JPH0948793A - 3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸(azt−p−ddi)カルシウム塩、その製造法及びその用途 - Google Patents

3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸(azt−p−ddi)カルシウム塩、その製造法及びその用途

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JPH0948793A
JPH0948793A JP20114795A JP20114795A JPH0948793A JP H0948793 A JPH0948793 A JP H0948793A JP 20114795 A JP20114795 A JP 20114795A JP 20114795 A JP20114795 A JP 20114795A JP H0948793 A JPH0948793 A JP H0948793A
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ddi
calcium salt
salt
calcium
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JP20114795A
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Masami Morozumi
角 正 海 両
Hideaki Matsuda
田 秀 明 松
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Yamasa Shoyu KK
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Yamasa Shoyu KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 抗ウイルス活性と安全性が高く、かつ物理化
学的にも安定なヌクレオチドダイマー、その製造法及び
これを有効成分とする医薬組成物を提供すること。 【解決手段】 下式で表されるヌクレオチドダイマーカ
ルシウム塩、すなわち、3′−アジド−3′−デオキシ
チミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキシ−
5′−イノシン酸(AZT−P−DDI)カルシウム
塩、その製造法、ならびに当該カルウム塩を有効成分と
する医薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物理化学的に安定
な3′−アジド−3′−デオキシチミジル−(5′,
5′)−2′,3′−ジデオキシ−5′−イノシン酸
(AZT−P−DDI)カルシウム塩、その製造法及び
その用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】3′−アジド−3′−デオキシチミジン
(AZT)は優れた抗HIV活性を有し、エイズ治療剤
として広く使用されている。しかし、AZTは、治療有
効量と毒性発生量との差が少なく、深刻な副作用を有す
るという欠点があった。かかる観点から、AZTに代わ
りうる抗レトロウイルス剤の開発が活発に行なわれた結
果、AZT−P−DDIが優れた抗HIV作用を有し、
かつ安全性も高いことからエイズ治療剤として有用であ
ることが報告されている(特公平5−46358号公
報、米国特許題5,187,163号、AIDS RESEARCH
AND HUMANRETROVIRUSES,4(6),449-455(1988) 、ANTIMIC
ROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY,34(6),1061-1067(199
0) )。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、AZT−P−D
DIは、次のような方法で合成されていた。すなわち、
シアノエチルりん酸バリウム塩を水に懸濁し、これにカ
チオン交換樹脂を加えて上記バリウム塩が溶解するまで
かき混ぜた後、ろ過して得られた溶液を上記と同じカチ
オン交換樹脂を充填したカラムに通液してバリウムイオ
ンを除去し、濃縮して得られた残留物にピリジンを加え
て溶解し、これにAZTを加え、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(DCC)を用いてシアノエチルりん酸とA
