造を立証した。 増幅DNAをEcoRIで消化して、EcoRI 1制限 M13mp18( NEW ENGLAND BIOLABS,Beverly,MA; Yanisch-Perron et al.(1985),”Improve d M 13 phage cloning vectors and hoststrains:Nucleotide sequences of th e M13mp 18 and pUC 19 v ectors”,Gene 33: 103参照)にサブクローニングした。サポリンのコード配列 中の内部点に基づいてオリゴヌクレオチドを用いて、組換え体ファージからの1 本鎖DNAをシーケンシングした(Bennati et al.(1989) Eur.J.Biochem.18 3:465-470参照)。9つのM13mp18誘導体をシーケンシングして、比較し た。9つのシーケンシング処理クローンのうち、5つがそれぞれ配列番号3〜7 で示される独特の配列を有した。クローンをM13mp18−G4、−G1、− G2、−G7及び−G9と名付けた。これらのクローンは各々、すべてのサポリ ンコード配列及び自然サポリンN末端リーダーペプチドをコードするDNAの4 5ヌクレオチドを含有する。 C.pOMPAG4プラスミド構築 実施例1.B.2からの配列番号3クローンを含有するM13mp18−G4 をEcoRIで消化し、その結果生じた断片を、実施例1.A.2.に記載の方 法を用いてベクターpIN−IIIompA2のEcoRI部位に結紮した(例 えば米国特許第4,575,013号(Inouye);及びDjffaud et al.(1987)Meth.Enz. 153:492-507参照)。N末端延長を含めたサポリンをコードするDNAが細菌o mpA遺伝子のリーダーペプチドセグメントと融合するように、結紮をおこなっ た。その結果生じたプラスミドpOMPAG4は、lppプロモーター〔Nakamu ra,K.and Inouye,M.Cell.,18:1109-1117(1979)〕、大腸菌lacプロモー ターオペレーター配列(lacO)、及び大腸菌ompA遺伝子分泌シグナルを 、互いに、そしてサポリン及び自然N末端リーダーコードDNA(配列番号3) と有効に関連して含有する。プラスミドはさらに大腸菌lacリプレッサー遺伝 子(lac I)を含む。 それぞれ配列番号4〜7を含有する実施例1.B.2から得られ たM13mp18−G1、−G2、−G7及び−G9クローンを、本実施例でM 13mp18−G4に関して上記したように、EcoRIで消化して、EcoR I消化pIN−IIIompA2に結紮した。その結果生じたプラスミド、即ち 標識化pOMPAG1、pOMPAG2、pOMPAG7、pOMPAG9を、 pOMPAG4に関して記載したようにスクリーニングし、発現させて、精製し て、特性表示した。 実施例1.A.2に記載の方法を用いて、単離pOMPAG4プラスミドの大 量製剤を得るために、INV1aコンピテント細胞をpOMPAG4で形質転換 し、所望のプラスミド構造を含有する培養をさらに増殖させた。 D.大腸菌中でのサポリン発現: IPTGを加えてサポリンコードDNAの発現を誘導した後に増殖の対数期に 、又は対数期終了時にlacリプレッサーによりサポリン含有タンパク質の発現 が抑制される条件下で、pOMPAG4形質転換大腸菌細胞を増殖させた。 pOMPAG4形質転換大腸菌細胞の大量培養を生成するために、125mg/mlの アンピシリンを含有するLBブロス(例えば、Sambrook et al.((1989) Molec ular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Co ld Spring Harbor,NY参照)中でプラスミドpOMPAG4で形質転換させたJ A221大腸菌細胞の一夜培養(約16時間継続)を、125mg/mlのアンピシリン を含むLBブロス750mlを入れたフラスコ中で1:100に希釈した。550nmでの光 学密度が分光光度計で測定して0.9に達するまで、37℃で振盪しながら対数期で 細胞を増殖させた。 第二段階では、IPTG(Sigma)を加えて最終濃度を0.2 mMとすることによ り、サポリン発現を誘導した。誘導培養をさらに2時 間増殖させて、遠心分離(25分、6500 x g)で収集した。細胞ペレットを氷冷1. 0 M TRIS,pH9.0、2mM EDTA(10mlをペレット各1gに加えた)中に再懸 濁した。再懸濁物質を20〜60分間氷上に保持した後、遠心分離(20分、6500 x g )して、上清に対応する大腸菌のペリプラズム分画をペレットに対応する細胞内 分画から分離した。 E.分泌組換え体サポリンの精製 1.抗SAPイムノアフィニティー精製 実施例1.D.からのペリプラズム分画をホウ酸塩緩衝食塩水(BBS:5mM ホウ酸、1.25 mM ホウ砂、145 mM塩化ナトリウム,pH 8.5)に対して透析した 。透析物を、Lappi et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.129:934-942(1985 )に記載されたようにして得られ、Affi-gel 10と結合させ、そして約0.5ml/分 の流速でBBS中で平衡させた抗サポリン抗体のイムノアフィニティーカラム( 0.5 x2cm)上に載せた。流動の280 nmでの吸光度が基線に低減するまで、BB Sでカラムを洗浄した。次に、サポリンと結合した抗体を含有するカラムを1.0 M 酢酸で溶離し、0.5 ml分画を0.3 mlの2M 水酸化アンモニウム,pH10を含入し た試験管中に収集した。ELISAにより分画を分析した(例えば、Sambrook e t al.((1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harb or Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY 参照)。実施例1.A.2に記 載したようにウエスタンブロティングによりELISAのピーク分画を分析した 結果、自然サポリンより僅かに高い分子量を示す単一帯が示された。次いで、E LISAで確定したようにサポリンタンパク質を含有した分画をさらに精製する ためにプールした。 2.逆相高性能液体クロマトグラフィー精製 ペリプラズム中に分泌されたサポリンをさらに精製するために、実施例1.E .1からのプール分画を水に溶解した0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)で1: 1に希釈して、水に溶解した20% アセトニトリル、0.1% TFA中で平衡させた Vydac C4カラム(Western Analytical)上での逆相高圧液体クロマトグ ラフィー(HPLC)でクロマトグラフィー処理した。タンパク質を20分間徐々 に60% アセトニトリルに上げて溶離した。HPLCにより、実施例1.E.1に 記載されているようにウエスタンブロティングにより分析した場合に、抗SAP 抗血清を有する免疫反応の唯一の領域である単一ピークを生じた。試料をELI SAで検定した。 気相シークエネーター(Applied Biosystems)中でエドマン分解により配列分 析を実施した(例えばLappi et al.(1985) Biochem.Biophys.Res.Comm.129:9 34-942参照)。結果は、成熟した自然サポリンの最初のアミノ酸バリンの前のN 末端サポリンリーダー(配列番号3:残基12〜7)の長さが異なる(7〜12 アミノ酸)5つのポリペプチドが得られたことを示した。N末端延長変異体はす べて、細胞毒性活性を保持した。自然リーダーのサイズは18残基で、これは自 然シグナルペプチドが細菌プロセッシング酵素により適正にプロセッシングされ ていないことを示す。しかしながらompAシグナルは適正にプロセッシングさ れた。 F.細胞内可溶性サポリンの精製 細胞質ゾル可溶性サポリンタンパク質を精製するために、上記実施例1.Eの 細胞内分画からのペレットを溶解緩衝液(30mM TRIS、2mM EDTA、0.1% T riton X-100,pH 8.0。1mM PMSF、10μg/ml ペプスタチンA、10μg アプロチニン、 μg/mlロイペプチン及び100μg/ml リゾチーム、3.5ml/g の原ペレットを加える)中に再懸濁した。細胞を溶解するために、懸濁液を室 温で1時間放置し、その後液体窒素中で凍結させて、37℃浴中で3回解氷し、次 いで2分間音波処理した。溶解物を11,500 x gで30分遠心分離した。上清を取り 出して、保存した。ペレットを等容量の溶解緩衝液中に再懸濁し、前と同様に遠 心分離して、この二次上清を最初の上清と併合した。プール上清をBBSに対し て透析し、実施例1.E.1に記載したようにイムノアフィニティーカラム上で クロマトグラフィー処理した。この物質も細胞毒性活性を保持した。 G.細胞毒性活性に関する検定 ヌクレアーゼ処理ウサギ赤血球溶解物(Promega)における細胞無含有タンパ ク質合成を測定するin vitro検定で、組換え体サポリンのRIP活性を自然SA PのRIP活性と比較した。実施例1.E.1で得られたイムノアフィニティー 精製サポリンの試料をPBSで希釈して、5μl の試料を氷上で35μl のウサギ 赤血球溶解物と、0.5μl のBromeモザイクウイルスRNA、1mM アミノ酸混合 物−ロイシン、5μCiのトリチウム化ロイシン及び3μl の水を含有する反応混 合物10μl とに加えた。検定試験管を30℃水浴中で1時間インキュベートした。 試験管を氷に移して反応を停止させ、検定混合物5μl を3通り、Millititer H A 96ウエル濾過プレート(Millipore)のウエル中の75μl の1N 水酸化ナトリ ウム、2.5%過酸化水素に加えた。赤色が試料カラ漂白された時点で、氷冷25% 酉 クロロ酢酸(TCA)300μl を各ウエルに加えて、プレートを氷上にさらに30 分間放置した。Millipore真空ホルダーを用いて真空濾過を実施した。ウエルを 氷冷8% TCA 300μl で3回洗浄した。乾燥後、96ウエルプレートから円形 濾紙をつつきだして、液体シンチレーション法で計数した。 