JPH0941286A - グラシン紙の製造方法、および剥離紙の製造方法 - Google Patents

グラシン紙の製造方法、および剥離紙の製造方法

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JPH0941286A
JPH0941286A JP19512295A JP19512295A JPH0941286A JP H0941286 A JPH0941286 A JP H0941286A JP 19512295 A JP19512295 A JP 19512295A JP 19512295 A JP19512295 A JP 19512295A JP H0941286 A JPH0941286 A JP H0941286A
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Japan
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polyvinyl alcohol
glassine
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JP19512295A
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Manabu Yamamoto
学 山本
Kazuya Nishikawa
一哉 西川
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】再生紙の原料として使用できる良好な離解性を
有し、剥離紙用基紙として用いた場合には透過式の位置
検出機を有するラベラーでのラベル位置検知に問題のな
い光透過性を有するグラシン紙を提供する。 【解決手段】フリーネスが130〜210mlCSFの
化学パルプを主原料として抄紙し、片面に、重合度が1
500〜2700、ケン化度が80〜90モル%のポリ
ビニルアルコール系樹脂を有する塗液をオンマシンコー
ティングし、得られた原紙を圧縮処理して仕上げること
を特徴とするグラシン紙の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラシン紙の製造
方法および剥離紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、粘着シートは、一般に表面基材、
粘着剤および剥離紙から構成されており、商業用、事務
用、家庭用などの非常に広範囲の用途に、ラベル、シー
ル、ステッカー、ワッペン等の形に加工されて使用され
ている。表面基材としては、その種類によって上質紙、
コート紙、キャストコート紙、感熱記録紙等の一般紙
類、さらにアルミ箔ラミ紙、アルミ蒸着紙、樹脂含浸紙
および合成紙、PET、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ール等の特殊紙やフィルム類が使われている。粘着剤
は、ゴム系およびアクリル系のものが多く使われてお
り、特に、アクリル酸エステルを主体にアクリル酸、メ
タクリル酸、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、
アクリロニトリル等を共重合させたものを主成分とした
アクリル系粘着剤が増加している。
【0003】一方、剥離紙としては、ポリエチレンラミ
ネートタイプ、グラシンタイプ、クレーコートタイプ、
水系樹脂コートタイプおよびフィルムベースタイプ等に
分類でき、この中でもポリエチレンラミネートタイプお
よびグラシンタイプが広く使用されている。
【0004】ポリエチレンラミネートタイプは、上質紙
やクラフト紙など原紙の内部にシリコーンなどの剥離剤
のしみ込みを防止するため、或いは剥離性能を効果的に
発揮せしめる目的で、原紙の表面にポリエチレンをラミ
ネート処理し、その上に剥離剤層を設けたものである。
ラミネートするポリエチレンとしては、高圧法低密度ポ
リエチレンが代表的に使用されている。かかるポリエチ