ZTとを縮合してAZTシアノエチルりん酸を調製す
る。反応後、反応液に水を加えて濃縮し、残留物に水を
加えて溶解後、不溶物をろ去して得られたろ液を濃縮
し、残留物をシリカゲルカラムクロマトにより精製して
AZTシアノエチルりん酸を得る。次に、AZTシアノ
エチルりん酸と2′,3′−ジデオキシイノシン(DD
I)をピリジンに溶解し、この溶液にメシチレンスルホ
ニルクロライドとN−メチルイミダゾールを加えて反応
後、反応液を濃縮して得られた残留物に15%水酸化ア
ンモニウム液を加えてかき混ぜた後、濃縮して得られた
残留物をシリカゲルカラムクロマトにより精製してAZ
T−P−DDIアンモニウム塩を得る。
【0004】しかしながら、上記方法には以下に列挙す
るような問題点があり、この製法上の欠点がAZT−P
−DDIの医薬品としての開発を困難なものとする1つ
の要因となっていた。従来法の問題点; (1)原料として使用するシアノエチルりん酸バリウム
塩は非常に高価なものである。 (2)シアノエチルりん酸バリウム塩は水に溶けない。
このため、シアノエチルりん酸バリウム塩を水に懸濁
後、カチオン交換樹脂を加えて上記バリウム塩が溶解す
るまでかき混ぜたり、溶解後に行うカチオン交換樹脂カ
ラム処理などはバリウムイオンを除去するための必須工
程である。しかしながら、このような工程は操作が煩雑
であり、工業的規模での大量生産には不向きである。 (3)シアノエチルりん酸とAZTの縮合に使用するD
CCは高価であるとともに取扱い難い薬品である。 (4)中間体及び最終製品の単離精製にシリカゲルを用
いたカラムクロマトグラフィー法が採用されているが、
シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー法は単位
体積当たりの処理量が少なく、大量の溶媒を必要とする
ため、製造コストを上昇させ、工業的規模での大量生産
には不向きである。
【0005】また、AZT−P−DDIは、アンモニウ
ム塩の形態が唯一の形態として実際に調製されていた
が、後述の実施例でも明らかなように、該アンモニウム
塩は固体状及び溶液状のいずれの状態においても物理化
学的に不安定であり、この安定性の欠如がAZT−P−
DDIの医薬品としての開発を困難なものとするもう1
つの要因となっていた。
【0006】したがって、本発明の主な目的は物理化学
的に安定なAZT−P−DDIの新しい形態を見いだす
とともに、その新しい形態の、工業的規模での大量生産
が可能な製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、最初にA
ZT−P−DDIの種々の形態の安定性に関して鋭意検
討を重ねた結果、AZT−P−DDIのカルシウム塩が
固体状及び溶液状のいずれの状態においても物理化学的
に極めて安定であって、かつ薬理学的にもアンモニウム
塩と同等であることを見出した。そこで次に、AZT−
P−DDIカルシウム塩の工業的規模での大量生産に好
適な方法を検討し、本発明を完成させた。すなわち、本
発明は、下式で表されるAZT−P−DDIカルシウム
塩に関するものである。
【化3】
【0008】また、本発明は、AZT−P−DDIカル
シウム塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する
ものである。
【0009】さらに、本発明は、AZT−P−DDIの
合成中間体として有用な下式で表される3′−アジド−
3′−デオキシチミジンジシアノエチルりん酸(AZT
−DCEP)及びその製造法に関するものである。
【化4】
【0010】さらにまた、本発明は、下記のA〜C工程
を順次行うことを特徴とするAZT−P−DDIカルシ
ウム塩の製造法に関するものである: A工程:AZT−DCEPを水性溶媒に溶解し、トリエ
チルアミンを加えてpH10〜12に調整してAZTシ
アノエチルりん酸トリエチルアンモニウム塩(AZT−
CEP・TEA)を調製する工程
【化5】 B工程:AZT−CEP・TEAと2′,3′−ジデオ
キシイノシン(DDI)を縮合剤を用いて反応させてA
ZT−P−DDIのシアノエチルりん酸トリエステル
(AZT−CEP−DDI)を調製する工程
【化6】 C工程:AZT−CEP−DDIを水性溶媒に溶解し、
水酸化カルシウム水溶液(または懸濁液)を加えpH1
0〜12に調整してAZT−P−DDIカルシウム塩を
調製する工程
【化7】
【0011】さらにまた、本発明は、吸着樹脂を用いて
AZT−P−DDIカルシウム塩を精製することを特徴
