JPH0937784A - ピレスロイドに特異的に反応するモノクローナル抗体の製造方法 - Google Patents

ピレスロイドに特異的に反応するモノクローナル抗体の製造方法

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JPH0937784A
JPH0937784A JP19346395A JP19346395A JPH0937784A JP H0937784 A JPH0937784 A JP H0937784A JP 19346395 A JP19346395 A JP 19346395A JP 19346395 A JP19346395 A JP 19346395A JP H0937784 A JPH0937784 A JP H0937784A
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JP
Japan
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antibody
chrysanthemic acid
dichlorovinyl
cell
pyrethroid
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JP19346395A
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Hideo Okawa
秀郎 大川
Hiroshi Kita
寛 喜多
Shiro Miyake
司郎 三宅
Masaki Yamaguchi
優樹 山口
Hideo Kaneko
秀雄 金子
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】例えば、食品、土壌等の環境中または生体試料
中の菊酸又はジクロロビニル菊酸とピレスロイドアルコ
ールとのエステルの分析において、簡便でかつ迅速に処
理できる精度の高い分析を提供すること。 【解決手段】菊酸(chrysanthemic acid) 又はジクロロ
ビニル菊酸(3-(2,2-dichlorovinyl)-2,2-dimethylcyclo
propanecarboxylate) のカルボニル基を高分子量担体分
子に直接結合せしめた複合体に対して哺乳動物を免疫し
た後、該哺乳動物から前記複合体に対する抗体を形成す
ることのできる免疫適格B細胞を出現させ、該免疫適格
B細胞を連続的に細胞分裂し得る腫瘍細胞に融合してハ
イブリッド細胞を生成し、該ハイブリッド細胞から菊酸
又はジクロロビニル菊酸とピレスロイドアルコールとの
エステルに特異的に反応するモノクローナル抗体を遊離
しかつ収集することを特徴とする抗体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、菊酸又はジクロロ
ビニル菊酸とピレスロイドアルコールとのエステルに特
異的に反応するモノクローナル抗体の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】菊酸又はジクロロビニル菊酸とピレスロ
イドアルコールとのエステルは、高い殺虫効力を有し、
また温血動物に対する毒性が低いことから、例えば、家
庭用殺虫剤として賞用されている。従来、このようなピ
レスロイドの作物、土壌、食品等の環境または生体試料
中の分析には、主としてガスクロマトグラフィー法また
は高速液体クロマトグラフィー法が採用されていた。し
かしながら、該分析法では、試料のクリーンナップ等の
調製に相当の手間と時間を必要とする並びに測定装置や
設備等に高額の費用を要するといった問題があった。ま
た、残留農薬の分析は、その分析件数が多大であるた
め、簡便性や迅速性が重要である。そのため、従来の分
析方法に比し、より簡便で迅速な残留農薬の分析方法の
開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、抗体を用いた
免疫学的検出方法によるピレスロイドの簡便、迅速な分
析方法の確立を試みた。該免疫学的検出方法において最
も重要な因子は、ピレスロイドに特異的に反応する抗体
であるが、いかなる方法によってピレスロイドに特異的
に反応する抗体を製造するかによって、製造された抗体
の能力が決定する。このため、よりすぐれた抗体の製造
方法が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者は、よりすぐれた抗体の製造方法について誠意検討
した結果、ある種の化合物を該化合物が有する特定の官
能基部位で高分子量担体分子に直接結合せしめた複合体
を抗原として哺乳動物を免疫した後、該哺乳動物から前
記複合体に対する抗体を形成することのできる免疫適格
B細胞を出現させ、該免疫適格B細胞を連続的に細胞分
裂し得る腫瘍細胞に融合してハイブリッド細胞を生成
し、該ハイブリッド細胞から菊酸又はジクロロビニル菊
酸とピレスロイドアルコールとのエステルに特異的に反
応するモノクローナル抗体を遊離しかつ収集する方法を
見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明は、菊酸
(chrysanthemic acid) 又はジクロロビニル菊酸(3-(2,
