JP3419084B2 - 活性型mapキナーゼを認識する抗体 - Google Patents

活性型mapキナーゼを認識する抗体

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JP3419084B2
JP3419084B2 JP13605294A JP13605294A JP3419084B2 JP 3419084 B2 JP3419084 B2 JP 3419084B2 JP 13605294 A JP13605294 A JP 13605294A JP 13605294 A JP13605294 A JP 13605294A JP 3419084 B2 JP3419084 B2 JP 3419084B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性型MAPキナーゼ
を認識する抗体、その製造方法およびその利用に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、活性型MAP(Mitogen-Activated
Protein) キナーゼの検出には、放射性標識されたリン
等の存在下で細胞内基質である各種の蛋白質と供試MA
Pキナーゼを反応させることによって上記のリン等を各
種の蛋白質へ取り込ませ、該蛋白質中のリン酸化量をX
線フィルムの感光スポットまたはバンドとして検出する
ことによって供試MAPキナーゼ中の活性型MAPキナ
ーゼの存在(量)を調べる方法が知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は放射性標識されたリン等のラジオアイソトープを使
用するために試料の調製、反応等に手間と時間および熟
練が必要であり、かつ大かがりな測定装置や特別な施設
が必須であった。このために簡便性に欠けるという欠点
を有していた。また検出感度という面でも必ずしも充分
なものではなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況を鑑み、活性型MAPキナーゼのすぐれた検出・分析
方法を見い出すべく鋭意検討を重ねた結果、活性型MA
Pキナーゼを認識する抗体を利用することによりきわめ
て効率的に活性型MAPキナーゼの検出・分析が可能で
あることを見い出し、本発明を完成した。すなわち、本
発明は、活性型MAPキナーゼのサブドメインVIIと
サブドメインVIIIの間の特有なアミノ酸配列を含む
抗原性ペプチドを直接またはスペーサーを介して間接的
に高分子量担体分子に結合せしめた複合体を抗原として
得られうる抗体であって、(1) 特有なアミノ酸配列が N
- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2) -C である、(2) 0.1
%(w/v) SDS存在下では活性型MAPキナーゼと反応
し、非存在下では実質的に反応しない、(3) 不活性型M
APキナーゼに対して、交差反応性を実質的に示さな
い、ことを特徴とする、活性型MAPキナーゼを認識す
る抗体(以下、本発明抗体と記す。)、および活性型M
APキナーゼのサブドメインVIIとサブドメインVI
IIの間の特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを
直接またはスペーサーを介して間接的に高分子量担体分
子に結合せしめた複合体に対して哺乳動物を免疫した
後、該哺乳動物から血液を採取して、該血液から分離・
精製することを特徴とする抗体の製造方法(以下、本発
明製造方法と記す。)およびその利用を提供するもので
ある。
【0005】MAPキナーゼは真核生物において広く保
持されているセリン・スレオニンキナーゼの一種で、細
胞外からの増殖刺激を細胞内に伝える経路(細胞内シグ
ナル伝達経路)において重要な役割を果たしている酵素
の一つである。たとえば、細胞が増殖因子、ホルモン等
による外部からの増殖刺激を受けると、その刺激を受容
体が認識し、MAPキナーゼ活性化酵素を活性化するた
めのシグナルを発生する。このシグナルにより活性化さ
れたMAPキナーゼ活性化酵素は、MAPキナーゼに作
用して、このMAPキナーゼを活性化状態にする。活性
化されたMAPキナーゼ、すなわち、「活性型MAPキ
ナーゼ」は細胞内基質である各種の蛋白質をリン酸化す
ることによって細胞を増殖状態に導く。このようにし
て、外部からの増殖刺激に対して細胞は応答し、細胞増
殖を開始する。 増殖刺激 → 受容体 → MAPキナーゼ活性化酵素
→ 〔(不活性型)MAPキナーゼ → 活性型MA
Pキナーゼ〕 → 〔(不活性型)細胞内基質→ 活性
型細胞内基質〕 → 細胞増殖 したがって、活性型MAPキナーゼの存在有無を検出・
分析できれば細胞増殖の状態を判断することが可能とな
り、また無制限に増殖する癌細胞の早期検出にも利用可
能となる。本発明では、活性型MAPキナーゼのすぐれ
た検出・分析方法として活性型MAPキナーゼを認識す
る抗体を利用している。本発明抗体は、活性型MAPキ
ナーゼのサブドメインVIIとサブドメインVIIIの
間の特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを直接ま
たはスペーサーを介して間接的に高分子量担体分子に結
合せしめた複合体を抗原として得られる抗体であって、
(1) 特有なアミノ酸配列が N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3
H2) -C である、(2) 0.1%(w/v) SDS存在下では
活性型MAPキナーゼと反応し、非存在下では実質的に
反応しない、(3) 不活性型MAPキナーゼに対して、交
差反応性を実質的に示さない、ことを特徴としている新
規な抗体である。
【0006】活性型MAPキナーゼのサブドメインVI
IとサブドメインVIIIの間のアミノ酸配列として
は、たとえば、N- Asp-His-Thr-Gly-Phe-Leu-Thr(PO3H
2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-Thr-Arg-Trp-Tyr-Arg-Ala-
Pro-Glu -C 等があげられ、そのなかにおいて特有なア
ミノ酸配列として、 N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2) -C
がある。この特有なアミノ酸配列を含むペプチドとして
は、たとえば、下記のアミノ酸配列で示されるペプチド
が考えられる。 (1) N- Asp-His-Thr-Gly-Phe-Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr
(PO3H2)-Val-Ala -C (2) N- His-Thr-Gly-Phe-Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H
2)-Val-C (3) N- Thr-Gly-Phe-Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-V
al-Ala -C (4) N- Gly-Phe-Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-C (5) N- Gly-Phe-Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2) -C (6) N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2) -C (7) N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala -C (8) N- Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-Thr -
C (9) N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-Thr-Arg -
C (10) N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-Thr-Arg-
Trp -C (11) N- Phe-Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-
Thr-Arg-Trp -C (12) N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-Thr-Arg-
Trp-Tyr-Arg -C (13) N- Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-Thr-
Arg-Trp-Tyr-Arg-Ala -C (14) N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-Thr-Arg-
Trp-Tyr-Arg-Ala-Pro -C (15) N- Phe-Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2)-Val-Ala-
Thr-Arg-Trp-Tyr-Arg-Ala-Pro-Glu -C このようなペプチドであって、抗原性(エピトープ性)