とするAZT−P−DDIカルシウム塩の精製方法に関
するものである。
【0012】また、本発明は、AZT−P−DDIカル
シウム塩の水溶液にアルコールを添加してAZT−P−
DDIカルシウム塩を沈殿させ、この沈殿物を乾燥して
固体状のAZT−P−DDIカルシウム塩を得ることを
特徴とする固体状AZT−P−DDIカルシウム塩の製
造法に関するものである。
【0013】さらにまた、本発明は、AZT−P−DD
Iのアンモニウム塩を水性溶媒に溶解し、(イ)この水
溶液を陰イオン交換樹脂と接触させた後、塩化カルシウ
ム溶液を用いてAZT−P−DDIのカルシウム塩を溶
出するか、(ロ)この水溶液に塩化カルシウムのアルコ
ール溶液を添加してAZT−P−DDIのカルシウム塩
を沈殿させる、いずれかの方法を行うことを特徴とする
AZT−P−DDIアンモニウム塩からのAZT−P−
DDIカルシウム塩の製造法に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
AZT−P−DDIカルシウム塩の製法をAZTからの
反応経路でもって示せば、以下のフローチャートのとお
りである。
【化8】
【0015】上記フローチャートにおいて、重要な中間
体はAZT−DCEPである。この化合物を経由するこ
とにより、従来法の欠点を克服し、工業的規模での大量
生産に好適な方法を提供することが可能となったのであ
る。このようなAZT−DCEPの調製は、上記フロー
チャートに示すように、AZTとオキシ塩化りんとを反
応させてAZT−DCPを調製し、得られたAZT−D
CPとエチレンシアノヒドリンとを反応させることによ
り実施することができる。すなわち、まず、AZTをア
セトニトリル、酢酸エチル、ジオキサン、トリエチルり
ん酸などの適当な溶媒に溶解または懸濁させ、10℃以
下に冷却後、AZT 1モルに対して1〜3倍モルのオ
キシ塩化りんを加え、−5〜30℃、好ましくは20〜
30℃で1〜10時間程度反応させてAZT−DCPを
調製する。次いで、AZT−DCPを反応液から単離す
ることなく、この反応液へAZT1モルに対して4〜1
2倍モルのエチレンシアノヒドリン(β−シアノエタノ
ール)を加え、−10〜20℃、好ましくは5℃以下に
冷却しながらピリジン、トリエチルアミンなどの塩基を
滴下し、1〜5時間程度撹拌することでAZT−DCE
Pを調製することができる。このようにして得られたA
ZT−DCEPは、反応液の溶媒を留去して得られた残
留物を水と有機溶媒(クロロホルム、酢酸エチルなど)
で分配し、有機溶媒層を濃縮することにより粗精製物と
して取得することができる。さらに、精製度を上げる必
要がある場合には、吸着樹脂を用いたカラムクロマトグ
ラフィ−処理に付すことによりAZT−DCEPを単離
精製することができる。使用する吸着樹脂としては、芳
香族系の合成吸着剤を挙げることができ、具体的にはH
P20などのHPシリーズ、SP206などのSPシリ
ーズ(いずれも三菱化学社製)を例示することができ
る。溶出溶媒としては、水、0.1〜30%程度のアル
コール水(メタノール水、エタノール水など)、0.0
1〜0.2M程度のトリエチルアミン水溶液及び0.1
〜1Nのアンモニア水を必要により適宜組み合わせて使
用することができる。
【0016】こうして得られたAZT−DCEPからの
AZT−P−DDIカルシウム塩の調製は、上記フロー
チャートに示すように、下記のA〜Cの三工程を順次行
うことにより実施することができる。A工程 :AZT−DCEPを水性溶媒に溶解し、トリエ
チルアミンを加えてpH10〜12に調整してAZT−
CEP・TEAを調製する工程。 AZT−DCEPを溶解させる水性溶媒としては、水ま
たは含水アルコールなどの水とアルコールとの混合溶媒
を例示することができる。このような水性溶媒にAZT
−DCEPを溶解させ、これにトリエチルアミンを加え
てpHを10〜12、好ましくは11前後に調整し、1
0〜30℃で10〜120分間かきまぜてシアノエチル
基を加水分解し、AZT−CEP・TEAを調製する。
得られた反応液を必要により濃縮し、さらに必要によ
り、上記AZT−DCEPの精製の場合と同様に吸着樹
脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に付して精製
し、次のB工程に供する。
【0017】B工程:AZT−CEP・TEAとDDI
とを縮合剤を用いて反応させてAZT−CEP−DDI
を調製する工程。 反応に使用する縮合剤としては、メシチレンスルホニル
