JP2569196B2 - 抗ヒト・slpi抗体およびヒト・slpiの免疫測定法 - Google Patents

抗ヒト・slpi抗体およびヒト・slpiの免疫測定法

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JP2569196B2 JP2081591A JP8159190A JP2569196B2 JP 2569196 B2 JP2569196 B2 JP 2569196B2 JP 2081591 A JP2081591 A JP 2081591A JP 8159190 A JP8159190 A JP 8159190A JP 2569196 B2 JP2569196 B2 JP 2569196B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、ヒト・SLPIのC末端ドメイン(Asn55−Ala
107)部分を特異的に認識する抗ヒト・SLPI抗体または
それと同様のフラグメント、及びこれらを用いたヒト・
SLPIまたはそのフラグメントの免疫学的測定方法等に関
する。
(ロ)従来技術 SLPI(Secretory Leukocyte Protease Inhibitor)
は、気管支粘液,唾液,精液,子宮頚部粘液,鼻汁など
の外分泌液に存在する低分子量プロテアーゼ・インヒビ
ターとして知られている。近年、耳下腺液より精製され
たインヒビター:SLPI構造が明らかとなり(R.C.Thompso
nら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,6692−6696,1986;特
表昭62−501291)、また精液より精製されたインヒビタ
ー:HUSI−I(Human Seminal Proteinase Inhibitor
I)の構造も同定され(U.Seemllerら、FEBS Lett.,19
9,43−48,1986)、いずれも同一物質で分子量約14,000
の107アミノ酸残基よりなる蛋白であることが明らかと
なった。またその構造上の特徴として、SLPIは2つのド
メインより構成され、N末端のドメイン(Ser1−Pr
o54)がトリプシン阻害活性を、C末端ドメイン(Asn55
−Ala107)がキモトリプシン,好中球エラスターゼ,カ
テプシンG阻害活性を担っていると推定された。
最近では、遺伝子工学手法によって、C末端ドメイン
ポリペプチド類が生産され、キモトリプシン阻害活性
(特開昭62−259591)及び好中球エラスターゼ阻害活性
(W089/06239,Bio/Technology,7,55−60,1989,Am.Rev.R
espir.Dis.,139,A201,1989)の存在が明らかとされつつ
ある。
ところで、炎症部位で活性化された好中球から放出さ
れる好中球エラスターゼによる自己組織損傷がクローズ
アップされているが、前述のようにSLPIは強力な好中球
エラスターゼ阻害活性を有するので、炎症部位において
SLPIが生理的なインヒビターとして機能している可能性
が高い。
このSLPIの測定に関しては、いくつかのグループがチ
ャレンジしている。K.Ohlssonら(Hoppe−Seyler′s Z.
Physiol.Chem.,362,1273−1277,(1981))は、ヒト・S
LPIに対するポリクローナル抗体を用いて、競合法によ
りラジオイムノアッセイを報告し、さらにその測定系を
用いて憎悪期の肺炎患者の血清中では健常人よりSLPIが
上昇することを報告している(Eur.J.Respir.Dis.,65,2
01(1984))。また、J.A.Krampsら(Am.Rev.Respir.Di
s.,129,959−963(1984))は、ヒト・SLPIに対するポ
リクローナル抗体を用いて、酸素標識抗体を作成し、サ
ンドイッチ法による測定系を報告し、気道感染症患者の
喀痰中での推移を測定している(Chest,89,731(198
6))。
これらの方法はいずれの方法も抗原として2つのドメ
インよりなるヒト・SLPI全分子を用いて取得した抗体を
用いて測定系を構築していることになる。