を有すればいかなるものであってもよい。上記のペプチ
ドは、そのアミノ酸配列の順にアミノ酸を重合すること
によって製造する(固相法)ことができる。たとえば、
通常の自動アミノ酸合成装置を用いて製造すれば容易で
ある。
【0007】本発明抗体はたとえば次の方法によって製
造することができる。 〔特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドの完全抗原
(免疫原)化工程〕特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペ
プチドを直接またはスペーサーを介して間接的に高分子
量担体分子に結合し、複合体を得る。用いられる特有な
アミノ酸配列を含む抗原性ペプチドは、純度の高いもの
が好ましい。このため、必要に応じて事前に高速液体ク
ロマトグラフィー等の通常の方法により精製することが
できる。用いられる高分子量担体分子は、特有なアミノ
酸配列を含む抗原性ペプチドおよびこれらにスペーサー
が結合してなる化合物(以下、両者のことをまとめて不
完全抗原と記す。)との連結反応に自由に利用され得る
反応基を有し、かつ該不完全抗原に連結されることによ
りそれに免疫原性を付与し得るか、または既に存在する
それらの免疫原性を高め得る巨大分子化合物であればよ
い。自由に利用可能な反応性アミノ基を含む巨大分子化
合物が特に好ましい。たとえば、分子量が約1万から約
15万の間のリシンに富むタンパク質等をあげることが
できる。具体的には、ウシ血清アルブミン(BSA:分
子量 66200) 、ヒト血清アルブミン(HSA:分子量 5
8000) 、ウサギ血清アルブミン(RSA:分子量 6800
0) 、ヤギ血清アルブミン(GSA:分子量 68000) ま
たはキーホールカサガイヘモシアニン(KLH:分子量
>1000000)等があげられる。その他の巨大分子化合物が
上記の要求に合致しさえすれば、それらを担体分子とし
て使用することは可能であり、そのような化合物には、
たとえば、B2ミクログロブリン、ヘモシアニン、免疫
グロブリン、毒素(コレラ毒素、破傷風毒素、ジフテリ
ア毒素その他)、多糖、リポ多糖、天然または合成ポリ
アデニル酸およびポリウリジル酸、ポリアラニンおよび
ポリリシンポリペプチド、または細胞膜成分、たとえば
ホルマリンまたはグルタルアルデヒド処理赤血球細胞膜
等をあげることができる。上記の不完全抗原の高分子担
体分子への結合方法は、不完全抗原中の特有なアミノ酸
配列部位が自由に利用可能のままであり、それゆえに特
異的な免疫応答を誘発しうる、すなわち特異的な抗体の
産生を誘導可能にするような方法であればよい。具体的
には、たとえば、(1) 不完全抗原中の特有なアミノ酸配
列部位ができるだけ外側になるような不完全抗原を選択
し、かつ(2) 選択された不完全抗原中の特有なアミノ酸
配列部位が高分子担体分子からできるだけ外側になるよ
うにする、ことが好ましい。不完全抗原の反応基が反応
性アミノ基の場合には、ジアルデヒド、たとえばグルタ
ルアルデヒドを用いて不完全抗原の反応基を高分子量担
体分子の反応性アミノ基の1つに結合させる。不完全抗
原の反応基が反応性SH基の場合には、酸化反応により
不完全抗原の反応基を高分子量担体分子の反応性SH基
の1つに結合させる。不完全抗原の反応基が反応性カル
ボキシル基の場合には、たとえばカルボジイミド、好ま
しくは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド塩酸塩を用いて不完全抗原の反応基
を高分子量担体分子の反応性アミノ基の1つに結合させ
る。具体的な例として、たとえば、Chem. Pharm. Bull.
31,(11), 4001-4007 (1983) に記載されるH.Hosodaら
による活性エステル法またはJ.Biol. Chem.,234, 1090-
1094 (1959) に記載されるB.F.Erlangerらによる混合酸
無水物法等により、反応性カルボキシル基を有する不完
全抗原を高分子量担体分子の反応性アミノ基に結合させ
ることにより製造することができる。
【0008】スペーサーを介して間接的に連結する場合
の用いられるスペーサーは、高分子量担体分子の自由に
利用可能な反応基の共有結合を形成し得る少なくとも1
種またはそれ以上の反応基を含む化合物である。たとえ
ば、2個から16個の間の架橋性炭素原子を含み、かつ
反応基として1個またはそれ以上の反応基、たとえばア
ミノ基、カルボキシル基、マレイミド基またはSH基等
を有する化合物をあげることができる。具体的には、一
般式 H2 N(CH2 )n COOH(nは2から16ま
での整数)が好ましいものとしてあげられる。スペーサ
ーの特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドへの連結
は、前記の不完全抗原の反応基を高分子量担体分子の反
応基の1つに結合させる方法と同様な方法を用いること
ができる。
【0009】〔哺乳動物の免疫感作化工程および本発明
抗体取得工程〕このようにして得られた複合体に対し
て、たとえば、マウス、ハムスター、モルモット、ニワ
トリ、ラット、ウサギ、イヌ等の哺乳動物を免疫するに
は、たとえば、J. ASSOC. OFF. ANAL. CHEM. 70(6) 102
5-1027 (1987) 等に記載されるW.H.Newsome 等の通常の
免疫感作の方法を用いて、たとえば、複合体の1回また
はそれ以上の投与により行われる。たとえば、7ないし
30日間隔で2または3回の投与等が好ましい。投与量
は1回につき、たとえば、複合体約0.05から2mg
程度を目安とする。投与経路は、皮下投与、皮内投与、
腹膜腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与等を選択するこ
とができるが、静脈内、腹膜腔内もしくは皮下に行われ
うる注射が好ましい投与形態である。さらに皮下注射と
腹膜腔内注射との組合せが特に好ましい。なおこの場
合、複合体は適当な緩衝液、たとえば完全フロイントア
ジュバンド(Aracel A,Bayol F, 結核死菌を混合したも
の)、RAS〔MPL(Monophosphoryl Lipid A)+TDM(Synt
hetic Trehalose Dicorynomycolate)+CWS(Cell Wall Sk
eleton) アジュバントシステム] 、水酸化アルミニウム
等の通常用いられるアジュバントの1種を含有するナト
リウム系リン酸緩衝液、生理食塩水等に溶解して用いら
れるが、投与経路や条件等によっては、上記のようなア
ジュバントを使用しないこともある。ここでアジュバン
トとは抗原とともに投与したとき、非特異的にその抗原
に対する免疫反応を増強する物質を意味する。そして、
上記の哺乳動物を 0.5ないし4ケ月間処置せずに放置し
た後、該哺乳動物の血清を耳静脈等から少量サンプリン
グし、抗体価を測定する。抗体価が上昇してきたら、状
況に応じて複合体の投与を適当回数実施する。たとえば
100μgないし1000μg、特に50μgないし5
00μgの複合体の投与量で1回ないし5回の投与が行
われる。最後の投与の2日間ないし2ケ月間後に免疫感
作した哺乳動物から通常の方法により血液を採取して、
該血液を、たとえば遠心分離、硫酸アンモニウムまたは
ポリエチレングリコールを用いることによる沈澱、ゲル
ろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィ
ー、アフィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラ
フィー等の通常の方法によって分離・精製することによ
り、ポリクローナル抗血清として本発明抗体を得ること
ができる。なお抗血清は、たとえば、56℃で30分間
処理することによって補体系の不活性化を実施してもよ
い。また、上記の免疫感作した哺乳動物から免疫適格B
細胞が単離され、該免疫適格B細胞が連続的に細胞分裂
し得る腫瘍細胞と融合され、生成する融合物が単離さ
れ、そして選択の後、所望の抗体を産生するハイブリド
ーマ細胞がクローン化され、そしてモノクローナル抗体
を製造するために該ハイブリドーマ細胞が試験管内また
は生体内で培養されることにより、高度の特異性および
親和性を有する本発明抗体も製造することができる。
【0010】本発明抗体は、活性型MAPキナーゼのサ
ブドメインVIIとサブドメインVIIIの間の特有な
アミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを直接またはスペー
サーを介して間接的に高分子量担体分子に結合せしめた
複合体を抗原として得られる抗体であって、(1) 特有な
アミノ酸配列が N- Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H2) -C で
ある、(2) 0.1%(w/v) SDS存在下では活性型MA
Pキナーゼと反応し、非存在下では実質的に反応しな
い、(3) 不活性型MAPキナーゼに対して、交差反応性
を実質的に示さない、ことを特徴としている新規な抗体
である。本発明抗体は、たとえば、アフリカツメガエル
等の両生類およびラット等の哺乳動物等の種々の生物由
来の活性型MAPキナーゼを認識するが、ここで「0.
