JPH0936628A

JPH0936628A - 携帯無線機器用アンテナ

Info

Publication number: JPH0936628A
Application number: JP7207845A
Authority: JP
Inventors: Kazunori Kita; 一記喜多
Original assignee: Casio Computer Co Ltd
Current assignee: Casio Computer Co Ltd
Priority date: 1995-07-20
Filing date: 1995-07-20
Publication date: 1997-02-07

Abstract

(57)【要約】【課題】人体に極めて至近距離に装着しても、外した
状態で使用しても、指向性や利得などを向上させること
ができる携帯無線機器用アンテナを提供する。【解決手段】バンド部２ａ，２ｂに、各々、導電体か
らなるループ素子３ａ，３ｂを配設し、バックル部４の
押圧により、双方の導電体同士を接触接続させ、微小ル
ープアンテナ７を構成する。また、ループ素子３ａの途
中で分岐し、Ｌタップ端子８を形成する。ループ素子３
ａの外端とＬタップ端子８の外端を給電端子とし、ま
た、バンド部２ｂ側のループ素子３ｂの外端と上記給電
端子９ｂの間には、同調コンデンサ１０を接続する。Ｌ
タップ端子８の位置と、同調コンデンサ１０の容量Ｃと
を変えることで、入力インピーダンスＺinを調整する。
したがって、整合損失が少なく、効率のよい微小ループ
アンテナが構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【１０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、腕時計型の無線放
送受信機、トランシーバ、携帯電話、無線呼び出し端
末、通信機器等における送受信を行うための携帯無線機
器用アンテナに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、携帯型のラジオやＴＶ放送の
受信機、あるいは、無線呼び出し端末（ページャー）
や、携帯型無線電話等が年々小型化され、携帯性の高い
無線通信機器として広く用いられるようになってきた。
しかしながら、例えば、無線呼び出し端末や、無線電話
では、いつでも呼び出しを受けたりするために、特に、
常時携帯する必要性が高く、さらに、携帯性の装着の煩
わしさの少ない、より軽量、小型のものが強く望まれて
いる。そこで、小型・軽量で携帯性に優れた利便性か
ら、腕時計程度の超小型サイズの携帯無線機器が各種提
案されている。この携帯無線機器では、腕時計のよう
に、腕に装着して使用するため、わざわざ携帯しようと
する面倒もなく、置き忘れ等の心配もない。しかしなが
ら、腕に装着して携帯するという形態をとるため、その
形状・寸法の大きさの制約から、特に、無線電波を受
信、あるいは送信する空中線アンテナ部の小型化が望ま
れていた。

【０００３】これは、集積回路技術の進歩により、無線
回路部分の小型化や低電力化は、急速に進歩し、電源と
なる小型電池や充電電池も小型、高性能、高容量のもの
が使用できるようになってきたのに対して、空中線アン
テナの小型化は、取り出し得る電力が無線電波が横切っ
た面積で制約されたり、同調検波の性能が電波の波長と
密接に関係する空中線アンテナの長さ寸法で制約される
ため、実現が困難であったためである。

【０００４】一般に、人体が電気的に誘電体で、かつ、
比較的高い導電性の導電体であるため、人体近傍の電磁
界分布は、人体に近接するほど、電界成分に比べて磁界
成分が大きくなることが知られている。そこで、特に、
ＶＨＦ帯以上の超短波帯以上の周波数では、電界成分を
利用する半波長型アンテナ等のダイポールアンテナ等よ
り、磁界成分を利用する形のループ型アンテナの方が適
切であるという考えから、無線呼び出し端末（ページャ
ー）や、携帯型無線電話等には、ループ上のアンテナが
用いられることが多い。

