JPH0948768A - 2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物の合成方法 - Google Patents

2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物の合成方法

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JPH0948768A
JPH0948768A JP8169329A JP16932996A JPH0948768A JP H0948768 A JPH0948768 A JP H0948768A JP 8169329 A JP8169329 A JP 8169329A JP 16932996 A JP16932996 A JP 16932996A JP H0948768 A JPH0948768 A JP H0948768A
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carbon atoms
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compound
mol
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JP8169329A
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Lal Chand Vishwakarma
チャンド ビシュワカーマ ラル
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Eastman Kodak Co
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D249/00Heterocyclic compounds containing five-membered rings having three nitrogen atoms as the only ring hetero atoms
    • C07D249/16Heterocyclic compounds containing five-membered rings having three nitrogen atoms as the only ring hetero atoms condensed with carbocyclic rings or ring systems
    • C07D249/18Benzotriazoles
    • C07D249/20Benzotriazoles with aryl radicals directly attached in position 2
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾト
リアゾール系化合物の新規な合成方法を提供する。 【解決手段】 下記式(IV): で示される化合物上の少なくとも−XH基を、−X(P
G)基〔PG基はH以外の基であり、続く閉環工程では
除去されない〕の形成により保護し、保護形の化合物を
生成させる保護工程と、上記化合物を還元剤と反応させ
て下記式(VI): 〔式中、ZはH又は保護基である〕で示される化合物を
生成させる閉環工程と、上記の化合物を、PGをHで置
換し且つZがHでない場合にはZもHで置換することに
より脱保護して、下記式(VII)の化合物を生成させ
る脱保護工程とを含む合成方法。 〔式中、R〜Rは、H、ハロゲン、シアノなど、X
はO、S、NR、RはH、アルキルなどを示す〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線吸収性化合
物の合成において有用な前駆体である2−(2’−ヒド
ロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物の合成方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】当該技術分野では、塗料、プラスチッ
ク、ポリマー及びコーティングに有用な紫外線吸収性化
合物として2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾト
リアゾール系化合物が知られている。この化合物は、カ
ラー写真プリントにおけるイエロー、マゼンタ及びシア
ンの画像色素の退色を防止するのに特に有用なハロゲン
化銀写真要素に特に用いられている。このような化合物
のうち4’−又は5’−の位置にヒドロキシ又はアミノ
置換基を有するものが従来技術では公知であり、そして
4’−又は5’−置換基の様々な紫外線吸収性誘導体を
合成するのに用いられている。例えば、このような4’
−又は5’−ヒドロキシ又はアミノ置換化合物を使用す
ることが、米国特許第3,123,058号、同第3,
072,585号、欧州特許第0 190 003号、
米国特許第5,372,922号、特開昭63−555
42号、仏国特許第1,330,378号、同第1,3
24,898号、同第1,324,897号、英国特許
第991 204号、同第991 320号、同第99
1 142号、同第991 630号及び同第9912
04号並びにこれらの中に記載されている文献に記載さ
れている。下式(VIII):
【0003】
【化4】
【0004】で示される3’,5’−ジアルキル置換基
を含有する(又はアルキル置換基を1個しか若しくはま
ったく含まない)市販の2−(2’−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾールは、その対応するアゾ色素から
公知の還元的閉環反応法によって容易に入手できるよう
である。他方、式(VIII)の化合物と類似した化合
物であるが4’−又は5’−アミノ又はヒドロキシ置換
基をさらに有する化合物〔後記式(VII)を参照のこ
と〕を、その対応する下式(IV)のアゾ色素化合物の
還元的閉環反応によって高収率で合成することは難し
い。
【0005】
【化5】
【0006】上式中、XはO、S又はNR8 である。Au
stralian Journal of Chemistry, Vol. 40, pp. 1663-1
673 (1987)に掲載されている J. Rosevear及び J.F.K.
Wilshireによる論文の中に、対応する2’,4’−ジメ
トキシ置換基を有するアゾ色素を最初に合成する2−
(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ールの合成方法が記載されている。対応するアゾ色素を
次いでチオウレア−S,S−ジオキシドによって閉環さ
せる。この2’,4’−ジメトキシ置換色素は、対応す
るメトキシ置換アニリンと2−ニトロニトロソベンゼン
とを反応させて生成させる。しかしながら、上記の方法
には、得られる2’,4’−ジメトキシ置換アゾ色素の
収率が比較的低い(0〜67%)という問題がある。さ
らに、その対応のジメトキシアニリンを出発試薬として
使用しなければならない。米国特許第3,072,58
5号明細書に、2’,4’−ジヒドロキシ置換アゾ色素
を微粉状亜鉛を用いて閉環させることで対応するベンゾ
トリアゾール系化合物を生成させることが記載されてい
る。しかしながら、その得られる収率は比較的低い。さ
らに、微粉状亜鉛は環境的に問題がある状況が多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、4’−又は
5’−ヒドロキシ又はアミノ置換基を有する2−(2’
−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物の
合成方法であって、全体収率を向上させることができ、
且つ環境に優しい別の合成方法が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下式(VI
I)の化合物の合成において、保護されていないヒドロ
キシフェノール又はアミノフェノール(すなわち、−O
H、−NH2 又は−NHR8 基)を含む対応する中間体
アゾ色素を最初に合成することを実現するものである。
次いで、これらの基を保護し、その後、還元的閉環反応
によって対応するベンゾトリアゾール系化合物を生成さ
せ、その保護基を除去することで化合物(VII)を得
る。本発明によると、下式(VII):
【0009】
【化6】
【0010】〔上式中、R1 、R2 、R3 、R4
5 、R6 及びR7 は、各々独立に、H、ハロゲン、シ
アノ、−CO2 Y(但し、YはH又は炭素原子数1〜1
2(好ましくは1〜6)個のアルキル若しくは炭素原子
数6〜12(好ましくは6〜10)個のアリール基であ
る)、炭素原子数1〜12(好ましくは2〜9)個のカ
ルバモイル基、炭素原子数0〜12(好ましくは2〜
4)個のスルホキシド基、炭素原子数0〜12(好まし
くは1〜10)個のスルホニル基、炭素原子数0〜12
(好ましくは1〜10)個のスルホナト基、炭素原子数
0〜12(好ましくは1〜10)個のスルホンアミド
基、炭素原子数1〜18(好ましくは1〜10)個のア
ルキル基、炭素原子数1〜18(好ましくは1〜10)
個のアルコキシ基、炭素原子数6〜20(好ましくは6
〜10)個のアリール基、O、N若しくはSから選ばれ
た異種原子1〜4(好ましくは1〜3)個を含む原子数
5〜20(好ましくは5〜10)個のヘテロアリール
基、又は炭素原子数6〜20(好ましくは6〜10)個
のアリールオキシ基であるか、或いはR1 〜R4 のうち
隣接しているいずれか2個以上の基が、又は互いに隣接
している場合のR6 とR7 若しくはR6 とR5 が、一緒
になって炭素原子数1〜10個の脂環式基を形成する
か、又はそれらが結合しているベンゼン環の炭素原子と
一緒になって炭素原子数6〜20(好ましくは6〜1
0)個の芳香族基又はO、N若しくはSから選ばれた異
種原子1〜4(好ましくは1〜3)個を含む原子数5〜
20(好ましくは5〜10)個のヘテロアリール基を完
成することができ、或いはR7 はOHであり、XはO、
S又はNR8 であるが、但しR8 はH、炭素原子数1〜
12(好ましくは1〜6)個のアルキル基、炭素原子数