クロライド、p−トルエンスルホニルクロライド(トシ
ルクロライド)、メタンスルホニルクロライド(メシル
クロライド)などを例示することができる。縮合反応
は、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基性溶媒中、
AZT−CEP・TEA 1モルに対し1〜3倍モルの
DDI及び0.5〜2倍モルの縮合剤を用い、10〜3
0℃で10〜50時間程度かきまぜることにより実施す
ることができる。また、反応液中に1−メチルイミダゾ
ールなどの酸受容体を添加することにより、縮合反応を
効率的に進行させることができる。得られた反応液の溶
媒を留去し、さらに必要により、上記A工程の場合と同
様に吸着樹脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に
付してAZT−CEP−DDIを精製し、次のC工程に
供する。
【0018】C工程:AZT−CEP−DDIを水性溶
媒に溶解し、水酸化カルシウム水溶液(または懸濁液)
を加えてpH10〜12に調整してAZT−P−DDI
カルシウム塩を調製する工程。 AZT−CEP−DDIを溶解させる水性溶媒として
は、水または含水アルコールなどの水とアルコールとの
混合溶媒を例示することができる。このような水性溶媒
にAZT−CEP−DDIを溶解させ、これに水酸化カ
ルシウム水溶液(または懸濁液)を加えてpHを10〜
12、好ましくは11前後に調整し、10〜30℃で1
〜3時間かきまぜてシアノエチル基を除去し、AZT−
P−DDIカルシウム塩を調製する。
【0019】得られた反応液のpHを6〜8の中性付近
に調整後、上記AあるいはB工程の場合と同様に吸着樹
脂を用いたカラムクロマトグラフィ−処理に付すことに
よりAZT−P−DDIカルシウム塩を精製することが
できる。このようにして得られたAZT−P−DDIカ
ルシウム塩の水溶液にアルコールを添加してAZT−P
−DDIカルシウム塩を沈殿させ、この沈殿物を乾燥す
ることにより固体状のAZT−P−DDIカルシウム塩
を得ることができる。添加するアルコールとしては、メ
タノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数1〜
5程度のものを使用することができる。アルコール添加
により得られた沈殿物を粉末化し、必要により水への溶
解、アルコール沈殿、粉末化を数回繰り返した後、10
〜80℃程度の温度条件下で通常の乾燥処理(通風乾
燥、減圧乾燥、加熱乾燥など)を施して固体状のAZT
−P−DDIカルシウム塩を得ることができる。
【0020】また、上記フローチャートで示した方法と
は別に、簡便な方法により既存のAZT−P−DDIの
アンモニウム塩をAZT−P−DDIのカルシウム塩に
変換することによりAZT−P−DDIのカルシウム塩
を調製することもできる。すなわち、AZT−P−DD
Iのアンモニウム塩を水などの水性溶媒に溶解し、
(イ)この水溶液を陰イオン交換樹脂と接触させた後、
0.03〜0.3Mの塩化カルシウム水溶液を用いてA
ZT−P−DDIのカルシウム塩を溶出するか、(ロ)
この水溶液に塩化カルシウムのアルコール溶液を添加し
てAZT−P−DDIのカルシウム塩を沈殿させるか、
いずれかの方法により行うことができる。
【0021】こうして得られたAZT−P−DDIカル
シウム塩は、後述の試験例の結果から明らかなように、
優れた抗HIV活性を有し、安全性が高く、かつ固体状
態もしくは溶液状態での物理化学的な安定性に優れてい
る。従って、本発明のAZT−P−DDIのカルシウム
塩を有効成分として含有する医薬組成物は、RNAウイ
ルス、特にHIVなどのレトロウイルスの感染の予防ま
たは治療に有用であり、ウイルスの感染の予防または治
療のため(特にエイズ治療のため)、経口、経腸、非経
口、局所投与などのいずれの経路によってもヒトに投与
することができる。投与量は、患者の年齢、病態、体重
などに応じ適宜決定されるが、通常は1日当たり0.0
1〜1000mg/kg体重、好ましくは0.1〜10
0mg/kg体重の範囲内から選ばれ、一回または複数
回に分けて投与される。
【0022】本発明の医薬組成物は、通常医薬に使用さ
れる賦形剤、その他の添加剤を通常の配合割合で含むも
のとして調製し、かつ使用するのが一般的である。これ
らの例として、固体状のものとしては、乳糖、カオリ
ン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、タル
