JPH0892297A - μ−カルパイン80KサブユニットのN末端ペプチドに対する抗体及びこれを用いる免疫測定方法及び測定試薬 - Google Patents

μ−カルパイン80KサブユニットのN末端ペプチドに対する抗体及びこれを用いる免疫測定方法及び測定試薬

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JPH0892297A
JPH0892297A JP22612594A JP22612594A JPH0892297A JP H0892297 A JPH0892297 A JP H0892297A JP 22612594 A JP22612594 A JP 22612594A JP 22612594 A JP22612594 A JP 22612594A JP H0892297 A JPH0892297 A JP H0892297A
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calpain
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peptide
subunit
amino acid
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Mitoshi Kunimatsu
己歳 国松
Minoru Sasaki
實 佐々木
Hitoo Nishino
仁雄 西野
Yasuhiko Ozaki
康彦 尾崎
Yasuko Narita
靖子 成田
Zun Chiyuu Riyuu
ズン チュウ リュウ
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Daiichi Pure Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アセチル−Ser−Glu−Glu−Ile
−Ile−Thrからなるアミノ酸配列に対する抗体、
これを用いたμ−カルパイン80KサブユニットN末端
ペプチド及び前駆体μ−カルパインの測定法、並びに該
抗体を含有する試薬。 【効果】 この抗体はμ−カルパイン80Kサブユニッ
トN末端ペプチド及び前駆体μ−カルパインと反応し、
活性型カルパインと反応しないことから、これらを正確
に測定することにより、脳梗塞や心筋梗塞等の細胞障害
の状況を知り得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、μ−カルパイン80K
サブユニットN末端ペプチドに対し特異的に反応する抗
体、これを用いるμ−カルパイン80KサブユニットN
末端ペプチド及び前駆体μ−カルパインの測定方法並び
にこの測定方法に用いる試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞質内にはカルシウムによって活性化
されるシステインプロテアーゼとしてカルパインが存在
している。このカルパインには2種類の分子種が存在
し、活性化に必要なカルシウム濃度の要求性によって、
μ−カルパイン(カルパインI)とm−カルパイン(カ
ルパインII)のアイソザイムに区別されている。このカ
ルパインの分子状態は、さらに大サブユニットと小サブ
ユニットで形成され、大サブユニットは80Kの分子量
をもつ蛋白として知られている。この80Kサブユニッ
トがこの酵素の分子レベルでの機能の中心となってい
る。
【0003】一方、カルパインは通常不活性の前駆体で
存在するが、細胞内のカルシウム濃度が上昇すると活性
化され、基質となるミオシンなどの蛋白質の分解や構造
の崩壊を引き起こすことが報告されている。
【0004】カルパインの活性化の際には、80Kサブ
ユニットのN末端ペプチドが遊離することが報告されて
いる(国松ら、BBRC、164巻 1989年)。従
ってこのN末端ペプチドはカルパイン活性化のインジケ
ータとなる。さらにこのN末端ペプチドは白血球遊走活
性因子として、脳梗塞、心筋梗塞等の細胞障害・壊死の
発生、進展及び増悪の過程を良く反映する。
【0005】従って、生体中のμ−カルパイン80Kサ
ブユニットのN末端ペプチドを測定することにより、カ
ルパインの活性化状態を推測することができると共に、
上記の細胞障害等の程度を容易に知ることができる。さ
らに前駆体μ−カルパインの存在を確認することで細胞
の正常性を測定することができる。
【0006】従来、当該N末端ペプチドの遊離活性につ
いては、白血球を用いた遊走子活性を測定する方法があ
った。しかし、この方法は間接的な方法であるため、他
の生体成分の影響が不可避である上、白血球の調製が煩
雑であり、高価な機器が必要で、さらに特殊な技術を要
するという欠点があった。
【0007】一方、当該N末端ペプチドを用いたカルパ
イン分子全体に対する抗体を用いるカルパインの免疫測
定方法が知られているが、この方法ではカルパイン分子
のどこを認識しているかが不明であり、N末端ペプチド
を認識し、その有無を特定することは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、μ−カルパイン80KサブユニットのN末端ペプチ