6〜20(好ましくは6〜10)個のアリール基、又は
O、N若しくはSから選ばれた異種原子1〜4(好まし
くは1〜3)個を含む原子数5〜20(好ましくは5〜
10)個のヘテロアリール基である〕で示される化合物
の合成方法であって、下式(IV):
【0011】
【化7】
【0012】〔上式中、R1 〜R7 及びXは前記式(V
II)で定義した通り〕で示される化合物上の少なくと
も−XH基を、−X(PG)基〔ここで、PG基はH以
外の基であって、続く閉環工程では除去されない〕の形
成により保護して、保護形の式(IV)の化合物を生成
させる保護工程と、前記保護形の式(IV)の化合物を
還元剤と反応させて下式(VI):
【0013】
【化8】
【0014】〔上式中、ZはH又は保護基である〕で示
される化合物を生成させる閉環工程と、前記式(VI)
の化合物を、PGをHで置換し且つZがHでない場合に
はZもHで置換することにより脱保護して、前記式(V
II)の化合物を生成させる脱保護工程とを含む合成方
法が提供される。発明の詳細な説明 (IV−A)型及び(IV−B)型のo−ニトロアゾベ
ンゼンは共役系が長いためにケト型(IX)及びイミノ
型(X)で容易に存在することができる。
【0015】
【化9】
【0016】このため、還元的閉環反応が複雑となりN
−N単結合の切断により数種類の予想外の副生物が得ら
れたり、単にニトロ基がアミノ基に還元されたり、さら
に他の問題が生じることがある。こうした因子のため、
所望の生成物(VII)の収率が著しく低下しうる。限
定する意図はないが、上記したようにOH基やNH2
を(遊離のHが結合されていないように)保護すると、
ケト型及びイミノ型の(IV−A)及び(IV−B)の
形成が防止されることによって、ベンゾトリアゾールへ
の純度の高い有効な閉環反応が促進されると考えられ
る。保護されたアゾ色素の還元的閉環反応は、当該技術
分野で一般に用いられている還元剤、例えば、チオウレ
ア−S,S−ジオキシド、触媒としてのフルオレノール
の存在下でのアルデヒド基を含有する糖類、Pd−Cの
存在下でのギ酸のアンモニウム塩、等によって容易に達
成することができる。このように、環境的に問題のあり
うる常用の微粉亜鉛を使用する必要がない。閉環反応後
の脱保護は、当該技術分野で公知の常用されている方法
によって達成することができる。
【0017】上記式においてR1 〜R7 のうち隣接して
いるものをさす場合、これらは示したベンゼン環又は
2’−ヒドロキシフェニル環の炭素原子に結合されてお
り、その炭素原子が互いに結合していることを意味す
る。また、R3 はF、Cl、Br、シアノ、カルボキ
シ、カルボアルコキシ、炭素原子数1〜18(好ましく
は1〜8)個のアルコキシ基又は炭素原子数0〜12
(好ましくは1〜10)個のスルホニル基であり、R7
はH又はOHであり、R5 及びR6 は各々独立に炭素原
子数1〜12(好ましくは1〜8)個のアルキル又はH
であり、そしてR1 及びR2 は各々独立にH、Cl又は
炭素原子数1〜18(好ましくは1〜8)個のアルコキ
シ基であることが好ましい。本発明の方法では、閉環工
程前に式(IV)上の−OH基も保護されて−O(PG
1 )を形成する。ここでPG1 は続く閉環工程中には除
去されないH以外の基であるか、又は炭素原子数1〜1
2(若しくは2〜12、好ましくは1〜10)個のアシ
ル基、炭素原子数1〜24(好ましくは2〜10)個の
カルバミル(カルバモイル)基若しくは炭素原子数1〜
12(好ましくは1〜10)個のスルホニル基である。
従って、PG1 はPGと同じであっても異なってもよ
い。
【0018】PG又はPG1 が続く閉環工程中には除去
されないということは、閉環工程後であって脱保護工程
の前に式(VI)の化合物上での残存量が50%を上回
る(好ましくは70%を上回る、最も好ましくは90%
を上回る)ことを意味する。PG及びPG1 に適した各
種の基として、1〜6個の酸素、硫黄又は窒素原子が介
在していてもよい炭素原子数1〜18(好ましくは1〜
10)個のアルキル基、炭素原子数1〜18(好ましく
は1〜10)個のアシル基、炭素原子数1〜24(好ま
しくは2〜10)個のカルバミル基、炭素原子数1〜1
8(好ましくは1〜10)個のスルホニル基、ベンジル
基、テトラヒドロピラニル基、及び炭素原子数3〜20
(好ましくは3〜10)個のトリアルキルシリル基が挙
げられる。このような基の例として、メチル、エチル、
n−プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、t−
ブチル、t−アミル、メトキシメチル、メトキシエトキ
シメチル、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、SO2
10(R10はメチル、エチル、フェニル若しくはp−トル
エンスルホニルから選ばれる)、炭素原子数1〜12個
のジアルキルカルバミル(例、ジメチルカルバミル若し
くはジエチルカルバミル)、ベンジル基、テトラヒドロ
ピラニル基、及び炭素原子数3〜20個のトリアルキル
シリル基(例、トリメチルシリル)、又はCOR9 (R
9 はメチル、エチル若しくはフェニルである)、フェニ
ル基、ピリジニル、イミダゾイル、ピロリル、フリル及
びチエニルが挙げられる。
【0019】式(VII)のR7 がOHである場合、式
(IV)上のそのOHもまた閉環工程前に保護されて−
O(PG1 )を形成する。ここでPG1 は続く閉環工程
中には除去されないH以外の基であるか、又は炭素原子
数1〜12個のアシル基、炭素原子数1〜24個のカル
バミル基若しくは炭素原子数1〜12個のスルホニル基
である。好適なPG1 の例は、上記したPG1 について
列挙したものと同じである。本発明の方法は、下記合成
経路1に示すように、式(I)の化合物を酸性亜硝酸塩
水溶液でジアゾ化して式(II)の化合物を得、その式
(II)の化合物に式(III)の化合物をカップリン
グさせて式(IV)の化合物を得るという式(IV)の
化合物の合成を包含することもできる。
【0020】
【化10】
【0021】上式中、R1 〜R7 及びXは先に式(VI
I)について定義したとおり。本発明は、当該技術分野
で公知の一般手順に従い2−ニトロアニリンをジアゾ化
して対応するレソルシノール、フロログルシノール、3
−アミノフェノール又は4−アミノフェノールを縮合さ
せることにより収率87〜99%で式(IV)の未保護
化合物を調製するためにジアゾ化工程を使用することが
できる。この一般手順の例として、米国特許第3,07
2,585号、同第3,159,646号、同第3,8
13,255号及び同第4,780,541号、係属中
の米国特許出願第08/313,492号、仏国特許第
1,330,378号、同第1,324,898号、同
第1,324,897号、英国特許第991 204
号、同991 320号、同第991 142号、同第
991 630号及び同第991 204号並びにこれ
らの中に記載されている文献が挙げられる。本出願明細
書中に引用するこれらの文献及びその他の文献は、その
全体を本明細書中で援用する。
【0022】式(IV)の化合物の保護に関しては、既
に説明した各種の保護基を使用することができる。採用
することができる正確な反応条件については使用する保
護基によって異なることは認識される。各種保護基の反
応条件は下記引用文献により詳細に記載されている。閉
環工程については、保護された式(IV)の化合物を、
塩基性水溶液中で、チオウレア−S,S−ジオキシド及
び亜ジチオン酸塩(例、亜ジチオン酸ナトリウム又は亜
ジチオン酸カリウムのようなアルカリ金属塩)から選ば
れた還元剤と反応させることによって達成することが好
ましい。この水溶液はアルコール性水溶液であることが
好ましく、また反応温度は約60〜80℃に約2〜3時
間維持することができる。このアルコールは、例えば、
エタノール、メタノール及びイソプロパノールから選ぶ
ことができる。この溶液は、例えば、1〜6モル/L
(N)の水酸化物イオンを含むことができる。好適な溶
液はメタノール/水系(体積比50/50)の溶液に4
モル/L(N)の水酸化ナトリウムを含む溶液である。
【0023】閉環工程に関しては、既知の各種方法によ
って達成することができる。これらには、保護された式
(IV)の化合物の接触水素添加法が含まれる。接触水
素添加法は、一般に、パラジウム−炭素若しくは白金又
は白金とパラジウムの組合せのような触媒の存在下、高
圧(例、大気圧の2〜20倍)の水素ガスを用いて達成
される。別の閉環工程として、触媒(例、パラジウム−
炭素系触媒)の存在下、ギ酸塩(例、ギ酸ナトリウム若
しくはギ酸カリウムのようなアルカリ金属塩又はギ酸ア
ンモニウム)のような適当な水素供与体を使用する方法
がある。閉環反応はまた、米国特許第3,072,58
5号明細書に記載されているような常用の亜鉛還元法を
使用しても行うことができる。微粉状亜鉛による方法を
採用すると、未保護アゾ色素化合物を使用する場合より
も良好な結果が得られる。しかしながら、亜鉛の使用
は、その環境破壊の恐れからあまり望ましくないと考え
られている。脱保護工程に関しては、認識されるよう
に、採用すべき正確な条件は使用した個々の保護基によ
って変わってくる。2’−ヒドロキシ又はR7 がヒドロ
キシである場合のR7 を保護するために用いられる特定
の基(これらの基は本明細書中ではPG1 と呼ばれる)
の場合、閉環工程中に脱保護されることがある。このよ
うな基として、炭素原子数1〜12個のアシル基、炭素
原子数1〜24個のカルバミル基、又は炭素原子数1〜
12個のスルホニル基が挙げられる。これらの特定の基
は、(接触水素添加中以外の)閉環工程中に加水分解に
よって除去される。具体的には、上記の特定の基は、チ
オウレア−S,S−ジオキシド又は亜ジチオン酸塩を用
いた閉環工程中に除去される。
【0024】PG又はPG1 が炭素原子数1〜18個の
アルキル基又はベンジル基から選ばれた場合、式(V
I)の保護された化合物は、ハロゲン化炭化水素系溶剤
中、三ハロゲン化ホウ素の存在下で脱保護されることが
できる。好適なハロゲン化炭化水素系溶剤の例として、
塩化メチレン、クロロホルム及びジクロロエタンが挙げ
られる。さらに、いずれかがベンジル基である場合、鉱