(ハ)発明が解決しようとする課題 しかしながら、従来の測定法はいくつかの問題点をか
かえている。すなわち、問題点の第1は、2つのドメイ
ンよりなるヒト・SLPIに対するポリクローナル抗体を用
いている点である。炎症症疾患においては、活性化され
た好中球から放出されるリソゾーム酵素である好中球エ
ラスターゼ,カテプシンGによる自己組織損傷が問題で
ある。したがってそれら酵素に対するインヒビターの測
定に際しては、阻害活性部位を有するSLPI分子種を正確
に測定する必要がある。SLPIに分子は分子内で切断を受
けた分子種が生理的にも存在することが報告されている
が(Pulmonary Emphysema and Proteolysis,p297(198
6)Academic Press Inc.)、従来の方法ではSLPI全分子
を測定しているため、例えば、好中球エラスターゼ阻害
活性を有するC末端ドメインあるいはその一部分を欠失
した分子種も検出されることになる。従って測定すべき
好中球エラスターゼ阻害活性を有している分子種の量を
正確に検出することが困難であろう推定され、従来の方
法ではヒト・SLPIの炎症疾患における生理的意義を正確
に反映しえないことになる。
従って、ヒト・SLPIの好中球エラスターゼ阻害活性を
任うC末端ドメインポリペプチドに対する特異性が高
く、より高感度で測定できる免疫学的測定法が望まれて
いた。
(ニ)課題を解決するための手段 そこで、本発明者らは、かかる従来技術の課題に鑑み
て、ヒト・SLPIのC末端ドメインポリペプチドを特異的
に認識する抗体を開発すべく鋭意検討した結果、ヒト・
SLPIのC末端ドメインのアミノ酸配列(Asn55−Al
a107)を有するペプチドを遺伝子工学手法を用いて合成
し(W089/06239)、これを抗原に用いることにより、ヒ
ト・SLPIのうち、C末端ドメインを有する分子種を特異
的に認識する抗体を提供することを可能とし本発明に到
達した。
すなわち本発明は下記式(I) NPTRRKPGKCPVTYGQCLMLNPPNFCEMDGQCKRDL KCCMGMCGKSCVSPVKA …(I) で表わされ、その分子中に存在すCysによって1〜4個
のジスルフィド結合を有し好中球エラスターゼ阻害活性
を有する、ヒト・SLPIのC末端ドメインポリペプチドを
特異的に認識する抗ヒト・SLPI抗体またはそのFab′若
しくはF(ab′)フラグメント、及び試料中のヒト・
SLPIまたはそのフラグメントの免疫学的測定方法におい
て、かかる抗ヒト・SLPI抗体またはそのFab′若しくは
F(ab′)フラグメントを用いることを特徴とするヒ
ト・SLPIまたはそのフラグメントの測定方法である。
ここで上記式(I)中、アルファベットはアミノ酸の
一文字略字を示し、Aはアラニン,Cはシステイン,Dはア
スパラギン酸,Eはグルタミン酸,Fはフェニルアラニン,G
はグリシン,Kはリジン,Lはロイシン,Mはメチオニン,Nは
アスパラギン,Pはプロリン,Qはグルタミン,Rはアルギニ
ン,Sはセリン,Tはスレオニン,Vはバリン,Yはチロシンを
それぞれ意味する。
本発明の抗ヒト・SLPI抗体は、前記式(I)で表わさ
れるヒト・SLPIのC末端ドメインポリペプチドを抗原と
して得られる。
かかるヒト・SLPIのC末端ドメインポリペプチドは、
天然に存在するヒト・SLPIを分離精製し、それを酵素分
解すること等によって得ることができる。あるいは、前
述の如き遺伝子工学的手法(WO89/06239)によって得る
こともできるが、前記式(I)で表わされるヒト・SLPI
のC末端ドメインポリペプチドである限り、その由来は
問わない。
本発明の抗ヒト・SLPI抗体は、上記のような抗原を用
いて得られるポリクローナル抗体及びモノクローナル抗
体である。
モノクローナル抗体は、ケーラーとミルシュタインに
よる細胞融合法(G.Khler and Milstein,Nature(Lon
don),256,495−497(1975))により作製されたハイ
ブリドーマを培養して分泌させ、その培養液から分離す
ることにより調製される。すなわち、前記式(I)で表