ドに特異的に反応してその存在を測定することができる
抗体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】斯かる実状に鑑み本発明
者らは鋭意研究を行った結果、μ−カルパインの80K
サブユニットN末端より6番目までのアミノ酸配列を有
するペプチドに対する抗体がμ−カルパイン80Kサブ
ユニットのN末端ペプチドに特異的に反応し、当該N末
端ペプチドを有さない活性型カルパインとは反応しない
ため、これを用いれば当該N末端ペプチド及び前駆体μ
−カルパインを正確に測定できることを見出し本発明を
完成した。
【0010】すなわち、本発明はアセチル−Ser−G
lu−Glu−Ile−Ile−Thrからなるアミノ
酸配列(配列番号1)を有するペプチドに対する抗体を
提供するものである。
【0011】また、本発明は被検試料に上記の抗体を加
えて免疫反応させることを特徴とするμ−カルパイン8
0KサブユニットのN末端ペプチド又は前駆体μ−カル
パインの測定方法を提供するものである。
【0012】さらに本発明は上記の抗体を含有するμ−
カルパイン80KサブユニットのN末端ペプチド又は前
駆体μ−カルパイン測定用試薬を提供するものである。
【0013】本発明の抗体は配列番号1に示すアミノ酸
配列を有するペプチドを認識し、これと反応する抗体で
あればポリクローナルでもモノクローナルでもよい。
【0014】本発明の抗体は、例えば配列番号1に示す
アミノ酸配列をその一部に含むペプチド(抗原ペプチ
ド)、好ましくは配列番号1に示すアミノ酸配列を有す
る6〜26アミノ酸残基を有するペプチドを動物に免疫
することにより得られる。かかる抗原ペプチドとして
は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチドの
うち、N末端から6番目以降26番目までのアミノ酸残
基の任意の部位で切断したペプチドが好ましく、特に配
列番号2で示される26アミノ酸残基を有するペプチド
が抗原性の点から特に好ましい。また、本発明抗体は、
配列番号1からなるアミノ酸配列を有するペプチドを認
識するので、これら抗原ペプチドのいずれとも反応する
ことはいうまでもない。
【0015】本発明の抗体の調製法は、目的とする抗体
がポリクローナル抗体かモノクローナル抗体かによって
異なる。ポリクローナル抗体の場合は、前記抗原ペプチ
ドを動物に免疫し、その動物の血液から抗血清を得るこ
とにより行われる。より具体的には、この抗原ペプチド
は単独では抗原性が弱いので、公知のキャリアー蛋白と
結合させて免疫源とするのが望ましい。例えば、キャリ
アー蛋白としてKEYHOLE LYMPET HEM
OCY AMIN(KLH)を用い、グルタールアルデ
ヒド法により抗原ペプチドに結合させ、免疫源とする。
詳細には、抗原ペプチド−KLH溶液を完全フロイント
アジュバントと1対1で混合乳化し、動物皮下に2週間
に1回投与し、2ケ月後静脈血を採取し、抗血清を得
る。免疫に用いる動物としては、一般によく使用される
ウサギを初めとしてヤギ、ラット、マウス、トリ、ウマ
などが挙げられる。
【0016】モノクローナル抗体の場合には、細胞融合
法、すなわち、抗原ペプチドで免疫された動物由来の免
疫担当細胞と骨髄腫細胞との細胞融合により得られた融
合細胞から採取される。より具体的には、抗原ペプチド
−KLH溶液を完全フロイントアジュバントと1対1で
混合乳化した混合物をマウスに投与して免疫し、マウス
脾臓細胞を採取する。このマウス脾臓細胞と、ミエロー
マ細胞とをポリエチレングリコール存在下にて融合し、
ハイブリドーマを得る。このハイブリドーマより、配列
番号1のアミノ酸配列を有するペプチドに対する抗体を
産生する細胞をスクリーニングし、この細胞を培養する
ことによって、本発明モノクローナル抗体を採取する。
【0017】なお、抗原ペプチドは、全自動ペプチド合
成機で化学合成できる。その精製は、例えば逆相カラム
を用いた高速液体クロマトグラフィーにより行うことが
できる。この合成ペプチドは、アミノ酸分析、プロテイ
ンシークエンサーより目的のペプチドであることを確認
できる。
【0018】得られた本発明抗体の抗体価の検定は、例
えばELISA法によって行われる。すなわち、0.2
μg/mlの配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチド
を含む0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)100μlを9
6穴マイクロプレートに加え、室温にて一晩放置するこ
とにより当該ペプチドをプレートに固相化する。これを
一次抗体として希釈した前記抗血清又はモノクローナル
抗体含有液と反応させた後、0.05%ツイーン20を
含有するPBSを加え、さらに二次抗体として1%カゼ
インを含むアルカリホスファターゼ標識抗ウサギIgG
抗体(バイオラッド社製)の3000倍希釈液を反応さ
せた後、0.05%ツイーン20を含むPBS及び0.