2-dichlorovinyl)-2,2-dimethylcyclopropanecarboxyla
te) のカルボニル基を高分子量担体分子に直接結合せし
めた複合体に対して哺乳動物を免疫した後、該哺乳動物
から前記複合体に対する抗体を形成することのできる免
疫適格B細胞を出現させ、該免疫適格B細胞を連続的に
細胞分裂し得る腫瘍細胞に融合してハイブリッド細胞を
生成し、該ハイブリッド細胞から菊酸又はジクロロビニ
ル菊酸とピレスロイドアルコールとのエステルに特異的
に反応するモノクローナル抗体を遊離しかつ収集するこ
とを特徴とする抗体の製造方法(以下、本発明方法と記
す。)を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】菊酸又はジクロロビニル菊酸とピ
レスロイドアルコールとのエステル(以下、本ピレスロ
イドと記す。)としては、例えば、フェノトリン、ペル
メトリン、シペルメトリン、シフルトリン、ピレトリン
等の化合物をあげることができる。
【0006】本発明方法は、以下の工程からなる。 〔菊酸又はジクロロビニル菊酸の完全抗原(免疫原)化
工程〕菊酸又はジクロロビニル菊酸のカルボニル基を高
分子量担体分子に直接結合し、複合体を得る。用いられ
る菊酸又はジクロロビニル菊酸は、純度の高いものが好
ましい。さらに好ましくは約99%以上があげられる。
このため、必要に応じて事前に高速液体クロマトグラフ
ィー等の通常の方法により精製する。用いられる高分子
量担体分子は、菊酸又はジクロロビニル菊酸(不完全抗
原)のカルボニル基部位との連結反応に自由に利用され
得る反応基を有し、かつ該不完全抗原に連結されること
によりそれに免疫原性を付与し得るか、または既に存在
するそれらの免疫原性を高め得る巨大分子化合物であれ
ばよい。特に、自由に利用可能な反応性アミノ基を含む
巨大分子化合物が好ましい。たとえば、分子量が約1万
から約15万の間のリシンに富むタンパク質等をあげる
ことができる。具体的には、ウシ血清アルブミン(BS
A:分子量 66200) 、ヒト血清アルブミン(HSA:分
子量 58000) 、ウサギ血清アルブミン(RSA:分子量
68000)、ヤギ血清アルブミン(GSA:分子量 68000)
、オボアルブミン(卵白アルブミン:分子量 45000)
またはキーホールカサガイヘモシアニン(KLH:分子
量>1000000)等があげられる。その他の巨大分子化合物
が上記の要求に合致しさえすれば、それらを担体分子と
して使用することは可能であり、そのような化合物に
は、たとえば、ブタチログロブリン、B2ミクログロブ
リン、ヘモシアニン、免疫グロブリン、毒素(コレラ毒
素、破傷風毒素、ジフテリア毒素その他)、多糖、リポ
多糖、天然または合成ポリアデニル酸およびポリウリジ
ル酸、ポリアラニルおよびポリリシンポリペプチド、ま
たは細胞膜成分、たとえばホルマリンまたはグルタルア
ルデヒド処理赤血球細胞膜等をあげることができる。上
記の高分子担体分子と菊酸又はジクロロビニル菊酸(不
完全抗原)のカルボニル基部位との結合は、たとえば、
Chem. Pharm. Bull. 31,(11), 4001-4007 (1983) に記
載されるH.Hosodaらによる活性エステル法またはJ.Bio
l. Chem.,234,1090-1094 (1959) に記載されるB.F.Erla
ngerらによる混合酸無水物法等〔反応性カルボキシル基
を有する菊酸又はジクロロビニル菊酸を高分子量担体分
子の反応性アミノ基に結合させる〕により製造すること
ができる。具体的には、例えば、カルボジイミド、アル
キルクロロカーボネイト、好ましくは1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
塩、イソブチルクロロカーボネイトを用いて該不完全抗
原のカルボキシル基を高分子量担体分子の反応性アミノ
基の1つに結合させる。
【0007】〔哺乳動物の免疫感作化工程および本抗体
取得工程〕このようにして得られた複合体に対して、た
とえば、ラット、ウサギ、イヌ等の哺乳動物を免疫する
には、たとえば、J. ASSOC. OFF. ANAL. CHEM. 70(6) 1
025-1027 (1987) 等に記載されるW.H.Newsome 等の通常
の免疫感作の方法を用いて、たとえば、複合体の1回ま
たはそれ以上の投与により行われる。たとえば、7ない
し30日、特に12ないし16日間隔で2または3回の
投与等が好ましい。静脈内、腹膜腔内もしくは皮下に行
われ得る注射が好ましい投与形態である。さらに皮下注
射と腹膜腔内注射との組合せが特に好ましい。なおこの
場合、複合体は適当な緩衝液、たとえば完全フロイント
アジュバンド(Aracel A,Bayol F, 結核死菌を混合した
もの)等の通常用いられるアジュバントの1種を含有す
るナトリウム系リン酸緩衝液等に溶解して用いられる。
ここでアジュバントとは抗原とともに投与したとき、非
特異的にその抗原に対する免疫反応を増強する物質を意
味する。そして、上記の哺乳動物を 0.5ないし4ケ月間
処置せずに放置した後、たとえば10μgないし100
0μg、特に25μgないし500μgの複合体の投与
量でもう1回の投与が行われる。最後の投与の3日間な
いし2ケ月間後に免疫感作した哺乳動物から通常の方法