レンラミネートタイプは、空隙に富む上質紙やクラフト
紙上に成膜したポリエチレン層上にシリコーン(剥離
剤)が完全に保持されるため、効果的に剥離性能を発揮
する利点を有する。しかし、剥離紙基材として上質紙や
クラフト紙を用いるため、光透過性に乏しく、透過式の
位置検出機を有するラベラーでのラベル位置検知に問題
を生じる。また、剥離紙基材にポリエチレンをラミネー
トしているため、再生紙の原料としては、離解の際に水
に再分散させることができず、再生不能である欠点を有
する。
【0005】一方、グラシンタイプは、通常フリーネス
が230〜350mlCSFという範囲の高度な叩解処
理をした化学パルプを原料として抄造し、さらにスーパ
ーカレンダー等の仕上げ設備で緻密化して得たグラシン
紙に、シリコーン等の剥離剤を設けたものである。最
近、透過式の位置検出機を有するラベラーでのラベル位
置検知に問題を生じないよう透明性を付与するととも
に、剥離剤の基材内部への浸透を極力抑制し、効果的な
剥離性能が発揮するようにする目的で、抄紙機の乾燥部
中間に設置されたサイズプレス装置等により、ポリビニ
ルアルコール系樹脂水溶液を原紙両面に塗布することが
一般的に行われている。このため、グラシンタイプの剥
離紙は、光透過性に優れ、透過式の位置検出機を有する
ラベラーでのラベル位置検知に問題を生じることがない
長所を有する。しかし、再生紙の原料としては、離解の
際に水に再分散させることができず、再生不能である欠
点を有している。
【0006】環境保護および資源保護の重要視される背
景から、剥離紙は再生紙の原料として使用できる良好な
離解性を有し、さらに透過式の位置検出機を有するラベ
ラーでのラベル位置検知に問題のない光透過性を有する
ことを強く求められているが、未だ満足し得る剥離紙は
見出されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、剥離紙
として使用した場合、透過式の位置検出機を有するラベ
ラーでのラベル位置検知に問題のない光透過性を有し、
且つ、再生紙の原料として使用できる良好な離解性を有
するグラシン紙の製造方法を提供すべく、汎用グラシン
紙の離解不能である原因を細部に亘り鋭意研究を重ねた
結果、その離解の困難な原因が、原料とする化学パルプ
が高度に叩解されていることや、キャレンダーがけによ
り紙層間の繊維を固く締め合わせている(特開平4−2
3876号公報)等の従来から言われている繊維間結合
の強さによるものではないことが分かった。
【0008】即ち、塗布されたポリビニルアルコール系
樹脂等の水系塗料が原紙内部に浸透し、原紙の繊維間に
存在する状態で、スーパーカレンダー等の加熱加圧設備
で圧縮することにより、繊維相互が接着剤として作用す
るポリビニルアルコール系樹脂等を介して固着している
ことが、離解性を悪化する原因であることを見出したの
である。
【0009】更に、グラシン紙を剥離紙に仕上げ、粘着
シートとして表面基材を貼合して巻取った場合、接触す
る表面基材の表面と剥離紙裏面のブロッキングが生じや
すくなるという課題も発生した。この現象は表面基材の
塗工層に可塑性物質を含む感熱記録紙を用いた場合に顕
著であることがわかった。
【0010】即ち、再生紙の原料として使用できる良
好な離解性を有すること、透過式の位置検出機を有す
るラベラーでのラベル位置検知に問題のない光透過性を
有すること、粘着シートとして表面基材を貼合して巻
取った場合にブロッキングが生じないこと、特殊な装
置を導入しないこと、という課題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
を重ねた結果、再生紙として使用できる良好な離解性を
付与するためには、特定のフリーネスを有する化学パル
プを用い、塗布するポリビニルアルコール系樹脂のケン
化度および重合度を厳格に規定すること、該ポリビニル
アルコール系樹脂の塗布がサイズプレス装置等のオンマ
シンコータで行うこと、しかも該塗布は片面のみ行うこ