1%(w/v) SDS存在下では活性型MAPキナーゼと反
応し、非存在下では実質的に反応しない」とは、水溶
液、生理食塩水、緩衝液または生体試料等の反応系中に
終濃度として0.1%(w/v) SDSを含む場合には、本
発明抗体は活性型MAPキナーゼを認識するが、一方、
SDSを含まない場合には、本発明抗体は活性型MAP
キナーゼを実質的に認識しないことを意味する。また
「不活性型MAPキナーゼに対して、交差反応性を実質
的に示さない」とは、目的とする活性型MAPキナーゼ
と異なるMAPキナーゼ、すなわち不活性型MAPキナ
ーゼに対して、交差反応性が約1/4未満、好ましくは
約1/20未満、そしてより好ましくは1/100未満
であるような選択的認識が実質的に可能であることを意
味する。ここで、交差反応性の程度は、たとえば活性型
MAPキナーゼを後述するイムノブロット法によって検
出することができる基質蛋白質濃度を1としたときに不
活性型MAPキナーゼが同方法によって検出されてくる
基質蛋白質濃度をCとすれば、1/Cのように決定され
る。
【0011】本発明抗体の利用としては、活性型MAP
キナーゼに作用させた本発明抗体または該抗体に対する
抗体を、それら抗体が有する標識によって検出すること
によって活性型MAPキナーゼを免疫学的に検出する方
法をあげることができる。具体的には、たとえば、イム
ノブロット法、免疫沈降による分離法、間接競合阻害法
(ELISA 法)、細胞または組織の免疫学的染色法等によ
って活性型MAPキナーゼを分析する方法をあげること
ができる。該分析方法は、簡便でかつ迅速に処理できる
精度の高い分析方法である。たとえば、以下の方法によ
って行うことができる。
【0012】I.イムノブロット法 固体支持材に結合される試料に存在する活性型MAPキ
ナーゼを本発明抗体(第1抗体)によって認識させ、そ
の抗体を検出する方法である。試料を結合させる固体支
持材としては、膜、シート、フィルター等の形状にされ
たニトロセルロースが一般的に使用されるが、試料の吸
着がよくかつその試料に存在する活性型MAPキナーゼ
の抗原性を消失させないものであれば特に制限はない。
ニトロセルロースを使用する場合、試料のニトロセルロ
ースへの結合は、たとえばリン酸緩衝生理食塩水等の適
当な緩衝液に試料を溶解して得られた溶液をニトロセル
ロース上にスポットすることで達成される。なお、定量
化のためのスポット量は、抗原である活性型MAPキナ
ーゼに対する本発明抗体(第1抗体)の量が過剰になる
ような量が望ましく、1μl/3mm角程度がよい。ま
た、試料に存在する活性型MAPキナーゼを本発明抗体
(第1抗体)によって認識させるためには、試料をあら
かじめ0.1%(w/v)SDS等で処理しておくかそれともニトロ
セルロースへの結合時に使用する緩衝液に0.1%(w/v)SDS
等を含ませて処理することが必要である。このようにし
てスポットされたニトロセルロースを約1分間から約2
4時間、適当な湿度条件下でインキュベートする。イン
キュベート後、スポットした部位以外への非特異的な吸
着を防止するために、試料を結合させた固体支持材を本
発明抗体(第1抗体)によって認識されない高分子量担
体分子、すなわち、前記の特有なアミノ酸配列を含む抗
原性ペプチドの完全抗原(免疫原)化工程において用い
ることができる高分子量担体分子のうちで、本発明抗体
(第1抗体)の製造において用いられない高分子量担体
分子(ヤギ、ウシ等の別種の動物の血清アルブミンやス
キムミルク)を含む溶液と約20分間から約24時間、
室温下でインキュベートすることによって該高分子量担
体分子で固体支持材の表面を覆う。インキュベート後、
得られた固体支持材をよく洗浄して遊離状態にある上記
の高分子量担体分子を除去する。このように調製された
固体支持材を本発明抗体(第1抗体)を含む調製液と混
合した後、約10分間から約3時間、振とうしながらイ
ンキュベートする。なお本発明抗体(第1抗体)を含む
調製液とは、本発明抗体(第1抗体)を遊離の状態で、
蒸留水、緩衝液、生理食塩水等の溶液中に存在しうる調
製液をいう。このようにして、試料に存在する活性型M
APキナーゼを本発明抗体(第1抗体)によって認識さ
せる。つぎに、その抗体を検出する方法について説明す
る。本発明抗体(第1抗体)が、たとえばペルオキシダ
ーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダ
ーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、炭
酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、リゾ
チーム、マレートデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−
ホスフェートデヒドロゲナーゼ等の酵素等で標識されて
いる場合には、インキュベート後、遊離の状態にある本
発明抗体(第1抗体)を洗浄によって除去してから、上
記の標識酵素の基質を作用させて、発色等で反応を測定
することによって本発明抗体(第1抗体)を検出するこ
とができる。たとえば、 ペルオキシダーゼで標識され
る場合には、基質として過酸化水素、発色試薬としてジ
アミノベンジジンまたはO−フェニレンジアミンを組み
合わせることにより褐色または黄色の発色を生じる。グ
ルコースオキシダーゼで標識される場合には、基質とし
て、たとえば2,2'−アシド−ジ−(3−エチルベンゾ
チアゾリン−6−スルホン酸(ABTS)等を用いる。
また、本発明抗体(第1抗体)を認識しかつ結合する酵
素等で標識された第2抗体を使用する場合には、インキ
ュベート後、遊離の状態にある本発明抗体(第1抗体)
を洗浄によって除去してから、第2抗体とインキュベー
トされる。この酵素等で標識された第2抗体としては、
たとえばペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、
β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、
グルコアミラーゼ、炭酸アンヒドラーゼ、アセチルコリ
ンエステラーゼ、リゾチーム、マレートデヒドロゲナー
ゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ等
の酵素を結合した第1抗体(本発明抗体)に対する抗体
をあげることができる。具体的な例としては、第1抗体
(本発明抗体)としてウサギ抗血清を使用する場合、第
2抗体としては、ペルオキシダーゼを結合した抗ウサギ
免疫グロブリン(IgG)ヤギ免疫グロブリン(Ig
G)を好ましくあげることができる。なお、該抗ウサギ
IgGヤギIgGは市販されており、容易に入手可能で
ある。第2抗体の検出としては、上記の標識された本発
明抗体(第1抗体)の場合と同様な方法をあげることが
できる。
【0013】II.免疫沈降による分離法 試料に存在する活性型MAPキナーゼを本発明抗体(第
1抗体)によって認識させ、その抗体と活性型MAPキ
ナーゼからなる免疫複合体を精製することによって試料
から活性型MAPキナーゼのみを分離し、分離した活性
型MAPキナーゼをゲル電気泳動法、酵素活性測定法、
イムノブロット法等の方法によって検出する方法に利用
する。まず、試料と活性型MAPキナーゼに対する本発
明抗体(第1抗体)を、たとえば、約1時間から約24
時間、4℃で攪拌しながら混合することによって免疫複
合体を形成させる。この際の試料と本発明抗体(第1抗
体)との混合比としては、たとえば1:8程度をあげる
ことができるが、試料に存在する活性型MAPキナーゼ
の量によって適宜増減される。なお、試料をあらかじめ