により前記複合体に対する抗体を形成することのできる
免疫適格B細胞が単離され、該免疫適格B細胞が連続的
に細胞分裂し得る腫瘍細胞と融合され、生成するハイブ
リッド細胞が単離され、そして選択の後、所望の抗体を
産生する該ハイブリッド細胞がクローン化され、そして
モノクローナル抗体を製造するために該ハイブリッド細
胞が試験管内または生体内で培養されることにより、高
度の特異性および親和性を有するような、本ピレスロイ
ドに特異的に反応するモノクローナル抗体(以下、本抗
体と記す。)を製造することができる。
【0008】本抗体は、菊酸又はジクロロビニル菊酸と
ピレスロイドアルコールとのエステルを認識する。たと
えば、後述する直接非競合阻害法(ELISA 法)によって
決定されるIC50(特異的全結合率を50%阻害する被
検定物質濃度)としては、約0.01〜1.4μg/m
l程度の親和性を有する。尚、本抗体は、上記のピレス
ロイドのうち、そのアルコール部位にシアノ基を有さな
い化合物に対してより高い親和性を有する。
【0009】本抗体の利用としては、間接競合阻害法
(ELISA 法)、直接非競合阻害法(ELISA 法)等による
本ピレスロイドの分析をあげることができる。該分析
は、簡便でかつ迅速に処理できる精度の高い分析方法で
ある。
【0010】直接非競合阻害法は、たとえば、以下の方
法によって行うことができる。基本的には、固体支持材
に結合される一定量の第一抗体(すなわち、本抗体)と
試料中に含まれる遊離状態にある本ピレスロイドを反応
させ、次に未反応の状態にある第一抗体と該抗体の抗原
となる、直接またはスペーサーを介して標識が施されて
いる、菊酸又はジクロロビニル菊酸とピレスロイドアル
コールとのエステルを反応させた後、結合した上記抗原
をその標識に基づき定量することによって、試料中に含
まれる遊離状態にある本ピレスロイドと反応した、固体
支持材に結合される第一抗体(すなわち、本抗体)の量
を算出し、該算出値から試料中に含まれる遊離状態にあ
る本ピレスロイドの量を測定する。
【0011】スペーサーを介して間接的に連結する場
合、用いられるスペーサーは、高分子量担体分子の自由
に利用可能な反応基の共有結合を形成し得る少なくとも
1種またはそれ以上の反応基を含む化合物である。たと
えば、2個から16個の間の架橋性炭素原子を含み、か
つ反応基として1個またはそれ以上の反応基、たとえば
アミノ基、カルボキシル基等を有する化合物をあげるこ
とができる。具体的には、一般式 H2 N(CH2 )n
COOH(nは2から16までの整数)が好ましいもの
としてあげられる。スペーサーの菊酸又はジクロロビニ
ル菊酸(不完全抗原)への連結は、該不完全抗原の反応
基を高分子量担体分子の反応基の1つに結合させる方法
と同様な方法を用いることができる。
【0012】間接競合阻害法は、たとえば、以下の方法
によって行うことができる。基本的には、固体支持材に
結合される抗原である菊酸又はジクロロビニル菊酸と試
料中に含まれる遊離状態にある本ピレスロイドとの競
合、たとえば固体支持材に結合される抗原である菊酸又
はジクロロビニル菊酸と標識が施されている第2抗体に
よって認識される第1抗体の遊離抗原である本ピレスロ
イドとの競合に基づいている。これに関連して、固体支
持材への抗原である菊酸又はジクロロビニル菊酸の結合
は直接、またはスペーサーおよび/または第1抗体(す
なわち、本抗体)によって認識されない高分子量担体分
子を介して間接的に起こり得る。ここで、第1抗体(す
なわち、本抗体)によって認識されない高分子量担体分
子とは、前記の菊酸又はジクロロビニル菊酸の完全抗原
(免疫原)化工程において用いることかできる高分子量
担体分子のうちで、第1抗体の製造において用いられな
い高分子量担体分子のことである。また、抗原である菊
酸又はジクロロビニル菊酸をスペーサーおよび/または
第1抗体によって認識されない高分子量担体を介して間
接的に結合する場合、これらの結合には、前記の菊酸又
はジクロロビニル菊酸の完全抗原(免疫原)化工程と同
様な方法または準ずる方法を用いることができる。
【0013】スペーサーを介して間接的に連結する場
合、用いられるスペーサーは、高分子量担体分子の自由
に利用可能な反応基の共有結合を形成し得る少なくとも
1種またはそれ以上の反応基を含む化合物である。たと
えば、2個から16個の間の架橋性炭素原子を含み、か
つ反応基として1個またはそれ以上の反応基、たとえば
アミノ基、カルボキシル基等を有する化合物をあげるこ
とができる。具体的には、一般式 H2 N(CH2 )n
COOH(nは2から16までの整数)が好ましいもの
としてあげられる。スペーサーの菊酸又はジクロロビニ
ル菊酸(不完全抗原)への連結は、該不完全抗原の反応
基を高分子量担体分子の反応基の1つに結合させる方法
と同様な方法を用いることができる。
【0014】抗原である菊酸又はジクロロビニル菊酸の
直接または間接な結合に用いられる固体支持材として
は、たとえばミクロタイタープレートまたは試験管のプ
ラスチック表面、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニル、ガラスまたはプラスチック等からなるビー
ズ表面、ろ紙、デキストラン、セルロースもしくはニト
ロセルロースまたはその他の類似の材料の細片の表面等