【０００５】図１４（ａ）〜（ｄ）は、従来の携帯無線
機器用アンテナとして、時計用バンドに内蔵したループ
アンテナを示す等価回路である。図において、従来の携
帯無線機器用アンテナは、時計バンドの長手方向にルー
プ素子を内蔵させ、そのループ素子の外端部をバックル
で電気的に接続することにより、腕の周囲を取り巻くル
ープアンテナを構成している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の携帯無線機器用アンテナ、すなわち、波長に比
べ、微小のループアンテナでは、以下の問題があった。（イ）原理上、損失抵抗分に比べて、無線電波の送信、
受信のエネルギーとなる放射抵抗分の割合が小さく、さ
らに、入力リアクタンス成分を打ち消して使う必要があ
るため、アンテナ系としての効率が極めて悪い状態で使
用しなければならないという問題があった。

【０００７】（ロ）また、腕時計型の携帯無線機器用ア
ンテナでは、腕から外した場合であっても、無線呼び出
しなどの用途で、携帯無線機器として作動させる必要が
あるので、ループアンテナとして作用しなければならな
い。しかしながら、腕から外した状態では、バンド部が
バックル部で離れているため、ループアンテナとして機
能しないという問題があった。

【０００８】（ハ）また、腕時計型の携帯無線機器を装
着した状態では、人体が動くことにより、腕時計と人体
の電磁気的な関係が常に変動してしまうので、アンテナ
系の指向性や利得が変動してしまうという問題があっ
た。

【０００９】そこで本発明は、人体に極めて至近距離に
装着して使用しても、外した状態で使用しても、指向性
や利得などを向上させることができる携帯無線機器用ア
ンテナを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項１記載の発明による携帯無線機器用アンテナは、本
体に設けられたバンド部によって、利用者に装着される
携帯無線機器のアンテナとして用いられる携帯無線機器
用アンテナにおいて、前記バンド部に配設された導電体
からなるループ素子から構成され、該ループ素子の外端
側の途中にタップ端子を設け、ループ素子の一方の外端
と前記タップ端子とを給電端子とする一方、前記ループ
素子の一方の外端と他方の外端とを可変容量素子で接続
したことを特徴とする。

【００１１】また、請求項２記載の発明による携帯無線
機器用アンテナは、本体に設けられたバンド部によっ
て、利用者に装着される携帯無線機器のアンテナとして
用いられる携帯無線機器用アンテナにおいて、前記バン
ド部に配設された導電体からなるループ素子から構成さ
れ、該ループ素子の外端間に可変容量素子とインダクタ
ンス素子とを直列接続し、前記インダクタンス素子の両
端を給電端子とすることを特徴とする。

【００１２】また、好ましい態様として、前記ループ素
子は、例えば請求項３記載のように、前記バンド部の長
手方向に延びる導電体であって、前記バンド部が腕に周
回された状態でループを形成するようにしてもよい。ま
た、好ましい態様として、前記ループ素子は、例えば請
求項４記載のように、前記バンド部を平面状に周回する
導電体であって、バンド部が腕から外された状態であっ
てもループを形成するようにしてもよい。

【００１３】また、好ましい態様として、例えば請求項
５記載のように、前記ループ素子への給電端子と、本体
もしくは本体内の回路基板、裏蓋等の導電体による接地
板とにより構成され、前記ループ素子によるループアン
テナに合成されるダイポールアンテナを備えるようにし
てもよい。

【００１４】本発明では、本体を装着するためのバンド
部に、導電体からなるループ素子を配設し、該ループ素
子の外端間に可変容量素子とインダクタンス素子とを直
列接続し、前記インダクタンス素子の両端を給電端子と
するループアンテナを設け、送受信用アンテナとして用
いる。したがって、腕時計のように、人体に極めて至近
距離に装着して使用しても、指向性や利得などを向上さ
せることが可能となる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、携
帯無線機器用アンテナを適用した腕時計型無線機器を一
実施例として、図面を参照して説明する。