0.1%(w/v)SDS等で処理しておくことが必要である。つぎ
に形成された免疫複合体に、抗体に特異的に結合しかつ
抗体および抗体と結合している活性型MAPキナーゼを
溶液中から分離することができる2次試薬を添加し、こ
の混合物をインキュベートすることによって、免疫複合
体と2次試薬からなる複合体を形成させ、これを回収す
る。ここで2次試薬としては、たとえば、プロテイン
A,プロテインG等の抗体と結合する細菌細胞壁蛋白質
または抗免疫グロブリン抗体があげられる。なお、これ
ら2次試薬は不溶性の支持材に結合されたものを用いる
と免疫複合体と2次試薬からなる複合体の回収(遠心分
離、洗浄等)がきわめて容易である。不溶性の支持材
は、非常に広範囲のデザインを有し、そして使用に際し
て意図された特定の目的に応じて非常に異なる形状を有
することができる。たとえば、ビーズ、皿、球、プレー
ト、小型ロッド、セル、小型ボトル、小型チューブ、フ
ァイバー、ネット等をあげることができる。具体的な例
としては、アガロース等の多糖体(たとえば、セファロ
ース、バイオゲル等)からなるビーズや透明プラスチッ
ク材料、たとえばポリ塩化ビニルまたはポリスチレンか
らなるミクロタイタープレート、ポリスチレンおよびポ
リスチレンラテックスからなる小球、チューブまたはロ
ッド等が使用可能である。回収された複合体を加熱処理
等の操作によって活性型MAPキナーゼを遊離させても
よい。そして遊離の状態にあるまたは複合体のままの活
性型MAPキナーゼをゲル電気泳動法、酵素活性測定
法、イムノブロット法等の方法によって検出すればよ
い。
【0014】III.間接競合阻害法(ELISA 法) 基本的には、固体支持材に結合される抗原である特有な
アミノ酸配列を含む抗原性ペプチドと試料中に含まれる
活性型MAPキナーゼとの競合、たとえば固体支持材に
結合される抗原である特有なアミノ酸配列を含む抗原性
ペプチドと標識が施されている第2抗体によって認識さ
れる第1抗体の遊離抗原である活性型MAPキナーゼと
の競合に基づいている。これに関連して、固体支持材へ
の抗原である特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチド
の結合は直接、あるいはスペーサーおよび/または第1
抗体(すなわち、本発明抗体)によって認識されない高
分子量担体分子を介して起こり得る。ここで、第1抗体
(すなわち、本発明抗体)によって認識されない高分子
量担体分子とは、前記の特有なアミノ酸配列を含む抗原
性ペプチドの完全抗原(免疫原)化工程において用いる
ことができる高分子量担体分子のうちで、第1抗体の製
造において用いられない高分子量担体分子のことであ
る。これは本発明抗体がポリクローナルである場合に重
要である。また、抗原である特有なアミノ酸配列を含む
抗原性ペプチドをスペーサーおよび/または第1抗体に
よって認識されない高分子量担体を介して結合する場
合、これらの結合には、前記の特有なアミノ酸配列を含
む抗原性ペプチドの完全抗原(免疫原)化工程と同様な
方法または準ずる方法を用いることができる。抗原であ
る特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドの直接また
は間接的な結合に用いられる固体支持材としては、たと
えばミクロタイタープレートまたは試験管のプラスチッ
ク表面、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ガラスまたはプラスチック等からなるビーズ表面、
ろ紙、デキストラン、セルロースもしくはニトロセルロ
ースまたはその他の類似の材料の細片の表面等をあげる
ことができる。これらの固体支持材に、抗原である特有
なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを直接、あるいは
スペーサーおよび/または第1抗体(本発明抗体)によ
って認識されない高分子量担体分子を介して間接的に結
合する(以下、コーティングと記す。)には、たとえ
ば、あらかじめ、グルタルアルデヒドまたは臭化シアン
等を用いる通常の方法によって固体支持材の活性化を行
う。用いられるコーティング液としては、たとえば14
0mMの塩化ナトリウムを含む約10mMのリン酸緩衝
液(pH7.4)等をあげることができる。コーティン
グの条件として、たとえば抗原である特有なアミノ酸配
列を含む抗原性ペプチド、あるいはスペーサーおよび/
または第1抗体によって認識されない高分子量担体分子
を有する抗原である特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペ
プチドのコーティング液内の濃度は、たとえば抗原であ
る特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドとして、約
0.05μg/mlから約1μg/ml等を好ましくあげる
ことができる。またコーティング時間としては、たとえ
ば約6時間ないし24時間をあげることができる。な
お、上記の具体的な例としては、たとえば固体支持材と
してポリスチレン製の96穴ミクロタイタープレートを
使用して、第1抗体を産生させるための複合体(特有な
アミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを直接またはスペー
サーを介して間接的に高分子量担体分子に結合したも
の)に用いられる高分子量担体分子としてウシ等の動物
の血清アルブミンまたはキーホールカサガイヘモシアニ
ンを使用し、また特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプ
チドを固体支持材に間接的に結合する際に用いられる高
分子量担体分子として第1抗体によって認識されない高
分子量担体分子であるヤギ等の別種の動物の血清アルブ
ミンを使用することをあげることができる。このように
して得られる固体支持材に直接または間接的に結合する
特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドは次に、試料
中に含まれる検出すべき抗原である活性型MAPキナー
ゼおよび第1抗体(本発明抗体)を含有する試験溶液と
混合され、該混合物はインキュベートされる。なお、試
料中に含まれる検出すべき抗原である活性型MAPキナ
ーゼは、この際に遊離の形態で、水溶液、生理食塩水、
緩衝液または生体試料等の成分として存在し得る。約1
0分間ないし約2時間のインキュベート後に、混合物は
第1抗体(本発明抗体)を認識し、そして結合する酵素
等で標識された第2抗体とインキュベートされる。この
酵素等で標識された第2抗体としては、たとえばペルオ
キシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラク
トシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラー
ゼ、炭酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエステラー
ゼ、リゾチーム、マレートデヒドロゲナーゼ、グルコー
ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ等の酵素を結合
した第1抗体(本発明抗体)に対する抗体をあげること
ができる。具体的な例としては、第1抗体(本発明抗
体)としてウサギ抗血清を使用する場合、第2抗体とし
ては、ペルオキシダーゼを結合した抗ウサギ免疫グロブ
リン(IgG)ヤギ免疫グロブリン(IgG)を好まし
くあげることができる。なお、該抗ウサギIgGヤギI