をあげることができる。これらの固体支持材に、抗原で
ある菊酸又はジクロロビニル菊酸を直接、またはスペー
サーおよび/または第1抗体(本抗体)によって認識さ
れない高分子量担体分子を介して間接的に結合する(以
下、コーティングと記す。)には、たとえば、あらかじ
め、グルタルアルデヒドまたは臭化シアン等を用いる通
常の方法によって固体支持材の活性化を行う。活性化さ
れた固体支持材にコーティング液を添加した後、インキ
ュベートすることによって第1抗体を産生する哺乳動物
と同一種の哺乳動物の血清アルブミンと菊酸又はジクロ
ロビニル菊酸の結合体で担体の表面をコートする。ここ
で用いられるコーティング液としては、たとえば140
mMの塩化ナトリウムを含む約10mMのリン酸緩衝液
(pH7.4)等をあげることができる。コーティング
の条件として、たとえば抗原である菊酸又はジクロロビ
ニル菊酸またはスペーサーおよび/または第1抗体によ
って認識されない高分子量担体分子を有する抗原である
菊酸又はジクロロビニル菊酸のコーティング液内の濃度
は、たとえば抗原である菊酸又はジクロロビニル菊酸と
して、約0.05μg/mlから約1μg/ml等を好まし
くあげることができる。使用する量としては、96穴マイ
クロプレートを使用する場合には、例えば約0.1ml/ウェ
ル程度を好ましくあげることができる。またコーティン
グ時間としては、たとえば約4℃、約6時間ないし24
時間、好ましくは一晩をあげることができる。上記の具
体的な例としては、たとえば固体支持材としてポリスチ
レン製の96穴ミクロタイタープレートを使用して、第
1抗体を産生させるための複合体(菊酸又はジクロロビ
ニル菊酸を高分子量担体分子に直接結合したもの)に用
いられる高分子量担体分子としてウシ等の動物の血清ア
ルブミンまたはキーホールカサガイヘモシアニンを使用
し、また菊酸又はジクロロビニル菊酸を固体支持材に間
接的に結合する際に用いられる高分子量担体分子として
第1抗体によって認識されない高分子量担体分子である
ヤギ等の別種の動物の血清アルブミンを使用することを
あげることができる。尚、第1抗体を産生する哺乳動物
と同一種の哺乳動物の血清アルブミンと菊酸又はジクロ
ロビニル菊酸の複合体の担体へのコーティング後、第1
抗体の非特異的結合を防止するために、第1抗体を産生
する哺乳動物と同一種の哺乳動物の血清アルブミン以外
の蛋白で、第1抗体を産生する哺乳動物と同一種の哺乳
動物の血清アルブミンが吸着していない部分をブロック
することが望ましい。この目的には、例えば、約3%の
スキムミルク溶液と担体を約20℃前後で約2時間程度イ
ンキュベートする方法等が簡便なものとしてあげられ
る。このようにして得られた担体は、洗浄緩衝液(たと
えば、NaCl 0.8%(W/V)、KCl 0.02%(W/V)およびTween 20
0.2%(V/V) を含む10mMのリン酸緩衝液(pH 7.2)が好
ましい。)で洗浄した後に使用する。
【0015】このようにして得られる固体支持材に直接
または間接的に結合する菊酸又はジクロロビニル菊酸は
次に、試料中に含まれる検出すべき抗原である本ピレス
ロイドおよび第1抗体(本抗体)を含有する試験溶液と
混合され、該混合物はインキュベートされる。なお、試
料中に含まれる検出すべき抗原である本ピレスロイド
は、この際に遊離の形態で、または水もしくは作物、土
壌、食品等の環境または生体試料中の成分として存在し
得る。約10分間ないし約2時間のインキュベート後
に、混合物は第1抗体(本抗体)を認識し、そして結合
する酵素等で標識された第2抗体とインキュベートされ
る。この酵素等で標識された第2抗体としては、たとえ
ばペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D
−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ
アミラーゼ、炭酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエス
テラーゼ、リゾチーム、マレートデヒドロゲナーゼ、グ
ルコール−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ等の酵素
を結合した第1抗体(本抗体)に対する抗体をあげるこ
とができる。具体的な例としては、第1抗体(本抗体)
としてウサギ抗血清を使用する場合、第2抗体として
は、ペルオキシダーゼを結合した抗ウサギ免疫グロブリ
ン(IgG)ヤギ免疫グロブリン(IgG)を好ましく
あげることができる。なお、該ウサギIgGヤギIgG
は市販されており、容易に入手可能である。 ペルオキ
シダーゼで標識される場合には、基質として過酸化水
素、発色試薬としてジアミノベンジジンまたはO−フェ
ニレンジアミンと組み合わさって褐色または黄色を生じ
る。グルコースオキシダーゼで標識される場合には、基
質として、たとえば2,2'−アシド−ジ−(3−エチル
ベンゾチアゾリン−6−スルホン酸(ABTS)等を用
いる。尚、第2抗体に結合した標識酵素と基質との酵素
反応によって生じる発色を吸光度としてマルチスキャニ
ングスペクトロフォトメーター等の装置を用いて測定す
る。
【0016】また、本抗体の利用として、試薬として本
抗体を少なくとも1種含有し、そして本ピレスロイドの