1Mトリス緩衝液(pH8.0)でそれぞれ洗浄後、パラ
ニトロフェニールリン酸を基質として加えて発色させ
る。さらに2N水酸化ナトリウム溶液を各穴に加えて反
応を停止し、405nmの吸光度を96穴マイクロプレー
トリーダーで測定し、抗体価の検定をすることができ
る。
【0019】前記のようにして得られた抗血清又はモノ
クローナル抗体含有液は、必要に応じ精製して用いるこ
とができる。精製には、例えば、硫安分画、イオン交換
クロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィー等の一
般的な精製法を用いてもよいし、さらに好適には、セフ
ァロース4Bに上記ペプチドを固定化したゲルカラムを
用いて、該ペプチド特異抗体を高度に精製することがで
きる。このようにして、本発明抗体を容易に多量に得る
ことができる。
【0020】以上のようにして得られた本発明抗体は、
μ−カルパイン80KサブユニットのN末端ペプチドと
反応し、このN末端ペプチドを有さない物質とは反応し
ない。すなわち、前駆体μ−カルパインとは反応する
が、活性型カルパインとは反応しない。従って、本発明
抗体を用いれば、生体試料中のμ−カルパイン80Kサ
ブユニットのN末端ペプチド又は前駆体μ−カルパイン
の正確な測定が可能である。
【0021】本発明のμ−カルパイン80Kサブユニッ
トのN末端ペプチド又は前駆体μ−カルパイン測定試薬
は、基本的に本発明抗体及び抗原抗体結合物の検出試薬
からなるが、好ましくは本発明抗体、標識二次抗体及び
当該標識の検出試薬の組み合せからなる。ここで標識と
しては酵素、同位元素のいずれも使用できる。より好ま
しい試薬としては、組織化学で用いられる代表的な酵素
免疫分析用の試薬、例えば、本発明抗体、ビオチン化二
次抗体、アビジン−ビオチン化ペルオキシダーゼ複合
体、過酸化水素、ジアミノベンチジンからなる測定用試
薬が挙げられる。
【0022】また、本発明抗体を用いるμ−カルパイン
80KサブユニットのN末端ペプチド又は前駆体カルパ
インの測定は、例えば、被検試料に、本発明抗体を加え
て免疫反応させることにより行われる。
【0023】被検試料としては、ヒト、ラット、マウ
ス、ウサギ等の動物の生検又は病理解剖で得られた心筋
あるいは脳組織、血液、血漿、血清、骨髄液、尿等を使
用することができる。免疫反応は、競合法、サンドイッ
チ法いずれでもよく、またその標識も酵素、同位元素の
いずれでもよい。
【0024】具体例としては、被検試料、例えば心筋組
織に本発明抗体を反応させ、次いで標識二次抗体を反応
させた後、標識検出試薬を反応させる方法が採用でき
る。ここで、二次抗体としては、ポリ抗IgG抗体、モ
ノクローナル抗IgG抗体、抗F(ab)′2抗体等が
挙げられる。標識とその検出試薬の組み合せとしては、
ビオチンとアビジン・ビオチン化ペルオキシダーゼ複合
体、過酸化水素、ジアミノベンチジン;ペルオキシダー
ゼとo−フェニレンジアミンと過酸化水素;アルカリフ
ォスファターゼとp−ニトロフェニルホスフェート;β
−ガラクトシダーゼとo−又はp−ニトロフェニル−β
−D−ガラクトシド等が挙げられる。
【0025】試料検体として心筋組織などの組織を用
い、活性型カルパインの存在部位の検出、すなわち心筋
梗塞巣の検出を行う場合にはビオチンとアビジン・ビオ
チン化ペルオキシダーゼ複合体、過酸化水素、ジアミノ
ベンチジンの組み合せが特に好ましい。
【0026】この方法は例えば次の如くして実施でき
る。すなわち、被検試料、例えば組織切片を常法によっ
て固定し、キシロールで脱パラフィンし、無水エタノー
ル、90%エタノール、70%エタノール、PBSに順
次浸してよく水になじませ、0.3%過酸化水素含有エ
タノール水溶液で内在性ペルオキシダーゼ活性を阻止し
た後、PBSで洗浄する。これに本発明抗体を4〜37
℃で、0.5〜2時間反応させ、PBSで洗浄する。こ
れを二次抗体としてのビオチン化二次抗体、例えばビオ
チン化抗ウサギIgG抗体と4〜37℃で、0.5〜2
時間反応させる。PBSで洗浄した後、同様に潤滑箱の