と、という条件を全て満足することによってはじめて課
題を解決できることを見いだしたのである。
【0012】本発明は、フリーネスが130〜210m
lCSFの化学パルプを主原料として抄紙し、片面に、
重合度が1500〜2700、ケン化度が80〜90モ
ル%のポリビニルアルコール系樹脂を有する塗液をオン
マシンコーティングし、得られた原紙を圧縮処理して仕
上げることを特徴とするグラシン紙の製造方法である。
【0013】また、本発明は、フリーネスが130〜2
10mlCSFの化学パルプを主原料として抄紙し、片
面に、重合度が1500〜2700、ケン化度が80〜
90モル%のポリビニルアルコール系樹脂を有する塗液
をオンマシンコーティングし、得られた原紙を圧縮処理
してグラシン紙を得、このグラシン紙のポリビニルアル
コール系樹脂を塗布した面に、剥離剤を有する塗液を塗
布する剥離紙の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】通常、グラシン紙を製造する場
合、フリーネスが230〜350mlCSFの範囲の高
度な叩解処理を施した化学パルプが用いられる。しか
し、本発明では、このフリーネスをさらに130〜21
0mlCSFの範囲まで強叩解を行ったものを主原料と
して抄造する。パルプのフリーネスが130mlCSF
に満たない場合、透過式の位置検出機を有するラベラー
でのラベル位置検知に十分な光透過性を有するが、叩解
処理が過剰なため繊維の損傷が著しく、グラシン紙自体
の強度、特に引き裂き強さの低下が顕著で、剥離紙の原
紙として使用することができなくなる。一方、パルプの
フリーネスが210mlCSFを超える場合、表面に塗
布するポリビニルアルコール系樹脂等が原紙内部に浸透
し、結果的に繊維相互の結合作用を発揮するため、再使
用のための離解が困難となる。なお、化学パルプとして
は、広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパル
プ、または他の化学パルプを単独使用或いは併用するこ
とができる。また、抄紙機としては、長網多筒型抄紙
機、長網ヤンキー型抄紙機、あるいは丸網抄紙機など公
知の抄紙機が使用できる。
【0015】一般的に、グラシン紙は抄造時または抄造
後、効果的な剥離性能が発揮されるようにする目的で、
抄紙機に設置されるサイズプレス装置等の塗布設備によ
り、原紙の両面にポリビニルアルコール系樹脂等の水系
塗料が塗布され、乾燥後、10〜15%と比較的高い水
分を含む状態の原紙をスーパーカレンダー等の加熱加圧
設備で圧縮して仕上げる方法が採用されている。該ポリ
ビニルアルコール系樹脂としては、原料となるポリ酢酸
ビニル樹脂に含まれるアセチル基が、ほぼ完全に加水分
解されて水酸基に変化している、いわゆる完全ケン化型
ポリビニルアルコールと呼ばれる種類の樹脂が一般に使
用されている。これは水酸基相互の強固な水素結合によ
り、ポリビニルアルコール樹脂が極めて連続的な被膜を
形成し、これにより剥離剤として塗布されるシリコーン
の溶剤溶液または無溶剤シリコーン溶液の原紙内部への
浸透を極力抑制し、シリコーンを原紙表面に保持させる
ことができ、効果的な剥離性を発揮させ得るという理由
に基くものである。
【0016】しかし、本発明者等は、塗布するポリビニ
ルアルコール系樹脂の重合度とケン化度が、再生紙の原
料として使用する際の離解性の間に、極めて密接な関係
があることを見出したのである。即ち、本発明の効果を
得るためには、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が
1500〜2700、ケン化度が80〜90モル%の範
囲にある必要がある。ポリビニルアルコール系樹脂は、
ケン化度が高くなるにつれて、酢酸基が減少し、水酸基
が増加する。ケン化度が80モル%に満たないポリビニ
ルアルコール系樹脂は、親水性に乏しい酢酸基を多く含
むため、これらのポリビニルアルコール系樹脂を塗布し
たグラシン紙は水中で、容易に離解させることが困難と
なる。また、水素結合により連続性に富む被膜を形成す
