JPH0948793A - 3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸(azt−p−ddi)カルシウム塩、その製造法及びその用途 - Google Patents
3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸(azt−p−ddi)カルシウム塩、その製造法及びその用途Info
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- JPH0948793A JPH0948793A JP20114795A JP20114795A JPH0948793A JP H0948793 A JPH0948793 A JP H0948793A JP 20114795 A JP20114795 A JP 20114795A JP 20114795 A JP20114795 A JP 20114795A JP H0948793 A JPH0948793 A JP H0948793A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 抗ウイルス活性と安全性が高く、かつ物理化
学的にも安定なヌクレオチドダイマー、その製造法及び
これを有効成分とする医薬組成物を提供すること。 【解決手段】 下式で表されるヌクレオチドダイマーカ
ルシウム塩、すなわち、3′−アジド−3′−デオキシ
チミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−
5′−イノシン酸(AZT−P−DDI)カルシウム
塩、その製造法、ならびに当該カルウム塩を有効成分と
する医薬組成物。
学的にも安定なヌクレオチドダイマー、その製造法及び
これを有効成分とする医薬組成物を提供すること。 【解決手段】 下式で表されるヌクレオチドダイマーカ
ルシウム塩、すなわち、3′−アジド−3′−デオキシ
チミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−
5′−イノシン酸(AZT−P−DDI)カルシウム
塩、その製造法、ならびに当該カルウム塩を有効成分と
する医薬組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物理化学的に安定
な3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,
5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸
(AZT−P−DDI)カルシウム塩、その製造法及び
その用途に関するものである。
な3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,
5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸
(AZT−P−DDI)カルシウム塩、その製造法及び
その用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】3′−アジド−3′−デオキシチミジン
(AZT)は優れた抗HIV活性を有し、エイズ治療剤
として広く使用されている。しかし、AZTは、治療有
効量と毒性発生量との差が少なく、深刻な副作用を有す
るという欠点があった。かかる観点から、AZTに代わ
りうる抗レトロウイルス剤の開発が活発に行なわれた結
果、AZT−P−DDIが優れた抗HIV作用を有し、
かつ安全性も高いことからエイズ治療剤として有用であ
ることが報告されている(特公平5−46358号公
報、米国特許題5,187,163号、AIDS RESEARCH
AND HUMANRETROVIRUSES,4(6),449-455(1988) 、ANTIMIC
ROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY,34(6),1061-1067(199
0) )。
(AZT)は優れた抗HIV活性を有し、エイズ治療剤
として広く使用されている。しかし、AZTは、治療有
効量と毒性発生量との差が少なく、深刻な副作用を有す
るという欠点があった。かかる観点から、AZTに代わ
りうる抗レトロウイルス剤の開発が活発に行なわれた結
果、AZT−P−DDIが優れた抗HIV作用を有し、
かつ安全性も高いことからエイズ治療剤として有用であ
ることが報告されている(特公平5−46358号公
報、米国特許題5,187,163号、AIDS RESEARCH
AND HUMANRETROVIRUSES,4(6),449-455(1988) 、ANTIMIC
ROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY,34(6),1061-1067(199
0) )。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、AZT−P−D
DIは、次のような方法で合成されていた。すなわち、
シアノエチルりん酸バリウム塩を水に懸濁し、これにカ
チオン交換樹脂を加えて上記バリウム塩が溶解するまで
かき混ぜた後、ろ過して得られた溶液を上記と同じカチ
オン交換樹脂を充填したカラムに通液してバリウムイオ
ンを除去し、濃縮して得られた残留物にピリジンを加え
て溶解し、これにAZTを加え、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(DCC)を用いてシアノエチルりん酸とA
ZTとを縮合してAZTシアノエチルりん酸を調製す
る。反応後、反応液に水を加えて濃縮し、残留物に水を
加えて溶解後、不溶物をろ去して得られたろ液を濃縮
し、残留物をシリカゲルカラムクロマトにより精製して
AZTシアノエチルりん酸を得る。次に、AZTシアノ
エチルりん酸と2′,3′−ジデオキシイノシン(DD
I)をピリジンに溶解し、この溶液にメシチレンスルホ
ニルクロライドとN−メチルイミダゾールを加えて反応
後、反応液を濃縮して得られた残留物に15%水酸化ア
ンモニウム液を加えてかき混ぜた後、濃縮して得られた
残留物をシリカゲルカラムクロマトにより精製してAZ
T−P−DDIアンモニウム塩を得る。
DIは、次のような方法で合成されていた。すなわち、
シアノエチルりん酸バリウム塩を水に懸濁し、これにカ
チオン交換樹脂を加えて上記バリウム塩が溶解するまで
かき混ぜた後、ろ過して得られた溶液を上記と同じカチ
オン交換樹脂を充填したカラムに通液してバリウムイオ
ンを除去し、濃縮して得られた残留物にピリジンを加え
