JPH0938473A - ポリスルホン系多孔質中空糸膜の製造方法 - Google Patents

ポリスルホン系多孔質中空糸膜の製造方法

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JPH0938473A
JPH0938473A JP19760995A JP19760995A JPH0938473A JP H0938473 A JPH0938473 A JP H0938473A JP 19760995 A JP19760995 A JP 19760995A JP 19760995 A JP19760995 A JP 19760995A JP H0938473 A JPH0938473 A JP H0938473A
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JP
Japan
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polysulfone
hollow fiber
water
fiber membrane
spinning
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JP19760995A
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Akira Hajikano
彰 初鹿野
Kei Murase
圭 村瀬
Jun Kamo
純 加茂
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性高分子の溶出量が低く、しかも中空糸
膜からの微粒子の脱離の少ない、耐熱性に優れたポリス
ルホン系多孔質分離膜を得ること。 【解決手段】 ポリスルホン系ポリマーと水溶性高分子
とを溶剤に混和溶解した溶液を紡糸原液として凝固剤中
に吐出させることにより多孔質中空糸膜を製造する方法
において、その重量平均分子量が1.5×105〜1.
5×106である水溶性高分子を、紡糸原液中の濃度が
0.1〜2重量%となるように添加してなる紡糸原液を
用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスルホン系多
孔質中空糸膜の製造方法に係り、特に耐湿熱性及び透水
性能に優れ、限外濾過、精密濾過に好適に用いられるポ
リスルホン系多孔質中空糸膜の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】限外濾過、精密濾過等に用いられる多孔
質中空糸膜は、その素材として種々のポリマーを用いた
ものが上市されているが、これらの内、ポリスルホン系
ポリマーを素材に用いた多孔質中空糸膜は、高い透水性
に加えて、耐熱性及び耐溶剤性においても優れた特性を
有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常、ポリスルホン系
ポリマーを用いた多孔質中空糸膜の製造は、ポリスルホ
ン系ポリマーと水溶性高分子とを溶剤に混和溶解させた
紡糸原液を、環状ノズルより凝固剤中で吐出し、凝固さ
せることにより多孔化を行う湿式紡糸法、或いは上記紡
糸原液を、エアギャプを設けて凝固剤中に導入させる乾
湿式紡糸法により製膜されている。
【0004】前記水溶性高分子は、紡糸原液の粘度を向
上させることにより、その紡糸安定性の向上を図るとと
もに、得られるポリスルホン系多孔質中空糸膜に親水性
を付与させる目的で添加されるもので、通常水溶性高分
子としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリ
コール等が用いられている。
【0005】しかしながら、通常、上記の方法により得
られた中空糸膜においては、製膜後の中空糸膜の洗浄を
長時間行っても、紡糸原液中に添加した水溶性高分子を
膜中から完全に除去することは困難であり、その一部は
中空糸膜中に残留する。中空糸膜中に残留した水溶性高
分子は、中空糸膜使用時に濾液中へ溶出してくるため、