わされるヒト・SLPIのC末端ドメインポリペプチドでマ
ウスを免疫した後、このマウスのリンパ球をマウス・ミ
エローマ細胞と融合させハイブリドーマを作製し、得ら
れたハイブリドーマをクローニングし、このクローン化
ハイブリドーマから抗ヒト・SLPIモノクローナル抗体を
分離する。
ポリクローナル抗体は通常行われている方法、たとえ
ば「日本生化学会編,続生化学実験講座,5巻,1−10頁,
東京化学同人,1986」記載の方法によって得られる。
免疫動物としては、特に限定されるものではないが、
山羊,ウサギ,モルモット,ラット,ウマ,ニワトリあ
るいはマウス等が挙げられる。
本発明においては、抗体の入手容易性,測定感度の点
から、ポリクローナル抗体が好ましい。また免疫動物と
してウサギが好ましい。
本発明のFab′若しくはF(ab′)フラグメントと
は、抗ヒト・SLPI抗体の抗原結合活性と免疫学的測定法
において支障のない範囲で同程度の活性を有するFab′
若しくはF(ab′)フラグメントの意であり、かかる
Fab′若しくはF(ab′)フラグメントは、上述のよ
うにして得られたポリクローナル抗体またはモノクロー
ナル抗体を公知の方法、例えば該抗体をペプシンで消化
切断の後分離してF(ab′)フラグメントとなすか、
更にF(ab′)フラグメントを還元処理することによ
ってFab′フラグメントとなすことにより得られる(A.N
isonoff et al.,Arch.Biochem.Biophys.,89,230(196
0):P.Parham.,J.Immunol.,131,2895(1983)など)。
ところで、酵素阻害活性のうちでもポリペプチドに由
来する酵素阻害活性は、ポリペプチドの一時構造のみな
らずその高次構造も活性発現に必要な要件であることが
知られている。
従って、前記式(I)で表わされるヒト・SLPIのC末
端ドメインについても、その分子内に存在する複数のCy
sによって、分子内ジスルフィド結合し、その結果高次
構造を形成することが予想され、実際に本発明者らによ
ればスルホ化誘導体は分子内ジスルフィド結合したもの
に比べ、極めて弱いエラスターゼ阻害活性を有するにす
ぎなかったことが確認されている。
そこで、本発明の抗ヒト・SLPI抗体またはそれとFa
b′若しくはF(ab′)フラグメントとしては、抗原
として前記式(I)で表わされるヒト・SLPIのC末端ド
メインポリペプチドであって、そのスルホ化酸誘導体に
限定されず、分子内ジスルフィド結合してエラスターゼ
阻害活性を有するもの、あるいはヒト・SLPIのC末端ド
メインポリペプチドの部分ペプチドであってエラスター
ゼ阻害活性を有するものを用いて得られる抗体またはそ
れとFab′若しくはF(ab′)フラグメントも含まれ
る。なかでも本発明の抗ヒト・SLPI抗体またはそれとFa
b′若しくはF(ab′)フラグメントとしては、分子
内ジスルフィド結合によって高次構造を形成し、好中球
エラスターゼ阻害活性を有する抗原を用いて得られる抗
体等が炎症疾患等における測定意義の点から好ましい。
このようにして得られる本発明の抗ヒト・SLPI抗体等
のうちでも、ヒト・SLPIのC末端ドメインポリペプチド
でかつ分子内ジスルフィド結合による高次構造を認識す
るポリクローナル抗体は、ヒト・SLPIと同様に好中球エ
ラスターゼ阻害活性を有する血中インヒビターのα
プロテイナーゼインヒビター及びα−マクログロブリ
ンは認識せず、特異的にヒト・SLPIまたはそのフラグメ
ントを認識するので、以下に述べる本発明の1つである
ヒト・SLPIまたはそのフラグメントの測定方法は、特に
血液および血液が存在する検体を用いる測定において、
エラスターゼ阻害活性測定法に比べて、特異的にヒト・
SLPIまたはそのフラグメントを測定できる点で優れてい
る。
本発明においては、前述の抗ヒト・SLPI抗体またはそ
れとFab′若しくはF(ab′)フラグメント(以下、
「抗体等」と略す)を用いて、試料中に存在するヒト・
SLPIまたはそのフラグメントを免疫学的に測定する方法
が提供される。免疫学的測定方法としては、例えば「酵
素免疫測定法」(第2版、石川栄治他著、医学書院198