【００１６】Ａ．第１実施例（１）携帯無線機器の構成図１は、本発明の第１実施例による携帯無線機器用アン
テナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す斜視図で
ある。また、図２（ａ）は、本第１実施例によるＬタッ
プ微小ループアンテナの模式図であり、図２（ｂ）は、
同Ｌタップ微小ループアンテナの等価回路を示す回路図
である。図において、腕時計型無線機器は、大きく分け
て、時計機能、無線機能等の電子部品が格納されている
本体部１、該本体部１を腕に固定するためのバンド部２
ａ，２ｂから構成されている。本体部１には、特に、本
発明に係わる部品として、無線回路部６が内蔵されてい
る。バンド部２ａ，２ｂには、各々、金属板または金属
箔等の導電体からなるループ素子３ａ，３ｂが内蔵され
ており、バンド止め兼用のバックル部４の押圧により、
双方の導電体同士を接触接続させ、微小ループアンテナ
７を構成している。バンド部２ａ側のループ素子３ａ
は、給電端子近傍の一部で分岐され、Ｌタップ端子８を
形成している。無線回路部６は、微小ループアンテナ７
に電力を供給する一方、微小ループアンテナ７で受信し
た受信電力を取り出す電子回路から構成されている。無
線回路部６の出力端ないし入力端は、給電端子９ａ，９
ｂを介して、上記バンド部２ａ側のループ素子３ａの外
端とＬタップ端子８とに接続されている。また、バンド
部２ｂ側のループ素子３ｂの外端は、同調コンデンサ１
０を介して、上記給電端子９ｂに接続されている。

【００１７】Ｂ．Ｌタップ端子付きループアンテナの原
理ここで、上述したＬタップ端子を有するループアンテナ
の原理について説明する。（１）ループアンテナ図３（ａ）は、従来のループアンテナの等価回路を示す
回路図、図３（ｂ）は、出力端に容量Ｃを装荷して共振
をとったループアンテナの等価回路を示す回路図、図３
（ｃ）は、装荷した容量Ｃの中間から出力を取り出す容
量タップ型ループアンテナの等価回路を示す回路図であ
る。腕時計のバンド部に構成されるループアンテナは、
その周囲長が腕回りの長さ（十数ｃｍ〜二十数ｃｍ）と
なるので、開口面積の小さい微小ループとなる。このよ
うに、図３（ａ）に示すループアンテナでは、アンテナ
の入力インピーダンスに比べ、放射抵抗の割合が極めて
小さくなり、ループそのものでは、放射抵抗Ｒrは、次
式で示すようになる。

【００１８】

【数１】

【００１９】ここで、例えば、ｆ＝１００ＭＨｚ（λ＝
３００ｃｍ）、腕の横断面積を約２０ｃｍ²とすると、
放射抵抗Ｒrは、次式で示すように、極めて小さい。こ
のため、受信機の入力回路等との不整合損失が極めて大
きく、実用的でない。

【００２０】

【数２】

【００２１】そこで、上述したループアンテナを実用可
能にするために、一般には、図３（ｂ）に示すように、
出力端に容量Ｃを装荷して共振をとり、さらに、図３
（ｃ）に示すように、その中間から出力を取り出すこと
を考えると、そのときの共振インピーダンスＲは、次式
に示すようになる。

【００２２】

【数３】

【００２３】例えば、ａ×ｂの空芯方形ループでは、損
失抵抗ＲL、インダクタンスＬは、次のようになる。

【００２４】

【数４】

【００２５】ここで、ｆ＝１００ＭＨｚ、ａ＝ｂ＝５０
ｍｍ、ｄ＝数ｍｍ程度のループでは、次式で示す程度で
あるから、ωＬに比べて、Ｒr、ＲLは、比較的小さい値
なので、Ｒは極めて大きな値となる。

【００２６】

【数５】

【００２７】一般の回路の入力インピーダンスは、５０
〜７０Ω程度であるので、整合させるには、Ｑが極めて
小さくなり、共振周波数の選択性が悪くなる。また、Ｑ
を高くして選択性を上げるには、Ｒが大きく、整合損失
が大きいまま使うか、Ｒを下げるためにインダクタンス
Ｌを極力小さくし、ループ素子の幅ｄを極力広くする必
要がある等、問題があり、いずれにしろ、効率が極めて
悪いアンテナとして実用されることになる。