中空糸膜の用途を著しく制約させることとなる。
【0006】このような不都合を防止する目的で、特公
平5−3331号公報に示される如く、製膜後にポリス
ルホン系中空糸膜中に残留した水溶性高分子を架橋する
ことにより、水溶性高分子を不溶化し、濾液中への溶出
を防止する試みもなされている。
【0007】しかしながら、前記公報に示された方法に
よりポリスルホン系多孔質中空糸膜の製造を行うと、そ
の凝固時に、膜中あるいは膜表面にポリスルホン系ポリ
マーからなる多量の微粒子が発生する。発生した微粒子
は製膜後に膜の洗浄を行っても除去しにくく、また、ポ
リスルホン系多孔質中空糸膜中の水溶性高分子の架橋処
理を行っても完全には膜中に生じたポリスルホン系ポリ
マー微粒子を膜に固着できないため、中空糸膜使用時に
膜から該微粒子が脱離し、濾液中にこの微粒子が混合し
てくるという不都合があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らはこの
様な不都合のないポリスルホン系多孔質中空糸膜の製造
方法を見出すべく検討した結果、ポリスルホン系多孔質
中空糸膜であって、その濾液中への水溶性高分子の溶出
量が低く、しかも中空糸膜からの微粒子の脱離の少な
い、耐熱性に優れたポリスルホン系多孔質分離膜の製造
方法を見出したのである。
【0009】即ち、本発明の要旨は、ポリスルホン系ポ
リマーと水溶性高分子とを溶剤に混和溶解した溶液を紡
糸原液として凝固剤中に吐出させることにより多孔質中
空糸膜を製造する方法において、その重量平均分子量が
1.5×105〜1.5×106である水溶性高分子を、
紡糸原液中の濃度が0.1〜2重量%となるように添加
したなる紡糸原液を用いることを特徴とするポリスルホ
ン系多孔質中空糸膜の製造方法にある。
【0010】
【発明の実施の態様】本発明において用いられるポリス
ルホン系ポリマーとしては、一般式(1)で示されるポ
リスルホン、一般式(2)で示されるポリアリルスルホ
ン、一般式(3)で示されるポリエーテルスルホン等の
公知のポリスルホン系ポリマーを用いることができる。
【0011】
【化1】
【0012】好ましくは、用いるポリスルホン系ポリマ
ーとして、ポリアリルスルホンとポリエーテルスルホン
が、1/9〜9/1、更に好ましくは3/7〜7/3
(重量比)で配合されたポリマーを用いて得た中空糸膜
は透水量が高く、より耐湿熱性の高い多孔質中空糸膜を
得ることができる。
【0013】本発明において用いる水溶性高分子は、そ
の重量平均分子量が、1.5×105〜1.5×106
範囲内にある水溶性高分子であり、ポリビニルピロリド
ン(以後PVPという。)、ポリエチレングリコール等
を用いることができる。
【0014】重量平均分子量が1.5×105未満の水
溶性高分子を添加した紡糸原液を用いて製膜すると、紡
糸原液の粘度が低くなるため、中空糸膜の製造を安定し
て行うことが困難になると同時に、膜中或いは膜表面に
微粒子が発生しやすくなる。重量平均分子量が、1.5
×106を越える水溶性高分子を添加した紡糸原液を用
いて製膜を行うと、洗浄による水溶性高分子の除去が困
難となり、膜中の水溶性高分子の残存量が増加するとと
もに、得られる膜の透水速度が低下することとなるの
で、好ましくない。
【0015】本発明においては、ポリスルホン系ポリマ
ーと水溶性高分子とが溶剤に混和溶解された溶液を紡糸
原液として用いるが、水溶性高分子の添加量は、紡糸原
液中における水溶性高分子の濃度が0.1〜2重量%、
より好ましくは0.1〜1重量%となる範囲で行うのが
よい。水溶性高分子の添加量が2重量%を超えた紡糸原
液を用いて製膜すると、洗浄による水溶性高分子の除去
が困難となり、膜中における水溶性高分子の残存量が増
加すると同時に、得られる中空糸膜の透水速度が低下す
る。
【0016】本発明を実施するに際して用いる溶剤は、
用いるポリスルホン系ポリマー及び水溶性高分子を溶解
しうるものであれば特に限定されるものではなく、N−
メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド(DMAc)等より適宜選択して用いること