て溶解し、これにAZTを加え、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(DCC)を用いてシアノエチルりん酸とA
ZTとを縮合してAZTシアノエチルりん酸を調製す
る。反応後、反応液に水を加えて濃縮し、残留物に水を
加えて溶解後、不溶物をろ去して得られたろ液を濃縮
し、残留物をシリカゲルカラムクロマトにより精製して
AZTシアノエチルりん酸を得る。次に、AZTシアノ
エチルりん酸と2′,3′−ジデオキシイノシン(DD
I)をピリジンに溶解し、この溶液にメシチレンスルホ
ニルクロライドとN−メチルイミダゾールを加えて反応
後、反応液を濃縮して得られた残留物に15%水酸化ア
ンモニウム液を加えてかき混ぜた後、濃縮して得られた
残留物をシリカゲルカラムクロマトにより精製してAZ
T−P−DDIアンモニウム塩を得る。
【0004】しかしながら、上記方法には以下に列挙す
るような問題点があり、この製法上の欠点がAZT−P
−DDIの医薬品としての開発を困難なものとする1つ
の要因となっていた。従来法の問題点; (1)原料として使用するシアノエチルりん酸バリウム
塩は非常に高価なものである。 (2)シアノエチルりん酸バリウム塩は水に溶けない。
このため、シアノエチルりん酸バリウム塩を水に懸濁
後、カチオン交換樹脂を加えて上記バリウム塩が溶解す
るまでかき混ぜたり、溶解後に行うカチオン交換樹脂カ
ラム処理などはバリウムイオンを除去するための必須工
程である。しかしながら、このような工程は操作が煩雑
であり、工業的規模での大量生産には不向きである。 (3)シアノエチルりん酸とAZTの縮合に使用するD
CCは高価であるとともに取扱い難い薬品である。 (4)中間体及び最終製品の単離精製にシリカゲルを用
いたカラムクロマトグラフィー法が採用されているが、
シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー法は単位
体積当たりの処理量が少なく、大量の溶媒を必要とする
ため、製造コストを上昇させ、工業的規模での大量生産
には不向きである。
るような問題点があり、この製法上の欠点がAZT−P
−DDIの医薬品としての開発を困難なものとする1つ
の要因となっていた。従来法の問題点; (1)原料として使用するシアノエチルりん酸バリウム
塩は非常に高価なものである。 (2)シアノエチルりん酸バリウム塩は水に溶けない。
このため、シアノエチルりん酸バリウム塩を水に懸濁
後、カチオン交換樹脂を加えて上記バリウム塩が溶解す
るまでかき混ぜたり、溶解後に行うカチオン交換樹脂カ
ラム処理などはバリウムイオンを除去するための必須工
程である。しかしながら、このような工程は操作が煩雑
であり、工業的規模での大量生産には不向きである。 (3)シアノエチルりん酸とAZTの縮合に使用するD
CCは高価であるとともに取扱い難い薬品である。 (4)中間体及び最終製品の単離精製にシリカゲルを用
いたカラムクロマトグラフィー法が採用されているが、
シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー法は単位
体積当たりの処理量が少なく、大量の溶媒を必要とする
ため、製造コストを上昇させ、工業的規模での大量生産
には不向きである。
【0005】また、AZT−P−DDIは、アンモニウ
ム塩の形態が唯一の形態として実際に調製されていた
が、後述の実施例でも明らかなように、該アンモニウム
塩は固体状及び溶液状のいずれの状態においても物理化
学的に不安定であり、この安定性の欠如がAZT−P−
DDIの医薬品としての開発を困難なものとするもう1
つの要因となっていた。
ム塩の形態が唯一の形態として実際に調製されていた
が、後述の実施例でも明らかなように、該アンモニウム
塩は固体状及び溶液状のいずれの状態においても物理化
学的に不安定であり、この安定性の欠如がAZT−P−
DDIの医薬品としての開発を困難なものとするもう1
つの要因となっていた。
【0006】したがって、本発明の主な目的は物理化学
的に安定なAZT−P−DDIの新しい形態を見いだす
とともに、その新しい形態の、工業的規模での大量生産
が可能な製造法を提供することにある。
的に安定なAZT−P−DDIの新しい形態を見いだす
とともに、その新しい形態の、工業的規模での大量生産
が可能な製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、最初にA
ZT−P−DDIの種々の形態の安定性に関して鋭意検
討を重ねた結果、AZT−P−DDIのカルシウム塩が
固体状及び溶液状のいずれの状態においても物理化学的
に極めて安定であって、かつ薬理学的にもアンモニウム
塩と同等であることを見出した。そこで次に、AZT−
P−DDIカルシウム塩の工業的規模での大量生産に好
適な方法を検討し、本発明を完成させた。すなわち、本
発明は、下式で表されるAZT−P−DDIカルシウム
塩に関するものである。
ZT−P−DDIの種々の形態の安定性に関して鋭意検
討を重ねた結果、AZT−P−DDIのカルシウム塩が
固体状及び溶液状のいずれの状態においても物理化学的
に極めて安定であって、かつ薬理学的にもアンモニウム
塩と同等であることを見出した。そこで次に、AZT−
P−DDIカルシウム塩の工業的規模での大量生産に好
適な方法を検討し、本発明を完成させた。すなわち、本
発明は、下式で表されるAZT−P−DDIカルシウム
塩に関するものである。
【化3】
【0008】また、本発明は、AZT−P−DDIカル
シウム塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する
ものである。
シウム塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する
ものである。
【0009】さらに、本発明は、AZT−P−DDIの
合成中間体として有用な下式で表される3′−アジド−
3′−デオキシチミジンジシアノエチルりん酸(AZT
−DCEP)及びその製造法に関するものである。
合成中間体として有用な下式で表される3′−アジド−
3′−デオキシチミジンジシアノエチルりん酸(AZT
−DCEP)及びその製造法に関するものである。
【化4】
【0010】さらにまた、本発明は、下記のA〜C工程
を順次行うことを特徴とするAZT−P−DDIカルシ
ウム塩の製造法に関するものである: A工程:AZT−DCEPを水性溶媒に溶解し、トリエ
チルアミンを加えてpH10〜12に調整してAZTシ
アノエチルりん酸トリエチルアンモニウム塩(AZT−
CEP・TEA)を調製する工程
を順次行うことを特徴とするAZT−P−DDIカルシ
ウム塩の製造法に関するものである: A工程:AZT−DCEPを水性溶媒に溶解し、トリエ
チルアミンを加えてpH10〜12に調整してAZTシ