ク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグ
ネシウム、レシチン、塩化ナトリウムなどが挙げられ、
液体状のものとしては、グリセリン、落花生油、ポリビ
ニルピロリドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルア
ルコール、プロピレングリコール、水などが挙げられ
る。
【0023】組成物の剤形としては任意の形態を採るこ
とができ、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル化剤、
坐剤、トローチ剤などの固形製剤、シロップ、乳液、軟
ゼラチンカプセル、クリーム、ゲル、ペースト、スプレ
ー、注射などの液状製剤が挙げられる。
【0024】
【実施例】以下、実施例および試験例でもって本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。例1AZT−DCEPの調製 AZT 215g(805mmol)をアセトニトリル
1.6Lに加え、10℃以下に冷却し、さらにオキシ塩
化りん147mlを加えて20〜25℃で4時間かきま
ぜてAZT−DCPを合成した(収率約90%)。この
反応液にエチレンシアノヒドリン(β−シアノエタノー
ル)352mlを加え、ピリジン800mlを5℃以下
に冷却しながら滴下し、更に1時間かきまぜてAZT−
DCEPを合成した。反応液に水を加えてかき混ぜた
後、濃縮してアセトニトリルおよびピリジンを留去し
た。残留物に水を加えて溶解させ、全量を16Lとし、
これを吸着樹脂HP20(三菱化学)カラムに吸着さ
せ、水洗(40L)後、10%エタノール(80L)お
よび20%エタノール(200L)で溶出した。HPL
C純度98%以上の分画を集めて濃縮し、AZT−DC
EP245g(収率67%)を得た。 FAB Mass:454(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):11.34(s,1H),
7.47(d,J=1.0Hz,1H),6.13
(t,J=6.6Hz,1H),4.48(dt,J=
7.3,5.1Hz,1H),4.28〜4.19
(m,6H),4.02(dd,J=9.3,4.4H
z,1H),2.94(t,J=5.9Hz,2H),
2.42(m,1H),2.32(m,1H),1.7
9(s,3H)
【0025】例2:AZT−P−DDIのカルシウム塩
〔(AZT−P−DDI)2 Ca〕の 調製 (1)AZT−CEP・TEAの調製 AZT−DCEP 245g(540mmol)の水溶
液へトリエチルアミンを加え、pH11に調整しながら
室温で30分間かきまぜた後、濃縮し、AZT−CEP
・TEA270g(538mmol 収率67%)を得
た。 FAB Mass:502(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):11.30(s,1H),
10.25(brs,1H),7.77(d,J=1.
0Hz,1H),6.14(t,J=6.8Hz,1
H),4.48(dt,J=7.3,3.8Hz,1
H),3.96(m,1H),3.88(m,2H),
3.82(dd,J=13.7,6.4Hz,2H),
3.05(q,J=7.2Hz,6H),2.75
(t,J=6.1Hz,2H),2.38(m,1
H),2.27(m,1H),1.82(d,J=1.
0Hz,3H),1.81(t,J=7.3Hz,9
H)
【0026】(2)AZT−CEP−DDIの調製 AZT−CEP・TEA 251g(500mmol)
のピリジン溶液(2.5L)にトシルクロライド190
gを加え、室温で15分間かきまぜ、1−メチルイミダ
ゾール175mlを加え、室温で15分間かきまぜた
後、DDI 130gを加え、室温で一夜かきまぜてA
ZT−CEP−DDIを合成した。反応液に水を加えて
かきまぜた後、濃縮してピリジンを留去し、残留物に水
を加えて溶解させた。この溶液を吸着樹脂HP20(5
L)カラムに吸着させ、水洗(10L)後、10%エタ
ノール(50L)、20%エタノール(100L)およ
び30%エタノール(25L)で溶出し、HPLCで純
度95%以上の画分を濃縮し、AZT−CEP−DDI
140g(226mmol 収率45%)を得た。 FAB Mass:619(M+H)+ NMR(DMSO−d6 ):12.35(brs,1
H),11.34(s,1H),8.22(d,J=
1.0Hz,1H),8.04(d,J=2.9Hz,
1H),7.47(d,J=2.9Hz,1H),6.
