JPH0941487A - 木造住宅の軸組部材の接合金物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金物自体の製作コストを低減するとともに、
梁などの軸組に生ずる断面欠損を少なくする。 【解決手段】 柱等へ固定した金物の挿入部を梁等のス
リットへ挿入して固定するものにおいて、前記挿入部を
１個とし、その反対側に短い補強部を設けたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、木造住宅の柱や
梁等の軸組部材の接合用の金物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、柱と梁等を接合する木造軸組の接
合用金物として、金属板を折り曲げて形成される金物の
当接部等を柱等の側面に当接してボルトで固定し、一対
の挿入部を梁の端面等に形成したスリットへ挿入して、
ボルト或いはピン等によって固定するものが考えられて
いる(特開昭５９−２１７８５０号公報参照)。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の金物では、
当接部より互いに平行な一対の挿入部を張り出させて、
梁端面のスリットへ挿入するようにしているが、挿入部
は必ずしも一対必要ではなく片方のみでよいものであ
り、部材コストの点からして、２枚の挿入部を設けるこ
とはコストアップを招く欠点がある。のみならず、梁側
に２個のスリットを形成する必要から、梁の断面欠損が
大きくなって強度が低下する欠点を生ずることになる。
加えて、スリット間に梁を載せる底部を設ける場合、梁
が確実にこの底部に載っているか外部から確認できない
不都合がある。

【０００４】この発明は、このような従来の欠点を解消
して、金物自体の製作コストを低減するとともに、梁な
どの軸組に生ずる断面欠損を少なくすることを目的とす
るものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、柱等の一方の軸組部材の側面へ当接し
て固定される当接部と、その当接部の左右方向の一端よ
り平面から見てほぼ直角な方向へ張り出し、且つ、他方
の軸組部材のスリットへ挿入されて、その他方の軸組部
材の側面から挿入されるボルト等の固定部材でその軸組
部材へ固定される挿入部と、同じく当接部の左右方向の
他端より平面から見てほぼ直角な方向へ張り出した、前
記挿入部よりも張り出し長さの短い補強部とからなるこ
とを特徴とするものである。

【０００６】更に、この出願の請求項２の発明は、上記
において、挿入部の下端が水平内方向へ折曲されて、前
記他方の軸組部材を載せる底部とされるとともに、この
底部が補強部の下端へ固着されていることを特徴とす
る。

【０００７】

【作用】補強部は、金物全体が荷重によって歪むのを防
止するもので、挿入部よりも短い分材料コストを削減で
きる。しかも、補強部自体はスリットへ挿入するもので
はないから、梁などのスリットは一条のみでよく、断面
欠損を少なくして強度が低下するのを防止することが出
来る。また、底部は、スリットを備えた梁などの支持を
確実にする。

【０００８】

【実施例】図１において、(１)は、この発明の一方の軸
組部材である柱、(２)は、その柱(１)の側面に接合され
る他方の軸組部材としての梁であって、その梁(２)の接
合端面には、一定深さの一条のスリット(３)がその梁
(２)の上下に貫通して形成されている。また、スリット
(３)の先端に連続するようにして、梁(２)端面の中央に
所定幅の溝(４)を形成している。

【０００９】(５)が、この発明の接合金物を示してい
る。(６)は、前記柱(１)の側面に当接される金属板から
なる当接部であって、この当接部(６)には、上下方向に
間隔をおいて形成した８個のボルト穴(７)(７)…が 形
成されている。当接部(６)の左右方向の一方の端部が平
面から見て直角方向に折り曲げられてこの発明の挿入部
(９)を形成している。また、挿入部(９)の下端が、水平
内方向に折り曲げられて底部(10)を形成している。他
方、当接部(６)の他端には、前記挿入部(９)よりも短い
補強部(11)が、その挿入部(９)と平行に平面から見て直
角方向に折り曲げ形成されている。前記底部(10)は、こ
の補強部(11)よりも外方に突出するとともに、その底部
(10)の上面に補強部(11)の下端が溶接して固着されてい
る。

【００１０】挿入部(９)は、その上端部近傍に１個のボ
ルト穴(12)が形成され、その下方にピン挿入穴(13)(13)
が、上下に間隔をおいて形成されている。ボルト穴(12)
は、挿入部(９)の上端から切欠したＶ字型切欠(14)によ
って上端側に開放され、これによって、上方からボルト
を落とし込んで挿入できるようにしている。