簡便でかつ迅速に処理できる精度の高い検出・分析のた
めに野外条件下での使用に適している試験キットの形態
にされた本ピレスロイドの免疫学的検出・分析のための
手段もあげることができる。上記の試験キットは、たと
えば次の構成成分を含有し得る:(1) 抗原である菊酸又
はジクロロビニル菊酸を直接、またはスペーサーおよび
/または第1抗体(本抗体)によって認識されない高分
子量担体分子を介して間接的に結合する固体支持材、
(2) 本発明抗体を含有する試薬、(3) 抗原である本ピレ
スロイドの標準化溶液、(4) 第1抗体(本抗体)を認識
し、そして結合する酵素等で標識された第2抗体を含有
する試薬、(5) 緩衝液、(6) 非特異的吸着および凝集体
の形成を防止するポリペプチド、界面活性剤等の添加
剤、および(7) ピペット、反応容器、計算曲線等。上記
の固体支持材は、非常に広範囲のデザインを有し、そし
て使用に際して意図された特定の目的に応じて非常に異
なる形状を有することができる。たとえば、皿、球、プ
レート、小型ロッド、セル、小型ボトル、小型チュー
ブ、ファイバー、ネット等をあげることができる。具体
的な例としては、透明プラスチック材料、たとえばポリ
塩化ビニルまたはポリスチレンからなるミクロタイター
プレート、ポリスチレンおよびポリスチレンラテックス
からなる小球、チューブまたはロッド等が使用可能であ
る。
【0017】上記方法では、水田水、水道水等の環境中
の水系類をサンプルとする場合には、サンプル中の本ピ
レスロイド濃度が約0.01μg/ml〜約10μg/mlの範囲で測
定することができる。従って、サンプル中の本ピレスロ
イド濃度が上記より高濃度である場合には、サンプルを
適宜希釈した後に使用する。また低濃度である場合に
は、サンプルを適宜濃縮した後に使用する。作物、土
壌、食品等の環境または生体試料中の非水系類をサンプ
ルとする場合には、メタノール等の溶媒でサンプルから
本ピレスロイドを抽出した後、該メタノール抽出液をた
とえば前記の洗浄緩衝液等の緩衝液等で希釈した後に使
用する。このようにして調製した本ピレスロイドを含有
するサンプル溶液と過剰量の第1抗体(本抗体)を含有
する緩衝溶液を混合し、たとえば約20℃前後で一晩イン
キュベートすることによって反応させる。この際、第1
抗体は、約3,000 〜約5,000 倍に希釈してサンプル中の
本ピレスロイドと反応させることが望ましく、特に約5,
000 倍程度の希釈をより望ましくあげることができる。
即ち、約2,500 倍程度に希釈した第1抗体を同用量の本
ピレスロイドを含有するサンプル溶液と混合し、約20℃
で一晩反応させることが望ましい。希釈液としては、た
とえば、前記の洗浄緩衝液と同じ組成のものを用いるこ
とができる。なお、必要に応じて、第1抗体が過剰に希
釈された場合の安定化のために保護タンパクとして3%
のスキムミルク等を加えることが望ましい。
【0018】上記のように調製したサンプルと第1抗体
の反応液に含まれる未反応の第1抗体を、第1抗体を産
生する哺乳動物と同一種の哺乳動物の血清アルブミンと
菊酸又はジクロロビニル菊酸との複合体で表面をコーテ
ィングした固体支持材に結合させる反応を行う。この反
応条件について、サンプルと第1抗体の反応液を固体支
持材に添加し、たとえば約20℃で、約1時間程度反応さ
せることを望ましくあげることができる。反応後、前記
の洗浄緩衝液で担体を洗浄した後、酵素等で標識され、
かつ第1抗体を産生する哺乳動物と異なる種の哺乳動物
に由来する第1抗体に対する抗体(第2抗体)との反応
に供する。
【0019】以下、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明は下記の実施例にのみ限定されないことは言
うまでもない。
【0020】
【実施例】
【0021】製造例1 複合体の調製(完全抗原(免疫
原)化工程における高分子量担体分子の連結及び固体支
持材に結合される抗原への高分子量担体分子の連結) 菊酸(以下、KCA と記す。)又はジクロロビニル菊酸
(以下、DCPIと記す。)50mgを無水ジオキサン4ml に溶
解した後、該溶液にN-メチルモルホリン100 μlを添加
し、10℃で20分間撹拌した。ついでイソブチルクロロカ
ーボネイト40μlを少量ずつ添加し、15分間撹拌した。
オボアルブミン(和光純薬社製)80mg又は牛血清アルブ
ミン(シグマ社製)80mgを蒸留水4.3ml に溶解した後、
該溶液に10℃でジオキサン2.6ml を滴下した。滴下後、
1N NaOH でpH9 に調整した溶液に、先に調製したKCA 又
はDCPI溶液を1N NaOH でpH9 に保ちながら徐々に滴下し
た。滴下後、10℃で4時間反応させた。反応終了後、得
られた反応物を透析チューブに入れ、10mM Tris-HCl(pH
7.5)に対して4℃で3日間透析した。透析中、2回の新
しい緩衝液に交換した。透析後、該反応物を凍結乾燥す
ることにより、各種の複合体を得た。このようにして得
られた複合体のうち、オボアルブミンとの複合体は、免
疫原として用いた。また、牛血清アルブミンとの複合体
は、固体支持材に間接的に結合される抗原(ELISA 用)
として用いた。
【0022】製造例2 哺乳動物の免疫感作化工程およ
び本抗体取得工程 製造例1によって得られたオボアルブミンとの複合体を