組換え体及び自然サポリンに関するIC50は、約20pMであった。 したがって、組換え体サポリン含有タンパク質は、自然サポリンと比較した場合 、完全タンパク質合成阻害活性を有する。 実施例2 FGF−SAP融合タンパク質の組換え体生成 A.一般的説明 1.細菌株及びプラスミド 大腸菌株BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS、HMS174 (DE3)及びHMS174(DE3)pLysSは、NOVAGEN,Madison,WIか ら購入した。下記のプラスミドpFC80は、WIPO国際特許出願WO 90/0280 0に記載されているが、但し、本発明でpFC80と呼ばれるプラスミドのbF GFコード配列は配列番号12、ヌクレオチド1〜465で示される配列を有す る。本発明のプラスミドは、出発物質としてpFC80を用いて、あるいはFG FコードDNA(配列番号12)に結合したCIIリボソーム結合部位(配列番 号15)を含有する断片を用いて開始することにより調製し得る。 2.DNA操作 本発明で用いる制限及び修飾酵素は、米国内で市販されている。自然サポリン 、化学的抱合化bFGF−SAP及びサポリンに対するウサギポリクローナル抗 血清は、Lappi et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.129:934-942(1985)及 びLappi et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.160:917-923 (1989)に記載さ れたようにして得られた。pET System Induction Controlは、NOVAGEN,Madison ,WIから購入した。United StatesBiochemical CorporationのSequenaseキット( バージョン 2.0)を用いて、異なる構築のシーケンシングを実施した。プラスミ ドのミニ調製及びマキシ調製、コンピテント細胞の調製、形質転換、M13操作 、細菌培地、ウエスタンブ ロッティング及びELISA検定は、慣用的方法を用いて実施した(Sambrook e t al.(1989)Molecular Cloning:ALaboratory Manual,Cold Spring Harbor L aboratory Press,Cold Spring Harbor,NY参照)。GenecleanII キット(Bio 101 から購入)を用いてDNA断片の精製を実施した。SDSゲル電気泳動をPhasts ystem(Pharmacia)で実施した。 B.FGF−SAP融合タンパク質をコードするプラスミドの構築 1.FGFと結合するCIリボソーム結合部位をコードするDNAを含有する FGFM13の構築 特定部位の突然変異誘発法により、Amersham in vitro突然変異誘発システム 2.1を用いて、Nco I制限部位を、実施例1.B.2に記載されているよ うに調製したSAPコードDNA M13mp18−G4中に導入した。Nco I制限部位を作るために用いるオリゴヌクレオチドを、380B自動DNA合 成機(Applie d Biosystems)を用いて合成した。その配列を以下に示す: Nco I部位を含有するこのオリゴヌクレオチドは、配列番号3、nts32 〜53で原SAP含有コード配列を置換する。その結果生じたM13mp18− G4誘導体をmpNG4と呼ぶ。 停止コドンが除去されるbFGFコード配列を生成するために、FGFコード DNAをM13ファージ中でサブクローニングして、特定部位の突然変異誘発を 施した。プラスミドpFC80はpDS20の誘導体であって(例えば、Dueste r et al.(1982) Cell 30:855-864参照 ;さらに米国特許第4,914,027号、第5,037 ,744号、第5,100,784号及び第5,187,261号参照;さらにPCT国際出願WO 90/02 800参照;並びに欧州特許出願第267703 A1 号)、これはプラ スミドpKG1800(Bernardi et al.(1990) DNA Sequence 1:147-150参照; さらにMcKenney et al.(1981) pp.383-415 in Gene Amplification and Analysi s 2: Analysis of Nucleic Acids by Enzymatic Methods,Chirikjian et al.,e ds,North Holland Publishing Company,Amsterdam 参照)とほとんど同じで あるが、但しそれは、pDS20のヌクレオチド2440及び2880間のqalKの遠 位端にエキストラ440bpを含有する。プラスミドpKG1800は、アンピシリ ン耐性遺伝子及び複製のオリジンを含有するpBR322の2800bp EcoRI −Pvu IIを含む。 全qalK遺伝子を配列番号12のFGFコードDNAで置換して、trpプ ロモーター(配列番号14)及びFGFコードDNAの上流でそれと有効に結合 するバクテリオファージラムダCIIリボソーム結合部位(配列番号15;例え ばSchwarzetal.(1978) Nature 272:410参照)を挿入して、プラスミドpFC8 0を調製した。trpプロモーターはプラスミドpDR720(Pharmacia PL B iochemicals)から得られるか、又は配列番号14により合成し得る。プラスミ ドpFC80は、pSD20の2880 bp EcoRI-BamHI断片、Trpプ ロモーター領域をコードする合成SalI−NdeI断片(配列番号14): 及びCIIリボソーム結合部位(配列番号15): を含有する。 FGFコードDNAを、以下のようにそれを処理してpFC80から取り出し た。pFC80プラスミドをHgaI及びSalIで 消化すると、FGFコードDNAに結合するCIIリボソーム結合部位を含有す る断片が生じた。その結果生じた断片をクレノウ試薬で盲端化して、SmaIに より開環され、盲端結紮のためにアルカリ性ホスファターゼで処理されていたM 13mp18に挿入した。停止コドンを除去するために、以下のオリゴヌクレオ チド(配列番号9):GCTAAGAGCGCCATGGAGAを用いて、上記のようにAmershamキ ットを用いてORI−方向の挿入物に突然変異を起こさせた。配列番号9は、F GFカルボキシ末端セリンコドンとNcoI制限部位との間に1つのヌクレオチ ドを含有し、それは配列番号10を有する以下の野性型FGFコードDNA: を置換した。 その結果生じたM13mp18のbFGFのカルボキシ末端セリンコドンの後 ろの自然停止コドンを欠いた突然変異体誘導体を、FGFM13と称した。FG FM13の突然変異化領域は正しい配列(配列番号11)を含有した。 2.FGF−SAP融合タンパク質をコードするプラスミドpFS92(PZ 1A)、PZ1B及びPZ1Cの調製 a.プラスミドpFS92(別名PZ1A) プラスミドFGFM13をNcoI及びSacIで切断して、置換された停止 コドンを有するbFGFコード配列と結合したCIIリボソーム結合部位を含有 する断片を生じた。 サポリンコード配列を含有するM13mP18誘導体mpNG4をさらに制限 エンドヌクレアーゼNcoI及びSacIで切断して、FGFM13からのbF GFコード断片を融合タンパク質bFGF−SAPをコードするDNAとの結紮 によりM13mp18誘導 体に挿入して、mpFGF−SAPを生じたが、これはFGF−SAP融合タン パク質に結合するCIIリボソーム結合部位を含有する。融合タンパク質の配列 は配列番号12に示すが、これはFGFタンパク質カルボキシ末端及びサポリン タンパク質アミノ末端が、2つのアミノ酸Ala Metをコードする6ヌクレ オチド(配列番号12及び13、nts466〜471)により分離されること を示す。 プラスミドmpFGF−SAPをXbaI及びEcoRIで消化し、その結果 生じたbFGF−SAPコード配列を含有する断片を単離し、EcoRI及びX baIで処理されていたプラスミドpET−11a(NOVAGEN,Madison,WIから 入手;プラスミドの説明に関しては、米国特許第4,952,496号参照;さらにStudi er et al.(1990)Meth.Enz.185:60-89; Studier et al.(1986)J.Mol.Biol.18 9:113-130; Rosenberg et al.(1987) Gene 56:125-135参照)に結紮した。その 結果生じたプラスミドをpFS92と呼んだ。それをPZ1Aと改名した。 プラスミドpFS92(又はPZ1A)はDNA全塩基性FGFタンパク質( 配列番号12)、2−アミノ酸長連結ペプチド、及び成熟SAPタンパク質のア ミノ酸1〜253を含有する。プラスミドpFS92はさらに、FGF−SAP 融合タンパク質に結合するCIIリボソーム結合部位及びpET−11aからの T7プロモーター領域を含む。 大腸菌BL21(DE3)pLysS株(NOVAGEN,Madison,WI)を、メーカ ーの使用説明書及び実施例2.A.2に記載の方法に従ってpFS92で形質転 換した。 b.プラスミドPZ1B プラスミドpFS92をEcoRIで消化し、ヌクレオチド三リ ン酸塩及びクレノウDNAポリメラーゼを付加して末端を修復し、次いでNde Iで消化して、CIIリボソーム結合部位を有しないFGFコードDNAを放出 した。この断片をBamHI消化し、処置して末端を修復し、NdeIで消化し ておいたpET11aに結紮した。その結果生じたプラスミドをPZ1Bと名付 けた。PZ1BはT7転写ターミネーター及びpET−11aリボソーム結合部 位を含む。 大腸菌BL21(DE3)株(NOVAGEN,Madison,WI)を、メーカーの使用説 明書及び実施例2.A.2に記載の方法に従ってPZIBで形質転換した。 c.プラスミドPZ1C アンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子で置換して、PZ1Bから プラスミドPZ1Cを調製した。 d.プラスミドPZ1D プラスミドpFS92をEcoRI及びNdeIで消化して、CIIリボソー ム結合部位を有しないFGFコードDNAを放出し、末端を修復した。