gGは市販されており、容易に入手可能である。 ペル
オキシダーゼで標識される場合には、基質として過酸化
水素、発色試薬としてジアミノベンジジンまたはO−フ
ェニレンジアミンを組み合わすことにより褐色または黄
色の発色を生じる。グルコースオキシダーゼで標識され
る場合には、基質として、たとえば2,2'−アシド−ジ
−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸(A
BTS)等を用いる。
【0015】また本発明は、活性型MAPキナーゼの免
疫学的検出・分析用キットを包含する。上記の試験キッ
トは、たとえば次の構成成分を含有し得る:(1) 活性型
MAPキナーゼのサブドメインVIIとサブドメインV
IIIの間の特有なアミノ酸配列を含む抗原性ペプチド
を直接、あるいはスペーサーおよび/または第1抗体
(本発明抗体)によって認識されない高分子量担体分子
を介して間接的に結合する固体支持材、(2) 本発明抗体
を含有する試薬、(3) 本発明抗体に対する標識された抗
体を含有する試薬、すなわち第1抗体(本発明抗体)を
認識し、そして結合する酵素等で標識された第2抗体を
含有する試薬。さらに補助的に、(4) 抗原である特有な
アミノ酸配列を含む抗原性ペプチドまたは活性型MAP
キナーゼの標準化溶液、(5) 緩衝液、(6) 非特異的吸着
および凝集体の形成を防止するポリペプチド、界面活性
剤等の添加剤、および(7) ピペット、反応容器、計算曲
線等を含めるとよい。上記の固体支持材は、非常に広範
囲のデザインを有し、そして使用に際して意図された特
定の目的に応じて非常に異なる形状を有することができ
る。たとえば、皿、球、プレート、小型ロッド、セル、
小型ボトル、小型チューブ、ファイバー、ネット等をあ
げることができる。具体的な例としては、透明プラスチ
ック材料、たとえばポリ塩化ビニルまたはポリスチレン
からなるミクロタイタープレート、ポリスチレンおよび
ポリスチレンラテックスからなる小球、チューブまたは
ロッド等が使用可能である。
【0016】IV. 細胞または組織の免疫学的染色法 固定された細胞または組織標本中に存在する活性型MA
Pキナーゼを本発明抗体(第1抗体)によって認識さ
せ、その抗体を検出する方法であり、細胞または組織中
の存在量、局在状態を調べるのに役立つ。調べたい細胞
または組織を固定し、光学顕微鏡または電子顕微鏡等の
観察が可能な標本を作製する。細胞または組織の固定に
使用する試薬は、顕微鏡下での観察に適したもので、か
つ抗原である活性型MAPキナーゼを認識する本発明抗
体の能力を消失させないものであれば特に制限はない
が、好ましくは3.7%ホルマリン液、100%メタノ
ール、100%エタノール、4%パラホルムアルデヒド
溶液、1%グルタールアルデヒド溶液等があげられる。
なお、固定された細胞または組織標本中に存在する活性
型MAPキナーゼを本発明抗体(第1抗体)によって認
識させるために、細胞または組織をあらかじめ0.1%(w/
v)SDS等で処理してもよい。そして固定された細胞また
は組織標本を約30分間から約24時間、4℃または室
温等でインキュベートすることによって、固定された細
胞または組織標本中に存在する活性型MAPキナーゼを
本発明抗体(第1抗体)によって認識させる。つぎに、
その抗体を検出する方法について説明する。本発明抗体
(第1抗体)が、たとえばペルオキシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコー
スオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、炭酸アンヒドラー
ゼ、アセチルコリンエステラーゼ、リゾチーム、マレー
トデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−ホスフェートデ
ヒドロゲナーゼ等の酵素等で標識されている場合には、
インキュベート後、遊離の状態にある本発明抗体(第1
抗体)を洗浄によって除去してから、上記の標識酵素の
基質を作用させて、発色等で反応を測定することによっ
て本発明抗体(第1抗体)を検出することができる。た
とえば、 ペルオキシダーゼで標識される場合には、基
質として過酸化水素、発色試薬としてジアミノベンジジ
ンまたはO−フェニレンジアミンを組み合わせることに
より褐色または黄色の発色を生じる。グルコースオキシ
ダーゼで標識される場合には、基質として、たとえば
2,2'−アシド−ジ−(3−エチルベンゾチアゾリン−
6−スルホン酸(ABTS)等を用いる。また、本発明
抗体(第1抗体)を認識しかつ結合する酵素等で標識さ
れた第2抗体を使用する場合には、インキュベート後、
遊離の状態にある本発明抗体(第1抗体)を洗浄によっ
て除去してから、第2抗体とインキュベートされる。こ
の酵素等で標識された第2抗体としては、たとえばペル
オキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラ
クトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラ
ーゼ、炭酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエステラー
ゼ、リゾチーム、マレートデヒドロゲナーゼ、グルコー
ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ等の酵素を結合
した第1抗体(本発明抗体)に対する抗体をあげること
ができる。具体的な例としては、第1抗体(本発明抗
体)としてウサギ抗血清を使用する場合、第2抗体とし
ては、ペルオキシダーゼを結合した抗ウサギ免疫グロブ
リン(IgG)ヤギ免疫グロブリン(IgG)を好まし
くあげることができる。なお、該抗ウサギIgGヤギI
gGは市販されており、容易に入手可能である。第2抗
体の検出としては、上記の標識された本発明抗体(第1
抗体)の場合と同様な方法をあげることができる。以
下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は下記
の実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0017】
【実施例】
製造例1 複合体の調製(その1:特有なアミノ酸配列
を含む抗原性ペプチドの完全抗原(免疫原)化工程) 下記のアミノ酸配列を有するペプチドを、そのアミノ酸
配列の順にアミノ酸を自動アミノ酸合成装置(アプライ
ドバイオシステム社製、403A型)を用いて重合する
ことによって30mg製造した。なお、純度はHPLC
による分析で95.5%であった。 N- Asp-His-Thr-Gly-Phe-Leu-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3H
2)-Val-Ala -C 製造されたペプチド(以下、本ペプチドと記す。)1
5.8mgおよびグルタルアルデヒド26.8mgを2.
0ml の0.2Mリン酸緩衝液(NaH2 PO4 −Na 2 HP
4 、pH8.0)に溶解し、25% グルタルアルデヒド30μl
を攪拌しながらゆっくり添加し10℃で一晩攪拌した。反
応終了後、水酸化シアノほう素ナトリウムを過剰量加え
て30分間還元した。次に、この混合液を透析チューブ
(三光純薬製)に入れ、8Mウレアに対して室温で5 時
間、流水に対して10℃で一晩、蒸留水に対して5 時間透
析(透析中、3 回の新しい蒸留水に交換)した。透析
後、該混合液を凍結乾燥することにより、KLH複合体
を得た。
【0018】製造例2 複合体の調製(その2:固体支
持材に間接的に結合される抗原への高分子量担体分子の