アノエチルりん酸トリエチルアンモニウム塩(AZT−
CEP・TEA)を調製する工程
【化5】 B工程:AZT−CEP・TEAと2′,3′−ジデオ
キシイノシン(DDI)を縮合剤を用いて反応させてA
ZT−P−DDIのシアノエチルりん酸トリエステル
(AZT−CEP−DDI)を調製する工程
キシイノシン(DDI)を縮合剤を用いて反応させてA
ZT−P−DDIのシアノエチルりん酸トリエステル
(AZT−CEP−DDI)を調製する工程
【化6】 C工程:AZT−CEP−DDIを水性溶媒に溶解し、
水酸化カルシウム水溶液(または懸濁液)を加えpH1
0〜12に調整してAZT−P−DDIカルシウム塩を
調製する工程
水酸化カルシウム水溶液(または懸濁液)を加えpH1
0〜12に調整してAZT−P−DDIカルシウム塩を
調製する工程
【化7】
【0011】さらにまた、本発明は、吸着樹脂を用いて
AZT−P−DDIカルシウム塩を精製することを特徴
とするAZT−P−DDIカルシウム塩の精製方法に関
するものである。
AZT−P−DDIカルシウム塩を精製することを特徴
とするAZT−P−DDIカルシウム塩の精製方法に関
するものである。
【0012】また、本発明は、AZT−P−DDIカル
シウム塩の水溶液にアルコールを添加してAZT−P−
DDIカルシウム塩を沈殿させ、この沈殿物を乾燥して
固体状のAZT−P−DDIカルシウム塩を得ることを
特徴とする固体状AZT−P−DDIカルシウム塩の製
造法に関するものである。
シウム塩の水溶液にアルコールを添加してAZT−P−
DDIカルシウム塩を沈殿させ、この沈殿物を乾燥して
固体状のAZT−P−DDIカルシウム塩を得ることを
特徴とする固体状AZT−P−DDIカルシウム塩の製
造法に関するものである。
【0013】さらにまた、本発明は、AZT−P−DD
Iのアンモニウム塩を水性溶媒に溶解し、(イ)この水
溶液を陰イオン交換樹脂と接触させた後、塩化カルシウ
ム溶液を用いてAZT−P−DDIのカルシウム塩を溶
出するか、(ロ)この水溶液に塩化カルシウムのアルコ
ール溶液を添加してAZT−P−DDIのカルシウム塩
を沈殿させる、いずれかの方法を行うことを特徴とする
AZT−P−DDIアンモニウム塩からのAZT−P−
DDIカルシウム塩の製造法に関するものである。
Iのアンモニウム塩を水性溶媒に溶解し、(イ)この水
溶液を陰イオン交換樹脂と接触させた後、塩化カルシウ
ム溶液を用いてAZT−P−DDIのカルシウム塩を溶
出するか、(ロ)この水溶液に塩化カルシウムのアルコ
ール溶液を添加してAZT−P−DDIのカルシウム塩
を沈殿させる、いずれかの方法を行うことを特徴とする
AZT−P−DDIアンモニウム塩からのAZT−P−
DDIカルシウム塩の製造法に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
AZT−P−DDIカルシウム塩の製法をAZTからの
反応経路でもって示せば、以下のフローチャートのとお
りである。
AZT−P−DDIカルシウム塩の製法をAZTからの
反応経路でもって示せば、以下のフローチャートのとお
りである。
【化8】
【0015】上記フローチャートにおいて、重要な中間
体はAZT−DCEPである。この化合物を経由するこ
とにより、従来法の欠点を克服し、工業的規模での大量
生産に好適な方法を提供することが可能となったのであ
る。このようなAZT−DCEPの調製は、上記フロー
チャートに示すように、AZTとオキシ塩化りんとを反
応させてAZT−DCPを調製し、得られたAZT−D
CPとエチレンシアノヒドリンとを反応させることによ
り実施することができる。すなわち、まず、AZTをア
セトニトリル、酢酸エチル、ジオキサン、トリエチルり
ん酸などの適当な溶媒に溶解または懸濁させ、10℃以
下に冷却後、AZT 1モルに対して1〜3倍モルのオ
キシ塩化りんを加え、−5〜30℃、好ましくは20〜
30℃で1〜10時間程度反応させてAZT−DCPを
調製する。次いで、AZT−DCPを反応液から単離す
ることなく、この反応液へAZT1モルに対して4〜1
2倍モルのエチレンシアノヒドリン(β−シアノエタノ
ール)を加え、−10〜20℃、好ましくは5℃以下に
冷却しながらピリジン、トリエチルアミンなどの塩基を
滴下し、1〜5時間程度撹拌することでAZT−DCE
Pを調製することができる。このようにして得られたA
ZT−DCEPは、反応液の溶媒を留去して得られた残
留物を水と有機溶媒(クロロホルム、酢酸エチルなど)
で分配し、有機溶媒層を濃縮することにより粗精製物と
して取得することができる。さらに、精製度を上げる必
要がある場合には、吸着樹脂を用いたカラムクロマトグ
ラフィ−処理に付すことによりAZT−DCEPを単離
精製することができる。使用する吸着樹脂としては、芳
香族系の合成吸着剤を挙げることができ、具体的にはH
P20などのHPシリーズ、SP206などのSPシリ
ーズ(いずれも三菱化学社製)を例示することができ
る。溶出溶媒としては、水、0.1〜30%程度のアル
コール水(メタノール水、エタノール水など)、0.0
1〜0.2M程度のトリエチルアミン水溶液及び0.1
〜1Nのアンモニア水を必要により適宜組み合わせて使
用することができる。
体はAZT−DCEPである。この化合物を経由するこ
とにより、従来法の欠点を克服し、工業的規模での大量
生産に好適な方法を提供することが可能となったのであ
る。このようなAZT−DCEPの調製は、上記フロー
チャートに示すように、AZTとオキシ塩化りんとを反
応させてAZT−DCPを調製し、得られたAZT−D
CPとエチレンシアノヒドリンとを反応させることによ
り実施することができる。すなわち、まず、AZTをア
セトニトリル、酢酸エチル、ジオキサン、トリエチルり
ん酸などの適当な溶媒に溶解または懸濁させ、10℃以
下に冷却後、AZT 1モルに対して1〜3倍モルのオ
キシ塩化りんを加え、−5〜30℃、好ましくは20〜
30℃で1〜10時間程度反応させてAZT−DCPを
調製する。次いで、AZT−DCPを反応液から単離す
ることなく、この反応液へAZT1モルに対して4〜1
2倍モルのエチレンシアノヒドリン(β−シアノエタノ
ール)を加え、−10〜20℃、好ましくは5℃以下に
冷却しながらピリジン、トリエチルアミンなどの塩基を
滴下し、1〜5時間程度撹拌することでAZT−DCE
Pを調製することができる。このようにして得られたA
ZT−DCEPは、反応液の溶媒を留去して得られた残
留物を水と有機溶媒(クロロホルム、酢酸エチルなど)
で分配し、有機溶媒層を濃縮することにより粗精製物と
して取得することができる。さらに、精製度を上げる必
要がある場合には、吸着樹脂を用いたカラムクロマトグ