る能力を発揮させるための水酸基が不足しているため、
原紙上のポリビニルアルコール系樹脂は連続性に乏し
く、剥離剤として塗布されるシリコーンの溶剤溶液また
は無溶剤シリコーン溶液の原紙内部への浸透を助長し、
シリコーンを原紙表面に保持できないため、効果的な剥
離性能を発揮させることが困難となる。ケン化度が90
モル%を超えるポリビニルアルコール系樹脂は、親水性
に富む水酸基を多く含むが、これらのポリビニルアルコ
ール系樹脂を塗布したグラシン紙は、この水酸基に起因
する強固な水素結合で形成されたポリビニルアルコール
系樹脂のフィルムが原紙表面に生成されているため、水
中で容易に離解させることはできない。
【0017】一方、ポリビニルアルコール系樹脂の重合
度が1500に満たない場合、ポリビニルアルコール系
樹脂の原紙内部および裏面側への浸透が生じ、剥離剤と
して塗布されるシリコーンの溶剤溶液または無溶剤シリ
コーン溶液の原紙内部への浸透を助長し、シリコーンを
原紙表面に保持できないため、効果的な剥離性能を発揮
させることが困難となる。さらに、裏面側に浸透したポ
リビニルアルコール系樹脂に起因するブロッキングが発
生し、本発明の要件を満たすことが困難となる。また、
重合度が2700を越えると、オンマシンコーティング
が困難になる。なお、本発明のポリビニルアルコール系
樹脂としては、前記の重合度及びケン化度を満足すれば
よく、例えば、日本合成化学工業社から市販の「GH1
7」や「GH20」などが使用できる。
【0018】更に、例えば、感熱記録紙等を上紙として
貼り合わせ、上紙を貼り併せて巻取った際、接触する上
紙表面と剥離紙裏面のブロッキングを生じる原因を詳細
に検討した結果、この原因がグラシン紙に、オンマシン
コーティングされた剥離紙裏面のポリビニルアルコール
のベタツキが、ブロッキングを生じせしめる主原因であ
り、紙面が湿潤された場合には、極度のブロッキングを
生じることを見出した。本発明は、グラシン紙の片面の
みにポリビニルアルコール系樹脂を塗布することによ
り、容易、且つ簡便にブロッキングを防止し得ることを
見出したのである。
【0019】上記の原紙の片面にポリビニルアルコール
系樹脂を塗布する設備としては、特別の塗工機等を設置
する必要はなく、通常、オンマシンコータ、即ち表面処
理設備として抄紙機の中間部に設置されているサイズプ
レス装置やゲートロールコータなどの塗布装置を用いる
ことができる。一般にサイズプレス装置は、2本の弾性
ロールが形成するニップに塗布液のポンドをつくり、原
紙を通紙することにより、原紙に表面処理を施すもの
で、2本のロールの配置により、垂直型(バーチカルタ
イプ)、水平(ホリゾンタルタイプ)および傾斜型(イ
ンクラインドタイプ)に分類されるが、現在、作業性の
面および塗布面の品質等の面から、殆どが傾斜型であ
る。これらのサイズプレスは上記のとおり、塗布液のポ
ンド内に原紙を通紙するため、通常両面同時に塗布が行
われるものである。本発明では、ニップ間に塗布液のポ
ンドを形成し、原紙を上部のロールに接するか、または
上部のロールを抱かせるように通紙させることで、ポリ
ビニルアルコール系樹脂を含有する塗液を片面のみに塗
布することができる。尚、本発明は、オンマシンコーテ
ィングする、即ち半乾燥状態で塗布することが特徴であ
る。因みに、抄紙機とは別の塗布装置、即ち一端乾燥終
了した後に塗布するのでは、ポリビニルアルコール系樹
脂が原紙内部に浸透してしまい、離解性が悪くなってし
まう。
【0020】なお、ポリビニルアルコール系樹脂を含有
する塗液には、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二
酸化チタン、水酸化アルミニウム等の無機顔料や、デン
プン、カゼイン、スチレンブタジエンラテックス、アク
リル樹脂エマルジョン、ポリアクリルアミド等のバイン
ダーを適宜選定して配合することができる。さらに、分
散剤、耐水化剤、潤滑剤、消泡剤、着色剤および防腐剤
等を添加することができる。この場合、ポリビニルアル