【００２８】ところで、微小ループアンテナの半波長ダ
イポールアンテナに対する利得をＧ［ｄＢ］、アンテナ
の効率をηとすると、一般に、次式で示すようになる。

【００２９】

【数６】

【００３０】なお、０．３９ｄＢは、半波長ダイポール
アンテナと微小ループアンテナとの指向性利得の差であ
る。上記数６から、アンテナ効率ηが「１」に近い値で
あれば、微小ループアンテナでも、整合さえとれれば、
半波長ダイポールアンテナ比、−０．３９ｄＢの利得が
得られるはずである。

【００３１】しかしながら、前述したように、微小ルー
プアンテナでは、放射抵抗分は、ループ面積が小さい
と、その２乗に比例して小さくなり、損失抵抗ＲLが無
視できなくなる。このため、たとえ整合がとれていて
も、ループ面積が小さくなると、アンテナ効率ηが低下
して、アンテナ利得が小さくなる。したがって、ループ
面積Ｓを大きくして、損失抵抗ＲLを小さくし、アンテ
ナ効率を上げ、かつ、回路との整合を図り、アンテナ利
得を上げる必要がある。

【００３２】（２）Ｌタップ型ループアンテナ上述した微小ループアンテナを低損失で整合させるため
に、例えば、図４（ａ），（ｂ）に示すようなＬタップ
方式の整合回路が知られている。これは、図示するよう
に、ループ素子１２の途中にタップ端子１３を設け、タ
ップ端子１３の両端を給電端子１４として用いる方法で
ある。タップ端子１３から給電端子１４までのループ素
子１２の一部のインダクタンスＬ1を、タップ位置、す
なわちタップ端子１３の長さLを変えることで、適当に
調整することができるので、同調コンデンサの容量Ｃと
Ｌタップ端子１３のインダクタンスＬ1とを適当に変え
ることにより、図示する等価回路のように、入力インピ
ーダンスＺinを負荷回路に整合するインピーダンスに整
合させることができる。また、アンテナの一部を整合回
路として用いるため、外付け部品が少なく極めて簡単な
整合回路が実現できる。

【００３３】図４（ｂ）に示す等価回路は、前述した図
２（ｂ）に示す第１実施例による等価回路と同一であ
る。この等価回路から、ここで、誘起電圧をｅ、ループ
の有するインダクタンスをＬ、損失抵抗をＲL、放射抵
抗をＲｒ、同調容量をＣ、ループ素子１２の有するイン
ダクタンスをＬ1，Ｌ2、ループ素子間の相互インダクタ
ンスをＭとすると、この入力インピーダンスＺinは、共
振時には、次式のようになる。

【００３４】

【数７】

【００３５】但し、Ｌ＝Ｌ1＋Ｌ2＋２Ｍである。また、
アンテナの給電端子１４に現れる電圧Ｅは、次のように
なる。

【００３６】

【数８】

【００３７】したがって、負荷に取り出し得る最大有効
電力Ｐmaxは、次のようになる。

【００３８】

【数９】

【００３９】したがって、本第１実施例では、微小ルー
プアンテナの出力端に容量Ｃのコンデンサを装荷して共
振をとり、さらに、その中間から出力を取り出す構成と
することで、Ｌタップ端子８の位置と、同調コンデンサ
１０の容量Ｃとを変えることで、入力インピーダンスＺ
inを調整することができ、整合損失の少ない整合回路に
よる効率のよい微小ループアンテナを構成することがで
きる。また、負荷回路に整合するインピーダンスに整合
させることができ、また、アンテナの一部を整合回路と
して用いるため、外付け部品が少なく極めて簡単な整合
回路が実現できるとともに、アンテナ利得を上げること
ができるようになる。