100μgをダルベッコのリン酸緩衝液〔KCl 200mg/l,
KH2 PO4 200mg/l,NaCl 8g/l,NaHPO 4 1.15g/l、以下、P
BS(-)と記す。〕50μl に溶解した。この水溶液に完全
フロイントアジュバント(ヤトロン社製)を等量加え、
よく混合した。得られた混合物 100μlをマウス(BALB
/cA 、メス、6週齢、20g)に皮下注射した(第1回
目免疫)。1ヵ月後、初回免疫量の1/4 量を等量の不完
全フロイントアジュバント(DIFCO LABORATORIES 社
製)と混合した後、該混合物を皮下注射により追加投与
した(第2回目免疫)。その2ヵ月後に、初回免疫量の
1/4 量を等量の不完全フロイントアジュバント(DIFCO
LABORATORIES 社製)と混合した後、該混合物を腹腔内
注射により追加投与(最終免疫)した。最後の投与の3
日後に免疫感作した供試マウスから脾臓を摘出し、摘出
された脾臓をイスコフ改変ダルベッコ培地〔Iscove,N &
Melchers,F.,J.Exp.Med.,147,923(1978) 、以下、イス
コフ培地と記す。〕にて3回洗浄した後、該脾臓から細
胞をイスコフ培地中に取り出し細胞懸濁液を得た。該細
胞懸濁液をステンレスメッシュで濾過することにより大
きな固形物を除去した。得られた脾臓細胞とマウスのミ
エローマ細胞P3-X63-Ag8.653〔Kearney.J.F.,Radoruch,
A.,Liesegang,B.& Rajewsky,K.,J.Immumol.,123,1548(1
979) 〕を各々イスコフ培地で3回洗浄した後、細胞数
の比で5:1 (脾臓細胞:ミエローマ細胞)になるように
混合し、遠心(1,200rpm,5min,25℃)して細胞沈渣を
得た。得られた細胞沈渣にあらかじめ37℃に暖めておい
た50%ポリエチレングリコール(分子量1,500 )溶液1m
l をゆっくり加え細胞を融合した。細胞融合は、イスコ
フ培地10mlを添加し、さらに牛胎児血清(以下、FBS と
記す。)を1ml 添加することにより停止した。このよう
に細胞融合処理をした細胞をHAT 培地(イスコフ/10%F
BS培地にヒポキサンチンを 100μM,アミノプテリンを
0.4μM,チミジンを 1.6μM 添加)に2×105 細胞/ml
の割合で懸濁し、96穴ミクロタイタープレート中に分
注し、37℃にて5%二酸化炭素存在下で10日間から14日間
培養した。培養後、ハイブリッド細胞の培養液について
実施例1で得られた牛血清アルブミンとの複合体に対す
る抗体産生の有無を下記の方法によってスクリーニング
した。 1.(ELISA 法による抗体産生細胞のスクリーニング) 実施例1で得られた牛血清アルブミンとの複合体を4μ
g/mlの濃度でPBS(-)で希釈し、該希釈液を96穴ミクロ
タイタープレートに50μl /ウェルで分注し、4℃で一
晩静置することにより固相化した。次に、上記コーティ
ング液を除去した後、牛血清アルブミンとの複合体によ
ってコーティングされたミクロタイタープレートを硼酸
バッファー〔85mM borate buffer(pH8.0),62mM NaCl 、
以下、BBS と記す。〕中に浸すことにより1回洗浄し、
4℃下で該ミクロタイタープレートの上面を下にしてペ
ーパータオル上で軽く打ちつけることによりプレート内
の水分を除去した。これに牛血清アルブミンを添加(1%)
したBBS を250 μl /ウェルで添加した後、室温で1時
間放置した(ブロッキング)。この96穴ミクロタイタ
ープレートをBBS で3回洗浄した後、これにハイブリッ
ド細胞の培養液(上清)を50μl /ウェルで添加し、室
温で1時間反応した。この96穴ミクロタイタープレー
トを再びBBS で3回洗浄した後、抗体希釈液(0.3%牛血
清アルブミン/BBS )で1,000 倍に希釈した市販のペル
オキシダーゼ標識抗マウス免疫グロブリン(IgG)ヤ
ギ免疫グロブリン(IgG)〔オルガノンテクニカ社
製〕を100 μl /ウェルで添加し、1時間反応した。反
応後、BBS で3回洗浄した後、ペルオキシダーゼの基質
溶液〔100mM Sodium-acetate buffer(pH5.5), 100 μg/
ml3,3', 5,5'-Tetramethylbenzidine,0.006% H2 O〕
を添加し、室温で10分間インキュベートすることによ
って発色させた。そして等量の1N硫酸を加えることによ
り、酵素反応を停止し、ミクロタイタープレート内の発
色をマルチスキャニングスペクトロフォトメーター(タ
イターテック社製)を用いて、450nmでの吸光度を測
定した。このようにして抗体産生ウェルを特定した。 2.(抗体産性細胞のクローニング) 上記のようにして特定した抗体産生ウェルを限界希釈法
によって細胞クローニングを実施した。細胞クローニン
グの結果、牛血清アルブミンとの複合体に対する抗体を
産生しているクローン化細胞を得た。得られたクローン
化細胞を10%FBSを含むイスコフ培地で5%CO2,37℃
条件下で培養し、その培養液を抗体溶液とした。さら
に、該抗体溶液をAvid AL ゲル(サイプレス社製)によ
るアフィニティークロマトグラフィーにより精製し、得
られたタンパク質画分をPBS(-)で透析することによって
本抗体を得た。その結果を表1に示した。