コール系樹脂が全固形分の70重量部以上を占める必要
がある。これ以下の配合率の場合、上記のポリビニルア
ルコール系樹脂のもつ優れたピンホールの目止め効果と
シリコーン溶液の浸透を全面的に抑制する作用を発揮さ
せることが困難となる。
【0021】ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗
液の塗布量は、目止め効果および塗料の価格を考慮する
と、絶乾重量で0.5〜10g/m2 塗工されるよう調
製するのが望ましい。尚、本発明において、バリヤー層
形成のためにポリビニルアルコールを、原紙に2回以上
の塗工操作により塗工してもよい。この場合、2回目以
降の塗工は、他の公知の塗布装置で行うとよい。
【0022】なお、グラシン紙のカールの発生を防止す
るために、反対面にもポリビニルアルコール系樹脂等の
カール防止用塗液を塗布することができる。このカール
防止用塗液は上記のオンマシンコーティングで行うこと
が可能であるが、ブロッキング発生の要因となるので、
反対面の塗布量はできるだけ少なくする必要があり、上
記必須塗布面の塗布量の半分以下にとどめる必要があ
る。
【0023】また、ポリビニルアルコール系樹脂を塗工
したのち、スーパーカレンダーなどの仕上げ設備で平滑
化処理を施すことが、透過式の位置検出機を有するラベ
ラーでのラベル位置検知に問題のない光透過性を付与す
る上で効果的で、この場合目的に応じて平滑度を20〜
2000秒(JAPAN TAPPI紙パルプ試験法N
o.5に記載される王研式平滑度)の範囲にコントロール
するが好適である。
【0024】得られたグラシン紙は、光透過性が優れ、
しかも再生紙の原料として使用できる良好な離解性を有
しするものであり、剥離紙用の基紙としてのほか、食
品、菓子、雑貨の包装用などとしても使用できる。ま
た、剥離紙として使用する場合は、グラシン紙のポリビ
ニルアルコール系樹脂を塗布した面に、シリコーン樹
脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル樹
脂などの剥離剤を有する塗液を塗布することにより製造
することができる。中でも、シリコーン樹脂は剥離性に
優れるため好ましい剥離剤である。なお、粘着シートに
用いる場合、その製造過程で、粘着シートのカール防止
等の目的で、剥離紙裏面に水等のカール防止用塗液を塗
布することもできる。
【0025】
【実施例】本発明を下記実施例によって更に具体的に説
明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定さ
れるものではない。各実施例中、「部」は特に断らない
限り「固形分重量部」を示すものである。
【0026】実施例1 〔グラシン紙の抄造〕先ず下記組成の紙料を調製した。 針葉樹クラフトパルプ(叩解度:140mlCSF) 50部 広葉樹クラフトパルプ(叩解度:140mlCSF) 50部 30%強化ロジンサイズ剤(SPE,荒川化学工業製) 0.3部 30%硫酸アルミニウム 2部 次にこの紙料から、サイズプレス装置よりも前の乾燥機
の中間に、2本のゴムロールで構成されるプレス設備を
装着した長網多筒型抄紙機により坪量73g/m2 の原
紙を抄造した。なお、上記の抄紙機の乾燥部の中間に設
置されているサイズプレス装置により、重合度が170
0、ケン化度が88%の日本合成化学工業社性ポリビニ
ルアルコール系樹脂「GH20」の5%濃度水溶液を原
紙の裏面のみに塗布し、乾燥した。「GH20」の塗布
量は1.2g/m2 であった。次いで、上記の原紙をス
ーパーカレンダー設備で、王研式平滑度は500秒に仕
上げグラシン紙とした。
【0027】〔剥離紙の作製〕下記組成を有するシリコ
ーン溶液を調製した。 付加反応型シリコーン(SD7220,東レ社製) 4.5部 白金触媒(SRX212,東レ社製) 0.5部 トルエン 95部 上記溶液をグラシン紙上にメイヤーバーにより、乾燥重
量で2.0g/m2 となるよう塗工し、剥離紙とした。
【0028】〔粘着紙の作製〕剥離紙のシリコーン塗工