酸水溶液によって又はパラジウム−炭素系触媒を用いた
接触水素添加によって脱保護することができる。PG
が、炭素原子数1〜18個のアシル基、炭素原子数1〜
24個のカルバミル基又は炭素原子数1〜18個のスル
ホニル基から選ばれた場合、式(VI)の化合物は、例
えば、酸性水溶液又は塩基性水溶液による加水分解によ
って脱保護されることができる。
【0025】
【化11】
【0026】PGがベンジル基又はテトラヒドロピラニ
ル基から選ばれた場合、式(VI)の化合物は鉱酸水溶
液との反応によって脱保護されることができる。PGが
炭素原子数3〜20個のトリアルキルシリル基から選ば
れた場合、式(VI)の化合物は、有機共溶剤(好まし
くはテトラヒドロフラン)の存在下、水性フッ化物塩
(例、フッ化ナトリウム若しくはフッ化カリウムのよう
なアルカリ金属フッ化物又はフッ化テトラブチルアンモ
ニウム)との反応によって脱保護される。鉱酸の例とし
て硫酸、リン酸及び塩酸が挙げられる。本発明の合成工
程のすべてを、〔最終生成物である化合物(VII)を
除き〕生成物を単離することなく実施することが好まし
い。ここで「単離することなく」とは、溶剤やその他の
揮発性化合物は除去してもよいが、非揮発性化合物を除
去したり中間体を単離したりしないことを意味する。
【0027】ジアゾ化のために用いることができるニト
ロアニリンとして、2−ニトロアニリン、6−メトキシ
−2−ニトロアニリン、4−メトキシ−2−ニトロアニ
リン、4,5−ジメトキシ−2−ニトロアニリン、4−
クロロ−2−ニトロアニリン、4−フルオロ−2−ニト
ロアニリン、4−ブロモ−2−ニトロアニリン、4,5
−ジクロロ−2−ニトロアニリン、4−シアノ−2−ニ
トロアニリン、4−カルボキシ−2−ニトロアニリン、
等が挙げられるが、これらに限定はされない。カップリ
ング成分として使用することができるフェノールとし
て、3−アミノフェノール、レソルシノール、フロログ
ルシノール、4−クロロレソルシノール、4−フルオロ
レソルシノール、4−シアノレソルシノール、4−カル
ボキシレソルシノール、4−エチルレソルシノール、4
−メチルレソルシノール、4−プロピルレソルシノー
ル、等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0028】式(IV)の2−ニトロアゾベンゼンの例
として、2−ニトロ−(2’,4’−ジヒドロキシフェ
ニル)アゾベンゼン、2−ニトロ−(2’−ヒドロキシ
−4’−アミノフェニル)アゾベンゼン、2−ニトロ−
(2’,4’,6’−トリヒドロキシフェニル)アゾベ
ンゼン、2−ニトロ−4−クロロ−(2’,4’−ジヒ
ドロキシフェニル)アゾベンゼン、2−ニトロ−4−フ
ルオロ−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)アゾベ
ンゼン、2−ニトロ−4−メトキシ−(2’,4’−ジ
ヒドロキシフェニル)アゾベンゼン、2−ニトロ−4,
5−ジメトキシ−(2’,4’−ジヒドロキシフェニ
ル)アゾベンゼン、2−ニトロ−4−メチル−(2’,
4’−ジヒドロキシフェニル)アゾベンゼン、2−ニト
ロ−(2’,4’−ジヒドロキシ−5’−クロロフェニ
ル)アゾベンゼン、2−ニトロ−(2’,4’−ジヒド
ロキシ−5’−フルオロフェニル)アゾベンゼン、2−
ニトロ−(2’,4’−ジヒドロキシ−5’−エチルフ
ェニル)アゾベンゼン及び2−ニトロ−4,6−ジクロ
ロ−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)アゾベンゼ
ンが挙げられるが、これらに限定はされない。本発明の
重要な特徴は、下記のように式(IV)のアゾ色素を
「直接保護」により式(V)の保護形アゾ色素を得るこ
とである。
【0029】
【化12】
【0030】保護基としては、例えば、メチル(M
e)、イソプロピル(i−Pr)、ベンジル(Bz)、
トリメチルシリル(TMS)、テトラヒドロピラニル
(THP)、アセチル(Ac)、p−トルエンスルホニ
ル(PTS)、ジメチルカルバミルのようなジアルキル
カルバミル、メトキシメチル(MOM)、メトキシエト
キシメチル(MEM)、t−ブトキシメチル、ベンゾイ
ル、等の基を使用することができる。フェノール基及び
アミノ基の保護及び脱保護については当該技術分野では
周知である。これについての必要な詳細事項について
は、T.W. Greene, "ProtectiveGroups in Organic Synt
hesis", 第2版、Wiley Interscience, New York, 199
1を参照することができる。本発明において使用可能な
他の重要な文献として、例えば、フロログルシノールの
スルホニル化及び脱スルホニル化についてはR.S.-Obreg
on, G. Hurtado, H. Barrios, B. Ortiz and F. Yuste,
Organic Preparations and Procedures Internationa
l, Vol. 18(3), pp. 145-148 (1986)に記載されてお
り、四塩化ケイ素/ヨウ化ナトリウムによるフェノール
系エーテルの有効な脱メチル化についてはM.V. Bhatt a
nd S.S. El-Morey, Synthesis, p. 1048(1982) 及びC.
C. Kanakamら、Journal of Chemical Society, Perkin
Transaction I, p. 1907-1913 (1989)に記載されてお
り、アセトニトリル中で無水AlCl3を使用した同様の脱
メチル化についてはI. Rani, Indian Journal of Chemi
stry, Vol. 25B, p. 1251 (1986)に記載されており、脱
メチル化のために塩化メチレン中で三臭化ホウ素を使用
することがJ. Rosevear and J.F.K. Wilshire, Austral
ian Journal of Chemistry, Vol. 40, pp. 1663-1673
(1987)(この文献は本発明に最も近い従来技術の一つと
しても引用される) に記載されており、乾燥ジメチルホ
ルムアミド中で乾燥臭化水素ガスを使用することによる
ほぼ定量的な脱メチル化のための非常に安価な別の方法
がF. Xi, W. Basset, Jr. and O. Vogl, Makromolecula
r Chemistry, Vol. 185, pp. 2497-2509 (1984) に記載
されており、脱メチル化のために一定煮沸臭化水素酸(4
8%) を使用することがN.A. Evans,Australian Journal
of Chemistry, Vol. 34, pp. 691-695 (1981)に記載さ
れており、触媒としてReillex 425 塩化水素を使用した
テトラヒドロピラニル(THP)基の保護についてはC.
C. Kanakamら、Journal of Chemical Society, Perkin
Transaction I, pp. 1907-1913 (1989) 及びR.D. Johns
ton ら、Synthesis-Stuttgart, Issue 5, pp. 393-394
(1988)に記載されている。表Iに記載したその他の保護
基は、当該技術分野で一般に知られている酸又は塩基加
水分解によって閉環工程後に容易に除去されることがで
きる。表Iに、式(VA)の保護された形のアゾ色素の
具体例を示すが、本発明の範囲はこれらに限定はされな
い。
【0031】
【化13】
【0032】
【表1】
【0033】表IIに、式(VB)の保護された形のア
ゾ色素の具体例を示すが、本発明の範囲はこれらに限定
はされない。
【0034】
【化14】
【0035】
【表2】
【0036】還元的閉環工程は、保護基(PG)が上記
反応条件下で水酸化ナトリウムのような塩基に対して安
定であるならば、チオウレア−S,S−ジオキシドのみ
を使用することによって優れた収率で下記経路2によっ
て達成することができる。
【0037】
【化15】
【0038】塩基安定性のある保護基を有する化合物
(V)の還元的閉環工程は、その他の還元剤、例えば、
J.K. Makrandi and V. Kumari, Synthetic Communicati
ons, Vol. 20(12), pp. 1885-1888 (1990)に記載されて
いる亜ジチオン酸ナトリウムの使用、特公平4−786
33号に記載されているギ酸ナトリウムと亜ジチオン酸
ナトリウムとの併用、当該技術分野で広く実施されてい
る貴金属触媒水素化的閉環反応、米国特許第5,26
2,541号明細書に記載されているアルデヒド含有糖
類、等によっても達成することができる。酸−塩基に不
安定な保護基、例えば、アセチル、ベンゾイル、スルホ
ニル、等を有する化合物(V)の還元的閉環反応は、ギ
酸のアンモニウム塩のような水素供与性試薬をPd−C
と組み合わせることにより、又は当該技術分野で公知の
貴金属触媒閉環反応のようなほぼ中性の条件下で達成す
ることができる。
【0039】
【実施例】下記実施例により本発明をさらに説明する。実施例1 (直接保護工程)
【0040】
【化16】
【0041】先に引用した当該技術分野で公知の常用の
手順に従って、(2−ニトロアニリンを塩酸中で亜硝酸
ナトリウムでジアゾ化して得られた)2−ニトロフェニ
ルジアゾニウムクロリドをレソルシノールと縮合させる
ことにより未保護のアゾ色素(XI)を収率99%で合
成した。このアゾ色素(XI)はHPLC検定で98〜
99%の純度を示したので、この反応ではさらに結晶化
を行うことなく使用した。機械的スターラー、水凝縮器
及びアルゴンガス導入口を具備した2Lの三口丸底フラ
スコ中で未保護アゾ色素(XI)(25.9g、0.1
0モル)、硫酸ジメチル(31.53g、0.25モ
ル、23.66mL)、無水炭酸カリウム(69.0
g、0.5モル)及び乾燥アセトン(600mL)の混
合物を還流した。この反応混合物を激しく機械攪拌しな
がら16時間還流した。その反応混合物の監視を、展開
溶媒に塩化メチレンを使用したシリカゲル板TLCによ
って行った。また、HPLCによると、保持時間16.