2)などに記載されているそれ自体公知の方法、競合
法、サンドイッチ法等を用いることができる。
これらのなかでも本発明の免疫学的測定方法として
は、サンドイッチ法が好ましい。
サンドイッチ法の場合には、本発明の抗体等(第1抗
体)を適当な不溶性担体(例えばプラスチック容器)に
固定化する(以下これを“固定化抗体”という)。不溶
性担体としては、例えばポリスチレン,ポリエチレン,
ポリプロピレン,ポリエステル,ポリアクリロニトリ
ル,弗素樹脂,架橋デキストラン,ポリサッカライドな
どの高分子、その他紙,ガラス,金属,アガロース及び
これらの組合せなどを例示することができる。
また不溶性担体の形状としては、例えばトレイ状,球
状,繊維状,棒状,盤状,容器状,セル,試験管などの
種々の形状であることができる。ついで不溶性担体と測
定しようとする試薬または検体試料との非特異的結合を
避けるために適当な物質(例えば牛血清アルブミン)で
不溶性担体の表面を被覆する。
このようにして得られた第1抗体が固定化された不溶
性担体を検体試料と、一定時間及び温度で接触させ反応
させる。この間に固相抗体(第1抗体)と検体試料中の
ヒト・SLPIが結合する。測定する検体試料としては、ヒ
ト血漿,血清をはじめ喀痰,唾液,鼻汁,精液,子宮粘
液,涙,尿,汗,便などの体液,組織ホモジネート,肺
胞洗浄液などの臓器洗浄液などが挙げられる。また、実
験動物由来の上記生体試料を検体試料として用いること
もでき、その場合には、本発明の免疫学的測定法は医薬
品開発における前臨床評価の測定系としても使用でき
る。
ついで適当な洗浄液で洗った後、適当な標識物質(例
えば酵素)で標識した本発明の抗体等(第2抗体)の溶
液(例えば1%BSA,0.1%スキムミルクを含有する水溶
液)を、不溶性担体における固相抗体に結合したヒト・
SLPIと一定時間及び温度で接触させ第2抗体と反応させ
る。これを適当な洗浄液で洗い、次いで不溶性担体上の
固相抗体とヒト・SLPIを介して結合して存在する第2抗
体に標識された標識物質の量を測定する。
洗浄液としては、各種界面活性剤、体液ないしはタン
パク液等を挙げることができる。例えばベタイン型,ス
ルホベタイン型,リン酸塩型の両性界面活性剤を好まし
く挙げることができる。好ましくはアンヒトール であ
り、洗浄液としてかかる界面活性剤を洗浄液中のその濃
度が1%(W/W)以下、例えばアンヒトール の場合0.0
5%含有せしめるのが好ましい。
ここで、標識抗体の標識物質としては、酵素,蛍光物
質,発光物質及び放射性物質等を使用するのが有利であ
る。酵素としては、ペルオキシダーゼ,アルカリフォス
ファターゼ,β−D−ガラクトシダーゼ、蛍光物質とし
てはフルオレッセインイソチオシアネート,フイコビリ
プロテイン等、発光物質としてはイソルシノール,ルシ
ゲニン等、そして放射性物質としては125I,131I,14C,3H
等を用いることができるが、これらは例示したものに限
らず、免疫学的測定法に使用し得るものであれば、他の
ものでも使用できる。
特に、標識物質が酵素である場合には、その活性を測
定するために基質、必要により発色剤が用いられる。
酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合には、基質
としてH2O2を用い、発色剤として2,2′−アジノジ−
[3−エチルベンズチアゾリンスルホン酸]アンモニウ
ム塩(ABTS),5−アミノサリチル酸,O−フェニレンジア
ミン,4−アミノアンチピリン,3,3′,5,5′−テトラメチ
ルベンジジン等、酵素にアルカリフォスファターゼを用
いる場合は基質としてO−ニトロフェニルフォスフェー
ト等、酵素にβ−D−ガラクトシダーゼを用いる場合は
基質としてフルオレセイン−ジ−(β−D−ガラクトピ
ラノシド),4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラ
クトピラノシド等を用いることができる。
なお上記反応は、固相抗体、標識抗体およびヒト・SL
PIを含有する検体試料を同時に混合し、一定時間及び温
