JPH093410A

JPH093410A - 抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープ

Info

Publication number: JPH093410A
Application number: JP7151801A
Authority: JP
Inventors: Ryuichi Inagaki; 竜一稲垣
Original assignee: Yazaki Corp
Current assignee: Yazaki Corp
Priority date: 1995-06-19
Filing date: 1995-06-19
Publication date: 1997-01-07

Abstract

(57)【要約】【目的】ポリ塩化ビニル粘着テープ基材表面の微生物
発生を効果的に防止できる抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テ
ープを提供すること。【構成】ポリ塩化ビニルを主体とする樹脂組成物から
なる基材上に粘着剤を保持してなる粘着テープにおい
て、該樹脂組成物１００重量部に対し、抗菌剤を０．１
〜９．９重量部含有することを特徴とする抗菌性ポリ塩
化ビニル粘着テープ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ポリ塩化ビニル粘着テ
ープに関し、詳しくは屋内配線の結束、端末処理等に使
用される抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】最近の屋内環境は建造物の断熱化、気密
化に伴い、換気が不足し、常に湿気を持っている。その
為、カビ、細菌等の微生物に汚染され易い屋内環境とな
っている。そして、このような環境下、屋内配線あるい
は家電製品の結束用、端末処理用等、屋内の至る所にポ
リ塩化ビニル粘着テープが使用されている。

【０００３】従って、このような粘着テープも微生物に
汚染され、テープ基材表面へのカビ、細菌等の発生は、
テープ外観を損なうばかりでなく、健康への影響もあ
る。特に、テープ基材のポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）は、
可塑剤を含む為、微生物に汚染されやすいという問題が
あった。このような微生物汚染を防止するために基材表
面に抗菌剤を表面処理加工する方法が知られているが、
施工時の伸縮や屈曲により、はがれ落ちる為、固定化す
ることはできなかった。

【０００４】一方、特に、高齢者や身体の抵抗力の低い
者にとっては、これら微生物の存在は好ましいものでは
なく、衛生的な居住空間が必要である。そのためにも抗
菌性のあるポリ塩化ビニル粘着テープが望まれていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題に鑑
み成されたもので、ポリ塩化ビニル粘着テープ基材表面
の微生物発生を効果的に防止できる抗菌性ポリ塩化ビニ
ル粘着テープを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の目的はポリ塩化
ビニルを主体とする樹脂組成物からなる基材上に粘着剤
を保持してなる粘着テープにおいて、該樹脂組成物１０
０重量部に対し、抗菌剤を０．１〜９．９重量部含有す
ることを特徴とする抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープに
より達成できる。

【０００７】本発明はＰＶＣを主体とする樹脂組成物
（以下、ＰＶＣ組成物という）に抗菌剤を特定量配合し
たことを特徴とし、これにより得られた本発明の樹脂組
成物は、カビや細菌等の微生物の発生を効果的に防止で
きることがわかった。

【０００８】本発明に使用される抗菌剤の配合割合は、
ＰＶＣ組成物１００重量部に対し、０．１〜９．９重量
部、好ましくは３．０〜９．９重量部、更に好ましく
は、７．０〜９．９重量部であり、抗菌剤の量が０．１
重量部未満であると抗菌効果が得られず、１０重量部以
上では抗菌効果は変わらないので過剰添加となり不経済
であり、かつ弾性等のテープ特性が低下する。

【０００９】本発明に使用される抗菌剤としては、特に
制限はなく公知の無機系物質、有機系化合物、複素環系
化合物等が使用される。有機系化合物、複素環系化合物
は、ＰＶＣ組成物への練り込みが困難であり、無機系抗
菌剤が好ましい。無機系物質としては、無機イオン交換
体、例えば、アパタイト（リン灰石）、リン酸カルシウ
ム、リン酸ジルコニウム等、金属、例えば、水銀、銀、
鉛、銅、ニッケル、亜鉛、カドミウム等が挙げられる。
これらは単独でも２種以上組合わせても使用することが
できる。

【００１０】また、ＰＶＣ組成物はＰＶＣの他、通常、
可塑剤、安定剤、充填剤等を含む。該可塑剤は、ＰＶＣ
１００重量部に対し、通常、３０〜１００部であり、安
定剤は、通常、１〜５部であり、充填剤は、通常、０〜
７０部である。本発明のＰＶＣ組成物に使用されるＰＶ
Ｃ、可塑剤、安定剤、充填材等としては、従来公知の以
下に例示するものが挙げられる。

【００１１】ＰＶＣとしては、通常、平均重合度ｐ＝８
００〜１２００のものが挙げられる。

【００１２】可塑剤としては、フタル酸エステル系｛例
えば、ジオクチルフタレート（ＤＯＰ）、ジイソノニル
フタレート（ＤＩＮＰ）、ジイソデシルフタレート（Ｄ
ＩＤＰ）、ジウンデシルフタレート（ＤＵＰ）等｝、ト
リメリット酸エステル系｛例えば、トリオクチルトリメ
リテート（ＴＯＴＭ）、トリノルマルオクチルトリメリ
テート（ＴｎＯＴＭ）等｝、ポリエステル系等の高分子
量可塑剤、例えば、アジピン酸系ポリエステル〔商品
名：ＰＮ−３５０（旭電化（株）製）、ＰＮ−２５０
（旭電化（株）製）等〕）、エポキシ系（例えば、エポ
キシ化大豆油、エポキシ化アマニ油〔商品名：Ｏ−１３
０Ｐ（旭電化（株）製）、Ｏ−１８０Ａ（旭電化（株）
製）等〕）等が挙げられる。