3分を示す生成物(XII)に対応するピークが1本だ
け示された。この反応混合物を室温にまで冷却し、そし
て中多孔度の焼結ガラス漏斗で濾過して無機固形分を分
離し、これをアセトン(4×50mL)で十分に洗浄
し、残留生成物と未反応の過剰量の硫酸ジメチルを濾液
中に追いやった。溶剤をロータリーエバポレーターで分
離した。明オレンジ色の固体物質を500mLの冷水中
に移し、3.0mL(過剰量の硫酸ジメチルと等価)の
水酸化アンモニウム溶液の存在下でスパチュラで粉砕
し、過剰量の硫酸ジメチルを中和した。1時間後、生成
物を焼結ガラス漏斗上に集め、冷水(3×300mL)
で洗浄し、そして風乾した。収量は28.27g(理論
量の98.4%)であった。この粗物質はHPLC検定
で99%の純度を示し、還元的閉環工程のためにさらに
精製する必要はなかった。この粗生成物については以下
の分析結果が得られた。CDCl3 中の 1NMR(内部
標準としてテトラメチルシランを使用)によると、δ
7.9(d,1H,芳香族)、7.75(d,1H,芳
香族)、7.65(m,2H,芳香族)、7.5(m,
1H,芳香族)、6.55(2本の二重線,2H,芳香
族)、4.0(s,3H,メトキシ)及び3.9(s,
3H,メトキシ)におけるピークが示され、出発のアゾ
色素のフェノール性基の両方が完全にメチル化されたこ
とを示唆していた。この粗生成物試料の元素分析による
と、C14133 4 (分子量287.3):理論値;
C=58.53、H=4.56、N=14.63:測定
値;C=58.36、H=4.57、N=14.47が
得られた。
【0042】J. Rosevear and J.F.K. Wilshire, Austr
alian Journal of Chemistry, Vol.40, pp. 1663-1673
(1987) では、保護されたアゾ色素(XII)の収率は
49%にすぎないことが報告されているが、本発明によ
ると98.4%の収率を達成することができる点に着目
されたい。この粗生成物である保護形アゾ色素(XI
I)は、下記実施例に記載した還元的閉環工程におい
て、さらに精製することなくそのまま使用した。実施例2 (還元的閉環工程)
【0043】
【化17】
【0044】実施例1に記載した新規の「直接保護」工
程を行った後、この実施例2に記載の還元的閉環工程
を、J. Rosevear 及びJ.F.K. Wilshire の文献に記載さ
れている手順に従い、水酸化ナトリウムの存在下、チオ
ウレア−S,S−ジオキシドを利用して日常実験的に実
施した。こうして、粗生成物の保護形アゾ色素(XI
I)(11.49g、0.04モル)と、4モル/L
(N)の水酸化ナトリウム(100mL、0.4モル)
と、メタノール(100mL)との混合物を、アルゴン
雰囲気下、油浴中で機械的に攪拌した。この油浴温度が
80℃に到達した時点でチオウレア−S,S−ジオキシ
ド(9.52g、0.088モル)を少量づつ添加し
た。15〜20分間の攪拌後、反応混合物は上清が暗褐
色の溶液で固形分が無色である懸濁液となった。次い
で、さらに多少のチオウレア−S,S−ジオキシド
(4.76g、0.044モル)を少量づつ添加した。
直ぐに上清液が淡黄色になり、これを同じ温度において
さらに30分間攪拌した。これを室温にまで冷却し、そ
して蒸発用フラスコに移し、残留物をアセトン(50m
L)で洗い流した。この混合物から有機溶剤をロータリ
ーエバポレーターで分離した。その水性残留物を塩化メ
チレン(500mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、これを濾過により除去し、そしてその濾液から
溶剤をロータリーエバポレーターで分離した。その明褐
色の粘性のある粗生成物を秤量したところ10.21g
(理論値の100%)あり、これはTLC板上で一つの
スポットを示した。このバッチを先の工程の別のバッチ
で得られたさらに別の粗生成物(XIII)と一緒に
し、次の工程で使用した。このスポットのUV光下での
青色蛍光は、保護形閉環ベンゾトリアゾール生成物(X
III)の良好な指標であった。この粘性生成物は、少
量のペンタンによって粉砕して室温で2、3時間保持す
ると固化する。CDCl3 中の 1NMR(内部標準とし
てテトラメチルシランを使用)によると、δ7.95
(2本の二重線,2H,芳香族)、7.55(d,1
H,芳香族)、7.4(2本の二重線,2H,芳香
族)、6.6(m,2H,芳香族)、3.86(s,3
H,メトキシ)及び3.82(s,3H,メトキシ)に
おけるピークが示された。実施例3 (脱保護工程)
【0045】
【化18】
【0046】この工程は、最も近い従来技術における手
順に従い、脱保護試薬として三臭化ホウ素を用いて粗生
成物(XIII)をさらに精製することなく実施した。
粗生成物(XIII)(13.99g、0.055モ
ル)を塩化メチレン(100mL)に溶解し、そして機
械的スターラーと、氷浴と、ゴム製セプタムを介してア
ルゴン導入口を取り付けた水凝縮器と、500mL容の
均圧滴下漏斗とを具備した1Lの三口丸底フラスコに移
した。この反応器をアルゴンガスでフラッシし、0℃に
冷却した。10〜15分後、1M三臭化ホウ素塩化メチ
レン溶液(200mL、0.2モル、3.6モル当量)
を、均質な反応溶液に攪拌しながら1時間かけて滴下し
た。その添加工程の半ばすぎには、黄緑色の析出物が発
生した。それを24時間攪拌しながら室温にまで温めさ
せた。その反応混合物を500mLの氷水中に注ぎ込
み、そして固体重炭酸ナトリウム(67g、0.8モ
ル)で少しずつ処理しながらガラス製ロッドで攪拌して
現場で生じる臭化水素酸を中和した。塩化メチレンをロ
ータリーエバポレーターで除去し、フラスコを室温にま
で冷却し、そして1モル/L(N)の塩酸でpH3〜4
に酸性にした。固体生成物を焼結ガラス漏斗上に集め
た。それを水(2×200mL)で洗浄し、風乾した。
粗生成物のHPLC検定によると98%を超える純度を
示した。収量は11.71g(理論値の94%)であっ
た。FD−MSスペクトルによるとm/e227に分子
イオンを示した。この生成物は(XIV)の真正な試料
と同等であった。
【0047】以下の実施例、すなわち2−ニトロアニリ
ンのジアゾ化から始まるすべての工程を組み合わせた
「ワン・ポット」プロセスによって、その製造のための
実施可能性をさらに説明する。実施例4 (ワン・ポットプロセス)この方法は、同じ反応フラス
コを使用して、パートA〜Dのおいて下記のように0.
1モル規模の2−ニトロアニリンで実施した。この方法
の途中のいずれかの段階で予想される大量の反応混合物
を取り扱うために4Lの四口丸底フラスコを選定した。
【0048】パートA:2−ニトロアニリン(13.8
g、0.1モル)を氷酢酸(70mL)にホットプレー
ト上で加熱しながら溶解させた。それを室温にまで冷却
させた。濃塩酸(28mL、36%溶液)を加えて2−
ニトロアニリン塩酸塩のスラリーを形成させた。この工
程を500mLの三角フラスコで別々に行った。それを
氷塩乾燥氷浴(−10℃)中で磁気攪拌のためにセット
した。次いで、その2−ニトロアニリン塩酸塩のスラリ
ーを攪拌したものに、20mLの蒸留水に亜硝酸ナトリ
ウム(6.9g、0.1モル)を含む溶液を15分間か
けて滴下した。ジアゾニウム塩の透明で明るい黄色の均
質溶液が得られた。これを同じ温度(−10〜−5℃)
でさらに10分間攪拌した。先の4Lの反応器において
200mLの水にレソルシノール(12.0g、約0.
1モル)を溶解させ、これを氷塩浴中で冷却しながら機
械的に攪拌し、次いで、滴下漏斗から前記ジアゾニウム
溶液を10〜15分間かけて滴下した。即座に明るい赤
色のアゾ色素が生成した。滴下完了後、反応器を氷浴中
の氷の融解に合わせて室温にまで温めさせた。2時間
後、それに1Lの水を加え、攪拌し、そして固体のアゾ
色素を4時間(攪拌せずに)沈降させた。水の部分をア
ゾ色素から慎重にデカントして廃棄した。このデカント
処理を2回以上繰り返して、大部分のHCl、酢酸及び
NaClを除去した。反応器の残留水は2Lのトルエン
中で共沸還流させて追い出した。水が出てこなくなった
時点で、トルエンをできる限り多量に蒸留除去した。残
留トルエンは自家真空によって除去した。この時点でパ
ートAは完了するが、アゾ色素を反応器からは取り出さ
なかった。
【0049】パートB:上記アゾ色素を含有する反応器
に乾燥アセトン(600mL)、無水炭酸カリウム(6
9.0g、0.5モル、5モル当量、但し3モル当量で
十分であった)及び硫酸ジメチル(31.53g、0.