24(m,1H),6.12(m,1H),4.44
(m,1H),4.32(m,1H),4.29〜4.
12(m,6H),3.98 (m,1H),2.89
(m,2H),2.50〜2.27(m,4H),2.
16〜2.04(m,2H),1.76(t,J=2.
9Hz,3H)
【0027】(3)AZT−P−DDIカルシウム塩の
調製 AZT−CEP−DDI 140g(226mmol)
をCa(OH)2 水溶液に加え、pH10〜11に調整
しながら室温で1時間かきまぜた後、pH7.0に調整
し、吸着樹脂HP20(5L)カラムに吸着させた。水
洗(5L)後、5%エタノール(125L)で溶出し、
HPLCで純度98%以上の画分を濃縮した。この濃縮
液へかき混ぜながらエタノールを加えて沈殿させ、沈殿
を粉末化させた後、ろ取した。ろ取した沈殿に水を加え
て溶解させ、エタノールを加えて再び沈殿、粉末化させ
た後、ろ取し、80℃で8時間減圧乾燥し、AZT−P
−DDIカルシウム塩 114g(195mol 収率
37%)を得た。
【0028】FAB Mass:604(M+C
a)+ ,1169(2M+Ca+H)+ NMR(D2 O):8.32(s,1H),8.15
(s,1H),7.51(s,1H),6.30(do
ublet of triplet,J=6.8,2.
9Hz,1H),6.13(t,J=6.4Hz,1
H),4.47(m,1H),4.36(double
t of triplet,J=6.8,4.4Hz,
1H),4.12(doublet of tripl
et,J=11.2,3.2Hz,1H),4.06〜
3.97(m,4H),2.67(m,1H),2.5
7(m,1H),2.40(m,2H),2.28
(m,1H),2.18(m,1H),1.73(s,
3H)
【0029】例3AZT−P−DDIアンモニウム塩
からAZT−P−DDIカルシウム塩の調製 AZT−P−DDIアンモニウム塩2gを水2mlに溶
解し、これに塩化カルシウム0. 5gを水1mlに溶解
させた液を添加後、かきまぜながらエタノール50ml
を添加した。生じた沈殿をろ取し、得られた沈殿に水を
加えて溶解後、かきまぜながらエタノールを添加して再
び沈殿させた。沈殿をろ取し、減圧下80℃で4時間乾
燥させてAZT−P−DDIのカルシウム塩1.6gを
得た。得られたAZT−P−DDIのカルシウムの定量
値(含量)は3. 39%であり、理論値3. 43%とほ
ぼ一致した。
【0030】試験例1固体状態における安定性試験 AZT−P−DDIのカルシウム塩と同アンモニウム塩
を25℃、75%RHおよび40℃、75%RHの条件
下に保存し、経時的に純度をHPLCにより測定した。
その結果、表1及び表2に示すように、AZT−P−D
DIのカルシウム塩は、同アンモニウム塩に比べ、固体
状態での安定性が極めて高いことが判明した。
【表1】
【表2】
【0031】試験例2溶液中での安定性試験 AZT−P−DDIのカルシウム塩および同アンモニウ
ム塩につき、それぞれの1%(w/v)水溶液を調製
し、40℃にて保存し、経時的にその純度をHPLCで
測定した。その結果、表3に示すように、AZT−P−
DDIのカルシウム塩は、同アンモニウム塩に比べて水
溶液中での安定性が極めて高いことが判明した。
【表3】
【0032】試験例3薬理試験 AZT−P−DDIのカルシウム塩と同アンモニウム塩
について、抗HIV活性及び細胞毒性を常法に従って試
験した結果、両者はほぼ同等で差を見いだすことができ
なかった。
【0033】
【発明の効果】本発明のAZT−P−DDIのカルシウ
ム塩は、優れた抗ウイルス活性と安全性を有し、かつ物
理化学的にも安定であるため、抗HIV剤等の医薬品と