この断片 を、BamHI消化し、処置して末端を修復しておいたpET12aに結紮した 。その結果生じたプラスミドをPZ1Dと名付けた。PZ1Dは、融合タンパク 質をコードするDNAと任意に結合するOMP T分泌シグナルをコードするD NAを含む。 大腸菌BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS、HMS174( DE3)及びHMS174(DE3)pLysS株(NOVAGEN,Madison,WI)を 、メーカーの使用説明書及び実施例2.A.2に記載の方法に従ってPZ1Dで 形質転換した。 C.組換え体bFGF−SAP融合タンパク質の発現: 上記の2段階法を用いて、組換え体bFGF−SAPタンパク質 (以後bFGF−SAP融合タンパク質と呼ぶ)を生成した。 1.pFS92(PZ1A)からのrbFGF−SAPの発現 アンピシリン(50μg/ml)及びクロラムフェニコール(25μg/ml)を含有す るLBブロス 3リットルに、実施例2.Bにより得られた一夜培養(1:100 希釈)からのpFS92プラスミド含有細菌細胞(BL21(DE3)pLys S株)を植えつけた。細胞をインキュベーター振盪器中で37℃で増殖させてOD600 を0.7とした。IPTG(Sigma Chemical,St.Louis,MO)を加えて最終濃 度を0.2mMとし、1.5時間増殖させて、細胞を遠心分離した。その後、37℃を30℃ に変えると、BL21(DE3)pLysS株細胞の増殖が改善されて収率が上 がった。細胞を30℃で増殖させた場合、OD600は誘導前の1.5倍になった。誘導 後、増殖を約2〜2.5時間続けた後に、遠心分離により細胞を収集した。 ペレットを溶解液(45〜60ml/ペレット16g;20mM TRIS,pH7.4、5 mM ED TA、10% ショ糖、150 mM NaCl、リゾチーム、100μg/ml アプロチニン 、10μg/ml ロイペプシン、10μg/ml ペプスタチンA、10μg/ml及び1mMP MSF)中に再懸濁し、攪拌しながら室温で1時間インキュベートした。溶液を 凍結し、3回解氷して、2.5分間音波処理した。懸濁液を12,000 x gで1時間遠 心分離し、その結果生じた一次上清を篩にかけて、ペレットをリゾチームを含ま ない別の容量の溶解液に再懸濁した。再懸濁物質を再び遠心分離して二次上清を 生成し、2つの上清をプールして、ホウ酸塩緩衝食塩水,pH8.3に対して透析し た。 2.PZ1B及びPZ1CからのbFGF−SAP融合タンパク質の発現 アンピシリン(100μg/ml)を含有するLB培地 250mlにPZ1Bの新鮮な グリセロールストックを植えつけた。細胞をインキ ュベーター振盪器中で30℃で増殖させてOD600を0.7とし、4℃で一夜保存した 。翌日、細胞をペレット化し、新鮮なLB培地(アンピシリン無含有)中に再懸 濁した。細胞を5つの1リットルバッチに分けて、インキュベーター振盪器中で 30℃で増殖させてOD600を1.5とした。IPTG(Sigma Chemical,St.Louis,M O)を加えて最終濃度を0.1mMとし、約2〜2.5時間増殖させて、細胞を遠心分離 して収集した。 PZ1Cを増殖させるために、誘導前に、アンピシリンの代わりにカナマイシ ン(50μg/ml)を含有する培地中で細胞を増殖させた。 3.PZ1DからのbFGF−SAP融合タンパク質の発現 アンピシリン(100μg/ml)を含有するLB培地 250mlにPZ1Bの新鮮な グリセロールストックを植えつけた。細胞をインキュベーター振盪器中で30℃で 増殖させてOD600を0.7とし、4℃で一夜保存した。翌日、細胞をペレット化し 、新鮮なLB培地(アンピシリン無含有)中に再懸濁した。細胞をLB培地の1 リットルバッチに植えつけて、インキュベーター振盪器中で30℃で増殖させてO D600を1.5とした。IPTG(Sigma Chemical,St.Louis,MO)を加えて最終濃 度を0.1mMとし、約2〜2.5時間増殖させて、細胞を遠心分離して収集した。 細胞ペレットを氷冷1.0 M Tris,pH9.0、2mM EDTA中に再懸濁した。再 懸濁物質を氷上でさらに20〜60分間保持し、次いで遠心分離してペリプラズム分 画(上清)を細胞内分画(ペレット)カラ分離した。 D.bFGF−SAP融合タンパク質のアフィニティーの精製 実施例2.C.からのbFGF−SAPを含有する透析溶液 30mlを、10mM Tris,pH 7.4に溶解した0.15 M NaCl (緩衝液A )で平衡させたHiTrap ヘパリン−セファロースカラム(Pharmacia,Upps ala,Sweden)に適用した。カラムを洗浄した:1回目 平衡緩衝液;2回目 緩衝液Aに溶解した0.6 M NaCl;3回目 緩衝液Aに溶解した1.0 M NaC l。最後に緩衝液Aに溶解した2 M NaClを用いて1.0 ml分画中に溶離した。 ELISA法により試料を検定した。 結果は、bFGF−SAP融合タンパク質が、自然及び組換え的生成bFGF と同じ濃度(2 M NaCl)のヘパリン−セファロースカラムから溶離すること を示す。これは、ヘパリン親和性がbFGF−SAP融合タンパク質中に保持さ れることを示す。 E.bFGF−SAP融合タンパク質の特性表示 1.アフィニティー精製bFGF−SAP融合タンパク質のウエスタンブロテ ィング SDSゲル電気泳動を、20% ゲルを用いるPhastsystem(Pharmacia)で実施した 。メーカーの説明通りに、Phast Transferシステムを用いて電気泳動処理したタ ンパク質をニトロセルロースに移して、ウエスタンブロティングを成し遂げた。 SAPの抗血清及びbFGFを1:1000の希釈で用いた。ホースラディッシュペ ルオキシダーゼ標識化抗IgGを二次抗体として用いた(Davis et al.(1986) B asic methods in molecular biology,New York,Elsevier Science Publishing Co.,pp1-338参照)。 抗SAP及び抗FGF抗血清は、分子量約48,000 kdのタンパク質と結合した 。これはSAP(30,000)及びbFGF(18,000)の個々の分子量の和に相当す る。 2.FGF−SAP融合タンパク質の細胞毒性を評価するための検定 a.細胞無含有タンパク質合成に及ぼすbFGF−SAP融合タ ンパク質の作用 実施例1.Gに記載されているように、bFGF−SAP融合タンパク質のR IP活性をFGF−SAP化学的抱合体のRIP活性と比較した。結果は、bF GF−SAP融合タンパク質のIC50は約0.2 nMであり、化学的抱合化FGF- SAPのIC50は約0.125であることを示した。 b.bFGF−SAP融合タンパク質の細胞毒性 Promega(Madison,WI) CellTiter 96 細胞増殖/細胞毒性検定ヲ用いて、細胞 毒性実験を実施した。ヒト黒色腫細胞株であるSK−Mel−28細胞約1,500 個を90μl HDMEM+10% FCSを含入する96ウエルプレートの各ウエルに入 れ、37℃、5% CO2で一夜インキュベートした。翌朝、培地10μl のみ、又は 種々の濃度のrbFGF−SAP融合タンパク質、塩基性FGF又はサポリンを 含有する培地 10μl をウエルに加えた。プレートを37℃で72時間インキュベー トした。インキュベーション後、Promega キットとして供給される市販の染料M TTの取込み及び変換を測定することにより、生存細胞数を確定した。MTT溶 液 15μl を各ウエルに加え、インキュベーションを4時間継続した。次に、Pr omegaキットの一部として供給される標準可溶化溶液 100μl を各ウエルに加え た。プレートを室温で一夜放置し、560nmでの吸光度をELISAプレート読み 取り器(Titertek Multiskan PLUS,INC.Flow,Costa Mesa,CA)で読み取った 。 結果は、化学的FGF−SAP抱合体のID50は0.3 nMであり、bFGF- S AP融合タンパク質のID50は0.6 nMであり、細胞表面に結合できない非抱合化 SAPのID50は200 nMであることを示した。したがって、取り込まれた場合、 bFGF−SAP融合タンパク質は化学的抱合化FGF−SAPとほぼ同じ細胞 毒性活性を有 するものと思われる。 実施例3 FGFムテインの調製 A.材料及び方法 1.試薬 制限及び修飾酵素は、BRL(Gaithersburg,MD)、Stratagene(La Jolla, CA)、及びNew England Biolabs(Beverly,MA)から購入した。自然SAP、化 学的抱合化塩基性FGF−SAP及びSAP及び塩基性FGFに対するウサギポ リクローナル抗血清は、Saponaria officinalisから得られた(例えば、Stirpe et al.(1983) Biochem.J.216:617-625 参照)。手短に言えば、0.14M NaC lを含有する5mM リン酸ナトリウム緩衝液,pH7.2中ですりつぶして種子を抽 出し、チーズ布で抽出物を漉して、28,000gで30分遠心分離し、粗製抽出物を生 成した。これを5mMリン酸ナトリウム緩衝液,pH 6.5に対して透析し、遠心分離 して、CM−セルロース(CM52,Whatman,Maidstone,Kent,U.K.)に適用 した。CMカラムを洗浄し、SO−6をリン酸塩緩衝液中の0〜0.3 M NaCl 勾配で溶離した。 塩基性FGFコード配列を含有するプラスミドpFC80は、Farmitalia Car lo Erba(Milan,Italy)の Paolo Sarmientos及びAntonellaIsacchi両博士か ら頂いた。プラスミドpFC80は、WIPO国際特許出願 WO 90/02800 及び同時 係属中の国際PCT出願 PCT/US93/05702(WO 93/25688として公告)(これら の記載内容は参照により本明細書中に含めるものとする)に記載されている。p FC80中のbFGFをコードするDNAの配列は、同時係属中の国際PCT出 願 PCT/US93/05702 及び配列番号12に記載される。pFC80の構築は、実 施例2に上記されている。 