【００４０】Ｃ．第２実施例次に、図５は、本発明の第２実施例による携帯無線機器
用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す斜
視図である。また、図６（ａ）は、本第１実施例による
Ｌタップ微小ループアンテナの模式図であり、図６
（ｂ）は、同Ｌタップ微小ループアンテナの等価回路を
示す回路図である。なお、図１に対応する部分には同一
の符号を付けて説明を省略する。図において、バンド部
２ａ，２ｂには、各々、金属板または金属箔等の導電体
からなるループ素子１５ａ，１５ｂが内蔵されており、
バンド止め兼用のバックル部４の押圧により、双方の導
電体同士を接触接続させ、微小ループアンテナ１６を構
成している。無線回路部６の出力端ないし入力端は、給
電端子１７ａを介して、上記バンド部２ａ側のループ素
子１５ａの外端に接続され、給電端子１７ｂ、同調コン
デンサ１０を介して、バンド部２ｂ側のループ素子１５
ｂの外端に接続されている。また、給電端子１７ａ，１
７ｂの間には、インダクタンスＬ1に相当するコイル１
８が接続されている。このように、本第２実施例では、
ループ素子の一部をＬタップ端子とする代わりに、給電
端子の間にコイル１８を設けている。

【００４１】本第２実施例の等価回路は、図６（ａ），
（ｂ）に示すように、ループ素子１５ａ，１５ｂ、イン
ダクタンスＬ1のコイル１８、および容量Ｃの同調コン
デンサ１０が直列接続され、コイル１８の両端を給電端
子１７ａ，１７ｂとして無線回路部６が接続された構成
となる。この場合には、コイル１８のインダクタンスＬ
1と同調コンデンサ１０の容量Ｃを、ループ素子１５
ａ，１５ｂのインダクタンスＬ2に合わせて、適当に調
整することで、損失の少ない整合回路を実現できる。ま
た、図１に示す第１実施例のように、Ｌタップ端子８を
バンド部２ａに設ける必要がないので、バンド部２ａ，
２ｂの構造、およびループ素子１５ａ，１５ｂと時計本
体１との接続が極めて簡単な構造にできる。

【００４２】Ｄ．第３実施例次に、図７（ａ）は、本発明の第３実施例による携帯無
線機器用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を
示す正面図であり、図７（ｂ）および（ｃ）は、本第３
実施例の微小ループアンテナの等価回路を示す回路図で
ある。なお、図１に対応する部分には同一の符号を付け
て説明を省略する。本第４実施例では、腕の外周を周回
させずに、バンド部２ａにのみ、ループ状の導電体から
なるループ素子２０を配設し、平面状の微小ループアン
テナを構成している。また、第１実施例と同様に、給電
端子近傍の一部を分岐し、Ｌタップ端子２１を形成して
いる。この場合、前述した図１または図６に示す微小ル
ープアンテナに対して、９０度異なる指向性を有する。

【００４３】本第３実施例の等価回路は、図７（ｂ），
（ｃ）に示すように、同調コンデンサ１０が直列接続さ
れ、ループ素子２０の一外端とＬタップ端子２１の外端
とを給電端子として無線回路部６が接続された構成とな
る。この場合には、第１実施例と同様に、容量Ｃの同調
コンデンサ１０を調整することで、損失の少ない整合回
路を実現できる。また、ループ内に腕が入らないので、
腕の太さによってループ寸法や開口面積が変化しない。
したがって、腕の寸法に対するアンテナ特性の調整が不
要となり、また、バンド部２ａ，２ｂを止めるバックル
部４で、ループ素子を接続する必要がないので、バック
ル部４やバンド部２ａ，２ｂの構造が極めて簡単な構造
にできる。