25モル、23.7mL、密度=1.333)を装填し
た。次いで、その反応器を加熱マントルで加熱還流しな
がら16〜18時間機械的に攪拌した。これを室温にま
で冷却させ、そして3.0mLの水酸化アンモニウム溶
液で処理した。アセトンをできるだけ多量に蒸留除去し
た。残留アセトンは自家真空によって除去した。この時
点でパートBは完了するが、メチル化された(保護され
た)アゾ色素を反応器からは取り出さなかった。
【0050】パートC:パートBの固形物を含有する反
応器に、1Lの冷水を装填し、攪拌し、固形分を沈降さ
せ、そして水の部分を慎重にデカント廃棄した。次い
で、残った物質をメタノール(250mL)と4モル/
L(N)のNaOH(250mL)で希釈した。それを
機械攪拌して80℃に加熱した。温度制御は、温度計ポ
ケットに挿入された熱電対検知プローブを有するサーモ
・ウォッチによって行った。温度は80℃に維持した。
チオウレア−S,S−ジオキシド(21.6g、0.2
モル)を10〜15分間かけて少量ずつ加えた。さらに
15分間攪拌した後、再度チオウレア−S,S−ジオキ
シド(11.88g、0.11モル)を5分間かけて少
量ずつ加えた。褐色の上清液が淡黄色に迅速に変化し
た。これを同じ温度でさらに30分間攪拌した。これを
室温にまで冷却し、1Lの冷水で希釈し、そして16時
間静置した。この環化した生成物は反応器の底部にゴム
のように沈降した。水層をデカント廃棄した。冷水(各
回500mL)で2回以上洗浄、デカント廃棄を行っ
た。残留水はシクロヘキサン中で共沸還流して追い出し
た。水が分離されなくなった時点で、自家真空によって
シクロヘキサンを蒸留除去した。この時点でパートCは
完了したが、生成物を反応器からは取り出さなかった。
【0051】パートD:加熱マントルを氷塩浴に置き換
えた。上記反応器に乾燥塩化メチレン(200mL)を
装填し、機械的に攪拌して均質溶液を得た。次いで、1
M三臭化ホウ素塩化メチレン溶液(400mL、0.4
モル、4モル当量)を静圧アルゴンガス下、滴下漏斗に
より1.5時間かけて滴下した。最初の均質溶液が黄緑
色の固体懸濁液に変わると同時に白色の発煙が発生した
が即座におさまった。攪拌しながら、24時間かけて室
温にまで温めさせた。反応器の三口を開放した。氷塩浴
中で冷却しながら水をゆっくりと滴下した。水の添加は
HBrの発煙が止まるまで継続した。それまでに約20
0mLの水を要した。次いで、これを重炭酸ナトリウム
固体で少しずつ処理してpHを中性にした。この時点
で、フラスコの全内容物を蒸発用フラスコに移した。ロ
ータリーエバポレーターで有機溶剤を除去した。水性残
留物を350mLの水でさらに希釈した。不溶性生成物
を焼結ガラス漏斗上に集め、冷水(3×100mL)で
洗浄し、そして風乾した。収量は19.98g(理論値
の88%)であった。ヘキサン/酢酸エチルの1:1混
合物によるTLCは、所望の生成物に対応する一つのス
ポットを示した。下記実施例は、本発明の方法の概要を
さらに説明するものである。実施例5 (直接保護工程)
【0052】
【化19】
【0053】先に引用した当該技術分野で公知の常用の
手順に従い、(4−クロロ−2−ニトロアニリンを塩酸
中で亜硝酸ナトリウムによりジアゾ化して得られた)4
−クロロ−2−ニトロフェニルジアゾニウムクロリドを
レソルシノールと縮合させることにより収率99%で未
保護のアゾ色素(XV)を合成した。このアゾ色素(X
V)は、HPLC検定で98%の純度を示したので、さ
らに結晶化することなくこの反応で使用した。機械的ス
ターラーと、水凝縮器と、アルゴンガス導入口とを具備
した2Lの三口丸底フラスコにおいて、未保護アゾ色素
(XV)(110.86g、0.38モル)、硫酸ジメ
チル(142.9g、1.133モル、107mL)、
無水炭酸カリウム(168g、1.216モル)及び乾
燥アセトン(2000mL)の混合物を還流させた。こ
の反応混合物を激しく機械攪拌しながら16時間還流さ
せた。その反応の監視は、展開溶剤として塩化メチレン
を使用したシリカゲル塗布ガラス板によるTLCで行っ
た。反応混合物を室温まで冷却し、中多孔度の焼結ガラ
ス漏斗で濾過して無機固形分を分離し、これをアセトン
(4×50mL)で十分に洗浄して残留生成物と未反応
の過剰量の硫酸ジメチルを濾液の中に送り込んだ。溶剤
をロータリーエバポレーターで除去した。明オレンジ色
の固体物を500mLの冷水中に移し、水酸化アンモニ
ウム溶液20.0mL(過剰量の硫酸ジメチルと当量)
の存在下、スパチュラで粉砕した。1時間後、その生成
物焼結ガラス漏斗上に集め、冷水(3×300mL)で
洗浄し、そして風乾した。収量は112.24g(理論
値の92%)であった。この粗物質はHPLC検定で保
持時間18.3分、純度99%を示した。これは、還元
的閉環反応のためにさらに精製する必要はなかった。
【0054】J. Rosevear 及びJ.F.K. Wilshire の文献
では保護形アゾ色素(XVI)の収率は63%にすぎな
かったが、本発明によると92%の収率が得られること
に着目すべきである。この粗生成物の保護形アゾ色素
(XVI)を、以下の実施例に記載する還元的閉環工程
においてさらに精製することなくそのまま使用した。実施例6 (還元的閉環工程)
【0055】
【化20】
【0056】実施例5に記載した新規の「直接保護」工
程を行った後、この実施例6に記載の還元的閉環工程
を、最も近い従来技術に記載されている手順に従い、水
酸化ナトリウムの存在下、チオウレア−S,S−ジオキ
シドを利用して日常実験的に実施した。こうして、粗生
成物の保護形アゾ色素(XVI)(95.5g、0.3
モル)と、4モル/L(N)の水酸化ナトリウム(12
0g、800mL、3.0モル)と、メタノール(80
0mL)との混合物を、アルゴン雰囲気下、油浴中で機
械的に攪拌した。この油浴温度が80℃に到達した時点
でチオウレア−S,S−ジオキシド(71.36g、
0.66モル)を少量づつ添加した。15〜20分間の
攪拌後、反応混合物は上清が暗褐色の溶液で固形分が無
色である懸濁液となった。次いで、さらに多少のチオウ
レア−S,S−ジオキシド(35.68g、0.33モ
ル)を少量づつ添加した。直ぐに上清液が淡黄色にな
り、これを同じ温度においてさらに30分間攪拌した。
これを室温にまで冷却し、そして蒸発用フラスコに移
し、残留物をアセトン(50mL)で洗い流した。この
混合物から有機溶剤をロータリーエバポレーターで分離
した。その水性残留物を塩化メチレン(500mL)で
抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、これを濾過によ
り除去し、そしてその濾液から溶剤をロータリーエバポ
レーターで分離した。その暗褐色の粘性のある(後に固
化した)粗生成物を秤量したところ72.21g(理論
値の92%)あり、これはTLC板上で一つのスポット
を示した。このスポットのUV光下での青色蛍光は、保
護形閉環ベンゾトリアゾール生成物(XVII)の良好
な指標であった。CDCl3 中の 1NMR(内部標準と
してテトラメチルシランを使用)によると、δ7.9
(m,2H,芳香族)、7.55(d,1H,芳香
族)、7.38(d,1H,芳香族)、6.62(m,
2H,芳香族)、3.9(s,3H,メトキシ)及び
3.85(s,3H,メトキシ)におけるピークが示さ
れた。実施例7 (脱保護工程)
【0057】
【化21】
【0058】この工程は、J. Rosevear 及びJ.F.K. Wil
shire の文献に記載の手順に従い、脱保護試薬として三
臭化ホウ素を用いて粗生成物(XVII)をさらに精製
することなく実施した。粗生成物(XVII)(49.
0g、0.17モル)を塩化メチレン(300mL)に
溶解し、そして機械的スターラーと、氷浴と、ゴム製セ
プタムを介してアルゴン導入口を取り付けた水凝縮器
と、500mL容の均圧滴下漏斗とを具備した3Lの三
口丸底フラスコに移した。この反応器をアルゴンガスで
フラッシし、0℃に冷却した。10〜15分後、1M三
臭化ホウ素塩化メチレン溶液(600mL、0.6モ
ル、3.53モル当量)を、均質な反応溶液に攪拌しな
がら1時間かけて滴下した。その添加工程の半ばすぎに
は、黄緑色の析出物が発生した。それを24時間攪拌し
ながら室温にまで温めさせた。その反応混合物を500
mLの氷水中に注ぎ込み、そして固体重炭酸ナトリウム
で少しずつ処理しながらガラス製ロッドで攪拌し、現場
で生じる臭化水素酸を中和した。塩化メチレンをロータ
リーエバポレーターで除去し、フラスコを室温にまで冷
却した。固体生成物を焼結ガラス漏斗上に集めた。それ
を水(2×200mL)で洗浄し、風乾した。粗生成物
のHPLC検定によると98%を超える純度を示した。
収量は43.25g(理論値の97%)であった。FD
−MSスペクトルによるとm/e261に分子イオンを
示した。CDCl3 中の 1NMR(内部標準としてテト
ラメチルシランを使用)によると、δ10.25(幅広
い1本線,2H,フェノール性OH)、8.1(s,1
H,芳香族)、8.0(s,1H,芳香族)、7.5
(d,1H,芳香族)、7.2(d,1H,芳香族)、
6.5(s,1H,芳香族)及び6.4(d,1H,芳
香族)におけるピークが示された。実施例8 (直接保護工程)
【0059】
【化22】
【0060】先に引用した当該技術分野で公知の常用の
手順に従い、(2−ニトロアニリンを塩酸中で亜硝酸ナ
トリウムによりジアゾ化して得られた)2−ニトロフェ
ニルジアゾニウムクロリドを3−アミノフェノールと縮
合させることにより収率98%で未保護のアゾ色素(X
IX)を合成した。このアゾ色素(XIX)は、HPL
C検定で97%の純度を示したので、さらに結晶化する
ことなくこの反応で使用した。未保護アゾ色素(XI
X)(10.62g、0.041モル)、無水酢酸(4
0g、過剰量)、トリエチルアミン(16.16g、
0.16モル、22.3mL)及び4−ジメチルアミノ
ピリジン(DMAP)(0.488g、0.004モ
ル、10モル%当量)のテトラヒドロフラン(250m
L)中の混合物を還流下、3時間磁気攪拌した。この反
応の監視は、出発アゾ色素(XIX)の消失についてT
LC(CH2 Cl2 )で行った。溶剤をロータリーエバ
ポレーターで除去し、その残留物をアセトン(50m
L)で希釈し、そしてガラス棒で攪拌しながら冷水(5
00mL)に注ぎ込み、析出物を濾過し、冷水(2×2
00mL)で洗浄し、そして風乾した。この粗生成物は
ジアシル化アゾ色素(XX)とトリアシル化アゾ色素
(XXI)の混合物であって、12.93gであった。
これらは、HPLC検定及び質量分析によるとほぼ1:
1の比率であった。必要に応じて、この反応を無水酢
酸、氷酢酸及び無水酢酸ナトリウムにおいて還流条件下
で実施してもよい。実施例9 (還元的閉環工程)
【0061】
【化23】
【0062】この反応は、還元剤としてチオウレア−