プラスミド単離、コンピテント細胞の産生、形質転換及びM13操作は、発表 済の手法に従って実施した(Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning: A Lab oratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N Y)。DNA断片の精製は、Geneclean IIキット(Bio 101,La Jolla,CAから購 入)を用いて達成した。異なる構築物のシーケンシングは、United States Bioc hemical Corporation のSequenase キット(バージョン2.0)を用いて実施し た。 2.ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲル電気泳動及びウエスタンブロティ ング SDSゲル電気泳動を、20% ゲルを用いるPhastsystem(Pharmacia)で実施した 。メーカーの説明通りに、Phast Transferシステム(Pharmacia)を用いて電気 泳動処理したタンパク質をニトロセルロースに移して、ウエスタンブロティング を成し遂げた。SAP及び塩基性FGFの抗血清を1:1000の希釈で用いた。ホ ースラディッシュペルオキシダーゼ標識化抗IgGを二次抗体として用いた(Da vis et al.(1986) Basic methods in molecular biology,New York,)。 B.特定部位の突然変異誘発による突然変異化FGFの調製 Amersham(Arlington Heights,IL) in vtro突然変異誘発系2.1を用いる特定オ リゴヌクレオチド突然変異誘発により、システイン−セリン置換を実施した。3 80B自動DNA合成機(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて、 新規のアミノ酸をコードするオリゴヌクレオチドを合成した。 1.突然変異誘発 システイン78のin vitro突然変異誘発のために用いたオリゴヌクレオチドは 、AGGAGTGTCTGCATAACC(配列番号 17)であり、これは配列番号12のヌクレオチド279〜302に及ぶ。突然 変異性複製型DNAを大腸菌JM109株中で形質転換し、単一プラークを摘出 して、突然変異立証のためにシーケンシングした。次にFGF突然変異化遺伝子 をM13から切り出して、除去された非突然変異型遺伝子を有する発現ベクター pFC80に結紮し、大腸菌JM109株中で形質転換した。単一コロニーを摘 出し、突然変異が存在することを立証するためにプラスミドをシーケンシングし た。適切な突然変異を有するプラスミドを次に大腸菌FICE2株中で形質転換 し、これらの形質転換からの単一コロニーを用いて突然変異体塩基性FGFを得 た。約20mg/発酵ブロス1lという優れた発現レベルに達した。 2.突然変異化FGFの精製 100μg/mlアンピシリンを含有するLBブロス 20ml中で細胞を一夜増殖させ た。翌朝、細胞をペレット化し、100μg/mlアンピシリンを含有するM9培地 500mlに移して、7時間増殖させた。細胞をペレット化し、溶解溶液(10mM TRIS ,pH 7.4、150mM NaCl、リゾチーム、10μg/ml アプロチニン、10μg/ml ロイペプチン、10μg/ml ペプスタチンA、10μg/ml及び1mM PMSM; 45〜60ml/ペレット16g)中に再懸濁して、攪拌しながら室温で1時間インキュ ベートした。溶液を3回凍結及び解氷して、2.5 分間音波処理した。懸濁液を遠 心分離し、上清を篩にかけて、ペレットをリゾチームを含まない別の溶解液に再 懸濁し、再び遠心分離して、上清をプールした。抽出液(40ml)を10mM TRIS,pH 7 .4(緩衝液A)で50mlに希釈した。プールしたものを緩衝液Aに溶解した150 mM 塩化ナトリウムで平衡させた5mlHi−Trap ヘパリン−セファロースカラ ム(Pharmacia,Uppsala,Sweden)上に載せた。カラムを緩衝液Aに溶解した0.6 M 塩化ナトリウム及び1 M 塩化ナトリウムで洗浄し、次いで緩衝液A中の2 M 塩化ナトリウムで溶離した。 280 nmでの光学密度により測定した場合、2 M 溶離液のピーク分画をプールし、 ゲル電気泳動により純度を測定した。精製タンパク質の収量は、Cys78突然変 異体に関しては10.5mg、Cys96突然変異体に関しては10.9mgであった。 〔C78S〕FGF及び〔C96S〕FGFの生物学的活性を、培養中の副腎 毛細管内皮細胞に関して測定した。10% 仔ウシ血清−HDMEM 1ml中に24ウ エルプレートのウエル当たり細胞3000個で、細胞をプレーティングした。細胞が 付着した時点で、指示濃度で3通りに試料を加え、37℃で48時間インキュベート した。等量の試料を加えて、さらに48時間インキュベートした。培地を吸引して 、トリプシン(容量1ml)で細胞を処理して、9mlのHematall希釈液に細胞を取 り出して、Coulter カウンターで計数した。結果は、培養中の内皮細胞増殖を刺 激する能力により判定した場合、2つの突然変異体が自然塩基性FGFの増殖活 性をほとんど完全に保持することを示す。 実施例4 サポリンの調製:モノ誘導化サポリンの誘導化及び精製 濃度4.1mg/mlの濃度のサポリン(SAP;49mg)を、0.1M リン酸ナトリウム 、0.1 M 塩化ナトリウム,pH 7.5に対して透析した。1.1 モルの過剰量(無水エ タノール156μl 中に63μg )のSPDP(Pharmacia,Uppsala,Sweden)を加え て、反応混合物を直ちに攪拌して30分間揺り台に載せた。次に溶液を同一緩衝液 に対して透析した。Pharmaciaの使用説明書に従って、誘導化の程度に関して透 析溶液のアリコートを調べた。誘導化度は、SPDP 0.86mol/SAP 1molで あった。これらの実験中、反応混合物中の等量のSPDPを用いてSAPの別の バッチを誘導化し、その結果、SP DP対SAPのモル比は0.79であった。 誘導化SAP(32.3mg)を0.1 M ホウ酸ナトリウム,pH 9.0中で透析し、透析緩 衝液に溶解した25mM 塩化ナトリウムで平衡させたMono S 16/10カラムに適用し た。透析緩衝液中の25mM〜125mM塩化ナトリウムの勾配を動かしてSAP及び誘 導化SAPを溶離した。流速は4.0 ml/分で、分画4mlを収集した。分画のアリ コートをタンパク質濃度(BCAタンパク質検定 Pierce Chemical,Chicago, IL)に関して、及び還元剤により放出されるピリジルチオンに関して検定した。 25〜37の個々の分画をタンパク質濃度及びピリジルジスルフィド濃度に関して分 析し、表5に示した。分画24〜28は約2mol の2−ピリジルジスルフィド/SA P1mol に対応し、29〜33は1mol/1mol に対応し、そして34〜37は非誘導化 SAPを含有する。これらのデータは、SPDPによる誘導化のレベルによる分 離を示す。最初の溶離ピークは、およそジ誘導化されるSAPを構成する;第二 のピークは、モノ誘導化であり、第三ピークは非誘導化を示す。ジ誘導化物質は 、3つのピークの20% を占める;第二は48% を占め、第三ピークは32% を含有す る。第二ピークからの物質をプールした結果、ピリジルジスルフィド対SAPの 平均比は0.95であった。分画33は、ピリジン−2−チオン対タンパク質の発散 比を示したが、これはおそらく低濃度のためと思われる。それはプールから除外 した。プール化物質を、本発明の抱合に用いた。0.85より大きく1.05未満のSP DP対SAP比を示した分画をプールし、0.1 M 塩化ナトリウム、0.1 M リン酸 ナトリウム,pH7.5に対して透析し、塩基性FGFによる誘導化に用いた。これ らの物質のプールは、SPDP対SAPのモル比が0.9 で、最終収量は4.6 mgで あった。 実施例5 サポリンの調製:修飾化サポリンの調製 SAPを誘導化する代わりに、システイン残基をDNAのN末端部分に付加す ることにより、又は位置4又は10のシステインの付加によって、SAPを修飾 した。次に、その結果生じたサポリンをFGFで利用可能なシステインと反応さ せて、サポリン上の付加Cys又はMet−Cysを介して結合する抱合体を生 成した。 修飾化SAPは、位置1にMet−Cys又はCysをコードす るDNAを挿入することにより、又はN末端の10又はそれ以下の残基内のIl e又はAspコドンを置換することにより、サポリンをコードするDNAを修飾 して調製した。その結果生じたDNAをpET11a及びpET15bに挿入し 、BL21細胞中で発現させた。その結果生じたサポリンタンパク質をFPS1 (−1にCySを有するサポリン)、FPS2(位置4にCysを有するサポリ ン)及びFPS3(位置10にCysを有するサポリン)と名付けた。FPS1 をコードする並びにFPS1の発現のために存在したプラスミドをPZ50Bと 名付けた。FPS2をコードする、並びにFPS1の発現のために用いられたプ ラスミドをPZ51B(pET11a−ベースのプラスミド)及びPZ51E( pET15b−ベースのプラスミド)と名付けた。FPS3をコードする、並び にFPS3の発現のために用いられたプラスミドをPZ52B(pET11a− ベースのプラスミド)及びPZ52E(pET15b−ベースのプラスミド)と 名付けた。 A.材料及び方法 1.細菌株 Novablue(NOVAGEN,Madison,WI)及びBL21(DE3)(NOVAGEN,Madis on,WI)。 2.DNA操作 実施例1及び2に記載されているようにDNA操作を実施した。 実施例2に記載のプラスミドPZ1B(PZ1B1と呼ぶ)をDNA鋳型とし て用いた。 B.N末端に付加システイン残基を有するサポリンの調製 1.プライマー (a)プライマー#1 − サポリンのセンス鎖、配列番号12のヌクレオチ ド472〜492に対応し、NdeI部位を組み込み 、成熟タンパク質の最初のコドンにcysコドン5’を付加する(Met及びV al間): (b)プライマー#2 − アンチセンスプライマーは、配列番号12のヌク レオチド547〜567に及ぶサポリンのコード配列を相補し、BamHI部位 を含有する: 2.