ができる。
【0017】多孔質中空糸膜の製膜は、上記ポリスルホ
ン系ポリマーと水溶性高分子とを溶剤に混和溶解させた
紡糸原液を用いて、公知の湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法
により行う。即ち、芯鞘型の二重環状ノズルを用いて、
鞘側より紡糸原液を、芯側より上記紡糸原液の凝固液
(以後、内部凝固液という。)又は気体を吐出させ、こ
れをエアギャップを介さず或いは介して凝固液(以後、
外部凝固液という。)中に導くことにより、中空糸膜の
多孔化を行い、その後洗浄、乾燥を行う。
【0018】凝固液としては、水、アルコール等のポリ
スルホン系ポリマーの非溶剤、或いは非溶剤と溶剤との
混合溶剤を用いることができるが、凝固液として、ポリ
スルホン系ポリマーの溶剤と水との混合溶液を用いる
と、これらの混合比を調節することにより、得られる中
空糸膜の孔径や孔径分布を調節することができるので好
ましく、特に内部凝固液、外部凝固液ともにDMAcと
水との混合液を用いた場合、これらの効果を効率よく引
き出すことができる。また、この混合溶液を用いること
により、その後の溶剤回収も容易に行うことができる。
【0019】本発明においては、中空糸膜を製膜した
後、膜中に残存する水溶性高分子を不溶化処理させるた
め、中空糸膜に熱処理及び/又は放射線処理を行っても
よい。熱処理及び/又は放射線処理を行うことにより、
水溶性高分子が架橋され、膜中に固定化されるため、中
空糸膜の使用時にこれら水溶性高分子が濾液中に溶出す
るのを防止することができる。
【0020】熱処理、放射線処理は、ポリスルホン系ポ
リマーからなる多孔質中空糸膜が、形態、構造、機械的
特性において、著しく変化しない範囲であって、かつ水
溶性高分子を十分架橋するのに十分な条件であればよ
く、どちらか一方のみの処理を行ってもよいし、その両
方の処理を行ってもよい。
【0021】例えばポリスルホン系ポリマーとしてポリ
スルホン、水溶性高分子としてポリビニルピロリドンを
用いて紡糸原液とし、製膜して得た中空糸膜の熱処理に
よりポリビニルピロリドンの架橋を行う場合には、処理
温度150〜190℃の範囲で行うのが好ましく、処理
時間は、膜中に残存したポリビニルピロリドンの量によ
り、適宜設定される。また、ポリスルホン系ポリマーと
して、ポリエーテルスルホンとポリアリルスルホンとの
混合物を用いた場合には、より高温かつ短時間での熱処
理が可能である。
【0022】また、ポリスルホン系多孔質中空糸膜の放
射線処理を行う場合は、放射線としてα線、β線、γ
線、X線、又は電子線での処理を行うことができる。こ
の場合、ポリスルホン系多孔質中空糸膜中に抗酸化剤含
有水を含浸させた状態で行うことにより、膜のダメージ
をよりよく防止することができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例における各種評価は次の方法により行
った。
【0024】1)耐湿熱性 試料をオートクレーブにて150℃の加圧熱水中に21
日間浸漬し、浸漬処理前後の試料の破断伸度の維持率
(浸漬処理後の破断伸度/浸漬処理前の破断伸度×10
0)を測定した。
【0025】2)透水速度 ポリスルホン系多孔質中空糸膜を用いて、有効長70m
mのミニモジュールを作成し、膜をエタノール中に十分
浸漬した後、水に置換する親水処理を行った。このモジ
ュールに差圧2kg/cm2となるように中空糸膜の外
側から加圧通水し、加圧後1分から2分までの透水量を
測定し、透水速度を算出した。
【0026】3)溶出物試験 中空糸膜0.2gを蒸留水20ccに浸漬して、80℃
で24時間の加熱を行った。得られた液体の、波長30
0nmにおける(ポリスルホン系ポリマーの微粒子の吸
収に対応)UV透過率並びに、JIS K0102.2
2に従って、TOCを測定した。
【0027】[実施例1]ポリスルホン系ポリマーとし
てポリスルホン(帝人アモコ社製商品名UDELP−3
500)を、水溶性高分子として重量平均分子量が1.