S,S−ジオキシドを使用し、実施例2に記載した一般
手順に従い実施した。保護形アゾ色素(XX)及び(X
XI)の混合物(13.69g)とチオウレア−S,S
−ジオキシド(14.26g、0.132モル)を使用
した。反応の一般的な仕上げにより7.83gの粗生成
物が得られ、HPLC検定、HPLCにおける各UV吸
収曲線形状及び質量分光分析により、(XXII)(〜
6%)、モノアセチル化閉環生成物(XXIII)(〜
47%)及びジアセチル化閉環生成物(XXIV)(〜
47%)の混合物が示された。本発明者が認識している
この反応のさらなる利点は、(XXIII)と(XXI
V)を単離することなく現場で130℃で3〜4時間塩
基加水分解することにより、しかもこれら2種のいずれ
もが90%を超える収率で(XXII)に転化され、同
じポット反応から目的の所望の生成物(XXII)が容
易に得られることである。必要に応じて、閉環生成物の
粗混合物を単離した後、酸加水分解又は塩基加水分解を
施して所望の生成物(XXII)を得た。下記の実施例
は、所望の目的の生成物をもたらす現場加水分解(この
場合はメタノリシス)のさらなる利点を例示するもので
ある。実施例10
【0063】
【化24】
【0064】触媒として4−ジメチルアミノピリジン及
び塩基としてトリエチルアミンの存在下、テトラヒドロ
フラン中又は塩化メチレン中、対応する未保護アゾ色素
を無水酢酸でジアシル化することにより、保護されたア
ゾ色素(XXV)を定量的収率で合成した。こうして、
保護形アゾ色素(XXV)(0.343g、0.001
モル)、無水ギ酸アンモニウム(0.63g、0.01
モル)及び10%Pd−Cの混合物を乾燥メタノール
中、室温で6〜10時間攪拌した後、6〜10時間還流
させ、HPLC−UV吸収曲線及び質量分光分析(m/
e227で分子イオン)によって閉環された未保護の所
望の生成物(XIV)の生成を確認した。 実施例11
【0065】
【化25】
【0066】この実施例は、保護基としてp−トルエン
スルホニル基を使用する態様を説明するものである。機
械的スターラーと氷浴を具備した2Lの三口丸底フラス
コの中にアゾ色素(XI)(12.6g、0.048モ
ル)とp−トルエンスルホニルクロリド(20.38
g、0.107モル)を入れた。アセトン(1,000
mL)を加えて0℃で攪拌した。トリエチルアミン(1
2.3g、0.122モル、17mL)を1〜2分かけ
て添加した後、4−N,N−ジメチルアミノピリジン
(0.31g、0.0025モル)を一度に加えた。3
0分後、氷浴を取り外し、室温にまで戻させた。反応は
2時間以内に完了し、TLC(CH2 Cl2/MeO
H:99.8/0.2)による監視では一つのスポット
を示し、Rf=0.58であった。溶剤をロータリーエ
バポレーターで除去した。その残留物を1リットルの冷
水で希釈した。生成物は赤褐色の粘性油状物として得ら
れた。濁った上清液をデカント廃棄した。その残留物を
塩化メチレン(500mL)で抽出し、ブライン(50
0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。こ
れを濾過してその溶剤をロータリーエバポレーターで除
去した。所望の二箇所が保護されたアゾ色素(XXV
I)の収量は27.56g(理論値の99.9%)であ
った。FD質量分析スペクトルによるとm/e567に
分子イオンピークが示された。HPLC分析では保持時
間20.4分でピークが認められた。HPLCによる曲
線のλmax は333nmであった。 1NMR(CDCl
3 )によると、δ7.9(t,2H,芳香族)、7.7
(d,2H,芳香族)、7.6(互いに重なる二重線,
4H,芳香族)、7.44(d,1H,芳香族)、7.
38(d,2H,芳香族)、7.15(d,1H,芳香
族)、7.0(s,1H,芳香族)、6.95(d,1
H,芳香族)、2.5(s,3H,CH3 )及び2.3
(s,3H,CH3 )におけるピークが示された。実施例12
【0067】
【化26】
【0068】この実施例は、還元的閉環反応及び脱保護
反応をワン・ポットで実施できることを例示するもので
ある。この反応は実施例6と同様の方法で実施した。水
酸化ナトリウム(38.08g、0.95モル)水溶液
(238mL)とメタノール(238mL)の存在下、
アゾ色素(XXVI)(27.0g、0.0476モ
ル)をチオウレア−S,S−ジオキシド(17.07
g、0.157モル)とアルゴン下、80℃で約3時間
反応させた。そのアリコート(塩酸で酸性にした)のH
PLC検定によると、所望の生成物(XIV)(〜70
%、保持時間13.3分)とその4’−置換モノスルホ
ネート(〜26%、保持時間19.15分)の混合物と
共に、汚染物として微量のN−オキシドが示された。温
度を130℃に上昇させて16時間還流し、スルホネー
トエステル基の現場加水分解を完結させた。メタノール
を蒸留除去した。その水性残留物を0℃に冷却し、10
00mLの冷水で希釈し、そして濃塩酸でpHを3〜4
の酸性にした。内容物全体を分液漏斗に移し、酢酸エチ
ル(3×500mL)で抽出した。その抽出物を無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。溶剤をロータ
リーエバポレーターで除去した。生成物(XIV)が明
褐色の固形分として得られ、その重量は10.26g
(理論値の95%)であった。実施例13
【0069】
【化27】
【0070】この実施例は、ジメチルカルバミル基が有
効な保護基であることを例示するものである。機械的ス
ターラーと氷浴を具備した2Lの三口丸底フラスコにア
ゾ色素(XV)(58.74g、0.2モル)とアセト
ン(1500mL)を入れた。0℃で攪拌しながら、ジ
メチルカルバミルクロリド(47.32g、0.45モ
ル、40.5mL)を2〜3分かけて添加した。その反
応混合物を攪拌しながら滴下漏斗からトリエチルアミン
(45.5g、0.45モル、63mL)をゆっくりと
10〜15分かけて添加した。この添加の初期には大量
の白色発煙が認められたが、約10分後にはおさまっ
た。N,N−ジメチルアミノピリジン(2.45g、
0.02モル)を一度に添加した。約15分後に氷浴を
取り外し、反応混合物を室温にさせた。これを加熱マン
トルで2.5時間還流させた。TLC(CH2 Cl2
MeOH:9.5/0.5)により二箇所が保護された
アゾ色素(XXVII)のRf=0.9の一つのスポッ
トが示された。溶剤をロータリーエバポレーターで除去
した。その残留物を1000mLの冷水で粉砕した。不
溶性の生成物を焼結ガラス漏斗で濾過し、冷水(3×2
00mL)で洗浄した。泥色の固形分を風乾したところ
83.21g(理論値の95.4%)であった。その粗
物質は分析学的に純粋であった。そのFD質量分析スペ
クトルによるとm/e435に分子イオンピークが認め
られた。HPLCによると保持時間16.8分にピーク
が認められ、そのピーク面積率は98.7%であった。
HPLCによる吸収曲線のλmax は358nmであり、
445nmに突起部があった。その 1NMR(CDCl
3 )によると、δ7.9(s,1H,芳香族)、7.6
(d,1H,芳香族)、7.5(d,1H,芳香族)、
7.2(s,1H,芳香族)、7.1(d,1H,芳香
族)、6.78(d,1H,芳香族)、3.15(s,
3H,NCH3 )、3.08(s,3H,NCH3 )及
び3.02(s,6H,N(CH3 2 )におけるピー
クが示された。C1818Cl1 5 6 の元素分析は理
論値;C=49.61、H=4.16、N=16.0
7、Cl=8.13:測定値;C=49.77、H=
4.31、N=15.89、Cl=8.03であった。実施例14
【0071】
【化28】
【0072】この実施例は、還元的閉環反応及び脱保護
反応をワン・ポットで実施できることを例示するもので
ある。この反応は、機械的スターラー、油浴及び還流用
凝縮器を介して取り付けたアルゴンガス導入口を具備し
た2Lの三口丸底フラスコにおいて実施例6と同様の方
法で実施した。水酸化ナトリウム(48.0g、1.2
モル)水溶液(300mL)とメタノール(300m
L)の存在下、アゾ色素(XXVII)(52.3g、
0.12モル)をチオウレア−S,S−ジオキシド(4
2.84g、0.396モル)と80℃で約3時間反応
させた。そのアリコート(塩酸で酸性にした)のHPL
C検定によると、所望の生成物(XVIII)(〜75
%、保持時間14.86分)とその4’−置換モノカル
バメート(〜25%、保持時間13.85分)の混合物
が示された。さらに水酸化ナトリウム(40g、0.1
モル)を加え、温度を130℃に上昇させて16時間還
流し、カルバメートエステル基の現場加水分解を完結さ
せた。メタノールを蒸留除去した。その水性残留物を0
℃に冷却し、1000mLの冷水で希釈し、そして濃塩
酸でpHを3〜4の酸性にした。内容物全体を分液漏斗
に移し、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。そ
の抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過し
た。溶剤をロータリーエバポレーターで除去した。生成
物(XVIII)が褐色の固形分として得られ、その重
量は29.75g(理論値の95%)であった。以下の
実施例で示した還元剤として亜ジチオン酸ナトリウム
(Na2 2 4)によっても同じ変換が達成された。
【0073】実施例15 この反応は、機械的スターラー、油浴及び還流用凝縮器
を介して取り付けたアルゴンガス導入口を具備した25
0mLの三口丸底フラスコにおいて実施例6と同様の方
法で実施した。水酸化ナトリウム(16.0g、0.4
モル)水溶液(50mL)とメタノール(50mL)の
存在下、アゾ色素(XXVII)(8.7g、0.02
モル)を亜ジチオン酸ナトリウム(17.4g、0.1
モル)とその結晶性粉末を少量ずつ添加することにより
80℃で10〜15分かけて反応させた。亜ジチオン酸
ナトリウムの添加が完了した後、反応混合物の色は明褐
色から暗褐色に変化していた。15分後、温度を120
℃に上昇させ、反応混合物の還流を開始させた。する
と、反応混合物の色が順次暗褐色から暗赤色、オレンジ
色、暗黄色、泥状黄色へと変化していった。その最終色
は、反応混合物を空気に晒さない限りそのままであっ
た。2時間の還流後、それを室温まで冷却させた。それ
を空気に開放すると、色が変化して暗緑色になった。メ
タノールを蒸留除去した。その暗緑色の水性残留物を5
00mLの冷水で希釈し、そして濃塩酸でpHを3〜4
の酸性にした。そのゼラチン状析出物を酢酸エチル(5
00mL+200mL)で抽出した。抽出物を一緒にし
たものを無水硫酸ナトリウムで乾燥し、これを濾過して
除去し、そしてその溶剤をロータリーエバポレーターで
除去した。褐色の粘性物質が得られ、これを室温で保存
すると固化した。その重量は5.1g(理論値の97.
