JPH11199732A - 抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物及び電線・ケーブル - Google Patents

抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物及び電線・ケーブル

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JPH11199732A
JPH11199732A JP10005599A JP559998A JPH11199732A JP H11199732 A JPH11199732 A JP H11199732A JP 10005599 A JP10005599 A JP 10005599A JP 559998 A JP559998 A JP 559998A JP H11199732 A JPH11199732 A JP H11199732A
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JP
Japan
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polyvinyl chloride
chloride resin
antibacterial
resin composition
calcium phosphate
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JP10005599A
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Yoshihisa Kato
善久 加藤
Kenji Asano
健次 浅野
Hiroyuki Ito
宏幸 伊藤
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、耐紫外線光変色性及び耐熱変
色性が優れた抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物及び電線
・ケーブルを提供することにある。 【解決手段】本発明は、ポリ塩化ビニル樹脂に抗菌性金
属イオン吸着固定化リン酸カルシウムを配合して成るこ
とを特徴とする抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物及びそ
の抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物を被覆してなる電線
・ケーブルにある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌性ポリ塩化ビニ
ル樹脂組成物及び電線・ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、病院の院内感染問題やO−157
による食中毒が大きな社会問題となっている。
【0003】病院の院内感染はメチシリン耐性黄色葡萄
状球菌(Methicilin Resistat S
taphyloccus Aureus、以下MRSA
という)により感染すると言われている。このMRSA
はメチシリン抗性物質ばかりでなく、他の抗性物質にも
耐性があると言われている。
【0004】このような背景のもとに病院では病院関係
者、医療器具、建築物等のありとあらゆるものを抗菌化
しようとする気運がある。
【0005】このような抗菌化対策品の一つとして電線
・ケーブルがある。
【0006】病院内に使用されている電線・ケーブルと
しては各種電力ケーブル、各種通信ケーブル、照明機器
用電線・ケーブル、病院内空調設備電線・ケーブル、コ
ンピユーター配線用電線・ケーブル、各種医療機器用電
線・ケーブル、電話線、ファイバスコープケーブル、テ
レビケーブル、ビデオケーブル等の様々な電線・ケーブ
ルがある。
【0007】これらの電線・ケーブル及びそれらの端末
プラグの表面にはMRSA等の細菌が付着する可能性が
ある。特に、病室間を移動する医療機器に使用されてい
る電線・ケーブル及びそれらの端末プラグには医師、看
護婦、薬剤師、設備管理者等の医療関係者、患者等が直
接、間接に接触する機会が多く、その結果それらの表面
にMRSA等の細菌が付着したり或いは媒介したりする
可能性が高い。
【0008】手術室等に用いられる医療器具は紫外線照
射処理、蒸気滅菌処理、エチレンオキサイドガス処理等
の滅菌、殺菌、消毒等の処理が行われているが、これら
の処理効果は一過性である。しかも配線してある電線・
ケーブルについてこのような処理を行うことは技術的に
困難である。
【0009】さて、電線・ケーブルの被覆材料としては
各種ゴム、各種プラスチック等がある。
【0010】ゴムとしては天然ゴム、クロロプレンゴ
ム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、スチレンブタ
ジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム等
がある。
【0011】また、プラスチックとしてはポリ塩化ビニ
ル樹脂組成物、ポリエチレン、ポリアミド樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ふっ素樹脂等がある。
【0012】これらの内病院内で最も多く使用されてい
る電線・ケーブルの被覆材料はポリ塩化ビニル樹脂組成
物である。
【0013】従来、ポリ塩化ビニル樹脂組成物の抗菌性
化は無機化合物系抗菌剤、特に銀化合物系抗菌剤等が多
用されている。
【0014】しかし銀化合物系抗菌剤を配合したポリ塩
化ビニル樹脂組成物は紫外線等の光や熱により変色する
難点があり、その結果耐紫外線光変色性及び耐熱変色性
が優れた抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物及び電線・ケ
ーブルが望まれていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる点に立