1×106であるPVP(K−90、ISP社製)を用
い、ポリスルホンが12重量%、PVPが1重量%とな
るようDMAcに溶解した紡糸原液を、二重環状ノズル
の鞘側から吐出させるとともに、内部凝固液(DMAc
と水とを、DMAc:水=70:30重量%なる比率で
混合した混合液)を二重管ノズルの芯側から吐出させ
た。
【0028】吐出させた糸条は、一旦空中を20mm通
過させた後に、60℃に保たれた外部凝固液(DMAc
と水とを、DMAc:水=40:60重量%なる比率で
混合した混合液)中に導き、その凝固を行った。得られ
た中空糸膜を、ボビンに巻き取り、80℃の温水中で流
水下3時間洗浄して、溶剤の除去を行った。得られた中
空糸膜は、その外径が500μm、膜厚が100μmで
あった。
【0029】表1に、得られた中空糸膜の評価結果を示
す。本実施例により得られた中空糸膜はその溶出物試験
の結果より、微粒子の発生が極めて少なく、かつPVP
の溶出が少ないものであることがわかる。
【0030】
【表1】
【0031】[比較例1]紡糸原液中における水溶性高
分子の濃度が6重量%である紡糸原液を用いたこと以外
は、実施例1と同様の条件により多孔質膜の製造を行っ
た。得られた中空糸膜の外径は500μm、膜厚は10
0μmであった。この中空糸膜の評価結果を結果を表1
に示す。本比較例により得られた中空糸膜は、溶出物試
験におけるUV透過率の値が低く、微粒子が中空糸膜よ
り多量に脱離してきていることがわかる。また、TOC
の値が高く、多量の水溶性高分子が残存していることが
わかる。
【0032】[比較例2]水溶性高分子として、重量平
均分子量が4.0×104のPVP(K−30、ISP
社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件によ
り多孔質膜の製造を行った。本比較例では、紡糸原液の
粘度が低すぎ、中空糸膜の製造を安定的に行うことがで
きなかった。
【0033】[実施例2]ポリスルホン系ポリマーとし
てポリアリルスルホン(帝人アモコ社製 RADEL
R−5000)及びポリエーテルスルホン(帝人アモコ
社製 RAEDEL A−100)を、水溶性高分子と
して重量平均分子量が1.1×106のPVP(K−9
0、ISP社製)を用い、ポリアリルスルホン10重量
%、ポリエーテルスルホン7重量%、PVPが1重量%
となるようにDMAcに溶解した紡糸原液を、二重環状
ノズルの鞘側から吐出させると共に、内部凝固液(DM
Acと水とを、DMAc:水=70:30重量%の比率
で混合した混合液)を芯側から吐出させる。
【0034】吐出された糸条は、一旦空中を20mm通
過させた後に、70℃に保たれた外部凝固液中(DMA
c:水=40:60重量%なる比率で混合した混合液)
中に導いた。得られた中空糸膜を、実施例1と同様の方
法にて洗浄し、溶剤の除去を行った。
【0035】この中空糸膜に、PVPの架橋処理とし
て、200℃、2時間の熱処理を行った。得られた中空
糸膜は、外径500μm、膜厚100μmであった。こ
の中空糸膜の評価結果を表1に示す。ポリスルホン系ポ
リマーとして、ポリアリルスルホンとポリエーテルスル
ホンのブレンド物を用いると、中空糸膜からの微粒子の
脱離が少なく、更に耐湿熱性の非常に高い中空糸膜が得
られることがわかる。
【0036】
【発明の効果】本発明のポリスルホン系多孔質中空糸膜
の製造方法によれば、中空糸膜使用時に水溶性高分子の
溶出が極めて少なく、なおかつ膜からの微粒子の脱離の
極めて少ない、ポリスルホン製中空糸膜を得ることがで
きる。更に、用いるポリスルホン系ポリマーとして、ポ
リアリルスルホンとポリエーテルスルホンのブレンド物
を用いると、高い透水量に加えて耐湿熱性に非常に優れ
た多孔質中空糸膜を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリスルホン系ポリマーと水溶性高分子と
    を溶剤に混和溶解した溶液を紡糸原液として凝固剤中に
    吐出させることにより多孔質中空糸膜を製造する方法に
    おいて、その重量平均分子量が1.5×105〜1.5
    ×106である水溶性高分子を、紡糸原液中の濃度が
    0.1〜2重量%となるように添加してなる紡糸原液を
    用いることを特徴とするポリスルホン系多孔質中空糸膜
    の製造方法。
  2. 【請求項2】ポリスルホン系ポリマーが、ポリアリルス
    ルホンとポリエーテルスルホンとを1/9〜9/1(重
    量比)の比で混合した混合物であることを特徴とする請
    求項1記載のポリスルホン系多孔質中空糸膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】ポリスルホン系ポリマーとポリビニルピロ
    リドンとを溶剤に溶解した紡糸原液であり、ポリビニル
    ピロリドンの重量平均分子量が1.5×105〜1.5
    ×106であり、かつポリビニルピロリドンの紡糸原液
    中への添加量が、0.1〜1重量%とした紡糸原液を、
    湿式紡糸法、または乾湿式紡糸法にて製膜し、洗浄、乾
    燥することを特徴とする微粒子溶出の少ないポリスルホ
    ン系多孔質膜の製造方法。
JP19760995A 1995-08-02 1995-08-02 ポリスルホン系多孔質中空糸膜の製造方法 Pending JPH0938473A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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