5%)であった。その粗生成物のHPLC分析による
と、保持時間14.79分のピークが示され、そのピー
ク面積率は純度95%を示した。以下の比較例は、未保
護アゾ色素を用いて還元的閉環反応を行うと、比較的低
い収率で又は望ましくない副生物を伴って閉環生成物が
得られたことを例示するものである。比較例16
【0074】
【化29】
【0075】この反応は、未保護アゾ色素(XIX)
(20.60g、0.08モル)、チオウレア−S,S
−ジオキシド(28.53g、0.264モル)、4モ
ル/L(N)NaOH(150mL、0.48モル)及
びMeOH(150mL)を使用し、実施例9に記載し
たものと同等の条件下で実施した。反応混合物の通常の
仕上げにより4.25g(理論値の24%)の所望の生
成物(XXII)が得られた。実施例9での収率は90
%を超えていた。最も近い従来技術の一つ〔H.S.Freema
n and J.C. Posey, Jr., Dyes and Pigments, Vol. 20,
pp. 171-195 (1992)を参照のこと〕では、(XXI
I)の5−クロロ置換類似体の収率59%が報告されて
いる。本発明者は、対応するアゾ色素のアミノ基又はフ
ェノール基とアミノ基の両方が保護された場合の高い収
率を予測した。この傾向は前記従来技術文献(第176
頁を参照のこと)において明示されているが、閉環反応
に対する保護の影響については言及されていない。比較例17
【0076】
【化30】
【0077】この反応は、未保護アゾ色素(XI)(2
0.73g、0.08モル)、チオウレア−S,S−ジ
オキシド(28.53g、0.264モル)、4モル/
L(N)NaOH(200mL、0.48モル)及びM
eOH(150mL)を使用し、実施例2に記載したも
のと同等の条件下で実施した。この反応中、出発の未保
護アゾ色素(XI)は15分以内に完全に消費された。
(酸性にされたアリコートの)TLCによると、所望の
閉環生成物(XIV)は少しも検出されなかったが、代
わりに、(XXVIII)のような極性の高い物質に対
応するスポットが示され、これはHPLC系UV−VI
S吸収曲線によりアミノ置換アゾ色素(XXVIII)
のものであることが確認された。また、質量分析による
と、m/e229に分子イオンが示された。このことか
ら、アゾ色素が保護されていない場合には、そのニトロ
基が還元されてアミノ基となり、閉環反応はまったく起
こらないことが確認された。以下、本発明の好ましい実
施態様を項分け記載する。 〔1〕下式(VII):
【0078】
【化31】
【0079】〔上式中、R1 、R2 、R3 、R4
5 、R6 及びR7 は、各々独立に、H、ハロゲン、シ
アノ、−CO2 Y(但し、YはH又は炭素原子数1〜1
2個のアルキル若しくは炭素原子数6〜12個のアリー
ル基である)、炭素原子数1〜12個のカルバモイル
基、炭素原子数0〜12個のスルホキシド基、炭素原子
数0〜12個のスルホニル基、炭素原子数0〜12個の
スルホナト基、炭素原子数0〜12個のスルホンアミド
基、炭素原子数1〜18個のアルキル基、炭素原子数1
〜18個のアルコキシ基、炭素原子数6〜20個のアリ
ール基、O、N若しくはSから選ばれた異種原子1〜4
個を含む原子数5〜20個のヘテロアリール基、又は炭
素原子数6〜20個のアリールオキシ基であるか、或い
はR1 〜R4 のうち隣接しているいずれか2個以上の基
が、又は互いに隣接している場合のR6 とR7 若しくは
6 とR5 が、一緒になって炭素原子数1〜10個の脂
環式基を形成するか、又はそれらが結合しているベンゼ
ン環の炭素原子と一緒になって炭素原子数6〜20個の
芳香族基又はO、N若しくはSから選ばれた異種原子1
〜4個を含む原子数5〜20個のヘテロアリール基を完
成することができ、或いはR 7 はOHであり、XはO、
S又はNR8 であるが、但しR8 はH、炭素原子数1〜
12個のアルキル若しくはアリール基、又はO、N若し
くはSから選ばれた異種原子1〜4個を含む原子数5〜
20個のヘテロアリール基である〕で示される化合物の
合成方法であって、下式(IV):
【0080】
【化32】
【0081】〔上式中、R1 〜R7 及びXは前記式(V
II)で定義した通り〕で示される化合物上の少なくと
も−XH基を、−X(PG)基〔ここで、PG基はH以
外の基であって、続く閉環工程では除去されない〕の形
成により保護して、保護形の式(IV)の化合物を生成
させる保護工程と、前記保護形の式(IV)の化合物を
還元剤と反応させて下式(VI):
【0082】
【化33】
【0083】〔上式中、ZはH又は保護基である〕で示
される化合物を生成させる閉環工程と、前記式(VI)
の化合物を、PGをHで置換し且つZがHでない場合に
はZもHで置換することにより脱保護して、前記式(V
II)の化合物を生成させる脱保護工程とを含む合成方
法。
【0084】〔2〕閉環工程前に式(IV)上の−OH
基も保護されて−O(PG1 )を形成し、その際PG1
は続く閉環工程中には除去されないH以外の基である
か、又は炭素原子数1〜12個のアシル基、炭素原子数
1〜24個のカルバミル基又は炭素原子数1〜12個の
スルホニル基である、前記〔1〕項に記載の方法。 〔3〕PG1 が表しうるアシル基が炭素原子数2〜12
個のアシル基である、前記〔2〕項に記載の方法。
【0085】〔4〕PGが1〜6個の酸素、硫黄又は窒
素原子が介在していてもよい炭素原子数1〜18個のア
ルキル基、炭素原子数1〜18個のアシル基、炭素原子
数1〜24個のカルバミル基、炭素原子数1〜18個の
スルホニル基、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、
及び炭素原子数3〜20個のトリアルキルシリル基の中
から選ばれる、前記〔1〕項に記載の方法。 〔5〕PG及びPG1 が、各々独立に、1〜6個の酸
素、硫黄又は窒素原子が介在していてもよい炭素原子数
1〜18個のアルキル基、炭素原子数1〜18個のアシ
ル基、炭素原子数1〜24個のカルバミル基、炭素原子
数1〜18個のスルホニル基、ベンジル基、テトラヒド
ロピラニル基、及び炭素原子数3〜20個のトリアルキ
ルシリル基の中から選ばれる、前記〔2〕項に記載の方
法。
【0086】〔6〕PGがメチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、t−ブチル、t
−アミル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、
ホルミル、アセチル、ベンゾイル、SO2 10(R10
メチル、エチル、フェニル若しくはp−トルエンスルホ
ニルから選ばれる)、炭素原子数1〜12個のジアルキ
ルカルバミル(例、ジメチルカルバミル若しくはジエチ
ルカルバミル)、ベンジル基、テトラヒドロピラニル
基、及び炭素原子数3〜20個のトリアルキルシリル
基、又はCOR9 (R9 はメチル、エチル若しくはフェ
ニルである)、フェニル基、ピリジニル、イミダゾイ
ル、ピロリル、フリル及びチエニルの中から選ばれる、
前記〔1〕項に記載の方法。 〔7〕PG及びPG1 が、各々独立に、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、
t−ブチル、t−アミル、メトキシメチル、メトキシエ
トキシメチル、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、SO
2 10(R10はメチル、エチル、フェニル若しくはp−
トルエンスルホニルから選ばれる)、炭素原子数1〜1
2個のジアルキルカルバミル(例、ジメチルカルバミル
若しくはジエチルカルバミル)、ベンジル基、テトラヒ
ドロピラニル基、及び炭素原子数3〜20個のトリアル
キルシリル基、又はCOR9 (R9 はメチル、エチル若
しくはフェニルである)、フェニル基、ピリジニル、イ
ミダゾイル、ピロリル、フリル及びチエニルの中から選
ばれる、前記〔2〕項に記載の方法。
【0087】〔8〕R7 がOHである場合、式(IV)
上のそのOHもまた閉環工程前に保護されて−O(PG
1 )を形成し、その際、PG1 は続く閉環工程中には除
去されないH以外の基であるか、又は炭素原子数1〜1
2個のアシル基、炭素原子数1〜24個のカルバミル基
若しくは炭素原子数1〜12個のスルホニル基である、
前記〔1〕項に記載の方法。
〔9〕R7 がOHである場合、式(IV)上のそのOH
もまた閉環工程前に保護されて−O(PG1 )を形成
し、その際、PG1 は続く閉環工程中には除去されない
H以外の基であるか、又は炭素原子数1〜12個のアシ
ル基、炭素原子数1〜24個のカルバミル基若しくは炭
素原子数1〜12個のスルホニル基である、前記〔2〕
項に記載の方法。
【0088】〔10〕PG及びPG1 が、各々独立に、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、ペンチル、t−ブチル、t−アミル、メトキシメチ
ル、メトキシエトキシメチル、ホルミル、アセチル、ベ
ンゾイル、SO2 10(R10はメチル、エチル、フェニ