って為されたものであって、その目的とするところは前
記した従来技術の欠点を解消し、耐紫外線光変色性及び
耐熱変色性が優れた抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物及
び電線・ケーブルを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、ポリ塩化ビニル樹脂に抗菌性金属イオン吸着固定
化リン酸カルシウムを配合して成ることを特徴とする抗
菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物及びその抗菌性ポリ塩化
ビニル樹脂組成物を被覆してなる電線・ケーブルにあ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の抗菌性ポリ塩化ビ
ニル樹脂組成物及び電線・ケーブルの実施の形態につい
て説明する。
【0018】本発明においてポリ塩化ビニル樹脂として
は工業用として用いられている汎用ポリ塩化ビニル樹脂
や他のモノマを共重合して成る共重合ポリ塩化ビニル樹
脂等がある。また、これらに他のポリマー、例えばエチ
レン酢酸ビニル樹脂や塩素化ポリエチレンをブレンドし
たものでもよい。
【0019】本発明において抗菌性金属イオン吸着固定
化リン酸カルシウムとは、Ca10(PO4 8 (OH)
2 、3CaO・P2 5 等のリン酸カルシウム担体に抗
菌性を有する金属イオンを交換吸着により固定化したも
のである。ここにおいて抗菌性の金属イオンとしては銀
イオン、銅イオン、亜鉛イオン、水銀イオン、錫イオ
ン、鉛イオン、ビスマスイオン、カドミウムイオン、ク
ロムイオン等がある。また、担体としてリン酸カルシウ
ムを用いるのは、リン酸カルシウムが生体の硬組織代替
材料であることから安全性が高く、しかもポリ塩化ビニ
ル樹脂との相容性が優れているからである。
【0020】ここにおいて抗菌性金属イオン吸着固定化
リン酸カルシウムの添加量としては特に限定されない
が、望ましくポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して
0.1〜10重量部、より好ましくはポリ塩化ビニル樹
脂100重量部に対して1〜5重量部である。ここにお
いて0.1重量部以下では抗菌性の相乗効果がみられな
く、逆に10重量部以上では電気的特性、物理的特性及
び化学的特性が低下するためである。
【0021】本発明において金属イオンとは抗菌性を有
するものならよく、例えば銀イオン、銅イオン、亜鉛イ
オン、水銀イオン、錫イオン、鉛イオン、ビスマスイオ
ン、カドミウムイオン、クロムイオン等である。ここに
おいて必須の抗菌性金属イオンは銀イオンである。
【0022】ここにおいて銀イオンを必須としてのは人
体に対して安全性が高く且つ他の抗菌性金属イオンと併
用することにより抗菌性を相乗的に増進できるからであ
る。
【0023】本発明において必須の銀イオンに加えて併
用する金属イオンとしては銅イオン、亜鉛イオン、水銀
イオン、錫イオン、鉛イオン、ビスマスイオン、カドミ
ウムイオン、クロムイオン等がある。
【0024】本発明において好ましい金属イオンの組み
合わせは、銀イオン/亜鉛イオン、銀イオン/銅イオン
等である。これらの組み合わせ物は人体に対する毒性が
弱く、安全性が高く、更に殺菌性の相乗効果があり、そ
の上ポリ塩化ビニル樹脂混和物としたときの耐紫外線光
変色性及び耐熱変色性の向上にも効果がある。
【0025】本発明において酸化チタンをポリ塩化ビニ
ル樹脂100重量部に対して0.5重量部以上配合する
のは耐紫外線光変色性及び耐熱変色性を向上するためで
ある。更に、耐紫外線光変色性及び耐熱変色性は複合脂
肪酸金属塩と酸化チタンとを組み合わせることにより一
段と向上することができる。
【0026】ここおにいて酸化チタンの配合量をポリ塩
化ビニル樹脂100重量部に対して0.5重量部以上と
したのは、0.5重量部以下では耐紫外線光変色性及び
耐熱変色性が向上しないからである。なお、好ましくは
酸化チタンの配合量をポリ塩化ビニル樹脂100重量部
に対して1〜10重量部である。
【0027】また、本発明において酸化チタンとしては
ルチル型酸化チタン或いはアナターゼ型酸化チタンのい
ずれでもよいが、望ましくは耐紫外線光変色性及び耐熱
変色性の点からルチル型酸化チタンがよい。
【0028】更に、酸化チタンとしてはその表面に抗菌
性アミノ酸金属石鹸をコーティングしたものでもよい。
この抗菌性アミノ酸金属石鹸コーティング酸化チタンは
耐紫外線光変色性及び耐熱変色性の向上にも効果が大き
い。
【0029】本発明において複合脂肪酸金属塩とは2種
以上の金属イオンを含む脂肪酸金属塩系ポリ塩化ビニル
樹脂安定剤である。
【0030】ここにおいて2種の金属イオンとしてはバ
リウム、カルシウム、銅、マグネシウム、鉛、亜鉛、錫
等から選ばれた2種の金属イオンである。これらのうち
バリウム/亜鉛及びバリウム/カルシウムの組み合わせ
脂肪酸金属塩は抗菌性が相乗的に増進でき且つ驚くべき
ことに耐紫外線光変色性及び耐熱変色性の向上にも効果
がある。
【0031】なお、本発明において抗菌性ポリ塩化ビニ
ル樹脂組成物には必要に応じて可塑剤、ポリ塩化ビニル
樹脂安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤、充填剤等を適
宜配合することができる。
【0032】なお、本発明において電線・ケーブルは直
線状のものばかりでなく、螺旋状等のものでもよい。
【0033】
【実施例】次に、本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組
成物及び電線・ケーブルの実施例を比較例と共に説明す
る。
【0034】(ポリ塩化ビニル樹脂組成物の作成)ま
ず、表1に示す本発明の実施例1〜6の抗菌性ポリ塩化
ビニル樹脂組成物、及び比較例1〜3のポリ塩化ビニル
樹脂組成物を作成した。
【0035】
【表1】
【0036】(電線・ケーブルの作成)次に、上記で得
た本発明の実施例1〜6の抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組