サポリンコードDNAの単離 上記のプライマーを用いて、以下のようにPZIB1 DNAをPCRにより 増幅した。PZIB1 DNA(1μl )を、10mM Tris-HCl(pH 8.3)、50mM KCl、0.01% ゼラチン、2mM MgCl2、0.2 mMdNTPs、O.8μg のプラ イマーを含有する最終容量100μl 中に混合した。次に、2.5 U TaqlDNA ポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)を加え、混合物に鉱油(Sigma)30μl を 被せた。DNA Thermal Cycler(Ericomp)中でインキュベーションを実施した 。1サイクルには、変性工程(94℃で1分)、アニーリング工程(60℃で2分) 及び延長工程(72℃で3分)が含まれた。35サイクル後、各反応液の10μl アリ コートを1.5% アガロースゲル上で処理して、増幅産物の正確な構造を立証した 。 増幅DNAをNdeI及びBamHIで消化して、NdeI及びBamHI消 化pZ1B1中でサブクローニングした。この消化及びサブクローニング工程に よりFGFコードDNA及びヌクレオチド555〜560(配列番号12)のB amHI部位までのSAPの5’部分を取り出して、この部分を、自然成熟SA Pタンパク質の出発部位に対して位置1にシステイン残基を含有するサポリン分 子をコードするDNAで置換した。その結果生じたプラスミドをpZ50B1と 呼ぶ。 C.自然タンパク質の位置4又は10にシステイン残基を有するサポリンの調 製 これらの構築物は、位置4のイソロイシン残基又は位置10のアスパラギン残 基をシステインで置換することにより自然タンパク質の位置4又は10にシステ イン残基を導入するよう意図された。 1.材料 (a)細菌株 細菌株は、Novablue及びBL21(DE3)(NOVAGEN,Madison,WI)であっ た。 (b)DNA操作 上記のようにDNA操作を実施した。 2.修飾化SAPコードDNAの調製 FGF−SAP融合タンパク質をコードする親プラスミドpZ1B1からポリ メラーゼ連鎖反応(PCR)によりSAPを増幅した。 (a) プライマー (1)配列番号12のヌクレオチド466〜501に及ぶサポリンのセンス鎖 に対応するプライマーは、NdeI部位を組み込み、成熟タンパク質の位置4で IleコドンをCysコドンで置換する(配列番号38): (2)配列番号12のヌクレオチド466〜515に及ぶサポリンのセンス鎖 に対応するプライマーは、NdeI部位を組み込み、成熟タンパク質の位置10 でAspコドンをCysコドンで置換する(配列番号39): (3)プライマー#2 − アンチセンスプライマーは配列番号 12のヌクレオチド547〜567に及ぶサポリンのコード配列を相補し、Ba mHI部位を含有する(配列番号35): (b)増幅 以下のサイクルを用いて、上記のようにPCR反応を実施した:94℃で1分の 変性工程、60℃で2分間のアニーリング及び72℃で2分間35サイクルの延長。増 幅DNAをゲル精製し、NdeI及びBamHIで消化して、NdeI及びBa mHI消化pZ1B1中でサブクローニングした。この消化により親FGF−S APベクター(pZ1B1)からFGF及びSAPの5’部分(新規付加Bam HIまで)を取り出して、この部分を、自然成熟SAPタンパク質の出発部位に 対して位置4又は10にシステイン残基を含有するSAP分子で置換した。その 結果生じたプラスミドをそれぞれpZ51B1及びpZ52B1と呼ぶ。 D.ベクターpET15b中のSAP突然変異体をコードするDNAのクロー ニング 本構築の初期工程は、ヌクレオチド543〜570(配列番号12)に対応す るが、ヌクレオチド555(Lysコドンの第三位置)でGをAに変えるセンス プライマーを用いたPCRによるpZ1B1のヌクレオチド555〜560(配 列番号12)の内部BamHI部位の突然変異誘発であった。センスプライマー の補体は、アンチセンスプライマーとして用いられた。PCR反応は、上記Bに 記載したように実施した。その結果生じたPCR産物 1μl は、サポリンコー ドDNAの5’末端にNdeI部位及びCysコドンを導入するために、上記B に記載の同一センスオリゴヌクレオチドを用いる二次PCR反応に用いた。アン チセンスプライマーはサポリンタンパク質の3’末端を相補的で、クローニング のためのBa mHI部位及び停止コドンをコードする(配列番号37): その結果生じたプラスミドをNdeI/BamHIで消化して、His−Ta gTMリーダー配列(配列番号36)を有し、NdeI/BamHIで消化してい たpET15b(NOVAGEN,Madison,WI)に挿入した。 センスプライマーとしてそれぞれ配列番号38及び39を、アンチセンスプラ イマーとして配列番号37を用いて、SAP−Cys−4及びSAP−Cys− 10突然変異体を同様にpET15bに挿入した。 非修飾SAPをコードするDNA(実施例1)は、修飾化SAPコードDNA に関して下に記載したと同様に、pET15b又はpET11aに挿入し、発現 し得る。 E.修飾サポリンコードDNAの発現 実施例2に記載したようにBL21(DE3)をその結果生じたプラスミドで 形質転換して、培養したが、但しインキュベーションは37℃の代わりに30℃で実 施した。手短にいえば、単一コロニーをLB AMP100中で増殖させてOD600 を1.0〜1.5とし、次いでIPTG(最終濃度0.1mM)で2時間誘導した。細胞を 遠心分離して収集した。 F.修飾化サポリンの精製 溶解緩衝液(20mM NaPO4,pH7.0、5mM EDTA、5mM EGTA、1 mM DTT、0.5μg/ml ロイペプチン、1μg/mlアプロチニン、O.7μg/ml ペプスタチンA)をrSAP細胞ペースト(上記のようにBL21細胞中でpZ 50B1から生成)に1.5 ml緩衝液/細胞1gの比で加えた。この混合物を、Po lytron 均質化剤を介して均一に懸濁し、2回、ミクロ流動化装置に通 した。 その結果生じた溶解物を50,000rpmで45分間遠心分離した。上清をSP 緩衝 液A(20mM NaPO4、1mM EDTA,pH7.0)で希釈して、伝導率が2.5 mS /cm以下になるようにした。次に希釈溶解物上清をSP−セファロースカラムに 入れて、SP 緩衝液Aに溶解して総量6カラム容量とした0〜30% SP緩衝液 B(1 M NaCl、20mMNaPO4、1mM EDTA,pH7.0)線状勾配を適用し た。rSAPを含有する分画を併合し、その結果生じたrSAPは90% 以上の純 度を有した。 ここで緩衝液交換工程を用いて、SP溶離物を50mM NaBO3、1mM ED TA,pH 8.5を含有する緩衝液(S緩衝液A)中に取った。次にこの試料を、S 緩衝液Aで予備平衡させたResource Sカラム(Pharmacia,Sweden)に適用した 。精製rSAPを、SP緩衝液Aに溶解した0〜300mM NaClの線状勾配 1 0カラム容量によりカラムから溶離した。最終rSAPは純度約98% で、rSA Pの全収量の約50% であった(粗製溶解物中のrSAPの量は、ELISAで測 定した)。 この調製では、超遠心分離を用いて溶解物を透明にした;例えば濾過及び凝集 剤の使用といった他の方法を用いてもよい。さらに、Streamline S(Pharmacia ,Sweden)を大量生産用に用いてもよい。 実施例6 A.抱合体の細胞毒性検定 Promega (Madison,WI)CellTiter 96 細胞増殖/細胞毒性検定により、細 胞毒性実験を実施した。使用した細胞型は、SK−Mel−28、ヒト黒色腫S wiss 3T3マウス繊維芽細胞(Pamela Maher博士、La Jolle,CA の提供 による)、B16F10、 マウス黒色腫、PA−1、ヒト卵巣癌(Julie Beitz博士、Roger Williams Hosp ital,Providence,RIの提供による)、及びベビーハムスター腎臓(BHK)〔 アメリカ培養細胞コレクション(ATCC)から入手〕であった。1ウエル当た り2500個の細胞をプレーティングした。 B.FGFムテインのSAPとの共役 1.〔C78S〕FGF−SAP(CCFS2)及び〔C96S〕FGF−S AP(CCFS3)の化学合成 リン酸塩緩衝化食塩水に対して透析済の〔C78S〕FGF又は〔C96S〕 FGF(1mg;56nmol)を2.5mgモノ誘導化SAP(塩基性FGF突然変異体よ り1.5モル余分)に付加し、揺り台上に一夜放置した。翌朝、紫外線−可視光線 波長スペクトルを適用して、343nmで吸着して公知の吸光係数を有するピリジル チオンの放出により反応の程度を測定した。ピリジルチオン対塩基性FGF突然 変異体の比は、〔C78S〕FGFに関しては1.05、〔C96S〕FGFに関し ては0.92であった。反応混合物を以下の方法で精製のために同様に処理した:反 応混合物を、緩衝液Aに溶解した0.15 M 塩化ナトリウムで平衡させた HiTrap ヘパリン−セファロースカラム(1ml)に0.5ml/分の流速で通した。カラムを 緩衝液Aに溶解した0.6 M NaCl及び1.0 M NaClで洗浄し、生成物を緩衝 液Aに溶解した2.0 M NaClで溶離した。分画(0.5ml)をゲル電気泳動及び2 80nmでの吸光度で分析した。ピーク試験管をプールし、10mM リン酸ナトリウム ,pH7.5に対して透析して、同一緩衝液で緩衝したMono-S 5/5 カラムに適用し た。緩衝液中の0〜1.0 M 塩化ナトリウム勾配 10mlを用いて生成物質を溶離し た。ゲル電気泳動により純度を測定し、ピーク分画をプールした。収量は、〔C 78S〕FGF−SAPに関しては1.6mg(〔C78S〕FG Fの出発量に関しては60% )、及び〔C96S〕FGF−SAPに関しては0.96 mg(35% )であった。 ほぼ100 % の突然変異体FGFがモノ誘導化SAPと反応した(〔C78S〕 FGF:105 % 、〔C96S〕FGF:92% )。各突然変異体の遊離表面システ インが遊離スルフヒドリルとして作用するため、細菌から精製後にシステインを 低減させる必要はなかった。