して有用である。また、本発明のAZT−P−DDIの
カルシウム塩の製造法、精製法、合成中間体及びその製
造法は、従来の方法の欠点を克服でき、工業的規模での
大量生産に好適なものである。さらに、AZT−P−D
DIアンモニウム塩からAZT−P−DDIカルシウム
塩を製造する方法は、きわめて簡便な方法で本発明のA
ZT−P−DDIカルシウム塩を導くことができるた
め、既存のAZT−P−DDIアンモニウム塩の有効利
用が可能である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式で表される3′−アジド−3′−デオ
    キシチミジル−(5′,5′)−2′,3′−ジデオキ
    シ−5′−イノシン酸(AZT−P−DDI)カルシウ
    ム塩。 【化1】
  2. 【請求項2】AZT−P−DDIカルシウム塩を有効成
    分として含有する医薬組成物。
  3. 【請求項3】抗HIV剤である、請求項2記載の医薬組
    成物。
  4. 【請求項4】経口投与形態である、請求項2記載の医薬
    組成物。
  5. 【請求項5】下式で表される3′−アジド−3′−デオ
    キシチミジンジシアノエチルりん酸(AZT−DCE
    P)。 【化2】
  6. 【請求項6】3′−アジド−3′−デオキシチミジン
    (AZT)とオキシ塩化りんとを反応させてAZTジク
    ロロりん酸(AZT−DCP)を調製し、得られたAZ
    T−DCPとエチレンシアノヒドリンとを反応させてA
    ZT−DCEPを得ることを特徴とする、AZT−DC
    EPの製造法。
  7. 【請求項7】下記のA〜C工程を順次行うことを特徴と
    するAZT−P−DDIカルシウム塩の製造法: A工程:AZT−DCEPを水性溶媒に溶解し、トリエ
    チルアミンを加えてpH10〜12に調整してAZTシ
    アノエチルりん酸トリエチルアンモニウム塩(AZT−
    CEP・TEA)を調製する工程 B工程:AZT−CEP・TEAと2′,3′−ジデオ
    キシイノシン(DDI)を縮合剤を用いて反応させてA
    ZT−P−DDIのシアノエチルりん酸トリエステル
    (AZT−CEP−DDI)を調製する工程 C工程:AZT−CEP−DDIを水性溶媒に溶解し、
    水酸化カルシウム水溶液(または懸濁液)を加えpH1
    0〜12に調整してAZT−P−DDIカルシウム塩を
    調製する工程。
  8. 【請求項8】吸着樹脂を用いてAZT−P−DDIカル
    シウム塩を精製することを特徴とするAZT−P−DD
    Iカルシウム塩の精製方法。
  9. 【請求項9】AZT−P−DDIカルシウム塩の水溶液
    にアルコールを添加してAZT−P−DDIカルシウム
    塩を沈殿させ、この沈殿物を乾燥して固体状のAZT−
    P−DDIカルシウム塩を得ることを特徴とする固体状
    AZT−P−DDIカルシウム塩の製造法。
  10. 【請求項10】AZT−P−DDIのアンモニウム塩を
    水性溶媒に溶解し、(イ)この水溶液を陰イオン交換樹
    脂と接触させた後、塩化カルシウム溶液を用いてAZT
    −P−DDIのカルシウム塩を溶出するか、(ロ)この
    水溶液に塩化カルシウムのアルコール溶液を添加してA
    ZT−P−DDIのカルシウム塩を沈殿させる、いずれ
    かの方法により行うことを特徴とするAZT−P−DD
    Iアンモニウム塩からのAZT−P−DDIカルシウム
    塩の製造法。
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