中でアビジン・ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体と4
〜37℃で、0.5〜2時間反応させ、PBSで洗浄す
る。次いで、これに過酸化水素を含むジアミノベンチジ
ン溶液を添加し、4〜37℃で、1〜10分間酵素反応
により発色させる。さらに流水で洗浄した後、ヘマトキ
シリンで核染色を施し、エタノールで脱水し、キシロー
ルで透徹した後封入し、組織内における抗原の局在を顕
微鏡で観察することによりμ−カルパイン80Kサブユ
ニットのN末端ペプチド又は前駆体μ−カルパインの存
在を測定することができる。
【0027】本発明の測定法においては、本発明抗体を
ビーズ、マイクロプレート、ラテックス、繊維等の担体
に固定化して用いることもできる。また、本発明抗体と
しては、精製した抗血清、抗血清より得たIgG、F
(ab)′2等の何れをも使用することができる。サン
ドイッチ法の酵素結合二次抗体としては、IgGでもよ
いが、F(ab)′2であればさらに好適であり、それ
らにペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等を
公知の方法にて結合させたものが使用できる。ペルオキ
シダーゼを結合させた場合、o−フェニレンジアミンと
過酸化水素とを作用させ、波長492nmにて吸光度を測
定することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明の抗体は、μ−カルパインが活性
化することによって遊離したμ−カルパイン80Kサブ
ユニットN末端ペプチド及び前駆体μ−カルパインと特
異的に反応し、活性型カルパインと反応しないことか
ら、これらを正確に測定できる。従ってμ−カルパイン
の活性化状態を推測することができ、脳梗塞や心筋梗塞
等の細胞障害の状況を知り得る。また生体中のN末端ペ
プチドを含む前駆体μ−カルパインの存在を測定するこ
とにより、細胞が正常であるか否かを診断することがで
きる。
【0029】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】実施例1(抗原の調製) 配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチドをグリシン
結合樹脂を用いた全自動ペプチド合成機(ミリジェン社
製)で合成し、逆相カラムを用いた高速液体クロマトグ
ラフィー(ウォーターズ社製)により精製した。合成ペ
プチドはアミノ酸分析により確認した。
【0031】実施例2(抗体の調製) 実施例1で得られたペプチドはキャリアーとしてKLH
を用い、グルタールアルデヒド法により結合させ、免疫
源とした。このカルパイン活性中心ペプチド−KLH溶
液を完全フロイントアジュバントと1対1で混合乳化
し、ウサギ皮下に2週間に1回投与し、2ケ月後静脈血
を採取し、抗血清を得た。
【0032】一方、精製用アフィニティーカラム、すな
わち10mlの臭化シアン活性化セファロース4Bと(フ
ァルマシア社製)と前記免疫源とを混合し、室温にて一
晩放置することによりペプチド抗原をゲルに固定化した
アフィニティーゲルをカラムに充填し、1M塩化ナトリ
ウム溶液、0.17Mグリシン−塩酸緩衝液pH7.3及
び10mMリン酸緩衝液−生理食塩水pH7.3(PBS)
のそれぞれ500mlにて洗浄したものを用い精製を行っ
た。
【0033】上記、アフィニティーゲルカラムを用い、
得られたウサギ抗血清50mlと室温で2時間反応させ
た。次いで、1M塩化ナトリウム溶液並びにPBSにて
未反応の成分を洗浄し除去した。280nmにて蛋白の溶
出位置をモニターしながら、0.17Mグリシン−塩酸
緩衝液pH2.5にて本発明抗体を溶出した。吸光度のピ
ーク分画をプールし、炭酸水素ナトリウム粉末を添加し
中和した。直ちに硫酸アンモニウムを加えて50%飽和
とした。4℃に2時間放置して得られた抗体を含む沈渣
を一万回転で遠心分離した後、一晩PBSに透析し、ア
フィニティー精製抗体を得た。
【0034】実施例3(抗体の特異性) 実施例2で得た抗体がカルパイン80KサブユニットN