その結果生じた生成物質をヘパリン−セファロース により精製し(データは示されていない)、したがって抱合体のヘパリン結合活 性が保持されることが確定された。 精製タンパク質のCoomassie染色及びウエスタンブロティングにより、SAP 及びbFGFの併合分子量に対応して、約48,000の分子量で顕著な帯が示された 。それより僅かに低い分子量で非常に明るい帯が検出されたが、SDS−ゲル電 気泳動(例えば、Lappi et al.(1985) Biochem.Biophys.Res.Commun.129:93 4-942参照)において汚染を引き起こすSAPの高等電点(10.5)により生じた人 工物の説明済の移動度とみなされた(Gelfiet al.(1987) J.Biochem.Biophys.M eth.15:41-48)。塩基性FGF1モル当たり1分子より多いSAPを、又はS AP1モル当たり1分子より多い塩基性FGFを含有する抱合体に対応するより 高分子の帯は、〔C78S〕FGF−SAPの、及び〔C96S〕FGF−SA PのCoomassie染色ゲルでは検出されなかった。このような帯は、野性型bFG F及び非精製誘導化SAPから合成された等量(重量)の異質FGF−SAPを 負荷したゲルのレーンで認められた。 SAP又は塩基性FGFに対する抗体を用いたウエスタンブロティングからは 、480ngの〔C78S〕FGF−SAP又は〔C96S〕FGF−SAPが十分 可視化された帯(付加的にわずかに低分子量の帯を伴う)を生じる一方、前記手 順により生成した等量の抱 合体が殆ど検出されないことが明示された。Coomassie染色の場合と同様に、突 然変異体FGF−SAPのウエスタンブロティングからは、非突然変異化塩基性 FGF及び非精製誘導化SAPを用いて合成した異質FGF−SAPの場合より もより高い均質性が示された。 2.〔C96S〕FGF−rSAP(CCFS4)の調製 実施例4に記載したようにクローン化し、BL21細胞中で発現させ、そして 単離した、N末端に付加されたcysを有する組換え体サポリン(SAP−Cy s−(−1))を(5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸))DTNB (エルマン試薬ともいう)と結合させた。rSAP及び〔C96S〕FGFを各 々10mM ジチオトレイトール(DTT)と反応させて、室温で1時間インキュベ ートし、抱合緩衝液(0.1 M NaPO4、100 NaCl、1mMEDTA,pH 7.5 )中でゲル濾過によりDTTを除去した。100倍モル余分量のDTNBをrSA Pに付加し、室温で1時間インキュベートした。未反応DTNBをゲル濾過によ り除去した。〔C96S〕FGFをDTNB処理SAPに付加し(〔C96S〕 FGF:SAPのモル比3:1)、室温で約1時間、又は4℃で16時間インキュ ベートした。混合物を10mM NaPO4、1mMEDTA,pH6中でヘパリン−セ ファロース上に載せて、抱合体及び遊離〔C96S〕FGFを10mM NaPO4 、1mMEDTA,pH6中の2 M NaClで溶離した。遊離〔C96S〕FGFを Sephacryl S100(Pharmacia)上でのゲル濾過により除去した。その結果生じた 抱合体をCCFS4と名付けた。 C.〔C78S〕FGF−SAP(CCFS2)、〔C96S〕FGF−SA P(CCFS3)及び〔C96S〕FGF−rSAP(CCFS4)の細胞毒性 いくつかの細胞型に対する2つの突然変異体FGF−SAPの細胞毒性を試験 した。異質FGF−SAP(CCFS1)は、SK−MEL−28細胞、ヒト黒 色腫細胞に対して非常に細胞毒性が高く、ED50は約8ng/mlであった。突然変 異体FGF−SAPもこれらの細胞に対して強い細胞毒性を示した。〔C78S 〕FGF−SAP及び〔C96S〕FGF−SAPは各々、異質化学的抱合体に 匹敵するED50を有し、これは突然変異体FGFが異質FGF−SAPと事実上 同程度にSAPを取り込むことができることを示す。 同様の結果は、卵巣癌細胞型、PA−1、Swiss 3T3細胞、B16F 10、マウス黒色腫及びBHK細胞に関しても得られた(表6)。 CCFS4をin vitro細胞毒性検定で試験し、その活性が野性型化学抱合体( CCFS1)と少なくとも同じくらい良好であることがわかった。 D.重複延長によるスプライシング(SOE)によるFGF−SAPムテイン の同質混合物の調製 1.Cys78のSer78への変換 (a)材料 (1)プラスミド 実施例2に記載のプラスミドPZIB(PZIB1と呼ぶ)をDNA鋳型とし て用いた。プライマーを以下のように調製した: (2)プライマー (a)プライマー#1 − プラスミドpZIBからのFGFコードDNAの 5’末端でのNdeIに及ぶ: (b)プライマー#2 − Cys78に及ぶヌクレオチド(Ser78を生 じる塩基変化を伴う配列番号12のヌクレオチド220〜249)に対するアン チセンスプライマー: (c)プライマー#3 − Cys78に及ぶヌクレオチド(Ser78を生 じる塩基変化を伴う配列番号12のヌクレオチド220〜249)に対するセン スプライマー: (d)プライマー#4 − pZIBにおけるFGFのNcoI部位に及ぶヌ クレオチド(配列番号12のヌクレオチド456〜485に対応する)に対する アンチセンスプライマー: (b)反応 (1)反応A PZIB1 DNA(100ng)をプライマー#l(50μM);プライマー#2( 50μM)、10mM Tris-HCl(pH8.3)、50mMKCl、0.1% ゼラチン、2mM Mg Cl2、0.2mM dNTPと混合した(Taqポリメラーゼ付加時の最終容量 100μl )。 (2)反応B 上記と同様。但しプライマー#3(50μM)及びプライマー#4(50μM)をプ ライマー#1及びプライマー#2の代わりに用いた。 各反応混合物を5分間95℃に加熱して、0.5 U TaqI DNAポリメラーゼ (1μl ;Boehringer Mannheim)を加え、混合物を100μl の鉱油(Perkin Elm er Cetus)で覆った。DNA Thermal Cycler(Ericomp)中でインキュベーション を実施した。各サイクルには、変性工程(95℃で1分)、アニーリング工程(60 ℃で1.5分)及び延長工程(75℃で3分)が含まれた。20サイクル後、反応混合 物を、最終延長のために75℃で10分間インキュベートした。生成物を2% アガロ ースゲル上で分解して、正しいサイズ(247bp及び250bp)のDNAを精製 した。ヌクレオシドトリホスフェート及びクレノウDNAポリメラーゼを付加し て、末端を修復した。 (3)反応C 反応A及び反応Bの各生成物1μl を、プライマー#1及び#4(各々の最終 濃度は50μM);10mM Tris-HCl(pH8.3)、50mMKCl、0.01% ゼラチン、2mM MgC12、0.2mM dNTPと混合した(Taqポリメラーゼ付加時の最終容 量100μl )。 その結果生じた反応混合物を5分間、95℃に加熱し、0.5 U TaqIDNA ポリメラーゼ(1μl ;Boehringer Mannheim)を加え、混合物を100μl の鉱油 (Perkin Elmer Cetus)で覆った。DNA Thermal Cycler(Ericomp)中でインキ ュベーションを実施した。各サイクルには、変性工程(95℃で1分)、アニーリ ング工程(60℃で1.5分)及び延長工程(75℃で3分)が含まれた。20サイクル 後、反応混合物を、最終延長のために75℃で10分間インキュベートした。 増幅生成物を1.5% アガロースゲル上で分解して、正しいサイズ (460bp)の断片(FGFC78S−SAPと呼ぶ)を精製した。 2.FGFC78/C96S−SAPをコードするDNAの生成 (a)材料 (1)鋳型 FGFC78S−SAPをコードするDNA。 (2)プライマー (a)プライマー#5 − Cys96に及ぶセンスプライマー(Ser96 を生じる塩基変化を伴う配列番号12のヌクレオチド275〜300): (b)プライマー#6 − Cys96に及ぶアンチセンスプライマー(Se r96を生じる塩基変化を伴う配列番号12のヌクレオチド275〜300): (b)反応 (1)反応D FGFC78S−SAPコードDNA(100ng)をプライマー#1(50μM); プライマー#2(50μM)、10mM Tris-HCl(pH8.3)、50mMKCl、0.01% ゼラ チン、2mM MgCl2、0.2mM dNTPと混合した(Taqポリメラーゼ付加 時の最終容量 100μl )。 (2)反応E 上記と同様。但しプライマー#4(50μM)及びプライマー#6(50μM)をプ ライマー#1及びプライマー#5の代わりに用いた。 各反応混合物を5分間95℃に加熱して、0.5 U TaqI DNA ポリメラーゼ(1μl ;Boehringer Mannheim)を加え、混合物を100μl の鉱油 (Perkin Elmer Cetus)で覆った。DNA Thermal Cycler(Ericomp)中でインキ ュベーションを実施した。各サイクルには、変性工程(95℃で1分)、アニーリ ング工程(60℃で1.5分)及び延長工程(75℃で3分)が含まれた。20サイクル 後、反応混合物を、最終延長のために75℃で10分間インキュベートした。生成物 を2% アガロースゲル上で分解して、正しいサイズ(297bp及び190bp)の DNAを精製した。ヌクレオシドトリホスフェート及びクレノウDNAポリメラ ーゼを付加して、末端を修復した。 (3)反応F 反応D及び反応Eの生成物(各々100ng)を、上記と同様にプライマー#1及 び#4と混合(Taqポリメラーゼ付加時の最終容量100μl )し、増幅した。 増幅生成物を1.5% アガロースゲル上で分解して、正しいサイズ(465bp)の 断片を精製した。その結果生じた生成物、即ちFGFC78/96S−SAPを コードするDNAは、NdeI及びNcoI末端を有した。それをNdeI及び NcoIで消化し、NdeI/NcoI消化PZ1B1及びNdeI/NcoI 消化PZ1C1(PZ1Cは上記実施例2で説明)に結紮した。その結果生じた 構築物をそれぞれPZ2B1及びPZ2C1と名付けた。 