ラフィ−処理に付すことによりAZT−DCEPを単離
精製することができる。使用する吸着樹脂としては、芳
香族系の合成吸着剤を挙げることができ、具体的にはH
P20などのHPシリーズ、SP206などのSPシリ
ーズ(いずれも三菱化学社製)を例示することができ
る。溶出溶媒としては、水、0.1〜30%程度のアル
コール水(メタノール水、エタノール水など)、0.0
1〜0.2M程度のトリエチルアミン水溶液及び0.1
〜1Nのアンモニア水を必要により適宜組み合わせて使
用することができる。
【0016】こうして得られたAZT−DCEPからの
AZT−P−DDIカルシウム塩の調製は、上記フロー
チャートに示すように、下記のA〜Cの三工程を順次行
うことにより実施することができる。A工程 :AZT−DCEPを水性溶媒に溶解し、トリエ
チルアミンを加えてpH10〜12に調整してAZT−
CEP・TEAを調製する工程。 AZT−DCEPを溶解させる水性溶媒としては、水ま
たは含水アルコールなどの水とアルコールとの混合溶媒
を例示することができる。このような水性溶媒にAZT
−DCEPを溶解させ、これにトリエチルアミンを加え
てpHを10〜12、好ましくは11前後に調整し、1
0〜30℃で10〜120分間かきまぜてシアノエチル
基を加水分解し、AZT−CEP・TEAを調製する。
得られた反応液を必要により濃縮し、さらに必要によ
り、上記AZT−DCEPの精製の場合と同様に吸着樹
脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に付して精製
し、次のB工程に供する。
AZT−P−DDIカルシウム塩の調製は、上記フロー
チャートに示すように、下記のA〜Cの三工程を順次行
うことにより実施することができる。A工程 :AZT−DCEPを水性溶媒に溶解し、トリエ
チルアミンを加えてpH10〜12に調整してAZT−
CEP・TEAを調製する工程。 AZT−DCEPを溶解させる水性溶媒としては、水ま
たは含水アルコールなどの水とアルコールとの混合溶媒
を例示することができる。このような水性溶媒にAZT
−DCEPを溶解させ、これにトリエチルアミンを加え
てpHを10〜12、好ましくは11前後に調整し、1
0〜30℃で10〜120分間かきまぜてシアノエチル
基を加水分解し、AZT−CEP・TEAを調製する。
得られた反応液を必要により濃縮し、さらに必要によ
り、上記AZT−DCEPの精製の場合と同様に吸着樹
脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に付して精製
し、次のB工程に供する。
【0017】B工程:AZT−CEP・TEAとDDI
とを縮合剤を用いて反応させてAZT−CEP−DDI
を調製する工程。 反応に使用する縮合剤としては、メシチレンスルホニル
クロライド、p−トルエンスルホニルクロライド(トシ
ルクロライド)、メタンスルホニルクロライド(メシル
クロライド)などを例示することができる。縮合反応
は、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基性溶媒中、
AZT−CEP・TEA 1モルに対し1〜3倍モルの
DDI及び0.5〜2倍モルの縮合剤を用い、10〜3
0℃で10〜50時間程度かきまぜることにより実施す
ることができる。また、反応液中に1−メチルイミダゾ
ールなどの酸受容体を添加することにより、縮合反応を
効率的に進行させることができる。得られた反応液の溶
媒を留去し、さらに必要により、上記A工程の場合と同
様に吸着樹脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に
付してAZT−CEP−DDIを精製し、次のC工程に
供する。
とを縮合剤を用いて反応させてAZT−CEP−DDI
を調製する工程。 反応に使用する縮合剤としては、メシチレンスルホニル
クロライド、p−トルエンスルホニルクロライド(トシ
ルクロライド)、メタンスルホニルクロライド(メシル
クロライド)などを例示することができる。縮合反応
は、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基性溶媒中、
AZT−CEP・TEA 1モルに対し1〜3倍モルの
DDI及び0.5〜2倍モルの縮合剤を用い、10〜3
0℃で10〜50時間程度かきまぜることにより実施す
ることができる。また、反応液中に1−メチルイミダゾ
ールなどの酸受容体を添加することにより、縮合反応を
効率的に進行させることができる。得られた反応液の溶
媒を留去し、さらに必要により、上記A工程の場合と同
様に吸着樹脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に
付してAZT−CEP−DDIを精製し、次のC工程に
供する。
【0018】C工程:AZT−CEP−DDIを水性溶
媒に溶解し、水酸化カルシウム水溶液(または懸濁液)
を加えてpH10〜12に調整してAZT−P−DDI
カルシウム塩を調製する工程。 AZT−CEP−DDIを溶解させる水性溶媒として
は、水または含水アルコールなどの水とアルコールとの
混合溶媒を例示することができる。このような水性溶媒
にAZT−CEP−DDIを溶解させ、これに水酸化カ
ルシウム水溶液(または懸濁液)を加えてpHを10〜
12、好ましくは11前後に調整し、10〜30℃で1
〜3時間かきまぜてシアノエチル基を除去し、AZT−
P−DDIカルシウム塩を調製する。
媒に溶解し、水酸化カルシウム水溶液(または懸濁液)
を加えてpH10〜12に調整してAZT−P−DDI
カルシウム塩を調製する工程。 AZT−CEP−DDIを溶解させる水性溶媒として
は、水または含水アルコールなどの水とアルコールとの
混合溶媒を例示することができる。このような水性溶媒
にAZT−CEP−DDIを溶解させ、これに水酸化カ
ルシウム水溶液(または懸濁液)を加えてpHを10〜
12、好ましくは11前後に調整し、10〜30℃で1
〜3時間かきまぜてシアノエチル基を除去し、AZT−
P−DDIカルシウム塩を調製する。
【0019】得られた反応液のpHを6〜8の中性付近
に調整後、上記AあるいはB工程の場合と同様に吸着樹
脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に付すことに
よりAZT−P−DDIカルシウム塩を精製することが
できる。このようにして得られたAZT−P−DDIカ
ルシウム塩の水溶液にアルコールを添加してAZT−P
−DDIカルシウム塩を沈殿させ、この沈殿物を乾燥す
ることにより固体状のAZT−P−DDIカルシウム塩
を得ることができる。添加するアルコールとしては、メ
タノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数1〜
5程度のものを使用することができる。アルコール添加
により得られた沈殿物を粉末化し、必要により水への溶
解、アルコール沈殿、粉末化を数回繰り返した後、10
〜80℃程度の温度条件下で通常の乾燥処理(通風乾
燥、減圧乾燥、加熱乾燥など)を施して固体状のAZT
−P−DDIカルシウム塩を得ることができる。
に調整後、上記AあるいはB工程の場合と同様に吸着樹
脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に付すことに
よりAZT−P−DDIカルシウム塩を精製することが
できる。このようにして得られたAZT−P−DDIカ
ルシウム塩の水溶液にアルコールを添加してAZT−P
−DDIカルシウム塩を沈殿させ、この沈殿物を乾燥す
ることにより固体状のAZT−P−DDIカルシウム塩
を得ることができる。添加するアルコールとしては、メ
タノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数1〜
5程度のものを使用することができる。アルコール添加
により得られた沈殿物を粉末化し、必要により水への溶
解、アルコール沈殿、粉末化を数回繰り返した後、10
〜80℃程度の温度条件下で通常の乾燥処理(通風乾
燥、減圧乾燥、加熱乾燥など)を施して固体状のAZT
−P−DDIカルシウム塩を得ることができる。
【0020】また、上記フローチャートで示した方法と
は別に、簡便な方法により既存のAZT−P−DDIの
アンモニウム塩をAZT−P−DDIのカルシウム塩に
変換することによりAZT−P−DDIのカルシウム塩
を調製することもできる。すなわち、AZT−P−DD
Iのアンモニウム塩を水などの水性溶媒に溶解し、
(イ)この水溶液を陰イオン交換樹脂と接触させた後、
0.03〜0.3Mの塩化カルシウム水溶液を用いてA
ZT−P−DDIのカルシウム塩を溶出するか、(ロ)
この水溶液に塩化カルシウムのアルコール溶液を添加し
てAZT−P−DDIのカルシウム塩を沈殿させるか、
いずれかの方法により行うことができる。
は別に、簡便な方法により既存のAZT−P−DDIの
アンモニウム塩をAZT−P−DDIのカルシウム塩に
変換することによりAZT−P−DDIのカルシウム塩
を調製することもできる。すなわち、AZT−P−DD
Iのアンモニウム塩を水などの水性溶媒に溶解し、
(イ)この水溶液を陰イオン交換樹脂と接触させた後、
0.03〜0.3Mの塩化カルシウム水溶液を用いてA
ZT−P−DDIのカルシウム塩を溶出するか、(ロ)
この水溶液に塩化カルシウムのアルコール溶液を添加し
てAZT−P−DDIのカルシウム塩を沈殿させるか、
いずれかの方法により行うことができる。
【0021】こうして得られたAZT−P−DDIカル
シウム塩は、後述の試験例の結果から明らかなように、
優れた抗HIV活性を有し、安全性が高く、かつ固体状
態もしくは溶液状態での物理化学的な安定性に優れてい
る。従って、本発明のAZT−P−DDIのカルシウム
塩を有効成分として含有する医薬組成物は、RNAウイ
ルス、特にHIVなどのレトロウイルスの感染の予防ま
たは治療に有用であり、ウイルスの感染の予防または治
療のため(特にエイズ治療のため)、経口、経腸、非経
口、局所投与などのいずれの経路によってもヒトに投与
することができる。投与量は、患者の年齢、病態、体重
などに応じ適宜決定されるが、通常は1日当たり0.0
1〜1000mg/kg体重、好ましくは0.1〜10
0mg/kg体重の範囲内から選ばれ、一回または複数
回に分けて投与される。
シウム塩は、後述の試験例の結果から明らかなように、
優れた抗HIV活性を有し、安全性が高く、かつ固体状
態もしくは溶液状態での物理化学的な安定性に優れてい
る。従って、本発明のAZT−P−DDIのカルシウム
塩を有効成分として含有する医薬組成物は、RNAウイ
ルス、特にHIVなどのレトロウイルスの感染の予防ま
たは治療に有用であり、ウイルスの感染の予防または治
療のため(特にエイズ治療のため)、経口、経腸、非経
口、局所投与などのいずれの経路によってもヒトに投与
することができる。投与量は、患者の年齢、病態、体重
などに応じ適宜決定されるが、通常は1日当たり0.0
1〜1000mg/kg体重、好ましくは0.1〜10
0mg/kg体重の範囲内から選ばれ、一回または複数
回に分けて投与される。
【0022】本発明の医薬組成物は、通常医薬に使用さ
れる賦形剤、その他の添加剤を通常の配合割合で含むも
のとして調製し、かつ使用するのが一般的である。これ
らの例として、固体状のものとしては、乳糖、カオリ
ン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、タル
ク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグ
ネシウム、レシチン、塩化ナトリウムなどが挙げられ、
液体状のものとしては、グリセリン、落花生油、ポリビ
ニルピロリドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルア
ルコール、プロピレングリコール、水などが挙げられ
る。
れる賦形剤、その他の添加剤を通常の配合割合で含むも
のとして調製し、かつ使用するのが一般的である。これ
らの例として、固体状のものとしては、乳糖、カオリ
ン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、タル
ク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグ
ネシウム、レシチン、塩化ナトリウムなどが挙げられ、
液体状のものとしては、グリセリン、落花生油、ポリビ
ニルピロリドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルア
ルコール、プロピレングリコール、水などが挙げられ
る。
【0023】組成物の剤形としては任意の形態を採るこ
とができ、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル化剤、
坐剤、トローチ剤などの固形製剤、シロップ、乳液、軟
ゼラチンカプセル、クリーム、ゲル、ペースト、スプレ
ー、注射などの液状製剤が挙げられる。
とができ、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル化剤、
坐剤、トローチ剤などの固形製剤、シロップ、乳液、軟
ゼラチンカプセル、クリーム、ゲル、ペースト、スプレ
ー、注射などの液状製剤が挙げられる。
【0024】