ル若しくはp−トルエンスルホニルから選ばれる)、炭
素原子数1〜12個のジアルキルカルバミル(例、ジメ
チルカルバミル若しくはジエチルカルバミル)、ベンジ
ル基、テトラヒドロピラニル基、及び炭素原子数3〜2
0個のトリアルキルシリル基、又はCOR9 (R9 はメ
チル、エチル若しくはフェニルである)、フェニル基、
ピリジニル、イミダゾイル、ピロリル、フリル及びチエ
ニルの中から選ばれる、前記
〔9〕項に記載の方法。 〔11〕R7 がH又はOHである、前記
〔9〕項に記載
の方法。 〔12〕下式(VII):
【0089】
【化34】
【0090】〔上式中、R1 、R2 、R3 、R4
5 、R6 及びR7 は、各々独立に、H、ハロゲン、シ
アノ、−CO2 Y(但し、YはH又は炭素原子数1〜1
2個のアルキル若しくは炭素原子数6〜12個のアリー
ル基である)、炭素原子数1〜12個のカルバモイル
基、炭素原子数0〜12個のスルホキシド基、炭素原子
数0〜12個のスルホニル基、炭素原子数0〜12個の
スルホナト基、炭素原子数0〜12個のスルホンアミド
基、炭素原子数1〜18個のアルキル基、炭素原子数1
〜18個のアルコキシ基、炭素原子数6〜20個のアリ
ール基、O、N若しくはSから選ばれた異種原子1〜4
個を含む原子数5〜20個のヘテロアリール基、又は炭
素原子数6〜20個のアリールオキシ基であるか、或い
はR1 〜R4 のうち隣接しているいずれか2個以上の基
が、又は互いに隣接している場合のR6 とR7 若しくは
6 とR5 が、一緒になって炭素原子数1〜10個の脂
環式基を形成するか、又はそれらが結合しているベンゼ
ン環の炭素原子と一緒になって炭素原子数6〜20個の
芳香族基又はO、N若しくはSから選ばれた異種原子1
〜4個を含む原子数5〜20個のヘテロアリール基を完
成することができ、或いはR 7 はOHであり、XはO、
S又はNR8 であるが、但しR8 はH、炭素原子数1〜
12個のアルキル若しくはアリール基、又はO、N若し
くはSから選ばれた異種原子1〜4個を含む原子数5〜
20個のヘテロアリール基である〕で示される化合物の
合成方法であって、下記合成経路:
【0091】
【化35】
【0092】(上式中、R1 〜R7 及びXは先に式(V
II)について定義したとおり)に示すように、式
(I)の化合物を酸性亜硝酸塩水溶液でジアゾ化して式
(II)の化合物を得、その式(II)の化合物に式
(III)の化合物をカップリングさせて式(IV)の
化合物を得るジアゾ化工程と、式(IV)で示される化
合物上の少なくとも−XH基を、−X(PG)基〔ここ
で、PG基はH以外の基であって、続く閉環工程では除
去されない〕の形成により保護して、保護形の式(I
V)の化合物を生成させる保護工程と、前記保護形の式
(IV)の化合物を還元剤と反応させて下式(VI):
【0093】
【化36】
【0094】〔上式中、ZはH又は保護基である〕で示
される化合物を生成させる閉環工程と、前記式(VI)
の化合物を、PGをHで置換し且つZがHでない場合に
はZもHで置換することにより脱保護して、前記式(V
II)の化合物を生成させる脱保護工程とを含む合成方
法。 〔13〕前記閉環工程が、保護形の式(IV)の化合物
に、チオウレア−S,S−ジオキシド及び亜ジチオン酸
塩から選ばれた還元剤を塩基性水溶液中で反応させる工
程を含む、前記〔1〕項に記載の方法。 〔14〕前記水溶液がアルコール溶液である、前記〔1
3〕項に記載の方法。
【0095】〔15〕前記温度を60〜80℃に維持す
る、前記〔14〕項に記載の方法。 〔16〕前記閉環工程を2〜3時間実施する、前記〔1
4〕項に記載の方法。 〔17〕前記閉環工程が、保護形の式(IV)の化合物
の接触水素添加法を含む、前記〔1〕項に記載の方法。 〔18〕前記閉環工程が、触媒の存在下、ギ酸塩との反
応を含む、前記〔1〕項に記載の方法。 〔19〕前記触媒がパラジウム−炭素系触媒である、前
記〔18〕項に記載の方法。
【0096】〔20〕PGが、炭素原子数1〜18個の
アルキル基又はベンジル基の中から選ばれ、且つ式(V
I)の化合物がハロゲン化炭化水素系溶剤中で三ハロゲ
ン化ホウ素の存在下で脱保護される、前記〔1〕項に記
載の方法。 〔21〕PGが、炭素原子数1〜18個のアシル基、炭
素原子数1〜24個のカルバミル基、又は炭素原子数1
〜18個のスルホニル基の中から選ばれ、且つ式(V
I)の化合物が水性の酸加水分解又は塩基加水分解によ
って脱保護される、前記〔1〕項に記載の方法。 〔22〕PGが、ベンジル基又はテトラヒドロピラニル
基の中から選ばれ、且つ式(VI)の化合物が鉱酸水溶
液との反応によって脱保護される、前記〔1〕項に記載
の方法。
【0097】〔23〕前記鉱酸が塩酸である、前記〔2
2〕項に記載の方法。 〔24〕PGが、炭素原子数3〜20個のトリアルキル
シリル基の中から選ばれ、且つ式(VI)の化合物が、
有機共溶剤の存在下、水性フッ化物塩との反応によって
脱保護される、前記〔1〕項に記載の方法。 〔25〕R3 がF、Cl、Br、シアノ、炭素原子数1
〜18個のアルコキシ基又は炭素原子数0〜12個のス
ルホニル基であり、R7 がH又はOHであり、R5 及び
6 が各々独立に炭素原子数1〜12個のアルキル又は
Hであり、そしてR1 及びR2 が各々独立にH、Cl又
は炭素原子数1〜18個のアルコキシ基である、前記
〔1〕項に記載の方法。
【0098】〔26〕前記反応工程のすべてを式(VI
I)の化合物以外の生成物を単離することなく実施す
る、前記〔1〕項に記載の方法。 〔27〕前記反応工程のすべてを式(VII)の化合物
以外の生成物を単離することなく実施する、前記〔2〕
項に記載の方法。 〔28〕前記反応工程のすべてを式(VII)の化合物
以外の生成物を単離することなく実施する、前記〔1
2〕項に記載の方法。
【0099】上記実施例は本発明の具体的実施態様を例
示するためのものであって、本発明の組成物又は物質の
範囲を限定する意図はまったくない。本発明の精神及び
範囲内の変更が可能であることを理解されたい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式(VII): 【化1】 〔上式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 及びR
    7 は、各々独立に、H、ハロゲン、シアノ、−CO2
    (但し、YはH又は炭素原子数1〜12個のアルキル若
    しくは炭素原子数6〜12個のアリール基である)、炭
    素原子数1〜12個のカルバモイル基、炭素原子数0〜
    12個のスルホキシド基、炭素原子数0〜12個のスル
    ホニル基、炭素原子数0〜12個のスルホナト基、炭素
    原子数0〜12個のスルホンアミド基、炭素原子数1〜
    18個のアルキル基、炭素原子数1〜18個のアルコキ
    シ基、炭素原子数6〜20個のアリール基、O、N若し
    くはSから選ばれた異種原子1〜4個を含む原子数5〜
    20個のヘテロアリール基、又は炭素原子数6〜20個
    のアリールオキシ基であるか、或いはR1 〜R4 のうち
    隣接しているいずれか2個以上の基が、又は互いに隣接
    している場合のR6 とR7 若しくはR6 とR5 が、一緒
    になって炭素原子数1〜10個の脂環式基を形成する
    か、又はそれらが結合しているベンゼン環の炭素原子と
    一緒になって炭素原子数6〜20個の芳香族基又はO、
    N若しくはSから選ばれた異種原子1〜4個を含む原子
    数5〜20個のヘテロアリール基を完成することがで
    き、或いはR 7 はOHであり、 XはO、S又はNR8 であるが、但しR8 はH、炭素原
    子数1〜12個のアルキル若しくはアリール基、又は
    O、N若しくはSから選ばれた異種原子1〜4個を含む
    原子数5〜20個のヘテロアリール基である〕で示され
    る化合物の合成方法であって、下式(IV): 【化2】 〔上式中、R1 〜R7 及びXは前記式(VII)で定義
    した通り〕で示される化合物上の少なくとも−XH基
    を、−X(PG)基〔ここで、PG基はH以外の基であ
    って、続く閉環工程では除去されない〕の形成により保
    護して、保護形の式(IV)の化合物を生成させる保護
    工程と、 前記保護形の式(IV)の化合物を還元剤と反応させて
    下式(VI): 【化3】 〔上式中、ZはH又は保護基である〕で示される化合物
    を生成させる閉環工程と、 前記式(VI)の化合物を、PGをHで置換し且つZが
    Hでない場合にはZもHで置換することにより脱保護し
    て、前記式(VII)の化合物を生成させる脱保護工程
    とを含む合成方法。
JP8169329A 1995-06-29 1996-06-28 2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物の合成方法 Pending JPH0948768A (ja)

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