E.PZ2B1及びPZ2C1からの組換え体FGFC78/96S−SAP 融合タンパク質(FPFS4)の発現 FPFS1の生成に関して上記した2段階法を用いて、組換え体FGFC78 /96S−SAPタンパク質(以後FPFS4と呼ぶ)を生成した。 アンピシリン(100μg/ml)を含有するLB培地 250mlにPZIBの新鮮な グリセロールストックを植えつけて、OD600を0. 7として、4℃で一夜保存した。翌日、細胞をペレット化し、新鮮なLB培地( アンピシリン無含有)中に再懸濁した。細胞を5つの1lバッチに分けて、イン キュベーター振盪器中で30℃で増殖させてOD600を1.5とした。IPTG(Sigm a Chemical,St.Louis,MO)を加えて最終濃度を0.1mMとし、約2〜2.5時間増殖 を継続した後、遠心分離で細胞を収集した。 PZ2C1を増殖させるために、誘導前に、アンピシリンの代わりにカナマイ シン(50μg/ml)を含有した培地中で細胞を増殖させた。 F.生物学的活性 PZ2B1(FPFS4)から生成したムテインFGF−SAPの細胞毒性を SK MEL 28で評価した結果、野性型FGF−SAP化学抱合体、及びP ZIB1から生成した組換え体FGF−SAPの活性と少なくとも等価であった 。 PZ2B1から生成したムテインFGF−SAPのin vivo活性を動物で試験 した結果、PZIB1からのFGF−SAPより毒性が低いと思われた。 実施例7 マウス腫瘍異種移植モデルにおける野性型化学的抱合体及び融合タンパク質b FGF−SAPの治療活性 A.材料及び方法 実質的にはBeitz等(1992;Cancer Research 52:227-230)と同様の方法で、 下記の方法を実施した。 (1)試験計画 皮下腫瘍を有する63匹の無胸腺マウスに、被験物質の4週間ボーラス静注を施 した。腫瘍容積は61日間、週に2回測定した。 (2)被験物質 野性型化学的抱合体bFGF−SAPを、1.0mg/mlの濃度でダルベッコのリン 酸塩緩衝食塩水(PBS)中に供給した。大腸菌中の融合タンパク質bFGF− SAPは、9.0mg/mlの濃度でダルベッコのPBS中に供給した。塩基性FGFは 、1.0mg/mlの濃度でダルベッコのPBS中に供給した。サポリンは、1.0mg/mlの 濃度でダルベッコのPBS(0.01M リン酸塩、0.14M NaCl,pH7.4)中に供 給した。希釈液はすべて、0.1% ウシ血清アルブミン(NB 1005−18) を含有するダルベッコのPBS中に作製した。 (3)種 8〜12週齢の雌Balb/c nu/nu 無胸腺マウス(Roger William Hospital Animal Facility,Providence,RI)を無菌環境で飼育した。試験用に 、投与前日の体重が25〜30gの範囲の動物63匹を選択した。 (4)管理 動物は隔離室で飼育し、無菌条件下で取り扱った。実験期間中、餌及び水は自 由に摂取させた。 (5)腫瘍細胞 PA−1ヒト卵巣奇形癌細胞を、アメリカ培養細胞コレクション(Rockville ,MD; ATCC 受入れ番号CRL1572)から入手して、10% ウシ胎児血清を補足し たイーグル修正培地中で増殖させた。 (6)腫瘍移植 被験物質注射の5日前に、マウスの右後側腹部に腫瘍細胞(約2 x106 PA− 1ヒト卵巣奇形癌細胞/マウス)を皮下注射した。 (7)腫瘍サイズ測定 キャリパーを用いて各腫瘍の寸法を測定した。最大及び最小幅野測定(mm)は 、被験物質の注射前に、及び61日間は週2回、実施 した。腫瘍容積(mm3)は、次式: 容積=〔(最小測定値)2 (最大測定値)〕/2 を用いて計算した。 (8)用量調製 被験物質を適切な容量のPBS/0.1% BSAと混合して最終用量として、投 与物質を調製した。 (9)投与手順 各動物用に個別の注射液を調製した。マウスには週4回、5、12、19及び 26日目に、尾の静脈に静注(250〜300μl )し、1日目は腫瘍細胞をマウスに 注射する日とした。用量は、体重差により個々に変えた。 B.結果 − 腫瘍成長の阻害 全動物において、被験物質の注射前に、及び61日間は週2回、腫瘍を測定し た。全群の動物からの腫瘍は、処置開始5日目には約55〜60mm3であった。ビヒ クル処置群(0.1% BSAを含有するPBS)は、試験61日間に腫瘍容積が50倍 に増大した。他の対照群ハ、同様レベルの腫瘍成長を示した:SAP対照群は、 30倍の増大、bFGF対照群は50倍の増大、bFGF+SAP群は50倍の腫瘍容 積増大を示した。全対照群において、腫瘍の成長率は、61日間大体一貫していた 。処置群では、野性型化学的抱合体bFGF−SAP及び融合タンパク質bFG F−SAPを用いた場合、最初の30日間は対照と比較して統計学的に有意の腫瘍 成長の用量関連抑制が認められた。しかしながらこの期間が過ぎると腫瘍容積は 再び増大して、処置群と対照群とにもはや統計学的差は認められなかった。 50μg/kg/週融合タンパク質bFGF−SAP処置群は、対照の29% の腫瘍 容積を示したが、しかし30日まで生き残った動物は本処置群では2匹だけであっ たため、対照との比較はおこなわなかっ た。融合タンパク質bFGF−SAP5.0μg/kg/週投与は有意の腫瘍成長抑制 を示し、腫瘍容積は対照値の48% であった。0.5μg/kg/週融合タンパク質bF GF−SAP群は、26日までに腫瘍成長の有意の抑制を示し、腫瘍は対照の71% であった。30日目の0.5μg/kg/週野性型化学的抱合体bFGF−SAP及び融 合タンパク質bFGF−SAP群における腫瘍容積間の統計学的差は認められな かった。融合タンパク質bFGF−SAP群で生き残った動物は2匹岳であった ため、2つの50μg/kg/週処置群の統計学的比較は成されなかった。 全群で61日試験を生き残った動物は7匹であったが、但し50μg/kg/週化 学抱合体bFGF−SAP群では61日までに7匹中3匹が生き残り、び50μg /kg/週融合タンパク質bFGF−SAP群では61日までに7匹中1匹が生き 残った。 修正が成されることは当業者には明らかであるため、本発明は添付の請求の範 囲によってのみ限定されるものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI (C12N 1/21 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW, NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 ソスナウスキ,バーバラ エー. アメリカ合衆国,カリフォルニア 92118, サンディエゴ,コロナド,アデラ アベニ ュ 1013 (72)発明者 ラピ,ダグラス エー. アメリカ合衆国,カリフォルニア 92014, デル マー,カミニート デ ラス オラ ス 12842 (72)発明者 バード,アンドリュー ジェイ. アメリカ合衆国,カリフォルニア 92122, サンディエゴ,ビア パペル 5039

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.細胞毒性物質及び繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体と反応するポリペ プチドを包含する細胞毒性抱合体の単一起源性製剤であって: 細胞毒性抱合体がFGF受容体と結合して、FGF受容体を保有する細胞内に 細胞毒性物質を取込み;そして 単一起源性製剤中の実質的にすべての細胞毒性抱合体がFGF受容体と反応す るポリペプチドと同一モル比の細胞毒性物質を含有する製剤。 2.抱合体が化学的抱合体又は融合タンパク質である請求項1記載の製剤。 3.抱合体が次式: (FGF)n−(細胞毒性物質)m (式中、FGFは繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体と反応するポリペプチド であり; 抱合体はFGF受容体と結合して、FGF受容体を保有する細胞内に細胞毒性 物質を取込み; n及びmは同一であっても異なってもよく、1〜4であって;そして m又はn、あるいはm及びnが1より大きい場合には、抱合体はm個までの異 なる細胞毒性物質及びn個までのFGFポリペプチドを含有する)を有する請求 項1又は2記載の製剤。 4.抱合体が式 FGF−Ala−Met−SAP−Ala−Met−SAP (式中、FGFは1つ又はそれ以上のシステイン残基の置換又は欠失により修飾 されている)で示される請求項3記載の製剤。 5.FGFが塩基性FGFであり、位置78又は96あるいは両方のシステイ ン残基がセリンで置換される請求項4記載の製剤。 6.FGF受容体と反応するポリペプチドが位置78又は96でのセリン残基 によるシステイン残基の置換によりあるいは位置78及び96でのセリン残基に よるシステイン残基の置換によって修飾されている塩基性FGFであり、位置数 が配列番号24を参照して確定される請求項1〜4のいずれかに記載の単一起源 性製剤。 7.FGF受容体と反応するポリペプチドがセリンによるシステイン残基の置 換により修飾されていてその結果生じるFGF受容体反応性ポリペプチドが少な くとも2個のシステインを有し、FGF受容体と結合する能力を保持して、そし て結合細胞毒性物質を取り込み; FGF受容体と反応するポリペプチドがFGF−1、FGF−5、FGF−7 及びFGF−8から成る群から選択され; FGF−1がセリンによる位置31又は132でのシステイン残基の置換によ り修飾されていて; FGF−5がセリンによる位置19、93又は202でのあるいは位置19、 93又は202の少なくとも2箇所でのシステイン残基の置換により修飾されて いて; FGF−7がセリンによる位置18、23、32、46、71又は133での あるいは位置18、23、32、46、71又は133の少なくとも2箇所、あ るいは位置18、23、32、46、71又は133の少なくとも3箇所、ある いは位置18、23、32、46、71又は133の少なくとも4箇所、あるい は位置18、23、32、46、71又は133の少なくとも5箇所でのシステ イン残基の置換により修飾されていて; FGF−8がセリンによる位置10、19、109又は127で の、あるいは位置10、19、109又は127の少なくとも2箇所での、ある いは位置10、19、109及び127の少なくとも3箇所でのシステイン残基 の置換により修飾されていて;そして 位置数がFGF−1に関しては配列番号24、FGF−5に関しては配列番号 28、FGF−7に関しては配列番号30並びにFGF−8に関しては配列番号 31を参照して確定される請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。 