度でこれら三者を同時に接触させて反応させることもで
きる。
かくしてその値から検体試料中のヒト・SLPIの量を算
出することができる。
以上はサンドイッチ法について述べたが、競合法にお
いても本発明の抗体またはそれと同時のフラグメントを
同様にして使用して検体試料中のヒト・SLPIの測定がで
きる。
また、本発明の抗体は、ヒト・SLPIのC末端ドメイン
ポリペプチドへの特異性が高いため、他の抗体との組
合せによって、従来報告されている抗ヒト・SLPIでは不
可能であった測定が可能となる。例えば組合せる抗体と
して、本発明と同様の手法で得られるヒト・SLPIのN末
端ドメインを認識する抗体を用いれば、試料中のヒト・
SLPIの分子種を選別定量できる。また、ヒト・SLPIのN
末端ドメインと複合体を形成するトリプシン様プロテア
ーゼ(例えば、膵トリプシン,トロンビン,プラスミ
ン,カリクレンなど)やC末端ドメインと複合体を形成
するキモトリプシン様プロテアーゼ(例えば、膵キモト
リプシン,膵エラスターゼ,好中球エラスターゼ,カテ
プシンG,キマーゼなど)の抗体を組合せることで、試料
中のヒト・SLPIと各プロテアーゼとの複合体の存在様式
を検出できる。
本発明のヒト・SLPIの免疫学的測定用の測定試薬は、
前述した固相抗体と、標識抗体とからなる。
また、本発明のヒト・SLPIの免疫学的測定用のキット
は、上記の測定試薬と、これら測定試薬を能率よく且つ
簡便に利用するための補助剤として、例えば固体状の試
薬または液状の検体を溶解させるための溶解剤、不溶性
担体の非特異的に結合した抗原,抗体を洗浄するために
使用される洗浄剤、及び酵素で標識化した抗体を用いる
場合には、酵素活性を測定するための基質及びその反応
停止剤、その他の免疫学的測定用のキットとして通常使
用されるものが挙げられる。
かくして得られる抗ヒト・SLPI・ポリクローナル抗体
及びそれとFab′若しくはF(ab′)フラグメント
は、免疫吸着剤として利用することによってヒト・SLPI
を精製することができる。例えば、本発明のポリクロー
ナル抗体をデキストランゲル,アガロースゲル,ポリビ
ニルゲル等の不溶性担体に結合させ、該ポリクローナル
抗体結合担体を免疫吸着剤として用い、カラムクロマト
グラフィーにより、ヒト・SLPIまたはそのフラグメント
であるペプチドを分離・精製することができる。不溶性
担体とポリクローナル抗体との結合は、通常の方法、例
えばブロムシアン法やエポキシ,アミノ,カルボキシ
ル、もしくはホリミル基等を介して結合させることがで
きる。このポリクローナル抗体結合担体を充填したカラ
ムに粗ヒト・SPL Iを添加し、カラムに吸着したヒト・S
LPIを通常の方法で溶出させることにより高純度のヒト
・SLPIが得られる。
また、本発明の抗ヒト・SLPI抗体、例えばポリクロー
ナル抗体は、直接標識するかあるいは標識した第2抗体
を用いて、免疫組織染色に使用できる。標識法として
は、蛍光物質,酵素,発光物質及び放射性物質等を使用
するのが有利である。
(ホ)発明の効果 本発明の抗体は、好中球エラスターゼ阻害活性を担う
ヒト・SLPIのC末端ドメインポリペプチドに対して特異
的に結合する抗体及びそれとFab′若しくはF(ab′)
フラグメントである。従って、この抗体等を用いるこ
とにより、炎症性疾患、特に肺疾患の診断・治療に有用
なヒト・SLPIの免疫測定法の提供が可能となる。
さらに、本発明のポリクローナル抗体は、ヒト・SLPI
のC末端ドメインポリペプチドに対して特異的に結合す
るため、従来の方法に比較して炎症性疾患のより正確な
測定方法となる。
また本発明の抗体等によって免疫組織染色法におい
て、特異性高く、高感度でヒト・SLPIを検出でき、さら
にヒト・SLPIの分離精製にも利用でき、迅速に高純度の
ヒト・SLPIを得ることができる。
(ヘ)実施例 以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこ
れら実施例に限定されるものではない。実施例中の%は
重量%を意味する。
実施例1 ポリクローナル抗体の取得 (1)抗原の作成 本発明者らが、先に提案した遺伝子工学的方法(WO89