連結) キーホールカサガイヘモシアニン(KLH)の代りにウ
シ血清アルブミン(BSA)を用いる以外は製造例2と
同様な方法に従い、BSA複合体を得る。
【0019】製造例3 哺乳動物の免疫感作化工程およ
び本発明抗体取得工程 製造例1によって得られたKLH複合体を1mg/mlの濃
度になるように生理食塩水に溶解した。この水溶液2ml
にあらかじめ42℃から43℃にインキュベートされた
RAS〔MPL(Monophosphoryl Lipid A)+TDM(Synthetic
Trehalose Dicorynomycolate)+CWS(Cell Wall Skeleto
n) アジュバントシステム〕(Sigma 社製)を40μl
を加え、よく混合した。得られた混合物をニュージーラ
ンドホワイト種ウサギ(雌、14週齢、平均2.4kg)
一羽あたり1mlの液量投与した。その内訳は、50μl
ずつ背部6ヶ所に皮内投与、200μlずつ各後ろ足に
筋肉内投与、100μlずつ背部3ヶ所に皮下投与であ
った。その後、4週間後、8週間後に再度初回と同様に
投与を行った。この間ウサギの耳静脈から少量の血液を
サンプリングし、抗体価を測定した。3回目の投与後に
抗体価が上昇したため、3回目投与の約3週間後から3
ないし4日間隔で4回、上記の混合物を100μlずつ
耳静脈内投与した。最後の投与の5日後に免疫感作した
供試ウサギの心臓から全採血し、得られた血液をセパラ
ピットチューブ(積水化学社製)に入れ、37℃で2時
間インキュベートした後、遠心分離(3000rpm 、20min
、室温)して上清を回収することにより、抗血清を得
た。さらに得られた抗血清を56℃で30分間処理し、
補体系の不活性化を行った。これを(第1)抗体として
下記の試験に用いた。
【0020】試験例1 イムノブロット法による活性型
MAPキナーゼの分析 ほとんど全てのMAPキナーゼが活性化状態であるアフ
リカツメガエル未受精卵および逆にほとんど全てのMA
Pキナーゼが不活性化状態であるアフリカツメガエル未
成熟卵、ならびに上皮細胞増殖因子によって刺激された
ラット由来3Y1細胞株および何らの刺激も与えていな
いラット由来3Y1細胞株の4種類の細胞を用いて活性
型MAPキナーゼの分析を行った。アフリカツメガエル
未受精卵からの抽出液は、以下の方法によって調製され
た。アフリカツメガエルの雌にゴナドトロピン(帝国臓
器社製)を300IU/匹の割合で注射し、22℃で1
2時間飼育した後、未受精卵を取り出した。取り出され
た未受精卵のゼリー層を2%(w/v) システイン塩酸塩(p
H7.8) で除去し、抽出バッファー(組成:60mMβ−グリセ
ロリン 酸,20mM Tris-HCl(pH7.5),10mM EGTA,10mM MgCl2,2
mMジチオスレイトール,1mM Na3VO4 ,1mM フェニルメチルスルホニルフルオライド,2
0 μg/ml アプロチニン)を未受精卵の体積の2倍量加えた。
この混合物を氷冷しながらホモジナイズし、遠心分離
(200,000xg,20min,4 ℃)後、上清を未受精卵抽出液と
して採取した。次に、アフリカツメガエル未成熟卵から
の抽出液は、以下の方法によって調製された。アフリカ
ツメガエルの雌から卵巣を摘出し、1mg/mlのコラゲナー
ゼを含むMBS-Ca2 + 〔組成:88mM NaCl,1mM KCl,2.4mM
NaHC03,0.82mM MgSO4,15mM Tris-HCl(pH7.6)〕で23℃、
2 時間インキュベートし、ステージVI(未成熟卵)の卵
〔卵の中で最も大きいもので、最も動物極側(黒)に近
い植物極側(クリーム)の色が白化している状態の卵〕
を肉眼で選び出した後、抽出バッファー(組成:60mMβ
−グリセロリン 酸,20mM Tris-HCl(pH7.5),10mM EGTA,10mM M
gCl2,2mMジチオスレイトール,1mM Na3VO4,1mM フェニルメチルスルホニルフルオ
ライド,20μg/ml アプロチニン)を未成熟卵の体積の2倍量加
えた。この混合物を氷冷しながらホモジナイズし、遠心
分離(200,000xg,20min,4 ℃)後、上清を未成熟卵抽出
液として採取した。次に、ラット由来3Y1細胞株から
の抽出液は、以下の方法によって調製された。直径10
cmシャーレにラット由来3Y1細胞を10%(v/v) の
牛胎児血清を含むダルベッコMEM 培地(日水製薬社製)
上、37℃でコンフルエントまで培養し、さらに血清を
含まないダルベッコMEM 培地(日水製薬社製)で2日
間、37℃で培養することによって細胞をG0/G1 期に
同調させた。この状態で上皮細胞増殖因子(EGF)
(Collaborative 社製)を30nM添加し、37℃で5
分間処理する刺激を与えた。上皮細胞増殖因子(EG
F)によって刺激されたラット由来3Y1細胞および何
らの刺激も与えていないラット由来3Y1細胞はそれぞ
れ氷冷したHEPES バッファー(pH 7.3)で1回洗浄し、40
0 μl の抽出バッファー〔組成:20mMβ−グリセロリン 酸,1
5mM Tris-HCl(pH7.7),350mM Sucrose,10mMメタビスルフェイト,5
mM KCl,5mM EGTA,5mM MgCl2,0.1mM EDTA,6mMジチオスレイトー
ル,1mM Na3VO4,1mM フェニルメチルスルホニルフルオライド,20 μg/ml ア
プロチニン〕を加えて細胞をゴムべらでかきとり、ホモジナ
イズした。得られたホモジナイズ液を遠心分離(5000x
g,5min,4 ℃)し、回収された上清をさらに遠心分離(5
00,000xg,20min,4 ℃)した。遠心分離後、上清を3Y
1細胞抽出液として回収した。調製された抽出液100
μgを10%(w/v) ポリアクリルアミドゲルを用いる電
気泳動(30mA,1時間)によってゲル上においてMAPキ
ナーゼと他の蛋白質とを分離した。このゲルにIMMOBILO
N 膜(5x5cm,ミリポア社製)を重ね、TransferBuffer
[組成:24mM Tris,192mM グリシン,0.1%(w/v)SDS+20%(v/v)
メタノール〕中に浸した状態でSemi-transfer 装置(1mA/cm
2、90分間;Biocraft社製,BE-300 型)を用いてMA
Pキナーゼと他の蛋白質をIMMOBILON 膜に移動させた。
つぎに得られたIMMOBILON 膜をTween20 を含む TBS溶液
〔組成:0.05%(V/V)Tween20+20mM Tris-HCl(pH7.5),500
mM NaCl 〕で軽く洗浄した後、ブロッキングのためにス
キムミルク(森永乳業社製)を含むTBS 溶液〔組成:3
%(w/v) スキムミルク+20mMTris-HCl(pH7.5),500mM NaC
l〕で1時間、室温下でインキュベートした。ブロッキ
ング処理後のIMMOBILON 膜をTween20 を含む TBS溶液
〔組成:0.1%(V/V)Tween20+20mM Tris-HCl(pH7.5),500m
M NaCl〕で軽く洗浄した後、BSA を含むTBS 溶液〔組
成:1%(w/v)BSA +20mM Tris-HCl(pH7.5),500mM NaCl
〕で200倍に希釈された第1抗体調製液(実施例3
で得られた抗血清を用いて調製された)1ml中に10時
間、4℃で浸した。第1抗体処理後のIMMOBILON 膜をTw
een20 を含むTBS 溶液〔組成:0.1%(V/V)Tween20+20mM
Tris-HCl(pH7.5),500mM NaCl〕で10分間ずつ3回洗浄
した後、スキムミルク(森永乳業社製)を含むTBS 溶液
〔組成:3%(w/v) スキムミルク+20mM Tris-HCl(pH7.