【実施例】以下、実施例および試験例でもって本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。例1 :AZT−DCEPの調製 AZT 215g(805mmol)をアセトニトリル
1.6Lに加え、10℃以下に冷却し、さらにオキシ塩
化りん147mlを加えて20〜25℃で4時間かきま
ぜてAZT−DCPを合成した(収率約90%)。この
反応液にエチレンシアノヒドリン(β−シアノエタノー
ル)352mlを加え、ピリジン800mlを5℃以下
に冷却しながら滴下し、更に1時間かきまぜてAZT−
DCEPを合成した。反応液に水を加えてかき混ぜた
後、濃縮してアセトニトリルおよびピリジンを留去し
た。残留物に水を加えて溶解させ、全量を16Lとし、
これを吸着樹脂HP20(三菱化学)カラムに吸着さ
せ、水洗(40L)後、10%エタノール(80L)お
よび20%エタノール(200L)で溶出した。HPL
C純度98%以上の分画を集めて濃縮し、AZT−DC
EP245g(収率67%)を得た。 FAB Mass:454(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):11.34(s,1H),
7.47(d,J=1.0Hz,1H),6.13
(t,J=6.6Hz,1H),4.48(dt,J=
7.3,5.1Hz,1H),4.28〜4.19
(m,6H),4.02(dd,J=9.3,4.4H
z,1H),2.94(t,J=5.9Hz,2H),
2.42(m,1H),2.32(m,1H),1.7
9(s,3H)
更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。例1 :AZT−DCEPの調製 AZT 215g(805mmol)をアセトニトリル
1.6Lに加え、10℃以下に冷却し、さらにオキシ塩
化りん147mlを加えて20〜25℃で4時間かきま
ぜてAZT−DCPを合成した(収率約90%)。この
反応液にエチレンシアノヒドリン(β−シアノエタノー
ル)352mlを加え、ピリジン800mlを5℃以下
に冷却しながら滴下し、更に1時間かきまぜてAZT−
DCEPを合成した。反応液に水を加えてかき混ぜた
後、濃縮してアセトニトリルおよびピリジンを留去し
た。残留物に水を加えて溶解させ、全量を16Lとし、
これを吸着樹脂HP20(三菱化学)カラムに吸着さ
せ、水洗(40L)後、10%エタノール(80L)お
よび20%エタノール(200L)で溶出した。HPL
C純度98%以上の分画を集めて濃縮し、AZT−DC
EP245g(収率67%)を得た。 FAB Mass:454(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):11.34(s,1H),
7.47(d,J=1.0Hz,1H),6.13
(t,J=6.6Hz,1H),4.48(dt,J=
7.3,5.1Hz,1H),4.28〜4.19
(m,6H),4.02(dd,J=9.3,4.4H
z,1H),2.94(t,J=5.9Hz,2H),
2.42(m,1H),2.32(m,1H),1.7
9(s,3H)
【0025】例2:AZT−P−DDIのカルシウム塩
〔(AZT−P−DDI)2 Ca〕の 調製 (1)AZT−CEP・TEAの調製 AZT−DCEP 245g(540mmol)の水溶
液へトリエチルアミンを加え、pH11に調整しながら
室温で30分間かきまぜた後、濃縮し、AZT−CEP
・TEA270g(538mmol 収率67%)を得
た。 FAB Mass:502(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):11.30(s,1H),
10.25(brs,1H),7.77(d,J=1.
0Hz,1H),6.14(t,J=6.8Hz,1
H),4.48(dt,J=7.3,3.8Hz,1
H),3.96(m,1H),3.88(m,2H),
3.82(dd,J=13.7,6.4Hz,2H),
3.05(q,J=7.2Hz,6H),2.75
(t,J=6.1Hz,2H),2.38(m,1
H),2.27(m,1H),1.82(d,J=1.
0Hz,3H),1.81(t,J=7.3Hz,9
H)
〔(AZT−P−DDI)2 Ca〕の 調製 (1)AZT−CEP・TEAの調製 AZT−DCEP 245g(540mmol)の水溶
液へトリエチルアミンを加え、pH11に調整しながら
室温で30分間かきまぜた後、濃縮し、AZT−CEP
・TEA270g(538mmol 収率67%)を得
た。 FAB Mass:502(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):11.30(s,1H),
10.25(brs,1H),7.77(d,J=1.
0Hz,1H),6.14(t,J=6.8Hz,1
H),4.48(dt,J=7.3,3.8Hz,1
H),3.96(m,1H),3.88(m,2H),
3.82(dd,J=13.7,6.4Hz,2H),
3.05(q,J=7.2Hz,6H),2.75
(t,J=6.1Hz,2H),2.38(m,1
H),2.27(m,1H),1.82(d,J=1.
0Hz,3H),1.81(t,J=7.3Hz,9
H)
【0026】(2)AZT−CEP−DDIの調製 AZT−CEP・TEA 251g(500mmol)
のピリジン溶液(2.5L)にトシルクロライド190
gを加え、室温で15分間かきまぜ、1−メチルイミダ
ゾール175mlを加え、室温で15分間かきまぜた
後、DDI 130gを加え、室温で一夜かきまぜてA
ZT−CEP−DDIを合成した。反応液に水を加えて
かきまぜた後、濃縮してピリジンを留去し、残留物に水
を加えて溶解させた。この溶液を吸着樹脂HP20(5
L)カラムに吸着させ、水洗(10L)後、10%エタ
ノール(50L)、20%エタノール(100L)およ
び30%エタノール(25L)で溶出し、HPLCで純
度95%以上の画分を濃縮し、AZT−CEP−DDI
140g(226mmol 収率45%)を得た。 FAB Mass:619(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):12.35(brs,1
H),11.34(s,1H),8.22(d,J=
1.0Hz,1H),8.04(d,J=2.9Hz,
1H),7.47(d,J=2.9Hz,1H),6.
24(m,1H),6.12(m,1H),4.44
(m,1H),4.32(m,1H),4.29〜4.
12(m,6H),3.98 (m,1H),2.89
(m,2H),2.50〜2.27(m,4H),2.
16〜2.04(m,2H),1.76(t,J=2.