/06239)を用いて、ヒト・SLPIのC末端ドメインAsn55
−Ala107のヒト好中球エラスターゼ阻害活性を有するポ
リペプチドを抗原として作成した。
(2)抗体の作成 上記ポリペプチドを初回500μg/shot、追加200μg/sh
otの量をフロイト完全アジュバンと混合して、家兎に免
疫した。2週間,3週間の間隔で3回免疫後、抗体価が上
昇したため採血し、抗血清をプロテインA・Sepharose
に通し、目的とする抗体を精製した。
実施例2 測定系の構成 (1)ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)
標識抗体の調製 実施例1で得られたポリクローナル抗体の1.67mg/ml
のPBS溶液6mlに1Mのクエン酸緩衝液(pH3.7)300μと
200μgのペプシン(Sigma社,P6887)を40μの同緩衝
液に溶解して加え、37℃,2時間反応させた。1NNaOHを50
0μ加えてpH6.4として、反応終了後100mM PB(pH6.
0)の緩衝液でトーソーG3000SWカラムを用いるゲル瀘過
HPLCにてF(ab′)画分を精製した。画分を限外過
濃縮後F(ab′)の1.95mg/ml 0.1MPB(pH6.0)溶液
1.54mlにMBS10mg/mlのジメチルホルムアミド溶液75μ
を添加し、30℃で30分間反応させ、0.1mM PB(pH6.0)
の緩衝液でトーソーG3000SWカラムを用いるゲル過HPL
Cにて未反応MBSと分離し、マレイミド化F(ab′)
分を得た。
一方、HRPの10mg/mlの0.1MPB(pH6.5)溶液2mlにS−
アセチルメルカプト無水コハク酸の60mg/mlジメチルホ
ルムアミド溶液120μを加え、25℃で2時間反応させ
た。
次に0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)を800μ、0.
1MEDTA160μ、1Mヒドロキシルアミン1.6mlを加え、0
℃で4分間反応させた。その後、反応液をコロジオンバ
ッグに入れ、0.1MPB(pH6.0)、5mMEDTA含有溶液を用い
て、4℃で3日間透析し、チオール化HRPを得た。
次にマレイミド化F(ab′)23mgとチオール化HRP6mg
とを0.1MPB(pH7.2)中で混合し、氷冷下で限外過を
用いて10mlから300μまで濃縮し、4℃で21時間反応
させ、0.1MPB(pH7.2)の緩衝液でトーソーG3000SWカラ
ムを用いるゲル過HPLCにてHRP標識抗体を2.83mg得
た。
(2)抗体固定化プレートの調製 ポリスチレン96穴プレート(住友ベークライト社製)
に、実施例1で得られた抗体の20μg/mlの濃度の10mMリ
ン酸緩衝液(pH7.2)を50μ/ウエルずつ分注し、37
℃で1時間放置したのち10mMPBS(pH7.2)で洗浄し、1
%牛血清アルブミン(BSA)の10mMPBS(pH7.2)溶液を1
50μ/ウエルずつ分注し、37℃で1時間放置してポス
トコーティング処理して、抗体固定化プレートを得た。
(3)測定系の構成 実施例2−(1),(2)で調製した、HRP標識抗体
(F(ab′))及び抗体固定化プレートと、精製した
ヒト・SLPIのC末端ドメイン(Asn55−Ala107)ポリペ
プチド(標準物質)を0〜10ng/mlの範囲で含有する1
%BSAと0.1%スキムミルクを含有10mMPBS(pH7.2)溶液
50μとを、抗体固定化プレートのウエルに添加して、
37℃の温度で1時間インキュベートした。次に各ウエル
内の溶液を吸引除去した後、0.05%アンヒトール 含有
10M PBS(pH7.2)で洗浄してから、3,3′,5,5′−テト
ラメチルベンジジン塩酸塩0.02%あるいはH2O22.5mMを
含有する0.1Mリン酸/クエン酸緩衝液(pH4.3)を50μ
ずつ各ウエルに加え、25℃の温度で15分間反応させた
後、反応停止剤として1N硫酸水溶液を50μずつ加えて
酵素反応を停止させた、次いで、この溶液を分光光度計
を用いて450nmの波長における吸収強度を測定し、これ
を標準物質濃度0〜10ng/mlに対応してプロットするこ