面に、アクリル系エマルジョン粘着剤「サイビノールA
T560,サイデン化学社製」を、メイヤーバーで塗工
量が25g/m2 となるよう塗工した。次いでこの粘着
剤上に、坪量72g/m2 のロイコ染料系の感熱記録紙
を重ねてプレスロールで貼り併せ、粘着紙とした。
【0029】実施例2 実施例1のグラシン紙の作成において、ポリビニルアル
コール系樹脂として重合度が2000、ケン化度が80
%の日本合成化学工業社性ポリビニルアルコール系樹脂
「KH20」の5%濃度水溶液を用いた以外は実施例1
と同様にしてグラシン紙、剥離紙及び粘着紙を得た。
【0030】実施例3 実施例1のグラシン紙の作成において、ポリビニルアル
コール系樹脂として、重合度が2000、ケン化度が8
8%の日本合成化学工業社性ポリビニルアルコール系樹
脂「GH20」の5%濃度水溶液を用いた以外は実施例
1と同様にしてグラシン紙、剥離紙及び粘着紙を得た。
【0031】実施例4 実施例1のグラシン紙の製造において、紙料を下記のよ
うに調製した以外は実施例1と同様にしてグラシン紙、
剥離紙および粘着紙を得た。 針葉樹クラフトパルプ(叩解度:200mlCSF) 50部 広葉樹クラフトパルプ(叩解度:200mlCSF) 50部 30%強化ロジンサイズ剤(SPE,荒川化学工業製) 0.3部 30%硫酸アルミニウム 2部
【0032】比較例1 実施例1のグラシン紙の製造において、紙料を下記のよ
うに調製した以外は実施例1と同様にしてグラシン紙、
剥離紙および粘着紙を得た。 針葉樹クラフトパルプ(叩解度:120mlCSF) 50部 広葉樹クラフトパルプ(叩解度:120mlCSF) 50部 30%強化ロジンサイズ剤(SPE,荒川化学工業製) 0.3部 30%硫酸アルミニウム 2部
【0033】比較例2 実施例1のグラシン紙の製造において、紙料を下記のよ
うに調製した以外は実施例1と同様にしてグラシン紙、
剥離紙および粘着紙を得た。 針葉樹クラフトパルプ(叩解度:250mlCSF) 50部 広葉樹クラフトパルプ(叩解度:250mlCSF) 50部 30%強化ロジンサイズ剤(SPE,荒川化学工業製) 0.3部 30%硫酸アルミニウム 2部
【0034】比較例3 実施例1のグラシン紙の作成において、ポリビニルアル
コール系樹脂として、重合度が1700、ケン化度が9
8%の日本合成化学工業社性ポリビニルアルコール系樹
脂「AH17」の5%濃度水溶液を用いた以外は実施例
1と同様にしてグラシン紙、剥離紙および粘着紙を得
た。
【0035】比較例4 実施例1のグラシン紙の作成において、ポリビニルアル
コール系樹脂として、重合度が1700、ケン化度が7
8%の日本合成化学工業社性ポリビニルアルコール系樹
脂「KH17」の5%濃度水溶液を用いた以外は実施例
1と同様にしてグラシン紙、剥離紙および粘着紙を得
た。
【0036】比較例5 実施例1のグラシン紙の作成において、ポリビニルアル
コール系樹脂として、重合度が1400、ケン化度が8
8%の日本合成化学工業社性ポリビニルアルコール系樹
脂「GH17」の5%濃度水溶液を用いた以外は実施例
1と同様にしてグラシン紙、剥離紙および粘着紙を得
た。
【0037】比較例6 実施例1のグラシン紙の作成において、ポリビニルアル
コール系樹脂の塗布をサイズプレスで原紙の表裏両面に
行った以外は実施例1と同様にしてグラシン紙、剥離紙
および粘着紙を得た。
【0038】比較例7 原紙の代わりに坪量64g/m2 の上質紙を用いた以外
は実施例1と同様にして剥離紙および粘着紙を作製し
た。 〔評価〕このようにして得られた、グラシン紙、剥離
紙、粘着紙について、以下の評価を行い、その結果を表
1に示す。
【0039】〔グラシン紙の紙質〕得られたグラシン紙
の紙質を評価した。
【0040】〔シリコーン塗工後の離解性評価〕得られ
た剥離紙をJIS P8209に規定される標準離解機
による離解処理に供し、試料成分の分散状態を観察して
その離解性を評価した。 (評価基準) ○:離解可能 ×:離解不可
【0041】〔光電管による位置検知適性評価〕得られ