末端ペプチドに特異的に反応するかどうかを検討した。
すなわち、2μg/mlのカルパイン80Kサブユニット
N末端ペプチド及びそのアナログペプチド、1mMのEG
TAを含む0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)100μl
を96穴マイクロプレート(ヌンク社製)に加え、室温
にて一晩放置することにより抗原をプレートに固相化し
た。一次抗体としてこの抗体の希釈液を加え反応させた
後、0.05%ツイーン20含有PBSで洗浄した。さ
らに二次抗体として1%カゼインを含むアルカリフォス
ファターゼ標識ウサギIgG抗体(バイオラッド社製)
の3000倍希釈液と反応させ、0.05%ツイーン2
0含有PBSと0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)でそれぞれ洗浄して、パラニトロフェニルリン酸を
基質として加え発色させた。2N水酸化ナトリウム溶液
を各穴に加えて反応を停止し、405nmの吸光度を96
穴マイクロプレートリーダーにて測定した。その結果、
カルパイン80KサブユニットN末端ペプチドと強く反
応することが認識された。また、そのアナログペプチド
(SerをProに代えたもの、アセチル−Serのな
いもの)には反応しなかった。すなわち、本抗体は、カ
ルパイン80KサブユニットN末端ペプチドに対して強
く反応することが証明された(図1)。
【0035】実施例4(ウエスタンブロット法による抗
体解析) 実施例2で得た抗体の性質をウエスタンブロット法によ
り解析した。すなわちヒトや動物の前駆体μ−カルパイ
ン、活性型カルパインをSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(バイオラッド社製)にかけ、PVDF膜
(バイオラッド社製)に電気的に転写し、一次抗体とし
て抗血清やアフィニティー精製抗体の希釈液を用い、二
次抗体として1%カゼインを含むアルカリフォスファタ
ーゼ標識抗ウサギIgG抗体(バイオラッド社製)の3
000倍希釈液と反応させた後、PBSと0.1Mトリ
ス緩衝液(pH8.0)でそれぞれ洗浄後、BCIP、N
BT(バイオラッド社製)を基質として加え発色させ
た。
【0036】その結果μ−カルパインの80Kサブユニ
ット(前駆体)の反応は強く、活性型カルパインには反
応性が見られなかった(図2)。
【0037】このことから、本発明の抗体は、ヒトμ−
カルパインの80Kサブユニットの前駆体、すなわちカ
ルパイン80Kサブユニット(由来)N末端ペプチド含
有体は認識するものの、N末端ペプチドが遊離した後の
活性型カルパインには反応せず、N末端ペプチド特異抗
体であることが判明した。
【0038】実施例5(免疫組織化学的組織染色による
抗体の特異性) 生検あるいは病理解剖で得られたヒト及び脳梗塞実験モ
デルのラット脳組織を冷アセトン(4℃)にて3日間浸
漬固定した。固定された組織をキシロールで透徹した
後、パラフィンに包埋し、ミクロトームで厚さ3μmに
薄切した。薄切された組織をスライドガラスに付着せし
め、免疫組織化学的染色を以下の手順で実施した。すな
わち薄切組織をキシロールで脱パラフィンし、無水エタ
ノール、90%エタノール、70%エタノール、PBS
に順次浸してよく水になじませた。0.3%過酸化水素
含有メタノール水溶液で内在性ペルオキシダーゼ活性を
阻止した後、PBSで洗浄した。次に湿潤箱の中で一次
抗体(実施例2におけるウサギ抗血清300倍希釈液、
又はアフィニティー精製抗体2μg/ml)と室温で1時
間反応させ、PBSで洗浄し、ビオチン化二次抗体(ビ
オチン化抗ウサギIgG抗体)と室温30分間反応させ
た。PBSで洗浄した後、同様に湿潤箱の中でアビジン
・ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体と室温で30分間
反応させ、PBSで洗浄した。過酸化水素含有ジアミノ
ベンチジン溶液で室温4分間発色させた。さらに流水で