5),500mM NaCl〕で5000倍に希釈されたペルオキシ
ダーゼ(HRP) を結合したロバ抗ウサギ免疫グロブリン
(IgG、アマシャム社製)溶液(第2抗体調製液)2
0ml中に30分間、室温下で浸した。第2抗体処理後のIM
MOBILON 膜をTween20 を含む TBS溶液〔組成:0.1%(V/
V)Tween20+20mM Tris-HCl(pH7.5),500mM NaCl〕で15
分間で1回、5分間ずつ4回洗浄した後、ECL 発色キッ
ト(アマシャム社製)を用いて、IMMOBILON 膜中に残存
した第1抗体を発色反応で検出した。その結果、アフリ
カツメガエル未受精卵および上皮細胞増殖因子によって
刺激されたラット由来3Y1細胞株から調製された抽出
液を試料とした場合には、第2抗体の標識による発色反
応が認められが、一方、アフリカツメガエル未成熟卵お
よび何らの刺激も与えていないラット由来3Y1細胞株
から調製された抽出液を試料とした場合には、第2抗体
の標識による発色反応が全く認められなかった。以上よ
り、本発明抗体は活性型MAPキナーゼのみを認識し、
不活性型MAPキナーゼに対して交差反応性を実質的に
示さないことが明らかになった。さらに本発明抗体は両
生類、哺乳動物由来の活性型MAPキナーゼに対して動
物種を越えて同様に反応することもわかった。結果を模
式図として表わす(図1参照)。また、アフリカツメガ
エルのMAPキナーゼは1種類であり、ラットのMAP
キナーゼは2種類であるが、レーンBでは1本、レーン
Dでは2本のバンド(活性型MAPキナーゼ)がそれぞ
れ認められた。結果を模式図として表わす(図1参
照)。さらに、実施例3によって得られた本発明抗体に
関して、その不活性型MAPキナーゼに対する交差反応
性の程度を検討した。交差反応性の程度は、活性型MA
Pキナーゼを上記のイムノブロット法によって検出する
ことができる基質蛋白質濃度を1としたときに不活性型
MAPキナーゼが同方法によって検出されてくる基質蛋
白質濃度をCとすれば、1/Cのように決定された。そ
の結果、実施例3によって得られた本発明抗体は、1/
100未満である選択的認識が可能であった。結果を模
式図として表わす(図2参照)。
【0021】試験例2 本発明抗体を用いた免疫沈降法
による活性型MAPキナーゼの分析 ほとんど全てのMAPキナーゼが活性化状態であるアフ
リカツメガエル未受精卵または逆にほとんど全てのMA
Pキナーゼが不活性化状態であるアフリカツメガエル未
成熟卵からの抽出液を試験例1と同様な方法によって調
製した。調製した抽出液40μl、第1抗体(実施例3
で得られた抗血清)5μl、プロテインAセファロース
6MB溶液(Pharmacia Fine Chem.社製) 5μlおよび
1%(w/v) のSDS水溶液5.5μlを混合し、該混合
物を4℃で1.5時間インキュベートした。処理後の混
合物にTween40 を含む TBS溶液〔組成:0.1%(V/V)Twee
n40+20mM Tris-HCl(pH7.5),500mM NaCl 〕1mlを加え混
合した後、遠心分離(5000rpm 、2min、4 ℃)して沈澱
を回収した。回収された沈澱を終濃度としてTween40 を
含む TBS溶液〔組成:0.1%(V/V)Tween40+20mM Tris-HC
l(pH7.5),500mM NaCl 〕1mlで2回洗浄した。洗浄され
た沈澱にローディングバッファー(Tris-SDS-BME Separ
asol,EnproTech社製, 第一化学薬品)10μlを添加
し、これを加熱処理(90℃、3分間)することによ
り、第1抗体とともに免疫沈降した活性型MAPキナー
ゼを遊離させた。このようにして活性型MAPキナーゼ
のみを分離・抽出する操作を行った。上記操作によって
得られたおのおのの溶液または上記操作をすることなく
調製された抽出液10μlを、ミエリン塩基性蛋白質を
0.5mg/ml含む10%(w/v) ポリアクリルアミドゲルを用
いる電気泳動(30mV,1時間)によってゲル上にお
いてMAPキナーゼと他の蛋白質とを分離した。このゲ
ルを20%(w/v) 2−プロパノール/50mM Tris-HCl(pH
8.0)溶液50ml中に1時間、室温下で浸しながら振とう
した(30分間につき1回洗浄液を交換)。そして洗浄
のためにAバッファー〔組成:5mMメルカプトエタノー
ル/50mM Tris-HCl(pH8.0)〕50ml中に1時間、室温
下で浸しながら振とうした(30分間につき1回洗浄液
を交換)。つぎに洗浄後のゲルを6Mグアニジン塩酸を
含むAバッファー50ml中に室温下1時間振とうし、さ
らに0.04%(V/V)Tween40 を含むAバッファー50ml中に
4℃で14時間静置した(途中、4回の新しい洗浄液に
交換)。最後にBバッファー〔組成:0.1mM EGTA〔エチ
レングリコールビス( β- アミノエチルエーテル)-N,
N,N',N'- 四酢酸〕、15mM MgCl2、2mM DTT(ジチオスレ
イトール) 、40mM HEPES〔N−(2−ヒドロキシエチ
ル)ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸〕-NaOH
(pH8.0)〕50ml中に室温下30分間浸しながら振とう
した。このように処理されたゲルを25μM ATP、
25μCi[ γ-32 P] ATPを含むBバッファー15
ml中に室温下1時間浸した後、5%(v/v) トリクロロ酢
酸/1%(v/v) ピロリン酸ナトリウム溶液250mlで一
晩充分に洗浄した(途中、4回の新しい洗浄液に交
換)。つぎに上記のように調製されたゲルに含まれるミ
エリン塩基性蛋白質のリン酸化量をイメージアナライザ
ー(富士写真フィルム社製、Fujix BAS2000)によって測
定し、この測定値から活性型MAPキナーゼの量を定量
した。その結果、アフリカツメガエル未受精卵または未
成熟卵からの抽出液をそのまま電気泳動した場合には、
MAPキナーゼ以外の蛋白質によるミエリン塩基性蛋白
質のリン酸化が認められた。一方、アフリカツメガエル
未受精卵からの抽出液を本発明抗体を用いて免疫沈降さ
せた溶液を電気泳動した場合には、MAPキナーゼ以外
の蛋白質によるミエリン塩基性蛋白質のリン酸化は認め
られなかった。また、アフリカツメガエル未成熟卵から
の抽出液を本発明抗体を用いて免疫沈降させた溶液を電
気泳動した場合には、ミエリン塩基性蛋白質のリン酸化
は認められなかった(図3参照)。
【0022】さらに、上記のように調製された、アフリ
カツメガエル未受精卵または未成熟卵からの抽出液を本
発明抗体を用いて免疫沈降させた溶液を試料として、か
つ「第1抗体調製液(実施例3で得られた抗血清を用い
て調製された)」の代わりに「活性型および不活性型M
APキナーゼの両者に反応する抗血清」を用いて試験例
1記載のイムノブロット法に準じて活性型MAPキナー
ゼの分析を行った。その結果、未受精卵からの抽出液を
本発明抗体を用いて免疫沈降させた溶液を試料とした場
合には、第2抗体の標識による発色反応が認められが、
一方、未成熟卵からの抽出液を本発明抗体を用いて免疫
沈降させた溶液を試料とした場合には、第2抗体の標識
による発色反応が全く認められなかった。したがって、
本発明抗体は活性型MAPキナーゼのみを認識し、活性
型MAPキナーゼを特異的に分離(免疫沈降による)す
ることも確認された。
【0023】試験例3 間接競合阻害法による活性型M
APキナーゼの分析(その1) ポリスチレン製の96穴ミクロタイタープレートに、製
造例2によって得られるBSA複合体を1〜10μg/
mlの濃度で含むコーティング液〔塩化ナトリウムを14
0mg/lの濃度で含む10mMのリン酸緩衝液(NaH2
PO4 −Na2HPO4 、pH7.4)〕を 0.1ml/ウェル
の割合で添加した後、4℃で一晩インキュベートする。
そしてコーティング液を除去した後、BSA複合体によ
ってコーティングされたミクロタイタープレートを10
mMのリン酸緩衝液(NaH2 PO 4 −Na2 HPO4
pH7.4)中に浸すことにより1回洗浄し、4℃下で該ミ
クロタイタープレートの上面を下にしてペーパータオル
上で軽く打ちつけることによりプレート内の水分を除去
する。次に、該ミクロタイタープレートに1%(w/v)のウ