た粘着紙を、ラベル打ち抜き加工を施し、感熱記録用ラ
ベルを作製し、寺岡精工製ラベルプリンターDP260
0IVを用いて、ラベル発行時の位置検知適性を調べ
た。 (評価基準) ○:検知可能 ×:検知不可
【0042】〔ブロッキング性評価〕得られた粘着紙
を、100mm×100mmに切り、感熱記録紙のおも
て面に水を1滴落し、この面と剥離紙の裏面が接触する
ように重ね、ステンレスプレートを重ねて、5kgの荷
重を加えた。24時間後、剥してブロッキング状態を評
価した。 (評価基準) ○:ブロッキングが生じない ×:ブロッキングが生じ、実用上問題がある
【0043】
【表1】
【0044】表1の実施例1,4と比較例1,2の結果
から明らかなように、本発明ではフリーネスが130〜
210mlCSFの化学パルプを主原料としてする必要
があることが分かる。なお、比較例1、即ち120ml
CSFの化学パルプを用いたものは、離解性、ラベル位
置検知適性共に優れるが、引き裂き強度が不足し、実用
的に問題がある。また比較例2のように250mlCS
Fの化学パルプを用いたものは離解性が劣るものとな
る。実施例1〜3と比較例3〜5の結果から、重合度1
500未満の場合(比較例3)や、ケン化度が80〜9
0モル%から外れる(比較例4、比較例5)と離解性が
劣るものとなることがわかる。なお、重合度が2700
を越えるとサイズプレス等の抄紙機内の塗布装置での塗
工が困難となる。また、サイズプレスで原紙の両面に塗
布した場合(比較例6)は、ブロッキングの課題が解決
できない。
【0045】
【発明の効果】このように、本発明のグラシン紙の製造
方法、剥離紙の製造方法で得られたものは、粘着紙の剥
離紙として使用した場合、再生紙の原料として使用でき
る良好な離解性を有し、且つ、透過式の位置検出機を有
するラベラーでのラベル位置検知に問題のない光透過性
を有し、さらに、上紙を貼り併せて巻取った際、接触す
る上紙表面と剥離紙裏面のブロッキングが生じることの
ないものである。更に、既存のサイズプレス装置を用い
て容易に製造できるものであって、実用性において極め
て優れたものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フリーネスが130〜210mlCSFの
    化学パルプを主原料として抄紙し、片面に、重合度が1
    500〜2700、ケン化度が80〜90モル%のポリ
    ビニルアルコール系樹脂を有する塗液をオンマシンコー
    ティングし、得られた原紙を圧縮処理して仕上げること
    を特徴とするグラシン紙の製造方法。
  2. 【請求項2】フリーネスが130〜210mlCSFの
    化学パルプを主原料として抄紙し、片面に、重合度が1
    500〜2700、ケン化度が80〜90モル%のポリ
    ビニルアルコール系樹脂を有する塗液をオンマシンコー
    ティングし、得られた原紙を圧縮処理してグラシン紙を
    得、このグラシン紙のポリビニルアルコール系樹脂を塗
    布した面に、剥離剤を有する塗液を塗布する剥離紙の製
    造方法。
JP19512295A 1995-07-31 1995-07-31 グラシン紙の製造方法、および剥離紙の製造方法 Pending JPH0941286A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005163254A (ja) * 2003-11-14 2005-06-23 Nippon Paper Industries Co Ltd 剥離紙用原紙及びその製造方法
CN102888778A (zh) * 2012-10-08 2013-01-23 浙江仙鹤特种纸有限公司 格拉辛原纸的生产方法
EP4074891B1 (en) 2021-04-13 2023-12-20 Billerud Aktiebolag (publ) New substrate

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