9Hz,3H)
のピリジン溶液(2.5L)にトシルクロライド190
gを加え、室温で15分間かきまぜ、1−メチルイミダ
ゾール175mlを加え、室温で15分間かきまぜた
後、DDI 130gを加え、室温で一夜かきまぜてA
ZT−CEP−DDIを合成した。反応液に水を加えて
かきまぜた後、濃縮してピリジンを留去し、残留物に水
を加えて溶解させた。この溶液を吸着樹脂HP20(5
L)カラムに吸着させ、水洗(10L)後、10%エタ
ノール(50L)、20%エタノール(100L)およ
び30%エタノール(25L)で溶出し、HPLCで純
度95%以上の画分を濃縮し、AZT−CEP−DDI
140g(226mmol 収率45%)を得た。 FAB Mass:619(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):12.35(brs,1
H),11.34(s,1H),8.22(d,J=
1.0Hz,1H),8.04(d,J=2.9Hz,
1H),7.47(d,J=2.9Hz,1H),6.
24(m,1H),6.12(m,1H),4.44
(m,1H),4.32(m,1H),4.29〜4.
12(m,6H),3.98 (m,1H),2.89
(m,2H),2.50〜2.27(m,4H),2.
16〜2.04(m,2H),1.76(t,J=2.
9Hz,3H)
【0027】(3)AZT−P−DDIカルシウム塩の
調製 AZT−CEP−DDI 140g(226mmol)
をCa(OH)2 水溶液に加え、pH10〜11に調整
しながら室温で1時間かきまぜた後、pH7.0に調整
し、吸着樹脂HP20(5L)カラムに吸着させた。水
洗(5L)後、5%エタノール(125L)で溶出し、
HPLCで純度98%以上の画分を濃縮した。この濃縮
液へかき混ぜながらエタノールを加えて沈殿させ、沈殿
を粉末化させた後、ろ取した。ろ取した沈殿に水を加え
て溶解させ、エタノールを加えて再び沈殿、粉末化させ
た後、ろ取し、80℃で8時間減圧乾燥し、AZT−P
−DDIカルシウム塩 114g(195mol 収率
37%)を得た。
調製 AZT−CEP−DDI 140g(226mmol)
をCa(OH)2 水溶液に加え、pH10〜11に調整
しながら室温で1時間かきまぜた後、pH7.0に調整
し、吸着樹脂HP20(5L)カラムに吸着させた。水
洗(5L)後、5%エタノール(125L)で溶出し、
HPLCで純度98%以上の画分を濃縮した。この濃縮
液へかき混ぜながらエタノールを加えて沈殿させ、沈殿
を粉末化させた後、ろ取した。ろ取した沈殿に水を加え
て溶解させ、エタノールを加えて再び沈殿、粉末化させ
た後、ろ取し、80℃で8時間減圧乾燥し、AZT−P
−DDIカルシウム塩 114g(195mol 収率
37%)を得た。
【0028】FAB Mass:604(M+C
a)+ ,1169(2M+Ca+H)+ NMR(D2 O):8.32(s,1H),8.15
(s,1H),7.51(s,1H),6.30(do
ublet of triplet,J=6.8,2.
9Hz,1H),6.13(t,J=6.4Hz,1
H),4.47(m,1H),4.36(double
t of triplet,J=6.8,4.4Hz,
1H),4.12(doublet of tripl
et,J=11.2,3.2Hz,1H),4.06〜
3.97(m,4H),2.67(m,1H),2.5
7(m,1H),2.40(m,2H),2.28
(m,1H),2.18(m,1H),1.73(s,
3H)
a)+ ,1169(2M+Ca+H)+ NMR(D2 O):8.32(s,1H),8.15
(s,1H),7.51(s,1H),6.30(do
ublet of triplet,J=6.8,2.
9Hz,1H),6.13(t,J=6.4Hz,1
H),4.47(m,1H),4.36(double
t of triplet,J=6.8,4.4Hz,
1H),4.12(doublet of tripl
et,J=11.2,3.2Hz,1H),4.06〜
3.97(m,4H),2.67(m,1H),2.5
7(m,1H),2.40(m,2H),2.28
(m,1H),2.18(m,1H),1.73(s,
3H)
【0029】例3:AZT−P−DDIアンモニウム塩
からAZT−P−DDIカルシウム塩の調製 AZT−P−DDIアンモニウム塩2gを水2mlに溶
解し、これに塩化カルシウム0. 5gを水1mlに溶解
させた液を添加後、かきまぜながらエタノール50ml
を添加した。生じた沈殿をろ取し、得られた沈殿に水を
加えて溶解後、かきまぜながらエタノールを添加して再
び沈殿させた。沈殿をろ取し、減圧下80℃で4時間乾
燥させてAZT−P−DDIのカルシウム塩1.6gを
得た。得られたAZT−P−DDIのカルシウムの定量
値(含量)は3. 39%であり、理論値3. 43%とほ
ぼ一致した。
からAZT−P−DDIカルシウム塩の調製 AZT−P−DDIアンモニウム塩2gを水2mlに溶
解し、これに塩化カルシウム0. 5gを水1mlに溶解
させた液を添加後、かきまぜながらエタノール50ml
を添加した。生じた沈殿をろ取し、得られた沈殿に水を
加えて溶解後、かきまぜながらエタノールを添加して再
び沈殿させた。沈殿をろ取し、減圧下80℃で4時間乾
燥させてAZT−P−DDIのカルシウム塩1.6gを
得た。得られたAZT−P−DDIのカルシウムの定量
値(含量)は3. 39%であり、理論値3. 43%とほ
ぼ一致した。
【0030】試験例1:固体状態における安定性試験 AZT−P−DDIのカルシウム塩と同アンモニウム塩
を25℃、75%RHおよび40℃、75%RHの条件
下に保存し、経時的に純度をHPLCにより測定した。
その結果、表1及び表2に示すように、AZT−P−D
DIのカルシウム塩は、同アンモニウム塩に比べ、固体
状態での安定性が極めて高いことが判明した。
を25℃、75%RHおよび40℃、75%RHの条件
下に保存し、経時的に純度をHPLCにより測定した。
その結果、表1及び表2に示すように、AZT−P−D
DIのカルシウム塩は、同アンモニウム塩に比べ、固体
状態での安定性が極めて高いことが判明した。
【表1】
【表2】
【0031】試験例2:溶液中での安定性試験 AZT−P−DDIのカルシウム塩および同アンモニウ
ム塩につき、それぞれの1%(w/v)水溶液を調製
し、40℃にて保存し、経時的にその純度をHPLCで
測定した。その結果、表3に示すように、AZT−P−
DDIのカルシウム塩は、同アンモニウム塩に比べて水
溶液中での安定性が極めて高いことが判明した。