【００４４】Ｅ．第４実施例次に、図８（ａ）は、本発明の第４実施例による携帯無
線機器用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を
示す正面図であり、図８（ｂ）は、本第４実施例の微小
ループアンテナの等価回路を示す回路図である。なお、
図１に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略
する。本第４実施例では、腕の外周を周回させずに、バ
ンド部２ａにのみ、ループ状の導電体からなるループ素
子２２を配設し、平面状の微小ループアンテナを構成し
ている。また、第２実施例と同様に、ループ素子２２の
一部をＬタップ端子とする代わりに、給電端子の間に、
インダクタンスＬ1に相当するコイル１８が接続されて
いる。この場合も、前述した図１または図６に示す微小
ループアンテナに対して、９０度異なる指向性を有す
る。

【００４５】本第４実施例の等価回路は、図８（ｂ）に
示すように、ループ素子２２、コイル１８（Ｌ1）、お
よび同調コンデンサ１０（Ｃ）が直列接続され、コイル
１８の両端を給電端子として無線回路部６が接続された
構成となる。この場合には、コイル１８のインダクタン
スＬ1と同調コンデンサ１０の容量Ｃを、ループ素子２
２のインダクタンスＬ2に合わせて、適当に調整するこ
とで、損失の少ない整合回路を実現できる。また、前述
した第３実施例と同様に、ループ内に腕が入らないの
で、腕の太さによってループ寸法や開口面積が変化しな
い。したがって、腕の寸法に対するアンテナ特性の調整
が不要となり、また、バンド部２ａ，２ｂを止めるバッ
クル部４で、ループ素子を接続する必要がないので、バ
ックル部４やバンド部２ａ，２ｂの構造が極めて簡単な
構造にできる。

【００４６】Ｆ．第５実施例次に、図９（ａ）は、本発明の第５実施例による携帯無
線機器用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を
示す概略正面図であり、図９（ｂ），（ｃ）は、本第５
実施例の微小ループアンテナの等価回路を示す回路図で
ある。なお、図１に対応する部分には同一の符号を付け
て説明を省略する。本第５実施例では、前述した第１実
施例に対して、容量Ｃの同調コンデンサ１０を電圧制御
可能な可変コンデンサ２５にし、無線回路部６からの制
御電圧によって制御できるように構成している。上記制
御電圧は、抵抗器２６を介して供給されるようになって
いる。したがって、本第５実施例では、Ｌタップ端子８
の位置が固定であっても、可変コンデンサ２５の容量を
無線回路部６からの制御電圧によって変えることができ
るので、アセンブル後においても入力インピーダンスＺ
inを調整することができる。

【００４７】Ｇ．第６実施例次に、図１０（ａ）は、本発明の第６実施例による携帯
無線機器用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成
を示す概略正面図であり、図１０（ｂ），（ｃ）は、本
第５実施例の微小ループアンテナの等価回路を示す回路
図である。なお、図１に対応する部分には同一の符号を
付けて説明を省略する。本第６実施例では、前述した第
２実施例のように、ループ素子の一部をＬタップ端子と
する代わりに、給電端子の間にコイル１８を設けた構成
において、容量Ｃの同調コンデンサ１０を電圧制御可能
な可変コンデンサ２５にし、無線回路部６からの制御電
圧によって制御できるように構成している。したがっ
て、本第６実施例でも、コイル１８のインダクタンスＬ
1が固定であっても、可変コンデンサ２５の容量Ｃを無
線回路部６からの制御電圧によって変えることができる
ので、アセンブル後においても入力インピーダンスＺin
を調整することができる。

【００４８】Ｈ．第７実施例次に、図１１は、本発明の第７実施例による携帯無線機
器用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す
斜視図である。なお、図１に対応する部分には同一の符
号を付けて説明を省略する。本第７実施例では、前述し
た第１実施例のＬタップ型ループアンテナ７に加えて、
時計本体１内の無線回路部６の回路基板または時計の金
属性の裏蓋などからなる接地板３０と、プリント配線板
の銅箔等からなるＬタップ端子８への給電端子３１とに
よって、非対称の異形ダイポールアンテナ３２を構成し
ている。無線回路部６の給電端子の両端には、非対称ダ
イポールアンテナ３２による零相電圧Ｅuと、微小ルー
プアンテナによる正相電圧Ｅｂとの等価的な合成電圧が
加わるようになっている。