洗浄した後、ヘマトキシリンで核染色を施し、エタノー
ルで脱水し、キシロールで透徹した後、封入し組織内に
おける抗原の局在を顕微鏡で観察した。
【0039】その結果、本発明抗体は、脳の正常神経細
胞をグリア細胞と明瞭に識別し、特に神経細胞核を強く
染色した。一方、脳梗塞巣は染色されなかった。
【0040】また上記反応で2μg/mlの一次抗体を予
め1μMのμ−カルパイン80KサブユニットN末端ペ
プチド(Ac−SEEII−TPVYCTGVSA)と
室温で1時間反応させた後に、同様な実験を行ったとこ
ろ、いずれの部位も染色されなかった。このことからカ
ルパイン80KサブユニットN末端ペプチド抗体は、カ
ルパイン由来N末端ペプチドを含むカルパインが存在す
る部位を特異的に染色する抗体であることが明らかであ
る。
【0041】
【配列表】
【0042】配列番号:1 配列の長さ:6 配列の形:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列 AcSer Glu Glu Ile Ile Thr 5
【0043】配列番号:2 配列の長さ:26 配列の形:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列 AcSer Glu Glu Ile Ile Thr Pro Val Tyr Cys Thr Gly Val Ser Ala Gln 1 5 10 15 Val Gln Lys Gln Arg Ala Arg Glu Leu Gly 20 25
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明抗体による種々のN末端ペプチドへの反
応性を示す図である。
【図2】ウエスタンブロットによる本発明抗体の特異性
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 康彦 愛知県名古屋市瑞穂区山下通5−10 (72)発明者 成田 靖子 愛知県名古屋市瑞穂区桃園町2−2−102 (72)発明者 リュウ ズン チュウ 愛知県名古屋市瑞穂区中根町3−46 みや ま荘東8号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセチル−Ser−Glu−Glu−I
    le−Ile−Thrからなるアミノ酸配列を有するペ
    プチドに対する抗体。
  2. 【請求項2】 前駆体μ−カルパインと反応し、活性型
    カルパインとは反応しないものである請求項1記載の抗
    体。
  3. 【請求項3】 アセチル−Ser−Glu−Glu−I
    le−Ile−Thrからなるアミノ酸配列を有する6
    〜26アミノ酸残基を有するペプチドを動物に免疫して
    得られるものである請求項1記載の抗体。
  4. 【請求項4】 被検試料に請求項1〜3のいずれかの項
    記載の抗体を加えて免疫反応させることを特徴とするμ
    −カルパイン80KサブユニットのN末端ペプチド又は
    前駆体μ−カルパインの測定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかの項記載の抗体
    を含有するμ−カルパイン80KサブユニットのN末端
    ペプチド又は前駆体μ−カルパイン測定用試薬。
JP22612594A 1994-09-21 1994-09-21 μ−カルパイン80KサブユニットのN末端ペプチドに対する抗体及びこれを用いる免疫測定方法及び測定試薬 Pending JPH0892297A (ja)

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JP2016515603A (ja) * 2013-04-03 2016-05-30 インムノテック・ソシエダッド・リミターダInmunotek, S.L. ワクチン接種における使用のための免疫原性複合体およびこれを得る方法
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