【００１３】安定剤としては、Ｐｂ系（例えば、ステア
リン酸鉛、Ｓｎ系（例えば、ジノルマルオクチル錫メル
カプト、メチル錫メルカプト〔商品名：ＭＡＲＫ４６
５（旭電化（株）製）、ＭＡＲＫ１９２０（旭電化
（株）製）等〕、Ｃａ系（例えば、ステアリン酸カルシ
ウム、Ｚｎ系（例えば、ステアリン酸亜鉛）が挙げられ
る。

【００１４】充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ
等が挙げられる。本発明に使用される基材は、ＰＶＣ組
成物に抗菌剤が必須に添加される樹脂組成物であるが、
該樹脂組成物は必要に応じて上記成分以外の任意の添加
剤をＰＶＣに対し、１０重量％以下で使用することがで
きる。このような添加剤としては、難燃剤として、例え
ば、三酸化アンチモン、三酸化モリブデン、三酸化ケイ
素等が挙げられる。

【００１５】本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープ
は、通常のＰＶＣ組成物を用いるポリ塩化ビニル粘着テ
ープの製法に準じて、本発明に使用する抗菌剤含有のＰ
ＶＣ組成物を用いることにより製造することができる。
例えば、本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープの横
断面を模式的に示した図１を参照して本発明およびその
製法を具体的に説明する。

【００１６】本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープ
１は、抗菌剤を含む基材４上にプライマー層３、粘着剤
層２を順次形成してなる。本発明の製法は、ＰＶＣ組成
物に抗菌剤を混練等により均一に混在させ、次いでシー
ト化して抗菌剤を含む基材４とし、その基材４上にプラ
イマーを塗布し、その後、そのプライマー層３上に公知
の粘着剤を塗布、保持させて粘着剤層２を形成し、巻芯
に巻き取ることにより製造される。

【００１７】本発明に使用されるプライマー、粘着剤は
従来公知のものが使用される。例えば、プライマーとし
ては、天然ゴムとメチルメタクリレート（ＭＭＡ）の重
合物であるヘベアプラスＭＧ４９（グラフトポリマー８
０％、フリーのＭＭＡ１０％、フリーの天然ゴム１０％
の混合物）が例示される。また、粘着剤としては、粘着
付与樹脂（例えば、ロジンエステル等）、天然ゴム等、
軟化剤（例えば、液状イソプレン等）、老化防止剤（例
えば、フェノール系、ベンゾトリアゾール系等）等より
なるものが挙げられる。

【００１８】

【作用】本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープに含
まれる抗菌剤が抗菌性を発揮する機構は以下〜によ
ると考えられる。基材表面近傍の空間に殺菌作用のある活性酸素を発
生させ、この活性酸素により微生物が死滅する。微生物の代謝系の酵素妨害または細胞膜の物質移動
阻害を引き起こし、細胞分裂不能となり死滅する。抗菌剤がＡｇを含む場合、（抗菌剤中のＡｇ⁺が）
マイナスのイオン性を持つ微生物を引き寄せ、微生物の
細胞膜が破れて死滅する。〜の相乗効果

【００１９】

【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、
「部」は「重量部」を指す。実施例１〜６、比較例１〜２ＰＶＣ（ｐ＝１３００）１００部、可塑剤（ＤＯＰ）５
０部、安定剤（Ｐｂ系：ステアリン酸鉛）４部、充填剤
（ＣａＣＯ₃）２０部をＰＶＣ組成物の基本処方とした
基材（比較例１）を作成し、一方、そのＰＶＣ組成物１
００部に対し表１に記載のように抗菌剤（品川燃料社製
ゼオミック）をこれに混練配合して基材（実施例１〜
６、比較例２）とし、その上にプライマー、粘着剤を順
次塗布して種々の抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープを作
成した。使用した基材の抗菌性を以下の菌液降掛け法に
より評価した。

【００２０】各基材（以下、試料）を所定の大きさに切
断し、表面を７０％エタノール溶液で殺菌し、紫外線殺
菌庫中で乾かした。滅菌したシャーレに試料を入れ、所
定の菌数に調整された菌懸濁液を滴下し、３５℃の恒温
槽中で表１記載の時間培養、静置した。その後、試料を
リン酸緩衝液に分散し、次いでこれを所定に希釈し、こ
れを寒天培地にて培養し、コロニーを計測して生残菌数
を算出した。

【００２１】結果を表１に示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】表１より、抗菌剤を含まない比較例１は、
抗菌性は全くなく、逆に菌の漸増が見られるが、実施例
１〜６では全て２４時間後に菌は死滅したことがわか
る。また、比較例６では、抗菌剤を１２部用いている
が、その効果は９．９部の実施例６と変わらないことが
分かる。

【００２４】

【発明の効果】本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テー
プに用いるＰＶＣ組成物は、通常の粘着テープのＰＶＣ
組成物に抗菌剤を含有せしめるだけで容易に製造でき、
かつ効果的にテープ基材面の微生物発生を防止すること
ができ、粘着テープ使用環境をより衛生的にすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープの構
成および製法を説明するための図で、その横断面を示
す。

【符号の説明】

１抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープ２粘着剤層３プライマー層４抗菌性を含む基材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ａ０１Ｎ 59/16 Ａ０１Ｎ 59/16 Ｚ 59/26 59/26

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリ塩化ビニルを主体とする樹脂組成物
からなる基材上に粘着剤を保持してなる粘着テープにお
いて、該樹脂組成物１００重量部に対し、抗菌剤を０．
１〜９．９重量部含有することを特徴とする抗菌性ポリ
塩化ビニル粘着テープ。
【請求項２】抗菌剤が無機イオン交換体または金属で
ある請求項１記載の抗菌性ポリ塩化ビニル粘着テープ。