【００４９】本第７実施例によるループアンテナの等価
回路は、図１２に示すように、微小ループアンテナ７と
ダイポールアンテナ３２とを合成したものとなる。この
場合、本第７実施例では、前述した第１ないし第７実施
例でのバンド部２ａ，２ｂに内蔵されているＬタップ型
ループアンテナ７に寄生して、等価的に、時計内部に異
形のダイポールアンテナ３２を構成することにより、偏
波方向の異なる無線電波に対する合成の指向性利得、お
よび人体近傍の磁界優位の電磁界と、人体と離しておい
た場合の電界優位の電磁界との使用状態の変化などでの
不感方向を無くして、全体のアンテナ系の指向性と利得
を向上させることができる。

【００５０】また、バンド部２ａ，２ｂを腕から外し
て、ループを開いた状態では、上記Ｌタップ型ループア
ンテナの等価回路は、図１３（ａ）に示す構成となる。
この場合、微小ループアンテナによる人体近傍の磁界に
対する利得はなくなるが、図１３（ｂ）に示す電界に対
する非対称ダイポールアンテナ３２に加えて、図１３
（ｃ）に示すように、これと９０度方向の異なる電界に
対する逆Ｆ型１／４波長型ストリップラインアンテナと
類似のアンテナ３３が等価的に構成されるので、給電端
子には、両アンテナ３２，３３の合成電圧が給電され、
指向性および利得を向上することができる。

【００５１】

【発明の効果】本発明によれば、バンド部に導電体のル
ープ素子を配設し、ループの途中部分にＬタップ端子を
設け、Ｌタップ型の整合回路をアンテナの一部を用いて
構成したので、以下の効果が得られる。 (1)同調容量素子に加えて、Ｌタップ端子の位置、ある
いはＬタップ部分のインダクタンスを調整することで、
入力インピーダンスを調整できるので、整合損失を少な
くでき、利得を向上させることができる。 (2)また、腕の外周にループアンテナを形成する代わり
に、バンド部を平面状に周回し、バンド部が腕から外さ
れた状態であってもループを形成するようにしたので、
バックル部でのループ接続が不要となり、バンド部およ
びバンド部の構造を簡略化でき、腕の太さに依存するこ
とがないので、感度や性能、安定性を向上できる。 (3)また、腕から外した状態でも、逆Ｆ型アンテナが形
成されるので、腕から外した状態でもアンテナとして機
能させることができる。 (4)また、人体に装着した人体近傍での磁界成分に対し
ては、ループアンテナとして、人体から離れたときの電
界成分に対しては、電界型の逆Ｆアンテナとして機能す
るので、身体と腕との距離や方向が変化する運動時や、
日常生活での使用を可能とする。 (5)バンド部に形成したループアンテナに加えて、本体
もしくは本体内の回路基板、裏蓋等の導電体による接地
板とにより、非対称の異形ダイポールアンテナを構成し
たので、磁界に対するループアンテナと電界に対するダ
イポールアンテナとを合成したアンテナ系が形成され、
全体のアンテナ系の指向性や利得を向上させることがで
きる。さらに、腕から外した状態でも、ダイポールアン
テナおよび逆Ｆ型アンテナが形成されるので、アンテナ
として機能させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例による携帯無線機器用アン
テナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す斜視図で
ある。

【図２】本第１実施例によるＬタップ微小ループアンテ
ナの模式図、および同Ｌタップ微小ループアンテナの等
価回路を示す回路図である。

【図３】従来のループアンテナの等価回路を示す回路
図、出力端に容量Ｃを装荷して共振をとったループアン
テナの等価回路を示す回路図、および装荷した容量Ｃの
中間から出力を取り出す容量タップ型ループアンテナの
等価回路を示す回路図である。