ム塩につき、それぞれの1%(w/v)水溶液を調製
し、40℃にて保存し、経時的にその純度をHPLCで
測定した。その結果、表3に示すように、AZT−P−
DDIのカルシウム塩は、同アンモニウム塩に比べて水
溶液中での安定性が極めて高いことが判明した。
【表3】
【0032】試験例3:薬理試験 AZT−P−DDIのカルシウム塩と同アンモニウム塩
について、抗HIV活性及び細胞毒性を常法に従って試
験した結果、両者はほぼ同等で差を見いだすことができ
なかった。
について、抗HIV活性及び細胞毒性を常法に従って試
験した結果、両者はほぼ同等で差を見いだすことができ
なかった。
【0033】
【発明の効果】本発明のAZT−P−DDIのカルシウ
ム塩は、優れた抗ウイルス活性と安全性を有し、かつ物
理化学的にも安定であるため、抗HIV剤等の医薬品と
して有用である。また、本発明のAZT−P−DDIの
カルシウム塩の製造法、精製法、合成中間体及びその製
造法は、従来の方法の欠点を克服でき、工業的規模での
大量生産に好適なものである。さらに、AZT−P−D
DIアンモニウム塩からAZT−P−DDIカルシウム
塩を製造する方法は、きわめて簡便な方法で本発明のA
ZT−P−DDIカルシウム塩を導くことができるた
め、既存のAZT−P−DDIアンモニウム塩の有効利
用が可能である。
ム塩は、優れた抗ウイルス活性と安全性を有し、かつ物
理化学的にも安定であるため、抗HIV剤等の医薬品と
して有用である。また、本発明のAZT−P−DDIの
カルシウム塩の製造法、精製法、合成中間体及びその製
造法は、従来の方法の欠点を克服でき、工業的規模での
大量生産に好適なものである。さらに、AZT−P−D
DIアンモニウム塩からAZT−P−DDIカルシウム
塩を製造する方法は、きわめて簡便な方法で本発明のA
ZT−P−DDIカルシウム塩を導くことができるた
め、既存のAZT−P−DDIアンモニウム塩の有効利
用が可能である。
Claims (10)
- 【請求項1】下式で表される3′−アジド−3′−デオ
キシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキ
シ−5′−イノシン酸(AZT−P−DDI)カルシウ
ム塩。 【化1】 - 【請求項2】AZT−P−DDIカルシウム塩を有効成
分として含有する医薬組成物。 - 【請求項3】抗HIV剤である、請求項2記載の医薬組
成物。 - 【請求項4】経口投与形態である、請求項2記載の医薬
組成物。 - 【請求項5】下式で表される3′−アジド−3′−デオ
キシチミジンジシアノエチルりん酸(AZT−DCE
P)。 【化2】 - 【請求項6】3′−アジド−3′−デオキシチミジン
(AZT)とオキシ塩化りんとを反応させてAZTジク
ロロりん酸(AZT−DCP)を調製し、得られたAZ
T−DCPとエチレンシアノヒドリンとを反応させてA
ZT−DCEPを得ることを特徴とする、AZT−DC
EPの製造法。 - 【請求項7】下記のA〜C工程を順次行うことを特徴と
するAZT−P−DDIカルシウム塩の製造法: A工程:AZT−DCEPを水性溶媒に溶解し、トリエ
チルアミンを加えてpH10〜12に調整してAZTシ
アノエチルりん酸トリエチルアンモニウム塩(AZT−
CEP・TEA)を調製する工程 B工程:AZT−CEP・TEAと2′,3′−ジデオ
キシイノシン(DDI)を縮合剤を用いて反応させてA
ZT−P−DDIのシアノエチルりん酸トリエステル
(AZT−CEP−DDI)を調製する工程 C工程:AZT−CEP−DDIを水性溶媒に溶解し、
水酸化カルシウム水溶液(または懸濁液)を加えpH1
0〜12に調整してAZT−P−DDIカルシウム塩を
調製する工程。 - 【請求項8】吸着樹脂を用いてAZT−P−DDIカル
シウム塩を精製することを特徴とするAZT−P−DD
Iカルシウム塩の精製方法。 - 【請求項9】AZT−P−DDIカルシウム塩の水溶液
にアルコールを添加してAZT−P−DDIカルシウム
塩を沈殿させ、この沈殿物を乾燥して固体状のAZT−
P−DDIカルシウム塩を得ることを特徴とする固体状
AZT−P−DDIカルシウム塩の製造法。 - 【請求項10】AZT−P−DDIのアンモニウム塩を
水性溶媒に溶解し、(イ)この水溶液を陰イオン交換樹
脂と接触させた後、塩化カルシウム溶液を用いてAZT
−P−DDIのカルシウム塩を溶出するか、(ロ)この
水溶液に塩化カルシウムのアルコール溶液を添加してA
ZT−P−DDIのカルシウム塩を沈殿させる、いずれ
かの方法により行うことを特徴とするAZT−P−DD
Iアンモニウム塩からのAZT−P−DDIカルシウム
塩の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20114795A JPH0948793A (ja) | 1995-08-07 | 1995-08-07 | 3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸(azt−p−ddi)カルシウム塩、その製造法及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20114795A JPH0948793A (ja) | 1995-08-07 | 1995-08-07 | 3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸(azt−p−ddi)カルシウム塩、その製造法及びその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0948793A true JPH0948793A (ja) | 1997-02-18 |
Family
ID=16436179
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20114795A Pending JPH0948793A (ja) | 1995-08-07 | 1995-08-07 | 3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸(azt−p−ddi)カルシウム塩、その製造法及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0948793A (ja) |
-
1995
- 1995-08-07 JP JP20114795A patent/JPH0948793A/ja active Pending
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