【００１１】上記の金物(５)を用いた柱(１)と梁(２)の
接合方法を説明すると、まず、金物(５)の当接部(６)の
外側面を柱(１)の側面に当接させて、図２のように、そ
の柱(１)のボルト穴(15)と金物(５)のボルト穴(７)を合
致させて位置決めし、この状態でボルト(16)をそれらの
ボルト穴(７)(15)を貫通するように挿入してこの金物
(５)を柱(１)へ固定する。通常、この金物(５)は予め固
定した状態で現場へ搬入されるが、現場で取付けること
としてもよいものである。その金物(５)の反対側の側面
に、梁(２)が接合される場合には、図のように、その金
物(５)と対称に配置して、同じボルト(16)によって共締
め固定する。また、直角な方向に梁(２)が接合される場
合には、当接部(６)の前記ボルト穴(７)(７)…の位置を
互いにずらせ、例えば、一方向においては、１段おきに
４個のボルト穴(７)(７)…を使用し、それと直角な方向
に対しては、残りの４個のボルト穴を使用して接合す
る。

【００１２】次いで、梁(２)をそのスリット(３)へ、前
記挿入部(９)を挿入するようにして取付ける。このと
き、そのスリット(3)を貫通し、且つ、挿入部(９)に対
応するようにして形成されたボルト穴(17)には、予めボ
ルト(18)が取付けられており、前記切欠部(14)より、こ
のボルト(18)を落とし込むようにして設置することで、
そのボルト(18)がボルト穴(17)へ自動的にはまりこみ、
これによって、梁(２)の位置決めを行うことができる。
その際、梁の(２)の下面が前記底部(10)の上面に載置さ
れるように形成されている。

【００１３】この状態で、梁(２)に形成されたピン挿入
穴(19)(19)と挿入部(９)のピン挿入穴(13)(13)とが互い
に合致しており、梁(２)の側面からこれらのピン挿入穴
(19)へドリフトピン(25)を打ち込むことで、この梁(２)
が金物(５)へ固定されて、それら梁(２)と柱(１)とが互
いに接合されることとなる。このように固定した状態で
は、図２のように、補強部(11)は梁(２)と干渉すること
なく、その梁(２)先端の溝(４)内において、その溝(４)
の側面に当接している。また、同じ溝(４)内には、金物
(５)を柱(１)へ固定しているボルト(16)の頭部、若しく
は締め付け用のナットが位置している。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、この発明では、挿入部と
スリットを一個のみとして軸組部材同士を接合するよう
にしているから、従来のようにそれぞれ一対の挿入部と
スリットで接合するものと異なって、材料コストを削減
できるとともに、スリットを形成する軸組部材の断面欠
損による接合強度の低下を防止できる。しかも、補強部
があることにより、金物自体の強度低下を防止できる。
加えて、底部を設けることによって梁からの剪断力を確
実に伝えることが出来るという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す柱と梁との接合部分の
分解斜視図である。

【図２】同じく接合部分の横断面図である。

【図３】同じく縦断面図である。

【符号の説明】

(１) 柱 (２) 梁 (３) スリット (５) 接合金物 (６) 当接部 (９) 挿入部 (10) 底部 (11) 補強部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 柱等の一方の軸組部材の側面へ当接して
   固定される当接部と、その当接部の左右方向の一端より
   平面から見てほぼ直角な方向へ張り出し、且つ、他方の
   軸組部材のスリットへ挿入されて、その他方の軸組部材
   の側面から挿入されるボルト等の固定部材でその軸組部
   材へ固定される挿入部と、同じく当接部の左右方向の他
   端より平面から見てほぼ直角な方向へ張り出した、前記
   挿入部よりも張り出し長さの短い補強部とからなること
   を特徴とする木造住宅の軸組部材の接合金物。
2. 【請求項２】 挿入部の下端が水平内方向へ折曲され
   て、前記他方の軸組部材を載せる底部とされるととも
   に、この底部が補強部の下端へ固着されていることを特
   徴とする請求項１の木造住宅の軸組部材の接合金物。