成物、及び比較例1〜3のポリ塩化ビニル樹脂組成物を
導体上に直接又は他の絶縁物層を介して被覆することに
より電線・ケーブルを得た。
【0037】図1はかくして得られた実施例1の抗菌性
ポリ塩化ビニル樹脂組成物絶縁電線の断面図を示したも
のである。
【0038】図1において1は導体、2は実施例1の抗
菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物絶縁層である。
【0039】表1から分るように比較例1のポリ塩化ビ
ニル樹脂組成物はウエザオメーター耐候性試験において
1,000時間で僅かに変色し、2,000時間では酷
く変色した。
【0040】比較例2のポリ塩化ビニル樹脂組成物はウ
エザオメーター耐候性試験において1,000時間で酷
く変色した。
【0041】比較例3のポリ塩化ビニル樹脂組成物はウ
エザオメーター耐候性試験において1,000時間で僅
かに変色し、2,000時間では酷く変色した。更に、
抗菌性試験では24時間後の菌数が大幅に増加し、抗菌
効果が無かった。
【0042】これらに対して実施例1〜6の抗菌性ポリ
塩化ビニル樹脂組成物は160℃のロール混練加工、1
80℃のプレス加工及びウエザオメーターによる耐候性
試験のいずれでも変色が全くなく、更に抗菌性試験でも
24時間後の菌数が10個以下と極めて少なく、優れた
抗菌効果を発揮した。
【0043】なお、表示はしないが実施例1〜6の抗菌
性ポリ塩化ビニル樹脂組成物絶縁電線はエチルアルコー
ルに浸漬しても何等の浸蝕も受けなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明の本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル
樹脂組成物及び電線・ケーブルは優れた耐紫外線光変色
性、耐熱変色性、抗菌性、耐エチルアルコールを発揮
し、その結果紫外線照射滅菌処理、エチレンオキサイド
滅菌処理、アルコール消毒等を行っても変色がないもの
であり、工業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂
組成物絶縁電線の断面図を示したものである。
【符号の説明】 1 導体 2 抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 9/02 C08K 9/02 H01B 3/44 H01B 3/44 B 7/28 7/28 Z

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリ塩化ビニル樹脂に抗菌性金属イオン吸
    着固定化リン酸カルシウムを配合して成ることを特徴と
    する抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】抗菌性金属イオン吸着リン酸カルシウム
    が、少なくとも銀イオンを吸着固定化したリン酸カルシ
    ウムであることを特徴とする請求項1記載の抗菌性ポリ
    塩化ビニル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】抗菌性金属イオン吸着リン酸カルシウム
    が、銀イオン/亜鉛イオン若しくは銀イオン/銅イオン
    を吸着固定化したリン酸カルシウムであることを特徴と
    する請求項1記載の抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】ポリ塩化ビニル樹脂に、抗菌性金属イオン
    吸着固定化リン酸カルシウムと酸化チタンとを配合して
    成ることを特徴とする抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】酸化チタンが、ポリ塩化ビニル樹脂100
    重量部に対して0.5重量部以上配合して成ることを特
    徴とする請求項4記載の抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】ポリ塩化ビニル樹脂に、抗菌性金属イオン
    吸着固定化リン酸カルシウムと酸化チタンと複合脂肪酸
    系金属塩とを配合して成ることを特徴とする抗菌性ポリ
    塩化ビニル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】複合脂肪酸系金属塩が、バリウムイオン/
    亜鉛イオンを含む複合脂肪酸系金属塩若しくはバリウム
    イオン/カルシウムイオンを含む複合脂肪酸系金属塩で
    あることを特徴とする請求項7記載の抗菌性ポリ塩化ビ
    ニル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物を被覆し
    て成る電線・ケーブルにおいて、前記抗菌性ポリ塩化ビ
    ニル樹脂組成物はポリ塩化ビニル樹脂に抗菌性金属イオ
    ン吸着固定化リン酸カルシウムを配合して成る抗菌性ポ
    リ塩化ビニル樹脂組成物であることを特徴とする電線・
    ケーブル。
  9. 【請求項9】抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物を被覆し
    て成る電線・ケーブルにおいて、前記抗菌性ポリ塩化ビ
    ニル樹脂組成物は抗菌性金属イオン吸着固定化リン酸カ
    ルシウムと酸化チタンとを配合して成る抗菌性ポリ塩化
    ビニル樹脂組成物であることを特徴とする電線・ケーブ
    ル。
  10. 【請求項10】抗菌性ポリ塩化ビニル樹脂組成物を被覆
    して成る電線・ケーブルにおいて、前記抗菌性ポリ塩化
    ビニル樹脂組成物はポリ塩化ビニル樹脂に抗菌性金属イ
    オン吸着固定化リン酸カルシウムと酸化チタンと複合脂
    肪酸系金属塩とを配合して成る抗菌性ポリ塩化ビニル樹
    脂組成物であることを特徴とする電線・ケーブル。
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