【0023】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 不完全抗原 本抗体 サブクラス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 菊酸(KCA) KCA226 IgG2a KCA190 IgG2b ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ジクロロビニル DCPI4 IgG2b 菊酸 DCPI4−5 IgG2a (DCPI) DCPI4−3 IgG2a DCPI4−17 IgG2b DCPI6 IgG1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このようにして得られたクローン化細胞は、現在、工業
技術院生命工学技術研究所に寄託されている。KCA2
26抗体産生細胞の場合、その識別のための表示は「ハ
イブリドーマ KCA226」であり、その受託番号は
FERM P−15051(受託日 平成7年7月20
日)である。
【0024】試験例1 間接競合阻害法による分析 実施例2(ELISA 法による抗体産生細胞のスクリーニン
グ)で示した間接競合阻害法(ELISA 法)と同様な方法
によって、実施例1で得られた牛血清アルブミンとの複
合体を固相化した96穴ミクロタイタープレートを作製
し、これに硼酸バッファー〔85mM Borate-buffer(pH8.
0), 150mM NaCl 〕にて希釈した所定濃度の下記(表
2)の本ピレスロイドの溶液を分注した。さらに実施例
2で得られた抗体溶液〔KCA226〕を等量加えて直
ちに混合し、室温で1時間反応した。この96穴ミクロ
タイタープレートをBBS で3回洗浄した後、抗体希釈液
(0.3%牛血清アルブミン/BBS )で1,000 倍に希釈した
ペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG 抗体を100 μl /ウ
ェルで添加し、1時間反応した。反応後、BBS で3回洗
浄した後、ペルオキシダーゼの基質溶液〔100mM Sodium
-acetate buffer(pH5.5), 100 μg/ml 3,3', 5,5'-Tetr
amethylbenzidine,0.006% H2 O〕を添加することによ
って発色させた。10分間後に等量の1N硫酸を添加して反
応を停止し、450nm の吸光度を測定した。尚、表2に組
み合わせ(不完全抗原、高分子量担体分子、本ピレスロ
イド)を示した。
【0025】
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 不完全抗原 高分子量担体分子 本ピレスロイド ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 菊酸(KCA) 牛血清アルブミン ピレトリン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ジクロロビニル 牛血清アルブミン ペルメトリン 菊酸(DCPI) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0026】その結果、間接競合阻害法において、本抗
体〔KCA226〕は供試された本ピレスロイドをよく
認識した。
【0027】試験例2 直接非競合阻害法による分析 活性エステル法によりKCA をペルオキシダーゼで標識し
た。KCA 0.625 μmol (255 μg )をDMF 25μl 及び5
6.5mg/ml Dicyclo carbodiimide/DMF溶液 2.5μl を添
加し、室温で1時間反応させた。反応後、1M NaHCO3
液20μl と20mg/ml ペルオキシダーゼ溶液125 μl を加
え、さらに室温で3時間反応させた。次に、あらかじめ
BBS で平衡化したPD-10 カラム〔ファルマシア社製〕を
用いて、KCA とペルオキシダーゼの結合体を精製した。
実施例2で得られた本抗体〔KCA 226 〕を8 μg/mlの濃
度で50mM NaHCO3 溶液に溶解し、該溶液を96穴ミクロ
タイタープレートに50μl /ウェルで分注し、4℃で一
晩静置することにより固相化した。次に、上記コーティ
ング液を除去した後、本抗体によってコーティングされ
たミクロタイタープレートをBBS 中に浸すことにより1
回洗浄し、4℃下で該ミクロタイタープレートの上面を
下にしてペーパータオル上で軽く打ちつけることにより
プレート内の水分を除去した。これに牛血清アルブミン
を添加(1%)したBBS を250 μl /ウェルで添加した後、
25℃で1時間放置した(ブロッキング)。この96穴ミ
クロタイタープレートをBBS で3回洗浄した後、これに
BBS で所定濃度に希釈したピレトリンの溶液を100μl
/ウェルで添加し、室温で1時間反応した。この96穴
ミクロタイタープレートをBBS で5回洗浄した後、精製
されたKCA とペルオキシダーゼの結合体(0.4μg/ml)を
100 μl/ウェルで添加し、室温で1時間反応した。こ
の96穴ミクロタイタープレートを再びBBS で5回洗浄
した後、ペルオキシダーゼの基質溶液〔100mM Sodium-a