8.細胞毒性物質がリボソーム不活化タンパク質である請求項1〜7のいずれ かに記載の製剤。 9.細胞毒性物質が実質的に純粋なモノ誘導化サポリンである請求項1〜8の いずれかに記載の製剤。 10.細胞毒性物質がN末端の約20個のアミノ酸残基での又はアミノ酸残基 内のシステイン残基の付加により又はシステインによる残基の置換により修飾さ れたサポリンであり;そして その結果生じる修飾サポリンが、真核細胞に取り込まれる場合、真核細胞に対 して有毒である請求項1〜8のいずれかに記載の製剤。 11.サポリンがFPS1、FPS2又はFPS3である請求項10記載の製 剤。 12.細胞毒性物質(単数又は複数)がメトトレキセート、アントラサイクリ ン及びシュードモナス外毒素から選択される請求項1〜8のいずれかに記載の製 剤。 13.請求項1〜12のいずれかに記載の細胞毒性抱合体の単一起源性製剤を 包含する組成物。 14.請求項1〜12のいずれかに記載の単一起源性製剤及び生理学的に許容 可能な賦形剤を包含する製薬組成物。 15.繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体と反応性のポリペプ チドのムテインを細胞毒性物質と反応させて細胞毒性抱合体の単一起源性製剤を 生成することを包含し、ムテインポリペプチドが別のアミノ酸による1つ又はそ れ以上のシステイン残基の置換により修飾されて、その結果生じるムテインが2 又は3個のシステインを有し、FGF受容体と結合する能力を保持して、結合細 胞毒性物質を取り込み;そして 細胞毒性物質が: (i)1個のシステインのみを含有し; (ii)ポリペプチド上のシステイン残基と反応する部分を導入するために誘 導された単一種の細胞毒性物質であるか;又は (iii)システイン残基の付加により修飾されていて、その結果生じる修飾 化物質が1個のシステインのみを含有する 請求項1記載の細胞毒性抱合体の製造方法。 16.FGF受容体と反応するポリペプチドが塩基性FGFであり;置換され るシステイン残基がCys78、Cys96又はCys78とCys96であり ;そして位置数が配列番号24を参照して確定される請求項15記載の方法。 17.FGF受容体と反応するポリペプチドがFGF−1、FGF−5、FG F−7及びFGF−8から成る群から選択され; FGF−1がセリンによる位置31又は132でのシステイン残基の置換によ り修飾されていて; FGF−5がセリンによる位置19、93又は202でのあるいは位置19、 93又は202の少なくとも2箇所でのシステイン残基の置換により修飾されて いて; FGF−7がセリンによる位置18、23、32、46、71又は133での あるいは位置18、23、32、46、71又は133の少なくとも2箇所、あ るいは位置18、23、32、46、7 1又は133の少なくとも3箇所、あるいは位置18、23、32、46、71 又は133の少なくとも4箇所、あるいは位置18、23、32、46、71又 は133の少なくとも5箇所でのシステイン残基の置換により修飾されていて; FGF−8がセリンによる位置10、19、109又は127での、あるいは 位置10、19、109又は127の少なくとも2箇所での、あるいは位置10 、19、109及び127の少なくとも3箇所でのシステイン残基の置換により 修飾されていて;そして 位置数がFGF−1に関しては配列番号24、FGF−5に関しては配列番号 28、FGF−7に関しては配列番号30並びにFGF−8に関しては配列番号 31を参照して確定される請求項15記載の方法。 18.細胞毒性物質が実質的に純粋なモノ誘導化サポリンである請求項15記 載の方法。 19.反応前に細胞毒性物質がN末端の約20個のアミノ酸残基での又はアミ ノ酸残基内のシステイン残基の付加により修飾されるサポリンであり、修飾サポ リンが、真核細胞に取り込まれる場合、真核細胞に対して有毒である請求項15 記載の方法。 20.細胞毒性物質がN末端の約20個のアミノ酸残基での又はアミノ酸残基 内のシステイン残基の付加により修飾された修飾サポリンであり、修飾サポリン が、真核細胞に取り込まれる場合、真核細胞に対して有毒である請求項1〜8の いずれかに記載の製剤。 21.修飾化サポリン及びFGF(繊維芽細胞成長因子)受容体と反応するポ リペプチドを包含する細胞毒性抱合体であって: FGF受容体と反応するポリペプチドがFGF受容体と結合して、FGF受容 体を保有する細胞内に細胞毒性物質を取込み; サポリンが修飾されてN末端に又は実質的に近くにシステイン残 基を含有し;そして 修飾化サポリンが、真核細胞に取り込まれる場合、真核細胞に有毒である 細胞毒性抱合体。 22.FGF受容体と反応するポリペプチドがFGF−1、FGF−2、FG F−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8及びF GF−9から成る群から選択される請求項21記載の抱合体。 23.CCFS2、CCFS3又はCCFS4である請求項21記載の抱合体 。 24.位置78又は96のシステイン残基がセリン残基に置換された、あるい は位置78及び96のシステイン残基がセリン残基に置換される場合を除いて、 各抱合体が配列番号12に示される配列を有する請求項1記載の製剤。 25.抱合体がFPFS2、FPFS3又はFPFS4である請求項24記載 の製剤。 26.細胞毒性物質と結合するFGF受容体と反応する修飾化ポリペプチドを 含有する細胞毒性抱合体をコードするヌクレオチドの配列を包含する単離DNA 断片であって: FGF受容体と反応するポリペプチドがセリンによるシステイン残基の置換に より修飾されて、その結果生じるFGF受容体と反応するポリペプチドが少なく とも1個のシステインを含有し、FGF受容体と結合する能力を保持して、結合 細胞毒性物質を取込み; 細胞毒性物質がn個のアミノ酸のリンカーペプチドを介して結合され;nが0 〜約30である DNA断片。 27.プロモーター領域及び転写ターミネーター領域をさらに包 含する請求項26記載のDNA断片であって: プロモーター領域が誘導プロモーターを含み; プロモーター領域及び転写ターミネーターが同一又は異なる遺伝子から別々に 選択され、任意にサポリン含有タンパク質をコードするDNAに結合される DNA断片。 28.細胞毒性物質がサポリンであり、サポリンのアミノ酸配列が配列番号3 、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7で示される請求項26記 載のDNA断片。 29.位置78及び96のシステイン残基がセリンに置換されるのを除いて、 FGFタンパク質のアミノ酸配列が配列番号12又は配列番号13で示される請 求項26〜28のいずれかに記載のDNA断片。 30.任意にサポリン含有タンパク質をコードするDNAに結合される分泌シ グナル配列をコードするDNAをさらに包含する請求項26〜29のいずれかに 記載のDNA断片。 31.分泌シグナルがompA又はompTである請求項30記載のDNA断 片。 32.プロモーターがT7プロモーター又はlacUV5プロモーターである 請求項27記載のDNA断片。 33.FGF受容体と反応するポリペプチドがFGF−1、FGF−3、FG F−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8及びFGF−9から 成る群から選択され: FGF−1が位置31又は132あるいは位置31及び132でのシステイン 残基の置換により修飾されていて; FGF−3が位置50でのシステイン残基の置換により修飾されており; FGF−4が位置88でのシステイン残基の置換により修飾されており; FGF−5が位置19、93又は202での、あるいは位置19、93又は2 02の少なくとも2箇所での、あるいは位置19、93及び202の全箇所での システイン残基の置換により修飾されていて; FGF−6が位置80でのシステイン残基の置換により修飾されており; FGF−7が位置18、23、32、46、71又は133でのあるいは位置 18、23、32、46、71又は133の少なくとも2箇所、あるいは位置1 8、23、32、46、71又は133の少なくとも3箇所、あるいは位置18 、23、32、46、71又は133の少なくとも4箇所、あるいは位置18、 23、32、46、71又は133の少なくとも5箇所での、あるいは位置18 、23、32、46、71及び133でのシステイン残基の置換により修飾され ていて; FGF−8がセリンによる位置10、19、109又は127での、あるいは 位置10、19、109又は127の少なくとも2箇所での、あるいは位置10 、19、109及び127の少なくとも3箇所でのシステイン残基の置換により 修飾されていて; FGF−9が位置68でのシステイン残基の置換により修飾されており;そし て 位置数がFGF−5に関しては配列番号28、FGF−7に関しては配列番号 30、GF−8に関しては配列番号31並びにFGF−9に関しては配列番号3 2を参照して確定される 請求項26〜32のいずれかに記載のDNA断片。 34.請求項26〜33のいずれかに記載のDNA断片を包含す るプラスミド。 35.PZ2B1及びPZ2C1である請求項34記載のプラスミド。 36.請求項34記載のプラスミドにより形質転換される大腸菌細胞。 37.細胞毒性抱合体が発現される条件下で請求項36記載の細胞を培養して ;細胞毒性抱合体を単離することを包含する大腸菌中での細胞毒性抱合体の単一 起源性製剤の製造方法。 38.治療的有効量の請求項13記載の組成物を投与することを包含するFG F媒介性病態生理学的症状の治療方法。 39.細胞に増殖阻害有効量の請求項13記載の組成物を接触させることを包 含するFGF受容体を保有する細胞の増殖阻害方法。
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