【図４】Ｌタップ型ループアンテナの等価回路を示す回
路図である。

【図５】本発明の第２実施例による携帯無線機器用アン
テナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す斜視図で
ある。

【図６】本第２実施例によるＬタップ微小ループアンテ
ナの模式図、および同Ｌタップ微小ループアンテナの等
価回路を示す回路図である。

【図７】本発明の第３実施例による携帯無線機器用アン
テナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す正面図、
および本第３実施例の微小ループアンテナの等価回路を
示す回路図である。

【図８】本発明の第４実施例による携帯無線機器用アン
テナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す正面図、
および本第４実施例の微小ループアンテナの等価回路を
示す回路図である。

【図９】本発明の第５実施例による携帯無線機器用アン
テナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す概略正面
図、および本第５実施例の微小ループアンテナの等価回
路を示す回路図である。

【図１０】本発明の第６実施例による携帯無線機器用ア
ンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す概略正
面図、および本第５実施例の微小ループアンテナの等価
回路を示す回路図である。

【図１１】本発明の第７実施例による携帯無線機器用ア
ンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す斜視図
である。

【図１２】本第７実施例によるループアンテナのループ
を閉じた状態での等価回路を示す回路図である。

【図１３】本第７実施例によるループアンテナのループ
を開いた状態での等価回路、および該等価回路を構成す
る非対称ダイポールアンテナと逆Ｆ型１／４波長型スト
リップラインアンテナを示す回路図である。

【図１４】従来の携帯無線機器用アンテナとして、時計
用バンドに内蔵したループアンテナを示す等価回路であ
る。

【符号の説明】

１本体部２ａ，２ｂバンド部３ａ，３ｂループ素子４バックル部６無線回路部７微小ループアンテナ８Ｌタップ端子（タップ端子）９ａ，９ｂ給電端子１０同調コンデンサ（可変容量素子）１５ａ，１５ｂループ素子１６微小ループアンテナ１７ａ，１７ｂ給電端子１８コイル（インダクタンス素子）２０ループ素子２１Ｌタップ端子（タップ端子）２２ループ素子２５可変コンデンサ（可変容量素子）２６抵抗器３０接地板３１給電端子３２異形ダイポールアンテナ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】本体に設けられたバンド部によって、利
用者に装着される携帯無線機器のアンテナとして用いら
れる携帯無線機器用アンテナにおいて、前記バンド部に配設された導電体からなるループ素子か
ら構成され、該ループ素子の外端側の途中にタップ端子
を設け、ループ素子の一方の外端と前記タップ端子とを
給電端子とする一方、前記ループ素子の一方の外端と他
方の外端とを可変容量素子で接続したことを特徴とする
携帯無線機器用アンテナ。
【請求項２】本体に設けられたバンド部によって、利
用者に装着される携帯無線機器のアンテナとして用いら
れる携帯無線機器用アンテナにおいて、前記バンド部に配設された導電体からなるループ素子か
ら構成され、該ループ素子の外端間に可変容量素子とイ
ンダクタンス素子とを直列接続し、前記インダクタンス
素子の両端を給電端子とすることを特徴とする携帯無線
機器用アンテナ。
【請求項３】前記ループ素子は、前記バンド部の長手
方向に延びる導電体であって、前記バンド部が腕に周回
された状態でループを形成することを特徴とする請求項
１または２に記載の携帯無線機器用アンテナ。
【請求項４】前記ループ素子は、前記バンド部を平面
状に周回する導電体であって、バンド部が腕から外され
た状態であってもループを形成することを特徴とする請
求項１または２に記載の携帯無線機器用アンテナ。
【請求項５】前記ループ素子への給電端子と、本体も
しくは本体内の回路基板、裏蓋等の導電体による接地板
とにより構成され、前記ループ素子によるループアンテ
ナに合成されるダイポールアンテナを備えることを特徴
とする請求項１乃至４のいずれかに記載の携帯無線器用
アンテナ。