cetate buffer(pH5.5), 100 μg/ml 3,3', 5,5'-Tetram
ethylbenzidine,0.006% H2 O〕を添加し、室温で10
分間インキュベートすることによって発色させた。そし
て等量の1N硫酸を加えることにより、酵素反応を停止
し、ミクロタイタープレート内の発色をマルチスキャニ
ングスペクトロフォトメーター(タイターテック社製)
を用いて、450nmでの吸光度を測定した。その結果、
本抗体〔KCA 226 〕はピレトリンを約0.01〜1.0 μg/ml
の濃度範囲で認識した(図2)。そして、ピレトリンに
おける簡便でかつ迅速に処理できる精度の高い分析を可
能とすることを確認した。
【0028】試験例3 本抗体における各種のピレスロ
イドとの反応性 試験例2で示した直接非競合阻害法を用いて、本抗体
〔KCA 226 〕における各種のピレスロイドとの反応性に
ついて調べた。供試されたピレスロイドはBBS で溶解す
ることによって溶液状態にした。結果は、サンプルとし
てピレスロイドを含まないBBS を用いた場合の吸光度を
100%として、その50% を阻害する被検定物質(ピレスロ
イド)の濃度をIC50( μg/ml)として表した。そ
の結果を表3に示した。
【0029】
【表3】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 供試ピレスロイド IC50 (μg/ml) 備考 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ フェノトリン 0.17 本ピレスロイド ペルメトリン 1.0 シフルトリン 1.4 ピレトリン 0.11 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ フルシトリネート >40.0 その他のピレスロイド フルバリネート >40.0 シクロプロトリン >40.0 エトフェンプロックス >40.0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0030】試験例4 本抗体におけるメチルアルコー
ル耐性 試験例2に示した直接非競合阻害法を用いて、本抗体
〔KCA 226 〕におけるメチルアルコール耐性を調べた。
メチルアルコールを最終濃度として0%、10%、20
%、30%、40%を含むBBS で溶解することによって
溶液状態にしたピレトリンをサンプルとした。その結果
を図3に示した。本抗体〔KCA 226 〕を用いる分析は、
メチルアルコールの添加濃度0%〜40%の範囲において
充分可能であった。
【0031】
【発明の効果】本発明方法により、菊酸又はジクロロビ
ニル菊酸とピレスロイドアルコールとのエステルに特異
的に反応するモノクローナル抗体の製造を可能にした。
該抗体は、例えば、作物、土壌、食品等の環境または生
体試料中の菊酸又はジクロロビニル菊酸とピレスロイド
アルコールとのエステルの分析において、簡便でかつ迅
速に処理できる精度の高い分析を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】菊酸又はジクロロビニル菊酸とオボアルブミン
との複合体、または菊酸又はジクロロビニル菊酸と牛血
清アルブミンとの複合体の合成経路を示す図である。
【図2】直接非競合阻害法(ELISA法)による分析を示す
図である。
【図3】本抗体におけるメチルアルコール耐性を調べる
ための直接非競合阻害法(ELISA法)による分析を示す図
である。白四角シンボル、黒丸シンボル、白丸シンボ
ル、白三角シンボル、黒四角シンボルの順に、メチルア
ルコールの最終濃度0%、10%、20%、30%、4
0%を表す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (72)発明者 金子 秀雄 兵庫県神戸市東灘区御影本町8丁目12番6 号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】菊酸(chrysanthemic acid) 又はジクロロ
    ビニル菊酸(3-(2,2-dichlorovinyl)-2,2-dimethylcyclo
    propanecarboxylate) のカルボニル基を高分子量担体分
    子に直接結合せしめた複合体に対して哺乳動物を免疫し
    た後、該哺乳動物から前記複合体に対する抗体を形成す
    ることのできる免疫適格B細胞を出現させ、該免疫適格
    B細胞を連続的に細胞分裂し得る腫瘍細胞に融合してハ
    イブリッド細胞を生成し、該ハイブリッド細胞から菊酸
    又はジクロロビニル菊酸とピレスロイドアルコールとの
    エステルに特異的に反応するモノクローナル抗体を遊離
    しかつ収集することを特徴とする抗体の製造方法
  2. 【請求項2】請求項1記載のピレスロイドがそのアルコ
    ール部位にシアノ基を有さない化合物であることを特徴
    とする抗体の製造方法
JP19346395A 1995-07-28 1995-07-28 ピレスロイドに特異的に反応するモノクローナル抗体の製造方法 Pending JPH0937784A (ja)

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