シ血清アルブミンを 0.1ml/ウェルの割合で添加した
後、室温で1時間インキュベートする。そして再び4℃
で保存されたミクロタイタープレートは0.05%(w/v) の
Tween20を含む10mMのリン酸緩衝液(NaH2 PO
4 −Na2 HPO4 、pH7.4)を用いて3回洗浄する。
次に、製造例3によって得られた第1抗体を、 0.5mg/
mlの濃度でウシ血清アルブミンを含む10mMのリン酸緩
衝液(NaH2 PO4 −Na2 HPO4 、pH7.4)で1
0ないし108 倍希釈した第1抗体調製液を上記のミク
ロタイタープレートに 0.1ml/ウェルの割合で添加した
後、室温で2時間インキュベートする。そして第1抗体
調製液を除去した後、0.05%(w/v) の Tween20を含む
10mMのリン酸緩衝液(NaH2 PO4 −Na2 HPO
4 、pH7.4)を用いて3回洗浄する。次に、市販のペル
オキシダーゼ標識抗ウサギ免疫グロブリン(IgG)ヤ
ギ免疫グロブリン(IgG)〔生化学工業社製〕を、
0.5mg/mlの濃度でウシ血清アルブミンを含む10mMの
リン酸緩衝液(NaH2 PO4 −Na2 HPO4 、pH
7.4)で5000倍に希釈した第2抗体調製液を上記のミ
クロタイタープレートに、 0.1ml/ウェルの割合で添加
した後、室温で2時間インキュベートする。そして第2
抗体調製液を除去した後、0.05%(w/v) の Tween20を
含む10mMのリン酸緩衝液(NaH2 PO4 −Na2
PO4 、pH7.4)を用いて3回洗浄し、4℃下で該ミク
ロタイタープレートの上面を下にしてペーパータオル上
で軽く打ちつけることによりプレート内の水分を除去す
る。次に、0.32μg/mlの濃度でo−フェニレンジアミ
ンおよび0.01%(v/v) の濃度で過酸化水素を含む 0.5M
のクエン酸ナトリウム水溶液を使用直前に調製し、該試
薬および0.15Mのリン酸緩衝液(NaH2 PO4 −Na
2 HPO4 、pH6.0)を上記のミクロタイタープレート
に各々、 0.1ml/ウェルの割合で添加した後、該ミクロ
タイタープレートをアルミホイールで被覆し、室温で3
0分間インキュベートする。そして4Nの硫酸 0.05ml
を加えることにより、酵素反応を停止し、ミクロタイタ
ープレート内の発色をマルチスキャニングスペクトロフ
ォトメーター(日立製作所社製)を用いて、492nmで
の吸光度を測定する。
【0024】試験例4 間接競合阻害法による活性型M
APキナーゼの分析(その2) 製造例3によって得られた第1抗体を、10mg/mlの濃
度でウシ血清アルブミンを含む10mMのリン酸緩衝液
(NaH2 PO4 −Na2 HPO4 、pH7.4)で10倍
希釈系列を調製する。一方、製造例1によって得られる
KLH複合体を、10mg/mlの濃度でウシ血清アルブミ
ンを含む10mMのリン酸緩衝液(NaH2PO4 −Na
2 HPO4 、pH7.4)で対応する10倍希釈系列を調製
する(標準化溶液)。前者の第1抗体調製液と後者のK
LH複合体調製液(標準化溶液)混合し、約20℃で一
晩インキュベートする。次に、BSA複合体によってコ
ーティングされたミクロタイタープレートに、上記の反
応液を 0.1ml/ウェルの割合で添加した後、20℃で1
時間インキュベートする。そして反応液を除去した後、
0.05%(v/v) の Tween20を含む10mMのリン酸緩衝液
(NaH2 PO4 −Na2 HPO4 、pH7.4)を用いて
3回洗浄する。以下の操作(たとえば、第2抗体との反
応、標識酵素による発色反応等)は試験例3と同様に行
い、KLH複合体の定量用検量線を作成する。
【0025】
【発明の効果】本発明抗体を利用することにより、簡便
でかつ迅速に処理できる精度の高い活性型MAPキナー
ゼの分析が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 イムノブロット法による活性型MAPキ
ナーゼの分析結果を示す模式図である。レーンAはアフ
リカツメガエル未成熟卵、レーンBはアフリカツメガエ
ル未受精卵、レーンCは何らの刺激も与えていないラッ
ト由来3Y1細胞株、レーンDは上皮細胞増殖因子によ
って刺激されたラット由来3Y1細胞株を試料とした。
レーンBおよびDでは、第2抗体の標識による発色反応
が認められたが、一方、レーンAおよびCでは、第2抗
体の標識による発色反応が全く認められなかった。ま
た、アフリカツメガエルのMAPキナーゼは1種類であ
り、ラットのMAPキナーゼは2種類であるが、レーン
Bでは1本、レーンDでは2本のバンド(活性型MAP
キナーゼ)がそれぞれ認められた。
【図2】 本発明抗体の不活性型MAPキナーゼに
対する交差反応性の程度を検討した結果を示す模式図で
ある。レーンAおよびBはアフリカツメガエル未受精卵
からの抽出液(それぞれ1/100,1/25量)、レ
ーンC、D、EおよびFはアフリカツメガエル未成熟卵
(それぞれ1/100,1/25,1/5,1量)を電
気泳動した場合である。レーンAおよびBでは、MAP
キナーゼのバンドが特異的に認められが、一方、レーン
C、D、EおよびFでは、MAPキナーゼのバンドが特
異的に認められなかった。
【図3】 本発明抗体を用いた免疫沈降法による活
性型MAPキナーゼの分析結果(イムノアッセイ法)を
示す図である。レーンAは、アフリカツメガエル未受精
卵からの抽出液をそのまま電気泳動した場合である。レ
ーンB〜Fは、アフリカツメガエル未受精卵からの抽出
液を本発明抗体を用いて免疫沈降させた溶液を電気泳動
した場合である。レーンAでは、MAPキナーゼおよび
それ以外の蛋白質によるミエリン塩基性蛋白質のリン酸
化がともに認められた。一方、レーンB〜Fでは、MA
Pキナーゼ以外の蛋白質によるミエリン塩基性蛋白質の
リン酸化は認められなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 16/40 BIOSIS/MEDLINE/WPID S(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性型MAPキナーゼのサブドメインVI
    IとサブドメインVIIIの間の特有なアミノ酸配列を
    含む抗原性ペプチドを直接またはスペーサーを介して間
    接的に高分子量担体分子に結合せしめた複合体を抗原と
    して製造された抗体であって、 (1)特有なアミノ酸配列がN-Thr(PO3H2)-Glu-Tyr(PO3
    H2)-Cである、 (2)0.1%(w/v)SDS存在下では活性型MAPキ
    ナーゼと反応し、非存在下では実質的に反応しない、 (3)不活性型MAPキナーゼに対して、交差反応性を
    実質的に示さない、 ことを特徴とする、活性型MAPキナーゼを認識する抗
    体。
  2. 【請求項2】活性型MAPキナーゼのサブドメインVI
    IとサブドメインVIIIの間の特有なアミノ酸配列を
    含む抗原性ペプチドを直接またはスペーサーを介して間
    接的に高分子量担体分子に結合せしめた複合体に対して
    哺乳動物を免疫した後、該哺乳動物から血液を採取し
    て、該血液から分離・精製することを特徴とする請求項
    1記載の抗体の製造方法。
  3. 【請求項3】活性型MAPキナーゼに作用させた請求項
    1記載の抗体または該抗体に対する抗体を、それら抗体
    が有する標識によって検出することを特徴とする活性型
    MAPキナーゼの免疫学的検出方法。
  4. 【請求項4】活性型MAPキナーゼのサブドメインVI
    IとサブドメインVIIIの間の特有なアミノ酸配列を
    含む抗原性ペプチドが直接、あるいはスペーサーおよび
    /または請求項1記載の抗体によって認識されない高分
    子量担体分子を介して間接的に結合されてなる固体支持
    材、請求項1記載の抗体を含有する試薬、および請求項
    1記載の抗体に対する標識された抗体を含有する試薬を
    含有することを特徴とする活性型MAPキナーゼの免疫
    学的検出・分析用キット。
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