とにより濃度依存性の高い検量線を得た。検量線を第1
図に示す。
実施例3 特異性の検討 実施例2によって確立した測定系を用いて血中インヒ
ビターα−プロティナーゼ・インヒビター(α−P
I)およびα−マクログロブリン(α−M)に対す
る反応性を調べ、その結果を第1表に示した。
第1表のごとく、血中インヒビターα−PIおよびα
−Mは好中球エラスターゼ阻害活性を有するにもかか
わらず、本測定系では反応しなかった。この結果より本
測定法はヒト・SLPIに特異性の高い測定系である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の抗ヒト・SLPI抗体を用いて得られたヒ
ト・SLPI測定用の検量線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/563 G01N 33/563 (72)発明者 石井 孝司 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社東京研究センター内 (72)発明者 細田 健治 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社東京研究センター内 (72)発明者 窪田 貴明 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社東京研究センター内 (72)発明者 本田 仁美 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社東京研究センター内 (56)参考文献 Am.Rev.Respir.Di s,129 p959−963(1984) FEBS Lett. 199,1,p 43−48(1986)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I) NPTRRKPGKCPVTYGQCLMLNPPNFCEMDGQCKRDL KCCMGMCGKSCVSPVKA …(I) で表わされ、その分子中に存在すCysによって1〜4個
    のジスルフィド結合を有し好中球エラスターゼ阻害活性
    を有する、ヒト・SLPIのC末端ドメインポリペプチドを
    特異的に認識する抗ヒト・SLPI抗体またはそのFab′若
    しくはF(ab′)フラグメント。
  2. 【請求項2】抗体がポリクロナール抗体である請求項1
    に記載の抗ヒト・SLPI抗体またはそのFab′若しくはF
    (ab′)フラグメント。
  3. 【請求項3】試料中のヒト・SLPIまたはそのフラグメン
    トの免疫学的測定方法において、抗ヒト・SLPI抗体とし
    て請求項1に記載の抗ヒト・SLPI抗体またはそのFab′
    若しくはF(ab′)フラグメントを用いることを特徴
    とするヒト・SLPIまたはそのフラグメントの測定方法。
  4. 【請求項4】免疫学的測定方法がサンドイッチ法であっ
    て、かつ標識抗体および固相抗体に請求項1記載の抗ヒ
    ト・SLPI抗体またはそのFab′若くはF(ab′)フラ
    グメントを用いることを特徴とする請求項3に記載の測
    定方法。
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CA2524626A1 (en) * 2003-05-07 2004-11-18 Vib Vzw The use of a polypeptide domain of slpi to modulate the tumorigenic and metastatic potential of cancer cells
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Am.Rev.Respir.Dis,129 p959−963(1984)
FEBS Lett. 199,1,p43−48(1986)

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